WO2007023833A1

WO2007023833A1 - 舗装用材料とそれを用いる舗装体の構築方法

Info

Publication number: WO2007023833A1
Application number: PCT/JP2006/316455
Authority: WO
Inventors: Yoshihito Sasada; Akito Hagiwara; Masahiko Fujii; Kazuma Takeuchi; Sadaharu Ueno; Takashi Kanazawa; Tada-Aki Ikeda
Original assignee: Petro Chemicals Co., Ltd.; Nichireki Co., Ltd.
Priority date: 2005-08-24
Filing date: 2006-08-23
Publication date: 2007-03-01
Also published as: CN101248234B; JPWO2007023833A1; EP1930502A4; US20090088497A1; EP1930502B1; CN101248234A; EP1930502A1; JP4995726B2

Abstract

取り扱いが容易で、施工上の制約が少なく、かつ、分解が速やかで、耐久性に優れた舗装用材料と、その舗装用材料を用いる舗装体の構築方法を提供することを課題とし、この課題を、少なくとも、舗装用バインダ乳剤と、非水溶性のエポキシ樹脂と、その硬化剤であるアミン系化合物とを成分とし、これら３種類の成分を、施工に際し施工現場で混合して製造される舗装用材料を提供するとともに、この舗装材料を用いる舗装体の構築方法を提供し、更には、非水溶性エポキシ樹脂の硬化剤であるアミン系化合物を含み、そのアミン系化合物が少なくともポリアミノアミドを含んでいる舗装用バインダ乳剤を提供することによって解決する。

Description

明細書

舗装用材料とそれを用いる舗装体の構築方法

技術分野

[0001] 本発明は、新規な舗装用材料とそれを用いる舗装体の構築方法に関し、詳細には

、取り扱いが容易で、施工に際しての制約が少なぐかつ、優れた物性を備えた新規な舗装用材料と、その舗装用材料を用いる舗装体の構築方法に関するものである。背景技術

[0002] 近年、降雨時の視界性の確保や騒音抑制などを目的として、排水性舗装が多用される傾向にある。ところが、排水性舗装は、比較的空隙が大きぐ骨材同士の結合面積が通常の舗装に比較して小さいので、交通に供すると、特に表層部の骨材が飛散し易ぐ早期に補修が必要となる場合がある。これを防止するために、従来は、例えば、メタタリレート榭脂ゃアタリレート榭脂などを、排水性舗装の表面に塗布し、排水性舗装の表面を強化することが行われている (例えば、特許文献 1、特許文献 2参照

) o

[0003] し力しながら、メタタリレート榭脂ゃアタリレート榭脂などの榭脂液は、第 4類第 1石油類に属し、その硬化剤は粉末状の第 5類危険物（自己反応性）に属しているため、取り扱いに注意を要し、取り扱いが容易でないという問題点がある。また、メタタリレート榭脂ゃアタリレート榭脂などの榭脂液は、高温や水分を嫌うため、例えば、舗設直後で未だ温度が高！、舗装体や、転圧ローラーへの混合物の付着防止のための水散布、若しくは、交通開放時間の制約上、舗装体の温度低下を早めるための水散布、又は、降雨などで路面に未だ水分が残存している舗装体には、施工できないという制約がある。さらには、メタタリレート榭脂ゃアタリレート榭脂など榭脂液には刺激臭があり、施工を行う作業者や、近隣への配慮が必要となるという欠点がある。

[0004] 一方、榭脂に代わる舗装用材料としては、通常使用されて!、るアスファルト乳剤などの舗装用バインダ乳剤が考えられるけれども、アスファルト乳剤などの舗装用バインダ乳剤は、通常、分解後の結合力や硬さが不十分で、これを用いて排水性舗装の表面を強化しても決して満足のできる結果は得られるものではない。このため、従来から、舗装用バインダ乳剤の耐久性や耐水性を改善する試みは為されており、例えば、アスファルト乳剤にエポキシ榭脂とその硬化剤とを混合することも提案されて、る

(特許文献 3、特許文献 4参照)。しかしながら、これら従来の榭脂混合アスファルト乳剤などの榭脂混合舗装用バインダ乳剤においては、舗装用バインダ乳剤の分解が遅ぐ施工後、交通開放までに長時間を要するという欠点があり、し力も、得られる耐久性なども、決して満足できるレベルではなヽとヽぅ問題があった。

特許文献 1：特許第 2913904号公報

特許文献 2：特許第 3246460号公報

特許文献 3：特開平 11― 323140号公報

特許文献 4:特開 2001— 131388号公報

[0005] 本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために為されたもので、取り扱いが容易で、施工上の制約が少なぐかつ、分解が速やかで、耐久性に優れた舗装用材料と、その舗装用材料を用いる舗装体の構築方法を提供することを課題とするものである。

発明の開示

[0006] 上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、本発明者らは、上記従来の榭脂混合舗装用ノインダ乳剤においては、榭脂と舗装用ノインダ乳剤との混合性を考慮して水溶性のエポキシ榭脂、若しくはエマルシヨンィ匕したエポキシ榭脂が使用されているために、榭脂混合舗装用バインダ乳剤の分解が遅ぐかつ、得られる強度も不十分であることを見出した。そこで、さらに研究を重ねた結果、本発明者らは、非水溶性のエポキシ榭脂とその硬化剤とを用い、これらを施工に際して施工現場で混合することにより、意外にも、非水溶性のエポキシ榭脂を使用しながらもアスファルト乳剤などの舗装用ノインダ乳剤との混合性には全く問題がなぐしかも、分解が早ぐ得られる強度も十分な舗装用材料が得られることを見出した。

[0007] また、硬化剤であるアミン系化合物として、少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物を用いる場合には、これを予め混合したアスファルト乳剤などの舗装用ノインダ乳剤は、実用上支障のない期間、分解せずに安定に保存できること、そして、このようなアミン系化合物を予め混合した舗装用バインダ乳剤を用いれば、施工現場において、基本的には、アミン系化合物入りの舗装用バインダ乳剤と非水溶性のェポキシ榭脂とを混合するだけで本発明の舗装用材料を製造することができるので、施工作業が極めて簡単になり、施工効率が向上することを見出して本発明を完成した。

[0008] すなわち、本発明は、少なくとも、舗装用ノ^ンダ乳剤と、非水溶性のエポキシ榭脂と、その硬化剤であるアミン系化合物とを成分とし、これら 3種類の成分を、施工に際し施工現場で混合して製造される舗装用材料を提供するとともに、この舗装用材料を用いる舗装体の構築方法を提供し、更には、非水溶性エポキシ榭脂の硬化剤であるアミン系化合物を含み、そのアミン系化合物が少なくともポリアミノアミドを含んでいる舗装用バインダ乳剤を提供することによって、上記の課題を解決するものである。

[0009] 本発明の舗装用材料においては、非水溶性のエポキシ榭脂を使用し、舗装用バインダ乳剤、非水溶性のエポキシ榭脂、及び硬化剤の 3種類の成分が、施工に際し施ェ現場で混合される。施工に際し施工現場で混合するとは、施工開始時には、上記 3種類の成分は混合した状態にはなぐ施工が行われ、施工面上に散布ないしは塗布された時には、 3種類の成分が混合した状態にあることを意味している。つまり、混合力も施工までの時間は極めて短いことになる。最も極端な場合には、 3種類の成分は、施工開始時には互いに非混合状態にあり、散布ないしは塗布されて、施工面上で初めて混合される。或いは、散布されて、散布機のノズルから噴射された後、施工面上に到達するまでの間に混合される。或いは、散布機のタンク内で、 3種類の成分が混合された後、散布機のノズルカゝら施工面に向カゝつて噴射される場合もある。更には、施工現場において適宜の混合容器内で適宜混合された後、散布機を用いて散布されたり、塗布されたりする場合もある。

[0010] なお、舗装用バインダ乳剤、非水溶性のエポキシ榭脂、及び硬化剤としてのァミン系化合物という 3種類の成分を混合するに際しては、三者を同時に混合しても良いし、三者のうちのいずれか二者を先に混合し、その混合物と残る一者とを混合するようにしても良ぐその混合の順序は特に問うものではないけれども、いずれか二者を先に混合する場合には、舗装用ノインダ乳剤とアミン系化合物とをまず混合した後、その混合物と非水溶性のエポキシ榭脂とを混合するのが好ましい。特に、アミン系化合物として少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物を用い、これを舗装用バインダ乳剤と混合する場合には、その混合物は実用上支障のない程度の期間、分解せず、安定で、例えば、プラントで混合してアミン系化合物入りの舗装用バインダ乳剤とした後に施工現場へと輸送し、施工現場で非水溶性のエポキシ榭脂と混合することができる。

