JP6115469B2 - 洗浄用熱可塑性樹脂組成物及び洗浄方法 - Google Patents

洗浄用熱可塑性樹脂組成物及び洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、洗浄用熱可塑性樹脂組成物及び洗浄方法に関する。
射出成形において用いられる射出成形機は、原料熱可塑性樹脂を可塑化、溶融するための成形用シリンダー(加熱筒あるいはバレルと呼ばれる場合もある)を備えている。また、押出成形において用いられる押出成形機は、ダイを有し、原料熱可塑性樹脂を可塑化、溶融するための加熱シリンダーを備えている。そして、使用する熱可塑性樹脂を変更する場合、成形用シリンダーや加熱シリンダー(以下、これらを総称して、『成形用シリンダー等』と呼ぶ場合がある)の内部を洗浄する必要があり、そのために、洗浄用熱可塑性樹脂組成物が使用される。
洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、成形用シリンダー等の内部に残存している熱可塑性樹脂を押し出すために、高粘度であること、成形用シリンダー等の内部において体積が膨張することが要求される。このような要求を満足する洗浄用熱可塑性樹脂組成物が、例えば、特開平05−069446から周知であり、スチレン系樹脂を主成分とし、化学発泡剤が添加されている。
特開平05−069446
ところで、高い温度(例えば、240゜C以上)で使用するエンジニアリング・プラスチックス等の熱可塑性樹脂が成形用シリンダー等の内部に残存している場合、主成分としてスチレン系樹脂を用いる上記の特許公開公報に開示された洗浄用熱可塑性樹脂組成物を用いて高い温度にある成形用シリンダー等の内部を洗浄すると、洗浄用熱可塑性樹脂組成物の粘度が低くなり、剪断力が低下するため、十分な洗浄力が得られない。また、化学発泡剤が添加されているので、洗浄用熱可塑性樹脂組成物の製造コスト増につながるだけでなく、発泡剤の分解残渣や有害ガスの発生といった問題が生じる虞がある。
従って、本発明の目的は、高い温度で成形用シリンダー等の内部洗浄を行うことができ、しかも、発泡剤が無添加の洗浄用熱可塑性樹脂組成物、及び、射出成形機に備えられた成形用シリンダー、又は、押出成形機に備えられた加熱シリンダーの洗浄方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、
(A)試験温度(θ)300゜C、公称荷重(Mnom)1.2キログラムの条件におけるメルトマスフローレートの値が、1グラム/10分乃至12グラム/10分、好ましくは2グラム/10分乃至9グラム/10分、より好ましくは3グラム/10分乃至6グラム/10分であるポリカーボネート樹脂を、30質量部乃至90質量部、好ましくは40質量部乃至80質量部、より好ましくは50質量部乃至70質量部、
(B)試験温度(θ)220゜C、公称荷重(Mnom)10キログラムの条件におけるメルトマスフローレートの値が、4グラム/10分乃至10グラム/10分、好ましくは5グラム/10分乃至8グラム/10分であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を、5質量部乃至70質量部、好ましくは10質量部乃至50質量部、より好ましくは20質量部乃至40質量部、
(C)1種類以上の滑剤を0.5質量部乃至5質量部、好ましくは0.5質量部乃至3質量部、及び、
(D)1種類以上の無機充填材を5質量部乃至40質量部、
を含み、
含水率が0.1質量%以上であることを特徴とする。尚、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、滑剤、及び、無機充填材の質量部の合計は100質量部である。また、含水率の上限値として0.1質量%乃至0.4質量%を例示することができる。
本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(MW)は2.2×104乃至3.2×104であることが、高温下での溶融時の高粘度化、金属との粘着性の低減といった観点から好ましい。
また、上記の好ましい形態を含む本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物において、アクリロニトリル−スチレン共重合体におけるアクリロニトリルの組成比は25モル%乃至33モル%であることが、金属との粘着性の低減といった観点から好ましい。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物において、アクリロニトリル−スチレン共重合体の重量平均分子量(MW)は1.6×105乃至2.7×105であることが、金属に対する粘着性の低減といった観点から好ましい。
上記の目的を達成するための本発明の洗浄方法は、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出成形機に備えられた成形用シリンダー、又は、押出成形機に備えられた加熱シリンダーの洗浄を行うことを特徴とする。尚、洗浄開始時、成形用シリンダー又は加熱シリンダー内の洗浄用熱可塑性樹脂組成物の温度を230゜C乃至360゜C、好ましくは240゜C乃至300゜Cとすることが望ましい。
メルトマスフローレートは、JIS K7210:1999に基づき測定することができる。また、含水率は、カールフィッシャー水分測定法に基づき求めることができる。更には、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(MW)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC法)による標準ポリスチレン換算値として測定するといった方法に基づき求めることができるし、アクリロニトリル−スチレン共重合体におけるアクリロニトリルの組成比は、1H−NMR測定法に基づき求めることができるし、アクリロニトリル−スチレン共重合体の重量平均分子量(MW)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC法)による標準ポリスチレン換算値として測定するといった方法に基づき求めることができる。
ポリカーボネート樹脂は、ペレットの形態であってもよいし、フレークの形態であってもよい。本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、上述した配合比にて、例えば、押出機による混練りに基づき製造することができるし、本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物の含水率の制御は、特別の方法を用いる必要はなく、例えば、室内に放置すればよい。
