JP6643797B2 - ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 - Google Patents
ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6643797B2 JP6643797B2 JP2014211202A JP2014211202A JP6643797B2 JP 6643797 B2 JP6643797 B2 JP 6643797B2 JP 2014211202 A JP2014211202 A JP 2014211202A JP 2014211202 A JP2014211202 A JP 2014211202A JP 6643797 B2 JP6643797 B2 JP 6643797B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon atoms
- substituent
- group
- polycarbonate resin
- halogen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Description
熱可塑性樹脂のシートやフィルムを製造するには、熱可塑性樹脂を融点以上に加熱する必要があり、またそのシート、フィルムを熱成形する際には、ガラス転移点又は軟化点以上に加熱しなければならない。
一般的なポリカーボネート樹脂は融点が230〜240℃程度、ガラス転移点が140〜150℃であることから、加熱のためのエネルギー消費量が大きい。
これらの式に従って、ガラス転移点を100〜135℃に下げようとすると、分子量が非常に低い値になってしまう。分子量があまりに低くなると、溶融時の流動性が高くなりすぎたり、機械的強度が低くなりすぎて、シートやフィルムを製造できなくなってしまう。
すなわち、本発明は、以下に示すポリカーボネート樹脂及びそれを用いたシート、フィルム、熱成形体に関する。
Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、又は、下記式(3)〜(6)で示されるいずれかの構造である。)
R10及びR11はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよく、
cは0〜20の整数を表し、 式(4)中、R12及びR13はそれぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、又は置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基を表し、
R12及びR13はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよく、
式(5)中、R14〜R17はそれぞれ水素、ハロゲン、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基を表し、
R14とR15、及びR16とR17は、それぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよく、
式(6)中、R18〜R27は、それぞれ水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基である。2.式(1)で表される1価フェノールにおけるR1の炭素数が12〜22である、上記1に記載のポリカーボネート樹脂。
3.式(1)で表わされる1価フェノールが、パラヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデシルエステル、及びパラヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステルから選択される上記1又は2記載のポリカーボネート樹脂。
4.式(2)で表される2価フェノールが、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類である上記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
5.式(2)で表される2価フェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである上記4記載のポリカーボネート樹脂。
4.シート、フィルム用材料である上記1〜3記載のポリカーボネート樹脂。
5.上記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂を原料としたシート、フィルム。
6.粘度平均分子量が18,000〜35,000である、上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
7.上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂を原料としたシート、またはフィルム。
8.上記1〜6のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂を用いて成形された熱成形体。
9.上記7に記載のフィルムを用いて成形された熱成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表わされる1価フェノール、一般式(2)に示す2価フェノール、及び、カーボネート結合剤を反応させて得られる。
R10及びR11はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12の炭素環又は複素環を形成してもよく、
cは0〜20の整数、好ましくは1〜12の整数を表す。
R12及びR13はそれぞれ水素、ハロゲン、置換基を有してもよい炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜8のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基を表す。有してもよい置換基は、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基である。
R12及びR13はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12の炭素環又は複素環を形成してもよい。
R14〜R17はそれぞれ水素、ハロゲン、置換基を有してもよい炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜8のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基を表す。有してもよい置換基は、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基である。また、R14とR15及びR16とR17は、それぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよい。
そしてR18〜R27は、それぞれ水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R18〜R27のうち少なくとも一つ、好ましくは3つが炭素数1〜3のアルキル基である。)
本発明のカーボネート結合剤としては、ホスゲン、トリホスゲン、炭酸ジエステル、及び、一酸化炭素や二酸化炭素と云ったカルボニル系化合物が例示される。
本発明の1価フェノールは末端停止剤として作用し、一般式(1)で示される。
具体的には、R1の炭素数の上限値として36が好ましく、22がより好ましく、18が特に好ましい。
また、R1の炭素数の下限値として、8が好ましく、12がより好ましい。