[0011] いずれにせよ、本発明の舗装用材料においては、非水溶性のエポキシ榭脂と舗装用バインダ乳剤及び硬化剤とは、施工に際して施工現場で混合されるので、 3種類の成分の混合物において良好な混合状態が維持される期間は極めて短時間であつても良いこととなる。このため、本発明の舗装用材料においては、 3種類の成分を混合状態で安定に保っための方策、例えばエポキシ榭脂をエマルシヨン化するなどの方策を必要としない。

[0012] また、本発明でいう施工面とは、およそ舗装用材料がその上に散布、塗布ないしは敷き均される全ての面を意味し、排水性舗装の表面をはじめ、新設、既設を含む種々の舗装体の表面はもとより、施工途上の舗設面、掘削や切削によって現れた舗設面、床版の表面なども包含するものである。

[0013] 本発明の舗装用材料は、以上のとおり構成されているので、施工後、分解及び硬化が早ぐ早期に交通開放することができる上に、硬化後には強い結合力と優れた耐摩耗性を発揮し、耐久性に優れるという利点がある。また、エポキシ榭脂だけでなぐアスファルト乳剤などの舗装用バインダ乳剤を成分として含んでいるので、施工面の温度が高くても施工が可能であり、施工面に多少の水分が残存する状態でも施工できる。このため、本発明の舗装用材料によれば、舗設直後でまだ表面温度が高い舗装体表面に施工することができ、施工効率に優れるとともに、舗装体表面が湿潤状態であっても、気にせずに施工できるという利点が得られる。さらには、本発明の舗装用材料は、取り扱いが容易で、安全に施工できるとともに、刺激臭等の発生も殆どなぐ作業環境が快適であるとの利点もある。

[0014] また、本発明の舗装用材料においては、例えば、舗装用バインダ乳剤と、硬化剤であるアミン系化合物とを、プラントなどにおいて予め混合しておく場合には、施工現場での混合のための計量操作が簡単となる上に、混合、散布等に要する設備、機械等を簡略ィ匕することができ、施工が極めて容易になるという利点が得られる。特に、硬化剤であるアミン系化合物として、ポリアミノアミドを用いる力、或いは、少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物を用い、これを予め舗装用ノインダ乳剤と混合しておく場合には、硬化剤を混合して得られる舗装用バインダ乳剤は、実用上支障のない期間、分解せず、安定であり、施工工程の簡略化、施工効率の向上に極めて有用である。

[0015] さらには、このような本発明の舗装用材料を施工面上に散布又は塗布する工程と、施工面上で舗装用バインダ乳剤の分解とエポキシ榭脂の硬化を進行させ、舗装用ノインダと硬化したエポキシ榭脂とを含む舗装層を形成する工程とを含む、本発明の舗装体の構築方法によれば、安全、簡便、かつ施工面の温度や水分の残存等の施ェ条件による制約なぐ強度と耐久性に優れた舗装層を備えた舗装体を構築することができるという優れた利点が得られるものである。

発明を実施するための最良の形態

[0016] 本発明の舗装用材料は、少なくとも、舗装用ノインダ乳剤、非水溶性エポキシ榭脂、及びその硬化剤としてのアミン系化合物を成分とするものである。以下、これら成分について順次説明する。

[0017] A.舗装用バインダ乳剤

本発明で用いる舗装用バインダ乳剤とは、アスファルト等の瀝青系バインダゃ石油榭脂系バインダなどの舗装用ノインダを乳化して得られるアスファルト乳剤や石油榭脂系バインダ乳剤などの舗装用ノインダ乳剤である。

[0018] 〈アスファルト乳剤〉

このうち、まずアスファルト乳剤について説明すると、アスファルト乳剤に用いることができる瀝青系バインダ材としては、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、プロパン脱瀝アスファルト等の石油アスファルト、レーキアスフアルト等の天然アスファルトなどを挙げることができる。これらの瀝青系バインダ材はその 1種類だけを使用しても良、し、 2種類以上を適宜組み合わせて使用しても良ヽ

[0019] 上記のようなアスファルト乳剤は、可塑剤、粘着付与剤、熱可塑性榭脂、及び Z又はゴムなどを用いて改質したものが好ましぐ改質に用いることができる可塑剤としては、脂肪族油、芳香族油、脂環族油、シリンダ油などが挙げられ、これらの可塑剤は

、そのいずれか 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。

[0020] また、アスファルト乳剤の改質に用いることができる粘着付与剤としては、脂肪族石油榭脂、芳香族石油榭脂、脂環族石油榭脂、水添石油榭脂、ロジン系榭脂、テルべン系榭脂、スチレン系榭脂、イソプレン系榭脂、クマロン'インデン榭脂などが挙げられ、これらの粘着付与剤は、そのいずれカゝ 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。

[0021] また、アスファルト乳剤の改質に用いることができる熱可塑性榭脂としては、スチレン.ブタジエンブロック共重合体（SBS)、スチレン 'イソプレンブロック共重合体（SIS) などのスチレン系榭脂、エチレン 'アクリル酸共重合体 (EAA)、エチレン酢酸ビュル共重合体（EVA)、エチレン.ェチルアタリレート共重合体（EEA)などのエチレン系榭脂、ポリエステル系榭脂、ナイロン系榭脂、アクリル系榭脂などが挙げられ、これらの熱可塑性榭脂は、そのいずれか 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。また、これらの熱可塑性榭脂は、その一部をエマルシヨン若しくはラテックスとして、本発明で用いるアスファルト乳剤に配合しても良い。

[0022] また、アスファルト乳剤の改質に用いることができるゴムとしては、天然ゴム、ガタバ一チヤ、環ィ匕ゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、塩素系ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、 EPTゴム、アルフィンゴム、スチレンブタジエンブロック重合、スチレンイソプレンブロック重合ゴムなどが挙げられ、これらのゴムは、そのいずれ力 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。また、これらのゴムは、その一部をエマルシヨン若しくはラテックスとして、本発明で用いるアスファルト乳剤に配合しても良い。

[0023] アスファルト乳剤の改質に用いる上記各材料の配合量には、改質後のアスファルト乳剤が所期の特性が得られる限り特段の制限はないけれども、例えば、熱可塑性榭脂とゴムについていえば、瀝青材 loo質量部に対し、熱可塑性榭脂及び Z又はゴムを、両者を併用する場合にはその合計量で、また、いずれか一方を単独で使用する場合にはそのいずれか一方の量で、 3〜20質量部配合するのが良ぐ好ましくは、 3 〜10質量部配合するのが良い。配合される熱可塑性榭脂及び Z又はゴムの量が 20 質量部を越えると、得られる改質アスファルトの粘度が高くなり過ぎて、乳化が困難となるので好ましくない。一方、配合される熱可塑性榭脂及び Z又はゴムの量が 3質量部を未満では、改質による効果がさほど得られな、。

[0024] 〈石油榭脂系バインダ乳剤〉

次に、本発明において乳化して石油榭脂系バインダ乳剤とされる石油榭脂系ノィンダとは、熱可塑性榭脂及びゴム、粘着付与剤、可塑剤を配合してなるものであり、必要に応じて、さらに、剥離防止剤及び Z又は粘着抑制剤を配合してなるものである

[0025] 石油榭脂系ノインダに用いることができる熱可塑性榭脂としては、スチレン'ブタジェンブロック共重合体（SBS)、スチレン 'イソプレンブロック共重合体（SIS)、及びそれらの水添品などのスチレン系榭脂、エチレン 'アクリル酸共重合体 (EAA)、ェチレン酢酸ビニル共重合体（EVA)、エチレン .ェチルアタリレート共重合体（EEA)などのエチレン系榭脂、ポリエステル系榭脂、ナイロン系榭脂、アクリル系榭脂などが挙げられ、これらの熱可塑性榭脂は、そのいずれか 1種を単独で使用しても良いし、 2 種以上を併用しても良い。また、これらの熱可塑性榭脂は、その一部をエマルシヨン若しくはラテックスとして、本発明で用いる石油榭脂系バインダ乳剤に配合しても良い

[0026] 石油榭脂系ノインダに用いることができるゴムとしては、天然ゴム、ガタバーチヤ、環ィ匕ゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジェンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、塩素系ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、 EPTゴム、アルフィンゴム、スチレンブタジエンブロック重合、スチレンイソプレンブロック重合ゴムなどが挙げられ、これらのゴムは、そのいずれか 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。また、これらのゴムは、その一部をエマルシヨン若しくはラテックスとして、本発明で用いる石油榭脂系バインダ乳剤に配合しても良い。