ポリカーボネート樹脂は、公知の方法に基づき合成することができ、例えば、界面重合法、ピリジン法、エステル交換法、環状カーボネート化合物の開環重合法をはじめとする各種合成方法を挙げることができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、一般にホスゲンとして知られている塩化カルボニル、又は、ジメチルカーボネートやジフェニルカーボネートに代表される炭酸ジエステル、一酸化炭素や二酸化炭素と云ったカルボニル系化合物とを、反応させることによって得られる、直鎖状、又は、分岐していても良い熱可塑性芳香族ポリカーボネートの重合体又は共重合体である。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物として、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン等を挙げることができるが、好ましくは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールAと呼ばれる]である。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は、2種以上を混合して使用することができる。
分岐したポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは、3,3ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等を上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、使用量は、0.01〜10モル%、好ましくは、0.1〜2モル%である。
界面重合法による反応にあっては、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを10以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物及び分子量調整剤(末端停止剤)、必要に応じて芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン若しくは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得ることができる。分子量調節剤の添加は、ホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば、特に限定されない。尚、反応温度は0〜35゜Cであり、反応時間は数分〜数時間である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒として、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。分子量調節剤あるいは末端停止剤として、一価のフェノール性水酸基を有する化合物を挙げることができ、具体的には、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等を挙げることができる。重合触媒として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等を挙げることができる。
エステル交換法による反応は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整したり、反応時の減圧度を調整したりすることによって、所望のポリカーボネート樹脂の分子量と末端ヒドロキシル基量が決められる。末端ヒドロキシル基量は、ポリカーボネート樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼし、実用的な物性を持たせるためには、好ましくは1000ppm以下であり、700ppm以下が特に好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが一般的であり、好ましくは1.01〜1.30モルの量で用いられる。
エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を合成する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては、特に制限はないが、主としてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、あるいは、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。このような原料を用いたエステル交換反応では、100〜320゜Cの温度で反応を行い、最終的には2.7×102Pa(2mmHg)以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う方法が挙げられる。溶融重縮合は、バッチ式、又は、連続的に行うことができるが、本発明での使用に適したポリカーボネート樹脂にあっては、安定性等の観点から、連続式で行うことが好ましい。エステル交換法において、ポリカーボネート樹脂中の触媒の失活剤として、触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物、又は、それより形成される誘導体を使用することが好ましく、その量は、触媒のアルカリ金属に対して0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量の範囲であり、ポリカーボネート樹脂に対して通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmの範囲で添加する。
ポリカーボネート樹脂のフレークは、例えば、界面重合法でのポリカーボネート樹脂を含んだメチレンクロライド溶液を45゜Cに保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去することで得ることができるし、あるいは又、界面重合法でのポリカーボネート樹脂を含んだメチレンクロライド溶液をメタノール中に投入し、析出したポリマーを濾過、乾燥して得ることができるし、あるいは又、界面重合法でのポリカーボネート樹脂を含んだメチレンクロライド溶液をニーダーにて攪拌下、40゜Cに保ちながら攪拌粉砕後、95゜C以上の熱水で脱溶剤して得ることができる。
必要に応じて、得られたポリカーボネート樹脂を周知の方法に基づき単離した後、例えば、周知のストランド方式のコールドカット法(一度溶融させたポリカーボネート樹脂をストランド状に成形、冷却後、所定の形状に切断してペレット化する方法)、空気中ホットカット方式のホットカット法(一度溶融させたポリカーボネート樹脂を、空気中で水に触れぬうちにペレット状に切断する方法)、水中ホットカット方式のホットカット法(一度溶融させたポリカーボネート樹脂を、水中で切断し、同時に冷却してペレット化する方法)によって、ポリカーボネート樹脂のペレットを得ることができる。尚、得られたポリカーボネート樹脂のペレットは、必要に応じて、熱風乾燥炉、真空乾燥炉、脱湿乾燥炉を用いた乾燥といった方法に基づき、適宜、乾燥させることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂には、添加剤として、酸化防止剤、フェノール系やリン系、硫黄系の熱安定剤;ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤;カルボン酸エステル、ポリシロキサン化合物、パラフィンワックス(ポリオレフィン系)、ポリカプロラクトン等の離型剤;帯電防止剤等を添加してもよい。
ここで、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤、有機イオウ化合物、ホスファイト等の有機リン化合物を挙げることができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤として、2,6−ジ−オブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを挙げることができる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等を挙げることができる。
熱安定剤として、分子中の少なくとも1つのエステルがフェノール及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノールでエステル化された亜リン酸エステル化合物(a)、亜リン酸(b)及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト(c)の群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。亜リン酸エステル化合物(a)の具体例として、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
紫外線吸収剤の具体例として、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤を挙げることができる。これらの中では、有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。ベンゾトリアゾール化合物の具体例として、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物を挙げることができる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例として、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール][メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物等を挙げることができる。これらの2種以上を併用してもよい。上記の中では、好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール]である。
光安定剤として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤 マロン酸エステル系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン等を挙げることができる。光安定剤の具体例として、例えば、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−マロン酸ジメチルエステル等を挙げることができる。
上述したメルトマスフローレートや重量平均分子量(MW)の規定を満足するアクリロニトリル−スチレン共重合体として、例えば、テクノポリマー株式会社製のサンレックスシリーズ、ダイセルポリマー株式会社製のセビアン‐Nシリーズ、旭化成ケミカルズ株式会社製のスライタックASシリーズ、日本エイアンドエル株式会社製のライタックAシリーズ等を挙げることができる。
滑剤として、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価又は3価カルボン酸を挙げることができる。ここで、脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中でも、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。脂肪族カルボン酸の具体例として、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸として、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとして、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで、脂肪族には脂環式化合物も包含される。アルコールの具体例として、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。尚、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例として、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等を挙げることができる。数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素として、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等を挙げることができる。ここで、脂肪族炭化水素には脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であってもよく、主成分が上記の範囲内であればよい。ポリシロキサン系シリコーンオイルとして、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等を挙げることができる。これらの2種類以上を併用してもよい。
