JPWO2017034039A1 - ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
通常、代表的なポリカーボネートとしては、原料の二価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕を用いたホモポリカーボネートが一般的に使用されている。このホモポリカーボネートの難燃性や耐衝撃性等の物性を改良するために、ポリオルガノシロキサンを共重合モノマーとして用いたポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体が知られている(特許文献1)。
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含むポリカーボネート樹脂の耐衝撃性をさらに改善するために、例えば、特許文献2及び3に記載されるように長鎖長のポリオルガノシロキサンを用いる手法や、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体中のポリオルガノシロキサン量を増やす手法を挙げることができる。
すなわち、本発明は下記[1]〜[21]に関する。
[1]下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)、並びに前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)を含むポリカーボネート系樹脂組成物であり、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)を主成分とするマトリックス中に、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むドメイン(d−1)が存在し、前記ドメイン(d−1)の内部に、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび前記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つを含むドメイン(d−2)が存在する構造を有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物。
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
[2]前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、前記芳香族ポリカーボネート(B)との質量比率(A)/(B)が、0.1/99.9〜99.9〜0.1である、上記[1]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[3]前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)は、主鎖が下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む、上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[式中、R9及びR10は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。d及びeは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
[4]前記ドメイン(d−1)が前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)から主に形成されている、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[5]前記ドメイン(d−2)が前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび前記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つから主に形成されている、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[6]前記ドメイン(d−1)内部に、前記ドメイン(d−2)が1つのみ存在する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[7]前記ドメイン(d−1)内部に、前記ドメイン(d−2)が2以上存在する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[8]前記ドメイン(d−1)内部に前記ドメイン(d−2)が存在するドメイン(d)と、前記ドメイン(d−1)のみからなるドメイン(d’)との合計数に占める前記ドメイン(d)の数割合が2〜100%である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[9]前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの平均断面積が200nm2以上である、上記[8]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[10]前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの平均断面積が20,000nm2以下である、上記[8]または[9]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[11]前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの隣接粒子間距離の平均が500nm以下である、上記[8]〜[10]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[12]前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの隣接粒子間距離の平均が50nm以上である、上記[8]〜[11]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[13]前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の平均鎖長が30〜500である、上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[14]前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の平均鎖長が55〜500である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[15]前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)中の前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率が5〜70質量%である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[16]前記ポリカーボネート系樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率が0.1〜10質量%である、上記[1]〜[15]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[17]前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)の粘度平均分子量(Mv)が9,000〜50,000である、上記[1]〜[16]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[18]前記ポリカーボネート系樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)が9,000〜50,000である、上記[1]〜[17]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[19]上記[1]〜[18]のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物を成形して得られる、成形品。