一例として、R1の炭素数が36以下であれば、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって生産性が高く、経済性も良い。R1の炭素数が22以下であれば、1価フェノールは、特に有機溶剤溶解性に優れており、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって生産性を非常に高くすることができ、経済性も向上する。
一般式(1)又は一般式(7)におけるR1の炭素数が小さすぎると、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点が低い値とはならず、熱成形性が低下することがある。
他に併用してもよい末端停止剤としては、フェノール、p−クレゾール、o−クレゾール、2,4−キシレノール、p−t−ブチルフェノール、o−アリルフェノール、p−アリルフェノール、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−プロピルフェノール、p−クミルフェノール、p−フェニルフェノール、o−フェニルフェノール、p−トリフルオロメチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、オイゲノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ミリスチルフェノール、パルミチルフェノール、ステアリルフェノール、ベヘニルフェノール等のアルキルフェノール及びパラヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル等のパラヒドロキシ安息香酸アルキルエステルが挙げられる。また、上記一価フェノールを2種類以上併用して使用することも可能である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、1価フェノール(末端停止剤)の使用量によって分子量が制御される。
主骨格のために使用する2価フェノール(上記一般式(2)で示される)の重合度と、1価フェノール(末端停止剤)の使用量は次式に示される。
本発明のポリカーボネート樹脂には、本発明の主旨を逸脱しない範囲で各種添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、離型剤及び着色剤から成る群から選択された少なくとも1種類の添加剤が例表される。
また、所望の諸物性を著しく損なわない限り、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等を添加してもよい。
また、フルオロアルカン− スルホン酸金属塩として、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができ、アルカリ金属塩が好ましい。フルオロアルカンスルホン酸金属塩の炭素数としては、1〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。このような範囲とすることにより、高い透明性を維持できるという効果が得られる。好ましいフルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例として、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロエタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロエタン−スルホン酸カリウム、等を挙げることができる。
また、本発明では、有機スルホン酸金属塩以外の難燃剤を配合してもよい。
離型剤の添加割合は、配合する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。離型剤の添加割合が下限値未満の場合、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の添加割合が上限値を超える場合、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等が生じる可能性がある。
着色剤の添加割合は、配合する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、例えば5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。着色剤の添加割合が多すぎると耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、ピリジン法、エステル交換法をはじめとする各種合成方法を挙げることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂中における、他の樹脂成分の配合割合は、全樹脂成分の10質量%以下であることが好ましく、1%以下がさらに好ましい。他樹脂の成分割合が10質量%を超えると諸物性を損なう可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は以下の測定条件に基づいて測定される。
測定機器:ウベローデ毛管粘度計
溶媒:ジクロロメタン
樹脂溶液濃度:0.5グラム/デシリットル
測定温度:25℃
上記条件で測定し、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η]デシリットル/グラムを求め、次式により算出する。
粘度平均分子量が35,000より大きい場合、溶融流動性が低下することがある。また、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点が低い値とはならず、熱成形性が低下することがある。
粘度平均分子量が18,000より小さい場合、耐ドローダウン性が低下することがある。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計を用い、以下に示す条件にて測定する。
測定機器:示差走査熱量測定機(DSC)
加温速度:10℃/min
ガスフロー環境:窒素20ml/min
試料前処理:300℃加熱融解
ガラス転移点が100℃未満であると、ポリカーボネート樹脂の製造上、造粒、乾燥工程においてポリカーボネート樹脂粉末が凝集し、著しく生産性が低下することがある。
上記の理由により、ガラス転移点の高い方がポリカーボネート樹脂製造上のプロセスマージンが広く、高品質のポリカーボネート樹脂を効率的、安定的に製造できる。このため、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移点は105℃以上であることがさらに好ましく、110℃以上であることが特に好ましい。
ガラス転移点が135℃より高い場合、熱成形時に樹脂を高温で軟化する必要があり、エネルギー消費量が増加することがある。
測定機器:流動特性評価装置フローテスター
荷重:160kgf/cm2
オリフィス:直径1mm×長さ10mm
測定温度:280℃
シートフィルムの生産安定性や製造時のエネルギー消費量の観点から、Q値は1×10−2cm3/s以上であり、2×10−2cm3/s以上であることがより好ましい。
上記の理由により、本発明のポリカーボネート樹脂のQ値は1×10−2cm3/s〜35×10−2cm3/sの範囲であることが好ましく、2×10−2cm3/s〜35×10−2cm3/sの範囲であることがより好ましく、2×10−2cm3/s〜30×10−2cm3/sの範囲であることが特に好ましい。
本発明のシート、フィルムの製造方法は、特に限定されないが、押出成形、キャスト成形が好ましい。
押出成形の例としては、本発明のポリカーボネート樹脂あるいは、これに添加剤を加えた樹脂組成物のペレット、フレークあるいは粉末を押出機で溶融、混練後、Tダイ等から押出し、得られる半溶融状のシートをポリッシングロール等で挟圧しながら、冷却、固化して製品とする方法が挙げられる。押出機は1軸でも2軸でもよく、またベント付き、ノンベントのいずれも使用出来る。
