JP2011194733A - ポリカーボネート樹脂製透明難燃積層板 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂製透明難燃積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、外観および難燃性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂板に各種機能性フィルムを、リサイクル性を維持し、難燃性を阻害することなく貼り合せた樹脂積層板を提供する。
【解決手段】難燃剤を含有する厚み0.7〜5.0mmの芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の少なくとも一方の表面に、厚み0.02〜0.2mmの芳香族ポリカーボネート樹脂製の機能性フィルム(B)が、粘着層を介して均一に貼り付けられた積層板であって、該粘着層は、粘着層を構成する樹脂が透明で、且つ芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が±0.13以内であり、積層板の総厚みに占める粘着層の厚み比が0.1〜4.0%であり、ヘイズが2%以下であることを特徴とする透明難燃積層板。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなるシートに、芳香族ポリカーボネート樹脂製の機能性フィルムを貼り合せた樹脂積層板に関する。さらに詳しくは、優れた難燃性を有し、フィルムによって多様な機能性を付与されており、リサイクル性に優れたポリカーボネート樹脂製透明難燃積層板に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は射出成形、押し出し成形などの簡便で生産性に優れた加工法により、幅広い産業分野で利用されている。とりわけ各種照明カバー、透過型ディスプレイ用の保護カバー等の高い透明性が要求される用途には、芳香族ポリカーボネート樹脂の高い光線透過率と極めて低いヘーズに代表される優れた透明性を生かして幅広く使用されている。これらの用途では近年、火災時の難燃性についても注目されており、上記の特性に加えて高度な難燃性を有する樹脂板が求められている。加えて、機能性フィルムを積層させることにより光路制御、光反射防止などの機能を付与し、多様な品質要求に対応する技術も広がりをみせつつある。
芳香族ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する方法としては、従来は臭素系化合物やリン系化合物が利用されていたが、成形時における腐蝕ガスの発生の抑制、または製品のリサイクル性の向上などの目的で上記に挙げた難燃剤に替えて、シリコーン化合物とドリップ防止のためのフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの併用などが提案されている。シリコーン化合物の例としては、ポリカーボネート樹脂にパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩とアルコキシ基、ビニル基およびフェニル基を有する有機シロキサンを配合する方法(特許文献1参照)、およびポリカーボネート樹脂にパーフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と2価炭化水素基を介してケイ素原子に結合したオルガノキシシリル基を含有するオルガノポリシロキサンを配合する方法(特許文献2参照)などが提案されている。また、樹脂成分に特定の石油系重質油類またはピッチ類とシリコーン化合物を配合する方法(特許文献3参照)、および芳香環を有する非シリコーン樹脂に式RSiO1.0で示される単位とRSiO1.5で示される単位(Rは炭化水素基)を持ち、重量平均分子量が10,000以上270,000以下であるシリコーン樹脂を配合する方法(特許文献4参照)などが提案されている。また、芳香族ポリカーボネート樹脂に有機アルカリ金属塩、およびポリ(メチル水素シロキサン)からなる樹脂組成物についても具体例が記載されている。(特許文献5参照)
しかしながら、上記提案のポリカーボネート樹脂組成物は透明性が低下するという問題がある。
これを受けて近年では、芳香族ポリカーボネート樹脂に有機アルカリ金属塩、およびポリ(フェニルメチル水素シロキサン)からなる樹脂組成物(特許文献6参照)、分岐構造を有するポリカーボネートと有機金属塩からなる樹脂組成物(特許文献7参照)、分岐構造を有するポリカーボネートと有機金属塩および特定のシロキサン化合物からなる樹脂組成物(特許文献8、9参照)等の組成が提案されている。これらにより優れた難燃性と透明性を維持する組成物が提供されるが、ポリカーボネート用途の多様化、高度化を受けて、さらなる難燃性の向上が要求されている。
より薄肉でのUL94規格で難燃ランクV−0が達成されれば、難燃材料としての用途が広がりその効果は非常に大きい。また、難燃レベルは同一であっても、使用される難燃剤などの添加量を少しでも少なくすることができれば、加工時の発生ガス低減、加工性のアップ、品質の安定性、各種物性向上につながる。特に押し出しシートや賦型押し出しシートを押出し成形する場合には、加工時の発生ガスが原因で冷却ロールに付着しそれがシート表面外観を悪化させるという問題があり改善を強く求められている。
しかし、積層板においては、基板となる樹脂板が難燃性を有していても、難燃性に劣る機能性フィルムを積層することによって、積層板全体としての難燃性が損なわれてしまうという問題もある。積層板の難燃化としては、任意の基材に難燃組成のフィルムを積層させる手法(特許文献10参照)なども提案されているが、こうした手法の多くは基材となる樹脂板の透明性を損なってしまう。加えて、複数種類の樹脂の積層や多量の難燃剤添加は、リサイクル性が損なわれてしまい、単層樹脂板の生産時に比べ生産工程におけるコストが増大するという問題があった。
特開平6−306265号公報 特開平6−336547号公報 特開平9−169914号公報 特開平10−139964号公報 特公昭60−38419号公報 特開2003−147190号公報 特許第3129374号公報 特許第3163596号公報 特開2007−31583号公報 特開2005−119260号公報
本発明の目的は、透明性、外観および難燃性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂板に各種機能性フィルムを、リサイクル性を維持し、難燃性を阻害することなく貼り合せた樹脂積層板を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、厚みが限定された粘着層を介し芳香族ポリカーボネート樹脂板と機能性フィルムとを積層した樹脂積層板において、各構成要素の組成、厚み、厚み比率を特定のものとすることにより、難燃性および透明性に優れ、かつリサイクル性にも優れる芳香族ポリカーボネート樹脂製の透明難燃積層板が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
(1)難燃剤を含有する厚み0.7〜5.0mmの芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の少なくとも一方の表面に、厚み0.02〜0.2mmの芳香族ポリカーボネート樹脂製の機能性フィルム(B)が、粘着層を介して均一に貼り付けられた積層板であって、該粘着層は、粘着層を構成する樹脂が透明で、且つ芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が±0.13以内であり、積層板の総厚みに占める粘着層の厚み比が0.1〜4.0%であり、ヘイズが2%以下であることを特徴とする透明難燃積層板が提供される。
本発明のより好適な態様の一つは、(2)樹脂板(A)を構成する芳香族ポリカーボネートは、分岐率が0.5〜1.5mol%で、粘度平均分子量が1.8×10〜3.0×10の芳香族ポリカーボネート(A−1成分)であり、難燃剤は、有機アルカリ(土類)金属塩(A−2成分)および芳香族基を有するシリコーン化合物(A−3成分)であり、A−1成分100重量部に対して、A−2成分を0.005〜1.0重量部、およびA−3成分を0.10〜7.0重量部含有する、前項(1)記載の透明難燃積層板である。