[20]電気及び電子機器用筐体である、上記[19]に記載の成形品。
[21]自動車及び建材の部品である、上記[19]に記載の成形品。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)、並びに上記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)を含み、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)を主成分とするマトリックス中に、上記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むドメイン(d−1)が存在し、上記ドメイン(d−1)の内部に、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび上記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つを含むドメイン(d−2)が存在する構造を有する:
上記一般式(II)中、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。
式中の各R1〜R4、X、a及びbの具体例は後述する。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物における芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)の含有量は、製造容易性と得られる樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、通常99.9〜0.1質量%、好ましくは99〜1質量%、より好ましくは98〜50質量%、さらに好ましくは95〜80質量%である。
本発明においては、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)との質量比率(A)/(B)が、通常0.1/99.9〜99.9/0.1,好ましくは1/99〜99/1,より好ましくは2/98〜50/50,さらに好ましくは5/95〜20/80である。
なお、前記ポリカーボネート系樹脂組成物におけるマトリクスは、前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)との合計に占める前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の割合が50質量%を超えない限り、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロック及びポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つから主に形成されている。上記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むドメイン(d−1)は、好ましくは上記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)から主に形成されている。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび上記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つを含むドメイン(d−2)は、好ましくは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロック及びポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つから主に形成されていて、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロック又はポリカーボネートブロック(A−1)から主に形成されていてもよいし、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロック及びポリカーボネートブロック(A−1)の両方から主に形成されていてもよい。
検出したドメインが、どのブロックから主に形成されているかは、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope:SPM)観察により取得した画像のコントラストから判断する。図1に示す通り、検出したドメインのうち、マトリックスと同等程度のコントラストを示すドメインは、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび上記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つから主に形成されているものとする。同様に、検出したドメインのうち、マトリックスとは明確に区別される程度の暗いコントラストを示すドメインは、上記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)によって主に形成されているものとする。
より詳細に構造の一例を記載すると、本願発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、マトリックス中にシェルを構成する上記ドメイン(d−1)と、コアを構成する1つの上記ドメイン(d−2)とを有する、コアシェル構造を有する。また、1つの上記ドメイン(d−1)内部に2つ以上の球状もしくはシリンダ状のドメイン(d−2)を含有する構造、または、ジャイロイド構造、ラメラ構造もしくはサラミ構造などのミクロ相分離構造を有していてもよい。
上記各ドメイン(d)及び(d’)の平均断面積は、SPMにより観察し、得られた画像を画像解析ソフト(SPIP)で処理することにより算出した。ここで、SPMにより観察した際に上記ドメイン(d)及び(d’)が開口部を有する場合の平均断面積は以下のように計算した。図10に示すように、1つのドメインが1つの開口部を有する場合には、ドメインの長軸距離に対して、開口部の端部2点を接点として有するドメインの接線を引いた際の上記接点2点間の距離が1/2以下であるときは、開口部を有さないドメインの断面積とみなして、ドメイン(d)および上記ドメイン(d’)のそれぞれの平均断面積として算出した。また、図11に示すように、1つのドメインが2つ以上の開口部(図11では2つの開口部)を有する場合には、各開口部が、ドメインの長軸距離に対して開口部の端部2点を接点として有するドメインの接線を引いた際の接点2点間の距離がそれぞれ1/2以下であるときは、それぞれの開口部を有さないドメインの断面積とみなした。図12に開口部を1つ有する場合のドメインの走査型プローブ顕微鏡画像を示す。
上記全ドメインの隣接粒子間距離の平均は、より好ましくは70〜350nm、さらに好ましくは110〜300nm、特に好ましくは180〜200nmである。なお、全ドメインの隣接粒子間距離の平均は、SPMにより観察し、画像解析ソフト(SPIP)で処理することにより算出した。
