JP6767752B2 - 床版防水構造用プライマー、床版防水構造の施工方法、及び、床版防水構造体の施工方法 - Google Patents
床版防水構造用プライマー、床版防水構造の施工方法、及び、床版防水構造体の施工方法 Download PDFInfo
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Description
(1)プライマーを構成する溶媒としてアルコールを用いた場合、アスファルト残留物上での溶媒のはじきや溶解を抑制でき、プライマーを短時間で硬化させることができるとともに、硬化後はコンクリート床版に強固に固定できる。すなわち、アスファルト残留物による悪影響を低減できる。
(2)プライマーを構成する溶媒としてアルコールを用いた場合、当該アルコールは揮発性が高いことから、短時間で乾燥させることができる。
(3)プライマーを構成する溶媒としてアルコールを用いた場合、粘度を十分に低下させることができ、コンクリート床版の表面において、微粉に浸透しつつ硬化させることができる。すなわち、微粉による悪影響を低減できる。
(4)アルコールは、従来汎用されていた溶剤(キシレンやトルエン等)と比較して、人的悪影響が低減されており、現場での作業性が良好である。
(5)エポキシ系プライマーであれば、アスファルト成分が残存していたとしても、良好に硬化させることができる。
第1の本発明は、溶媒としてアルコールを10質量%以上95質量%以下含む、床版防水構造用エポキシ系プライマーである。
「床版防水構造用」とは、コンクリート床版の上方に防水層を形成して床版防水構造を施工する際に用いられることを意味する。
「エポキシ系プライマー」とは、エポキシ樹脂と硬化剤との反応によって硬化するものをいい、すなわち、上記したアルコールのほか、少なくともエポキシ樹脂や硬化剤が用いられてなる。
「ウレタン系樹脂」とは、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、ウレアウレタン樹脂の少なくとも一種を含有する樹脂である。
本発明に係る床版防水構造用プライマーは、溶媒としてアルコールを10質量%以上95質量%以下含むことを特徴とする。
本発明に係るプライマーには溶媒としてアルコールが含まれている。アルコールはアスファルト残留物上でのはじきや溶解を生じ難く、プライマーを短時間で硬化させることができるとともに、硬化後はコンクリート床版に強固に固定できる。すなわち、アスファルト残留物による悪影響を低減できる。また、アルコールは揮発性が高いことから、短時間で乾燥させることができる。また、溶媒としてアルコールを用いることで、プライマー全体として粘度を十分に低下させることができ、コンクリート床版の表面において、微粉に浸透しつつ硬化させることができる。すなわち、微粉による悪影響を低減できる。さらに、アルコールは、従来汎用されていた溶剤(キシレン等)と比較して、人的悪影響が低減されており、現場での作業性が良好である。
主剤はエポキシ樹脂を含むとともに、溶媒としてアルコールを10質量%以上95質量%以下含むものが好ましい。エポキシ樹脂は、従来のエポキシ系プライマーに含まれているエポキシ樹脂と同様のものを適用できる。数種類のエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。アルコールは上述したものと同様である。
硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させる成分を含む。エポキシ樹脂を硬化させる成分(硬化成分)は、従来のエポキシ系プライマーに含まれている成分と同様のものであって活性水素を持つものを適用できる。例えばアミンが好ましい。アミンによるエポキシ樹脂の硬化反応については公知であるため、ここでは説明を省略する。
なお、粘度の測定は、東機産業社製、「TVE−25H形粘度計」を使用し、温度25℃、回転速度100rpmの条件で測定することができる。
