JP4287176B2 - エポキシ樹脂硬化剤およびプライマー組成物、並びに該プライマー組成物を用いた塗装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性、強度、可撓性、防錆性に優れたエポキシ樹脂をアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂のプライマーとして用いるに際し適したエポキシ樹脂硬化剤およびプライマー組成物、並びに該プライマー組成物を用いた塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平9−1063号公報
【特許文献2】
特開昭52−43831号公報
【特許文献3】
特開2002−12818号公報
【特許文献4】
特開2001−323210号公報
【0003】
従来、各種分野で、コンクリートを代表とする各種無機基材、金属基材に対して、密着性、強度、可撓性、防錆性、上塗り性の面からビスフェノール型エポキシ樹脂系プライマーが汎用的に使用されている。
【0004】
また、近年、耐候性、表面硬度、耐汚染性等の要求から、アルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂(アクリルシリコーン樹脂、シリコーンシーリング剤用樹脂、変性シリコーンシーリング剤用樹脂、ストレートシリコーン樹脂およびこれらのハイブリッド形態を有する樹脂)が、上塗り塗料(アルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料)として多用されてきている。
【0005】
しかし、これらアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料は、基材密着性に乏しく、アルキッド、アクリル、エポキシ、ウレタン樹脂など有機系プライマーとの層間密着性も優れているとは言い難い。また、基材(被塗物)をエポキシ、アミノ、ビニル、(メタ)アクリロイル系シランカップリング剤などで処理する手法も実施されているが、十分な効果を発揮していないのが現状である。
【0006】
上記問題を解決する目的で加水分解性アルコキシシリル基を含有するビニル(アクリル)系共重合体を主成分とするプライマーを使用し、アルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂を上塗りする無機質化粧板の製造方法(特許文献1参照)、シリコーンエラストマーを接着させる方法(特許文献2参照)が開示されている。しかし、アルコキシシリル基を含有するビニル(アクリル)系共重合体は価格が高価な上、耐水密着性、金属密着性、防錆性、貯蔵安定性に関して問題がある。また、非極性のシリコーン樹脂を上塗りする場合には、極性の高いビニル(アクリル)系共重合体を主成分とするプライマーとの馴染みが悪く、十分な接着性が得られないことがあった。
【0007】
一方、特許文献3においては、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルコキシシラン部分縮合物を脱アルコールして得られるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用硬化剤からなる各種無機基材に対するコーティング組成物が提案されているが、硬化に高温、長時間を要するという問題があり、常温で汎用に用いることはできない。
【0008】
さらに、特許文献4においては、シリコーンエラストマーを接着させる際に有効なプライマーとして、加水分解性アルコキシシリル基を有するビニル系共重合体と加水分解性アルコキシシリル基を有する飽和炭化水素系重合体または加水分解性アルコキシシリル基を有するポリブタジエン系重合体とを含有するプライマー組成物が、提案されているが、上塗りに硬質塗膜を形成した際にクラックが発生するという問題を抱えている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記諸問題の解決のために種々提案がなされているが、アルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料を上塗り塗料とした場合に、そのプライマーとして汎用のエポキシ樹脂系プライマーが使用できないのが現状である。
その理由の1つとして、エポキシ樹脂系プライマーと上塗りアルコキシシリル基加水分解硬化成分との相溶性が悪く、プライマー層と上塗り塗料層との間に界面が生じやすいこと、アルコキシシリル基加水分解縮合部位の極性が低く、水素結合など相互作用が働きづらいこと、などが挙げられる。
【0010】
一方、多くの塗装仕様において、基材の種類に応じてプライマーを選択し、上塗りには耐候性、耐久性に優れた上塗り塗料を用いる傾向が強い。そして、上塗り塗料が種々提案されている中、プライマーにはエポキシ樹脂系プライマーを使用しているケースが多い。その理由として、安価、良好な作業性、基材−上塗り密着性が優れる事が挙げられる。
【0011】
本発明は、以上説明した従来技術の欠点を改良し、現状で採用されている「基材−エポキシ樹脂系プライマー−上塗り塗料」という仕様の大幅な変更をすることなく、安価で基材接着性に優れたエポキシ樹脂系プライマーを用い、かつ、上塗り塗料としてアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料を用いて塗装しても、プライマー−上塗り塗料間の高い密着性を簡便な手法で可能とするエポキシ樹脂硬化剤およびプライマー組成物、並びに該プライマー組成物を用いた塗装方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、プライマー層と上塗り塗料層との界面に、プライマー層および上塗り塗料層と化学的に共有結合することができる化合物を存在させることが、前述の諸問題を飛躍的に解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下<1>〜<7>のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤、エポキシ樹脂硬化剤およびプライマー組成物、並びに該プライマー組成物を用いた塗装方法である。