[0027] 石油榭脂系ノインダに用いることができる粘着付与剤としては、脂肪族石油榭脂、芳香族石油榭脂、脂環族石油榭脂、水添石油榭脂、ロジン系榭脂、テルペン系榭脂、テルペン系水添榭脂、スチレン系榭脂、イソプレン系榭脂、クマロン'インデン榭脂などが挙げられ、これらの粘着付与剤は、そのいずれカゝ 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。

[0028] 石油榭脂系ノインダに用いることができる可塑剤としては、脂肪族油、芳香族油、脂環族油、シリンダ油などが挙げられ、これらの可塑剤は、そのいずれか 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。

[0029] 石油榭脂系ノインダに用いることができる剥離防止剤としては、アミン系、アミド系、第四級アンモ-ゥム塩などの界面活性剤、リン酸エステルなどが挙げられ、これらの剥離防止剤は、そのいずれカゝ 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。

[0030] 石油榭脂系ノインダに用いることができる粘着抑制剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャ^ ~ ·トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられ、これらの粘着抑制剤は、そのいずれか 1種を単独で使用しても良いし、 2種以上を併用しても良い。

[0031] 石油榭脂系ノインダにおける上記各材料の配合量には、得られる石油榭脂系ノィンダ乳剤が所期の特性が得られる限り特段の制限はないけれども、熱可塑性榭脂及びゴム、粘着付与剤、及び可塑剤の合計 100質量部の内訳としては、熱可塑性榭脂とゴムの合計量で 1〜30質量部、粘着付与剤が 30〜94質量部、可塑剤が 5〜65質量部であるのが好ましぐより好ましくは、熱可塑性榭脂とゴムの合計量で 5〜 15質量部、粘着付与剤が 55〜80質量部、可塑剤が 10〜40質量部である。配合される熱可塑性榭脂及びゴムの合計量が 30質量部を越えると、得られる石油榭脂系ノインダの粘度が高くなり過ぎて、乳化が困難となるので好ましくない。一方、配合される熱可塑性榭脂及びゴムの合計量が 1質量部を未満では、得られる石油榭脂系バインダの強度や粘着力が不足する恐れがある。

[0032] 〈乳化〉

本発明で使用する、アスファルト乳剤 (改質アスファルト乳剤を含む)及び石油榭脂系バインダ乳剤などの舗装用ノインダ乳剤は、上記のような瀝青材、又はこれを上記のような改質剤で改質したもの、或いは上記のような石油榭脂系バインダを、乳化剤を用いて乳化することにより得ることができる。乳化に用いることができる乳化剤としては、ァニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを使用しても良ぐこれら界面活性剤のいずれか 1種を使用しても、いずれ力 2種以上を組み合わせて用いても良い。

[0033] 用いることができるァ-オン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、ロジン酸塩などが挙げられる。

[0034] 用いることができるカチオン系界面活性剤としては、長鎖アルキル基を有する脂肪族或いは脂環族のモノアミン、ジァミン、トリアミン、アミドアミン、ポリアミノェチルイミダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキルジァミン、ロジンァミン、これらァミン類の酸化エチレン付加物、ァミンオキサイドなどのアミン系界面活性剤、さらには、これらアミン系界面活性剤に塩酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶液ないしは水分散性の塩、および、これらアミン系界面活性剤の四級アンモ-ゥム塩等が挙げられる。

[0035] 用いることができるノ-オン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルェ一テル、ポリオキシエチレンアルキルフエ-ルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。

[0036] 用いることができる両性界面活性剤としては、アミノ酸型及びべタイン型のカルボン酸塩類、硫酸エステル塩類、スルホン酸塩類、リン酸エステル類等が挙げられる。

[0037] 本発明で用いる舗装用バインダ乳剤は、上記のような瀝青材、改質剤、石油榭脂系バインダ、及び乳化剤を用い、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、乳化剤と安定剤とを温水に溶解して調製した温度約 50°Cの乳化液と、加熱溶解したアスファルト、改質アスファルト、又は石油榭脂系バインダとを、コロイドミルゃノヽレルホモジナイザーのような乳化機に、同時に通し、混合乳化して製造することができる。乳化剤の使用量は、アスファルト、改質アスファルト、又は石油榭脂系バインダ 100質量部に対し、 0. 05〜8質量部が良い。安定剤は、乳化を促進したり、乳剤としての安定性を高めるために使用されるものであり、具体的には、例えば、ゼラチン、 PVA、アルギン酸ソーダ、澱粉、カルボキシメチルセルロース、塩化カルシウムなどを使用することができる。

[0038] 乳化に際しては、乳化を促進するために、加熱溶解したアスファルト、改質ァスファルト、又は石油榭脂系ノインダに、界面活性剤を適量添加しても良い。また、適宜の消泡剤や分散剤を添加しても良い。また、得られるアスファルト乳剤（改質ァスフアルト乳剤を含む)又は石油榭脂系バインダ乳剤には、熱可塑性榭脂及び Z又はゴムのエマルシヨンやラテックスを添加することもできる。このようにして得られる舗装用バインダ乳剤中に含まれる蒸発残留分 (固形分)の濃度には特段の制限はな!、けれども、通常、 30〜80質量％の範囲にあることが好ましぐより好ましくは 50〜70質量％の範囲である。

[0039] B.非水溶性のエポキシ榭脂

本発明で使用する非水溶性のエポキシ榭脂としては、非水溶性であって、分子内に 2個以上のエポキシ基を有するエポキシ榭脂、若しくは、同じく非水溶性であって、分子内に 2個以上のエポキシ基を有するエポキシ榭脂と、分子内に 2個未満のェポキシ基を有するエポキシ榭脂との混合物を用いることができる。これらのエポキシ榭脂としては、例えば、ビスフエノール A型、ビスフエノール F型、ノボラック型等のグリシジルエーテル；ダイマー酸型、三級カルボン酸型のグリシジルエステル；又は、芳香族ァミン型、ァミノフエノール型のグリシジルァミンなどが挙げられ、これらの非水溶性のエポキシ榭脂は、いずれか 1種を単独で使用しても良いし、いずれ力 2種以上を併用しても良い。中でも、ビスフエノール A型のジグリシジルエーテル、ビスフエノール F 型のジグリシジルエーテル、又はこれらの混合物を用いるのが好まし!/、。

[0040] 本発明で使用する非水溶性のエポキシ榭脂には、上述したような乳化剤を添加し、舗装用バインダ乳剤との混合性を高めることも適宜可能であり、添加する乳化剤としては、ノ-オン系の界面活性剤が好ましい。また、本発明で使用する非水溶性のェポキシ榭脂には、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらのエステル、アクリロニトリルから選ばれるアクリルィ匕合物を添加を添加して、硬化後の強度を高めることも適宜行うことができる。この場合、エポキシ榭脂に対するアクリルィ匕合物の添加量は、エポキシ榭脂 100質量部に対し、 1〜200質量部の範囲であり、好ましくは、 5〜50質量部の範囲である。 [0041] C.アミン系化合物

本発明で非水溶性のエポキシ榭脂の硬化剤として使用するァミン系化合物としては、使用する非水溶性のエポキシ榭脂と反応してエポキシ榭脂を硬化させることができる限り、基本的にはどのようなアミン系化合物を使用しても良いけれども、好ましくは、ポリアミノアミド;若しくはポリアミノアミドとポリアミンの混合物;若しくはポリアミノアミドと、ポリアミノアミド以外の変性ポリアミンの混合物;若しくはポリアミノアミドと、ポリアミンと、ポリアミノアミド以外の変性ポリアミンの混合物を用いるのが良ぐより好ましくは、ポリアミノアミド、若しくはポリアミノアミドと変性脂肪族ポリアミンとの混合物を用いるのが良い。

[0042] ポリアミノアミドと併用するポリアミンとしては、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリオキシプロピレンモノアミン、ポリオキシプロピレンジァミン、ポリォキシプロピレントリァミン、ポリシクロへキシルポリアミン混合物、 N—アミノエチルピペラジン力も選ばれる 1種若しくは 2種以上の混合物が挙げられる。ポリアミノアミド以外の変性ポリアミンとしては、エポキシァダクトの変性ポリアミン、マン-ッヒ変性ポリアミンなどの変性ポリアミンが挙げられ、中でも脂肪族の変性ポリアミンが好ましい。これらの変性ポリアミンはその 1種だけを使用しても良、し 2種以上を混合して用ヽても良い。

