JP6744453B1 - 異常診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】地震発生時などにガバナロープの異常を適切に診断できる異常診断システムを提供する。【解決手段】実施形態の異常診断システムは、エレベータの昇降路上部に配置されたガバナと昇降路下部に配置されたテンショナシーブとの間に張り渡されて乗りかごの昇降に伴って移動するガバナロープの異常を診断する異常診断システムであって、センサと、波形生成部と、異常判定部と、を備える。センサは、テンショナシーブを昇降路の上下方向に変位可能に支持する可動リンクの回転角または傾斜角を測定する。波形生成部は、地震感知器から地震検知信号を受信するとセンサの測定値の取得を開始し、地震検知後の可動リンクの回転角または傾斜角の時間変化を表す波形を生成する。異常判定部は、波形生成部により生成される波形に基づいてガバナロープの異常判定を行い、判定結果に応じた信号を送信する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、ガバナロープの異常を診断する異常診断システムに関する。
エレベータには、乗りかごの昇降速度が異常に増大した場合に乗りかごを停止させるための安全装置として、ガバナ(調速機)が設けられる。ガバナは、一般的に機械室などの昇降路上部に配置される。一方、昇降路下部にはテンショナシーブが配置され、ガバナとテンショナシーブとの間にガバナロープが張り渡される。テンショナシーブは、テンショナウェイトによって昇降路の下方向に付勢され、ガバナロープに所定のテンション(張力)を与える。ガバナロープは、途中の一か所において乗りかごと連結されており、テンショナシーブにより所定の張力が与えられた状態で、乗りかごの昇降に伴って移動する。ガバナは、ガバナロープの移動速度を乗りかごの昇降速度として検知し、乗りかごの昇降速度が異常に増大した場合に過速スイッチを作動させて巻上機への電源供給を遮断したり、非常止め装置を作動させて乗りかごを強制的に停止させたりする。
ガバナロープは、テンショナシーブによって所定の張力が与えられることで移動中の振動などが抑制される。しかし、例えば地震発生時などにおいてはガバナロープに大きな振れが生じ、この振れによってガバナロープが昇降路内の突起に引っ掛かったり、弛みや切断が生じたりといった異常が発生する場合がある。ガバナロープに異常が発生するとガバナが正常に動作せずにエレベータの安全性に支障をきたす虞があることから、その異常を的確に検出して適切な対応を図ることが必要となる。
ガバナロープの異常を検出する方法としては、昇降路下部のピット付近に設置した距離センサによりテンショナウェイトまでの距離を測定し、測定した距離が所定値を超えたときにガバナロープに引っ掛かりが生じたと判断して異常検出信号を出力する手法が知られている。しかし、地震発生時には揺れに応じてテンショナウェイトが振り子状に動くため、テンショナウェイトまでの距離を正確に測定することは困難である。また、非接触の距離測定を用いる手法は、ピット特有の劣悪な環境(浸水、塵埃、落下物、汚れ、小動物進入など)の影響を受けやすいという問題もあり、改善が求められる。
特開平10−120327号公報
本発明が解決しようとする課題は、地震発生時などにガバナロープの異常を適切に診断できる異常診断システムを提供することである。
実施形態の異常診断システムは、エレベータの昇降路上部に配置されたガバナと昇降路下部に配置されたテンショナシーブとの間に張り渡されて乗りかごの昇降に伴って移動するガバナロープの異常を診断する異常診断システムであって、センサと、波形生成部と、異常判定部と、を備える。センサは、前記テンショナシーブを昇降路の上下方向に変位可能に支持する可動リンクの回転角または傾斜角を測定する。波形生成部は、地震感知器から地震検知信号を受信すると前記センサの測定値の取得を開始し、地震検知後の前記可動リンクの回転角または傾斜角の時間変化を表す波形を生成する。異常判定部は、前記波形生成部により生成される波形に基づいて前記ガバナロープの異常判定を行い、判定結果に応じた信号を送信する。前記センサと前記波形生成部と前記異常判定部は、複数台のエレベータを有するエレベータバンクにおける各エレベータに対してそれぞれ設けられる。前記異常診断システムは、前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号を収集する統合診断装置をさらに備える。前記統合診断装置は、前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号の全てが前記ガバナロープに異常がないことを示すものである場合は、前記複数台のエレベータの全てを復旧可能と判断し、前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号に前記ガバナロープに異常があることを示す信号が含まれている場合は、少なくとも、前記ガバナロープに異常があることを示す信号を送信した前記異常判定部に対応するエレベータと、該エレベータに隣接するエレベータは、復旧の前に点検が必要であると判断する。