本発明のより好適な態様の一つは、(3)機能性フィルム(B)は、光反射防止性、耐UV性、集光機能、光拡散機能、ガスバリア性、およびハードコートのいずれかひとつ以上の機能が付与されている前項(1)または(2)に記載の透明難燃積層板である。
本発明のより好適な態様の一つは、(4)UL−94規格の難燃レベルにおいて、V−0を達成する前項(1)記載の透明難燃積層板である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂製の透明難燃積層板は、積層される機能性フィルムを芳香族ポリカーボネート樹脂から構成されるフィルムとし、かつ粘着層の厚みを狭い範囲に限定することにより、基材となる芳香族ポリカーボネート樹脂板の難燃性および透明性を損ねることなく多様な機能を付与することが可能となる。加えて生産工程において、高い端材の回収再利用性が得られるため、環境負荷と製造コストを大幅に低減することが可能となる。さらに、基板を構成する芳香族ポリカーボネート樹脂板は、有機アルカリ(土類)金属塩と芳香族基を含有するシリコーン化合物を配合させた樹脂組成物において、これまでにないまでに有機アルカリ(土類)金属塩の配合量を狭い範囲に限定することにより、環境負荷が高いとされる臭素系難燃剤やリン系難燃剤を使用せずに、高度な難燃性と透明性を付与することが可能であり、これらの技術は従来の難燃化技術にはないものである。これらの特性を有する本発明の透明難燃積層板は、液晶画像表示装置の前面板または照明カバーなどの各種工業用途に極めて有用であり、その奏する工業的効果は絶大である。
以下、更に本発明の詳細について説明する。
<芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)>
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の厚みは、0.7〜5.0mmであり、0.8〜4.0mmが好ましく、0.9〜3.5mmがより好ましい。厚みが0.7mm未満であると、優れた難燃性を付与するには難燃剤の含有量を増やす必要があり、透明性を維持することが困難である。また、5.0mmより厚ければ、難燃剤を含有させずともポリカーボネート自体の自己消火性によって十分な難燃性を得ることができるため、本発明には適さない。
樹脂板(A)を構成する芳香族ポリカーボネートは、分岐率が0.5〜1.5mol%で、粘度平均分子量が1.8×10〜3.0×10の芳香族ポリカーボネート(A−1成分)を使用することが好ましい。また、難燃剤としては、有機アルカリ(土類)金属塩(A−2成分)および芳香族基を有するシリコーン化合物(A−3成分)を使用することが好ましい。
(A−1成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明のA−1成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有する分岐率が0.5〜1.5mol%の芳香族ポリカーボネート樹脂が望ましい。A−1成分全体としての分岐率が0.5〜1.5mol%を満たしていれば、分岐構造を有さない直鎖状の芳香族ポリカーボネート樹脂や、分岐率が0.5〜1.5mol%の範囲を外れる分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物であってもよい。
より優れた難燃性を付与する観点からは、A−1成分は分岐率が0.5〜1.5mol%の芳香族ポリカーボネート樹脂を20〜100重量%含むことが好ましく、70〜100重量%含むことがより好ましく、100重量%含むことがさらに好ましい。
A−1成分全体としての分岐率は0.5〜1.5mol%が好ましく、0.7〜1.2mol%がより好ましく、0.75〜1.0molがさらに好ましい。なお、分岐率は樹脂全体に含まれる製造に用いた二価フェノール由来の構造単位の総モル数に対する分岐剤由来の構造単位のモル数(分岐剤由来の構造単位のモル数/二価フェノール由来の構造単位の総モル数×100(mol%で表す))を意味し、かかる分岐率はH−NMR測定により実測することができる。
分岐率が低いと、満足な分岐特性が得られず溶融張力が低すぎて、難燃性、特にドリップ防止性が発現し難くなる。一方、分岐率が高いと、ポリマーが架橋し、ゲルが発生し易く、ポリマーの耐衝撃性が低下する。さらに分岐率が高すぎると成形品表面にくもりが生じやすくなる。
A−1成分の粘度平均分子量は、1.8×10〜3.0×10の範囲が好ましく、1.9×10〜2.8×10の範囲がより好ましく、2.0×10〜2.6×10の範囲がさらに好ましい。粘度平均分子量が3.0×10を越えると溶融張力が高すぎて成形性に劣る場合があり、粘度平均分子量が1.8×10未満であると成形片を燃焼した際のドリップ防止効果が不十分となり、すなわち本発明の優れた難燃性が発揮しにくくなることがある。
また、本発明のA−1成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、分子量が前述の好ましい分子量範囲を満たすように、分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂1種あるいは2種以上を混合しても差し支えない。この場合、粘度平均分子量が前述の好ましい分子量範囲外である分岐構造を有するポリカーボネート樹脂を混合することも当然に可能である。なお、本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求めることができる。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明のA−1成分である分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は、二価フェノール、分岐剤、一価フェノール類およびホスゲンを用いて有機溶媒の存在下で行う界面重合反応法により得ることができる。
使用される二価フェノールの代表的な例は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。なかでも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。
本発明で使用される三価以上のフェノール(分岐剤)の代表的な例は、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノ−ル、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリスフェノール、ビス(2,4−ジヒドロキシルフェニル)ケトン、フロログルシン、フロログルシド、イサンチンビスフェノール、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、トリメリト酸、ピロメリト酸、が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。なかでも、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
本発明のA−1成分である分岐構造を有するポリカーボネート樹脂の製造に使用される一価フェノール(末端停止剤)としてはどのような構造でもよく特に制限はない。例えば、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、4−ヒドロキシベンゾフェノン、フェノール等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。なかでも、p−tert−ブチルフェノールが好ましい。
すなわち、本発明のA−1成分である分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は、分岐構造部分が1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンから誘導されてなる構造であり、分岐構造部分を除いた直鎖構造部分がビスフェノールAから誘導されてなる構造であり、末端がp−tert−ブチルフェノールから誘導されて成る構造であることが好ましい。