なお、上記ドメイン(d)およびドメイン(d’)の総数に占める上記ドメイン(d)の数割合、全ドメインの平均断面積及び全ドメインの隣接粒子間距離の平均測定に用いた走査型プローブ顕微鏡の詳細な観察条件は実施例に記載する。
すなわち、本発明に係るポリカーボネート系樹脂組成物が有するドメイン(d)は、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むドメイン(d−1)の内部に、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび前記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つを含むドメイン(d−2)が存在している。
そうすると、ポリカーボネート系樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の量が同じであれば、ドメイン(d−1)のみからなるドメイン(d’)と比較して、ドメイン(d−2)を内包するドメイン(d)のサイズは嵩増しされて、ドメイン(d’)のサイズよりも大きくなる。マトリックス中に存在するドメイン(d)のサイズが全体的に大きくなることにより、ポリカーボネート系樹脂組成物に衝撃荷重が加わった際に、応力波の伝播をさらに抑止していると考えられる。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83)より算出した値である。
上記ドメイン(d−1)は、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)の下記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含み、好ましくは該ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)から形成されている。ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)は、上述した通り、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含む:
上記一般式(I)及び(II)中のR1〜R4,X,a及びbは上述した通りである。
R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、明細書中同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位として前記アルキル基を有するものが挙げられる。
Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。Xが表すアリールアルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、アルキレン基としては上述したアルキレンが挙げられる。Xが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、アルキリデン基としては上述したアルキリデン基を挙げることができる。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
中でも、aおよびbが0であり、Xが単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であるもの、またはaおよびbが0であり、Xが炭素数3のアルキレン基、特にイソプロピリデン基であるものが好適である。
なお、R3及びR4としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、複数のR3〜R6は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Yは−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−COO−、−S−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−を示し、複数のYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。前記R7は、単結合、直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、またはジアリーレン基を示す。R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。R9は、ジアリーレン基を示す。R10は、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、又はジアリーレン基を示す。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、又はジカルボン酸若しくはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示す。nはポリオルガノシロキサンの鎖長を示す。n−1、及びpとqはそれぞれポリオルガノシロキサン単位の繰り返し数を示し、1以上の整数であり、pとqの和はn−2である。]
R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。
一般式(II−I)、(II−II)及び/または(II−III)中のR3〜R6がいずれもメチル基であることが好ましい。
(式中cは正の整数を示し、通常1〜6の整数である)
R7、Ar1及びAr2が表すアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基などの環形成炭素数6〜14のアリーレン基が挙げられる。これらアリーレン基は、アルコキシ基、アルキル基等の任意の置換基を有していてもよい。
R8が示すアルキル基としては炭素数1〜8、好ましくは1〜5の直鎖または分岐鎖のものである。アルケニル基としては、炭素数2〜8、好ましくは2〜5の直鎖または分岐鎖のものが挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
R10が示す直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基は、R7と同様である。
なお、式(II−II)中のp及びqについては、p=qであることが好ましい。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基又はジカルボン酸又はジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(iii)〜(vii)で表される2価の基が挙げられる。
粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83)より算出した値である。
具体的には、後述する予め製造されたポリカーボネートオリゴマーと、ポリオルガノシロキサンとを、非水溶性有機溶媒(塩化メチレン等)に溶解させ、二価フェノール系化合物(ビスフェノールA等)のアルカリ性化合物水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)を加え、重合触媒として第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、末端停止剤(p−t−ブチルフェノール等の1価フェノール)の存在下、界面重縮合反応させることにより製造できる。また、PC−POS共重合体(A)は、ポリオルガノシロキサンと、二価フェノールと、ホスゲン、炭酸エステル又はクロロホーメートとを共重合させることによっても製造できる。