図1は、実施形態の異常診断システムの構成例を示す図である。 図2は、実施形態の異常診断システムの構成例を示す図である。 図3は、実施形態の異常診断システムの構成例を示す図である。 図4は、ガバナロープに異常がない場合のセンサ波形の一例を示す図である。 図5は、ガバナロープに引っ掛かり異常が発生した場合のセンサ波形の一例を示す図である。 図6は、ガバナロープに弛み異常が発生した場合のセンサ波形の一例を示す図である。 図7は、ガバナロープに切断異常が発生した場合のセンサ波形の一例を示す図である。 図8は、実施形態の異常診断システムの処理手順を説明するフローチャートである。 図9は、第1変形例の異常診断システムの構成例を示す図である。 図10は、基準値補正の概要を説明する図である。 図11は、第2変形例の異常診断システムの構成例を示す図である。 図12は、第3変形例の異常診断システムの構成例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る異常診断システムの具体的な実施形態について詳細に説明する。実施形態の異常診断システムは、エレベータのガバナロープの引っ掛かり、弛み、切断などの異常を診断するシステムであり、特に、テンショナシーブを昇降路の上下方向に変位可能に支持する可動リンクの回転角を測定してガバナロープの異常を診断するものである。
図1乃至図3は、本実施形態の異常診断システムの構成例を示す図である。エレベータは、建物などに設けられた昇降路1内で乗りかご2を昇降させることにより、乗りかご2内に乗車した乗客を搬送する設備である。ロープ式のエレベータでは、メインロープ3の一端側に乗りかご2が連結され、メインロープ3の他端側にカウンタウェイト4が連結される。メインロープ3は、巻上機の出力軸に連結された駆動綱車5とそらせ車6とに架け渡され、乗りかご2とカウンタウェイト4をつるべ式に吊り下げる。
巻上機の駆動により駆動綱車5が回転すると、駆動綱車5とメインロープ3との間の摩擦力により駆動綱車5の回転がメインロープ3に伝達され、メインロープ3が送り動作される。これにより、メインロープ3に連結された乗りかご2が、レール7に案内されながら昇降路1内を昇降する。
乗りかご2の昇降速度が異常に増大した場合に乗りかご2を停止させるための安全装置として、例えば昇降路1上部の機械室などにガバナ8が設けられている。また、昇降路1下部のピット付近にはテンショナシーブ9が配置され、ガバナ8とテンショナシーブ9との間にガバナロープ10が張り渡されている。テンショナシーブ9は、テンショナウェイト11によって昇降路1の下方向に付勢され、ガバナロープ10に所定のテンションを与える。
テンショナシーブ9は、可動リンク12によって昇降路1の上下方向に変位可能に支持されている。可動リンク12は、その両端部に回転軸12a,12bを有する。可動リンク12の一方の端部の回転軸12aには、テンショナシーブ9の回転軸およびテンショナウェイト11が取り付けられている。また、可動リンク12の他方の端部の回転軸12bは、レール7に固定されたブラケット13に取り付けられている。可動リンク12は、ガバナロープ10の挙動に応じてブラケット13側の回転軸12bを回転中心として回転することにより、回転軸12bに取り付けられたテンショナシーブ9を昇降路1の上下方向に変位可能としている。本実施形態では、可動リンク12が水平状態のときのテンショナシーブ9の位置を定常位置とする。すなわち、テンショナシーブ9が定常位置(ガバナロープ10に最適なテンションがかかる位置)のときに可動リンク12が水平状態となるように、レール7に対するブラケット13の位置が調整されている。
ガバナロープ10は、途中の一か所において乗りかご2と連結されており、テンショナシーブ9により所定の張力が与えられた状態で、乗りかご2の昇降に伴って移動する。このとき、テンショナシーブ9が可動リンク12によって昇降路1の上下方向に変位可能に支持されているため、乗りかご2の昇降に伴ってガバナロープ10が移動する際の振動がテンショナシーブ9の変位により吸収され、乗りかご2の振動が抑制される。
ガバナ8は、ガバナロープ10の移動速度を乗りかご2の昇降速度として検知し、乗りかご2の昇降速度が異常に増大した場合に乗りかご2を停止させる。例えば、ガバナ8は、乗りかご2の昇降速度が定格速度の1.3倍を超えないうちに過速スイッチを作動させて巻上機への電源供給を遮断し、エレベータを停止させる。また、例えばメインロープ3の切断などにより、エレベータを停止させても乗りかご2が停止せずに下降し続ける場合は、ガバナ8は、乗りかご2の下降速度が定格速度の1.4倍を超えないうちにガバナロープ10を拘束し、非常止め装置を作動させて乗りかご2を強制的に停止させる。
本実施形態においては、テンショナシーブ9が昇降路1の上下方向に変位したときの可動リンク12の回転角を測定するために、可動リンク12のブラケット13側の回転軸12bに対してポテンショメータなどの回転角センサ20が機械的に接続されている。この機械的接続は、可動リンク12の回転軸12b周りの回転が回転角センサ20に伝達される形態であればよく、例えば、可動リンク12の回転軸12bに直結して回転角センサ20を接続する形態であってもよいし、可動リンク12の回転軸12bに対してギヤなどの伝達機構を介して回転角センサ20を接続する形態であってもよい。
回転角センサ20は、例えば、テンショナシーブ9が定常位置にあり可動リンク12が水平状態のときに測定値が0となり(図1参照)、テンショナシーブ9が定常位置から昇降路1の上方向に変位すると正の値の測定値を出力し(図2参照)、テンショナシーブ9が定常位置から昇降路1の下方向に変位すると負の値の測定値を出力する(図3参照)ように調整されている。