[0043] 上記のような硬化剤としてのアミン系化合物には、舗装用バインダ乳剤との混合性を高めるために、水を添加し、濃度 30〜80質量％の水溶液として用いるのが好ましい。このとき、アミン系化合物の水溶性を高めるために適量の酢酸を添加することができる。

[0044] また、上記のような硬化剤としてのアミン系化合物には、必要に応じて触媒を添カロすることができる。触媒としては、硬化剤の反応促進剤として通常用いられているものであればどのようなものを使用しても良ぐ特に限定されるものではないけれども、例えば、パラトルエンスルホン酸、ベンジルメチルァミン、 2, 4, 6—トリスジメチルアミノメチルフエノール等の三級アミン系化合物、 2—メチルイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。

[0045] なお、上記 3種類の成分、すなわち、舗装用バインダ乳剤、非水溶性のエポキシ榭脂、及びアミン系化合物の配合割合には、速やかな分解性並びに硬化性と所期の強度、耐久性が得られる限り特段の制限はないけれども、舗装用バインダ乳剤がァスフアルト乳剤の場合には、通常、アスファルト乳剤中の固形分 100質量部に対し、非水溶性のエポキシ榭脂を 10〜70質量部、好ましくは 15〜50質量部を配合するのが良ぐ舗装用バインダ乳剤が石油榭脂系バインダ乳剤の場合には、通常、石油榭脂系バインダ乳剤中の固形分 100質量部に対し、非水溶性のエポキシ榭脂を 10〜： LO 0質量部、好ましくは 25〜85質量部を配合するのが良い。また、非水溶性のェポキシ榭脂とその硬化剤であるアミン系化合物との割合にも、速やかな硬化性と所期の強度、耐久性が得られる限り特段の制限はないけれども、通常、非水溶性のェポキシ榭脂のエポキシ当量 1に対して、アミン系化合物の活性水素当量が 0. 1〜2. 0の範囲にあるのが好ましぐより好ましくは、非水溶性のエポキシ榭脂のエポキシ当量 1 に対して、アミン系化合物の活性水素当量が 0. 5〜1. 5の範囲にあるのが良い。

[0046] D.その他の成分

本発明の舗装用材料は、上記の成分以外にも、例えば、セメント、顔料、遮熱顔料、中空粒子などを成分とすることができる。

[0047] 添加するセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、膨張セメント、耐硫酸セメント、ジェットセメント、超速硬セメント、高炉コロイドセメント、コロイドセメント、超微粒子セメントなどが挙げられ、これらのセメントは、そのいずれか 1種を単独で添加しても良いし、 2種以上を併用して添加しても良い。

[0048] なお、セメントは、舗装用ノインダ乳剤に添加しても良!、し、非水溶性のエポキシ榭脂に添加しても良い。セメントを非水溶性のエポキシ榭脂に添加する場合には、界面活性剤や減水剤などの分散剤を適量加えることができる。セメントの添加量は、舗装用バインダ乳剤の固形分 100質量部に対して、 1〜20質量部、より好ましくは 2〜： LO 質量部の範囲である。セメントを添加することによって、本発明の舗装用材料の分解、硬化時間を短縮することができると共に、分解、硬化後の強度や耐久性を改善することができる。 [0049] 本発明の舗装用材料には、必要に応じて、適宜の顔料を添加して、所望の色調に着色することも可能である。使用できる顔料に特段の制限はないけれども、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、鉛白、黒鉛、カドミウムレッド、モリブデンォレンジ、水酸化第二鉄、酸化鉄黄、黄鉛、酸ィ匕クロム、クロムグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、マンガンバイオレットなどが挙げられる。これらの顔料は、そのいずれ力 1種を単独で使用しても良、し、 2種以上を併用しても良、。

[0050] さらに、本発明の舗装用材料には、必要に応じて、遮熱顔料や中空粒子を添加することもできる。遮熱顔料としては、例えば、舗装用に用いられている遮熱顔料であればどのようなものでも使用することができ、好ましくは、日射反射率が 10%以上であり、 CIE1976L*a*b*色空間における L*値が 80以下のものが挙げられる。本発明の舗装用材料に遮熱顔料を配合する場合、本発明の舗装用材料を用いて構築された、例えば表面処理層は、太陽からの輻射熱等を良く遮断し、特に夏季におけるヒートアイランド現象の抑制に効果がある。また、中空粒子としては、例えば、粒径が 10〜 125 μ m、好ましくは粒径が 25〜80 μ mのセラミックバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、ポリスチレン等の榭脂を用いたバルーンを用いることができ、本発明の舗装用材料にこれら中空粒子を配合する場合には、その高い断熱性、反射性、及び照射性によって、形成される舗装層の遮熱効果がさらに向上するという利点がある。

[0051] E.舗装体の構築方法

上記のような本発明の舗装用材料を用いる舗装体の構築方法を、例えば排水性舗装の表面硬化層を構築する場合を例に説明すれば、以下のとおりである。

[0052] 新設の排水性舗装に表面硬化層を構築する場合には、通常の工法によって排水性舗装を構築した後、或ヽは既設の排水性舗装に表面硬化層を構築する場合には、既設の排水性舗装の表面を十分に清掃した後、その表面に本発明の舗装用材料を散布若しくは塗布すれば良い。散布にあたっては、まず、舗装用ノインダ乳剤、非水溶性のエポキシ榭脂、及び、その硬化剤としてのアミン系化合物、及びその他の添加成分を準備し、それらを施工現場において混合ミキサに投入し、混合して、本発明の舗装用材料を製造する。ミキサへの投入順序や、混合の順序には、特段の制限はなぐ舗装用バインダ乳剤、非水溶性エポキシ榭脂、及びアミン系化合物の 3種の成分と、セメント等のその他の添加成分を、それぞれ混合ミキサに投入して、同時に混合するようにしても良いし、セメント等の添加成分と舗装用バインダ乳剤若しくは非水溶性のエポキシ榭脂とを、別途、他の混合ミキサで混合した後に、最終混合用の混合ミキサに投入するようにしても良、。

[0053] 次に、このように、施工に際して施工現場にて混合して製造された本発明の舗装用材料を、速やかに施工面である排水性舗装の表面に散布ないしは塗布する。散布ないしは塗布には、エンジンスプレーヤー等の通常の散布装置や、ローラー等の通常の塗布装置を用いることができる。散布ないしは塗布する量は、使用する本発明の舗装用材料の配合や排水性舗装の空隙率等にも依存するが、通常は、 0. 2〜1. 0リツトル Zm²程度を、一層或、は二層以上に散布な!/、しは塗布するのが良!、。

[0054] なお、場合によっては、施工前に、別途のプラント等において、舗装用バインダ乳剤とアミン系化合物とを予め所定の割合で混合して、硬化剤入りの舗装用ノインダ乳剤とし、これを施工時に施工現場において、非水溶性のエポキシ榭脂と混合して、本発明の舗装用材料を製造するようにしても良い。このように予め所定の割合で舗装用ノインダ乳剤と硬化剤とを混合した硬化剤入りの舗装用ノインダ乳剤を用意しておく場合には、この硬化剤入りの舗装用バインダ乳剤と、別途用意した非水溶性のェポキシ榭脂とを、施工現場にお！ヽて混合ミキサ等で混合して本発明の舗装用材料を製造しても良いが、例えば、二液計量混合タイプの散布装置に、上記硬化剤入りの舗装用バインダ乳剤と、非水溶性のエポキシ榭脂とをセットし、これを散布装置内で混合し、散布装置内で本発明の舗装用材料を製造することもできる。散布装置内で製造された本発明の舗装用材料は、散布装置カゝら直ちに施工面上に散布される。

[0055] このように、予め硬化剤入りの舗装用バインダ乳剤を用意しておく場合には、施工現場での混合作業が容易になる上に、舗装用ノインダ乳剤と硬化剤としてのァミン系化合物の計量、配合を施工現場で行う必要がなくなるので、施工現場での計量作業が簡単になるという利点がある。なお、この場合においても、セメント等の添加成分は、予め、若しくは施工に際して施工現場において、適宜、硬化剤入りの舗装用バインダ乳剤若しくは非水溶性のエポキシ榭脂と混合しておくことができる。