本発明に係るプライマー(二液型の場合は主剤及び/又は硬化剤)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルコール以外の溶媒が含まれていてもよいが、その含有量はできるだけ少ないことが好ましい。具体的には、アルコール以外の溶媒の含有量は40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは20質量%以下である。二液型の場合は、主剤及び硬化剤のいずれにおいても、アルコール以外の溶媒の含有量が40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは20質量%以下である。アルコール以外の溶媒としてはキシレン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶剤や水が挙げられる。
繊維状である場合、無機質、有機質のいずれであってもよい。例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素チタン酸カリウム繊維、金属繊維、ワラストナイト等の無機繊維、フッ素樹脂繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の有機繊維が挙げられる。
板状である場合は、ガラスフレーク、タルク、マイカ、雲母、カオリン等が挙げられる。
粒状、粉末状又は無定形の他の無機充填材としては、セメント、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、シリカ、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト、アスベスト、クレー、ゼオライト、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、セメントがより好ましい。
ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等が挙げられる。
混合セメントとしては、高炉セメント(A種、B種、C種)、フライアッシュセメント(A種、B種、C種)、シリカセメント(A種、B種、C種)等が挙げられる。
特殊セメントとしては、ポルトランドセメントをベースに様々な性質を付加したタイプのもの、例えば、膨張性セメント、低発熱セメント、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、微粒子セメント等が挙げられる。これらの中でも、普通ポルトランドセメントが好ましい。
本発明に係るプライマーは、床版防水構造用プライマーとして広く利用可能である。以下、当該プライマーを用いて床版防水構造を施工する方法について説明する。
図1、2に示すように、第1実施形態に係る床版防水構造の施工方法(方法S10)は、上述したエポキシ系プライマーをコンクリート床版1の上面に塗布してプライマー層2’を形成する、第1工程(S1)と、プライマー層2’を乾燥及び硬化させる、第2工程(S2)と、乾燥及び硬化させたプライマー層2の上面に防水層3を形成する、第3工程(S3)とを備えている。
図1及び図2(A)に示すように、S1は、上述したエポキシ系プライマーをコンクリート床版1の上面に塗布してプライマー層2’を形成する工程である。プライマーが二液型の場合は、主剤と硬化剤とを混合して得られる混合物をコンクリート床版1の上面に塗布する。コンクリート床版1の上面にプライマーを塗布する方法としては、従来の方法をいずれも適用可能である。例えば、コンクリート床版1の上面にプライマーを吹き付けたり、手塗りすることによって塗布することができる。本発明に係るプライマーは、上述した通り、アルコールによって粘度が十分に低下されているため、公知の装置を用いて、コンクリートに容易に吹き付けたり、ローラー、ローラー刷毛、ゴムレーキ等の公知の施工機器を用いることにより手塗りすることができる。
プライマー層2’の厚み(塗布量)は特に限定されるものではない。本発明に係るプライマーの濃度にもよるが、例えば、0.02kg/m2以上1kg/m2以下の塗布量とすることが好ましい。より好ましくは、0.05kg/m2以上0.8kg/m2以下、0.08kg/m2以上0.5kg/m2以下である。塗布量が0.02kg/m2未満であると、コンクリート床版との接着性が低下したり、均一に塗布することが困難となる場合がある。また、塗布量が1kg/m2を超えると、乾燥時間を短縮することが困難となる場合があり、例えば、23℃15分、好ましくは10分以内に乾燥することが難しくなる場合がある。
