JP7329607B2 - 固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Description
アルジロダイト結晶構造を含む硫化物固体電解質は比較的高いイオン伝導度を有するものとして知られており、その製造方法としては、例えば、非特許文献1及び非特許文献2には、遊星ボールミルを用いてメカニカルミリング反応を行った後に、550℃の高温で熱処理する方法が開示されている。また、特許文献2には、硫化リチウム(LiS2)粉末と、硫化物粉末とをボールミル等により混合した後、硫化水素ガス雰囲気で600~800℃で焼成する方法が開示されている。
そのため、粒径が小さく、かつイオン伝導度が高い硫化物固体電解質を製造することは困難であった。
特許文献8には、リチウム、硫黄、リン及びハロゲンを含む原料混合物を、耐圧容器を用いて又は還流しながら、溶媒中で熱処理すること、前記溶媒を除去すること、及び前記熱処理により得られた処理物を焼成すること、を含む、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法が記載されている。特許文献7に記載される方法も、特許文献6と同様に溶媒中で結晶性の固体電解質が得られず、処理物の焼成が必要となるため、粒径が小さく、かつイオン伝導度が高い硫化物固体電解質を容易に製造することは難しかった。
本実施形態の結晶性固体電解質の製造方法は、リチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体を得る混合工程を備え、本混合工程は、固体電解質原料及び錯化剤を液相中で混合する錯化工程を含む。本混合工程で得られたリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体は、次の加熱工程(結晶化工程)に供される。
本実施形態で用いられる固体電解質原料としては、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む結晶性固体電解質を得る観点から、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素から選ばれる一種の元素を含む原料が好ましく用いられ、一種又は複数種の原料を組み合わせることで、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含むものとなっていればよい。
このような原料としては、硫化リチウム(Li2S);三硫化二リン(P2S3)、五硫化二リン(P2S5)等の硫化リン等が挙げられる。
硫化リチウム粒子の平均粒径(D50)は、0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましく、3μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、5μm以上30μm以下であることが特に好ましい。本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子径分布積算曲線を描いた時に粒子径の最も小さい粒子から順次積算して全体の50%に達するところの粒子径であり、体積分布は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる平均粒径のことである。また、本実施形態で用いられる他の固体の原料については、上記硫化リチウム粒子と同じ程度の平均粒径を有するものが好ましい、すなわち上記硫化リチウム粒子の平均粒径と同じ範囲内にあるものが好ましい。
ハロゲン元素を含む原料としては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のハロゲン化リチウム;各種フッ化リン(PF3、PF5)、各種塩化リン(PCl3、PCl5、P2Cl4)、各種臭化リン(PBr3、PBr5)、各種ヨウ化リン(PI3、P2I4)等のハロゲン化リン;フッ化チオホスホリル(PSF3)、塩化チオホスホリル(PSCl3)、臭化チオホスホリル(PSBr3)、ヨウ化チオホスホリル(PSI3)、二塩化フッ化チオホスホリル(PSCl2F)、二臭化フッ化チオホスホリル(PSBr2F)等のハロゲン化チオホスホリル;などの上記四種の元素、すなわちリチウム元素、リン元素及び硫黄元素、更に好ましく用いられるハロゲン元素から選ばれる少なくとも二種の元素からなる原料、フッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)等のハロゲン単体、好ましくは塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)が代表的に挙げられる。
この場合、原料としては、上記の中でも、硫化リチウム(Li2S)と、三硫化二リン(P2S3)、五硫化二リン(P2S5)等の硫化リンとを用いることが好ましい。
