JP7182348B2 - 樹脂組成物、成形体、電子部品、電子機器、及び電子事務機器 - Google Patents

樹脂組成物、成形体、電子部品、電子機器、及び電子事務機器 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、成形体、電子部品、電子機器、及び電子事務機器に関する。
一般に有機物である高分子は火災時に燃焼するので、難燃剤を添加した難燃性樹脂が、自動車材料、電気電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。
特に、UL94-V0という高い難燃規格を通過した樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の情報・モバイル機器やプリンター、複写機等のOA機器等の部材として好適に使用されている。
上記のような情報・モバイル機器やOA機器をはじめとする電子・電機機器の使用形態を考慮すると異常加熱により引き起こされる樹脂の燃焼に耐える難燃性だけでなく、万が一引火しても自己消火するまでに変形せず形状を保つ必要がある。さらにこのような難燃性だけでなく力学物性も良好である事が求められており、とりわけ衝撃強度に耐える必要がある。
これを実現するためには、良好な外観を射出成形で容易に得ることができるために市場で普及しているポリカーボネートに、ABS樹脂やポリスチレン(PS)樹脂、天然物から抽出されたポリマーを添加したポリマーアロイや、このポリマーアロイにガラス繊維等の繊維状の強化材を配合した樹脂が知られている。
このようなポリマーアロイや繊維強化された樹脂組成物に難燃性を付与する手法として、従来、ハロゲン系難燃剤を添加する技術手段が用いられてきた。しかしながら、塩素や臭素を含有するハロゲン系難燃剤が配合された樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがあった。
そのため、近年では、ハロゲン系難燃剤の代わりに有機リン酸エステル系難燃剤を用いる手法が、数多く採用されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、有機リン酸エステル系難燃剤が配合されたポリカーボネートを含む樹脂組成物では、近年要求されるような薄肉化や高い難燃化に応えることが困難であった。また、この樹脂組成物では、高い難燃性を得る目的で難燃剤の配合量を多くした場合に、耐衝撃性や剛性が著しく低下してしまうという問題を有していた。
また、有機リン系難燃剤のうちで高分子材料に高い難燃性を賦与することが可能なホスファゼン誘導体については、ポリカーボネートに対する分散性が悪いため、樹脂組成物を製造する際にホスファゼン誘導体を含むマスターバッチを調製してから、ポリカーボネートを含む混合物に分散しなければならないという制約が生じ、これにより、製造工程が煩雑になるという問題があった(特許文献3参照)。
これらの研究を受けて、有機リン酸エステル系難燃剤を炭素繊維と共に配合した、炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂も提案されている(特許文献4~6参照)。
しかしながら、前述のような炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂もやはり、難燃性や耐熱性の低下が課題となり、更には、耐衝撃性も著しく低下するという欠点も有していた。
ハロゲン系難燃剤に代わり有機リン系難燃剤を用いる手法が数多く検討されながら、満足な難燃剤システムが見つかっていない状況で、リン酸エステル系難燃剤と特殊な環状ホスファゼンが線形につながった誘導体とを組み合わせて用いようという試みが提案されている(特許文献7参照)。
また、天然物から抽出された高分子変性物〔例えば多糖類であるセルロースの側鎖を酢酸で修飾したトリアセチルセルロース(TAC)やジアセチルセルロース(DAC)〕は、カラー写真フィルム用途で成膜技術が開発され液晶用フィルムとして現在用途が拡大している。この用途でも家庭用電気製品として高い難燃性が求められるとともに、環境への配慮から、押出成形できるように可塑剤であるリン酸エステル系難燃剤を添加する技術が開発されている(特許文献8、9参照)。
本発明は、難燃性、剛性、及び耐衝撃性に特に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の樹脂組成物は、
ポリカーボネートと、リン含有化合物とを含有する樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物における前記リン含有化合物の含有率が、14質量%未満であり、
前記リン含有化合物が、下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体、及びリン酸エステルを含有し、
前記樹脂組成物における前記ホスファゼン誘導体の含有率が、0.1質量%以上3.0質量%未満であり、
UL94V試験における燃焼前の前記樹脂組成物の樹脂比重(D0)と、燃焼後の前記樹脂組成物の樹脂比重(D1)とが、D1/D0>0.85を満たす。
Figure 0007182348000001
前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を含まない、芳香族環を有する基を表す。mは、3~8を表す。
本発明によると、難燃性、剛性、及び耐衝撃性に特に優れた樹脂組成物を提供することができる。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネートと、リン含有化合物とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記樹脂組成物における前記リン含有化合物の含有率は、14質量%未満である。
前記リン含有化合物は、下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体、及びリン酸エステルを含有する。
前記樹脂組成物における前記ホスファゼン誘導体の含有率は、0.1質量%以上3.0質量%未満である。
UL94V試験における燃焼前の前記樹脂組成物の樹脂比重(D0)と、燃焼後の前記樹脂組成物の樹脂比重(D1)とは、D1/D0>0.85を満たす。
Figure 0007182348000002
前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を含まない、芳香族環を有する基を表す。mは、3~8を表す。
以下、前記樹脂組成物を、難燃性樹脂組成物と称することがある。
前記リン含有化合物は、難燃剤である。
難燃性、剛性、耐衝撃性等の力学物性のバランスに優れる樹脂組成物が強く望まれているものの、電子機器の外装材にも適用可能で万が一のもらい火で燃焼しても変形しない優れた特性を有した樹脂組成物はリン系難燃剤を用いて未だ得られていなかった。
近年高い難燃性樹脂組成物を製造するためにポリカーボネート系のポリマーアロイが注目され、その難燃化手法として耐熱性のある発泡炭化層を形成し樹脂を自己消火性にするイントメッセント系の難燃剤が注目され開発されているが、燃焼試験に通過しても、発泡に伴う樹脂の変形で電子機器の機能を阻害する問題があった。
また、特表2005-501953号公報に示されたホスファゼン誘導体は環状構造でつながった高分子量体であり、高分子に分散させると相容することができず分散不良が生じる問題があった。
概してホスファゼン誘導体は、高い難燃性を有しながらも、P=N骨格という構造のため、C-C結合でつながった高分子への分散性は悪い。
本発明は、このような課題に鑑みて創案されたものであり、薄肉成形体とした場合にも十分に使用に耐え得る、万が一の燃焼時にも変形しにくい難燃性、剛性、耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、難燃性、剛性、耐衝撃性に優れた成形体を提供することも目的とする。
さらに電子事務機器の内装部品で高い力学物性が要求される部品では、力学物性が良好でUL94-V2試験に合格した難燃性樹脂が用いられている。
しかし、UL94-V2試験では、樹脂が燃焼時に溶融し、それが落下したときの吸熱で自己消火に至る難燃性樹脂でも合格する。このような難燃性樹脂では、成形体の形状あるいは部品における成形体の配置、その成形体がもらい火をしたときの燃焼部分の位置によっては自己消火に至らず発火する危険があった。
本発明では、UL94-V2試験よりも難燃性のレベルが高いUL94-V0レベルの難燃性樹脂組成物を目標とし、本発明の樹脂組成物よりも難燃性レベルの低い難燃性樹脂と組み合わせた部品の難燃性のレベルを向上する技術の提供も目的とする。
本発明の発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、実火災の燃焼時に発泡して低密度化した炭化層を形成して部品の変形を引き起こす、従来の難燃化システムではこれらの課題を解決できないので、従来とは異なる新たなシステムを考案し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明では、燃焼時に変形の原因となる発泡反応で低密度化した発泡炭化層を形成しない新たな難燃化手法により樹脂を難燃化し、燃焼前後における樹脂の密度あるいは比重が大きく変化するのを防ぎ、燃焼時に成形体の変形を防止する手法、及び本発明の樹脂と他の樹脂と組み合わせた時に高い難燃性を有した部品となるように樹脂の成形体を最適に配置する技術を見出した。
これを実現するために、特定の環状ホスファゼン誘導体とリン酸エステルとの組み合わせを特定量で添加して難燃性樹脂を製造したところ、樹脂に高い難燃性を力学物性が損なわれることなく付与できる技術を見出し本発明を完成させた。
また、この技術で製造された本発明の樹脂は高温度において変形しにくいことを発見し、燃焼時の変形しやすさを成形体の荷重たわみ温度(ASTM-D648)で評価したところ、このパラメーターに相関し、高い難燃性を示す樹脂の垂直試験として有名なUL94-V0に合格するサンプルでは、このパラメーターの値が高くなる傾向にあることを見出した。