図1及び図2(B)に示すように、S2は、プライマー層2’を乾燥及び硬化させる工程である。上述した通り、本発明に係るプライマーにおいては、溶媒としてアルコールが含まれている。液体のアルコールは揮発性が高いため、S2において、プライマー層2’は短時間で乾燥する。一方、本発明に係るプライマーは、上述の通り、エポキシ樹脂が硬化剤と反応することで硬化するものである。乾燥及び硬化の際は加熱を行ってもよい。加熱温度は特に限定されないが、20℃以上200℃以下が好ましい。乾燥時間や硬化時間は、エポキシ樹脂及び硬化剤の濃度等によって調整可能である。本発明では、溶媒としてアルコールを含むエポキシ系プライマーを用いること、さらに、好ましくは無機充填材、中でもセメントを含むことで、第2工程に要する時間をより短縮することができる。
乾燥及び硬化後のプライマー層2の厚みは特に限定されるものではない。例えば、1μm以上250μm以下の厚みとすることが好ましく、30μm以上150μm以下の厚みとすることが更に好ましい。
プライマーの塗布は2度行うことが好ましいが、コンクリート床版1の表面状態により3度以上行ってもよい。プライマーの塗布を2度以上行う場合は、プライマーの塗布量は、全ての塗布の合計で上記好ましい範囲となるようにすればよく、プライマー層2の厚みも、全ての塗布の合計厚みで、上記好ましい範囲となるようにすればよい。
S3は、乾燥及び硬化させたプライマー層2の上面に防水層3を形成する工程である。硬化したプライマー層2の表面には微粉がほぼ存在せず、凹凸も低減されているため、防水層3を形成するにあたって適切な表面となり得る。方法S10では、プライマー層2を介して、コンクリート床版1の上面に防水層3を強固に固定することができる。防水層3は床版防水構造の防水層として公知のものをいずれも適用できる。防水樹脂を塗布する形態や防水シートを敷設する形態のいずれであってもよい。特にウレタン系樹脂を含む防水層が好ましい。このような防水層としては、例えば、特許第3956757号に記載されたようなウレタン系防水層をそのまま適用できる。
図3、4に示すように、第2実施形態に係る床版防水構造の施工方法(方法S20)は、上述したエポキシ系プライマーをコンクリート床版1の上面に塗布してプライマー層2’を形成する、第1工程(S11)と、プライマー層2’を乾燥及び硬化させる、第2工程(S12)と、乾燥及び硬化させたプライマー層2の上面に接着層11を形成する、第3工程(S13)と、接着層11の上面に防水層3を形成する、第4工程(S14)とを備えている。
なお、アミン価とは、単位質量あたりの分子中に含有される全塩基性成分を中和するのに必要な過塩素酸と等量の水酸化カルシウム(KOH)の質量で定義したものである。アミン価は、例えば、ポリアミド系樹脂試料3gをm−クレゾールに溶解し、過塩素酸メタノール溶液で電位差滴定法により滴定し、KOHのmgに換算することで求められる。
床版防水構造の施工方法の応用例について説明する。上述の通り、方法S10やS20では、コンクリート床版1の表面に微粉やアスファルト成分が残存した状態のままでS1やS11を行うことが可能である。以下、図5、6を参照しつつ、方法S10の応用例として、道路の補修における床版防水構造体の施工方法(S100)について説明する。
図6(A)に示すように、舗装体51は接着層や任意の防水層等を介してコンクリート床版1の上方に設けられたものである。S0では、このような舗装体51を接着層等とともにコンクリート床版1の表面から剥がし、コンクリート床版1を露出させる。例えば、切削機、バックホウ、ウォータージェット、ショットブラスト等を用いることで、舗装体51をコンクリート床版1から容易に剥がすことができ、コンクリート床版1の表面を露出させることができる。ただし、コンクリート床版1の表面から舗装体51由来のアスファルト成分を完全に除去することは、相当な手間、労力、時間を要し現実的でない。そのため、図6(B)に示すように、コンクリート床版1の表面にはコンクリートの削り微粉(不図示)及びアスファルト成分52が残存したままの状態となる。
上述した通り、コンクリート床版1の表面に微粉及びアスファルト成分52が残存したままであっても、S10を行うことが可能である。すなわち、溶媒としてアルコールを含むエポキシ系プライマーを用いることで、微粉やアスファルト成分52の存在によらず、短時間で、コンクリート床版1にプライマー層2を強固に固定することができ、その後、防水層3を適切に設置できる。