【0013】
<1> 少なくともポリアミン系のエポキシ樹脂硬化成分と、下記一般式(1)で表される反応性シリコーンオイルからなるエポキシ樹脂硬化剤用添加剤とを含み、該エポキシ樹脂硬化剤用添加剤の配合割合が、前記エポキシ樹脂硬化成分100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲であることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤。
一般式(1)
【0014】
【化3】
【0015】
{上記式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、炭素数1〜3の未置換のアルキル基を表し、Mは、下記構造単位UX、UYおよびUZがそれぞれx個、y個およびz個、任意の順に連結した連結基である。
【0016】
【化4】
【0017】
(上記式中、R7〜R9は、それぞれ独立に、炭素数1〜3の未置換のアルキル基、あるいは未置換のフェニル基を表し、Xは、少なくともアルコキシシリル基を有する置換エチル基または置換プロピル基を表し、Yは、少なくともエポキシ基を有する置換アルキル基または少なくともエポキシ基を有する置換アルキルエーテル基を表し、Zは、炭素数6〜18のフェニル置換または未置換のアルキル基を表す。また、xおよびyはそれぞれ独立に1以上であり、zは0以上であり、これらは、一般式(1)全体の数平均分子量が544〜100,000の範囲となり得る整数である。)}
【0019】
<2> 少なくともビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、<1>に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、からなることを特徴とする二液型のプライマー組成物である。
【0020】
<3> さらに、溶剤および/またはフィラーを含むことを特徴とする<2>に記載のプライマー組成物である。
<4> 被塗物に、<2>または<3>に記載のプライマー組成物からなるプライマーを塗装し、さらにその上に、アルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料を上塗り塗装することを特徴とする塗装方法である。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<エポキシ樹脂硬化剤用添加剤>
本発明のエポキシ樹脂硬化剤に用いるエポキシ樹脂硬化剤用添加剤(以下、単に「本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤」という場合がある。)は、後述のエポキシ樹脂硬化成分と混在させ、かつこれを後述のビスフェノール型エポキシ樹脂に混ぜることでプライマーを調製することができ、当該プライマーは、基材との間の密着性は勿論、上塗りされるアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料による層との密着性に極めて優れたものとなる。
【0022】
この機構は、以下のように推定される。本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤が、プライマー層と上塗り塗料層との界面に存在し、しかもこれがプライマー層および上塗り塗料層と化学的に共有結合することができる化合物であるため、両者の密着性が飛躍的に向上する。元々、エポキシ樹脂系プライマーは、各種基材との密着性に優れたものであるため、前記プライマーが基材と上塗り塗料層との間に介在することで、塗膜全体として極めて高い密着性、耐久性、耐候性を兼ね備えたものとなる。
【0023】
なお、本発明においてプライマー組成物とは、プライマーを構成する各種成分の集合体を意味し、それらが別個独立のもの、任意の組み合わせで配合されたもの、全てが配合されてプライマーとなっているもの等の具体的な剤型は問わない概念とする。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤は、下記一般式(1)で表される反応性シリコーンオイル(以下、単に「特定の反応性シリコーンオイル」という場合がある。)からなることを特徴とする。
一般式(1)
【0025】
【化5】
【0026】
{上記式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、炭素数1〜3の未置換のアルキル基を表し、Mは、下記構造単位UX、UYおよびUZがそれぞれx個、y個およびz個、任意の順に連結した連結基である。
【0027】
【化6】
【0028】
(上記式中、R7〜R9は、それぞれ独立に、炭素数1〜3の未置換のアルキル基、あるいは未置換のフェニル基を表し、Xは、少なくともアルコキシシリル基を有する置換エチル基または置換プロピル基を表し、Yは、少なくともエポキシ基を有する置換アルキル基または少なくともエポキシ基を有する置換アルキルエーテル基を表し、Zは、炭素数6〜18のフェニル置換または未置換のアルキル基を表す。また、xおよびyはそれぞれ独立に1以上であり、zは0以上であり、これらは、一般式(1)全体の数平均分子量が544〜100,000の範囲となり得る整数である。)}
【0029】
特定の反応性シリコーンオイルは、SiH基を有するオルガノシロキサンオイル(例えば、ポリジメチルシロキサンオイル)に、アルコキシシリル基、エポキシ基および種々の置換基を有するビニルあるいはアリル化合物をヒドロシリル化反応により付加させることにより得られる。ヒドロシリル化反応は、下記反応式(2)に示されるように、適当な触媒の存在下における不飽和基へのSi−Hの付加反応であり、触媒としては白金(Pt)、パラジウム(Pd)など遷移金属化合物が一般的に知られている。