本発明のA−1成分である分岐状ポリカーボネート樹脂は、好適には下記の方法で製造される。
すなわち、二価フェノール化合物および分岐剤を溶解したアルカリ水溶液に有機溶媒の存在下でホスゲンを吹き込み反応させて、ポリカーボネートオリゴマーを得、これに一価フェノール類を投入し乳化させた後、無攪拌下で重合させることを特徴とする方法である。
また、反応促進のために反応触媒として、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を使用することも出来る。反応触媒は二価フェノール化合物に対して0.002mol%以下が好ましく、0.001mol%以下がより好ましい。特に無触媒で上記反応を行うことが好ましい。0.002mol%を越える場合は分岐剤量に対し溶融張力が高くなりすぎたり、ゲルが生成したりする。また触媒がクロロホーメート基と反応して熱的に不安定なウレタン結合が多くなると共に、触媒が残存することにより分岐状ポリカーボネート樹脂中の全N含有量が増大し、耐衝撃性、透明性、耐熱性が低下するので好ましくない。よって上記反応を無触媒で行うことが特に好ましい。その際、反応温度は通常0〜40℃好ましく、さらに15〜38℃が好ましい。反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9.0以上に保つのが好ましく、11.0〜13.8がさらに好ましい。
上記の界面重合反応する際に一価フェノール類を投入後に乳化させる方法としては特に制限はないが、撹拌装置で撹拌する方法、またはアルカリ水溶液を添加する方法等が挙げられ、撹拌装置としては、パドル、プロペラ、タービンまたはカイ型翼等の単純な撹拌装置、ホモジナイザー、ミキサー、ホモミキサー等の高速撹拌機、スタティックミキサー、コロイドミル、オリフィスミキサー、フロージェットミキサー、超音波乳化装置等がある。なかでも無触媒で重合する方法においてはホモミキサー、スタティックミキサー等が好ましく用いられる。
次いで、該分岐状ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液を洗浄、造粒、乾燥し、本発明の分岐状ポリカーボネート樹脂(パウダー)を得ることができる。さらに該パウダーを溶融押出してペレット化して本発明の分岐状ポリカーボネート樹脂(ペレット)が得られる。洗浄、造粒、乾燥などは特に制限はなく公知の方法が採用できる。
また、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂中の全Cl含有量を低下させるには、反応時溶媒として使用されるジクロロメタン(塩化メチレン)、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ジクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素溶媒を除去することが必要である。例えば、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂パウダーやペレットの乾燥処理を十分に行なうことが挙げられる。
本発明の分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートは実質的にハロゲン原子を含まないものであることが環境影響の面から好ましい。実質的にハロゲン原子を含まないとは、分子中にハロゲン置換二価フェノールなどを含まないことを示し、上記芳香族ポリカーボネートの製造方法において残留する微量の溶媒(ハロゲン化炭化水素)や、カーボネート前駆体までも対象とするものではない。
(A−2成分:有機アルカリ(土類)金属塩)
本発明のA−2成分として使用される有機アルカリ(土類)金属塩としては、従来ポリカーボネート樹脂を難燃化するのに使用されている各種の金属塩が使用可能であるが、特に有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩、およびリン酸部分エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する)これらは単独の使用だけでなく、2種以上を混合して使用することも可能である。なお、有機アルカリ(土類)金属塩を構成する金属は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属であり、より好適にはアルカリ金属である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、特に好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。
前記有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩としては、脂肪族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。
かかる脂肪族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩の好ましい例としては、アルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、かかるアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、およびパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
アルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩の好ましい例としては、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ブタンスルホン酸塩、メチルブタンスルホン酸塩、ヘキサンスルホン酸塩、へプタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。またかかるアルキル基の一部がフッ素原子で置換した金属塩も挙げることができる。
一方、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩の好ましい例としては、パーフルオロメタンスルホン酸塩、パーフルオロエタンスルホン酸塩、パーフルオロプロパンスルホン酸塩、パーフルオロブタンスルホン酸塩、パーフルオロメチルブタンスルホン酸塩、パーフルオロヘキサンスルホン酸塩、パーフルオロヘプタンスルホン酸塩、パーフルオロオクタンスルホン酸塩等が挙げられ、特に炭素数が1〜8のものが好ましい。これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
この中で最も好ましいのはパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩である。かかるアルカリ金属の中でも、難燃性の要求がより高い場合にはルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、コストの点で有利であるがリチウムおよびナトリウムは逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたパーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98539号公報に記載されており、例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98540号公報に記載されており、例えば5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウムなどを挙げることができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98542号公報に記載されており、例えば1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムなどを挙げることができる。
芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98544号公報に記載されており、例えばベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98546号公報に記載されており、例えばベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウムなどを挙げることができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭52−54746号公報に記載されており、例えばジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98547号公報に記載されており、例えばα,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−116542号公報に記載されており、例えばチオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭52−54745号公報に記載されており、例えばジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。
前記、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
前記リン酸部分エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、具体的にビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸、ビス(4−クミルフェニル)リン酸、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸、ジフェニルリン酸、ビス(4−tert−ブチルフェニル)リン酸等のアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
前記芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩としては、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホンアミド(言い換えるとジ(p−トルエンスルホン)イミド)、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミド、ビス(ジフェニルリン酸)イミド等のアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
これらの中で好ましい成分としてパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、および芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩からなる群より選択される1種以上の化合物が挙げられ、その中でもパーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、式(4)で示されるジフェニルスルホンのスルホン酸塩、ジ(p−トルエンスルホン)イミドのカリウム塩、および、ジ(p−トルエンスルホン)イミドのナトリウム塩からなる群より選択される1種以上の化合物がより好ましい。さらに最も好ましくはパーフルオロブタンスルホン酸カリウムである。
Figure 2011194733
[式中、nは0〜3を表し、MはKあるいはNaを表す。]
本発明の樹脂組成物に含有されるA−2成分の量は芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成分)100重量部に対して、0.005〜1.0重量部が好ましく、より好ましくは0.006〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.007〜0.3重量部であり、さらにより好ましくは0.008〜0.1重量部、最も好ましくは0.01〜0.05重量部である。A−2成分の含有量が1.0重量部よりも多いと本発明の特徴である透明性が損なわれるだけでなく、場合によっては成形時に樹脂が分解して逆に難燃性が低下する方向となる。添加量が0.005重量部より少ないと難燃性が不十分となり本発明の目的である難燃性が発揮されない。
(A−3成分:シリコーン化合物)
本発明のA−3成分として使用されるシリコーン化合物は本発明の目的である難燃性や透明性を得ることができれば特に限定されないが、芳香族基を有するシリコーン化合物が好ましく、さらに25℃における粘度が300cSt以下が好ましい。粘度が高くなると成形品の透明性が低下する。さらにB成分のシリコーン化合物が効率的に難燃効果を発揮するためには、燃焼過程における分散状態が重要である。かかる分散状態を決定する重要な因子として粘度が挙げられる。これは、燃焼過程においてシリコーン化合物があまりにも揮発しやすい場合、すなわち、粘度が低すぎるシリコーン化合物の場合には、燃焼時に系内に残っているシリコーンが希薄であるため、燃焼時に均一なシリコーンのストラクチャーを形成することが困難となるためと考えられるかかる観点より、25℃における粘度は10〜300cStがより好ましく、さらに好ましくは15〜200cSt、最も好ましくは20〜170cStである。
A−3成分が有する芳香族基はシリコーン原子に結合しているものであり、ポリカーボネート樹脂との相溶性を高めたり透明性維持に寄与しており、燃焼時の炭化皮膜形成にも有利であることから難燃効果の発現にも寄与している。芳香族基を有しない場合は成形品の透明性が得られにくく、高度な難燃性を得ることも困難となる傾向がある。
本発明のA−3成分として使用されるシリコーン化合物は好ましくはSi−H基を含有するシリコーン化合物である。特に、分子中にSi−H基および芳香族基を含有するシリコーン化合物であって、
(1)Si−H基が含まれる量(Si−H量)が0.1〜1.2mol/100g
(2)下記式(5)で示される芳香族基が含まれる割合(芳香族基量)が10〜70重量%、かつ
Figure 2011194733
(式(5)中、Xはそれぞれ独立にOH基、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基を示す。nは0〜5の整数を表わす。さらに式(5)中においてnが2以上の場合はそれぞれ互いに異なる種類のXを取ることができる。)
(3)平均重合度が3〜150
であるシリコーン化合物の中から選択される少なくとも一種以上のシリコーン化合物である。
さらに好ましくは、Si−H基含有単位として、下記式(6)および(7)で示される構成単位のうち、少なくとも一種以上の式で示される構成単位を含むシリコーン化合物の中から選択される少なくとも一種以上のシリコーン化合物である。
Figure 2011194733
Figure 2011194733
(式(6)および式(7)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基、または下記式(8)で示される化合物を示す。α1〜α3はそれぞれ独立に0または1を表わす。m1は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式(6)中においてm1が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
Figure 2011194733
(式(8)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基を示す。α4〜α8はそれぞれ独立に0または1を表わす。m2は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式(8)中においてm2が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
より好ましくは、Mを1官能性シロキサン単位、Dを2官能性シロキサン単位、Tを3官能性シロキサン単位とするとき、MD単位またはMDT単位からなるシリコーン化合物である。
