JP2008094604A - エレベータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たなセンサーや機器を追加することなく、地震発生後の安全確認を安価な構成で確実に行うことができる装置を提供する。
【解決手段】平常時に所定の運転パターンでエレベータを運転したときの制御機器の出力信号パターンを記憶する手段と、前記自動点検運転時に所定の運転パターンでエレベータを運転したときの前記制御機器の出力信号パターンを記憶する手段と、平常時と自動点検運転時の前記出力信号パターンを比較する手段と、その比較結果により異常の有無を判断する異常判定手段18とを備え、この異常判定手段18により異常が検出されなかったときに平常運転に復旧させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震発生後の自動復旧運転時や或いは定期点検時に、エレベータを所定の運転パターン(階床距離、速度、負荷状態)で走行させることにより、異常の有無を安価な構成で確実に検出することのできるエレベータの制御装置に関するものである。
従来から、エレベータには地震時における安全対策として地震管制装置が設けられている。この地震管制装置は、一般に地震感知器を備えており、一定レベル以上の揺れを感知するとエレベータを最寄階等に停止させ、或いは一旦停止の後、最寄階へ低速運転で移動させた後運転を休止する。その後、保守員等により復旧のための点検作業が行なわれ、安全が確認されると平常運転に復旧させ運転が再開される。
しかしながら、都市部やその近くで大きな地震が発生すると膨大な数のエレベータが運転休止に至るため、上記のように保守員による点検の後に復旧させる方法では非常に多くの保守員と作業時間とを要し、保守員の手の回らない現場では長時間に亘ってエレベータが停止したままとなる。このため、地震後の復旧運転をより早く行うため、保守員による点検ではなく、点検から復旧までを自動的に行うことが提案されている。例えば、エレベータを最寄階に停止させた後、揺れが収まったか或いは一定時間経過後に、エレベータを最上階から最下階まで通常の速度よりも低速で往復走行させるなどの自動点検運転を行い、その間に各種の異常検出器により異常が検出されなければ安全と判断し、自動的に平常運転を再開させるというものである(特許文献1参照)。
特開昭59−39674号公報
上記特許文献1のように、地震後に自動点検でエレベータ装置の安全を確認し、異常が検出されなければ平常運転に復旧させる場合、異常検出装置としては、例えば、走行時の異常音や異常振動を検出するものや、ケーブルの一端に重量センサを取付けてケーブルの引っ掛かりを検出するもの、或いは昇降路内の地震前後の画像分析により昇降路内の変化を検出するようにしたものなど、種々のものが考えられている。
このような異常検出器は、多数備えることで異常の有無をより正確に検出することが期待される反面、検出の対象によっては新たに種々のセンサーやカメラなど平常時には使用されない機器を追加する必要があり、コストアップにつながるという問題がある。また、このような問題は、地震後の自動復旧運転に限らず、定期点検時における異常の確認においても同様である。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、新たなセンサーや機器を追加することなく、通常のエレベータが備えている機器からの出力信号を利用することで、安価な構成で安全確認を確実に行うことができ、地震発生後の自動復旧運転を速やかに行えるだけでなく、通常の定期点検時においても僅かな異常を検出することにより故障や事故の発生を未然に防止できるようにすることを目的としたものである。
本発明は、地震発生時にその地震の震度や揺れの状態に応じてかごを最寄階等に停止させて運転休止とし、その後の自動点検運転により異常が検出されない場合は平常運転に復帰させるようにしたエレベータの制御装置において、平常時に所定の運転パターンでエレベータを運転したときの制御機器の出力信号パターンを記憶する手段と、前記自動点検運転時に所定の運転パターンでエレベータを運転したときの前記制御機器の出力信号パターンを記憶する手段と、平常時と自動点検運転時の前記出力信号パターンを比較する手段と、その比較結果により異常の有無を判断する異常判定手段とを備えたものである。