一般に樹脂の耐熱性は、樹脂の弾性率が急激に低下するガラス転移点(Tg)を基に見積もられる。また、荷重たわみ温度は、その評価方法からTgに近い値になることが知られている。たとえばPS(ポリスチレン)のTgは100℃前後であり荷重たわみ温度は、90℃前後である。PC(ポリカーボネート)のTgは150℃前後であり、荷重たわみ温度は140℃前後と測定される。
しかし難燃剤が添加された難燃性樹脂では、難燃剤が可塑剤として働くためにTgと荷重たわみ温度との相関が見られなくなる。そこでUL94の垂直試験において変形しやすいサンプルとこれらパラメーターとの相関を調べたところ、難燃性の高さと荷重たわみ温度とが相関していることを発見した。
すなわち本発明の一態様の、PCが主成分の難燃性樹脂では、10℃/minの昇温速度の条件によりDSCで測定されるTgは、一般に130℃から150℃の範囲で観察されるが、荷重たわみ温度は90℃から140℃の範囲で観察される。
驚くべきことに燃焼試験時に生じるサンプルの変形は、本発明の樹脂では荷重たわみ温度と相関し、この温度が90℃以上になると難燃性も高くなり、燃焼試験時の試料の変形が無くなる。静的な耐熱性はTgと相関することが知られているが、負荷をかけたときの変形温度を測定する荷重たわみ温度と燃焼試験時の変形が相関するのは本発明で初めて明らかになった。
このように、本発明の難燃性樹脂は高い難燃性を有しているだけでなく、燃焼時の温度で変形しないので、他の材料と組み合わせた部品では火災時に部品が破損に至る可能性が少なくなると期待される。
この特性により、他の装置あるいは部品からのもらい火で燃焼する状況でも、変形をせず高い難燃性で自己消火性を示す。そこで、難燃性の低い材料と特定の条件で組み合わせて部品を設計すると燃焼時にその部品は本発明の樹脂と同等の高い難燃性を発揮できるようになる。
すなわち、電子機器の内装部品では、一般にUL94-V2レベルの難燃性樹脂を用いているが、このUL94-V2レベルの樹脂と組み合わせて使用したときに、内装部品の難燃性を向上することができる。
<D1/D0>
本発明における樹脂の密度あるいは比重は、樹脂の重量と水の浮力から求められる体積を用いて計算する。密度と比重は異なる物理パラメーターであるが、本発明では水の密度が0.999g/cmから1.000g/cmとなるように調整して測定するので密度も比重も有効数字3ケタとすると同じ値になる。ゆえに、本発明では比重を用いて説明する。
また、本発明の測定方法では、燃焼時の発泡が著しい難燃性樹脂は比重が1未満となり、本発明の方法で比重を計測することが出来ない。しかしこのような樹脂は本発明の目的を達成できない。燃焼前の樹脂の比重が1.000未満の場合は、良好な力学物性とはならないので、本発明に含めない。
すなわち、本発明の目的を達成するためには、燃焼試験前と後における体積測定において、まず樹脂が水に沈まなければならない。燃焼試験前後で水に沈む樹脂が好ましく、その中で、燃焼試験前の樹脂の比重D0と燃焼試験後の樹脂の比重D1の比、D1/D0が特定の値となる難燃性樹脂がより好ましい。
この値(D1/D0)が0.85以下であると燃焼試験サンプルだけでなく製品に用いられる成形体の燃焼時の変形がひどくなるので好ましくない。0.9以上であれば燃焼試験サンプルにおいても大きな変形が見られず好ましい。
なお本発明における重量は、天秤を用いて有効数字が3ケタ以上になるように計測する。有効数字3ケタの数値とは、4ケタ目を四捨五入し得られる数値のことである。
樹脂の体積は、1000cc未満の水を1℃以上15℃未満の雰囲気で24時間以上放置し計測に必要な量を取り出した水で測定する。そしてこの水に樹脂サンプル全体を沈めたときに、1℃以上15℃未満の雰囲気で受ける浮力をg単位で測定し、1.000g/cmでその数値を除してその樹脂の体積Vとする。
あらかじめ測定されていた樹脂の重量をこの体積Vで除して比重Dを求める。
燃焼前のサンプルについてあらかじめこのように比重D0をもとめ、燃焼後のサンプルについても同様に比重D1をもとめ、D1/D0を計算する。本発明の好ましい実施態様では、この値(D1/D0)が0.85超となる。
また、燃焼後樹脂の比重が上がり、この値(D1/D0)が1.1以上と変化した場合でも本発明の目的を達成できる。ただし、1.1以上の場合には燃焼後に高密度の炭素が多く生成し脆くなっているので、1.1以下がより好ましい実施態様となる。
なお燃焼後の比重を求めるときに、燃焼していた面から1cmの幅でサンプルを切り出して求めると、燃焼部分の比重を精度よく求めることができるので好ましい。0.5cmの幅で切り出せば、より精度があがるので好ましいが、0.5cm未満では体積を求めるためのサンプルが小さくなりすぎて測定精度が下がるので好ましくない。好ましい燃焼後のサンプルの切り出し幅は、0.5cm以上1cm以下である。
この切り出し幅を決める燃焼面とは、燃焼前に炎と垂直に接していた面と平行な面の一つであり、燃焼後自己消火してできた面についてこの面を仮定して決める。
水の放置温度については、15℃を超えると体積の誤差が増加するので好ましくなく、0℃未満の放置では、0℃以下で水は氷るため、放置後計測に使用できない場合があり好ましくない。
また浮力の測定温度も水の放置環境と等しくして測定することが好ましい。ただし15℃以上でも水の比重を温度で補正すれば正確な体積を測定することができるので本発明の目的を達成できこれを制限しない。水の放置温度や浮力の測定温度は、本発明に制限を加えるものではない。
また浮力の測定方法の一例を説明すると、天秤の上に水の入ったビーカーを載せて、糸で吊るした樹脂を100%沈めて計測する。この時糸の太さが1mm以上であると誤差が大きくなるので好ましくない。好ましくは0.5mm未満、さらに好ましくは0.2mm未満の太さの糸を使用して浮力を測定する。
ここで、前記樹脂組成物において、前記特定の環状のホスファゼン誘導体と前記リン酸エステルとを併用することにより、D1/D0>0.85を満たすことができる。理由は以下のとおりである。
高分子の難燃化技術において、高い難燃性が得られる技術として、イントメッセント系の難燃化技術が公知である。これは、燃焼面に発泡炭素層を形成させる技術で、最近のUL94-V0以上の規格を通過する技術ではこの手法が用いられている。すなわち自己消火後の燃焼面の比重を計ると、発泡炭化層の形成により、燃焼前よりも密度が下がる。これが従来技術である。
例えば、前記樹脂組成物において、前記リン酸エステルは揮発性であるため、発泡しやすく、前記リン酸エステルによって燃焼面の比重は下がる傾向がある。例えば、難燃剤としてリン酸エステルのみを使用した難燃性樹脂組成物の燃焼後のサンプルから炭素部分だけ切り出すと水に浮く(即ち比重が1未満である)。
一方、本発明の前記樹脂組成物のごとく、前記ホスファゼン誘導体を併用すると、前記ホスファゼン誘導体は燃焼時に揮発しないため炭素層に少なくとも50%以上残存する。このホスファゼン誘導体の熱分解物は比重が2前後であり、それが炭素層に残ると、例え炭素層が多少発泡していても燃焼面の炭素層は水に沈む傾向がある(即ち、炭素層の比重は1超である)。
したがって、従来技術の難燃性樹脂組成物では、燃焼後の比重の方が小さいため、D1/D0が0.85以下となるところ、本発明の前記樹脂組成物は、D1/D0が0.85超となる。
<ホスファゼン誘導体>
本発明に用いるホスファゼン誘導体を14質量%用いてPCを難燃化すると、発泡せず自己消火性を示し、燃焼後の比重はやや増加する。ホスファゼン誘導体だけを用いても難燃性を達成できるが、ホスファゼン誘導体を14質量%含有すると樹脂の力学物性の低下を招くので好ましくない。この力学物性の低下については衝撃強度が著しく低下するのでホスファゼン誘導体が樹脂中に凝集体を作って分散しているのではないかと仮定している。この仮定において、ホスファゼン誘導体の含有率は10質量%未満が好ましく、さらに3.0質量%未満であればより好ましい。
即ち、前記樹脂組成物における前記ホスファゼン誘導体の含有率が、0.1質量%以上3.0質量%未満であることが好ましい。
発泡を少なくすると樹脂の変形も少なくなり、他の難燃性樹脂と組み合わせて部品を製造した時に部品の難燃性能を損なうことがない。また、本発明の樹脂組成物を難燃性樹脂Aとし、組み合わせる難燃性樹脂を難燃性樹脂Bとしたときに、難燃性樹脂AはUL94-V0以上を通過する難燃性レベルであるが、難燃性樹脂BがUL94-V2レベルであっても、難燃性樹脂Aを難燃性樹脂Bの下方3cm未満に配置すると難燃性樹脂Bの溶融物を難燃性樹脂Aが受け止め他へのもらい火を防ぐことが可能となる。
難燃性樹脂Aと難燃性樹脂Bとは接触させて部品を組み立ててもよく、その隙間は0でもよい。すなわち、Bは、Aから下方0.0001cm以上離れた位置にあるのが好ましい。上限は特に定めないが、下方3cm未満であるとAからの溶融物を補足できるので好ましい。
このとき、難燃性樹脂Aの代わりに難燃性樹脂Bを構成する難燃性樹脂で製造するのは、難燃性樹脂Bからの溶融物でもらい火が生じるので好ましくない。
また、Bは、Aに接触した位置にあっても良い。
難燃性樹脂Bは、試験中に溶融物が生じ、溶融現象による吸熱効果でUL94-V2に合格する難燃性樹脂でできている。好ましくは、極限酸素指数(LOI)は18以上であり、さらに好ましくは19以上である。
本発明の難燃性樹脂AのLOIについては、上限を特に定めないが、燃焼時に溶融物を生じない樹脂なのでLOIを28以上にしたい場合には、難燃剤が大量に必要となり、力学物性が低下するので好ましくない。
難燃性樹脂Bに用いる難燃剤は、西沢仁監修「高分子の難燃化技術」シーエムシー出版(2002年発行)に書かれている難燃剤であり、本発明はこれを特に制限しない。本発明の目的には、溶融物が生じてもUL94-V2レベル以上の燃焼試験に合格した難燃性樹脂であれば良い。