上記式(6)、(7)および(8)で示される構成単位のZ〜Z、および式(5)のXにおけるヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基およびアラルキル基を挙げることができ、さらにこれらの基はエポキシ基、カルボキシル基、無水カルボン酸基、アミノ基、およびメルカプト基などの各種官能基を含むものであってもよい。さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、特にはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはフェニル基が好ましい。
前記式(6)および(7)で示される構成単位のうち、少なくとも一種以上の式で示される構成単位を含むシリコーン化合物において、複数のシロキサン結合の繰返し単位を有する場合は、それらはランダム共重合、ブロック共重合、テーパード共重合のいずれの形態を取ることも可能である。
本発明においては、A−3成分で好ましいSi−H基を含有するシリコーン化合物については、シリコーン化合物中のSi−H量を0.1〜1.2mol/100gの範囲とすることが好ましい。Si−H量が0.1〜1.2mol/100gの範囲にあることで、燃焼時にシリコーンのストラクチャーの形成が容易となる。さらに好ましくはSi−H量が0.1〜1.0mol/100gの範囲、最も好ましくは0.2〜0.6mol/100gの範囲にあるシリコーン化合物である。Si−H量が少ないとシリコーンのストラクチャー形成が困難となり、Si−H量が多いと組成物の熱安定性が低下する。なお、ここでシリコーンのストラクチャーとは、シリコーン化合物相互の反応、または樹脂とシリコーンとの反応により生成する網状構造をさす。
また、ここで言うSi−H基量とは、シリコーン化合物100gあたりに含まれるSi−H構造のモル数を言うが、これはアルカリ分解法により、シリコーン化合物の単位重量当たり発生した水素ガスの体積を測定することにより求めることができる。例えば、25℃においてシリコーン化合物1g当たり122mlの水素ガスが発生した場合、下記計算式により、Si−H量は0.5mol/100gとなる。
122×273/(273+25)÷22400×100≒0.5
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成分)にシリコーン化合物を配合した樹脂組成物において、成形品の白濁、あるいは湿熱処理による透明性の低下を抑えるためには、前述したとおり、シリコーン化合物の分散状態が重要である。シリコーン化合物が偏在する場合には、樹脂組成物自体が白濁し、さらには成形品表面で剥離などが生じたり、あるいは湿熱処理時にシリコーン化合物が移行して偏在して透明性が低下するなど、透明性の良好な成形品を得ることが困難となるためである。かかる分散状態を決定する重要な因子としてシリコーン化合物中の芳香族基量、平均重合度が挙げられる。殊に透明性の樹脂組成物において平均重合度は重要である。
かかる観点より、本発明のシリコーン化合物としては、シリコーン化合物中の芳香族基量は10〜70重量%であることが好ましい。さらに好ましくは芳香族基量が15〜60重量%の範囲、最も好ましくは25〜55重量%の範囲にあるシリコーン化合物である。シリコーン化合物中の芳香族基量が10重量%より少ないとシリコーン化合物が偏在して分散不良となり、透明性が良好な成形品を得ることが困難となる場合がある。芳香族基量が70重量%より多いとシリコーン化合物自体の分子の剛直性が高くなるためやはり偏在して分散不良となり、透明性が良好な成形品を得ることが困難となる場合がある。
なお、ここで芳香族基量とは、シリコーン化合物において、前述した式(5)で示される芳香族基が含まれる割合のことを言い、下記計算式によって求めることができる。
芳香族基量=〔A/M〕×100(重量%)
ここで、上記式におけるA、Mはそれぞれ以下の数値を表す。
A=シリコーン化合物1分子中に含まれる、全ての式(5)で示される芳香族基部分の合計分子量
M=シリコーン化合物の分子量
さらに本発明のA−3成分として使用されるシリコーン化合物は、25℃における屈折率が1.40〜1.60の範囲にあることが望ましい。さらに好ましくは屈折率が1.42〜1.59の範囲であり、最も好ましくは、1.44〜1.59の範囲にあるシリコーン化合物である。屈折率が上記範囲内にある場合、芳香族ポリカーボネート中にシリコーン化合物が微分散することで、より白濁の少ない染色性の良好な樹脂組成物が提供される。
さらに本発明のA−3成分として使用されるシリコーン化合物は、105℃/3時間における加熱減量法による揮発量が18%以下であることが好適である。さらに好ましくは揮発量が10%以下であるシリコーン化合物である。揮発量が18%より大きいと本発明の樹脂組成物を押出してペレット化を行う際に、樹脂からの揮発物の量が多くなる問題が生じ、さらに、成形品中に生じる気泡が多くなりやすいという問題がある。
A−3成分として使用されるシリコーン化合物としては、上記の条件を満たすものであれば直鎖状であっても分岐構造を持つものであっても良く、Si−H基を分子構造中の側鎖、末端、分岐点の何れか、または複数の部位に有する各種の化合物を用いることが可能である。
一般的に分子中にSi−H基を含有するシリコーン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。
M単位:(CHSiO1/2、H(CHSiO1/2、H(CH)SiO1/2、(CH(CH=CH)SiO1/2、(CH(C)SiO1/2、(CH)(C)(CH=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位
D単位:(CHSiO、H(CH)SiO、HSiO、H(C)SiO、(CH)(CH=CH)SiO、(CSiO等の2官能性シロキサン単位
T単位:(CH)SiO3/2、(C)SiO3/2、HSiO3/2、(CH=CH)SiO3/2、(C)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位
Q単位:SiOで示される4官能性シロキサン単位
本発明において使用されるSi−H基を含有するシリコーン化合物の構造は、具体的には、示性式としてD、T、M、M、M、M、M、M、M、D、D、Dが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、M、M、M、Mであり、さらに好ましい構造は、MまたはMである。
(上記示性式中の係数m、n、p、qは各シロキサン単位の重合度を表す整数である。またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子やヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。)
ここで、各示性式における係数の合計がシリコーン化合物の平均重合度となる。本発明においては、この平均重合度を3〜150の範囲とすることが好ましく、より好ましくは4〜80の範囲、さらに好ましくは5〜60の範囲である。重合度が3より小さい場合、シリコーン化合物自体の揮発性が高くなるため、このシリコーン化合物を配合した樹脂組成物の加工時において樹脂からの揮発分が多くなりやすいという問題がある。重合度が150より大きい場合、このシリコーン化合物を配合した樹脂組成物における難燃性や透明性が不十分となりやすい。
なお、上記のシリコーン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
このようなSi−H結合を有するシリコーン化合物は、それ自体従来公知の方法によって製造することができる。例えば、目的とするシリコーン化合物の構造に従い、相当するオルガノクロロシラン類を共加水分解し、副生する塩酸や低沸分を除去することによって目的物を得ることができる。また、分子中にSi−H結合や式(5)で示される芳香族基、その他のヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリコーンオイル、環状シロキサンやアルコキシシラン類を出発原料とする場合には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸触媒を使用し、場合によって加水分解のための水を添加して、重合反応を進行させた後、使用した酸触媒や低沸分を同様に除去することによって、目的とするシリコーン化合物を得ることができる。