S4は、S10を経て形成された防水層3の上面に、好ましくは舗装接着層54等を介して舗装体53を設置する工程である。舗装体53としては、例えば、公知のアスファルト舗装体を適用できる。舗装体53と防水層3とを接着させる舗装接着層54についても、特に制限はない。
例えば、舗装接着層54として熱可塑性樹脂や熱可塑性シートを用いる場合、防水層3の表面に接着用バインダを塗布した後、熱可塑性樹脂或いはシートを配置し、加熱された舗装体53の熱によって熱可塑性樹脂或いはシートを軟化・溶融させながら、熱可塑性樹脂或いはシートと舗装体53とを密着させ、その後冷却することで、防水層3の表面に熱可塑性樹脂或いはシートを介して舗装体53を十分な強度でもって設置することができる。或いは、熱可塑性樹脂や熱可塑性シートに替えて、接着用バインダを塗布した後、珪砂や改質アスファルト等の接着材を用いて舗装接着層54を構成することもできる。本発明においては、舗装接着層54は、バインダ層及び/又は接着層等で構成されることが好ましい。具体的には、施工した床版防水構造の防水層3の上面にバインダ層を形成する第4工程と、前記バインダ層を乾燥及び硬化させる第5工程と、乾燥及び硬化させたバインダ層の上面に接着層を形成する第6工程とを経て、防水層3の上面に、バインダ層、珪砂層及び接着層からなる舗装接着層54を形成し、この上にアスファルト舗装を施して舗装体53を設置する。より好ましくは、施工した床版防水構造の防水層3の上面にバインダ層を形成する第4工程と、バインダ層に珪砂を散布した後、該バインダ層を乾燥及び硬化させる第5工程と、乾燥及び硬化させたバインダ層の上面に接着層を形成する第6工程とを経て、防水層3の上面に、バインダ層、珪砂層及び接着層からなる舗装接着層54を形成し、この上にアスファルト舗装を施して舗装体53を設置する。
本発明においては、床版防水構造体の施工時間を短縮でき、防水層3との接着性がより良好となる点から、防水層3の表面に塗布されるバインダとして、バインダの硬化時間が50分以下、さらには40分以下、特に30分以下であるものを用いると、施工時間を大幅に短縮できることが可能となる。
硬化時間の調整は、従来公知の方法により行うことができ、例えば、主剤と硬化剤との二液型の場合はそれらの混合割合を調整したり、混合の際に添加する触媒量を調整したり、混合の際の温度を調整したりすることによって可能であり、中でも触媒量を調整する方法が好ましい。
バインダの種類は特に制限はなく、防水層3の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、防水層がウレタン系樹脂を含むものである場合は、バインダはウレタン系のものであることが好ましい。
さらに、塗布されたバインダの硬化が完了しないうちに、珪砂をバインダ層の表面に散布することが好ましい。これにより散布した珪砂がバインダ層の硬化後に保持、固着されることとなり、この後、上面に塗布される接着層及び/又は舗装体53との接着性がより良好となったり、疲労耐久性が向上するという利点がある。
また、バインダが完全硬化していなくても、バインダの表面が珪砂で覆われることによって、人や車輌が通行・作業可能となり、施工時間が短縮できる等の利点がある。なお、散布された珪砂は、バインダ層に保持されていることが好ましいが、その全てがバインダ層に保持されている必要はなく、バインダ層に保持されていない珪砂層が存在していてもよい。
珪砂の散布後、舗装体53と防水層3との接着性をより向上させるために、接着層を形成することが好ましい。接着層に用いる接着材としては、床版防水構造用の接着材として機能し得るものをいずれも適用できる。作業条件や防水層3の種類にもよるが、本発明においては、アスファルト系接着材を用いることが好ましい。具体的には、アスファルトと熱可塑性樹脂を含むものが好ましく、アスファルトを30質量%以上90質量%以下及び熱可塑性樹脂を10質量%以上70質量%以下含むものがより好ましい。
芳香族系石油樹脂としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等の共重合成分を有するものを用いることができる。軟化点は80〜150℃、分子量は600〜3500のものを用いることが好ましい。
C5C9共重合石油樹脂としては、軟化点60〜150℃、分子量600〜3500のものを用いることが好ましい。
珪砂の散布方法も特に限定はなく、ブロワーを用いて散布する等、従来公知の方法を採用すればよい。
上述のバインダ層及び/又は接着層を塗布した後、舗装体、好ましくはアスファルト舗装体を、舗装体に適した温度、例えば、140〜200℃の温度で、アスファルトフィニッシャー等により敷きならし、鉄輪ローラー、耐薬やローラー等で転圧して舗装体53を設置する。この熱転圧により、舗装体53の熱が防水層3まで伝わり、この防水層3上のバインダ及び/又は接着材が溶融して、舗装体53と防水層3とが接着され、強固に接合される。この工法により、コンクリート床版1から舗装体53まで強固に接合された床版防水構造体100(舗装道路100)が提供される。
尚、方法S10の応用例としては道路の補修に限られず、既存アスファルト防水層を撤去しての防水改修においてアスファルト成分が残存する場合にも適用可能である。或いは、コンクリート床版の上面に床版防水構造を施工する場合においても適用可能である。例えば、新規にコンクリート床版を設置し、その上に新規に床版防水構造を構成するような場合においても、方法S10を適用できる。さらには、鉄筋コンクリート構造物等建築物の屋上コンクリートに新たに防水層を配する場合においても、方法S10を適用できる。コンクリート床版の表面には少なくとも微粉が存在しており、本発明に係るプライマーを用いる実益があるためである。ただし、本発明による効果が一層顕著となる観点からは、方法S10の適用例としては、コンクリート床版の表面にアスファルト成分や微粉が残存したまま床版防水構造を施工するようなものが好ましい。
・ エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学社製、「エポミックR140(エポキシ当量189)」
・ アミン:1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、三菱ガス化学社製、「1,3BAC(活性水素当量35.5)」
・ セメント:普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製
・ ポリアミド(A):熱可塑性ポリアミド樹脂、ヘンケルジャパン社製、「13U−003」、アミン価15mgKOH/g、200℃での溶融粘度2400mPa・s
・ ポリアミド(B):熱可塑性ポリアミド樹脂、ヘンケルジャパン社製、「PA6030」、アミン価1.8mgKOH/g、160℃での溶融粘度2400mPa・s
プライマー混合後の粘度は、東機産業社製、「TVE−25H型粘度計」を用い、25℃、回転速度100rpmの条件で測定した。なお、比較例2、4については、回転速度100rpmでの測定が困難であったため、比較例2は回転速度10rpm、比較例4は回転速度5rpmの条件で測定を行った。
実施例1〜4、比較例1、2:
コンクリート板(300mm×300mm×60mm)の表面をスチールショットブラスト処理し、ブロア−で削り粉を飛ばした後、その半面に、200℃で溶融させたストレートアスファルトを塗布量0.15kg/m2にて塗布し、コンクリート床版とした。次に、上述の二液型のエポキシ系プライマーを混合した後、プライマーをローラーで塗布量0.12kg/m2となるようにコンクリート床版の表面全体にローラー塗布した。10分後に、プライマーの表面に、200℃に加温した上述の接着材を塗布量1.0kg/m2となるように金属ヘラで塗布した。10分後、接着材の表面全体に、2液ウレタン系防水材(三菱樹脂インフラテック社製、「ノバレタンES」)を、スプレーガン(ガスマー社製 2液混合型吹付け機 ガスマー20/35Pro)にて塗布量1.5kg/m2にて吹付施工した。3日養生後に、ウレタン防水層の表面からカッターで20mm幅にコンクリート床版表面まで切り込みを入れ、端をバネばかりで掴み、135°の角度でピール試験を行い、ピール強度を測定するとともに破壊状況を観察した。図7に、評価に用いた床版防水構造の概略図を示す。図7(A)が側面図、図7(C)が平面図である。
プライマーにセメント40質量部配合し、接着材の塗布を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、評価した。