地震発生時などにおいてはガバナロープ10に大きな振れが生じ、図2に示すように、この振れによってガバナロープ10が昇降路1内の突起物14に引っ掛かる場合がある。この場合、テンショナシーブ9が昇降路1の上方向に変位し、可動リンク12は図2に示すように回転するため、回転角センサ20は正の値の測定値を出力する。一方、ガバナロープ10に弛みや切断が生じた場合は、テンショナシーブ9が昇降路1の下方向に変位し、可動リンク12は図3に示すように回転するため、回転角センサ20は負の値の測定値を出力する。回転角センサ20の出力端子は診断装置30に接続されており、回転角センサ20による測定値が診断装置30に入力される。
診断装置30は、機能的な構成要素として、波形生成部31と、基準値記憶部32と、異常判定部33とを備える。診断装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサやメモリなどを搭載したマイコンチップなどのハードウェアと、プロセッサが実行する制御プログラムなどのソフトウェアとを用いて実現することができる。すなわち、例えばマイコンチップに搭載されたプロセッサが制御プログラムを実行することで、診断装置30を構成する波形生成部31や異常判定部33を実現し、マイコンチップに搭載されたメモリを用いて基準値記憶部32を実現することができる。なお、診断装置30は、汎用のマイコンチップなどのハードウェアに限らず、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現してもよい。
本実施形態の異常診断システムは、上述の回転角センサ20と診断装置30とにより構成される。診断装置30は、地震感知器41とエレベータ制御盤42に接続される。地震感知器41は、例えば昇降路1上部の機械室などに設置され、地震発生時にこれを検知して地震検知信号を出力する。エレベータ制御盤42は、乗りかご2の昇降動作をはじめとするエレベータ全体の動作を制御する制御装置である。
本実施形態では、エレベータの遠隔監視契約が締結されていることを想定する。この場合、エレベータが設置されている現場に遠隔監視装置43が設けられる。遠隔監視装置43は、ローカルでエレベータ制御盤42に接続されるとともに、通信回線44を介してサービス情報センタに設置されたセンタ端末45に接続される。遠隔監視装置43は、例えば、エレベータ制御盤42に点検指令を出力することでエレベータを点検運転モードで運転させ、各種メンテナンスデータを収集してセンタ端末45に送信する。また、エレベータに何らかの異常が発見された場合、遠隔監視装置43はエレベータ制御盤42を介してその情報を収集し、センタ端末45に異常発報する。
診断装置30の波形生成部31は、地震感知器41から地震検知信号を受信すると回転角センサ20の測定値の取得を開始し、地震検知後の可動リンク12の回転角の時間変化を表す波形を生成する。すなわち、地震が発生すると、地震感知器41から診断装置30に対して地震検知信号が送信される。波形生成部31は、この地震感知器41からの地震検知信号の受信をトリガとして、可動リンク12の回転角を測定した回転角センサ20の測定値の取得を開始し、時間の経過とともに変動する回転角センサ20の測定値を繋げることにより、地震検知後の可動リンク12の回転角の時間変化を表す波形(以下、これを「センサ波形」と呼ぶ)を生成する。波形生成部31により生成されるセンサ波形は、異常判定部33に入力される。
異常判定部33は、波形生成部31により生成されるセンサ波形に基づいて、ガバナロープ10の異常判定を行う。例えば、異常判定部33は、波形生成部31により生成されるセンサ波形を基準値記憶部32に記憶されている基準値と比較することにより、ガバナロープ10に引っ掛かり異常、弛み異常、切断異常などが発生しているかどうかを判定し、判定結果に応じた信号をエレベータ制御盤42に送信する。
ここで、図4乃至図7を参照して、異常判定部33による判定方法の具体例について説明する。まず、ガバナロープ10に異常がない場合について、図4を参照して説明する。図4は、ガバナロープ10に異常がない場合のセンサ波形50の一例を示す図である。
地震が発生(地震検知信号51がオン)するとガバナロープ10に大きな振れが生じるため、このガバナロープ10の振れによってテンショナシーブ9は定常位置から昇降路1の上方向に変位した後に定常位置に戻る動作を繰り返す。したがって、地震が終了(地震検知信号51がオフ)して振動が収束するまでの間は、回転角センサ20の測定値が主に正(+)の方向で増減を繰り返し、センサ波形50の振幅が比較的大きくなる。
その後、地震による振動が収束すると、ガバナロープ10の振れも収まるため、センサ波形50の振幅が小さくなる。ここで、ガバナロープ10に異常がなく元の状態に戻った場合は、図4に示すように、センサ波形50は可動リンク12が水平状態であることを示す0の値に収束していく。そこで、異常判定部33は、波形生成部31により生成されるセンサ波形50が、図4に示すように、正の値の第1基準値θref1と負の値の第2基準値θref2との間の領域である正常範囲61内に所定時間T0の間継続して収まっている場合に、地震の影響によるガバナロープ10の振れは収まり、かつ、ガバナロープ10に異常が発生していないと判定する。そして、異常判定部33は、エレベータ制御盤42に対して復旧可能信号52を送信する。なお、判定に用いる第1基準値θref1、第2基準値θref2、所定時間T0などのパラメータは、事前にシミュレーションなどを行うことで最適な値が求められ、基準値記憶部32に記憶されている。
復旧可能信号52は、上述のように、地震の影響によるガバナロープ10の振れが収まり、かつ、ガバナロープ10に異常が発生していないと判定された場合に、診断装置30の異常判定部33から送信される信号である。したがって、エレベータ制御盤42は、地震が終了(地震検知信号51がオフ)した後、診断装置30の異常判定部33から復旧可能信号52を受信した場合、他のエレベータ設備に問題がなければ、すぐにエレベータを通常運転に復帰させることができる。
次に、地震の影響によりガバナロープ10に引っ掛かり異常が発生した場合について、図5を参照して説明する。図5は、ガバナロープ10に引っ掛かり異常が発生した場合のセンサ波形50の一例を示す図である。
地震の影響でガバナロープ10に大きな振れが生じ、昇降路1内の突起物14などに引っ掛かった場合、テンショナシーブ9が定常位置から昇降路1の上方向に変位したままになる。このため、ガバナロープ10にこのような引っ掛かり異常が発生した場合は、図5に示すように、地震が終了(地震検知信号51がオフ)してガバナロープ10の振れが収まったとしても可動リンク12の回転角θが正(+)の値を取り続け、センサ波形50は正の値で収束していく。
そこで、異常判定部33は、波形生成部31により生成されるセンサ波形50が、図5に示すように、第1基準値θref1以上の領域62に所定時間T1の間継続して存在する場合に、ガバナロープ10に引っ掛かり異常が発生していると判定する。そして、異常判定部33は、エレベータ制御盤42に対して引っ掛かり検出信号53を送信する。なお、判定に用いる第1基準値θref1、所定時間T1などのパラメータは、事前にシミュレーションなどを行うことで最適な値が求められ、基準値記憶部32に記憶されている。
引っ掛かり検出信号53は、上述のように、ガバナロープ10に引っ掛かり異常が発生していることを示す信号である。したがって、エレベータ制御盤42は、診断装置30の異常判定部33から引っ掛かり検出信号53を受信した場合、エレベータ管理者にガバナロープ10の引っ掛かり異常を知らせるための警告(例えばブザー鳴動や警告灯の点灯など)を行ったり、遠隔監視装置43から通信回線44を介してセンタ端末45に異常発報を行うように、遠隔監視装置43に制御指令を出力するといった対応が可能となる。
次に、地震の影響によりガバナロープ10に弛み異常が発生した場合について、図6を参照して説明する。図6は、ガバナロープ10に弛み異常が発生した場合のセンサ波形50の一例を示す図である。
地震の影響でガバナロープ10に大きな振れが生じ、この振れによってガバナロープ10に弛みが生じた場合、定常位置よりも昇降路1の上方向に変位していたテンショナシーブ9がテンショナウェイト11により引き下げられ、定常位置よりも昇降路1の下方向に僅かに変位したままになる。このため、ガバナロープ10にこのような弛み異常が発生した場合は、図6に示すように、地震が終了(地震検知信号51がオフ)してガバナロープ10の振れが収まった後、可動リンク12の回転角θが負(−)の値を取り続け、センサ波形50は負の値で収束していく。ただし、ガバナロープ10の弛みによるテンショナウェイト11の変位は比較的小さいため、このときの負の値は、後述の切断異常の場合よりも0に近い値である。
そこで、異常判定部33は、波形生成部31により生成されるセンサ波形50が、図7に示すように、第2基準値θref2とこの第2基準値θref2よりも低い第3基準値θref3との間の領域である弛み検出範囲63内に所定時間T2の間継続して収まっている場合に、ガバナロープ10に弛み異常が発生していると判定する。そして、異常判定部33は、エレベータ制御盤42に対して弛み検出信号54を送信する。なお、判定に用いる第2基準値θref2、第3基準値θref3、所定時間T2などのパラメータは、事前にシミュレーションなどを行うことで最適な値が求められ、基準値記憶部32に記憶されている。
弛み検出信号54は、上述のように、ガバナロープ10に弛み異常が発生していることを示す信号である。したがって、エレベータ制御盤42は、診断装置30の異常判定部33から弛み検出信号54を受信した場合、エレベータ管理者にガバナロープ10の弛み異常を知らせるための警告(例えばブザー鳴動や警告灯の点灯など)を行ったり、遠隔監視装置43から通信回線44を介してセンタ端末45に異常発報を行うように、遠隔監視装置43に制御指令を出力するといった対応が可能となる。
次に、地震の影響によりガバナロープ10に切断異常が発生した場合について、図7を参照して説明する。図7は、ガバナロープ10に切断異常が発生した場合のセンサ波形50の一例を示す図である。
地震の影響でガバナロープ10に大きな振れが生じ、この振れによってガバナロープ10が切断された場合、定常位置よりも昇降路1の上方向に変位していたテンショナシーブ9がテンショナウェイト11により引き下げられ、定常位置よりも昇降路1の下方向に大きく変位したままになる。このため、ガバナロープ10にこのような切断異常が発生した場合は、図7に示すように、地震が終了(地震検知信号51がオフ)してガバナロープ10の振れが収まった後、可動リンク12の回転角θが負(−)の値を取り続け、センサ波形50は負の値で収束していく。ただし、ガバナロープ10が切断された場合のテンショナウェイト11の変位はガバナロープ19に弛みが生じた場合よりも大きいため、このときの負の値は、弛み異常の場合よりも低い値である。
そこで、異常判定部33は、波形生成部31により生成されるセンサ波形50が、図7に示すように、第3基準値θref3以下の領域64に所定時間T3の間継続して存在する場合に、ガバナロープ10に切断異常が発生していると判定する。そして、異常判定部33は、エレベータ制御盤42に対して切断検出信号55を送信する。なお、判定に用いる第3基準値θref3、所定時間T3などのパラメータは、事前にシミュレーションなどを行うことで最適な値が求められ、基準値記憶部32に記憶されている。
切断検出信号55は、上述のように、ガバナロープ10に切断異常が発生していることを示す信号である。したがって、エレベータ制御盤42は、診断装置30の異常判定部33から切断検出信号55を受信した場合、エレベータ管理者にガバナロープ10の切断異常を知らせるための警告(例えばブザー鳴動や警告灯の点灯など)を行ったり、遠隔監視装置43から通信回線44を介してセンタ端末45に異常発報を行うように、遠隔監視装置43に制御指令を出力するといった対応が可能となる。
なお、本実施形態の異常診断システムは、以上のように地震発生時にガバナロープ10の異常診断を行うだけでなく、遠隔監視装置43からの診断開始指令に応じてガバナロープ10の異常診断を行うこともできる。すなわち、サービス情報センタのオペレータがセンタ端末45を操作することに応じて不定期に、あるいは、予め定められた診断周期に応じて定期的に遠隔監視装置43が診断開始指令を出力すると、この診断開始指令がエレベータ制御盤42を介して診断装置30に送られる。診断装置30の波形生成部31は、遠隔監視装置43からの診断開始指令を受信すると、回転角センサ20の測定値の取得を開始して診断開始指令受信後の可動リンク12の回転角の時間変化を表すセンサ波形50を生成する。そして、異常判定部33が、波形生成部31により生成されるセンサ波形50、すなわち、診断開始指令受信後の可動リンク12の回転角の時間変化を表すセンサ波形50に基づいて、上述した方法と同様の方法により、ガバナロープ10の異常判定を行い、判定結果に応じた信号を、エレベータ制御盤42を介して遠隔監視装置43に送信する。これにより、遠隔監視装置43は、ガバナロープ10に引っ掛かり異常、弛み異常、切断異常などの異常が発生している場合にセンタ端末45に異常発報し、サービス情報センタのオペレータなどにガバナロープ10の異常を知らせることができる。
次に、本実施形態の異常診断システムの動作について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の異常診断システムの処理手順を説明するフローチャートである。
本実施形態の異常診断システムの処理が開始されると、まず、診断装置30が地震感知器41から地震検知信号51を受信したか否かが判断される(ステップS101)。そして、地震検知信号51を受信していない場合は(ステップS101:No)、診断装置30が遠隔監視装置43からエレベータ制御盤42を介して診断開始指令を受信したか否かが判断される(ステップS102)。
ここで、診断装置30が地震検知信号51も診断開始指令も受信していない場合は(ステップS102:No)、そのまま処理を終了する。一方、診断装置30が地震検知信号51を受信した場合(ステップS101:Yes)、あるいは診断開始指令を受信した場合は(ステップS102:Yes)、波形生成部31が、可動リンク12に機械的に接続された回転角センサ20の測定値の取得を開始する(ステップS103)。そして、波形生成部31は、取得した回転角センサ20の測定値をもとに、地震検知後あるいは診断開始指令受信後の可動リンク12の回転角の時間変化を表すセンサ波形50を生成する(ステップS104)。波形生成部31が生成するセンサ波形50は、異常判定部33に入力される。
次に、異常判定部33が、波形生成部31により生成されるセンサ波形50に基づいて、ガバナロープ10の異常判定を行う。すなわち、異常判定部33は、まず、波形生成部31により生成されるセンサ波形50が、第1基準値θref1と第2基準値θref2との間の正常範囲61内に所定時間T0継続して収まっているか否かを判定する(ステップS105)。そして、センサ波形50が正常範囲61内に所定時間T0継続して収まっていれば(ステップS105:Yes)、異常判定部33は、ガバナロープ10に異常が発生していないと判定し、エレベータ制御盤42に対して復旧可能信号52を送信する(ステップS106)。
一方、センサ波形50が正常範囲61内に所定時間T0継続して収まっていない場合は(ステップS105:No)、異常判定部33は、次に、センサ波形50が、第1基準値θref1以上の領域62に所定時間T1継続して存在しているか否かを判定する(ステップS107)。そして、センサ波形50が第1基準値θref1以上の領域62に所定時間T1継続して存在していれば(ステップS107:Yes)、異常判定部33は、ガバナロープ10に引っ掛かり異常が発生していると判定し、エレベータ制御盤42に対して引っ掛かり検出信号53を送信する(ステップS108)。
一方、センサ波形50が第1基準値θref1以上の領域62に所定時間T1継続して存在していない場合は(ステップS107:No)、異常判定部33は、次に、センサ波形50が、第2基準値θref2と第3基準値θref3との間の弛み検出範囲63内に所定時間T2継続して収まっているか否かを判定する(ステップS109)。そして、センサ波形50が弛み検出範囲63内に所定時間T3継続して収まっていれば(ステップS109:Yes)、異常判定部33は、ガバナロープ10に弛み異常が発生していると判定し、エレベータ制御盤42に対して弛み検出信号54を送信する(ステップS110)。
一方、センサ波形50が弛み検出範囲63内に所定時間T2継続して収まっていない場合(ステップS109:No)、つまり、センサ波形50が第3基準値θref3以下の領域64に所定時間T3の間継続して存在する場合は、異常判定部33は、ガバナロープ10に切断異常が発生していると判定し、エレベータ制御盤42に対して切断検出信号55を送信する(ステップS111)。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の異常診断システムは、テンショナシーブ9を昇降路1の上下方向に変位可能に支持する可動リンク12の回転角を回転角センサ20により測定する。そして、この回転角センサ20の測定値を用いて地震検知後の可動リンク12の回転角の時間変化を表すセンサ波形50を生成し、このセンサ波形50に基づいてガバナロープ10の異常判定を行うようにしている。したがって、本実施形態の異常診断システムによれば、地震発生時などにガバナロープ10の異常を適切に診断することができる。
すなわち、従来の方式では、ピット付近に設置した距離センサによりテンショナウェイト11までの距離を測定し、測定したテンショナウェイト11までの距離に基づいてガバナロープ10の診断を行っていたが、この方式では、地震発生時にテンショナウェイト11が振り子状に動くことにより正確な距離測定が難しいといった問題があった。これに対し、本実施形態の異常診断システムは、テンショナウェイト11が振り子状に動いてもその影響を受けず、ガバナロープ10の挙動がダイレクトに反映される可動リンク12の回転角を測定し、この可動リンク12の回転角の時間変化を表すセンサ波形50に基づいてガバナロープ10の異常判定を行うようにしているので、ガバナロープ10の異常を適切に診断することができる。
また、非接触の距離測定を用いる従来の手法では、ピット特有の劣悪な環境(浸水、塵埃、落下物、汚れ、小動物進入など)の影響を受けやすいという問題があったが、可動リンク12の回転角を測定する本実施形態では、このようなピット環境の影響を受けることなく、ガバナロープ10の異常を適切に診断することができる。
<第1変形例>
本実施形態では、上述したように、初期状態においてテンショナシーブ9が定常位置のときに可動リンク12が水平状態となるように、レール7に対するブラケット13の位置が調整されている。また、回転角センサ20は、テンショナシーブ9が定常位置にあり可動リンク12が水平状態のときに測定値が0となるように調整されている。したがって、ガバナロープ10に異常がなく、テンショナシーブ9が定常位置にあれば、回転角センサ20が測定する可動リンク12の回転角の測定値は0となる。
しかし、ガバナロープ10は温度変化や湿度変化などの環境変化の影響によって伸び縮みする場合があり、このような場合、ガバナロープ10に異常がない場合でも、回転角センサ20の測定値が0にならずに正の値や負の値となる。その結果、ガバナロープ10の異常の診断精度が低下する懸念がある。
そこで、ガバナロープ10に振動が生じていないと推定される所定の条件下で回転角センサ20により測定される可動リンク12の回転角の測定値を取得し、この回転角センサ20の測定値に基づいて、基準値記憶部32に記憶されている基準値(第1基準値θref1、第2基準値θref2、第3基準値θref3)を補正するようにしてもよい。
図9は、本変形例の異常診断システムの構成例を示す図である。図1に示した構成と比較して、診断装置30に基準値補正部34が追加されている。基準値補正部34は、例えば、乗りかご2が特定階に戸開状態で停止しており、かつ、地震感知器41から地震検知信号51が送信されていない(地震検知信号51がオフ)など、ガバナロープ10に振動が生じていないと推定される所定の条件下で、回転角センサ20の測定値を取得する。そして、基準値補正部34は、取得した回転角センサ20の測定値が0でない場合、その測定値に基づいて、基準値記憶部32に記憶されている第1基準値θref1、第2基準値θref2、第3基準値θref3を補正する。基準値補正部34による基準値の補正は、定期的な間隔で実施することが望ましい。
図10は、基準値補正部34による基準値補正の概要を説明する図であり、温度変化や湿度変化などの環境変化の影響によりガバナロープ10が縮んだ場合の例を示している。ガバナロープ10が縮んだ場合、テンショナシーブ9を昇降路1の上方向に変位させるように可動リンク12が水平位置から傾く。このため、回転角センサ20の測定値は、ガバナロープ10に異常が発生していなくても正(+)の値となる。基準値補正部34は、この回転角センサ20の測定値をゼロ点補正量kとして、基準値記憶部32に記憶されている第1基準値θref1、第2基準値θref2、第3基準値θref3のそれぞれに対し、ゼロ点補正量kを加算することにより、これら第1基準値θref1、第2基準値θref2、第3基準値θref3を補正する。
基準値補正部34による補正が行われた後は、異常判定部33は、補正後の第1基準値θref1+k、補正後の第2基準値θref2+k、補正後の第3基準値θref3+kを用いて、上述した方法によりガバナロープ10の異常判定を行う。これにより、環境変化の影響によってガバナロープ10が伸び縮みしたとしても、ガバナロープ10の異常を適切に診断することができる。
<第2変形例>
上述の実施形態では、地震検知後あるいは診断開始指令受信後の可動リンク12の回転角の時間変化を表すセンサ波形50に基づいてガバナロープ10の異常判定を行うようにしているが、可動リンク12の回転角に代えて可動リンク12の傾斜角の時間変化を表すセンサ波形50に基づいてガバナロープ10の異常判定を行う構成としてもよい。
図11は、本変形例の異常診断システムの構成例を示す図である。図1に示した構成と比較して、回転角センサ20の代わりに傾斜角センサ25が設けられ、この傾斜角センサ25の測定値が診断装置30に入力される構成となっている。傾斜角センサ25は、可動リンク12に取り付けられて、鉛直方向と垂直な水平方向に対する可動リンク12の傾斜角を測定する。この傾斜角センサ25は、例えば上述の回転角センサ20と同様に、テンショナシーブ9が定常位置にあり可動リンク12が水平状態のときに測定値が0となるように初期調整される。
本変形例のように、回転角センサ20に代えて傾斜角センサ25を用い、可動リンク12の傾斜角の時間変化を表すセンサ波形50に基づいてガバナロープ10の異常判定を行う構成とした場合であっても、回転角センサ20を用いる上述の実施形態と同様に、地震発生時などにガバナロープ10の異常を適切に診断することができる。
なお、回転角センサ20と傾斜角センサ25の双方を組み合わせて用い、可動リンク12の回転角および傾斜角を測定する構成としてもよい。この場合は、測定系に冗長性を持たせることができるので、センサ誤作動などの影響を有効に抑制し、ガバナロープ10の異常の診断結果に対する信頼性を高めることができる。
<第3変形例>
上述の実施形態は、単体のエレベータに対して本発明を適用した例であるが、本発明は、複数台のエレベータを有するエレベータバンクを対象として適用することもできる。この場合、複数台のエレベータごとにガバナロープ10の異常有無を判定するだけでなく、各エレベータが復旧可能かどうかを判断する際に、バンク内の他のエレベータにおけるガバナロープ10の異常有無の判定結果を利用することもできる。
すなわち、地震発生後、バンク内の複数台のエレベータのうちの1台においてガバナロープ10に異常が発生していると判定された場合、そのエレベータでは、ガバナロープ10だけでなく、昇降路用品も損傷している可能性がある。さらに、バンク構成のエレベータでは、昇降路用品の損傷が隣接する他のエレベータにも波及している可能性もある。このため、ガバナロープ10に異常が発生していないと判定されたエレベータであっても、隣接するエレベータでガバナロープ10に異常が発生していると判定されている場合は、昇降路用品が損傷している可能性があるため、すぐに復旧させることは望ましくない。
そこで、複数台のエレベータを有するエレベータバンクを診断対象とする場合には、個々のエレベータにおけるガバナロープ10の異常有無の判定結果を集約し、バンク内の他のエレベータの判定結果を利用しながら、各エレベータが復旧可能かどうかを判断することが望ましい。
図12は、本変形例の異常診断システムの構成例を示す図である。本変形例では、エレベータバンクを構成する複数台のエレベータのそれぞれに対して、回転角センサ20(または傾斜角センサ25)と、波形生成部31、基準値記憶部32および異常判定部33を備えた診断装置30とが設けられている。また、本変形例の異常診断システムは、図12に示すように、各エレベータの診断装置30と接続された統合診断装置60を備える。
本変形例では、各エレベータの診断装置30における異常判定部33が上述の実施形態で説明した方法と同様の方法により、対応するエレベータのガバナロープ10の異常有無を判定し、判定結果に応じた信号を統合診断装置60に送信する。統合診断装置60は、各エレベータの診断装置30から送信された信号(ガバナロープ10の異常有無の判定結果に応じた信号)を収集し、収集した信号をもとに、エレベータバンクを構成する複数台のエレベータのそれぞれについて、例えば以下の(1)から(3)の条件に従って復旧可能か否かを判断する。
(1)収集した信号が全てガバナロープ10に異常がないことを示す信号(例えば、上述の復旧可能信号52)であった場合、統合診断装置60は、エレベータバンクを構成する複数台のエレベータの全てが、復旧可能であると判断する。この場合、統合診断装置60は、例えば、エレベータバンクを構成する全てのエレベータのエレベータ制御盤42に対して上述の復旧可能信号52を送信し、各エレベータをすぐに通常運転に復帰させることができる。
(2)収集した信号にガバナロープ10に異常があることを示す信号(例えば、上述の引っ掛かり検出信号53、弛み検出信号54、切断検出信号55)が含まれている場合であって、下記(3)の条件に当てはまらない場合、統合診断装置60は、少なくとも、ガバナロープ10に異常があると判定されたエレベータと、該エレベータに隣接するエレベータは、復旧の前に点検が必要であると判断する。この場合、統合診断装置60は、例えば、復旧の前に点検が必要であると判断したエレベータの号機番号をエレベータ管理者やサービス情報センタに設置されたセンタ端末45などに通知することで、点検を促すことができる。また、統合診断装置60は、復旧の前に点検が必要であると判断したエレベータ以外の他のエレベータについては、そのエレベータのエレベータ制御盤42に対して上述の復旧可能信号52を送信し、各エレベータをすぐに通常運転に復帰させることができる。
(3)収集した信号にガバナロープ10に異常があることを示す信号(例えば、上述の引っ掛かり検出信号53、弛み検出信号54、切断検出信号55)が含まれており、かつ、ガバナロープ10に異常があることを示す信号の数または割合(信号の総数に対する割合)が予め定めた閾値以上の場合、統合診断装置60は、エレベータバンクを構成する複数台のエレベータの全てが、復旧の前に点検が必要であると判断する。この場合、統合診断装置60は、例えば、エレベータバンク全体の点検が必要であることをエレベータ管理者やサービス情報センタに設置されたセンタ端末45などに通知することで、点検を促すことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 昇降路、2 乗りかご、8 ガバナ、9 テンショナシーブ、10 ガバナロープ、11 テンショナウェイト、12 可動リンク、20 回転角センサ、25 傾斜角センサ、30 診断装置、31 波形生成部、32 基準値記憶部、33 異常判定部、34 基準値補正部、41 地震感知器、42 エレベータ制御盤、43 遠隔監視装置、50 センサ波形、60 統合診断装置。

Claims (5)

  1. エレベータの昇降路上部に配置されたガバナと昇降路下部に配置されたテンショナシーブとの間に張り渡されて乗りかごの昇降に伴って移動するガバナロープの異常を診断する異常診断システムであって、
    前記テンショナシーブを昇降路の上下方向に変位可能に支持する可動リンクの回転角または傾斜角を測定するセンサと、
    地震感知器から地震検知信号を受信すると前記センサの測定値の取得を開始し、地震検知後の前記可動リンクの回転角または傾斜角の時間変化を表す波形を生成する波形生成部と、
    前記波形生成部により生成される波形に基づいて前記ガバナロープの異常判定を行い、判定結果に応じた信号を送信する異常判定部と、を備え
    前記センサと前記波形生成部と前記異常判定部は、複数台のエレベータを有するエレベータバンクにおける各エレベータに対してそれぞれ設けられ、
    前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号を収集する統合診断装置をさらに備え、
    前記統合診断装置は、
    前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号の全てが前記ガバナロープに異常がないことを示すものである場合は、前記複数台のエレベータの全てを復旧可能と判断し、
    前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号に前記ガバナロープに異常があることを示す信号が含まれている場合は、少なくとも、前記ガバナロープに異常があることを示す信号を送信した前記異常判定部に対応するエレベータと、該エレベータに隣接するエレベータは、復旧の前に点検が必要であると判断することを特徴とする異常診断システム。
  2. 前記センサは、前記テンショナシーブが定常位置から昇降路の上方向に変位したときに測定値が正の値となり、前記テンショナシーブが定常位置から昇降路の下方向に変位したときに測定値が負の値となるように調整され、
    前記異常判定部は、
    前記波形生成部により生成される波形が、正の値の第1基準値と負の値の第2基準値との間の領域である正常範囲内に所定時間継続して存在する場合は、前記ガバナロープに異常がないと判定し、
    前記波形生成部により生成される波形が、前記第1基準値以上の領域に所定時間継続して存在する場合は、前記ガバナロープが昇降路内の突起物に引っ掛かった状態である引っ掛かり異常が発生していると判定し、
    前記波形生成部により生成される波形が、前記第2基準値と該第2基準値よりも低い第3基準値との間の領域である弛み検出範囲内に所定時間継続して存在する場合は、前記ガバナロープに弛みが生じた状態である弛み異常が発生していると判定し、
    前記波形生成部により生成される波形が、前記第3基準値以下の領域に所定時間継続して存在する場合は、前記ガバナロープが切断された状態である切断異常が発生していると判定することを特徴とする請求項1に記載の異常診断システム。
  3. 前記ガバナロープに振動が生じていないと推定される所定の条件下での前記センサの測定値に基づいて、前記第1基準値と前記第2基準値と前記第3基準値を補正する基準値補正部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の異常診断システム。
  4. 前記波形生成部は、さらに、遠隔監視装置から診断開始指令を受信した場合に前記センサの測定値の取得を開始して、診断開始指令受信後の前記可動リンクの回転角または傾斜角の時間変化を表す波形をさらに生成し、
    前記異常判定部は、前記診断開始指令の受信に応じて前記波形生成部により生成される波形に基づいて前記ガバナロープの異常判定をさらに行い、判定結果に応じた信号を前記遠隔監視装置に送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の異常診断システム。
  5. 前記統合診断装置は、
    前記複数台のエレベータごとの前記異常判定部が各々送信する前記判定結果に応じた信号に前記ガバナロープに異常があることを示す信号が含まれており、かつ、前記ガバナロープに異常があることを示す信号の数または割合が閾値以上の場合は、前記複数台のエレベータの全てが、復旧の前に点検が必要であると判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の異常診断システム。
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