さらに、Si−H基を含有するシリコーン化合物が下記の構造式で示されるシロキサン単位 M、M、D、D 、Dφ2、T、Tφ (ただし M:(CHSiO1/2:H(CHSiO1/2D:(CHSiOD:H(CH)SiODφ2:(CSiT:(CH)SiO3/2φ:(C)SiO3/2)を有しており、1分子あたりに有する各シロキサン単位の平均数をそれぞれm、m、d、d、dp2、t、tとした場合、下記関係式のすべてを満足することが好ましい。
2 ≦ m+m ≦ 40
0.35 ≦ d+d+dp2 ≦ 148
0 ≦ t+t ≦ 38
0.35 ≦ m+d ≦ 110
この範囲を外れると本発明の樹脂組成物において良好な難燃性と優れた透明性を同時に達成することが困難となり、場合によってはSi−H基を含有するシリコーン化合物の製造が困難となる。
本発明のA−3成分として使用されるシリコーン化合物の含有量は芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成分)100重量部に対して、好ましくは0.10〜7.0重量部であり、より好ましくは0.15〜6.0重量部、さらに好ましくは0.2〜5.0重量部、最も好ましくは0.3〜4.0重量部である。含有量が7.0重量部より多いと樹脂の耐熱性が低下したり、加工時にガスが発生しやすくなり、0.10重量部より少ないと難燃性が発揮され難くなる。
<機能性フィルム(B)>
機能性フィルム(B)は、その構成する樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂である。芳香族ポリカーボネート樹脂は通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。そのなかでもさらに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンすなわちビスフェノールAが好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。これらのうち、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートが工業的に有利である。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、上記分岐剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤(一価フェノール)が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 2011194733
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1molに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1molに対して0.5〜50molの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
また、機能性フィルム(B)を構成する芳香族ポリカーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が1.0×10〜5.0×10の範囲が好ましく、1.6×10〜3.0×10の範囲がより好ましく、1.8×10〜2.8×10の範囲がさらに好ましく、1.9×10〜2.6×10の範囲が特に好ましい。粘度平均分子量が5.0×10を越えると溶融張力が高すぎて成形性に劣る場合があり、粘度平均分子量が1.0×10未満であると高温特性等が低下し、成形した際の色相の劣化が発現し易くなる。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合、2種以上を混合した混合物の粘度平均分子量が好ましい範囲であれば、粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
機能性フィルム(B)には、芳香族ポリカーボネート樹脂を主成分としていれば難燃性を維持できるが、透明性を維持できる範囲で任意の難燃剤を添加する事ができる。
また、光反射防止性、耐UV性、集光機能、光拡散機能、ガスバリア性、およびハードコートのいずれかひとつ以上の機能を付与するために、任意の添加剤含有、表面形状加工、表面コートを行なうことができる。
かかる機能性フィルム(B)の厚みは、0.02〜0.2mmであり、0.03〜0.18mmが好ましく、0.04〜0.16mmがより好ましい。0.2mmより厚いと、基材となる芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の持つ難燃性に悪影響を及ぼす。また、厚みが0.02mm未満であると、工程生産の貼り合せ過程において、機能性フィルム(B)の剛性が小さいために皺などが発生しやすく歩留りが低下する、またフィルムの破れや延伸も起こりフィルムの機能が損なわれ易くなるなどの欠点がある。
<粘着層>
積層に使用される粘着層は透明であり、透明な粘着層としては、アクリル系粘着剤やポリエステル系粘着剤からなる粘着層が採用される。
また、粘着層は、芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が±0.13以内であり、好ましくは±0.12以内であり、より好ましくは±0.11以内である。屈折率差が±0.13より大きい場合、得られた積層板を、基材となる芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の原料としてリサイクルした際に、白濁や着色などの問題を引き起こす。
粘着層の厚みは、積層板の総厚みに占める割合で規定され、積層板の総厚みに対する粘着層の厚み比が0.1〜4.0%の範囲であり、0.3〜3.9%の範囲が好ましく、0.5〜3.8%の範囲がより好ましい。粘着層の占める厚み比が0.1%未満であると、粘着層が薄いために十分な粘着性を得ることが困難となる。また、4.0%より大きいと、基材となる芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の持つ難燃性を阻害してしまい、さらに、得られた積層板を、基材となる芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の原料としてリサイクルした際に、白濁や着色などの問題を引き起こす。
<積層板>
本発明の積層板は、JIS K7105に従い測定したヘイズは2%以下であり、1%以下が好ましい。また、UL−94規格の難燃レベルにおいて、V−0を達成することが好ましい。
本発明の積層板は、液晶画像表示装置の前面板や照明カバーとして好適に使用される。特に、機能性フィルム(B)に、ハードコート処理が施されており、さらに反射防止性能が付与されている積層板は、液晶画像表示装置の前面板として好適に使用される。また、機能性フィルム(B)に、集光機能、光拡散機能、耐UV性のいずれかひとつ以上の機能が付与されている積層板は、照明カバーとして好適に使用される。
評価としては以下の項目について実施した。
(i)難燃性
実施例で得られた樹脂積層板を用いて、UL規格94の垂直燃焼試験を行いその等級を評価した。なお、判定がV−0、V−1、V−2のいずれの基準も満たすことが出来なかった場合「notV」と示すこととする。
(ii)透明性
実施例で得られた樹脂積層板を用いて、JIS K7105に従いヘイズを測定した。ヘイズが2%以下のものをならば合格、2%より大きければ不合格とした。
(iii)リサイクル性
難燃樹脂板(A)に機能性フィルム(B)を積層した積層樹脂板を回収・粉砕してリサイクル剤を得た。このリサイクル剤を原料の10重量%に用いた難燃樹脂板(A)を作成した。原料にリサイクル剤を含む難燃樹脂板(A)を用いた積層樹脂板と、原料にリサイクル剤を含まない難燃樹脂板(A)を用いた積層樹脂板について、JIS K7105に従いヘイズを測定した。リサイクル剤を用いることによる透明性の変化をヘイズの差によって評価し、ヘイズの増加が2%未満ならば合格、2%以上を不合格とした。