前記ホスファゼン誘導体については、下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体が、製造容易性及び化合物の安定性の点で好ましい。
Figure 0007182348000003
前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を含まない、芳香族環を有する基を表す。mは、3~8を表す。
また、mは、9以上の環状化合物もその存在が知られているが、本発明で併用するリン酸エステルに溶解し易い点から、8以下が好ましい。
さらに、前記ホスファゼン誘導体はその製造法により、様々なmの環状化合物の混合物として得られることがある。このとき、mが3の環状化合物が50質量%以上、好ましくは70質量%以上ホスファゼン誘導体に含まれていると、混練時の温度で溶融しやすくなるので好ましい。
mが3の誘導体が100質量%含まれていてもその融点は150℃を越えないので好ましい。
前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃以上が好ましい。
前記一般式(1)における側鎖基R、Rは、例えば、シクロヘキサノールやシクロヘキサンメタノール、メントール、フェニルメタノール、キノリノール、フェノール、などのアルコール性水酸基を有する化合物あるいはアニリンのようなアミノ基を有する化合物をハロゲンが側鎖についた環状ホスファゼンに反応させて形成する。
その側鎖基を形成する化合物は、脂肪族系化合物、芳香族系化合物など何でも良いが、芳香族環を含む化合物がホスファゼン誘導体の安定性のためとリン酸エステルへの溶解性のために好ましい。RとRのいずれかがハロゲン原子であると公知のようにホスファゼンの安定性が悪くなるので好ましくない。
これらの中でも、R及びRは、フェニル基が好ましい。
また、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を得る目的でハロゲン化ホスファゼンと反応しうる官能基を2つ以上含む芳香族化合物を用いると環状構造がつながり高分子量化したり3次元化してリン酸エステルに溶解しにくくなるので好ましくない。本発明の目的にはホスファゼン環が2個以上つながっている、あるいは3個以上で架橋している構造は好ましくない。
ゆえに本発明に用いられるホスファゼン誘導体の側鎖基は、芳香族環を含む化合物で、官能基は一つだけの化合物がハロゲン化ホスファゼンを化学修飾するために機能しうる化合物として最も好適である。
但し、環状ホスファゼン誘導体が、合成時の反応条件で2個以上連結しないのであれば、多官能の化合物もホスファゼン誘導体に用いることができる。
このホスファゼン誘導体は、前記樹脂組成物に、0.1質量%以上3.0質量%未満含有される。
前記含有率が、0.1質量%未満では、含有量が少なくて本発明の目的を達成できない。3.0質量%を超えて含有すると、混練時に難燃性樹脂の中で凝集しやすくなるので好ましくない。前記含有率が、3.0質量%未満であると、難燃性樹脂の中でその存在率が下がり、凝集しにくくなり、本発明の目的を達成しやすくなる。
<リン酸エステル>
本発明で併用されるリン酸エステルは、之まで述べたホスファゼン誘導体の凝集を防ぐために併用される。
ゆえに前記リン酸エステルは混練される温度で溶融することが好ましい。すなわちリン酸エステルは融点(Tm)を持つ化合物で、Tmは300℃未満が好ましく、200℃未満がさらに好ましく、100℃未満が特に好ましい。最も好ましいTmの下限は0℃以上であるが混練時に溶融状態になれば、Tmの下限については本発明で制限しない。しかしTmが-40℃未満であると樹脂に分散したときに時間が経過すると表面へ浮き出る現象、ブリードアウトが激しくなるので好ましくない。
前記リン酸エステルの中には、3次元化し混練時に溶融せずTmを持たない化合物も存在し、本発明でこのような化合物は好適ではない。
また、前記リン酸エステルの融点は、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体の融点よりも低いことが好ましい。
次に前記リン酸エステルを例示するが、この例示は本発明を特に制限するものではない。
例えばトリ(アルキルフェニル)ホスフェート、ジ(アルキルフェニル)モノフェニルホスフェート、ジフェニルモノ(アルキルフェニル)ホスフェートまたはトリフェニルホスフェートの中の一つまたは2種以上の混合物、あるいは下記一般式(2)で表される化合物の一つまたは2種以上の混合物である。
Figure 0007182348000004
前記一般式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、芳香族環を含む基を表す。nは、1~10,000を表す。
からRまでは、アリールまたはアルキル置換されたアリール基であり、好ましいR、R、R及びRはフェニル基、またはメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、イソアミル、t-アミルなどのアルキル基が置換されたフェニル基であり、この中でも、フェニル基、またはメチル、エチル、イソプロピルまたはt-ブチル基が置換されたフェニル基がより好ましく;Rは、アリールまたはアルキル置換されたアリール基誘導体であり、レゾルシノール、ヒドロキノンまたはビスフェノール-Aから誘導されたものが好ましい。
前記リン酸エステルは、前記ホスファゼン誘導体を樹脂マトリックに分散するために用いられ、その含有量は、ホスファゼン誘導体との合計で14質量%を超えてはならない。合計が14質量%以上になると、ホスファゼン誘導体との併用効果が小さくなり、燃焼時に樹脂が発泡しやすくなる。
また前記ホスファゼン誘導体との併用で合計含有量が5質量%未満では、十分な難燃性が得られないことがある。好ましくは含有されるリン含有化合物の合計は、8質量%以上である。
本発明に用いるリン含有化合物は、ホスファゼン誘導体を1質量%以上3質量%未満用いたならば、赤リンをはじめリン酸エステル系難燃剤など西沢仁監修「高分子の難燃化技術」シーエムシー出版(2002年発行)に書かれているリンを含む化合物を併用しても本発明の目的を達成できる。
リン含有化合物は、あらかじめPC以外の高分子Aに分散して用いると、製造される本発明の難燃性樹脂が高温度において熱変形しにくくなるので好ましい。
このとき、ホスファゼン誘導体以外を高分子Aに分散後、ホスファゼン誘導体とPCとともに混練する方法も好適である。
また、本発明の目的を達成できるならば、一度の混練で組成物を製造することも、その他の組み合わせで混練することも制限しない。
ただし、前記リン含有化合物の総量は、力学物性を考慮すると前記樹脂組成物において14質量%未満であることが好ましい。
前記リン含有化合物の総量が14質量%以上であると衝撃強度が低下するので好ましくない。
また前記リン含有化合物の総量が1質量%未満であると十分な難燃性能が得られず本発明の目的を達成できないことがある。そのため、前記樹脂組成物における前記リン含有化合物の含有率は、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上が高い難燃性能が得られ、もらい火で燃焼したときに自己消火に至る時間が短くなる。
本発明に用いる前記リン含有化合物として、ホスファゼン誘導体だけを使用しても難燃性を達成できるが、ホスファゼン誘導体を14質量%以上添加すると衝撃強度が著しく低下するので好ましくない。
<赤リン>
ホスファゼン誘導体と組み合わせる難燃剤として赤リンは、リンの含有率が高く1質量%以上の併用で高い難燃効果が得られるので好ましい。しかし、赤リンを13質量%以上用いると衝撃強度が著しく低下するので好ましくない。好ましくは8質量%以下の添加にすると衝撃強度の低下が小さい。
また、赤リンの添加は、本発明の難燃性樹脂組成物の混練時に添加してもよいが、あらかじめPC以外の高分子と赤リンを混錬し、この組成物を難燃性樹脂組成物の混練時に添加するのが好ましい。
<PC(ポリカーボネート)>
本発明において用いられるPC(ポリカーボネート)は、特に限定されることなく、下記一般式(3)の構成単位からなる単独重合体(ホモポリマー)、又は下記一般式(3)の構成単位を含む共重合体(コポリマー)としてよい。
Figure 0007182348000005
前記一般式(3)中、X1は、2価の炭化水素基である。
前記一般式(3)において、2価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられ、特に、-PhC(CHPh-が好ましく、また、樹脂組成物に種々の特性を付与する観点から、ヘテロ原子が導入されたアルキル基、アリール基としてもよい。
なお、ポリカーボネートは、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。また、共重合体の場合、共重合形態としては、ランダム共重合、ブロック共重合等の種々の共重合形態を選択することができる。通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
ポリカーボネートは、炭酸結合(COO-)に直接的に結合する炭素が芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び上記炭素が脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類され、いずれも好適に用いることができ、特に、樹脂組成物の耐熱性、機械的物性、電気的特性等を高める観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
なお、上記ポリカーボネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
ポリカーボネートの具体例としては、特に限定されることなく、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体と、任意選択的にポリヒドロキシ化合物等とを反応させてなる反応生成物や、環状エーテルとカーボネート前駆体(特に二酸化炭素)とを反応させてなる反応生成物が挙げられる。
ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシ化合物のうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノールA)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、10-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシ化合物のうち、脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタン-1,3-ジオール等のシクロアルカンジオール類;2,2’-オキシジエタノール(すなわち、エチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジエタノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6-ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’-ビフェニルジメタノール、4,4’-ビフェニルジエタノール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類等が挙げられる。
なお、上記脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
ポリカーボネートの原料となる環状エーテルの具体例としては、例えば、1,2-エポキシエタン(すなわち、エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(すなわち、プロピレンオキシド)、1,2-エポキシシクロペンタン、1,2-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1-メチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、2,3-エポキシノルボルナン、1,3-エポキシプロパン等が挙げられる。
なお、上記環状エーテルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
ポリカーボネートの原料となるカーボネート前駆体の具体例としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステル、二酸化炭素等が使用される。
前記カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。前記カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
なお、上記カーボネート前駆体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
本発明において用いられるポリカーボネートの製造方法は、特に限定されることなく、任意の方法を採用してよく、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等を挙げることができる。
ポリカーボネートの分子量は、必要に応じて適宜決定されてよい。
特に、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)としては、樹脂組成物の機械的強度をより向上させる観点から、通常10000以上としてよく、16000以上であることが好ましく、17000以上であることが更に好ましく、また、樹脂組成物の流動性の低下を抑制して、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようにする観点から、通常40000以下としてよく、30000以下であることが好ましく、24000以下であることが更に好ましい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて、温度20℃での極限粘度(η)(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83、から算出される値を指す。ここで、極限粘度(η)とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0007182348000006
なお、粘度平均分子量(Mv)の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ポリカーボネートの末端水酸基濃度は、必要に応じて適宜決定されてよく、分子量の低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性を向上させる観点から、通常10ppm以上としてよく、30ppm以上であることが好ましく、40ppm以上であることが更に好ましく、また、樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させる観点から、通常1000ppm以下としてよく、800ppm以下であることが好ましく、600ppm以下であることが更に好ましい。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネートの重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。末端水酸基濃度の測定方法としては、四塩化チタン/酢酸法による比色定量が挙げられる(例えば、Macromol.Chem.88 215(1965)参照)。
また、ポリカーボネートは、成形品の外観の向上や流動性を向上する観点から、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。更に、ポリカーボネートオリゴマーの含有量は、ポリカーボネート(ポリカーボネートオリゴマーを含む)100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましい。
本発明においてポリカーボネートは、前記樹脂組成物おける含有率が50質量%以上95質量%未満であることが好ましい。その理由は、以下のとおりである。
難燃剤を十分に含有でき、十分な難燃性が得られる点から、95質量%未満であることが好ましい。一方、前記リン含有化合物を本発明の含有量で用いた時に十分な難燃性が得られる点で、50質量%以上が好ましい。
また、難燃性樹脂組成物において総重量の80質量%以上ポリカーボネートが含まれると他の高分子と組み合わせたときに射出成形時の流動性が悪くなるので、成形体に歪みが残り燃焼時に変形しやすくなることがある。ゆえにPCの前記難燃性樹脂組成物に占める割合は80質量%未満が好ましい。
また組み合わせる高分子Aにより、熱変形温度が変化するので、成形性と高温時の変形を考慮すると総重量の60質量%以上80質量%未満がさらに好ましい範囲となる。
<高分子A>
前記高分子Aは、PC以外の樹脂である。
前記樹脂組成物に添加する高分子Aについて、本発明では、前記樹脂組成物の樹脂成分として、いかなる樹脂成分が含まれていても良い。ただし、PCと相容する変性PCは、可塑化効果で熱変形温度を低下させるので好ましくない。
このましくはPCと相容しないかあるいは部分相容できる高分子が、高温度の変形と力学物性の観点から好ましい。
その他の樹脂としては、例えば、セルロースやパラミロンなどの多糖類を変性した天然物高分子やポリ乳酸系樹脂、その他の天然物由来の高分子、ABS,ポリスチレン(PS),ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等のポリオレフィン樹脂;6ナイロンや66ナイロンなどのポリアミド樹脂(PA);ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂;公知の樹脂添加剤等が挙げられる。
なお、上記その他の樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
好ましい樹脂成分として例示すると、ポリオレフィン、PA、PS、PETやPEN、PBTなどのポリエステル、ABS、セルロースやパラミロンなどの多糖類を変性した天然物高分子やポリ乳酸系樹脂、その他の天然物由来の高分子である。
ポリオレフィン、ナイロン(PA)、ポリスチレン(PS)、ポリエステルについては先の著書や大柳康偏「実践ポリマーアロイ」アグネ承風社、1993、秋山三郎著「エッセンシャルポリマーアロイ」シーエムシー出版、2012に記載されている高分子が使用される。
また、天然物から抽出された多糖類の高分子変性物については、セルロースの変性物である、TAC、DACなどの丸沢広、宇田和夫著「繊維素系樹脂」日刊工業新聞社、1978に記載された繊維素系樹脂や、ミドリムシから抽出されたパラミロンと呼ばれるβ-1,3-グルカンの水酸基を変性した誘導体、例えば特開2014-98095号公報に記載されたβ-1,3-グルカン誘導体などが挙げられる。
特に好ましくは、PS、ABS、ポリエステルあるいは天然物から抽出された高分子変性樹脂であり、ABS樹脂は樹脂の力学物性を改善できるので好ましい。また昨今の環境ブームから、リサイクルされたPET樹脂や、天然物から抽出された高分子変性樹脂を用いた場合には環境負荷を低減するので好ましい。
PC以外のこれらの樹脂は、例えば、前記樹脂組成物に対して10質量%以上50質量%未満含有される。含有率が、50質量%以上では、樹脂の難燃性を低下させることがある。また含有率が10質量%未満では、力学物性を低下させたりすることがある。
さらに好ましい含有率は、20質量%以上40質量%未満である。
本発明では、前記高分子Aへ前記リン含有化合物が分散していると高温度における熱変形が改善される。ポリカーボネートに分散した高分子Aに前記リン含有化合物が分散した高次構造とするためには、あらかじめ高分子Aと前記リン含有化合物とを混練し、ポリカーボネートへ添加するプロセスが選ばれる。