なお、本願のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)を、例えばポリカーボネートオリゴマーとポリオルガノシロキサン原料とを有機溶媒中で反応させた後に二価フェノールと反応させる等して製造する場合には、上記有機溶媒とポリカーボネートオリゴマーとの混合溶液1L中におけるポリカーボネートオリゴマーの固形分重量(g/L)が80〜200g/Lの範囲にあることが好ましい。より好ましくは90〜180g/L、さらに好ましくは100〜170g/Lである。
式中、R3〜R6、Y、β、n−1、p及びqは上記した通りであり、具体例及び好ましいものも同様である。
Zは、水素原子又はハロゲン原子を示し、複数のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、上記一般式(1−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、上記一般式(1−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、上記一般式(1−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
その他、ポリオルガノシロキサン原料として以下の一般式(4)を有するものを用いてもよい。
式中、R3及びR4は上述したものと同様である。一般式(4)で示されるポリオルガノシロキサンブロックの平均鎖長は(r×m)となり、(r×m)の範囲は上記nと同一である。
上記(4)をポリオルガノシロキサン原料として用いた場合には、ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)は下記一般式(II−IV)で表わされる単位を有することが好ましい。
[式中のR3、R4、r及びmは上述した通りである]
吸着剤としては、例えば、1000Å以下の平均細孔直径を有するものを用いることができる。平均細孔直径が1000Å以下であれば、粗ポリオルガノシロキサン中の遷移金属を効率的に除去することができる。このような観点から、吸着剤の平均細孔直径は、好ましくは500Å以下、より好ましくは200Å以下、更に好ましくは150Å以下、より更に好ましくは100Å以下である。また同様の観点から、吸着剤は多孔性吸着剤であることが好ましい。
吸着剤としては、上記の平均細孔直径を有するものであれば特に限定されないが、例えば活性白土、酸性白土、活性炭、合成ゼオライト、天然ゼオライト、活性アルミナ、シリカ、シリカ−マグネシア系吸着剤、珪藻土、セルロース等を用いることができ、活性白土、酸性白土、活性炭、合成ゼオライト、天然ゼオライト、活性アルミナ、シリカ及びシリカ−マグネシア系吸着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
遷移金属の吸着後に吸着剤をポリオルガノシロキサンから分離する観点から、吸着剤の平均粒子径は、通常1μm〜4mm、好ましくは1〜100μmである。
前記吸着剤を使用する場合には、その使用量は特に限定されない。粗ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部の範囲の量の多孔性吸着剤を使用することができる。
二価フェノールとしては、下記一般式(viii)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
式中、R1、R2、a、b及びXは上述した通りである。
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、上記一般式(i)において、Xがイソプロピリデン基であり、且つa=b=0のPC−POS共重合体となる。
上記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)は、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物のマトリックス部分を構成し、またドメイン(d−2)に含まれる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)は、主鎖が下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有する。上記ポリカーボネート系樹脂としては、特に制限はなく種々の公知のポリカーボネート系樹脂を使用できる。
[式中、R9及びR10は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。d及びeは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。
なお、上記二価フェノール系化合物としては、下記一般式(III’)で表されるものが挙げられる。
[式中、R9、R10、X’、d及びeは前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。]
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と異なり、式(II)で表されるようなポリオルガノシロキサンブロックを有さない構造であってもよい。例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)はホモポリカーボネート樹脂であってもよい。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を含ませることができる。その他の添加剤としては、難燃剤や難燃助剤、離型剤、補強材、充填剤、耐衝撃性改良用のエラストマー、染料、顔料等を挙げることができる。
配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。混練の際の加熱温度は、通常、240〜320℃の範囲で適宜選択される。この溶融混練としては、押出機、特に、ベント式の押出機の使用が好ましい。
上記の溶融混練した本発明のポリカーボネート系樹脂組成物、又は得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により各種成形体を製造することができる。特に、溶融混練により得られたペレットを用いて、射出成形及び射出圧縮成形による射出成形体の製造に好適に用いることができる。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成型品は、例えば、テレビ、ラジオカセット、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、オーディオプレーヤー、DVDプレーヤー、エアコンディショナ、携帯電話、ディスプレイ、コンピュータ、レジスター、電卓、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電気・電子機器用部品の筐体等、並びに自動車及び建材の部品として好適に用いることができる。
NMR測定によって、ポリジメチルシロキサンのメチル基の積分値比により算出した。
<ポリジメチルシロキサンの鎖長の定量方法>
1H−NMR測定条件
NMR装置:(株)JEOL RESONANCE製 ECA500
プローブ:50TH5AT/FG2
観測範囲:−5〜15ppm
観測中心:5ppm
パルス繰り返し時間:9秒
パルス幅:45°
NMR試料管:5φ
サンプル量:30〜40mg
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温
積算回数:256回
アリルフェノール末端ポリジメチルシロキサンの場合
A:δ−0.02〜0.5付近に観測されるジメチルシロキサン部のメチル基の積分値