以上の項目の評価結果について、表1〜7に記した。特許要件を満たす実施例と要件外の比較例をもって上記項目を検証し、評価結果を対比表示した。
表1;機能性フィルム(B)の厚みの規定(0.02〜0.2mm)がもたらす効果(難燃性)
表2;粘着層の厚み比の規定(0.1〜4.0%)がもたらす効果(難燃性、リサイクル性)
表3;樹脂板(A)の厚みの規定(0.7〜5.0mm)がもたらす効果(難燃性)
表4;屈折率差の規定(±0.13%以内)がもたらす効果(リサイクル性)
表5;機能性フィルム(B)の素材選択適正がもたらす効果(難燃性、リサイクル性)
表6;樹脂成分(A−1)の分岐率の規定(0.5〜1.5mol%)がもたらす効果(難燃性)
表7;シリコーン化合物成分(A−3)の含有量の規定(0.1〜7.0重量部)がもたらす効果(難燃性、透明性、リサイクル性)
[実施例1]
分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(分岐率0.9mol%、粘度平均分子量25,000、屈折率1.59)(A−1成分)100重量部、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(A−2成分)0.05重量部、Si−H基および芳香族基を含有するシリコーン化合物(A−3成分)0.50重量部を、ベント付きTダイ押出機により、押出機温度290〜330℃、ダイス温度290〜330℃で溶融押出しし、幅約1100mm、厚さ3mmの樹脂板(A)を得た。
分岐構造を有さない芳香族ポリカーボネート(粘度平均分子量24,300、屈折率1.59)を、ベント付きTダイ押出機により、押出機温度290〜330℃、ダイス温度260〜300℃で溶融押出しし、幅約1100mm、厚さ0.15mmに成型した。この樹脂フィルムの一方の表面にグラビアコート法にて反射防止膜を積層し、機能性フィルム(B)を得た。
上記操作にて得られた機能性フィルム(B)の反射防止層とは異なる面に、厚み0.025mmのアクリル系粘着層(リンテック製PA−T1、屈折率1.49)を、2本のゴムロールで挟み圧着するラミネート装置を用いて常温圧着にて積層した後、粘着層を付与されたフィルムと分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)を、2本のゴムロールで挟み圧着するラミネート装置を用いて常温で圧着し、樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表1〜7に示した。
[実施例2]
実施例1の工程において、機能性フィルム(B)の厚みを0.05mmとし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1の工程において、厚み0.12mmの粘着層を用い、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表2に示した。
[実施例4]
実施例1の工程において、樹脂板(A)の厚みを1.0mmとし、厚み0.009mmの粘着層を用い、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表3に示した。
[実施例5]
実施例1の工程において、樹脂板(A)の厚みを1.0mmとし、厚み0.045mmの粘着層を用い、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表3に示した。
[実施例6]
実施例1の工程において、A−1成分の分岐率を0.6mol%とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表6に示した。
[実施例7]
実施例1の工程において、A−1成分の分岐率を1.2mol%とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表6に示した。
[実施例8]
実施例1の工程において、A−3成分を3.0重量部含有し、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表7に示した。
[実施例9]
実施例1の工程において、A−3成分を5.0重量部含有し、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表7に示した。
[比較例1]
実施例1の工程において、機能性フィルム(B)の厚みを0.3mmとし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例1の工程において、厚み0.15mmの粘着層を用い、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表2に示した。
[比較例3]
実施例1の工程において、樹脂板(A)の厚みを0.5mmとし、厚み0.005mmの粘着層を用い、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表3に示した。
[比較例4]
実施例1の工程において、屈折率1.54のアクリル系粘着層(屈折率差0.15)を用い、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表4に示した。
[比較例5]
実施例1の工程において、機能性フィルム(B)の主成分をポリエチレンテレフタレート(PET)とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表5に示した。
[比較例6]
実施例1の工程において、機能性フィルム(B)の主成分をポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表5に示した。
[比較例7]
実施例1の工程において、機能性フィルム(B)の主成分をトリアセチルセルロース(TAC)とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表5に示した。
[参考例1]
実施例1の工程において、A−1成分の分岐率を0.4mol%とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表6に示した。
[参考例2]
実施例1の工程において、A−3成分の含有量を10.0重量部とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表7に示した。
[参考例3]
実施例1の工程において、A−3成分の含有量を0.08重量部とし、他は全て実施例1と同様の条件にて樹脂積層板を得た。この樹脂積層板の評価結果を表7に示した。
なお、難燃芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の(A−1成分)〜(A−3成分)および機能性フィルム(B)の芳香族ポリカーボネート樹脂は下記のものを使用した。
(A−1成分)
(1)分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(分岐率0.9mol%、分子量25,000)の製造方法
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下にビスフェノールA710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部、14%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを25%濃度で溶解した水溶液38.1部(1.00mol%)を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。
ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液219部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、バス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。