【0030】
【化7】
【0031】
SiH基を有するオルガノシロキサンオイルのSiH当量(SiH基1mol当たりの質量)としては、50〜200の範囲が好ましく、60〜120の範囲がより好ましく、60〜90の範囲がさらに好ましい。SiH当量が200を超える範囲では、変性量が不十分となり、十分な密着性が得られない場合がある。一方、SiH当量が60未満では、変性量が多すぎて貯蔵安定性が低下、相溶性が増してプライマー層−上塗り塗料層界面への偏在量が減少してしまう場合があるため好ましくない。
【0032】
同様にSiH基を有するオルガノシロキサンオイルの分子量としては282〜50,000の範囲から選択することができるが、数平均分子量として1,000〜10,000の範囲が好ましく、1,500〜5,000の範囲がより好ましい。分子量が大き過ぎる場合、ヒドロシリル化変性が困難となり合成中にゲル化する恐れがあり、分子量が小さ過ぎる場合、上記同様プライマー層−上塗り塗料層界面への偏在量が減少するため目的を達することが困難となる場合がある。
【0033】
上述したSiH基を有するポリジメチルシロキサンオイルは市販されており、例えばSH1107(東レダウコーニングシリコーン(株))、L−31(日本ユニカー(株))、KF−99(信越化学工業(株))、TSF484(東芝GEシリコーン(株))等が利用できる。
【0034】
一般式(1)中のR1〜R6は、それぞれ独立に、炭素数1〜3の未置換のアルキル基である。
【0035】
一般式(1)における構造単位UX〜構造単位UZ中のR7〜R9は、それぞれ独立に、炭素数1〜3の未置換のアルキル基、あるいは未置換のフェニル基である。置換可能な置換基は、上記R1〜R6の場合と同様である。
【0036】
一般式(1)における構造単位UX中のXは、少なくともアルコキシシリル基を有する置換エチル基または置換プロピル基であり、上記SiH基を有するオルガノシロキサンオイルにアルコキシシリル基を有するビニルまたはアリル化合物をヒドロシリル化反応により付加させたものである。
【0037】
ここでアルコキシシリル基を有するビニルまたは、アリル化合物としては例えば、CH2=CH−Si(OMe)3、CH2=CH−Si(Me)(OMe)2、CH2=CH−Si(OEt)3、CH2=CH−Si(Me)(OEt)2、CH2=CH−CH2−Si(OMe)3、CH2=CH−CH2−Si(Me)(OMe)2、CH2=CH−CH2−Si(OEt)3、CH2=CH−CH2−Si(Me)(OEt)2などが挙げられる。これらの加水分解性アルコキシシリル基を有するビニルあるいはアリル化合物は、単独で用いてもよく、必要に応じて2種以上を用いてもよい。
【0038】
一般式(1)における構造単位UY中のYは、少なくともエポキシ基を有する置換アルキル基または少なくともエポキシ基を有する置換アルキルエーテル基であり、上記SiH基を有するオルガノシロキサンオイルにエポキシ基を有するビニルまたは、アリル化合物をヒドロシリル化反応により付加させたものである。エポキシ基を有するビニルまたは、アリル化合物の代表としては例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイドが挙げられる。
【0039】
一般式(1)における構造単位UZ中のZは、炭素数6〜18のフェニル置換または未置換のアルキル基を表す。
【0040】
一般式(1)における構造単位UZ中のZとは、上記SiH基を有するオルガノシロキサンオイルに、不飽和アルキル、不飽和アラルキル、アルキル−アリルエーテル化合物、アルキルエーテル−アリルエーテル化合物、アルキル−ビニルエーテル化合物、不飽和フッ化アルキル化合物等をヒドロシリル化反応により付加させたものである。ヒドロシリル化反応により付加させる化合物としては、具体的には、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、スチレン、プロペニルベンゼン、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、CH2=CH−C6F13、CH2=CH−C8F17などが挙げられる。これらの各種化合物は単独で用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
一般式(1)におけるx、yおよびzは、連結基を構成する構造単位UX、UYおよびUZそれぞれの個数を表し、xおよびyはそれぞれ独立に1以上であり、zは0以上であり、これらは、一般式(1)全体の数平均分子量が544〜100,000の範囲となり得る整数である。一般式(1)全体の数平均分子量が544未満では、プライマー層−上塗り塗料層界面への偏在量が減少するため目的を達することが困難となり、100,000を超えると、ヒドロシリル化変性が困難となり合成中にゲル化する恐れがある。一般式(1)全体の分子量としては、数平均分子量で1,000〜50,000の範囲が好ましく、2,000〜30,000の範囲がより好ましい。
【0042】
一般式(1)における全構造単位数(x+y+z)に対する構造単位Xの数(x)の割合(x/(x+y+z)×100)としては、0.5〜40%の範囲とすることが好ましく、5〜30%の範囲とすることがより好ましく、10〜20%の範囲とすることがさらに好ましい。この範囲を超えて小さい場合は上塗り塗料との反応点が少なくなり、また、大きいと貯蔵安定性が低下するため、それぞれ好ましくない。
【0043】
一般式(1)における全構造単位数(x+y+z)に対する構造単位Yの数(y)の割合(y/(x+y+z)×100)としては、0.5〜40%の範囲とすることが好ましく、5〜30%の範囲とすることがより好ましく、10〜20%の範囲とすることがさらに好ましい。この範囲を超えて小さい場合はエポキシプライマーとの反応点が少なくなり、また、大きいと貯蔵安定性が低下するため、それぞれ好ましくない。
【0044】