B:δ2.50〜2.75付近に観測されるアリルフェノールのメチレン基の積分値
ポリジメチルシロキサンの鎖長=(A/6)/(B/4)
オイゲノール末端ポリジメチルシロキサンの場合
A:δ−0.02〜0.5付近に観測されるジメチルシロキサン部のメチル基の積分値
B:δ2.40〜2.70付近に観測されるオイゲノールのメチレン基の積分値
ポリジメチルシロキサンの鎖長=(A/6)/(B/4)
例)アリルフェノール末端ポリジメチルシロキサンを共重合したPTBP末端ポリカーボネート中のポリジメチルシロキサン共重合量の定量方法
NMR装置:(株)JEOL RESONANCE製 ECA−500
プローブ:TH5 5φNMR試料管対応
観測範囲:−5〜15ppm
観測中心:5ppm
パルス繰り返し時間:9秒
パルス幅:45°
積算回数:256回
NMR試料管:5φ
サンプル量:30〜40mg
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温
A:δ1.5〜1.9付近に観測されるBPA部のメチル基の積分値
B:δ−0.02〜0.3付近に観測されるジメチルシロキサン部のメチル基の積分値
C:δ1.2〜1.4付近に観測されるp−tert−ブチルフェニル部のブチル基の積分値
a=A/6
b=B/6
c=C/9
T=a+b+c
f=a/T×100
g=b/T×100
h=c/T×100
TW=f×254+g×74.1+h×149
PDMS(wt%)=g×74.1/TW×100
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて算出した。
[η]=1.23×10-5×Mv0.83
SPM装置:Nano-IM(PNI社製)
プローブ:PPP-NCHR(NANOSENSORS社製)
観察視野サイズ:1μm四方、2μm四方、5μm四方
観察部位:Izod試験片(長さ63.5mm、幅3.2mm、厚さ12.7mm)のゲート反対側端部から約5mmの断面中央部の機械方向(MD)と厚み方向(ND)で形成される面
前処理方法:凍結ミクロトーム(装置:URTRACUT R(ライカマイクロシステムズ社製))による切削断面加工
測定モード:位相差モード
評価対象のドメイン:観察視野内にドメインの全体が映っているものを評価対象のドメインとした。
ドメイン評価に用いる観察視野サイズ:1μm四方で観察した場合の評価対象のドメイン数が21以上の場合は1μm四方を、6以上20以下は2μm四方を、5以下は5μm四方をドメイン評価に用いる観察視野サイズとした。
観察するドメインの数:ドメイン(d)の数割合、ドメインの平均断面積およびドメインの平均隣接粒子間距離の算出に用いる評価対象のドメインの観察数は、70以上とした。1観察視野当たりの評価対象のドメインが70未満の場合は、その数が70以上となるまで追加観察した。
画像解析ソフト:SPIP
<SPMによるドメイン(d)のあり/なしの判定、(d−1)内部の(d−2)の数および全ドメインの合計数に占めるドメイン(d)の数割合の算出方法>
評価対象の全ドメイン数をSPIPで自動算出し、ドメイン(d)は目視でカウントした。
<SPMによるドメイン平均断面積の算出方法>
それぞれのドメインに対し、SPIPで画像処理してドメイン断面積を自動算出し、その平均値を計算した。
<SPMによる隣接粒子間距離の平均の算出方法>
それぞれのドメインに対し、SPIPで隣接粒子間距離を自動算出し、その平均値を算出した。
5.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液に、ビスフェノールA(BPA)(後から溶解する)に対して2000ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加えた。これにBPA濃度が13.5質量%となるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。このBPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr、塩化メチレンを15L/hr、及びホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。管型反応器を出た反応液を、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入し、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%のトリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で添加して反応を行なった。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度330g/L、クロロホーメート基濃度0.71mol/Lであった。
以下に記載する(i)〜(xiv)の値は、表1−1及び表1−2に示すとおりである。
邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に上記の通り製造したポリカーボネートオリゴマー溶液(PCO)(i)L、塩化メチレン(MC)(ii)Lおよび、平均鎖長n=(iii)のアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(以下、ポリジメチルシロキサンをPDMSと呼ぶことがある)(iv)gを塩化メチレン(MC)(v)Lに溶解したもの、ならびに、トリエチルアミン(TEA)(vi)mLを仕込み、攪拌下でここに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液(NaOHaq)(vii)gを加え、20分間ポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSの反応を行った。
この重合液に、p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP(viii)gを塩化メチレン(MC)(ix)Lに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(x)gと亜二チオン酸ナトリウム(Na2S2O4)(xi)gとを水(xii)Lに溶解した水溶液にBPA(xiii)gを溶解させたもの)を添加し40分間重合反応を実施した。
希釈のため塩化メチレン(MC)(xiv)Lを加え10分間攪拌した後、PC−POSを含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。
こうして得られたPC−POSの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して、15容積%の0.03mol/LNaOH水溶液、0.2mol/L塩酸で順次洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。
洗浄により得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下120℃で乾燥し、PC−POS共重合体(A1)〜(A17)を得た。得られたフレークのPDMS含有率、粘度平均分子量の測定を行った。
製造例1〜17で得られたPC−POS共重合体A1〜A17、及びその他の各成分を表2−1〜表2−3に示す配合割合で混合し、ベント式二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B)に供給し、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/hr、樹脂温度295〜300℃にて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。この評価用ペレットサンプルを用いてPDMS含有率、Mv、MFR、Q値、及び耐衝撃性の測定、並びにSPMによる画像観察及び画像解析を行った。なお、実施例1〜8及び比較例4でそれぞれ得られたポリカーボネート樹脂組成物のSPMによる観察結果の代表画像(画像は1μm四方)を図1〜9に示す。