本発明の熱成形体とは、ポリカーボネート樹脂の熱成形によって製造された成形体である。具体的な製造方法としては、真空成形や圧縮空気圧成形が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂の熱成形性は、本発明のポリカーボネート樹脂フィルムを圧空成形して評価する。具体的には、ポリカーボネート樹脂フィルムを、200mm×300mm×180μmに裁断し、得られたサンプルフィルムを圧空成形機の型枠に取り付け、赤外線ヒーターにより、所定の温度に予熱し、2.5MPaの高圧空気により、金型(キューブ型)へ圧空成形を実施する。なお、絞り高さは、金型5mmの高さのものを使用する。
本発明のポリカーボネート樹脂フィルムを圧空成形機の型枠に取り付け、赤外線ヒーターにより、所定の温度に加熱し、耐ドローダウン性を目視にて観察する。
本発明のシート、フィルム、熱成形体は、上述した各種の好ましい形態、構成を含む本発明のポリカーボネート樹脂を含有する熱成形体である。熱成形体の形状、模様、色彩、寸法等に制限はなく、その用途に応じて任意に設定すればよい。熱成形体として、具体的には、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品、各種家庭用電気製品等の部品、電気器具のハウジング、容器、カバー、収納部、ケース、照明器具のカバーやケース等を挙げることができる。電気電子機器として、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、テレビジョン受像機、液晶表示装置やプラズマ表示装置等のディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等を挙げることができる。また、成形体として、電飾看板、液晶バックライト、照明ディスプレイ、交通標識、サインボード、スクリーン、反射板やメーター部品等の自動車部品、玩具、装飾品等も挙げることができる。
測定機器:ウベローデ毛管粘度計
溶媒:ジクロロメタン
樹脂溶液濃度:0.5グラム/デシリットル
測定温度:25℃
上記条件で測定し、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η]デシリットル/グラムを求め、次式により算出した。
測定機器:示差走査熱量測定機(DSC)(株)島津製作所製DSC−50
加温速度:10℃/min
ガスフロー環境:窒素20ml/min
試料前処理:300℃加熱融解
測定機器:流動特性評価装置フローテスター(株)島津製作所製CFT−500D
荷重:160kgf/cm2
オリフィス:直径1mm×長さ10mm
測定温度:280℃
本発明のポリカーボネート樹脂の押出成形によるフィルム化は、二軸押出機を使用し、以下に示す条件にて実施した。
押出機:東芝機械(株)製TEM26DS
押出機温度:280℃
ダイス幅:330mm
ダイス温度:260℃
本発明のポリカーボネート樹脂の熱成形性は、本発明のポリカーボネート樹脂フィルムを圧空成形して評価した。具体的には、ポリカーボネート樹脂フィルムを、200mm×300mm×180μmに裁断し、得られたサンプルフィルムを(株)NK・エンタープライズ製圧空成形機VAP−30MT(送り速度900mm/s)の型枠に取り付け、赤外線ヒーターにより、150℃、170℃、190℃に予熱し、それぞれ2.5MPaの高圧空気により、金型(キューブ型)へ圧空成形を実施した。なお、絞り高さは、金型5mmの高さのものを使用した。
本発明のポリカーボネート樹脂フィルムを圧空成形機の型枠に取り付け、赤外線ヒーターにより、150℃、170℃、190℃に加熱し、それぞれ耐ドローダウン性を目視にて観察した。
ドローダウンがほとんど観察されなかった場合、「特に良好」と評価し、ややドローダウンが観察された場合、「良好」と評価し、著しいドローダウンが観察された場合、「不良」と評価した。
有機化学ハンドブックP143〜150に基づき、東京化成工業(株)製4−ヒドロキシ安息香酸と東京化成工業(株)製1−ヘキサデカノールを用いて脱水反応によるエステル化を行い、パラヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル(CEPB)を得た。
製造例1において、1−ヘキサデカノールを新日本理化(株)製2−ヘキシルデカノール(商品名:エヌジェコール 160BR)に変更した以外は、製造例1と同様に操作して、パラヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデシルエステル(HDPB)を得た。
9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液57.2kgに、新日鉄住金化学(株)製ビスフェノールA(BPA)7.1kg(31.14mol)とハイドロサルファイト30gを加えて溶解した。これにジクロロメタン40kgを加え、撹拌しながら、溶液温度を15℃〜25℃の範囲に保ちつつ、ホスゲン4.33kgを30分かけて吹き込んだ。
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製の商品名「ユーピロン(登録商標)S−3000(末端構造はパラターシャリーブチルフェノール(PTBP))を用いて、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBの量を551g(1.52mol)に変更した以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBの量を502g(1.38mol)に変更した以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBを前記のHDPBに変更し、HDPBの量を383g(1.05mol)とした以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例4において、HDPBの量を452g(1.25mol)とした以外は、実施例4と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例4において、HDPBの量を525g(1.45mol)とした以外は、実施例4と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBを東京化成工業(株)製パラヒドロキシ安息香酸ドデシルエステル(PODB)に変更し、PODBの量を443g(1.45mol)とした以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBを東京化成工業(株)製パラヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル(EHPB)に変更し、EHPBの量を376g(1.50mol)とした以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例8において、EHPBの量を426g(1.70mol)とした以外は、実施例8と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例8において、EHPBの量を445g(1.78mol)とした以外は、実施例8と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例7において、PODBの量を630g(2.06mol)とした以外は、実施例7と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例8において、EHPBの量を514g(2.06mol)とした以外は、実施例8と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
比較例2において、PODBを東京化成工業(株)製パラヒドロキシ安息香酸ブチルエステル(POBB)とし、POBBの量を241.5g(1.24mol)とした以外は、比較例2と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