一般式(1)における全構造単位数(x+y+z)に対する構造単位Zの数(z)の割合(z/(x+y+z)×100)としては、20〜99%の範囲とすることが好ましく、40〜90%の範囲とすることがより好ましく、60〜80%の範囲とすることがさらに好ましい。この範囲を超えて小さい場合はエポキシプライマー中での相溶性が悪くなり、場合によっては分離してしまい、この範囲を超えて大きい場合、得られるエポキシ基含有反応性シリコーンオイルの全エポキシ基、アルコキシシリル基が少なくなり、目的を達することが困難になる場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0045】
以上説明したエポキシ樹脂硬化剤用添加剤は、エポキシ樹脂硬化成分を含む通常のエポキシ樹脂硬化剤に添加して用いられる。エポキシ樹脂硬化成分については、以下に説明する。
【0046】
<エポキシ樹脂硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、少なくともポリアミン系のエポキシ樹脂硬化成分と、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤と、を含み、該エポキシ樹脂硬化剤用添加剤の配合割合が、前記エポキシ樹脂硬化成分100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲であることを特徴とする。該エポキシ樹脂硬化成分としては、通常エポキシ樹脂の硬化剤の成分として使用されているポリアミン系硬化剤成分が使用できる。ポリアミン系硬化剤成分としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(アミノシクロヘキシル)プロパン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、二価脂肪酸と二価アミンとから得られるポリアミドアミン;各種エポキシ樹脂に多価アミンを付加させた樹脂、さらにそれに重合脂肪酸を付加させた樹脂;またウレタン変性した樹脂などいわゆる変性ポリアミドアミン;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂の側鎖にアミノ基を導入した樹脂;等を使用することができる。これらは用途に応じ、単独で使用することができるし、2種以上併用しても構わない。
【0047】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂硬化成分と、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤と、さらに必要に応じて他の成分と、を適当な溶剤に溶解・分散させることにより調製することができる。当該溶剤の種類としては、水以外の公知の溶剤を使用することができる。具体的には、脂肪族または芳香族炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類、アルコールエーテル類などが用いられるが、これらに限定されるものではない。ただし、このとき溶剤に水分が含まれると、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤が加水分解を起こし、貯蔵安定性を損ねる場合があるため注意が必要である。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤中におけるエポキシ樹脂硬化成分と、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤との配合割合は、エポキシ樹脂硬化成分100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲であり、0.5〜10質量部の範囲とすることが好ましく、1〜5質量部の範囲であることが更に好ましい。上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤の割合が上記範囲未満では、添加効果が少なく上塗り密着性が低下する場合があり、その割合が上記範囲を超えると、貯蔵安定性、耐水密着性が低下する場合があるため、それぞれ好ましくない。
また、本発明のエポキシ樹脂硬化剤における溶剤による希釈倍率としては、液としての保存性が確保され、かつ、調製後のプライマーの塗布適性が良好であれば、特に制限はない。
【0049】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、既にエポキシ樹脂硬化成分が溶剤で希釈された市販のエポキシ樹脂硬化剤に対して、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤を添加することによっても調製することができる。使用可能な市販のエポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、アトムプライマー#800硬化剤(アトミクス株式会社製、エポキシ樹脂硬化成分:変性ポリアミド樹脂、溶剤:芳香族系溶剤+アルコール系溶剤)、アトムプライマー#800TY硬化剤(アトミクス株式会社製、エポキシ樹脂硬化成分:変性ポリアミド樹脂、溶剤:芳香族系溶剤+アルコール系溶剤)、アトム#750プライマー硬化剤(アトミクス株式会社製、エポキシ樹脂硬化成分:変性ポリアミド系樹脂、溶剤:芳香族炭化水素系溶剤+アルコール系溶剤)、アトム#650プライマー硬化剤(アトミクス株式会社製、エポキシ樹脂硬化成分:変性ポリアミド樹脂、溶剤:芳香族系溶剤+アルコール系溶剤)等を挙げることができる。