[0056] 舗装用ノインダ乳剤の種類と、硬化剤としてのアミン系化合物の種類にも依るけれども、舗装用ノインダ乳剤とポリアミノアミド、若しくは舗装用ノインダ乳剤と少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物との混合物は、意外にも、安定性に優れ、最も好ましい組み合わせの場合には、例えば 20°Cで 1ヶ月以上も分解せず、長期保存が可能である。したがって、予めプラント等で、舗装用バインダ乳剤と少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物とを所定の配合で混合し、硬化剤入りの舗装用バインダ乳剤としておけば、この硬化剤入りの舗装用ノインダ乳剤を、必要時にプラントな V、しは倉庫から出荷して、非水溶性のエポキシ榭脂と組み合わせて施工現場に搬入し、本発明の舗装用材料を製造することができる。このように、硬化剤入りの舗装用バインダ乳剤は、本発明の舗装用材料を製造するための材料として、極めて有用なものである。なお、少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物において、ポリアミノアミドの割合は、全ァミン系化合物中、ポリアミノアミドを 50質量％以上含むのが好ましぐより好ましくは 60質量％以上含むものが良い。

[0057] また、三液計量混合タイプの散布装置がある場合には、舗装用ノインダ乳剤、非水溶性のエポキシ榭脂、及びアミン系化合物の三者を、その三液計量混合タイプの散布装置にセットして、散布装置内で三者を混合して本発明の舗装用材料を製造した後、直ちに、散布装置力も施工面上に散布するようにしても良い。

[0058] 以上のような手順で、施工に際し施工現場で本発明の舗装用材料を製造し、施工面である排水性舗装の表面に、本発明の舗装用材料の層を形成し、これを分解、硬ィ匕させることによって、アスファルトや石油榭脂系バインダなどの舗装用バインダと硬化したエポキシ榭脂とを含む舗装層を備えた排水性舗装体を構築することができる。本発明の舗装用材料によって構築された舗装用ノインダと硬化したエポキシ榭脂とを含む舗装層は、強度ゃ耐摩耗性に優れ、排水性舗装の表面強化層として最適である上に、排水性舗装による騒音抑制効果を向上させることもできる。また、アタリレ一ト榭脂やメタタリレート榭脂等の榭脂液を用いていないので、安全である上に、刺激臭の発生も殆どなぐしかも、分解、硬化が速やかで、早期に交通開放することができることに加えて、排水性舗装の表面が高温であっても、また、散水や降雨等によつて表面に多少の水分が残っている状態でも施工できるので、極めて便利である。

[0059] なお、本発明の舗装用材料を用いて構築することができる舗装体は、上記のものに限られず、既設若しくは新設の舗装体の表面に、本発明の舗装用材料の散布ないしは塗布、及び、細骨材の散布を、いずれかを先にして、それぞれ同じか異なる回数ずつ 1回以上繰り返して、舗装体上に、表面処理層を構築することも可能である。さらには、本発明の舗装用材料を、ひび割れが進行した舗装表面に散布ないしは塗布し、その上カゝらオーバーレイを施す場合には、本発明の舗装用材料を用いて構築される層は、応力緩和層（SAMI層）としてリフレクションクラックを防止するだけでなぐ遮水層としても機能する。また、本発明の舗装用材料を、床版上に塗布ないしは散布して舗装層を構築する場合には、構築される層は、橋面防水に有効な防水層として機能することとなる。さら〖こは、場合によっては、本発明の舗装用材料に骨材を混合し、常温舗装用の混合物としても使用することができる。

[0060] 以下、実験をもって、本発明をさらに詳細に説明する。

[0061] 〈実験 1：アスファルト乳剤を用いる舗装用材料の特性試験〉

舗装用ノインダ乳剤としてアスファルト乳剤を用い、以下に示す材料を表 1に示す配合量 (質量部）で配合し、混合ミキサを用いて混合して、 No. 1ないし No. 8の本発明の舗装用材料を製造し、その分解時間、引張強度、その時の伸び率、並びに、接着強度を測定した。対照として、エポキシ榭脂をエマルシヨンィ匕して配合した舗装用材料 (No. 9、 No. 10)、アスファルト乳剤のみを配合した舗装用材料 (No. 11)、メタクリレート榭脂 (MMA)のみを配合した舗装用材料 (No. 12)を用意して、同様に試験した。なお、硬化剤としてのアミン系化合物と、主剤としての非水溶性エポキシ榭脂の配合割合は、非水溶性エポキシ榭脂のエポキシ当量と、硬化剤としてのアミン系化合物の活性水素当量とが 1対 1になる配合割合とした。

[0062] a.使用材料

(1)アスファルト乳剤：

.改質アスファルト乳剤 (商品名「KA— 1」、 -チレキ株式会社製造）（蒸発残留分濃度 65質量％)

(2)非水溶性エポキシ榭脂：

'ビスフエノール A型ジグリシジルエーテル（商品名「レジコン PN— 018」、ペトロケミカルス株式会社製造）（固形分 100%、エポキシ当量 190gZeq) 'ビスフエノール F型ジグリシジルエーテル（商品名「レジコン PN— 019」、ペトロケミカルス株式会社製造）（固形分 100%、エポキシ当量 168gZeq)

(3)アミン系化合物

'ポリアミノアミド（商品名「レジコン PH— 006」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 40質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

'変性脂肪族ポリアミン (商品名「レジコン PH— 001」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 77質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

(4)アクリル化合物

'変性アタリレート（商品名「レジコン PN— 003」、ペトロケミカルス株式会社製造）（固形分 100%、エポキシ当量 (換算） 100g/eq)

(5)メタタリレート榭脂

•MMA (商品名「ポーラスモード榭脂」、株式会社菱晃製造）

[0063] b.試験方法

試験方法は以下のとおりである。

(a)分解時間：

•製造した各舗装用材料を 20°Cで放置し、その表面を指で触っても舗装用材料が指に付かなくなった時間 (分)とした。

(b)引張強度及び伸び率：

•弓 I張強度と伸び率の測定 «JIS K6251に定められて、る「加硫ゴムの弓 I張試験方法」に準じて行った。すなわち、試験する各舗装用材料のそれぞれを鋼板上に厚さ約 2mmとなるように塗布し、分解'硬化させた後、長さが 100mm、両端の拡大部の幅が 25mm、中央の狭隘部の幅が 10mmのダンベル状の試験片を切り出し、 1 0°C又は 20°Cの恒温槽で 4時間養生した後、試験片両端の拡大部を試験機のつかみ具で把持して、所定の一定速度で引っ張り、試験片が破断したときの荷重並びに伸びを測定した。引っ張り強度は、測定された試験片破断時の最大引っ張り荷重を試験片断面積で除して求めた。また、伸び率は、試験片破断時の最大伸びの試験片の元の長さに対する割合である。

[0064] (c)接着試験： •接着試験は、 JIS K5400に規定されている付着強さの試験方法に準じて行った。すなわち、 70 X 70 X 20mmの大きさの鋼板の片面に、試験する各舗装用材料のそれぞれを約 3mmの厚さに塗り、その上に引っ張り用の鋼製ジグを載せ、さらにその上に質量約 lkgの錘を載せて、 24時間静置した。静置後、錘を取り除き、ジグの周りを 40 X 40mmの大きさに、鋼板に達する切り傷を付け、その状態で引張試験機にセットして、鋼板に対して鉛直方向に引張荷重を加えて、最大引張荷重を測定した。引張接着強度 A (MPa)は、測定された最大引張荷重 T(N)から下記の計算式によつて求め、各舗装用材料ごとに 3回行った結果の平均値を求めた。試験温度は 20°Cで行った。

十异- ：

A(MPa) = {T(N) /16 (cm²) } X lo lO⁶

以上の各試験の結果を表 1に併せて示す。

[表 1]

* · 「ビスフエノール A型」及び「ビスフエノール F型」は、それぞれ「ビスフエノール A型ジグリシジルェ一テル」及び「ビスフエノール F型ジグリシジルエーテル」を意味する。

[0066] 表 1に示すとおり、試験した本発明の舗装用材料 No. l〜No. 8は、いずれもその分解時間が 25分以下と短ぐこれは非水溶性のエポキシ榭脂をエマルシヨン化してアスファルト乳剤と混合した No. 9及び No. 10の舗装用材料の分解時間が 40分若しくは 35分であったのに比べて、はるかに短い分解時間であり、アスファルト乳剤のみ力もなる No. 11の舗装用材料と比べても、同じか、むしろ短ぐ本発明の舗装用材料が速やかに分解して硬化する材料であることを示している。また、本発明の舗装用材料において、分解時間は、配合されるエポキシ榭脂の量が増えるにつれて短くなることち分かる。