比較例2において、PODBを東京化成工業(株)製パラヒドロキシ安息香酸プロピルエステル(POPB)とし、POPBの量を224g(1.24mol)とした以外は、比較例2と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBの量を188g(0.52mol)とした以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
比較例6において、CEPBをHDPB188g(0.52mol)に変更した以外は、比較例6と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例7において、PODBの量を159g(0.52mol)とした以外は、実施例7と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
実施例1において、CEPBの量を732g(2.39mol)とした以外は、実施例1と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
比較例9において、CEPBをHDPB732g(2.39mol)に変更した以外は、比較例9と同様に操作してポリカーボネート樹脂ペレット及びフィルムを得た。
すなわち、各実施例のポリカーボネート樹脂においては、末端停止剤として、炭素数が8であるEHPB、または炭素数が16であるCEPB、HDPB等を用いてガラス転移点を100℃〜135℃、かつQ値を1×10−2cm3/s〜35×10−2cm3/sの範囲内に調整することにより、優れた熱成形性および耐ドローダウン性が実現されている。
一方、Q値が大きく高温での流動性が高すぎる比較例1、2、9、および10のポリカーボネート樹脂は耐ドローダウン性に劣り、末端停止剤として、炭素数が4と少ないPOBB、またはPOPBを用いた比較例4および5を含む比較例4〜8においては、ガラス転移点が141℃以上と高く、熱成形性に劣る結果となった。
また、上述のように熱成形性および耐ドローダウン性に優れている本発明のポリカーボネート樹脂により、耐ドローダウン性が良好な、シート、フィルムおよび成形体を提供することができる。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表わされる1価フェノール、一般式(2)に示す2価フェノール、及びカーボネート結合剤を反応させて得られるポリカーボネート樹脂を用いて成形された熱成形体であって、
前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移点が100℃〜135℃であり、かつ溶融流動性を示すQ値が1×10−2cm3/s〜35×10−2cm3/sであり、
粘度平均分子量が18,000〜35,000であり、
前記2価フェノールが、少なくとも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含む、熱成形体。
R2〜R5はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基を表す。)
Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び下記式(3)〜(6)から選択される群のうち、いずれかの構造である。)
R10及びR11はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよく、
cは0〜20の整数を表す)
R12及びR13はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよい。)
R14及びR15、並びにR16及びR17は、それぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよい。)
- 下記一般式(1)で表わされる1価フェノール、一般式(2)に示す2価フェノール、及びカーボネート結合剤を反応させて得られるポリカーボネート樹脂を原料としたフィルムを用いて成形された熱成形体であって、
前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移点が100℃〜135℃であり、かつ溶融流動性を示すQ値が1×10 −2 cm 3 /s〜35×10 −2 cm 3 /sであり、
粘度平均分子量が18,000〜35,000であり、
前記2価フェノールが、少なくとも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含む、熱成形体。
R 2 〜R 5 はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基を表す。)
Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO 2 −、−CO−及び下記式(3)〜(6)から選択される群のうち、いずれかの構造である。)
R 10 及びR 11 はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよく、
cは0〜20の整数を表す)
R 12 及びR 13 はそれぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよい。)
R 14 及びR 15 、並びにR 16 及びR 17 は、それぞれ互いに結合して、炭素数1〜20の炭素環又は複素環を形成してもよい。)
- 前記式(1)で表される1価フェノールにおけるR1の炭素数が12〜22である、請求項1または2に記載の熱成形体。
- 前記式(1)で表される1価フェノールが、パラヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデシルエステル及びパラヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステルから選択される、請求項3に記載の熱成形体。
- 前記式(2)で表される2価フェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱成形体。
- 前記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が20,000〜30,000である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014211202A JP6643797B2 (ja) | 2014-10-15 | 2014-10-15 | ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014211202A JP6643797B2 (ja) | 2014-10-15 | 2014-10-15 | ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018167827A Division JP6716652B2 (ja) | 2018-09-07 | 2018-09-07 | ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016079276A JP2016079276A (ja) | 2016-05-16 |
JP2016079276A5 JP2016079276A5 (ja) | 2016-08-12 |
JP6643797B2 true JP6643797B2 (ja) | 2020-02-12 |
Family