この場合、硫化リチウムと硫化リンとの配合比は、PS4 3-構造を形成し得る比率の範囲内であれば特に制限はなく、PS4 3-構造を効率よく形成させる観点から、硫化リンとして五硫化二リンを用いる場合、硫化リチウム及び五硫化二リンの合計モル数に対する、硫化リチウムのモル数の割合は、60~90%の範囲内であることが好ましく、65~85%の範囲内であることがより好ましく、70~80%の範囲内であることが更に好ましく、72~78%の範囲内であることがより更に好ましく、73~77%の範囲内であることが特に好ましい。
また、この場合、ハロゲン化リチウムとしては塩化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウムが好ましく、塩化リチウム、臭化リチウムがより好ましく、またハロゲン単体としては塩素、臭素及びヨウ素が好ましく、塩素、臭素がより好ましい。
ハロゲン元素を含む原料を用いる場合、当該原料の配合比については後述する。
混合工程では、上記固体電解質原料及び錯化剤を液相中で混合する錯化工程が含まれる。本実施形態における混合工程は、電解質原料及び錯化剤を液相中で混合する本錯化工程を含む他、後述する乾燥工程、加熱工程(結晶化工程)とは別の加熱する工程及び粉砕工程等も有し得る工程である。また、本明細書において、錯化剤とは、リチウム元素と錯体形成することが可能な物質であり、上記固体電解質原料に含まれるリチウム元素を含む硫化物と作用して、リチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体、好ましくはPS4 3-構造体の形成を促進させる性状を有するものであることを意味する。上記のリチウム元素と錯体形成して得られる錯体は、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及び前記錯化剤を含む錯体、好ましくは上記の錯分解することで、非晶性Li3PS4、結晶性Li3PS4が得られる錯体であり、当該錯体から錯化剤を除去すること(単に「錯分解」とも称する。)によりPS4 3-構造体のうち、非晶性Li3PS4、結晶性Li3PS4が得られるものである。
具体的には、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ジメチルホルムアミド等のアルデヒド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒;トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン等のハロゲン元素含有芳香族炭化水素溶媒;テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチルジアミノプロパン、テトラエチルジアミノプロパン、シクロプロパンジアミン、トリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等のアミン系溶媒;アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、二硫化炭素等の炭素原子とヘテロ原子を含む溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、錯化剤としては、アミン系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒が好ましく、エーテル系溶媒がより好ましく、中でもジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。また、錯化剤としては、固体電解質原料が溶解しない又はしにくい性状を有するものが好ましく、このような観点からもアミン系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。このような溶媒を採用すると、液相法のうち不均一法にて当該原料が反応して前駆体が得られることとなるが、当該前駆体を単体として得られやすくなり、イオン伝導度が向上する。
機械撹拌式混合機は、高速撹拌型混合機、双腕型混合機等が挙げられ、原料含有物に含まれる各種原料同士のより均一な接触による反応を促進し、より高いイオン伝導度を得る観点から、高速撹拌型混合機が好ましく用いられる。また、高速撹拌型混合機としては、垂直軸回転型混合機、水平軸回転型混合機等が挙げられ、どちらのタイプの混合機を用いてもよい。
機械撹拌式混合機において用いられる撹拌翼の形状としては、ブレード型、アーム型、リボン型、多段ブレード型、二連アーム型、ショベル型、二軸羽型、フラット羽根型、C型羽根型等が挙げられ、原料含有物に含まれる各種原料同士のより均一な接触による反応を促進し、より高いイオン伝導度を得る観点から、ショベル型、フラット羽根型、C型羽根型等が好ましい。
媒体式粉砕機には、容器駆動式粉砕機、媒体撹拌式粉砕機に大別される。容器駆動式粉砕機としては、撹拌槽、粉砕槽、あるいはこれらを組み合わせたボールミル、ビーズミル等が挙げられる。ボールミル、ビーズミルとしては、回転型、転動型、振動型、遊星型等の各種形式のいずれも採用することができる。
また、例えば一軸又は多軸混練機等によって行うこともできる。
また、合成の時間としては、0.5~100時間程度とすればよく、製造効率を考慮すると、好ましくは1~90時間、より好ましくは3~75時間である。