本発明によれば、新たなセンサーや機器を追加することなく、通常のエレベータが備えている制御機器からの出力信号を利用するようにしたので、安価な構成で安全確認を確実に行うことができ、地震発生後の自動復旧運転を速やかに行えるだけでなく、通常の定期点検時においても僅かな異常を検出することにより故障や事故の発生を未然に防止することができる。
以下、本発明の一実施形態として、制御機器の出力信号パターンとはトルク指令信号の時間パターンである場合について、図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態であるエレベータの制御装置の全体構成図、図2は本発明に係るエレベータの制御装置において、平常時にトルク指令信号の時間パターンを記憶させる手順を示すフローチャート、図3は本発明に係るエレベータの制御装置において、地震発生後の異常検出の判断手順を示すフローチャートである。
図1において、1は電源、2はインバータ等からなる電力変換装置、3はエレベータ駆動用の電動機,4は電動機3の軸に取付けられたパルス発生器、5はパルス発生器4の出力から電動機3の回転速度を検出し、帰還速度信号として出力する速度検出器、6は電流検出器、7は後述の運転制御装置14からの運転指令に基づいてエレベータの速度指令信号を出力する速度指令発生装置、8は前記速度指令信号と前記帰還速度信号との偏差をトルク指令信号として出力する速度調節器、9はトルク指令信号と電流検出器6からの検出電流との偏差を電流指令信号として出力する電流調節器であり、このような速度制御系で電力変換装置の給電を制御し、巻上機3の速度制御すなわちエレベータの速度制御を行っている。
11は所定レベル以上の揺れを検出する地震感知器、12は地震感知器11が作動するとエレベータを最寄階に停止させるなどの地震管制運転指令を発生する地震管制運転指令装置、13は地震発生後、所定時間が経過するなど所定の条件が整った段階で、所定の運転パターンによる自動点検運転指令を出力する自動点検運転指令装置である。
14は地震管制運転指令や自動運転点検指令等に応じてエレベータの運転を制御する運転制御装置、15は平常時に所定の運転パターンでエレベータの運転を行った時のトルク指令信号の時間パターンを記憶する第1の記憶手段、16は地震後の自動点検運転時に所定の運転パターンで運転を行った時のトルク指令信号の時間パターンを記憶する第2の記憶手段、17は平常時の前記トルク指令信号の時間パターンと自動点検運転時の前記トルク指令信号の時間パターンとを比較する比較手段、18はその比較結果により異常の有無を判断する異常判定装置である。
以下、上記図1の構成と図2及び図3のフローチャートに基づいて、本発明に係るエレベータの制御装置の手順を説明する。
まず図2のフローチャートに示すように、平常時、例えば据付直後や定期点検時或いは夜間に行われる自動点検運転時において、所定の運転パターン(例えば無負荷で最下階から最上階まで低速上昇運転等)でエレベータの運転を行い(ステップS1)、そのときのトルク指令信号の時間パターンを第1の記憶手段15に記録する(ステップS1)。更に、低速下降運転等、所定の運転パターンすべてについて終了したか否かを確認し(ステップS1)、すべての運転パターンについてトルク指令信号の時間パターンを記録すると終了する。
次に、図3のフローチャートについて説明する。地震が発生し、地震感知器11で所定のレベル以上の揺れを検出すると地震感知器が作動し、地震管制運転指令装置12から運転制御装置14へ地震管制運転指令が発せられる(ステップS11)。このときエレベータが走行中であればかごを最寄階へ停止させ、停止中であればその階で、ドアを開いて乗客を降ろした後、ドアを閉じ運転を休止する(ステップS12)。
その後、一定時間経過するなど所定条件が整うと、自動点検運転指令装置13から運転制御装置14へ自動点検運転指令が発せられ、所定の運転パターンによる自動点検運転が行われる(ステップS13、ステップS14)。この自動点検運転時の所定の運転パターンは前述の平常時における所定の運転パターンと同一であり、平常時の場合と同様にしてトルク指令信号の時間パターンを第2の記憶手段16に順次記憶する(ステップS1)。そして、すべての所定運転パターンについてトルク指令信号の時間パターンを記憶させると(ステップS15、ステップS16)、比較手段17で平常時に記憶させたトルク指令信号の時間パターンと比較する(ステップS17)。異常判定手段18ではこの比較結果に基づいて異常の有無を判定し、異常有りと判断された場合は直ちに運転を休止する(ステップS19)。なお、遠隔監視機能を備えたエレベータでは保守センターにその判定結果を通報するようにしてもよい。