また、無機充填材として、炭酸カルシウム(CaCO2)、珪酸カルシウム(CaSiO3)を挙げることができる。あるいは又、無機充填材として、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ繊維、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、PPS繊維、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化鉄、黒鉛、カーボンブラック、マイカ、アスベスト、セラミックパウダー、金属フレーク、板状ガラス、ガラスビーズ等を挙げることができるが、中でも、ガラス繊維、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マイカ、板状ガラス及びガラスビーズが好ましく、特には、ガラス繊維が好ましい。また、無機充填材としては、中でも、シランカップリング剤やチタン系カップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。表面処理剤として、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタン系カップリング剤等を挙げることができる。
本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、上述したとおり、本発明の洗浄方法に使用される。即ち、本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、射出成形において用いられる射出成形機に備えられ、原料熱可塑性樹脂を可塑化、溶融するための成形用シリンダー(加熱筒、バレル)の洗浄に用いることができ、あるいは又、押出成形において用いられる押出成形機に備えられ、ダイを有し、原料熱可塑性樹脂を可塑化、溶融するための加熱シリンダーの洗浄に用いることができる。射出成形機(射出成形装置)として、例えば、公知のインラインスクリュー方式や、プランジャー方式、スクリュー・プリプラ方式の射出成形機を挙げることができる。また、押出成形機として、ベント式押出機やタンデム式押出機を含む周知の一軸押出機、パラレル式二軸押出機やコニカル式二軸押出機を含む周知の二軸押出機を用いることができるし、ダイの構造、構成、形式も、本質的に任意である。
本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物にあっては、メルトマスフローレートの値が1グラム/10分乃至12グラム/10分である高粘度のポリカーボネート樹脂を用いるので、高い温度での成形用シリンダー等の内部洗浄に供した場合でも、粘度が低くなり、剪断力が低下するといった問題が生ぜず、成形用シリンダー等の内部に残留した熱可塑性樹脂を確実に押し出すことができ、十分な洗浄力を得ることができる。また、含水率が0.1質量%以上であるが故に、成形用シリンダー等の内部洗浄に供したとき、洗浄用熱可塑性樹脂組成物中の水分が蒸気となる。それ故、化学発泡剤を添加することなく、洗浄用熱可塑性樹脂組成物の体積膨張を達成することができる結果、内部に残存した熱可塑性樹脂を成形用シリンダー等から容易に押し出すことができ、しかも、洗浄用熱可塑性樹脂組成物の製造コスト増を招くことが無く、また、発泡剤の分解残渣や有害ガスの発生といった問題が生じることもない。また、所定のメルトマスフローレートの値を有するアクリロニトリル−スチレン共重合体を添加しているが故に、スクリューやシリンダー等の金属部品に粘着することなく、容易に除去可能であるといった優れた効果を奏する。しかも、滑剤が添加されているので、成形用シリンダー等の内部に残留した熱可塑性樹脂が成形用シリンダー等の構成要素(例えば、スクリュー)から剥がれ易くなり、あるいは又、浮き易くなる。また、無機充填材が添加されているので、成形用シリンダー等の内部に残留した熱可塑性樹脂を成形用シリンダー等の構成要素(例えば、スクリュー)から確実に掻き取ることができる。
図1は、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製Mモデル)を用いて、成形用シリンダー内に配設されたスクリューのトルクが、洗浄開始からどのように変化するかを調べた結果を示すグラフである。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。
実施例1は、本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物及び洗浄方法に関する。実施例1の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、
(A)試験温度300゜C、公称荷重1.2キログラムの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が1グラム/10分乃至12グラム/10分であるポリカーボネート樹脂を30質量部乃至90質量部、
(B)試験温度220゜C、公称荷重10キログラムの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が4グラム/10分乃至10グラム/10分であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を5質量部乃至70質量部、
(C)1種類以上の滑剤を0.5質量部乃至5質量部、及び、
(D)1種類以上の無機充填材を5質量部乃至40質量部、
を含み、
含水率が0.1質量%以上である。
また、実施例1の洗浄方法にあっては、実施例1の洗浄用熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出成形機に備えられた成形用シリンダー、又は、押出成形機に備えられた加熱シリンダーの洗浄を行う。
実施例1A及び実施例1Bの洗浄用熱可塑性樹脂組成物の具体的な組成を表1に示す。また、比較例1A、比較例1B、比較例1C、比較例1D、比較例1Eの洗浄用熱可塑性樹脂組成物の具体的な組成を表1に示す。尚、表1において、『AN/SAN比』は、アクリロニトリル−スチレン共重合体におけるアクリロニトリルの組成比(単位:モル%)を意味し、『PE−WAX』は、ポリエチレンワックスを意味する。実施例1A、実施例1B、比較例1A、比較例1B、比較例1C、比較例1Dにおいて、含水率は、温度23゜C、相対湿度50%程度の環境下に24時間以上放置し、平衡吸水率まで吸水させるといった方法に基づき、表1に示した値を得ることができた。尚、ポリカーボネート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユーピロンE2000を使用し、アクリロニトリル−スチレン共重合体として、テクノポリマー株式会社製のサンレックスシリーズを使用した。
ここで、比較例1Aにあっては、ポリカーボネート樹脂を用いていない。一方、比較例1Bにあっては、アクリロニトリル−スチレン共重合体を用いていない。また、比較例1Cにあっては、ポリカーボネート樹脂の試験温度300゜C、公称荷重1.2キログラムの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が28グラム/10分であり、低粘度のポリカーボネート樹脂を使用している。更には、比較例1C及び比較例1Dにあっては、アクリロニトリル−スチレン共重合体の試験温度220゜C、公称荷重10キログラムの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が16グラム/10分及び25グラム/10分であり、低粘度のアクリロニトリル−スチレン共重合体を使用している。更には、比較例1Cにあっては、アクリロニトリル−スチレン共重合体におけるアクリロニトリルの組成比が35%である。また、比較例1Eにあっては、洗浄用熱可塑性樹脂組成物を十分に乾燥させ、含水率を0.02質量%としている。
洗浄効果の試験として、以下の方法を実施した。
射出成形機(ソディックプラステック株式会社製)において、先ず、黒色PPEペレット(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ユピエース AN60(黒色))を用いて射出成形を行った。その後、洗浄性試験として、洗浄用熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形を繰り返し、成形用シリンダー内を洗浄用熱可塑性樹脂組成物で置換し、黒色が十分に消えるまでに要する洗浄用熱可塑性樹脂組成物の質量を測定した。その結果を、表1においては、『洗浄性』(単位:キログラム)で示す。また、洗浄性試験の後、透明なポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユーピロンE2000)を用いて射出成形を繰り返し、成形用シリンダー内をポリカーボネート樹脂で置換し、十分に透明な成形品が得られるまでに要するポリカーボネート樹脂の質量を測定した。その結果を、表1においては、『置換性』(単位:キログラム)で示す。
実施例1A及び実施例1Bの洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、比較例1A、比較例1B、比較例1C、比較例1D、比較例1Eの洗浄用熱可塑性樹脂組成物のいずれよりも、洗浄性、置換性に優れた結果を示した。
[表1]
Figure 0006115469
実施例1A及び比較例1Aの洗浄用熱可塑性樹脂組成物を使用して成形用シリンダー内を洗浄したとき、成形用シリンダー内に配設されたスクリューのトルク(スクリュートルク値。単位:kg・m)が、洗浄開始からどのように変化するかを、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製Mモデル)を用いて調べた結果を図1に示す。尚、洗浄に際して、単位時間当たりの洗浄用熱可塑性樹脂組成物の使用量は、実施例1Aと比較例1Aとで同じである。また、洗浄開始時、成形用シリンダーの実施例1A及び比較例1Aの洗浄用熱可塑性樹脂組成物の温度を280゜Cとした。実施例1Aの洗浄用熱可塑性樹脂組成物にあっては、比較例1Aよりも、洗浄開始時、スクリュートルクは高い値を示した。このことは、実施例1Aの洗浄用熱可塑性樹脂組成物が、洗浄開始時、高粘度であり(即ち、粘度が低くなり、剪断力が低下するといった問題が生ぜず)、成形用シリンダー内を十分に洗浄していることを示唆している。一方、ある程度の洗浄時間が経過すると、実施例1Aの洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、比較例1Aの洗浄用熱可塑性樹脂組成物と、同じ程度のスクリュートルク値となった。このことは、成形用シリンダー内の温度が低下してきても、洗浄用熱可塑性樹脂組成物によって、成形用シリンダーの内部に残留した熱可塑性樹脂が成形用シリンダーの内壁やスクリューから剥がれ易くなり、あるいは又、浮き易くなり、また、成形用シリンダーの内部に残留した熱可塑性樹脂を成形用シリンダーの内壁やスクリューから確実に掻き取っていることを示唆している。尚、押出成形機に備えられた加熱シリンダーの洗浄においても、同様の結果が得られた。

Claims (5)

  1. (A)試験温度300℃、公称荷重1.2キログラムの条件におけるメルトマスフローレートの値が1グラム/10分乃至12グラム/10分であるポリカーボネート樹脂を30質量部乃至90質量部、
    (B)試験温度220℃、公称荷重10キログラムの条件におけるメルトマスフローレートの値が4グラム/10分乃至10グラム/10分であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を5質量部乃至70質量部、
    (C)1種類以上の滑剤を0.5質量部乃至5質量部、及び、
    (D)1種類以上の無機充填材を5質量部乃至40質量部、
    を含み、
    含水率が0.1質量%以上であり、アクリロニトリル−スチレン共重合体におけるアクリロニトリルの組成比が25モル%乃至33モル%であることを特徴とする洗浄用熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が2.2×104乃至3.2×104であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用熱可塑性樹脂組成物。
  3. アクリロニトリル−スチレン共重合体の重量平均分子量が1.6×105乃至2.7×105であることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄用熱可塑性樹脂組成物。
  4. (A)試験温度300℃、公称荷重1.2キログラムの条件におけるメルトマスフローレートの値が1グラム/10分乃至12グラム/10分であるポリカーボネート樹脂を30質量部乃至90質量部、
    (B)試験温度220℃、公称荷重10キログラムの条件におけるメルトマスフローレートの値が4グラム/10分乃至10グラム/10分であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を5質量部乃至70質量部、
    (C)1種類以上の滑剤を0.5質量部乃至5質量部、及び、
    (D)1種類以上の無機充填材を5質量部乃至40質量部、
    を含み、
    含水率が0.1質量%以上であり、アクリロニトリル−スチレン共重合体におけるアクリロニトリルの組成比が25モル%乃至33モル%である洗浄用熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出成形機に備えられた成形用シリンダー、又は、押出成形機に備えられた加熱シリンダーの洗浄を行うことを特徴とする洗浄方法。
  5. 洗浄開始時、成形用シリンダー又は加熱シリンダー内の洗浄用熱可塑性樹脂組成物の温度を240℃乃至300℃とすること特徴とする請求項に記載の洗浄方法。
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