【0050】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、プライマーの調製のための後述のビスフェノール型エポキシ樹脂(主剤)への混合に先立ち、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤が、エポキシ樹脂硬化成分と部分的に反応した部位を有する状態となっている。これをビスフェノール型エポキシ樹脂(主剤)へ混合すると、エポキシ基含有反応性シリコーンオイルである上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤が、プライマーの硬化時にオイルのフローティング作用でプライマーの表面に偏在し、その後上塗りされるアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料とシロキサン結合を形成しながらプライマー−上塗り塗料を強力に接着するものと推定される。
【0051】
上記作用・効果を実現させるために、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の製造に際しては、エポキシ樹脂硬化成分と、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤と、を単に混合するだけではなく、これを熟成させることが原則として要求される。熟成とは、所定温度で所定時間保持することを意味する。ただし、熟成の条件としては、例えば常温であれば24時間程度保持すれば十分であるため、通常の生産・流通・消費のサイクルにおいては、熟成を考慮する必要はない。熟成を早める必要がある場合には、加熱してやればよく、具体的には例えば、40℃であれば6時間以上、60℃であれば2時間以上の保持時間を確保してやればよい。
【0052】
<プライマー組成物>
本発明のプライマー組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂硬化成分および上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤を含むるエポキシ樹脂硬化剤と、からなることを特徴とし、より具体的な剤型としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂硬化成分および上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤が含まれる上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤と、からなるいわゆる2液型のプライマー組成物となる。
【0053】
前記エポキシ樹脂硬化成分および上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤用添加剤、さらにはそれらが含まれる上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤については、既述の通りである。以下、本発明のプライマー組成物について、その必須構成成分であるビスフェノール型エポキシ樹脂、任意成分である溶剤並びにその他の成分、各成分の配合割合の順に説明する。
【0054】
(ビスフェノール型エポキシ樹脂)
本発明で用いるビスフェノール型エポキシ樹脂は、用途により適宜適当なエポキシ当量(エポキシ基1mol当たりの質量:g/eq)のものを選択して使用できるが、一般的にはエポキシ当量が180g/eq以上1500g/eq以下、好ましくは230g/eq以上1000g/eq以下のものが推奨される。エポキシ当量が180g/eq未満では加工性、耐食性、硬化性が劣り、1500g/eqを越えると高粘度になり溶剤希釈性、浸透性、作業性が損なわれ、共に好ましくない。これらビスフェノール型エポキシ樹脂の中でも特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も汎用され、高反応性でかつ低価格であり好ましい。
【0055】
(溶剤)
本発明のプライマー組成物においては、希釈、粘度調整の目的で溶剤を使用することができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂を適当な溶剤で溶解させておくことにより、上記2液型のプライマー組成物における主剤を構成する。使用可能な溶剤の種類としては、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤の調製についての説明の中で述べたものと同様である。前記主剤に用いる溶剤は、上記本発明のエポキシ樹脂硬化剤に用いるものと同一であってもよいし、異なるものであってもよいが、両者が相溶性を有することが要求される。
前記主剤における溶剤による希釈倍率としては、液としての保存性が確保され、かつ、調製後のプライマーの塗布適性が良好であれば、特に制限はない。
【0056】
(その他の成分)
本発明のプライマー組成物においては、その目的に応じて、従来公知のその他の成分を添加することができる。添加するその他の成分は、その目的や性質に応じて、前記主剤および前記エポキシ樹脂硬化剤のいずれに添加してもよいし、双方に添加してもよいし、別の剤としておき、塗布の直前に混合しても構わない。
【0057】
本発明のプライマー組成物に添加可能なその他の成分としては、硬化促進剤、粘度調整剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、沈殿防止剤、着色剤、安定剤、防錆剤、防黴剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤、セルロースアセテートブチレートなどの繊維系樹脂、その他の充填剤等が挙げられる。また、隠蔽性、防錆性、緻密性の向上を目的にフィラーを添加することもできる。該フィラーの種類は、特に限定されないが、一般的な塗料に使用される酸化チタン、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどの着色顔料、シリカ、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの体質顔料、亜鉛、燐酸アルミニウムなどの防錆顔料が使用できる。
【0058】
(配合割合)