一方、平常時のトルク指令信号の時間パターンと、地震後の自動点検運転におけるトルク指令信号の時間パターンとの間に差異が認められず、異常判定手段18で異常なしと判断された場合には平常運転に復帰し、地震管制運転は終了となる(ステップS18、ステップS20)。ただしこの場合でも、保守員が最終確認を行うまでの間は平常運転への復帰は仮の状態とし、あくまでも低速運転に留めるなどの対応をとることが望ましい。
なお上記の実施形態においては、制御機器の出力信号パターンとして、速度調節器から出力されるトルク指令信号の時間パターンを対象としたが、これに限らず、速度検出器から出力される帰還速度信号の時間パターンや、或いはかご下やかご上のロープヒッチ部に設けられる荷重検出装置から出力される荷重検出信号の時間パターン、昇降路内の各所に設けられたかご位置検出装置から出力されるかご位置検出信号の時間パターンなど、通常のエレベータが備えている制御機器の出力信号の少なくとも一つを対象とすることで、同様の異常検出が可能である。
また、上記の実施形態においては、異常の有無によって、運転休止か平常運転に復帰かの何れかしか選択肢を設けていないが、異常のレベルに応じて、すなわちトルク指令信号の平常時と地震後の時間パターンの差がどの部分にどの程度生じているかによって、特定の階床間だけの運転を認めるとか、各階停止運転だけを認めるとかの場合分けを行うようにしてもよい。
また、上記の実施形態においては、地震発生後の安全確認を行うための異常検出について説明したが、地震時に限らず定期点検時や夜間に行われる自動点検運転時に所定の運転パターンでエレベータの運転を行い、そのときの各制御機器の出力信号パターンと平常時の各機器の出力信号パターンとを比較することで、故障を早期に発見し、事故の発生を未然に防止することができる。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の改変を施すことができる。
本発明の一実施形態であるエレベータの制御装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明に係る、平常時にトルク指令信号の時間パターンを記憶させる手順を説明するフローチャートである。 本発明に係る、地震発生後の異常検出の判断手順を説明するフローチャートである。
符号の説明
2 電力変換装置
3 電動機
5 速度検出器
7 速度指令発生装置
8 速度調節器
9 電流調節器
11 地震感知器
12 地震管制運転指令装置
13 自動点検運転指令装置
14 運転制御装置
15 第1の記憶手段
16 第2の記憶手段
17 比較手段
18 異常判定手段

Claims (5)

  1. 地震発生時に、その地震の震度や揺れの状態に応じてかごを最寄階等に停止させて運転休止とし、その後の自動点検運転により異常が検出されない場合は平常運転に復帰させるようにしたエレベータの制御装置において、
    平常時に所定の運転パターンでエレベータを運転したときの制御機器の出力信号パターンを記憶する手段と、前記自動点検運転時に所定の運転パターンでエレベータを運転したときの前記制御機器の出力信号パターンを記憶する手段と、平常時と自動点検運転時の前記出力信号パターンを比較する手段と、その比較結果により異常の有無を判断する異常判定手段とを備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。
  2. 前記制御機器の出力信号パターンは、トルク指令信号の時間パターンであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
  3. 前記制御機器の出力信号パターンは、帰還速度信号の時間パターンであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
  4. 前記制御機器の出力信号パターンは、荷重検出信号の時間パターンであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
  5. 前記制御機器の出力信号パターンは、かご位置検出信号の時間パターンであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
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