プライマーにセメント40質量部配合し、接着材の塗布を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、評価した。
プライマーにセメント40質量部配合し、接着材の塗布を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、評価した。
プライマーにセメント40質量部配合し、接着材の塗布は行わなかったこと以外は、比較例1と同様にして、評価した。
プライマーにセメント40質量部配合し、接着材の塗布は行わなかったこと以外は、比較例2と同様にして、評価した。
上述したピール試験において、ピール強度が4kgf/20mmを超えるものを○、強度が4kgf/20mmに満たないものや、界面破壊となったものは×とした。結果を下記表1に示す。表1において、「ピール強度(1)」はコンクリート床版とプライマー層及び接着層との間のピール強度(実施例1〜4)、コンクリート床版とプライマー層との間のピール強度(実施例5〜7)を示し、「ピール強度(2)」は表面にアスファルトが残存したコンクリート床版とプライマー層及び接着層との間のピール強度(実施例1〜4)、表面にアスファルトが残存したコンクリート床版とプライマー層との間のピール強度(実施例5〜7)を示し、「ピール強度(3)」は接着層と防水層との間のピール強度(実施例1〜4)、プライマー層と防水層との間のピール強度(実施例5〜7)を示す。
プライマーを塗布してから10分後に、指触でべたつきを確認した。べたつきの無いものを○、べたついているものを×とした。結果を下記表1に示す。
接着材を塗布してから10分後に、指触でべたつきを確認した。べたつきの無いものを○、べたついているものを×とした。結果を下記表1に示す。
実施例8:
実施例1と同様の方法で得られたコンクリート床版に、表2に記載のプライマーを、ローラー刷毛でコンクリート床版の表面全体に手塗した。15分養生後、同様の方法でさらにプライマーを塗布し15分養生した。プライマーの塗布量は、合計で0.30kg/m2となるように塗布した。その後、プライマー層の表面全体に、2液ウレタン系防水材(三菱樹脂インフラテック社製、「ノバレタンES」)を、スプレーガン(ガスマー社製 2液混合型吹付け機 ガスマー20/35Pro)にて塗布量1.5kg/m2にて吹付し、ウレタン系防水層を施工した。3日養生後に、ウレタン系バインダ(三菱樹脂インフラテック社製、「ノバレタンTCバインダ」)を0.25kg/m2の塗布量となるように金属ヘラで塗布し、その後直ちにバインダ塗布面に5号珪砂(東北硅砂社製)をブロワーを用いて1.0kg/m2の量で散布した。30分養生後、アスファルト系接着材(三菱樹脂インフラテック社製、「TCコンパウンド」)を金属へらで1.0kg/m2塗布し、接着層を形成した。
放冷後、ストレートアスファルトを用いた砕石マスチックアスファルトを、舗設温度140℃、線圧30kg/cmの条件で舗設し、床版防水構造体を得た。
ウレタン系防水層施工後の養生時間を10分にした以外は、実施例8と同様にして、床版防水構造体を得た。
実施例8と同様の方法で、ウレタン防水層まで施工し3日養生した後、溶剤系エポキシ樹脂バインダ(三菱樹脂インフラテック社製、「ノバレタンPR−200」)とセメントの混合物(質量比100:20)を、0.15kg/m2の塗布量となるようにローラー刷毛で塗布した。続いて、ポリアミド系接着材(ストレートアスファルト45質量%、ポリアミド樹脂(ヘンケルジャパン社製、「13U−003」)55質量%及びSEBS(旭化成ケミカルズ社製、「タフテック1041」)5質量%の混合物)を金属ヘラで1.0kg/m2塗布し、接着層を形成した。
続いて実施例8と同様の方法で、アスファルトを舗設し、床版防水構造体を得た。
上記記載の方法で得られたアスファルト舗設後の床版防水構造体について、「舗装調査・試験法便覧〔第3分冊〕第III章 試験編(平成19年6月 社団法人日本道路協会)」に記載の試験方法に従って、負荷時間120時間、試験温度60±0.5℃、輪荷重686±10Nの条件で、ホイールトラッキング試験を行った。
試験後の床版構造体について、防水層の性能評価のため、「道路橋床版防水便覧(平成19年3月 社団法人 日本道路協会)」の付録−1に記載の試験方法に従って、引張溶着試験を行った。
