JP4693440B2 - 道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物とそれを用いた道路舗装方法 - Google Patents
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最近では、表面に透水性を有する舗装を施すことにより留水防止効果を持たせた排水性舗装体が安全性や騒音低減性等の点で有効であるとして、一般国道はじめ高速道路や橋梁等にも急速に普及しつつある。そして、このような排水性舗装体は、排水性舗装用アスファルト混合物からなる表層を、例えば高品質なゴム入りのアスファルト乳剤を用いてアスファルト混合物からなる基層上に接着しているのが現状である。
一方、接着層および防水層としてエポキシ樹脂を用いたものも知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、エポキシ樹脂系のものは、一般に硬化剤としてポリアミンおよびポリアミドなどが主な原材料として用いられるため可使時間の制約があり、また揮発性溶剤を配合されたものが多く、現場施工における舗装との接着性を確保するのが難しいことから、現在あまり使用されていないのが現状である。
また、このようなプライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させることを特徴とする道路舗装方法を第2の発明とする。
図1は本発明を一般の土工部道路に適用した場合を示すもので、図中1は排水性舗装用アスファルト混合物からなる表層、2はアスファルト混合物からなる基層、3は路盤、4は路床であり、前記表層1はタックコートと称される接着層10を介して基層2上に接着されたものとなっている。
また、図2は本発明を橋梁に適用した場合を示すもので、図中1は排水性舗装用アスファルト混合物からなる表層、2はアスファルト混合物からなる基層(レベリング層とも称される)、5はコンクリートあるいは鋼からなる床版であり、前記表層1は接着層10を介して基層2上に接着されたものとなっている。
なお、表層1は基層2を介さずコンクリートあるいは鋼からなる床版5に直接接着することもでき、この場合も同様の接着層10を用いることができ、更には、基層2と床版5の接着層としても用いることができる。
本発明のプライマー組成物の塗布方法は、塗布後ダンプなどの施工車両のタイヤなどに付着しないようにアスファルトフィニッシャーに装着された散布装置で機械的にアスファルト混合物の敷き均しの直前に塗布するか、または前日に塗布を行ってもよい。従来のエポキシ樹脂、主剤、硬化剤の混合物からなるプライマー組成物では、直前に塗布を行った場合、150℃以上もの加熱アスファルト混合物が補設されると、硬化時間が急激に進み、3次元網状化が速く進みすぎ、アスファルト混合物との密着性が進まず、また前日に塗布を行っても硬化物は3次元網目構造となって熱硬化性の性質しか有さないため、アスファルト混合物との十分な接着強度と防水性が確保できないのに対して、本発明は特定の硬化剤を配合してエポキシ樹脂の物性を改善すれば、熱硬化性の性質と熱可塑性の性質の両方の性質を備えたものとなって、十分な接着強度と防水性を確保できることを見出したことに起因する。即ち、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤と、特定の成分を配合した硬化剤を反応させると常温域(0℃〜45℃)で反応・ゲル化して中分子量の硬化物となり、更に、100℃〜170℃に加熱すると熱エネルギーによって反応が進みより高分子量の硬化物に成長し、物性が改善されるのである。
硬化剤の成分を、炭素数C8以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物とすることで、直鎖状の反応生成物を形成し、熱硬化性の性質と熱可塑性の性質の両方の性質を備えたものとするのである。即ち本発明者は、従来エポキシ樹脂とアミン化合物の反応は、2個以上のアミノ基と3個以上の活性水素を必要とし、また網目構造となって熱硬化性の性質しか有さないため、アスファルト混合物との一体となった密着性が進まず、十分な接着強度と防水性が確保できなかったことを究明した。
そこで、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤を直鎖状の反応生成物とするための研究を行った結果、硬化剤の成分として炭素数C8以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物を用いることに至ったのである。このモノアミン化合物は1個のアミノ基と2個の活性水素を持つものであり、直鎖状に反応を促進して網目構造にはならないため、熱硬化性でありながら、硬化物は熱可塑性の性質も有するものとするのである。
炭素数が8以上で長鎖アルキル基を有するモノアミンとは、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミンなどであり、アルキル基が飽和または不飽和結合を1個以上有する直鎖または分枝のあるモノアミンおよびその誘導体である。アスファルトとの相溶性もしくは製品の取り扱い性から炭素数12〜18の液状モノアミン化合物が好ましい。
両末端がアミノ基、水酸基、カルボキシル基で修飾された液状ブタジエンゴムとは例えば末端水酸基であるPoly bd R−45HT(出光石油化学製)またブタジエンとアクリロニトリルの共重合物で両末端がカルボキシル基のCTBN,アミノ基のATBN、(BF Goodrich社製)などがある。ゴム中のアクリロニトリルの極性により主剤であるポリエポキシ化合物との相溶が上がり、CTBNやATBNが海島構造の径が小さく、より機能化したIPNが発現されるので望ましい。
具体的な添加剤としては、サリチル酸、ルイス酸などの酸類やベンジルジメチルアミンなどの3級アミン類、フェノール類などのエポキシの熱硬化反応を促進するための反応促進剤や、前記IPNをより細かく、かつ均一に形成し、弾性接着を実現するための可撓性付与剤、例えばビスフェノールS、F、Aなどのビスフェノール類やダイマー酸やその誘導体などがある。ビスフェノール類は本配合の系では促進硬化もあるので有効である。
長鎖アルキル基を有する疎水性ものアミン化合物成分と両末端にアミン基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体成分は樹脂の熱可塑的性質と腎性的な性質を左右する。両末端が前記官能基である液状ブタジエンゴムおよびその誘導体が全硬化剤量の40%を超えると熱可塑的な性質が減少し、添加剤成分の量が15%超えると添加剤の影響が大きくなり、熱硬化でありながら熱可塑的な性質を持つ特色、および、より効果的なIPNの発現を抑えるので15%以下の配合が望ましい。
具体的には最も代表的なものとしては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物液体もしくは固形のジまたはポリグリシジルエーテルである。この他ビスフェノールF、フェノール、あるいはクレゾールノボラック樹脂などのフェノール系ジまたはポリグリシジルエーテル、ダイマー酸などのポリカルボン酸から得られたジまたはポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物から得られたジまたはポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール系ジまたはポリグリシジルエーテル、ウレタンまたはCTBN変性されたビスフェノールA系ジまたはポリグリシジルエーテル等である。そして、これらのポリエポキシ化合物1種または2種以上混合したものである。
また粘度調整として、必要に応じて、低粘度のブチルグリシジルエーテル、フェニルまたはクレジルグリシジルエーテルなどのモノエポキシ系反応性希釈剤、ベンジルアルコールやハイゾール(日石化学製)などの非反応性希釈剤などを前記ポリエポキシ化合物とともに混合する。
また、組成物中に使用されるエポキシ樹脂と硬化剤の量の配合比率は、両者の結合反応の中心となる当量値を中心に比較的広範囲であるが、当量値付近の使用が好ましい。
また、このようなプライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させる道路舗装方法により、表層と基層との接着強度が高く、かつ防水性にも優れた舗装を簡単に成形できることとなる。
1. 引張り強度および伸び率試験
本エポキシ樹脂プライマー組成物をJIS K 7113に準拠する引張り試験片を作成し20℃で24時間養生後、60℃3日間放置させた後、室温20℃に冷ましてから測定を行った。
2. アスファルト混合物との接着強度
30cm四方の厚さ9mmの鉄板上に本エポキシプライマー組成物を塗布し、その上に160℃の加熱エポキシアスファルト混合物をのせてローラで締め固めた試供体を作成し、直径10cmのコアカッターで切断した後、試験冶具を接着して建研式引張り試験機を用いて20℃で測定した。
3. 鉄版に対する接着強度
9mmの鉄板上に本エポキシ樹脂プライマー組成物を塗布し20℃で2日養生後、150℃に加熱された直径25mmの鉄製冶具を圧着して150℃に1時間養生した後、60℃で2日間放置した後、室温20℃に冷ましてから建研式引張り試験機を用いて測定した。
4. 防水性試験
日本道路協会 道路橋鉄筋コンクリート床版防水層の設計・施工資料の防水性試験に準拠して20×20×5cmコンクリート版上に本エポキシ樹脂プライマー組成物を0.7mm塗布して20℃で1日、60℃で3日養生した後、室温20℃で3日放置後、水圧1kgf/cm2、30分間の減水量を測定した。
測定結果を表1に示す。
2 基層
3 路盤
4 路床
5 床版
10 接着層
Claims (5)
- ポリエポキシ化合物に、モノエポキシ系反応性希釈剤および/または非反応性希釈剤からなる希釈剤を添加したエポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、炭素数C8以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤からなる硬化剤を配合したことを特徴とする道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
- 硬化剤の各成分は全硬化剤量に対して、長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物が50〜90重量%、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体が5〜40重量%、添加剤が2〜15重量%である請求項1に記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
- 添加剤として、反応促進剤、可撓性付与剤の1種または2種を加える請求項1または2に記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
- 主剤および/または硬化剤に、無機フィラー、チキソトロピー化剤、繊維の粉末、カップリング剤、界面活性材、消泡剤の1種または2種以上を加える請求項1〜3のいずれかに記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させることを特徴とする道路舗装方法。
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