このプロセスで高分子Aは、前記樹脂組成物に対して、20質量%以上の添加が必要となり、好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上添加されているのが好ましい。
但し、本発明の目的を達成できるならば、一度の混練で組成物を製造してもよい。
<フッ素樹脂>
燃焼時に溶融した樹脂が滴下するのを防止する目的で、フッ素樹脂の添加が好ましい。フッ素樹脂の中でも、溶融防止目的で開発されたフィブリル化フッ素樹脂が好ましい。
本発明において使用するフィブリル化フッ素樹脂は、特に限定されない。例えば、ポリテトラフルオロエチレンをフィブリル化し繊維状のネットワーク構造を有する樹脂が用いられ、樹脂との相溶性の効果が大きいという観点から、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンが好ましく使用される。
市販品としては、メタブレンA-3000、メタブレンA-3700、メタブレンA-3800(商品名、三菱レイヨン株式会社製)が好適に用いられる。これらフィブリル化フッ素樹脂は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。前記樹脂組成物におけるフィブリル化フッ素樹脂(C)の含有率は、0質量%以上0.5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以上0.35質量%以下である。前記範囲内においては、添加剤の分散が良好である。また0.5質量%以上添加すると熱分解で生成するフッ化物により発泡が生じ低密度化するので好ましくない。
<相溶化剤>
本発明の難燃性樹脂組成物は、例えば、2成分以上の樹脂を混錬するので、力学物性の改善のために公知の相溶化剤を用いることが可能である。相溶化剤として販売されている添加剤例えば三菱レイヨン製メタブレンLタイプは、本発明に好適に使用可能である。
また、相溶化剤として販売されていなくても、スチレン-アクリロニトリル-メタクリル酸グリシジルターポリマーのような2成分以上のモノマーの重合で合成されたコポリマーも本発明に相溶化剤として用いることが可能である。
相溶化剤や2成分以上のモノマーで合成されたコポリマーの添加量は、前記樹脂組成物に対して0.2質量%から5質量%が好適である。
本発明において樹脂の相溶を改善する目的で5質量%以上添加すると燃焼時にドリップ現象を生じる可能性があるので好ましくない。さらに好ましくは3質量%未満である。また0.2質量%未満では添加効果が見られず、力学物性の改善ができないので添加する場合には0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上の添加が必要である。
<その他の添加剤>
本発明の一例の難燃性樹脂組成物は、難燃性、剛性、耐衝撃性等を著しく低下させない範囲において、リン系安定剤、フェノール系安定剤、滑剤、その他の樹脂(ポリカーボネート及びスチレン系高分子以外の樹脂)、紫外線吸収剤、染顔料、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等のその他の添加材を含んでよい。
-リン系安定剤-
一例の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、リン系安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としては、公知のものを用いることができ、具体的には、リン酸、ホスホン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ポリリン酸等のリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウム等の酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛等の第1族又は第2B族の金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物;有機ホスホナイト化合物;有機ホスファイト化合物等が挙げられ、特に、有機ホスファイト化合物が好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
有機ホスファイト化合物の市販品としては、例えば、アデカ社製の「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP-10」;城北化学工業社製「JP-351」、「JP-360」、「JP-3CP」;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、上記リン系安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
リン系安定剤の含有量は、前記樹脂組成物の合計質量100質量部に対して、熱安定効果を十分に得る観点から、通常0.001質量部以上であり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.02質量部以上であることが更に好ましく、また、熱安定効果の頭打ちによる経済性の低下を避ける観点から、通常1質量部以下であり、0.7質量以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることが更に好ましい。
-フェノール系安定剤-
一例の難燃性樹脂組成物は、フェノール系安定剤を含有することも好ましい。フェノール系安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられ、特に、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」;アデカ社製「アデカスタブAO-50」、「アデカスタブAO-60」等が挙げられる。
なお、上記フェノール系安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
フェノール系安定剤の含有量は、前記樹脂組成物の合計質量100質量部に対して、安定剤としての効果を十分に得る観点から、通常0.001質量部以上であり、0.01質量部以上であることが好ましく、また、安定剤としての効果の頭打ちによる経済性の低下を避ける観点から、通常1質量部以下であり、0.5質量部以下であることが好ましい。
-滑剤-
また、一例の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、滑剤を含有することも好ましい。滑剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイル等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和又は不飽和の脂肪族一価、二価又は三価カルボン酸を挙げることができる。ここで、脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で、炭素数6~36の一価又は二価カルボン酸が好ましく、炭素数6~36の脂肪族飽和一価カルボン酸が更に好ましい。
脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、上記脂肪族カルボン酸と同じものとしてよい。
また、アルコールとしては、例えば、飽和又は不飽和の一価又は多価アルコールが挙げられ、特に、炭素数30以下の一価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコール又は脂肪族飽和多価アルコールが更に好ましい。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。なお、脂肪族とは、脂環式の化合物も包含することを意味する。
アルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2-ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。更に、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ-トロプシュワックス、炭素数3~12のα-オレフィンオリゴマー等が挙げられ、特に、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。なお、脂肪族炭化水素とは、脂環式炭化水素も包含する。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上記滑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
滑剤の含有量は、前記樹脂組成物の合計質量100質量部に対して、離型性の効果を十分に得る観点から、通常0.001質量部以上であり、0.01質量部以上であることが好ましく、また、耐加水分解性の低下や射出成形時の金型汚染等が生じる可能性を低減する観点から、通常2質量部以下であり、1質量部以下であることが好ましい。
-紫外線吸収剤-