混合工程において、上記錯化剤、溶媒を除去するため、本実施形態の製造方法は、乾燥する工程(単に、「乾燥工程」とも称する。)を備えてもよい。混合工程において、既述のように非晶性及び結晶性Li3PS4が得られる錯体を含むスラリーを得た場合、乾燥工程にて乾燥することで、スラリーから錯化剤、溶媒を除去して錯体結晶を得ることができる。
錯化剤、溶媒を除去することにより、不純物が少なくなり、イオン伝導度の向上が期待できる。一方、上記錯化工程を液相中で行った場合、得られるものは前駆体を含むスラリーとなるが、これらのスラリーを乾燥すると凝集体が形成しやすくなる場合があり、また当該凝集体を後述する必要に応じて採用される加熱に供すると、より大きな焼成体となるため、粒径が小さい固体電解質が得られなくなる場合がある。このような場合は、後述する粉砕を行うか、また後述する加熱する工程を有している場合は、固体電解質の製造効率の観点から、混合工程において乾燥する工程は含まないことが好ましい。
よって、乾燥する工程の要否については、メリット、デメリットがあるため、所望の固体電解質、使用する原料等を考慮して決定すればよい。
乾燥時間は、特に制限はないが、例えば1分間以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が更に好ましく、1時間以上がより更に好ましい。また、乾燥時間の上限は特に制限されるものではないが、24時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましく、6時間以下が更に好ましく、3時間以下がより更に好ましい。
固液分離は、具体的には、錯化剤、溶媒を伴う前駆体を容器に移し、前駆体が沈殿した後に、上澄みとなる溶媒を除去するデカンテーション、また例えばポアサイズが10~200μm程度、好ましくは20~150μmのガラスフィルターを用いたろ過が容易である。
後述する加熱工程(結晶化工程)とは別に、混合工程において、上記混合により得られた前駆体を加熱してもよい。例えば、PS4 3-構造体として非晶性又は結晶性Li3PS4を含む前駆体とするには、加熱することが有効である。例えば上記の錯化工程及び乾燥工程を経て、非晶性及び結晶性Li3PS4が得られる錯体を含むスラリーから錯化剤、溶媒を除去して錯体結晶を得た後、当該錯体結晶を加熱して錯化剤を除去(錯分解)して非晶性Li3PS4を得ること、また錯体結晶又は非晶性Li3PS4を得てから、さらに加熱温度を調整しながら加熱することで結晶性Li3PS4を得ること、もできる。このように、本実施形態の製造方法において、混合工程における加熱(後述する加熱工程(結晶化工程)ではない。)には、錯体結晶から錯化剤を除去して非晶性Li3PS4を得る錯分解工程、錯体結晶又は非晶性Li3PS4を加熱して結晶性Li3PS4を得る工程が含まれ得る。すなわち、本実施形態の製造方法において、混合工程は、加熱する工程として、錯分解工程、結晶性Li3PS4を得る工程を好ましく含み得る。
通常、固体電解質を加熱すると、その粒径が大きくなる焼け太りが生じる場合がある。本実施形態においては、後述する粉砕工程の前に、上記前駆体(PS4 3-構造体等)を生成することにより、得られる固体電解質の粒径をより小さくすることができるので、粒径を小さくするとともに、イオン伝導度の向上を同時に図ることが可能となる。
また、主に非晶性Li3PS4を得る場合には、上限として150℃以下としておけばよく、好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下であり、下限としては特に制限はないが、100℃以上程度とすればよく、好ましくは105℃以上である。
また加熱の方法は、特に制限されるものではないが、例えば、ホットプレート、オートクレーブ、真空加熱装置、アルゴンガス雰囲気炉、焼成炉を用いる方法等を挙げることができる。また、工業的には、加熱手段と送り機構を有する横型乾燥機、横型振動流動乾燥機等を用いることもでき、加熱する処理量に応じて選択すればよい。
本実施形態においては、PS4 3-構造体を一度形成させて、該構造体をその後の工程に供することにより、粒径が小さく、かつイオン伝導度が高い固体電解質が得られる。
よって、本実施形態の製造方法は、前記錯化工程後、錯体結晶を得る乾燥工程、前記錯体結晶に含まれる錯化剤を除去し前記非晶性Li3PS4を得る錯分解工程、並びに前記錯体結晶及び非晶性Li3PS4の少なくとも一方を加熱して結晶性Li3PS4を得る工程のいずれか一以上の工程を含むことが好ましい。
本混合工程で好ましく得られるPS4 3-構造体を含む前駆体は、PS4 3-構造に起因するピークが発現するものである。イオン伝導度の観点から、リン元素と硫黄元素から構成される結晶構造としては、PS4 3-構造以外の構造、例えばP2S7 4-構造、P2S6 4-構造(PxSy a-構造)等の結晶構造は含まないことが好ましい。上記の合成方法によれば、このようなPS4 3-構造体を含む前駆体が得られやすくなる。
本実施形態の製造方法においては、PS4 3-構造を有するという主骨格を予め形成してPS4 3-構造体を含む前駆体(PS4 3-構造体等)とし、これを溶媒中で加熱する結晶化工程において、結晶化ととともに、当該前駆体に含まれるPS4 3-構造体及びハロゲン元素を含む原料等の反応もあわせて進行させることで、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む結晶性固体電解質が得られる。