床版防水構造体から、直径10cmのコアカッターによってコンクリート床版に達するまで切り込みを入れ、上面にエポキシ接着材で固定治具を接着し、常温で6時間以上放置して接着材を硬化させた。得られた試験体の固定治具を接着剥離試験機(丸菱科学機械製作所社製「BA−800D」)に設置し、温度23℃、載荷速度毎秒0.1N/mm2の条件で鉛直方向に引張試験を行った。引張接着強度が0.6N/mm2以上であるものを「○」、0.6N/mm2未満であるものを「×」とした。結果を、下記表2に示す。
1 コンクリート床版
2’ プライマー層(乾燥・硬化前)
2 プライマー層(乾燥・硬化後)
3 防水層
20 床版防水構造
11 接着層
100 床版防水構造体(舗装道路)
51 舗装体
52 アスファルト成分
53 舗装体
54 舗装接着層
Claims (12)
- 溶媒としてアルコールを、エポキシ系プライマー全体に対して、30質量%以上95質量%以下含み、前記アルコール以外の溶媒の含有量が20質量%以下である、床版防水構造用エポキシ系プライマー。
- 前記アルコールが沸点100℃未満のアルコールである、請求項1に記載の床版防水構造用エポキシ系プライマー。
- 前記アルコールの炭素数が2以上4以下である、請求項1又は2に記載の床版防水構造用エポキシ系プライマー。
- エポキシ樹脂を含む主剤と、該エポキシ樹脂を硬化させる成分を含む硬化剤との二液型プライマーであり、
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量及び該エポキシ樹脂を硬化させる成分の活性水素当量に基づいて前記主剤及び前記硬化剤を混合して混合物とされた場合に、該混合物において溶媒としてアルコールを30質量%以上95質量%以下含むものとされている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の床版防水構造用エポキシ系プライマー。 - 前記エポキシ樹脂を硬化させる成分がアミンである、請求項4に記載の床版防水構造用エポキシ系プライマー。
- さらに、無機充填材を1質量%以上50質量%以下含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の床版防水構造用エポキシ系プライマー。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の床版防水構造用エポキシ系プライマーをコンクリート床版の上面に塗布してプライマー層を形成する第1工程と、
前記プライマー層を乾燥及び硬化させる第2工程と、
乾燥及び硬化させた前記プライマー層の上面に防水層を形成する第3工程と
を備える、床版防水構造の施工方法。 - 前記コンクリート床版が表面の一部又は全部にアスファルト成分を有するものであり、前記コンクリート床版の表面に該アスファルト成分を残存させたまま前記第1工程を行う、
請求項7に記載の方法。 - 前記第1工程の前に、コンクリート床版の上方に設けられたアスファルト成分を含む舗装体を剥がし、コンクリート床版を露出させる工程を備え、
前記コンクリート床版の表面の一部又は全部に前記アスファルト成分を残存させたまま、
前記第1工程を行う、請求項7又は8に記載の方法。 - 前記防水層がウレタン防水層である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法により床版防水構造を施工する工程と、
前記床版防水構造の前記防水層の上面にバインダ層を形成する第4工程と、
前記バインダ層を乾燥及び硬化させる第5工程と、
乾燥及び硬化させた前記バインダ層の上面に接着層を形成する第6工程と、
前記接着層の上面にアスファルト舗装を施す第7工程と
を備える、床版防水構造体の施工方法。 - 請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法により床版防水構造を施工する工程と、
前記床版防水構造の前記防水層の上面にバインダ層を形成する第4工程と、
前記バインダ層に珪砂を散布した後、該バインダ層を乾燥及び硬化させる第5工程と、
乾燥及び硬化させた前記バインダ層の上面に接着層を形成する第6工程と、
前記接着層の上面にアスファルト舗装を施す第7工程と
を備える、床版防水構造体の施工方法。
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