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物等の有機紫外線吸収剤等が挙げられ、特に、樹脂組成物の透明性や機械物性が良好にする観点から、有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物が更に好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]が好ましく、特に、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の市販品としては、例えば、シプロ化成社製「シーソーブ701」、「シーソーブ705」、「シーソーブ703」、「シーソーブ702」、「シーソーブ704」、「シーソーブ709」;共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ583」;ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」;サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」;アデカ社製「LA-32」、「LA-38」、「LA-36」、「LA-34」、「LA-31」;チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-n-ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物の市販品としては、例えば、シプロ化成社製「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」;共同薬品社製「バイオソーブ100」、「バイオソーブ110」、「バイオソーブ130」;ケミプロ化成社製「ケミソーブ10」、「ケミソーブ11」、「ケミソーブ11S」、「ケミソーブ12」、「ケミソーブ13」、「ケミソーブ111」;BASF社製「ユビヌル400」、「ユビヌルM-40」、「ユビヌルMS-40」;サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV9」、「サイアソーブUV284」、「サイアソーブUV531」、「サイアソーブUV24」;アデカ社製「アデカスタブ1413」、「アデカスタブLA-51」等が挙げられる。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4-tert-ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。サリシレート化合物の市販品としては、例えば、シプロ化成社製「シーソーブ201」、「シーソーブ202」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ21」、「ケミソーブ22」等が挙げられる。
シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等が挙げられる。シアノアクリレート化合物の市販品としては、例えば、シプロ化成社製「シーソーブ501」;共同薬品社製「バイオソーブ910」;第一化成社製「ユビソレーター300」;BASF社製「ユビヌルN-35」、「ユビヌルN-539」等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、1,3,5-トリアジン骨格を有する化合物等が挙げられる。トリアジン化合物の市販品としては、例えば、アデカ社製「LA-46」;チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビン1577ED」、「チヌビン400」、「チヌビン405」、「チヌビン460」、「チヌビン477-DW」、「チヌビン479」等が挙げられる。
オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2-エトキシ-2’-エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられる。オキザリニド化合物の市販品としては、例えば、クラリアント社製「サンデュボアVSU」等が挙げられる。
マロン酸エステル化合物としては、2-(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2-(1-アリールアルキリデン)マロン酸エステル類が更に好ましい。マロン酸エステル化合物の市販品としては、例えば、クラリアントジャパン社製「PR-25」;チバ・スペシャリティケミカルズ社製「B-CAP」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、本発明の前記樹脂組成物の合計質量100質量部に対して、耐候性の改良効果を十分に得る観点から、通常0.01質量部以上であり、0.1質量部以上であることが好ましく、また、モールドデボジット等が生じ、金型汚染が生じる可能性を低減する観点から、通常3質量部以下であり、1質量部以下であることが好ましい。
なお、紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
-染顔料-
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料及び有機染料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青等の珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛-鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅-クロム系ブラック、銅-鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青等のフェロシアン系顔料等が挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料等が挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物等が好ましい。
なお、染顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用してもよい。
染顔料の含有量は、耐衝撃性を十分に得る観点から、本発明の前記樹脂組成物の合計質量100質量部に対して、通常5質量部以下であり、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。
(成形体について)
本発明の一例の成形体(以下、「一例の成形体」ともいう)は、本発明の一例の難燃性樹脂組成物を含む。
一例の成形体としては、例えば、コンピューター、ノートブック型パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の情報・モバイル機器やプリンター、複写機等のOA機器等の部材等が挙げられる。一例の成形体は、特に、耐熱性を要する外装部材に好適に用いられる。
一例の成形体は、例えば、一例の難燃性樹脂組成物を常法に従って射出成形することによって得ることができる。
(電子部品、電子機器)
本発明の一例の電子部品は、本発明の前記成形体を有する。
本発明の一例の電子機器は、本発明の前記成形体を有する。
前記電子部品としては、例えば、コンピューター、ノートブック型パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の情報・モバイル機器やプリンター、複写機等のOA機器等の電子部品等が挙げられる
前記電子機器としては、例えば、コンピューター、ノートブック型パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の情報・モバイル機器やプリンター、複写機等のOA機器等が挙げられる。
(電子事務機器)
本発明の電子事務機器は、UL94-V2レベル以上の燃焼試験に合格した難燃性樹脂成形体の下方0.0001cm以上3cm未満の距離に本発明の前記形成体を配置したことを特徴とする。
(難燃性樹脂組成物の製造方法)
本発明の一例の難燃性樹脂組成物の製造方法(以下、「一例の製造方法」ともいう)は、例えば、PC、ホスファゼン誘導体、リン酸エステル、及び任意選択的に加えられる成分、並びに必要に応じて加えられるその他の添加剤を、溶融混練する溶融混練工程と、混練後の難燃性樹脂組成物に2つの面で挟まれた間隙を通過させる処理(ここで、間隙においては樹脂組成物の流動方向に沿う断面における面間距離が0.1mm~5mmである)を行う間隙通過処理工程とを含む。
本発明では溶融混練工程だけでも本発明の目的を達成可能である。さらに好ましくは間隙通過処理工程を加えた工程である。
<溶融混練工程>
一例の製造方法では、初めに、本発明に必要な成分、及び任意選択的に加えられる成分、並びに必要に応じて加えられるその他の添加剤を、溶融混練する(溶融混練工程)。
上記工程によれば、各成分を均一に混合することができる。
この工程では、上記各成分を、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等の当該技術分野において公知の混練機を用いて、混練速度、混練温度、混練時間等の条件を適宜調節しながら、混練する。
例えば、上記各成分を、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を用いて、予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等の混練機で溶融混練してもよい。また、例えば、各成分を予め混合せずに、これらの成分をフィーダーを用いて押出機に投入し、溶融混練してもよい。更に、例えば、一部の成分のみを予め混合し、その後、溶融混練することによって得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチと再度残りの成分とを溶融混練してもよい。
ここで、この工程では、特に限定されることなく、任意選択された成分を予め溶融混合させた後に、二軸混練押出機に添加することも好ましい。リン酸エステルが室温で液体の場合、ホスファゼン誘導体をこの成分に室温で溶解させることが可能である。また、リン酸エステルが室温で固体(例えば、粉末)の場合、これらの成分を乳鉢で混ぜた後、混合物を90℃以上に加熱して溶融させ、この溶融状態の混合物を二軸混練押出機に添加することが可能である。
なお、上記リン酸エステルとホスファゼン誘導体の予混合は、溶融混練工程の例示であり、難燃剤の分散性を高める観点から、好ましい実施形態となる。本発明の製造方法において必須となるものではない。また、上記乳鉢を用いた混合は、混合方法の例示であり、本発明の製造方法における混合方法は、これに限定されるものではなく、いかなる方法としてもよい。
特に、混練温度は、PCの溶融温度(Tm)を基に決められる。Tmの測定については、ガラス転移点(Tg)と同様にDSC、TMA、DTA、温度を変えられる粘弾性装置などどのような測定値を用いても良いが、これらの装置を用いて測定されたTm温度以上で混練すれば本発明の難燃性樹脂組成物が容易に得られる。
また、このTm温度未満では、剪断流動が効果的に働き、ホスファゼン誘導体のドメイン形成を阻害するので好ましい。特に混練温度をTm未満からTg+20℃の温度領域で本発明の好適な結果を得ることが可能である。
TmやTgについては測定方法で変わることが知られている。本発明では、DSCで計測されたTmやTgの値を用いるのが好ましい。
混練工程に用いられる装置としては、樹脂組成物を大量に安定して製造する観点、すなわち製造効率の観点から、二軸押出機が好適に用いられる。
<間隙通過処理工程>
続いて、混練後の難燃性樹脂組成物に2つの面で挟まれた間隙を通過させる処理(ここで、間隙においては樹脂組成物の流動方向に沿う断面における面間距離が0.1mm~5mmである)を行う(間隙通過処理工程)。
上記工程によれば、間隙の通過により樹脂組成物に連続した層状の剪断流動が発生し、樹脂組成物の分散混合が効率的になされ(カオス混合)、これにより、分子量低下等の樹脂に対するダメージを回避しながら混練を行うことが可能となる。そのため、樹脂組成物中に難燃性を付与する役割を果たすホスファゼン誘導体及びリン酸エステルの、樹脂組成物中における分散性が高まり、樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
この工程では、例えば、前述の混練工程において二軸混練押出機を用いた場合、二軸混練押出機の吐出口に、樹脂組成物を通過させることが可能な2つの面に挟まれた空間を内部に有するダイを取り付ける。ここで、ダイとしては、樹脂組成物の流動方向に沿う断面における面間距離が0.1mm~5mmである間隙を2つ以上有するものを用いる。そして、混練後の樹脂組成物を二軸混練押出機の吐出口からダイに向かって押し出す。押し出された樹脂組成物はダイ内部を通過する間に処理されダイの吐出口から押し出される。
ここで、上記面間距離は、間隙の目詰まりを防止する観点から、0.1mm以上とすることが好ましく、0.2mm以上とすることが更に好ましく、また、混練の効果を好適に得る観点から、5mm以下とすることが好ましく、3mm以下とすることが更に好ましい。
間隙の樹脂組成物の流動方向に沿う長さは、混練の効果を十分に得る観点から、5mm以上とすることが好ましく、10mm以上とすることが更に好ましく、また、100mm以下とすることが好ましく、50mm以下とすることが更に好ましい。
また、間隙の樹脂組成物の流動方向に垂直な方向の幅は、特に限定されることなく、例えば、5mm以上としても、2000mm超としてもよい。
上記2つの面としては、平面、曲面、及びこれらの組み合わせが挙げられ、特に、樹脂に対するダメージを回避する観点から、曲面であることが好ましい。具体的には、樹脂組成物の流動方向に沿う断面における2つの面の面間距離が、流動方向先方から間隙中央部分に向かって漸減し、その後、間隙中央部分から流動方向後方に向かって漸増するような曲面であることが好ましい。
樹脂組成物が通過する間隙の数は、2つ以上であることが好ましい。
間隙通過処理工程に用いられる装置としては、特開2011-26364号公報や特開2013-028795号公報に記載されるものが挙げられる。
上記の通り、本発明の一例の難燃性樹脂組成物の製造方法によれば、難燃性、剛性、耐衝撃性に特に優れた本発明の一例の難燃性樹脂組成物を製造することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
[原材料]
-PC(ポリカーボネート)-
PC:出光興産社製のタフロンA2200
PC(R):市販リサイクルPC、水ボトル回収品、重量平均分子量25000
-他の熱可塑性樹脂-
ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂):テクノポリマー社製のテクノABS300
PS(ポリスチレン):PSジャパン社製、商品名:GPPS
PET(ポリエチレンテレフタレート):市販リサイクルPET、飲料用PETボトルの回収品、粘度0.8dl/g
PL(ポリ乳酸):三井化学株式会社製ポリ乳酸樹脂、レイシアH-100J
PA(ナイロン):東レ製ナイロン樹脂アミランCM1007
PEN(ポリエチレンナフタレート):帝人(株)製テオネックス
-全部又は一部の側鎖が少なくとも1つの芳香環を有する基で置換されたホスファゼン誘導体-
SPS100:大塚化学社製のSPS100(主成分として、3員環の環状構造を有し、その6個の側鎖全てがフェノキシ基である芳香族ホスファゼン化合物)
-少なくとも1つの芳香環を有するリン含有化合物-
TPP:大八化学工業社製のTPP(SP値:22(MPa)1/2)
BDP:ポリメートアディティブ社製のFyrolflexBDP(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))(SP値:21.8(MPa)1/2)
SP値は、ソフトウェアーOCTAにより計算した(他の成分についても同様)。
なお、その他のリン含有化合物として、以下の化合物を用いた。
TMP:大八化学社製のTMP(トリメチルホスフェート)(SP値:16.5(MPa)1/2)
赤燐:日本化学工業社製の高純度赤燐
-フッ素樹脂―
メタブレンA-3800:三菱レイヨン製PTFE変性品
-その他の添加剤-
C-223A:樹脂添加剤として三菱レイヨン社製のメタブレンC-223A
(PCとPSやPBT、PAを混練する時の改質剤)
S-2001:樹脂添加剤として三菱レイヨン社製のメタブレン
(PCとPET、PAを混練する時の改質剤)
[物性の測定方法]
下記の実施例及び比較例により製造した難燃性樹脂組成物を、東芝機械社製の射出成形機EC50SXを、成形温度280℃、射出速度50mm/s、射出圧力85Paの条件で用いて、射出成型して、ISO多目的試験片を作製した。この試験片を用いて、下記(1)~(3)の試験を行った。
(1)難燃試験
上記の通り得られたISO多目的試験片を、温度23℃、湿度50%とした恒温室中で、48時間調湿し、この試験片について、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めるUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して、難燃試験を行なった。
なお、UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した際の残炎時間やドリップによる綿着火性を調べることによって、難燃性を評価する方法である。ここで、残炎時間とは、着火源を遠ざけた後に、試験片が有炎燃焼を続ける時間の長さを指し、また、ドリップによる綿着火性とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物により着火されるかどうかによって決定される性質を指す。試験結果は、以下の表1に示す評価基準を用いて評価した。
Figure 0007182348000007
また、極限酸素指数(LOI)は、ISO4589-2に準じて測定した。
(2)引張試験
上記の通り得られたISO多目的試験片(4mmt)を用いて、ISO178に準拠して、引張試験を行った。測定値(MPa)が高い値であるほど、剛性(引張強度)に優れていると評価した。
(3)衝撃試験
上記の通り得られたISO多目的試験片(3mmt)を用いて、アイゾット衝撃試験器を用いて、衝撃試験を行った。なお、試験片にはノッチ(切れ目)を付けた。測定値(J/m)が高い値であるほど、耐衝撃性に優れていると評価した。
(4)荷重たわみ温度(HDT)
HDTは、ASTM-D648に準拠した方法により6.35mm(1/4インチ)試験片を用いて1.82MPaで測定した。
以下、各実施例及び各比較例について詳述する。
[実施例1]
二軸混練押出機として、神戸製鋼所社製のHYPERKTX46(以下、「KTX46」ともいう)を用いた。このKTX46の吐出口の先に、小平製作所社製のダイ(間隙処理装置)を取り付けた。二軸混練押出機の樹脂吐出量が100kg/時となるように、KTX46に付属するフィーダーとペレタイザーとを同期させた。ペレタイザーの手前にはストランドを冷却するための3mの長さの水槽を設置した。
間隙処理装置は、面間距離:1mm、間隙の幅:400mm、間隙の長さ:20mmとして設計された間隙を3箇所有する。この装置は250℃に設定して用いた。本装置をカオス混合装置とする。なお、他の実施例及び比較例において、この装置を用いた場合を「有」、用いなかった場合を「無」として、その使用の有無を、表2~4に示した。
また、二軸混練押出機KTX46のスクリューセグメントの設計は、2ケ所にローターセグメントがついており、回転数300rpmで混練温度は、260℃の運転条件である。
0.6kgのBDPを90℃に加熱し、これに0.32kgのSPS100を溶解させた。この溶液状態のBDP及びSPS100に、10kgのPC、0.2kgのPET(高分子A)、0.02kgのメタブレンA-3800(フッ素樹脂)、及び0.03kgのS-2001(その他添加剤)を撹拌しながら添加し、混合物(樹脂組成物)を室温に冷却した。
得られた樹脂組成物を室温でしばらく撹拌した後、樹脂組成物の表面が乾いてきた時点で、樹脂組成物を二軸混練押出機のフィーダーに投入し、混練りし、ダイの吐出口から押し出した。
所定の運転状態で本発明の実施例となる難燃性樹脂組成物のペレットを作製した。ペレットは80℃で5時間乾燥した。
こうして得られた難燃性樹脂組成物について、前述の(1)~(4)の評価を行ったところ、難燃性については、燃焼試験中にサンプルの変形は生じずUL94-V0合格、LOIは24.5だった。UL試験における燃焼部分を1cm切り出してD1/D0を測定したところ、1.05(5本平均)で燃焼後重量が増加していた。引張強度は65MPa(5本平均)であり、衝撃強度は140J/Mであった。また荷重たわみ温度は、97℃だった。成分組成及び評価結果の詳細を表2に示す。