既述のように、本実施形態において、ハロゲン元素を含む原料を用いることができる。この場合、ハロゲン元素を含む原料は、混合工程における錯化工程、また錯化工程の後に配合することができる。錯化工程の後に配合するとは、当該錯化工程で得られた前駆体、すなわち既述のPS4 3-構造体を含む前駆体を得た後に配合することであり、具体的には錯化工程の後で粉砕工程の前、又は粉砕工程において配合することが含まれる。錯化工程においてハロゲン元素を含む原料を配合する場合、当該錯化工程において、PS4 3-構造体とハロゲン元素を含む原料の混合物である前駆体が得られることとなる。また、当該錯化工程の後にハロゲン元素を含む原料を配合する場合は、すなわちPS4 3-構造体を合成した後、当該ハロゲン元素を含む原料を配合し、上記錯化工程と同様に混合し、又は粉砕工程による粉砕を行うことで、PS4 3-構造体、ハロゲン元素を含む原料等を含む混合物である前駆体が得られることとなる。
本実施形態の製造方法においては、ハロゲン元素を含む原料は、他の固体電解質原料とともに添加して上記錯化工程等を行ってもよいし、また錯化工程の後に添加してもよいが、PS4 3-構造をより確実に形成し、イオン伝導度の向上を図るとともに、より確実に粒径を小さくする観点から、錯化工程の後にハロゲン元素を含む原料を配合することが好ましく、錯化工程の後で粉砕工程の前にハロゲン元素を含む原料を配合することがより好ましい。
よって、本実施形態においては、粉砕工程後の結晶化工程前の時点で、所望の結晶性固体電解質に含まれる各種元素の配合比となっていればよい。
本実施形態の製造方法における混合工程は、上記錯化工程で得られたもの、すなわちリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体、好ましくはPS4 3-構造を含む前駆体(PS4 3-構造体等)を粉砕する粉砕工程を備えることが好ましい。本粉砕工程で粉砕した粉砕物を、後述する加熱工程(結晶化工程)において加熱することで、粒子中の各元素の拡散距離が短縮されるため、加熱温度をより低くしても所望の結晶性固体電解質が得られやすくなる(そのため、「加熱工程」は「結晶化工程」とも称し得る。)。そのため、本実施形態の製造方法においては、上記混合工程において、錯化工程に次いで、本粉砕工程で粉砕し、次いで加熱工程(結晶化工程)で加熱することにより、粒径が小さく、かつイオン伝導度が高い固体電解質が効率よく得られることとなる。なお、本実施形態においては、上記錯化工程に次いで粉砕工程が行われることが一般的であるが、メカニカルミリングのように同じ処理により行うことができることから、処理条件の調整が必要となる場合はあるものの、錯化工程と粉砕工程を同時に行うこと、すなわち本粉砕工程を省略することも可能である。
メカニカルミリングは、上記混合工程の前駆体を合成する方法として例示した、媒体式粉砕機を用いた処理のことであり、媒体式粉砕機には、容器駆動式粉砕機、媒体撹拌式粉砕機に大別されるが、ボールミル、ビーズミル等の容器駆動式粉砕機が好ましい。ボールミル、ビーズミルの形式としては、回転型、転動型、振動型、遊星型等の各種形式が挙げられるが、いずれを採用してもよい。
本粉砕工程において用いられる溶媒としては、例えば上記錯化工程において前駆体の合成に際して行い得る錯化剤、溶媒として例示したものを用いることができる。好ましい溶媒は、芳香族炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒であり、芳香族炭化水素溶媒、ニトリル系溶媒がより好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、イソブチロニトリルが更に好ましく、トルエン、イソブチロニトリルがより更に好ましい。
また、この場合の固体電解質原料に対する溶媒の使用量は、上記錯化工程における錯化剤の使用量と同様である。
本実施形態の結晶性固体電解質の製造方法は、上記混合工程で得られたリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体を、耐圧容器を用いて、又は還流しながら、溶媒中で加熱する加熱工程(「結晶化工程」)を備える。リチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体としては、PS4 3-構造体を含む前駆体が好ましいことは既述の通りである。また、リチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体が、上記粉砕工程を経た粉砕物であることが好ましいことも既述の通りである。
本実施形態の製造方法において、加熱工程(結晶化工程)を経ることにより、リチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体、好ましくはPS4 3-構造体を含む前駆体(PS4 3-構造体等)に含まれるPS4 3-構造体とハロゲン元素を含む原料との反応により、当該PS4 3-構造体にハロゲン元素が取り込まれ、かつ結晶化することにより、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む結晶性固体電解質が得られる。
一方、本加熱工程(結晶化工程)において所望の結晶構造を有する結晶性固体電解質を製造した後、粉砕工程のような粉砕を行うと、当該結晶構造の破壊等が生じることで、イオン伝導度が低下する場合がある。このような観点から、本実施形態の製造方法においては、本加熱工程(結晶化工程)の後に粉砕する工程を備えないことが好ましい。
また、溶媒置換を行う場合、上記乾燥を行ってもよい。
本実施形態の製造方法により得られる固体電解質としては、例えば、Li6PS5X、Li7-xPS6-xXx(X=Cl,Br,I、x=0.0~1.8)等のアルジロダイト型結晶構造(特開2011-096630号公報、特開2013-211171号公報等)が挙げられる。これらのアルジロダイト系結晶構造の回折ピークは、例えば2θ=15.3°、17.7°、31.1°、44.9°、47.7°付近に現れる。
上記のLi7PS6の構造骨格を有し、Pの一部をSiで置換してなる組成式Li7-xP1-ySiyS6及びLi7+xP1-ySiyS6(xは-0.6~0.6、yは0.1~0.6)で示される結晶構造は、立方晶又は斜方晶、好ましくは立方晶で、CuKα線を用いたX線回折測定において、主に2θ=15.5°、18.0°、25.0°、30.0°、31.4°、45.3°、47.0°、及び52.0°の位置に現れるピークを有する。
上記の組成式Li7-x-2yPS6-x-yClx(0.8≦x≦1.7、0<y≦-0.25x+0.5)で示される結晶構造は、好ましくは立方晶で、CuKα線を用いたX線回折測定において、主に2θ=15.5°、18.0°、25.0°、30.0°、31.4°、45.3°、47.0°、及び52.0°の位置に現れるピークを有する。
上記の組成式Li7-xPS6-xHax(HaはClもしくはBr、xが好ましくは0.2~1.8)で示される結晶構造は、好ましくは立方晶で、CuKα線を用いたX線回折測定において、主に2θ=15.5°、18.0°、25.0°、30.0°、31.4°、45.3°、47.0°、及び52.0°の位置に現れるピークを有する。
なお、これらのピーク位置については、±0.5°の範囲内で前後していてもよい。
本実施形態の製造方法で得られる固体電解質は、上記アルジロダイト型結晶構造を有するものであってもよいし、主結晶として有するものであってもよいが、より高いイオン伝導度を得る観点から、主結晶として有するものであることが好ましい。本明細書において、「主結晶として有する」とは、結晶構造のうち対象となる結晶構造の割合が80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
撹拌翼付き反応槽に、窒素雰囲気下で、硫化リチウムと五硫化二リンとをモル比で75:25となるように秤量して添加した。メタノール/液体窒素で冷却しながら撹拌翼を作動させた後、同じくメタノール/液体窒素で-20℃に予め冷却した脱水テトラヒドロフラン(脱水THF)を、硫化リチウムと五硫化二リンとの原料の合計量が10質量%となる量を、テフロン(登録商標)チューブを用いて添加し、その後、室温(23℃)で72時間攪拌した。次いで、テトラヒドロフランをキャヌラーを用いて除去し、次いで脱水THFを上記合計量が10質量%となる量で添加し、30分攪拌し、除去することを3回繰り返して、PS4 3-構造を有するLi3PS4の3THF付加物(錯体)を得た。
次いで、PS4 3-構造を有するLi3PS4の3THF付加物を、80℃で2時間の減圧乾燥処理を行った後、180℃で8時間の加熱処理を行い、PS4 3-構造を有する結晶性Li3PS4(β-Li3PS4)を得た。なお、結晶性Li3PS4(β-Li3PS4)であることについては、X線回折(XRD)装置(SmartLab装置、(株)リガク製)を用いて粉末X線回折(XRD)測定を行い、回折ピークが17.5°、26.1°に発現していることにより確認した。
粉砕処理後の粉砕物の粒度分布を測定したところ、平均粒径(D50)は0.2μmとなった。
その後、キャヌラーを用いて溶媒を除去し、脱水トルエンを加えて攪拌し、デカンテーションをすることで、高沸点溶媒(イソパラフィン系溶媒)を除去し、更に100℃で2時間の乾燥を行うことで、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質を得た。得られた固体電解質がアルジロダイト型結晶構造を有するものであることは、粉末X線回折(XRD)測定を行い、回折ピークが15.3°、17.7°、31.1°、44.9°、47.7°に発現していることにより、確認した。
得られた結晶性固体電解質から、直径10mm(断面積S:0.785cm2)、高さ(L)0.1~0.3cmの円形ペレットを成形して試料とした。その試料の上下から電極端子を取り、25℃において交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz~0.5Hz、振幅:10mV)、Cole-Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、-Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
実施例1で得られたスラリー状の粉砕物を減圧乾燥して溶媒を除去し、混合粉末を得た。その後窒素雰囲気下のグローブボックス内の電気炉(「F-1404-A(型番)」、東京硝子器械株式会社製)で加熱した。具体的には、電気炉内にAl2O3製の匣鉢(「999-60S(型番)」、東京硝子器械株式会社製)を入れ、340℃で1時間以上保持した。その後、電気炉の扉を開け、素早く混合粉末1gを匣鉢に注ぎ入れたのち、扉を直ちに閉じ、10分間加熱した。その後、匣鉢を電気炉より取り出し、徐冷することによりアルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質を得た。
得られた固体電解質の平均粒径(D50)を測定したところ、67μmであり、またイオン伝導度を測定したところ、7.2(mS/cm)であり、イオン伝導度は高いが、実施例の平均粒径に比べて非常に大きく、大幅に造粒していることが確認された。また、比較例1において得られた固体電解質の粉末X線回折(XRD)測定を行ったX線回折スペクトルを図2に示す。
硫化リチウムと五硫化二りんと塩化リチウムと臭化リチウムを実施例1の組成になるように、合計100gになるように秤量した。これらの合計量が10質量%となる量で脱水トルエンを添加し、更にイソブチロニトリルを添加して、ビーズミル(「ラボスターミニ LMZ015(型番)」、アシザワファインテック株式会社製)を用いて1時間の粉砕処理を行い、粉砕物を含むスラリーを得た。また、本粉砕処理において、直径0.5mmのジルコニアビーズを、上記合計量が80容量%となる量を仕込んだ。
得られたスラリーを減圧乾燥して溶媒を除去し、粉砕した原料混合粉末を得た。その後、窒素雰囲気下のグローブボックス内の電気炉にて400℃で1時間の焼成を行った。具体的には比較例1で使用したAl2O3製の匣鉢に粉砕した混合原料を30g秤量して電気炉に入れ、室温から400℃までの昇温時間を1.5時間、その後400℃で1時間保持し、自然放冷の後に匣鉢を取り出して焼成粉末を得た。本工程を繰り返し、焼成粉末100gを得た。
上記焼成粉末100gに10質量%となる量で脱水トルエンを添加し、更にイソブチロニトリルを添加して、ビーズミル(「ラボスターミニ LMZ015(型番)」、アシザワファインテック株式会社製)を用いて1時間の粉砕処理を行い、粉砕物を含むスラリーを得た。また、本粉砕処理において、直径0.5mmのジルコニアビーズを、上記合計量が80容量%となる量を仕込んだ。得られたスラリーを減圧下100℃で乾燥し、固体電解質を得た。
得られた固体電解質の平均粒径(D50)を測定したところ、0.5μmであり、またイオン伝導度を測定したところ、1.0(mS/cm)であり、粉砕は達成できているが、イオン伝導度が低いことが確認された。また、比較例2において得られた固体電解質の粉末X線回折(XRD)測定を行ったX線回折スペクトルを図3に示す。
撹拌翼付き反応槽に、窒素雰囲気下で、硫化リチウムと五硫化二リンとをモル比で75:25となるように秤量して添加し、さらに硫化リチウム、塩化リチウム及び臭化リチウムを、上記硫化リチウムと五硫化二リンとのモル比75:25を基準に、各々40、100及び60の比率となるよう秤量して添加した。メタノール/液体窒素で冷却しながら撹拌翼を作動させた後、同じくメタノール/液体窒素で-20℃に予め冷却した脱水テトラヒドロフラン(脱水THF)を、硫化リチウム、五硫化二リン、塩化リチウム及び臭化リチウムの原料の合計量が10質量%となる量を、テフロン(登録商標)チューブを用いて添加し、その後、室温(23℃)で72時間攪拌した。次いで、テトラヒドロフランを、キャヌラーを用いて除去し、次いで脱水THFを上記合計量が10質量%となる量で添加し、30分攪拌し、除去することを3回繰り返した。
次いで、得られたものを、80℃で2時間の減圧乾燥処理を行った後、180℃で8時間の加熱処理を行い、前駆体を得た。得られた前駆体について、実施例1と同様にして粉末X線回折(XRD)測定を行ったところ、図4中の(a)に示されるように、硫化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムの他、結晶性Li3PS4(β-Li3PS4)が確認された。
さらに、得られた前駆体を、前駆体が10質量%となる量で脱水トルエンを添加し、更にイソブチロニトリルを添加して、ビーズミル(「ラボスターミニ LMZ015(型番)」、アシザワファインテック株式会社製)を用いて1時間の粉砕処理を行い、粉砕物を含むスラリーを得た。また、本粉砕処理において、直径0.5mmのジルコニアビーズを、上記合計量が80容量%となる量を仕込んだ。
粉砕処理後の粉砕物を含むスラリーを、減圧下100℃で乾燥し、粉砕物の粉末を得た。得られた粉砕物の粉末について、実施例1と同様にして粉末X線回折(XRD)測定を行ったところ、図4中の(b)に示されるように、硫化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムの他、ブロードのピークが現れ、結晶性Li3PS4(β-Li3PS4)は非晶性Li3PS4となったことが確認された。
実施例1と同様にして、粉砕物を含むスラリーを得た。得られた粉砕物を含むスラリーを、減圧下100℃で乾燥し、粉砕物の粉末を得た。
得られた粉砕前の前駆体について、実施例1と同様にして粉末X線回折(XRD)測定を行ったところ、図5中の(a)に示されるように、少量の未反応の硫化リチウムの他、結晶性Li3PS4(β-Li3PS4)が確認された。また、硫化リチウム、塩化リチウム及び臭化リチウムを添加して得られた粉砕物の粉末について、上記と同じ方法により粉末X線回折(XRD)測定を行ったところ、図5中の(b)に示されるように、硫化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムの他、ブロードのピークが現れ、結晶性Li3PS4(β-Li3PS4)は非晶性Li3PS4となったことが確認された。このように、参考例1と参考例2から、ハロゲン元素を含む原料の配合が、錯化工程の前後に因らず、粉砕工程後、結晶化工程前の段階で同様の前駆体が得られることがわかる。
また、本実施形態の製造方法により得られる固体電解質は、電池に、とりわけ、パソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等に用いられる電池に好適に用いられる。
Claims (14)
- リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む結晶性固体電解質の製造方法であって、固体電解質原料及び錯化剤を液相中で混合する錯化工程を含み、リチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む前駆体を得る混合工程と、前記前駆体を、耐圧容器を用いて、又は還流しながら、溶媒中で加熱する結晶化工程とを備える、結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記混合工程において、前記前駆体を粉砕する粉砕工程を含む請求項1に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記錯化工程において、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及び前記錯化剤を含む錯体を得る請求項1又は2に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記混合工程において、前記錯化工程後にハロゲン元素を含む原料を配合する請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記前駆体が、PS4 3-構造体を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記PS4 3-構造体は、非晶性Li3PS4、結晶性Li3PS4、または錯分解することで前記非晶性もしくは結晶性Li3PS4が得られる錯体である請求項5に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記混合工程において、前記錯化工程後、錯体結晶を得る乾燥工程、前記錯体結晶に含まれる錯化剤を除去し前記非晶性Li3PS4を得る錯分解工程、並びに前記錯体結晶及び非晶性Li3PS4の少なくとも一方を加熱して結晶性Li3PS4を得る工程のいずれか一以上の工程を含む請求項6に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記結晶化工程が、200℃以上425℃以下で行われる請求項1~7のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記結晶化工程が、オートクレーブにより行われる請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記結晶化工程の後に、粉砕工程を備えない請求項1~9のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記結晶化工程の前に乾燥工程を含まない請求項1~10のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記錯化剤が、アミン系溶媒、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒である、請求項1~11のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 前記溶媒が、パラフィン系溶媒である請求項1~12のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
- 固体電解質が、アルジロダイト型結晶構造を有するものである請求項1~13のいずれか1項に記載の結晶性固体電解質の製造方法。
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