[0067] 引張強度は、配合されるエポキシ榭脂の量が増えるにつれて大きくなり、ァスフアルト乳剤中の固形分 100質量部に対して 46. 9質量部のエポキシ榭脂を配合した No. 6の舗装用材料においては、引張強度は最大 9. 2Mpaにも達した。また、同じェポキシ樹月旨の酉己合量で it較すると、 No. 1と No. 2、 No. 3と No. 4、更には、 No. 5と No . 6の対比から明かなとおり、硬化剤としてポリアミノアミドと変性脂肪族ポリアミンとを併用した方が、より大きな引張強度が得られることが分かる。また、同じエポキシ榭脂の配合量であっても、ビスフエノール A型ジグリシジルエーテルを使用する場合の方力ビスフエノール A型ジグリシジルエーテルとビスフエノール F型ジグリシジルエーテルとを併用する場合に比べて、やや大きな引張強度が得られた。また、非水溶性のエポキシ榭脂を用いる本発明の舗装用材料 No. 3及び No. 4の方が、同じエポキシ榭脂をエマルシヨンとして配合した No. 9及び No. 10の舗装用材料に比べて、より大きな引張強度が得られ、強度的に優れていることが分力る。

[0068] 同様の傾向は接着強度についても見られ、配合するエポキシ榭脂の量が多くなるにつれて、また、硬化剤としてポリアミノアミドと変性脂肪族ポリアミンとを併用した方力さら〖こは、ビスフエノール A型ジグリシジルエーテルを使用する場合の方力ビスフエノール A型ジグリシジルエーテルとビスフエノール F型ジグリシジルエーテルとを併用する場合よりも、それぞれ、大きな接着強度が得られることが分かる。このよう〖こ No. l〜No. 8の本発明の舗装用材料が示した接着強度は、従来のメタタリレート榭脂と比べて、決して遜色のないものであり、本発明の舗装用材料が、施工面への接着性、並びに骨材等をつなぎ止める強さにおいて、従来のメタタリレート榭脂に匹敵な!、しはこれを凌駕するものであることを物語って、る。

[0069] 〈実験 2：石油榭脂系バインダ乳剤を用いる舗装用材料の特性試験〉

舗装用ノインダ乳剤として、アスファルト乳剤に代えて、石油榭脂系バインダ乳剤（商品名「CO— 1」、 -チレキ株式会社製造）（蒸発残留分濃度 55質量％)を用いた以外は実験 1と同じ材料を用い、実験 1と同様にして、各材料を表 2に示す配合量 (質量部）で配合し、 No. 13ないし No. 18の本発明の舗装用材料を製造した。製造した No. 13ないし No. 18の舗装用材料について、実験 1と同様に、その分解時間、引張強度、その時の伸び率、並びに、接着強度を測定した。なお、硬化剤としてのアミン系化合物と、主剤としての非水溶性エポキシ榭脂の配合割合も実験 1と同様に、非水溶性エポキシ榭脂のエポキシ当量と、硬化剤としてのアミン系化合物の活性水素当量とが 1対 1になる配合割合とした。結果を表 2に示す。表 2には、実験 1におけるアスファルト乳剤のみを配合した舗装用材料 (No. 11)、メタタリレート榭脂（MMA) のみを配合した舗装用材料 (No. 12)の結果も、比較のため、併せて示した。

[0070] [表 2]

表 2に示すとおり、試験した本発明の舗装用材料 No. 13 No. 18は、いずれもその分解時間が 25分以下と短ぐこれは、アスファルト乳剤のみ力なる No. 11の舗装用材料や、メタタリレート榭脂 (MMA)のみを配合した舗装用材料 (No. 12)と比ベても、同じか、むしろ短ぐ舗装用バインダ乳剤として石油榭脂系バインダ乳剤を用 Vヽる場合でも、本発明の舗装用材料が速やかに分解して硬化する材料であることを示している。また、舗装用ノインダ乳剤として石油榭脂系ノインダ乳剤を用いる場合でも、分解時間は、配合されるエポキシ榭脂の量が増えるにつれて短くなることも分かる。

[0072] 引張強度は、配合されるエポキシ榭脂の量が増えるにつれて大きくなり、石油榭脂系バインダ乳剤中の固形分 100質量部に対して 83. 1質量部のエポキシ榭脂を配合した No. 18の舗装用材料においては、引張強度は最大 5. 5Mpaにも達した。また、同じエポキシ榭脂の配合量で比較すると、 No. 13と No. 14、 No. 15と No. 16、更には、 No. 17と No. 18の対比から明かなとおり、硬化剤としてポリアミノアミドと変性脂肪族ポリアミンとを併用した方が、より大きな引張強度が得られ、アスファルト乳剤を用いた場合と同様の傾向を示した。同様の傾向は接着強度についても見られ、配合するエポキシ榭脂の量が多くなるにつれて、大きな接着強度が得られることが分かる

。このように No. 13〜No. 18の本発明の舗装用材料が示した接着強度は、 No. 12 に示す従来のメタタリレート榭脂と比べて、決して遜色のないものであり、舗装用バインダ乳剤として石油榭脂系ノインダ乳剤を用いる場合でも、本発明の舗装用材料が、施工面への接着性、並びに骨材等をつなぎ止める強さにおいて、従来のメタクリレート榭脂に匹敵な、しはこれを凌駕する材料であることを示して、る。

[0073] 〈実験 3：硬化剤入りアスファルト乳剤の安定性〉

実験 1で用いたのと同じ材料を用い、表 1の No. l〜No. 6の舗装用材料に示す配合で、アスファルト乳剤と硬化剤だけを混合して、 No. 1Α〜Νο. 6Aの 6種類の硬化剤入りのアスファルト乳剤を製造し、 20°Cで放置して、その分解までの時間を調べた。また、実験 1で用いたのと同じアスファルト乳剤に、硬化剤として、以下に示す 6種類のアミン系化合物を混合して、 No. 19A〜No. 24Aの 6種類の硬化剤入りのァスフアルト乳剤を製造し、上記と同様に、分解するまでの時間を調べた。分解したかどうかの判定は、混合物中に塊が発生した時点をもって分解と判定した。結果を表 3に示す。

[0074] a.アミン系化合物

'エポキシ変性脂環族ポリアミン（商品名「レジコン PH— 009」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 73質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq) 'マン-ッヒ変性脂肪族ポリアミン（商品名「レジコン PH— 036」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 42質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

'脂肪族ポリアミン (ジエチレントリァミン）（商品名「レジコン PH— 037」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 11質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

'芳香族ポリアミン（ジァミノジフェニールメタン）（商品名「レジコン PH— 038」、ぺトロケミカルス株式会社製造）（濃度 60質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

'脂環族ポリアミン (イソフォロンジァミン）（商品名「レジコン PH— 039」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 21質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

'ポリオキシプロピレンジァミン（商品名「レジコン PH— 040」、ペトロケミカルス株式会社製造）（濃度 60質量％水溶液、活性水素当量 190gZeq)

[表 3]

[0076] 表 3の結果に見られるとおり、硬化剤としてポリアミノアミドか、ポリアミノアミドを含むアミン系化合物を用いた No. 1Α〜Νο. 6Aの硬化剤入りのアスファルト乳剤は、その大部分が 20°Cにおいては 4週間以上も分解せずに安定であり、分解までの時間が最も短い No. 6Aのアスファルト乳剤においても、 2週間もの期間、分解せず安定であった。これに対して、硬化剤としてポリアミノアミドを含まないアミン系化合物を用いた No. 19A〜No. 24Aの硬化剤入りのアスファルト乳剤は、いずれも 1時間以内に分解し、極めて不安定であった。このことは、少なくともポリアミノアミドを含むアミン系化合物を硬化剤として用いる場合には、硬化剤とアスファルト乳剤とを別途プラント等において予め配合、混合して、硬化剤入りのアスファルト乳剤として貯蔵、保管しておくことが可能であることを示している。安定な期間が 2週間もあれば、日本全国どこにでも輸送して、施工現場において非水溶性のエポキシ榭脂と混合し、本発明の舗装用材料を製造することができる。また、安定な硬化剤入りのアスファルト乳剤を得る上においては、硬化剤としてのアミン系化合物中に含まれるポリアミノアミドの量は、少なくとも 50質量％以上あれば良ぐ 60質量％以上が好ましいことがわかる。