<流動性評価>(MFR)
上記ペレットを用いて、JIS K7210に準拠し、300℃、1.2kgの荷重下にて、直径2mm、長さ8mmのダイから流出する溶融樹脂量(g/10分)を測定した。
<Q値(流れ値)〔単位;10-2ml/秒〕>
上記ペレットを用いて、JIS K7210に準拠し、高架式フローテスターを用いて、280℃、15.9MPaの圧力下にて、直径1mm、長さ10mmのノズルより流出する溶融樹脂量(ml/sec)を測定した。Q値は単位時間当たりの流出量を表しており、数値が高いほど、流動性が良いことを示す。
<耐衝撃性>
上記得られたペレットを120℃で8時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、NEX110、スクリュー径36mmΦ)を用いて、シリンダ温度280℃、金型温度80℃にて、射出成形してIZOD試験片(63×13×3.2mm)を作成した。この試験片に後加工でノッチを付与した試験片を用いて、ASTM規格D−256に準拠して、−40℃及び場合により23℃におけるノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
Claims (21)
- 下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)、並びに前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)を含むポリカーボネート系樹脂組成物であり、
前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)を主成分とするマトリックス中に、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むドメイン(d−1)が存在し、前記ドメイン(d−1)の内部に、前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび前記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つを含むドメイン(d−2)が存在する構造を有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物。
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。] - 前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、前記芳香族ポリカーボネート(B)との質量比率(A)/(B)が、0.1/99.9〜99.9〜0.1である、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)は、主鎖が下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロックを含む、請求項1または2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[式中、R9及びR10は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。d及びeは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。] - 前記ドメイン(d−1)が前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)から主に形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d−2)が前記芳香族ポリカーボネート系樹脂(B)に由来するブロックおよび前記ポリカーボネートブロック(A−1)から選ばれる少なくとも1つから主に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d−1)内部に、前記ドメイン(d−2)が1つのみ存在する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d−1)内部に、前記ドメイン(d−2)が2以上存在する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d−1)内部に前記ドメイン(d−2)が存在するドメイン(d)と、前記ドメイン(d−1)のみからなるドメイン(d’)との合計数に占める前記ドメイン(d)の数割合が2〜100%である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの平均断面積が200nm2以上である、請求項8に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの平均断面積が20,000nm2以下である、請求項8または9に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの隣接粒子間距離の平均が500nm以下である、請求項8〜10のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ドメイン(d)および前記ドメイン(d’)を合わせた、全ドメインの隣接粒子間距離の平均が50nm以上である、請求項8〜11のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の平均鎖長が30〜500である、請求項1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の平均鎖長が55〜500である、請求項1〜13のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)中の前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率が5〜70質量%である、請求項1〜14のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート系樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率が0.1〜10質量%である、請求項1〜15のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)の粘度平均分子量(Mv)が9,000〜50,000である、請求項1〜16のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート系樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)が9,000〜50,000である、請求項1〜17のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 請求項1〜18のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物を成形して得られる、成形品。
- 電気及び電子機器用筐体である、請求項19に記載の成形品。
- 自動車及び建材の部品である、請求項19に記載の成形品。
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