[実施例2、6]
PCの代わりにPC(R)を用いた点、BDPの代わりにTPPを用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表2の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表2に示す。
[実施例3~5]
あらかじめ赤燐をABS(高分子A)に混練して用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表2の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表2に示す。但し、表2には最終組成物の配合割合で記載している。
[実施例7]
高分子Aとして6ナイロン(PA)を用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表3の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表3に示す。
[実施例8]
高分子Aとしてポリ乳酸(PL)を用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表3の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表3に示す。
[実施例9]
高分子Aとして6ナイロン(PA)用いた点、その他添加剤としてC-223Aを用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表3の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表3に示す。
[実施例10]
高分子AとしてPETを用いた点、A以外の高分子としてPENを用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表3の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表3に示す。
[実施例11]
高分子Aとして10質量%の赤燐を添加したABSと、A以外の高分子としてPSとを用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表2の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表3に示す。
[実施例12]
高分子Aとして10質量%の赤燐を添加したABSと、A以外の高分子としてPENとを用いた点、混練温度を250℃とした点、成分組成を表2の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。成分組成及び評価結果の詳細を表3に示す。
[比較例1~5]
成分組成を表4の通りとした点以外は、実施例1と同様に、難燃性樹脂組成物の製造及び該樹脂組成物についての試験を行った。特に、比較例3については、リン酸エステル系難燃剤としてTMPを用いた。成分組成及び評価結果の詳細を表4に示す。
Figure 0007182348000008
Figure 0007182348000009
Figure 0007182348000010
本発明によれば、難燃性、剛性、耐衝撃性に特に優れた難燃性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、難燃性、剛性、耐衝撃性に特に優れた成形体を提供することができる。本発明の難燃性樹脂組成物及び本発明の成形体は、コンピューター、ノートブック型パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等の情報・モバイル機器やプリンター、複写機等のOA機器等の部材等、特に、耐熱性を要する外装部材に好適に用いることができる。更に、本発明によれば、本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> ポリカーボネートと、リン含有化合物とを含有する樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物における前記リン含有化合物の含有率が、14質量%未満であり、
前記リン含有化合物が、下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体、及びリン酸エステルを含有し、
前記樹脂組成物における前記ホスファゼン誘導体の含有率が、0.1質量%以上3.0質量%未満であり、
UL94V試験における燃焼前の前記樹脂組成物の樹脂比重(D0)と、燃焼後の前記樹脂組成物の樹脂比重(D1)とが、D1/D0>0.85を満たす、
ことを特徴とする樹脂組成物である。
Figure 0007182348000011
前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を含まない、芳香族環を有する基を表す。mは、3~8を表す。
<2> 前記リン酸エステルが、下記一般式(2)で表される化合物である前記<1>に記載の樹脂組成物である。
Figure 0007182348000012
前記一般式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、芳香族環を含む基を表す。nは、1~10,000を表す。
<3> 荷重たわみ温度(ASTM-D648)が、1.82MPaで90℃以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<4> 赤リンを1質量%以上20質量%未満含有する高分子を更に含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<5> 更にフッ素樹脂を0.5質量%未満含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の樹脂組成物から成ることを特徴とする成形体である。
<7> 前記<6>に記載の成形体を有することを特徴とする電子部品である。
<8> 前記<7>に記載の成形体を有することを特徴とする電子機器である。
<9> UL94-V2レベル以上の燃焼試験に合格した難燃性樹脂成形体の下方0.0001cm以上3cm未満の距離に前記<6>に記載の成形体を配置したことを特徴とする電子事機器である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、難燃性、剛性、及び耐衝撃性に特に優れた樹脂組成物を提供できる。
特開平10-30056号公報 特開2006-176612号公報 特開2013-231140号公報 特開平9-48912号公報 特開2000-226508号公報 特開2002-265767号公報 特表2005-501953号公報 特開2014-9294号公報 特開2014-125513号公報

Claims (9)

  1. ポリカーボネートと、6ナイロン、PS、PEN、ABS、及びポリ乳酸系樹脂から選択される高分子と、リン含有化合物とを含有する樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物における前記ポリカーボネートの含有率が、50質量%以上95質量%未満であり、
    前記樹脂組成物における前記リン含有化合物の含有率が、14質量%未満であり、
    前記リン含有化合物が、下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体、及びリン酸エステルを含有し、
    前記樹脂組成物における前記ホスファゼン誘導体の含有率が、0.1質量%以上3.0質量%未満であり、
    UL94V試験における燃焼前の前記樹脂組成物の樹脂比重(D0)と、燃焼後の前記樹脂組成物の樹脂比重(D1)とが、D1/D0>0.85を満たす、
    ことを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 0007182348000013
    前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を含まない、芳香族環を有する基を表す。mは、3~8を表す。
  2. 前記リン酸エステルが、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 0007182348000014
    前記一般式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、芳香族環を含む基を表す。nは、1~10,000を表す。
  3. 荷重たわみ温度(ASTM-D648)が、1.82MPaで90℃以上である請求項1から2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. 赤リンを1質量%以上20質量%未満含有する高分子を更に含む請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 更に前記高分子とは異なる樹脂であるフッ素樹脂を0.5質量%未満含有する請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物から成ることを特徴とする成形体。
  7. 請求項6に記載の成形体を有することを特徴とする電子部品。
  8. 請求項6に記載の成形体を有することを特徴とする電子事務機器。
  9. UL94-V2レベル以上の燃焼試験に合格した難燃性樹脂成形体の下方0.0001cm以上3cm未満の距離に請求項6に記載の成形体を配置したことを特徴とする電子事務機器。
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