反応終了後、塩化メチレン5728部を加えて希釈した後、反応混合液から塩化メチレン相を分離し、分離した塩化メチレン相にイオン交換水5000部を加え攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。次に水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで水洗浄を繰返し精製ポリカーボネート樹脂溶液を得た。次に、該精製ポリカーボネート樹脂溶液をイオン交換水100Lを投入した1000Lニーダーで、液温75℃にて塩化メチレンを蒸発させて粉粒体を得た。該粉粒体25部と水75部を攪拌機付熱水処理槽に投入し、水温95℃で30分間攪拌混合した。
次いで、該粉粒体と水の混合物を遠心分離機で分離して、塩化メチレン0.5重量%、水45重量%を含む粉粒体を得た。次に、この粉粒体を140℃にコントロールされているSUS316L製伝導受熱式溝型2軸攪拌連続乾燥機に50kg/hr(ポリカーボネート樹脂換算)で連続供給して、平均乾燥時間3時間の条件で乾燥して、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂粉粒体を得た。このようにして得られた分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量25000、分岐率0.9mol%、屈折率1.59であった。
分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(分岐率0.6mol%、分子量約25,200)の製造方法
ホスゲンを352部、14%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを25%濃度で溶解した水溶液26.7部(0.70mol%)、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液206部に変更した以外は、上記の製造方法と同様に行い、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂粉粒体を得た。このようにして得られた分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量25200、分岐率0.6mol%、屈折率1.59であった。
分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(分岐率1.2mol%、分子量20,200)の製造方法
ホスゲンを358部、14%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを25%濃度で溶解した水溶液53.3部(1.40mol%)、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液276部に変更した以外は、上記の製造方法と同様に行い、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂粉粒体を得た。このようにして得られた分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量20,200、分岐率1.2mol%、屈折率1.59であった。
(A−2成分)
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ(株)製メガファックF−114P)
(A−3成分)
Si−H基および芳香族基を含有するシリコーン化合物の製造方法
攪拌機、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコに水301.9gとトルエン150gを仕込み、内温5℃まで冷却した。滴下ロートにトリメチルクロロシラン21.7g、メチルジクロロシラン23.0g、ジメチルジクロロシラン12.9およびジフェニルジクロロシラン76.0の混合物を仕込み、フラスコ内へ攪拌しながら2時間かけて滴下した。この間、内温を20℃以下に維持するよう、冷却を続けた。滴下終了後、さらに内温20℃で攪拌を4時間続けて熟成した後、静置して分離した塩酸水層を除去し、10%炭酸ナトリウム水溶液を添加して5分間攪拌後、静置して分離した水層を除去した。その後、さらにイオン交換水で3回洗浄し、トルエン層が中性になったことを確認した。このトルエン溶液を減圧下内温120℃まで加熱してトルエンと低沸点物を除去した後、濾過により不溶物を取り除いてシリコーン化合物を得た。このシリコーン化合物はSi−H基量が0.21mol/100g、芳香族基量が49重量%、平均重合度が8.0であった。
得られたシリコーン化合物の示性式
φ2
各記号は以下のシロキサン単位を表し、各記号の係数(下付文字)は1分子中における各シロキサン単位の数(重合度)を示す。
M :(CHSiO1/2
: H(CH)SiO
D :(CHSiO
φ2 :(CSiO
(機能性フィルム(B)の芳香族ポリカーボネート樹脂)
直鎖状ポリカーボネート樹脂(ホスゲン法で作成されたビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールからなるポリカーボネート樹脂。かかるポリカーボネート樹脂はアミン系触媒を使用せず製造され芳香族ポリカーボネート樹脂末端中、末端水酸基の割合は10mol%であり、粘度平均分子量は24,300、屈折率は1.59であった。)
Figure 2011194733
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表1より、樹脂フイルム(B)が厚み0.2mmを超えないことで、難燃性が保たれていることがわかる。
表2より、粘着層の厚み比を0.1〜4.0%以内にすることで、難燃性、リサイクル性が保たれていることがわかる。
表3より、樹脂板(A)の厚みを0.7mm以上にすることで、難燃性が保たれていることがわかる。
表4より、屈折率差を±0.13%以内にすることで、リサイクル性が保たれていることがわかる。
表5より、樹脂フィルム(B)の素材をポリカーボネート樹脂にすることで、難燃性、リサイクル性が保たれていることがわかる。
表6より、A−1成分の分岐率を0.5〜1.5mol%にすることで、難燃性が保たれていることがわかる。
表7より、A−3成分の重量部を0.10〜7.0重量部にすることで、難燃性、透明性、リサイクル性が保たれていることがわかる。
本発明の積層板は、液晶画像表示装置の前面板や照明カバーとして有用である。

Claims (4)

  1. 難燃剤を含有する厚み0.7〜5.0mmの芳香族ポリカーボネート樹脂板(A)の少なくとも一方の表面に、厚み0.02〜0.2mmの芳香族ポリカーボネート樹脂製の機能性フィルム(B)が、粘着層を介して均一に貼り付けられた積層板であって、該粘着層は、粘着層を構成する樹脂が透明で、且つ芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が±0.13以内であり、積層板の総厚みに占める粘着層の厚み比が0.1〜4.0%であり、ヘイズが2%以下であることを特徴とする透明難燃積層板。
  2. 樹脂板(A)を構成する芳香族ポリカーボネートは、分岐率が0.5〜1.5mol%で、粘度平均分子量が1.8×10〜3.0×10の芳香族ポリカーボネート(A−1成分)であり、難燃剤は、有機アルカリ(土類)金属塩(A−2成分)および芳香族基を有するシリコーン化合物(A−3成分)であり、A−1成分100重量部に対して、A−2成分を0.005〜1.0重量部、およびA−3成分を0.10〜7.0重量部含有する、請求項1記載の透明難燃積層板。
  3. 機能性フィルム(B)は、光反射防止性、耐UV性、集光機能、光拡散機能、ガスバリア性、およびハードコートのいずれかひとつ以上の機能が付与されている請求項1または2に記載の透明難燃積層板。
  4. UL−94規格の難燃レベルにおいて、V−0を達成する請求項1記載の透明難燃積層板。
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