本発明のプライマー組成物において、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂硬化成分との配合割合は、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂に由来するエポキシ基1mol当量に対して、前記エポキシ樹脂硬化成分中の活性水素を有する官能基が、0.5〜2.0mol当量の範囲であることが望ましく、0.8〜1.2mol当量の範囲であることがより望ましい。前記エポキシ樹脂硬化成分の割合が上記範囲未満では、硬化不良、硬度の低下、耐溶剤性の低下、塗膜強度の低下、付着性の低下等を惹き起こす懸念があり、前記エポキシ樹脂硬化成分の割合が上記範囲を超えると、硬化不良、硬度不良、ブリードアウトによる表面のベタツキ、表面汚染等を惹き起こす懸念があり、それそれ好ましくない。
また、前記フィラーの配合量としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂100質量部に対して0〜500質量部の範囲から選択される。
【0059】
前記主剤における溶剤による希釈倍率としては、液としての保存性が確保され、かつ、調製後のプライマーの塗布適性が良好であれば、特に制限はない。また、前記主剤と前記エポキシ樹脂硬化成分とを配合して、塗布用のプライマーとした時点での固形分濃度としては、プライマーの塗布適性が良好であれば、特に制限はないが、一般に20質量%〜80質量%程度の範囲から選択される。
【0060】
<塗装方法>
本発明の塗装方法は、以上説明した本発明のプライマー組成物からなるプライマーを、被塗物に塗装し、さらにその上に、アルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料を上塗り塗装することを特徴とする。ここで「塗装する」との用語の概念には、塗布の後硬化・乾燥させる操作をも含むものとする。本発明のプライマー組成物からなるプライマーを塗装することで、上塗り塗料としてのアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料による塗膜との密着性に優れたプライマー塗膜が完成する。
【0061】
そして、本発明のプライマー組成物からなるプライマーは、刷毛塗り、スプレー塗布、ロール塗布などの常用の方法で塗布することができ、さらに硬化方法としては、常温硬化から加熱硬化まで組成により設計が可能である。
本発明の塗装方法において上塗り塗装されるアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料としては、特に制限はなく、従来公知のものを問題なく使用することができる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に例証する。
これらにおいて「部」および「%」は特に断りのない限り、すべて質量基準によるものとする。
【0063】
<エポキシ樹脂硬化剤用添加剤の合成例>
(合成例1)エポキシ樹脂硬化剤用添加剤Aの合成
温度計、圧力計、電磁誘導攪拌機およびヒーターを備えた耐圧反応装置(OMラボテック(株)製「OM2000」)に、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM1003」)35.5g、アリルグリシジルエーテル(ダイソー(株)製「ネオアリルG」)27.3g、1−ヘキセン(三菱化学(株)製「ダイヤレン6」)67.1g、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(日本油脂(株)製「ユニオックスPKA5009」)、数平均分子量550)175.8g、SiH型シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン(株)製「SH−1107」、SiH当量:62)94.3gおよびトルエン400gを仕込み、均一になるまで混合した。
【0064】
その後、塩化白金酸1%イソプロピルアルコール(IPA)溶液4.6gを加え、密閉し、回転数1000rpmで撹拌しながら200℃まで昇温させ、圧力5.88×10-3Pa(6kg・f/cm2)、200℃の条件下で1時間、さらに圧力1.47×10-2Pa(15kg・f/cm2)、250℃の条件下で3時間反応させ、ヒドロシリル化反応を完結させた。反応物から、ロータリーエバポレーターで溶剤を回収し、目的物のエポキシ基含有反応性シリコーンオイルであるエポキシ樹脂硬化剤用添加剤Aを得た。得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤AのGPC、FT−IRの分析結果をそれぞれ図1および図2に示す。また、具体的な化学構造を、一般式(1)の置換基等を特定することで、下記表1に示す。
【0065】
(合成例2)エポキシ樹脂硬化剤用添加剤Bの合成
温度計、圧力計、電磁誘導攪拌機およびヒーターを備えた耐圧反応装置(OMラボテック(株)製「OM2000」)に、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM1003」)39.0g、アリルグリシジルエーテル(ダイソー(株)製「ネオアリルG」)30.0g、1−ヘキセン(三菱化学(株)製「ダイヤレン6」)36.9g、スチレン36.5g、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(日本油脂(株)製「ユニオックスPKA5006」、数平均分子量350)153.7g、SiH型シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン(株)製「SH−1107」、SiH当量:62)103.8gおよびトルエン400gを仕込み、均一になるまで混合した。
【0066】
その後、塩化白金酸1%IPA溶液5.0gを加え、密閉し、回転数1000rpmで撹拌しながら200℃まで昇温させ、圧力5.88×10-3Pa(6kg・f/cm2)、200℃の条件下で1時間、さらに圧力1.47×10-2Pa(15kg・f/cm2)、250℃の条件下で3時間反応させ、ヒドロシリル化反応を完結させた。反応物から、ロータリーエバポレーターで溶剤を回収し、目的物のエポキシ基含有反応性シリコーンオイルであるエポキシ樹脂硬化剤用添加剤Bを得た。得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤Bの具体的な化学構造を、一般式(1)の置換基等を特定することで、下記表1に示す。
【0067】
(比較合成例1)比較用反応性シリコーンオイルA’の合成
比較用として、エポキシ基を有しない反応性シリコーンオイルA’を以下のようにして合成した。具体的には、合成例1において、アリルグリシジルエーテルを添加せず、不足mol分を1−ヘキセンで補ったものを合成した。
【0068】
温度計、圧力計、電磁誘導攪拌機およびヒーターを備えた耐圧反応容器(OMラボテック(株)製「OM2000」)に、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM1003」)36.1g、1−ヘキセン(三菱化学(株)製「ダイヤレン6」)88.8g、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(日本油脂(株)製「ユニオックスPKA5009」)、数平均分子量550)179.0g、SiH型シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン(株)製「SH−1107」、SiH当量:62)96.1gおよびトルエン400gを仕込み、均一になるまで混合した。
【0069】
その後、塩化白金酸1%IPA溶液4.6gを加え、密閉し、回転数1000rpmで撹拌しながら200℃まで昇温させ、圧力5.88×10-3Pa(6kg・f/cm2)、200℃の条件下で1時間、さらに圧力1.47×10-2Pa(15kg・f/cm2)、250℃の条件下で3時間反応させ、ヒドロシリル化反応を完結させた。反応物から、ロータリーエバポレーターで溶剤を回収し、目的物の比較用反応性シリコーンオイルA’を得た。得られた比較用反応性シリコーンオイルA’の具体的な化学構造を、一般式(1)の置換基等を特定することで、下記表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
<プライマーの製造例>
以下に示す各プライマー製造例▲1▼〜▲6▼および比較プライマー製造例▲1▼〜▲4▼により、プライマー▲1▼〜▲6▼および比較プライマー▲1▼〜▲4▼を製造した。まず、表2および表3に、プライマー製造例▲1▼〜▲6▼およびプライマー比較製造例▲1▼〜▲4▼における配合を示す。また、表4に、用いた各主剤および硬化剤の組成を示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
(プライマー製造例▲1▼)
アトミクス株式会社製「アトムプライマー#800硬化剤」に、合成例▲1▼で得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤Aを、表2に示す配合量で、均一になるまで混合した後、室温で24時間放置して熟成させ、エポキシ樹脂硬化剤を得た。
得られたエポキシ樹脂硬化剤を、表2に示す割合でアトミクス株式会社製「アトムプライマー#800主剤」と均一になるまで混合し、プライマー▲1▼を得た。
【0076】
(プライマー製造例▲2▼〜▲6▼)
アトミクス株式会社製の各種プライマー硬化剤に、合成例▲1▼または合成例▲2▼で得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤AまたはBを、表2に示す割合で混合し、60℃で2時間保持して熟成させ、エポキシ樹脂硬化剤を得た。
得られたエポキシ樹脂硬化剤を、表2に示す割合で各種プライマー主剤と均一になるまで混合し、プライマー▲2▼〜▲6▼を得た。
【0077】
(比較プライマー製造例▲1▼)
アトミクス株式会社製「アトムプライマー#800主剤」に、「アトムプライマー#800硬化剤」のみを、表2に示す配合量で、均一になるまで混合し、特に熟成処理を施すことなく、比較プライマー▲1▼を得た。
【0078】
(比較プライマー製造例▲2▼)
アトミクス株式会社製「アトムプライマー#800硬化剤」に、合成例▲1▼で得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤Aを、表2に示すような配合量で、均一になるまで混合した後、60℃で2時間保持して熟成させたところ、溶液はゲル化してしまった。
【0079】
(比較プライマー製造例▲3▼)
アトミクス株式会社製「アトムプライマー#800硬化剤」に、比較合成例▲1▼で得られた反応性シリコーンオイルA’を、表2に示す割合で混合し、60℃で2時間保持して熟成させ、エポキシ樹脂硬化剤を得た。
得られたエポキシ樹脂硬化剤を、表2に示す割合で「アトムプライマー#800主剤」と均一になるまで混合し、比較プライマー▲3▼を得た。
【0080】
(比較プライマー製造例▲4▼)
プライマー製造例▲1▼において、合成例▲1▼で得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤Aを、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代えたこと以外は、プライマー製造例▲1▼と同様の操作をして比較プライマー▲4▼を得た。
【0081】
<上塗り塗料の調製>
溶剤型フェニルメチルシリコーン樹脂(トルエン40質量%含有、東レダウコーニングシリコーン社製、商品名:SH804)100部、ラウリル酸錫ジブチル(DBTL)2部、およびエポキシトナー(赤錆色、大日精化工業社製、商品名:ベースカラーブラウン3C701)3部を均一になるまで混合して、実施例1〜6および比較例1〜5に用いる上塗り塗料「SH804塗料」を調製した。
【0082】
一方、アクリルシリコーン樹脂(キシレン50%含有、鐘淵化学工業社製、商品名:YC3623)100部、DBTL0.5部、およびエポキシトナー(赤錆色、大日精化工業社製、商品名:ベースカラーブラウン3C701)3部を均一になるまで混合して、実施例7に用いる上塗り塗料「YC3623塗料」を調製した。
【0083】
<試験板の作製>
(実施例1〜5、比較例1〜3)
3×70×150mmのスレート板に、下記表5および表6に示す、プライマー製造例および比較プライマー製造例で調製した各プライマーを、ウェット塗布量で0.15kg/m2になるように塗布し、常温で120分間乾燥させ、次いで、上塗り塗料「SH804塗料」を、ウェット塗布量で0.15kg/m2になるように塗布して、実施例および比較例の各試験板を作製した。
【0084】
(実施例6)
0.5×70×150mmのステンレス板(SUS304.2B)に、プライマー製造例▲6▼で調製したプライマー▲6▼を、ウェット塗布量で0.15kg/m2になるように塗布し、常温で120分間乾燥させ、次いで、上塗り塗料「SH804塗料」を、乾燥膜厚が0.15kg/m2になるように塗布して、実施例6の試験板を作製した。
【0085】
(実施例7)
3×70×150mmのスレート板に、プライマー製造例▲1▼で調製したプライマー▲1▼を、ウェット塗布量で0.15kg/m2になるように塗布し、常温で120分間乾燥させ、次いで、乾燥後上塗り塗料「YC3623塗料」を、ウェット塗布量で0.15kg/m2になるように塗布して、実施例7の試験板を作製した。
【0086】
<評価試験>
(1)初期付着性
以上のようにして作製した各実施例および比較例の試験板を、常温で7日間乾燥させ、JIS5600−5−6に準拠した碁盤目セロハンテープ剥離試験(2mm角)を実施した。評価基準は以下の通りである。なお、各評価基準において、分子側が剥離試験後の残存マス目の数である。結果を下記表5および表6にまとめて示す。
【0087】
◎:100/100、
○:90/100〜99/100
△:70/100〜89/100
×:50/100〜69/100
××:0/100〜49/100
【0088】
(2)長期乾燥後付着性
前記作製した各実施例および比較例の試験板を、60℃で6時間熱処理して乾燥させ(常温で約1ヶ月に相当)、「(1)初期付着性」と同様の方法および評価基準で判定した。結果を下記表5および表6にまとめて示す。
【0089】
(3)耐水付着性
前記作製した各実施例および比較例の試験板を、60℃で6時間熱処理して乾燥させ、24時間水中に浸漬し、取り出して水分を拭き取り、すぐに「(1)初期付着性」と同様の方法および評価基準で判定した。結果を下記表5および表6にまとめて示す。
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
<結果の考察>
表5および表6から明らかなように、本発明のプライマー組成物を用いてなるプライマー皮膜は、上塗り塗膜成分であるアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂との層間密着性に優れ、無機基材、金属基材に対するアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂のプライマーとして適していることがわかる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、現状で採用されている「基材−エポキシ樹脂系プライマー−上塗り塗料」という仕様の大幅な変更をすることなく、安価で基材接着性に優れたエポキシ樹脂系プライマーを用い、かつ、上塗り塗料としてアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料を用いて塗装しても、プライマー−上塗り塗料間の高い密着性を簡便な手法で可能とするエポキシ樹脂硬化剤およびプライマー組成物、並びに該プライマー組成物を用いた塗装方法を提供することができる。
【0094】
本発明のプライマー組成物は、基材密着性に優れ、かつ上塗されるアルコキシシリル基加水分解硬化型樹脂含有塗料との密着性に優れるものであり、アクリルシリコーン樹脂塗料、ストレートシリコーン樹脂塗料あるいはこれらのハイブリッド型樹脂塗料を上塗り塗料とするプライマーとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例における合成例1で得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤のGPC分析結果を示すグラフである。
【図2】 実施例における合成例1で得られたエポキシ樹脂硬化剤用添加剤のFT−IR分析結果を示すグラフである。
Claims (4)
- 少なくともポリアミン系のエポキシ樹脂硬化成分と、下記一般式(1)で表される反応性シリコーンオイルからなるエポキシ樹脂硬化剤用添加剤とを含み、該エポキシ樹脂硬化剤用添加剤の配合割合が、前記エポキシ樹脂硬化成分100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲であることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤。
一般式(1)
- 少なくともビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、からなることを特徴とする二液型のプライマー組成物。
- さらに、溶剤および/またはフィラーを含むことを特徴とする請求項2に記載のプライマー組成物。
- 被塗物に、請求項2または3に記載のプライマー組成物からなるプライマーを塗装し、さらにその上に、アルコキシシリル基加水分解型樹脂含有塗料を上塗り塗装することを特徴とする塗装方法。
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