[0077] 〈実験 4 :硬化剤入り石油榭脂系バインダ乳剤の安定性〉

実験 2で用いたのと同じ材料を用い、表 2の No. 13〜No. 18の舗装用材料に示す配合で、石油榭脂系バインダ乳剤と硬化剤だけを混合して、 No. 13A〜No. 18 Aの 6種類の硬化剤入りの石油榭脂系バインダ乳剤を製造した。製造した 6種類の硬ィ匕剤入りの石油榭脂系バインダ乳剤 No. 13A〜No. 18Aについて、実験 3と同様にして、 20°Cで放置し、その分解までの時間を調べた。結果を表 4に示す。

[0078] [表 4]

[0079] 表 4の結果に見られるとおり、硬化剤としてポリアミノアミドか、ポリアミノアミドを含むアミン系化合物を用いた No. 13A〜No. 18Aの硬化剤入りの石油榭脂系バインダ乳剤は、その全てが 20°Cにおいては 4週間以上も分解せずに安定であった。このことは、舗装用バインダ乳剤として石油榭脂系ノ《インダ乳剤を用いる場合であっても、硬化剤としてポリアミノアミドか、ポリアミノアミドを含むアミン系化合物を用いる場合には、硬化剤と石油榭脂系バインダ乳剤とを別途プラント等において予め配合、混合して、硬化剤入りの石油樹脂系バインダ乳剤として貯蔵、保管しておくことが可能であることを示している。これは極めて有用な特性である。また、安定な硬化剤入りの石油榭脂系バインダ乳剤を得る上においては、アスファルト乳剤の場合と同様に、硬化剤としてのアミン系化合物中に含まれるポリアミノアミドの量は、少なくとも 50質量⁰ /₀以上あれば良ぐ 60質量％以上が好ましい。

[0080] 〈実験 5：アスファルト乳剤を用いる舗装用材料の舗装体としての特性試験〉

実験 1における No. ：!〜 No. 8のアスファルト乳剤を使用した本発明の舗装用材料、及び、 No. 9〜No. 12の対照用の舗装用材料のそれぞれを用い、試験用の厚さ 5 cmの排水性アスファルト混合物上に、試験する各舗装用材料を散布 (散布量 : 0. 5 kgZm²)し、次いで、細骨材 (粒径 0. 5〜0. 15mm)を散布（散布量： 0. 25kg/m² )する作業を 2回繰り返し、表面に細骨材の層を 2層に形成した試験用の舗装体、 No . 1Τ〜Νο. 12Tをそれぞれ製造した。製造した各試験用の舗装体を十分に養生した後、以下に示す回転ホイールトラッキング試験、実車据え切り試験、すべり抵抗性試験の各試験に供した。結果を表 5に示す。

[0081] a.回転ホイールトラッキング試験

60°Cの恒温室内で、各試験用の舗装体の表面に規定荷重を負荷したソリッドタイャ（直径 200mm X幅 50mm、接地圧： 628kPa、ゴム硬度： JIS硬度 78 (60°C) )を円を描くように走行させ、ソリッドタイヤの沈下量を測定し、沈下量が 10mmに達したときの時間 (分)を求めた。

[0082] b.実車据え切り試験

恒温室内で 60°Cに養生した各試験用の舗装体の上に実車のタイヤを載せ、右に 9

0度、左に 180度、右に 90度の回転を与えるようにタイヤを据え切りし、そのときに剥離する骨材の質量 (g)を求めた。

[0083] cすべり抵抗性試験

すべり抵抗性の試験は、ダイナミック 'フリクション 'テスター（DFテスター）を用いて行った。すなわち、各試験用の舗装体の表面に散水しながら DFテスターを用いて動摩擦係数）を測定した。 DFテスターの円盤におけるタイヤゴムピースの線速度は

40kmZhとした。

[0084] [表 5]

* ：「ビスフエノール A型」及び「ビスフエノール F型」は、それぞれ「ビスフエノール A型ジグリシジルエーテノレ」及び「ビスフエノール F型ジグリシジルエーテル」を意味する。

[0085] 表 5の結果に見られるとおり、本発明の舗装用材料を用いて構築された舗装体 No . 1Τ〜Νο. 8Tは、回転ホイールトラッキング試験において、沈下量が 10mmに達するまでの時間がいずれも 590分以上と優れた結果を示した。この結果は、乳剤のみを用いて構築された対照の舗装体 No. 11Tや、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12Tに比べて、はるかに良い値であり、エポキシ榭脂をエマルシヨンィ匕して用いた No. 9Tや No. 10Tの舗装体に比べても有意に優れた値である。

[0086] 同様の傾向は実車据え切り試験においても見られ、本発明の舗装用材料を用いて構築された舗装体 No. 1Τ〜Νο. 8Tにおいて剥離する骨材の量は、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12Tにおける剥離量とほぼ同等であり、ェポキシ榭脂をエマルシヨン化して用いた No. 9Tや No. 10Tの舗装体に比べると、極めて少ない量である。回転ホイールトラッキング試験、及び実車据え切り試験におけるこれらの結果は、本発明の舗装用材料を用いて構築された表面処理層がねじれ抵抗性に極めて強いこと、本発明の舗装用材料が、ねじれ抵抗性に強い舗装体を構築するのに適して!/、ることを示して!/、る。

[0087] すべり抵抗性にっヽて見れば、本発明の舗装用材料を用いて構築された舗装体 N o. 1Τ〜Νο. 8Tは、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12Tとほぼ同等の高ヽ動摩擦係数を示し、車輛がその上をすベることなく安全に走行できることを示してヽる。

[0088] 〈実験 6 :石油榭脂系バインダ乳剤を用いる舗装用材料の舗装体としての特性試験〉実験 2における No. 13〜No. 18の石油榭脂系ノインダを使用した本発明の舗装用材料を用い、実験 5におけると同様にして、表面に細骨材の層を 2層に形成した試験用の舗装体、 No. 13T〜No. 18Tをそれぞれ製造した。製造した各試験用の舗装体を十分に養生した後、実験 5におけると同様に、回転ホイールトラッキング試験、実車据え切り試験、すべり抵抗性試験の各試験に供し、さらに、以下に示す、実車据え切り試験による剥がれ個数試験に供した。また、実験 5における No. 12Tのアタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体についても、実車据え切り試験による剥がれ個数の試験を行った。結果を表 6に示す。なお、表 6中、 No. 12Tの舗装体についての回転ホイールトラッキング試験、実車据え切り試験、すべり抵抗性試験の各試験についての結果は、表 5に示したものと同じものである。

[0089] d.実車据え切り試験による剥がれ個数試験

恒温室内で 50°Cに養生した各試験用の舗装体の上に実車のタイヤを載せ、右に 9

0度、左に 180度、右に 90度の回転を与えるようにタイヤを据え切りし、その後、実車のタイヤを取り除け、表面処理層が剥離して下層の排水性アスファルト混合物が見える領域の個数をカウントした。

[0090] [表 6]

表 6に示すとおり、舗装用ノインダ乳剤として石油榭脂系バインダ乳剤を用いて構築された本発明の舗装体 No. 13T No. 18Tは、回転ホイールトラッキング試験にぉ、て、沈下量が 10mmに達するまでの時間が!/、ずれも 620分以上と!/、う優れた結果を示した。この結果は、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12 Tに比べて、はるかに良い値であり、本発明の舗装用材料を用いて構築された舗装体が耐摩耗性に優れていることを示している。また、実車据え切り試験においても、本発明の舗装用材料を用いて構築された舗装体 No. 13T〜No. 18Tにおいて剥離する骨材の量は、配合するエポキシ榭脂の量にも依るが、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12Tにおける剥離量とほぼ同等であり、決して遜色のないものであった。

[0092] すべり抵抗性にっヽて見れば、本発明の舗装用材料を用いて構築された舗装体 N o. 13T〜No. 18Tは、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12T とほぼ同等の高ヽ動摩擦係数を示し、車輛がその上をすベることなく安全に走行でさることを示している。

[0093] さらに、実車据え切り試験による剥がれ個数試験の結果を見ると、剥がれ個数は、配合するエポキシ榭脂の量が増すに連れて少なくなり、かつ、硬化剤として、ポリアミノアミド単独よりも変性脂肪族ポリアミンを併用した場合の方がより少なくなる傾向があつた。すなわち、硬化剤としてポリアミノアミドを単独で使用する場合には、石油榭脂系バインダ乳剤中の固形分 100質量部に対し主剤であるエポキシ榭脂の固形分量力 7質量部以上の No. 15、及び No. 17Tの舗装体においては、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12Tにおけるとほぼ同等か、はるかに少ない剥がれ個数であった。一方、変性脂肪族ポリアミンを併用した No. 14T、 No. 16T 、及び No. 18Tのいずれの舗装体においても、アタリレート榭脂を用いて構築された対照の舗装体 No. 12Tよりも有意に少ない剥がれ個数であり、 No. 18Tの舗装体に至っては、剥がれ個数は 0個であった。