ID=55957789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014211202A Active JP6643797B2 (ja) | 2014-10-15 | 2014-10-15 | ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6643797B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102513655B1 (ko) * | 2017-05-24 | 2023-03-23 | 미츠비시 가스 가가쿠 가부시키가이샤 | 탄소 섬유 강화 열가소성 수지로 이루어지는 시트 및 그 시트의 제조 방법 |
JP6920916B2 (ja) * | 2017-07-28 | 2021-08-18 | 上野製薬株式会社 | 2−ナフタレンカルボン酸アミド化合物およびその製造方法 |
US20220177699A1 (en) * | 2019-04-08 | 2022-06-09 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Film, multilayered article, thermoformed article, in-mold formed article, method for producing formed article, and method for producing in-mold formed article |
JP7318408B2 (ja) * | 2019-08-09 | 2023-08-01 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 貼り合わせ用粘着シート、多層体および多層体の製造方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6369858A (ja) * | 1986-09-12 | 1988-03-29 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ポリカ−ボネ−ト樹脂組成物 |
JP2574825B2 (ja) * | 1987-12-14 | 1997-01-22 | 出光興産株式会社 | 新規ポリカーボネート系重合体とその製法 |
JPH03273256A (ja) * | 1990-03-23 | 1991-12-04 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 電子写真感光体 |
JP2872750B2 (ja) * | 1990-05-15 | 1999-03-24 | 出光興産株式会社 | 電子写真感光体 |
JP3258537B2 (ja) * | 1994-08-25 | 2002-02-18 | シャープ株式会社 | 電子写真感光体 |
JP3766527B2 (ja) * | 1997-11-20 | 2006-04-12 | 大日本印刷株式会社 | 保護層転写シートおよび印画物 |
JP3738627B2 (ja) * | 1999-09-06 | 2006-01-25 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体、それを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
JP2003096180A (ja) * | 2001-09-27 | 2003-04-03 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 直鎖状ポリカーボネート |
JP2012108298A (ja) * | 2010-11-17 | 2012-06-07 | Teijin Chem Ltd | 輝度上昇フィルム |
-
2014
- 2014-10-15 JP JP2014211202A patent/JP6643797B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016079276A (ja) | 2016-05-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5768810B2 (ja) | 透明難燃性の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP6563411B2 (ja) | 合成樹脂積層シート | |
JP6217649B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法、該樹脂組成物からなる成形品 | |
JP6643797B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 | |
JP6708664B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれを用いたフィルム並びにキャリアテープ | |
JP6716652B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂、及びそれを用いて形成されたシート、フィルム及び熱成形体 | |
JP6729559B2 (ja) | 車載用射出成形体並びにそれを用いた自動車ライトガイド、自動車内装パネル及び自動車ランプレンズ | |
US11370883B2 (en) | Polycarbonate resin composition, molded article, polycarbonate resin, and end-capping agent for polycarbonate resin | |
JP5965792B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 | |
JP6927192B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂及びその製造方法 | |
US11446899B2 (en) | Transparent film and transparent electrode | |
JP6729560B2 (ja) | 導光板用成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160624 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170718 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180308 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180320 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180509 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20180612 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180907 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180907 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20181002 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20181026 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200107 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6643797 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |