JP6763808B2 - 固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Description
[2]前記物質が、ハロゲン化アルカリ金属を含む上記[1]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[3]硫化アルカリ金属とリン化合物とハロゲン化アルカリ金属とを反応させる上記[2]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[4]前記ハロゲン化アルカリ金属が、臭化リチウム及びヨウ化リチウムから選ばれる少なくとも1種である上記[2]又は[3]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[5]リン化合物が、硫化リンである上記[3]又は[4]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[6]前記物質が、式(1)に示す物質を含む上記[1]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
[7]前記式(1)に示す物質が、ヨウ素及び臭素から選ばれる少なくとも1種である上記[6]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[8]硫化アルカリ金属とリン化合物と式(1)に示す物質とを反応させる上記[6]又は[7]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[9]前記リン化合物が、硫化リンである上記[8]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[10]前記硫化アルカリ金属が、硫化リチウム及び硫化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[9]のいずれか1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[11]電子求引基を有する有機溶媒が、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン及びニトロベンゼンから選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
[12]電子求引基を有する有機溶媒が、クロロベンゼンである上記[11]に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
本実施形態の硫化物系固体電解質の製造方法は、電子求引基を有する有機溶媒中で、硫化アルカリ金属と、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素の少なくとも一種の元素を含む物質(以下、単に「物質」と称することがある。)と、を反応させて、アルカリ金属元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む硫化物系固体電解質を製造することを特徴とするものである。
硫化物系固体電解質には、非晶質の硫化物系固体電解質と、結晶構造を有する結晶性の硫化物系固体電解質と、の両方が含まれる。これらの硫化物系固体電解質については、後で詳述する。
本実施形態の製造方法において、電子求引基を有する有機溶媒を用いることを要する。電子求引基を有する有機溶媒を用いることにより、高いイオン伝導度が得られる。
電子求引基としては、例えば、ハロゲン元素、ハロゲン元素を含む基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等に含まれる水素元素の一部又は全部がハロゲン原子に置換された基等)等のハロゲン元素含有基、シアノ基、ニトロ基、イミド基等の窒素元素含有基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホニル基等の酸素元素含有基、等が挙げられる。中でも、ハロゲン元素含有基、窒素元素含有基が好ましく、ハロゲン元素含有基がより好ましく、ハロゲン元素が更に好ましい。
これらの中でも、高いイオン伝導度を得る観点から、含フッ素元素有機溶媒、含塩素元素有機溶媒、含窒素有機溶媒が好ましく、より具体的には、トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ニトロベンゼン等のベンゼン環を有する有機溶媒がより好ましく、特にクロロベンゼンが好ましい。
本実施形態において使用する有機溶媒中の、電子求引基を有する有機溶媒の含有量は、より高いイオン伝導度を得る観点から、多いことが好ましく、50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましく、100質量%、すなわち電子求引基を有する有機溶媒のみを用いることが好ましい。
本実施形態で用いられる硫化アルカリ金属としては、硫化リチウム(Li2S)、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化カリウム(K2S)、硫化ルビジウム(Rb2S)、硫化セシウム(Cs2S)等を好ましく例示することができる。分子量がより小さいアルカリ金属を用いることで、得られる硫化物系固体電解質のイオン伝導度が向上する傾向があることを考慮すると、硫化リチウム(Li2S)、硫化ナトリウム(Na2S)がより好ましく、さらに硫化リチウム(Li2S)が好ましい。
これらの硫化アルカリ金属は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができ、イオン伝導度を向上させる観点から、複数種を組み合わせる場合は、硫化リチウム(Li2S)と硫化ナトリウム(Na2S)との組み合わせが好ましい。なお、軽いアルカリ金属を用いることで、得られる硫化物系固体電解質のイオン伝導度が向上する傾向があることを考慮すると、硫化リチウム(Li2S)を単独で用いることが特に好ましい。
ここで、硫化アルカリ金属粒子の平均粒径(D50)は、10μm以上2000μm以下であることが好ましく、30μm以上1500μm以下であることがより好ましく、50μm以上1000μm以下であることがさらに好ましい。本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子径分布積算曲線を描いた時に粒子径の最も小さい粒子から順次積算して全体の50%に達するところの粒子径であり、体積分布は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる平均粒径のことである。
本実施形態において、硫化アルカリ金属と反応させる、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素の少なくとも一種の元素を含む物質としては、これらの元素を少なくとも一種含む物質であれば特に制限はないが、例えば、ハロゲン化アルカリ金属、リン化合物が挙げられる。
ハロゲン化アルカリ金属としては、例えば、ヨウ化ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等のハロゲン化ナトリウム;フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のハロゲン化リチウム;等のアルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。中でも、ハロゲン化リチウムが好ましく、臭化リチウム、ヨウ化リチウムがより好ましい。これらのハロゲン化アルカリ金属は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。本実施形態においては、特に臭化リチウムとヨウ化リチウムとを組み合わせて用いることが好ましい。
リン化合物としては、例えば、三硫化二リン(P2S3)、五硫化二リン(P2S5)等の硫化リン、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、リン酸リチウム(Li3PO4)等のリン酸化合物などが好ましく挙げられる。中でも、硫化リンが好ましく、五硫化二リン(P2S5)がより好ましい。また、リン化合物は、リン単体を含んでいてもよい。また、五硫化二リン(P2S5)等のリン化合物は、工業的に製造され、販売されているものであれば、容易に手に入れることができる。これらのリン化合物は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本実施形態においては、上記のハロゲン化アルカリ金属、リン化合物以外に、他の物質を用いることもできる。
例えば、酸化リチウム(Li2O)、炭酸リチウム(Li2CO3)等のリチウム化合物等を用いて、アルカリ金属元素(リチウム(Li))を供給することができる。
硫化ケイ素(SiS2)、硫化ゲルマニウム(GeS2)、硫化ホウ素(B2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化スズ(SnS又はSnS2)、硫化アルミニウム(Al2S3)、硫化亜鉛(ZnS)等の硫化金属を用いて、硫黄元素を供給することができる。
また、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化ヒ素、ハロゲン化セレン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化テルル、ハロゲン化ビスマス等のハロゲン化金属を用いて、ハロゲン元素を供給することができる。
硫化アルカリ金属と反応させる物質としてハロゲン化アルカリを用いる場合であって、硫化アルカリ金属として硫化リチウムを用い、リン化合物として五硫化二リンを用いる場合、硫化リチウム及び五硫化二リンの合計に対する硫化リチウムの割合は、より高い化学的安定性、及びより高いイオン伝導度を得る観点から、70〜80mol%が好ましく、72〜78mol%がより好ましく、74〜76mol%が更に好ましい。
硫化リチウム、五硫化二リン、ハロゲン化アルカリ金属、必要に応じて用いられる他の物質を用いる場合の、これらの合計に対する硫化リチウム及び五硫化二リンの含有量は、60〜100mol%が好ましく、65〜90mol%がより好ましく、70〜80mol%が更に好ましい。
また、ハロゲン化リチウムとして、臭化リチウムとヨウ化リチウムとを組み合わせて用いる場合、イオン伝導度を向上させる観点から、臭化リチウム及びヨウ化リチウムの合計に対する臭化リチウムの割合は、1〜99mol%が好ましく、20〜90mol%がより好ましく、40〜80mol%が更に好ましく、50〜70mol%が特に好ましい。
また、本実施形態においては、硫化アルカリ金属と反応させる物質として、式(1)に示す物質(以下、「物質X2」と称することがある。)を用いることが好ましい。物質X2を用いることにより、溶媒として電子求引基を有する有機溶媒を用いることとの相乗効果により、特に高いイオン伝導度が得られる。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
硫化アルカリ金属と反応させる物質として物質X2を用いる場合であって、硫化アルカリ金属として硫化リチウムを用い、リン化合物として五硫化二リンを用いる場合、物質X2のモル数と同モル数の硫化リチウムを除いた硫化リチウム及び五硫化二リンの合計モル数に対する、物質X2のモル数と同モル数の硫化リチウムとを除いた硫化リチウムのモル数の割合は、60〜90%の範囲内であることが好ましく、65〜85%の範囲内であることがより好ましく、68〜82%の範囲内であることが更に好ましく、72〜78%の範囲内であることが更により好ましく、73〜77%の範囲内であることが特に好ましい。これらの割合であれば、イオン伝導度が高い硫化物系固体電解質を得られるからである。
下記式(3)を満たすことがより好ましく、下記式(4)を満たすことが更に好ましく、下記式(5)を満たすことが更により好ましい。
2≦2α+β≦100…(2)
4≦2α+β≦80 …(3)
6≦2α+β≦50 …(4)
6≦2α+β≦30 …(5)
また、例えば、原料として、Li2S−P2S5−LiBrを用いる場合、物質X2としてヨウ素(I2)を用いることで、ヨウ素元素を含む固体電解質を製造することができる。
本実施形態の硫化物系固体電解質の製造方法では、硫化アルカリ金属と物質との反応を、反応速度を向上させて、効率的に硫化物系固体電解質を得るため、例えば、これらを混合、撹拌、粉砕又はこれらを組み合わせた処理により行うことができる。
媒体式粉砕機には、容器駆動式粉砕機、媒体撹拌式粉砕機に大別される。容器駆動式粉砕機としては、撹拌槽、粉砕槽、あるいはこれらを組み合わせたボールミル、ビーズミル等が挙げられる。また、媒体撹拌式粉砕機としては、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃式粉砕機;タワーミルなどの塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機;一軸又は多軸混練機などの各種粉砕機が挙げられる。
これらの粉砕機を用いる場合、硫化アルカリ金属、物質、溶媒等と、粉砕メディアとを投入し、装置を起動させて、混合、撹拌、粉砕を行えばよい。ここで、硫化アルカリ金属、物質、溶媒、及び粉砕メディアを投入することになるが、投入する順序に制限はない。
また、混合、撹拌、粉砕の際の温度は、特に制限はないが、例えば、20〜80℃としておけばよい。
硫化アルカリ金属と物質と溶媒等とを混合し、撹拌する場合は、混合及び撹拌中並びに/若しくはその後に、更に硫化アルカリ金属及び物質を加えて混合し、混合及び撹拌してもよく、これを2回以上繰り返してもよい。例えば、硫化アルカリ金属と物質と溶媒等とをボールミル、又はビーズミルの容器に投入して、混合及び撹拌を開始し、混合及び撹拌中に更に原料を該容器に投入してもよいし、混合及び撹拌後(混合及び撹拌を一旦停止した後)に原料を該容器に投入し、混合及び撹拌を再開してもよいし、また、混合及び撹拌中、並びにその後に原料を該容器に投入してもよい。
このように、硫化アルカリ金属及び物質を更に加えることで、必要に応じて行う溶媒の除去等の処理の回数を少なくすることができるので、より効率的に硫化物系固体電解質を得ることができる。
なお、更に硫化アルカリ金属及び物質を加える場合、必要に応じて溶媒も加えてもよいが、硫化物系固体電解質を得る際に溶媒を除去する場合もあるので、その添加量は必要最小限に留めておくことが好ましい。
このようにして得られた硫化物系固体電解質は、溶媒を含んだ状態となっている。そこで、本実施形態の製造方法は、更に溶媒を除去することを含むことが好ましい。また、溶媒を除去することで、副生成物である硫黄の除去も可能となる。
溶媒の除去は、例えば、得られた溶媒を含んだ硫化物系固体電解質を容器に移し、該固体電解質が沈殿した後に、上澄みとなる溶媒を除去するといった方法により行うことができる。
また、溶媒によっては、90〜110℃程度の温度で、真空ポンプ等を用いて減圧乾燥を行ってもよい。例えば、溶媒としてキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒を用いる場合に有効である。
本実施形態の製造方法は、更に加熱をすることを含むことができる。上記の製造方法により、非晶質の硫化物固体電解質が得られるが、更に加熱することにより、結晶性の硫化物系固体電解質とすることができる。なお、非晶質、結晶性の硫化物系固体電解質については、後述する。
より具体的には、加熱温度としては、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、190℃以上が更に好ましい。一方、加熱温度の上限値は特に制限されるものではないが、300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。
本実施形態の製造方法により得られる硫化物系固体電解質は、アルカリ金属元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む固体電解質であり、そのイオン伝導度は、例えば5.2×10−3(S/cm)以上、5.3×10−3(S/cm)以上、5.5×10−3(S/cm)以上、又は5.7×10−3(S/cm)以上であり、極めて高いイオン伝導度を有する。
本実施形態の製造方法により得られる非晶質の硫化物系固体電解質は、アルカリ金属元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含んでおり、代表的なものとしては、例えば、Li2S−P2S5−LiI、Li2S−P2S5−LiCl、Li2S−P2S5−LiBr、Li2S−P2S5−LiI−LiBr等の、硫化リチウムと硫化リンとアルカリ金属のハロゲン化物とから構成される硫化物系固体電解質;更に酸素元素、珪素元素等の他の元素を含む、例えば、Li2S−P2S5−Li2O−LiI、Li2S−SiS2−P2S5−LiI等の硫化物系固体電解質が好ましく挙げられる。より高いイオン伝導度を得る観点から、Li2S−P2S5−LiI、Li2S−P2S5−LiCl、Li2S−P2S5−LiBr、Li2S−P2S5−LiI−LiBr等の、硫化リチウムと硫化リンとアルカリ金属のハロゲン化物とから構成される硫化物系固体電解質が好ましい。
非晶質の硫化物系固体電解質を構成する元素の種類は、例えば、ICP発光分光分析装置により確認することができる。
本実施形態の製造方法により得られる硫化物系固体電解質が、例えば、Li2S−P2S5−LiI−LiBrである場合、硫化リチウム(Li2S)及び五硫化二リン(P2S5)の含有量の合計は、60〜100モル%が好ましく、65〜90モル%がより好ましく、70〜85モル%が更に好ましい。また、臭化リチウム(LiBr)とヨウ化リチウム(LiI)との合計に対する臭化リチウム(LiBr)の割合は、1〜99モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、40〜80モル%が更に好ましく、50〜70モル%が特に好ましい。
また、Li4−xGe1−xPxS4系チオリシコンリージョンII(thio−LISICON Region II)型結晶構造(Kannoら、Journal of The Electrochemical Society,148(7)A742−746(2001)参照)、Li4−xGe1−xPxS4系チオリシコンリージョンII(thio−LISICON Region II)型と類似の結晶構造(Solid State Ionics,177(2006),2721−2725参照)等も挙げられる。
なお、これらのピーク位置については、±0.5°の範囲内で前後していてもよい。
遊星型ボールミル機(商品名:クラシックラインP−7、フリッチュ社製)を設置した。硫化リチウム0.661g、五硫化二リン0.914g、臭化リチウム0.164g、及びヨウ素0.261gを秤量し、遊星型ボールミル機用の容器(45cc、ジルコニア製)に投入し、更に脱水クロロベンゼン(水分量:10ppm以下)4gを投入し、容器を完全に密閉した。この容器を、上記の遊星型ボールミル機に取り付けで、台盤回転数500rpmで、40時間、混合、撹拌、粉砕を同時に行い、硫化物系固体電解質を作製した。
得られた硫化物系固体電解質と溶媒とを含むスラリー状の生成物に、脱水クロロベンゼン20mlを加えて、50mlシュレンク瓶に回収し、粉末が沈殿した後、上澄みの溶媒を除去した。その後、オイルバスで100℃に加温しながら、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行い、粉末状の硫化物系固体電解質(80(0.75Li2S/0.25P2S5)/10LiBr/10LiI、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.400:1.600:0.400:0.100:0.100)を得た。得られた粉末状の硫化物系固体電解質について、X線回折(XRD)装置(SmartLab装置、(株)リガク製)を用いて粉末X線解析(XRD)測定を行ったところ、原料由来のピーク以外ピークがないことがわかった。また、ICP発光分光分析装置により組成を分析したところ、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.390:1.590:0.400:0.109:0.101であった。
なお、イオン伝導度の測定は、以下のようにして行った。
得られた結晶性の硫化物物系固体電解質から、直径10mm(断面積S:0.785cm2)、高さ(L)0.1〜0.3cmの円形ペレットを成形して試料とした。その試料の上下から電極端子を取り、25℃において交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
実施例1において、硫化リチウム0.645g、五硫化二リン0.851g、臭素0.245g、ヨウ素0.259g、とした以外は、実施例1と同様にして粉末状の硫化物系固体電解質(75(0.75Li2S/0.25P2S5)/15LiBr/10LiI、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.375:1.500:0.375:0.150:0.100)を得た。得られた粉末状の硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして粉末X線解析(XRD)測定を行ったところ、原料由来のピーク以外ピークがないことがわかった。また、ICP発光分光分析装置により組成を分析したところ、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.358:1.480:0.374:0.166:0.102であった。
実施例1において、硫化リチウム0.550g、五硫化二リン0.887g、臭素及びヨウ素の代わりに臭化リチウム0.277g、ヨウ化リチウム0.285gとした以外は、実施例1と同様にして、粉末状の硫化物系固体電解質(75(0.75Li2S/0.25P2S5)/15LiBr/10LiI、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.375:1.500:0.375:0.150:0.100)を得た。得られた粉末状の硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして粉末X線解析(XRD)測定を行ったところ、原料由来のピーク以外ピークがなく、非晶質の硫化物系固体電解質であることが確認された。また、ICP発光分光分析装置により組成を分析したところ、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.366:1.482:0.372:0.159:0.103であった。
実施例1において、脱水クロロベンゼンから脱水トルエン(水分量:10ppm以下)とした以外は、実施例1と同様にして、硫化物系固体電解質を得た。得られた硫化物系固体電解質と溶媒を含むスラリー状の生成物に、グローブボックス内で脱水トルエン5ml加えて、金属製バットに回収し、粉末(固体電解質)が沈殿した後、上澄みの溶媒を除去した。次いで、沈殿した粉末を、ホットプレートにのせて、80℃で乾燥させて、粉末状の硫化物系固体電解質(80(0.75Li2S/0.25P2S5)/10LiBr/10LiI、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.400:1.600:0.400:0.100:0.100)を得た。得られた粉末状の硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして粉末X線解析(XRD)測定を行ったところ、原料由来のピーク以外ピークがなく、非晶質の硫化物系固体電解質であることが確認された。また、ICP発光分光分析装置により組成を分析したところ、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.391:1.603:0.404:0.100:0.105であった。
実施例2において、溶媒を脱水クロロベンゼンから脱水トルエン(水分量:10ppm以下)とした以外は、実施例2と同様にして、硫化物系固体電解質を得た。得られた硫化物系固体電解質と溶媒を含むスラリー状の生成物に、グローブボックス内で脱水トルエン5ml加えて、金属製バットに回収し、粉末(固体電解質)が沈殿した後、上澄みの溶媒を除去した。次いで、沈殿した粉末を、ホットプレートにのせて、80℃で乾燥させて、粉末状の硫化物系固体電解質(75(0.75Li2S/0.25P2S5)/15LiBr/10LiI、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.375:1.500:0.375:0.150:0.100)を得た。得られた粉末状の硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして粉末X線解析(XRD)測定を行ったところ、原料由来のピーク以外ピークがなく、非晶質の硫化物系固体電解質であることが確認された。また、ICP発光分光分析装置により組成を分析したところ、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.358:1.503:0.382:0.157:0.105であった。
参考例1において、溶媒を脱水クロロベンゼンから脱水トルエン(水分量:10ppm以下)とした以外は、参考例1と同様にして、硫化物系固体電解質を得た。得られた硫化物系固体電解質と溶媒を含むスラリー状の生成物に、グローブボックス内で脱水トルエン5ml加えて、金属製バットに回収し、粉末(固体電解質)が沈殿した後、上澄みの溶媒を除去した。次いで、沈殿した粉末を、ホットプレートにのせて、80℃で乾燥させて、粉末状の硫化物系固体電解質(75(0.75Li2S/0.25P2S5)/15LiBr/10LiI、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.375:1.500:0.375:0.150:0.100)を得た。得られた粉末状の硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして粉末X線解析(XRD)測定を行ったところ、原料由来のピーク以外ピークがなく、非晶質の硫化物系固体電解質であることが確認された。また、ICP発光分光分析装置により組成を分析したところ、Li:S:P:Br:I(モル比)=1.367:1.482:0.372:0.160:0.103であった。
Claims (13)
- 電子求引基を有する有機溶媒中で、硫化アルカリ金属と、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素の少なくとも一種の元素を含む物質と、を反応させ、前記物質が、式(1)に示す物質を含む、アルカリ金属、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む硫化物系固体電解質の製造方法。
X 2 …(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。) - 前記物質が、ハロゲン化アルカリ金属を含む請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 硫化アルカリ金属とリン化合物とハロゲン化アルカリ金属とを反応させる請求項2に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記ハロゲン化アルカリ金属が、臭化リチウム及びヨウ化リチウムから選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- リン化合物が、硫化リンである請求項3又は4に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記式(1)に示す物質が、ヨウ素及び臭素から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 硫化アルカリ金属とリン化合物と式(1)に示す物質とを反応させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記リン化合物が、硫化リンである請求項7に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記硫化アルカリ金属が、硫化リチウム及び硫化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記電子求引基が、ハロゲン元素含有基、窒素元素含有基、及び酸素元素含有基から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記電子求引基を有する有機溶媒が、含フッ素元素有機溶媒、含塩素元素有機溶媒、含臭素元素有機溶媒、含窒素元素有機溶媒、及び含酸素元素有機溶媒から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜10のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 電子求引基を有する有機溶媒が、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン及びニトロベンゼンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜11のいずれか1項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 電子求引基を有する有機溶媒が、クロロベンゼンである請求項12に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
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