[0094] これら、回転ホイールトラッキング試験、実車据え切り試験、及び実車据え切り試験による剥がれ個数試験における結果は、舗装用バインダ乳剤として石油榭脂系バインダ乳剤を用いる場合であっても、本発明の舗装用材料を用いて構築された表面処理層がねじれ抵抗性に極めて強いこと、本発明の舗装用材料力ねじれ抵抗性に強 V、舗装体を構築するのに適して!/、ることを示して、る。

[0095] 〈実験 7 :遮熱性試験〉

実験 2で製造した No. 16の舗装用材料と同じ配合の舗装用材料、及び、実験 1で用いた No. 12と同じくメタタリレート榭脂（MMA)のみを配合した舗装用材料を用い、これらの各々に遮熱顔料（「サ一モテック w用遮熱顔料」、二チレキ株式会社販売）

、及び中空粒子（「サ一モテック W用中空粒子」、二チレキ株式会社販売）を混合して、その遮熱性を試験した。遮熱性の試験は、「舗装」、 Vol. 40、 No. 3、株式会社建設図書、平成 17年 3月 1日、 17〜19頁に記載されている「遮熱性舗装室内照射試験法 (暫定版)」に準じて行った。但し、試験温度は 30°Cで行った。

[0096] すなわち、排水性混合物のホイールトラッキング試験用の供試体（30cm X 30cm

X 5cm)を 3個作成し、それぞれの表面の所定位置に熱電対を設置する一方で、表 2における No. 16の舗装用材料と同じ配合の舗装用材料、及び、表 1における No. 12と同じくメタタリレート榭脂 (MMA)のみを配合した舗装用材料のそれぞれに、遮熱顔料と中空粒子とを表 7に示す配合割合で混合し、遮熱性試験用の舗装用材料 No. 16S、及び No. 12Sを製造した。これらの舗装用材料 No. 16S、及び No. 12 Sのそれぞれを、上記熱電対を設置した供試体の上力も 0. 5kgZm²の割合で、熱電対が完全に覆われるまで塗布し、その後、 30°Cで 5時間養生した。同様に、いずれの舗装用材料も塗布しない供試体を対照とし、同じぐ 30°Cで 5時間養生した。

[0097] 養生後、舗装用材料を塗布していない対照の供試体の直上 50cmの位置に白熱ランプを設置して、白熱ランプを点燈させて供試体を照射し、供試体に取り付けた熱電対が示す温度が 60°Cまで上昇するに要した時間を測定した。遮熱性試験用の舗装用材料 No. 16S及び No. 12Sをそれぞれ塗布した供試体を、対照の供試体と同じ条件下で、対照の供試体が 60°Cまで温度上昇するのと同じ時間だけ白熱ランプで照射し、その時の供試体に取り付けた熱電対の温度を測定し、遮熱性の目安とした。結果を表 7に示す。

[0098] [表 7]

* ：「ビスフエノール Α型」及び「ビスフエノール F型」は、それぞれ「ビスフエノール A¾yジグリシジルエーテル」及び「ビスフエノール F型ジグリシジルエーテル」を意味する。

* * ：括弧内は、舗装用材料（石油樹脂系バインダ乳剤 +硬化剤 +主剤）に

含まれる固形分 1 0 0質量部に対する配合を示す。

[0099] 表 7に示すとおり、遮熱性舗装を有しない対照の供試体が 60°Cまで温度上昇する条件下において、遮熱顔料及び中空粒子を配合した本発明の舗装用材料は、 48. 8°Cまでしか上昇せず、同じく遮熱顔料及び中空粒子を配合した従来のメタタリレート榭脂 (MMA)のみを配合した舗装用材とほぼ同等の遮熱性を示した。この結果から、本発明の舗装用材料は、遮熱顔料及び Z又は中空粒子と併用した場合、遮熱性舗装用の舗装用材料としても有用で優れたものであることが確認された。

[0100] 以上のとおり、本発明の舗装用材料は、それ自体でも優れた引張強度や接着強度を示すのみならず、本発明の舗装用材料を用いて舗装体を構築した場合にぉヽても、高いねじれ抵抗性とすべり抵抗性を示し、耐摩耗性及び耐久性に優れた舗装体を構築することができる、優れた極めて有用な舗装用材料である。カロえて、本発明の舗装用材料は、分解時間が短いので、施工後、早期に交通開放をすることができるという利点も備えるものである。さらに、本発明の舗装用材料は、遮熱顔料や中空粒子を配合した場合、遮熱性舗装用の舗装用材料としても有用である。

産業上の利用可能性以上説明したとおり、本発明の舗装用材料は、分解が早ぐし力も引張強度や伸び率、接着強度にも優れているので、このような本発明の舗装用材料を用いれば、ねじれ抵抗性のみならず、すべり抵抗性にも優れた、耐久性のある舗装体を構築することが可能である。し力も、本発明の舗装用材料は、安全で、取り扱いが容易であり、刺激臭を発することも殆どなぐ施工時の制約も少ないので、容易に路面のクラック等を封緘し、舗装体を若々しく蘇らせ延命させる表面処理層を始め、応力緩和層やその他種々の舗装層を容易に構築することを可能にするものである。さらには、本発明の舗装用材料は、遮熱顔料や中空粒子を配合して遮熱性舗装用の舗装用材料としても有用である。本発明は道路交通環境の改善のみならず、夏季のヒートアイランドィ匕現象の防止にも資するところ大であり、産業上極めて有用な発明である。

Claims

請求の範囲

[1] 少なくとも、舗装用バインダ乳剤と、非水溶性のエポキシ榭脂と、その硬化剤であるアミン系化合物とを成分とし、これら 3種類の成分を、施工に際し施工現場で混合して製造される舗装用材料。

[2] 舗装用ノインダ乳剤と、非水溶性のエポキシ榭脂の硬化剤であるアミン系化合物とが予め混合されており、その混合物を、施工に際し施工現場で非水溶性のエポキシ榭脂と混合して製造される請求項 1記載の舗装用材料。

[3] アミン系化合物が、少なくともポリアミノアミドを含んでいる請求項 2記載の舗装用材料。

[4] 舗装用ノインダ乳剤が、アスファルト乳剤又は石油榭脂系バインダ乳剤である請求項 1〜3のいずれかに記載の舗装用材料。

[5] アスファルト乳剤中の固形分 100質量部に対し、非水溶性のエポキシ榭脂を 10〜

70質量部配合してなる力、石油榭脂系バインダ乳剤中の固形分 100質量部に対し、非水溶性のエポキシ榭脂を 10〜： L00質量部配合してなる請求項 4記載の舗装用材料。

[6] さらに、セメント、顔料、遮熱顔料、及び Z又は中空粒子を含む請求項 1〜5のいずれかに記載の舗装用材料。

[7] 請求項 1〜6のいずれかに記載の舗装用材料を、施工面上に散布又は塗布するェ程と、施工面上で舗装用バインダ乳剤の分解とエポキシ榭脂の硬化を進行させ、舗装用バインダと硬化したエポキシ榭脂とを含む舗装層を形成する工程とを含む、舗装用バインダと硬化したエポキシ榭脂とを含む舗装層を備えた舗装体の構築方法。

[8] さらに、骨材を散布する工程を含み、請求項 1〜6のいずれかに記載の舗装用材料を、施工面上に散布又は塗布する工程と、骨材を散布する工程とが、いずれかを先にして、それぞれ同じか異なる回数ずつ 1回以上行われる、請求項 7に記載の舗装用ノインダと硬化したエポキシ榭脂とを含む舗装層を備えた舗装体の構築方法。

[9] 請求項 1〜6のいずれかに記載の舗装用材料にさらに骨材を混合し、施工面上に敷き均す工程を含む、舗装用バインダ、硬化したエポキシ榭脂、及び骨材を含む舗装層を備えた舗装体の構築方法。非水溶性エポキシ榭脂の硬化剤であるアミン系化合物を含み、そのアミン系化合物が少なくともポリアミノアミドを含んでいる舗装用ノインダ乳剤。

舗装用ノインダ乳剤が、アスファルト乳剤又は石油榭脂系バインダ乳剤である請求項 10記載の舗装用材料。