JPH06247657A - エレベータの点検装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 地震発生後に運転休止中のエレベータに対し
て、監視センタからの指令によつて、昇降路内の機器の
異常を検出しながら高信頼度の点検作業を自動的に行う
エレベータの点検装置を提供する。 【構成】 エレベータの地震発生後の点検運転時に、マ
イクロホン６で集音した昇降路内の機器からの音響デー
タ及びロータリエンコーダ２で検出した乗りかご８の位
置データを記録するデータ記録部１２と、音響データか
ら異常音を検出し、そのレベルに応じて、エレベータが
運行可能な第１段階、運行可能だが点検が必要な第２段
階及び運行不能な第３段階の判別をするデータ判定部１
３と、第１段階の判別時には平常運転を再開し、第２段
階の判別時には、点検要求信号を監視センタ１５に送信
し、第３段階の判別時には、エレベータの運転を停止す
る端末装置１１とを有する。 【効果】 復旧作業が保守員の負担を低減して的確且つ
効率的に行われる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はエレベータの点検装置、
特に地震発生後にエレベータの点検を行うエレベータの
点検装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】地震が発生しビル施設に被害が及ぼされ
ると、該ビルに設置されているエレベータの昇降路内の
乗りかごやカウンタウエイトが、レールより外れたりレ
ールの継目に歪みが生じるなどの異常状態となることが
ある。このような異常状態が発生すると、エレベータに
は地震管制運転モードが設定され、エレベータは最寄り
階に誘導され停止後に運転休止状態になる。

【０００３】従来この運転休止状態のエレベータを復帰
させるには、保守技術者が乗りかごに乗り込み、エレベ
ータの点検運転を行ないながら、定量的な基準データを
点検すると共に、昇降路内の機器や部品の状態を視覚的
に確認し、点検運転時の乗りかごの走行音や停止音など
を聴覚的に確認し、これらを総合して経験的な感覚で判
断してエレベータを通常運転状態に復旧している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の運転休止状態の
エレベータの復帰作業では、保守技術者の経験的な感覚
での判断に依存する部分が多く、近年のようにビルが高
層化すると、該ビルに設置されているエレベータの復帰
作業を行う場合、保守技術者には大きな負担がかかり、
作業時間も長くなる。特に、地震の発生に伴つて運転休
止状態となつたエレベータの復旧作業の場合には、ビル
の密集地帯では復旧作業の対象となるエレベータ数が極
めて多数になり、保守技術者にかかる負担が大きくな
る。

【０００５】この問題を解決するために、特開昭６２−
２１１２８０号公報に、地震が発生してエレベータが運
転休止状態になつた場合、各地区での地震の規模に応じ
て、監視センタから自動的に運転を再開する装置が提案
されている。しかし、提案の装置では、実際に昇降路内
の機器や部品に異常のないことを確認して、運転を再開
するのではなく、地震の規模から異常のないことを推定
して運転を再開するものであり、もし、昇降路内の機器
や部品に異常が発生している場合には、運転の再開によ
つて重大事故が発生するおそれがある。

【０００６】本発明は、前述したような地震発生後に最
寄り階で運転休止状態になつたエレベータの復旧作業の
現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、このよ
うにして最寄り階で運転休止中のエレベータに対して、
監視センタからの指令によつて、高信頼度の点検作業を
昇降路内の機器の異常を検出しながら自動的に行うエレ
ベータの点検装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明は、地震発生後に監視センタからの指令によ
り、エレベータを自動的に点検するエレベータの点検装
置において、前記エレベータの点検運転時に、昇降路内
の機器が発生する音響を集音する集音手段と、前記点検
運転時の前記エレベータの乗りかご位置を検出する位置
検出手段と、前記集音手段が集音する音響データと前記
位置検出手段が検出する位置データとを、互いに対応付
けて記録するデータ記録手段と、前記音響データから異
常音を検出し、検出した異常音のレベルに応じて、エレ
ベータが運行可能な第１段階、エレベータの点検が必要
な第２段階及びエレベータが運行不能な第３段階の判別
をする判別手段と、前記第１段階の判別時には平常運転
を再開し、前記第２段階の判別時には、異常音データ及
び該異常音の発生位置に対応する前記位置データを含む
点検要求信号を前記監視センタに送信し、前記第３段階
の判別時には、前記エレベータの運転を停止する制御手
段とを有する構成にしてある。

【０００８】

【作用】この構成によると、地震発生後に監視センタか
らの指令によつて点検運転が自動的に開始され、集音手
段によつて、該点検運転時に昇降路内の機器が発生する
音響が集音され、位置検出手段によつて、該点検運転時
のエレベータの乗りかご位置が検出される。このように
して、集音手段により集音された音響データと、位置検
出手段により検出された位置データとは、互いに対応付
けられてデータ記録手段に記録される。また判定手段
が、データ記録手段に記録された音響から異常音を検出
し、該異常音のレベルに応じて、エレベータが運行可能
な第１段階、エレベータの点検が必要な第２段階及びエ
レベータが運行不能な第３段階の判別を行う。そして、
制御手段が作動して、第１段階と判別された場合は、乗
りかごの平常運転を再開し、第２段階と判定された場合
は、異常音データ及び該異常音の発生位置に対応する位
置データを含む点検要求信号を監視センタに送信し、第
３段階と判定された場合は、エレベータの運転を停止す
る。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図３を参
照して説明する。ここで、図１は実施例の構成を示す説
明図、図２は実施例の動作を示すフローチヤート、図３
は実施例の異常音検出動作を説明する特性図である。

【００１０】図１で１６はエレベータの通常運転を制御
し、後述するデータ判定部１３からの指令信号によつ
て、地震発生後のエレベータ制御を行う運転制御部１６
で、この運転制御部１６に運転制御部１６からの制御信
号で駆動されるトラクシヨンマシン１が接続してあり、
トラクシヨンマシン１に連結されたプーリ１７に巻掛け
られた主ロープ３の一端に乗りかご８を固定してある。
この乗りかご８にはガイドシユー７が取り付けてあり、
昇降路内に配置してあるかごレール４に係合したガイド
シユー７が、かごレール４の面上を摺動することによ
り、乗りかご８が昇降路内を上昇／下降走行するように
してある。

【００１１】プーリ１７に巻掛けられた主ロープ３の他
端側は、補助プーリ１８に巻掛けられて昇降路内に垂下
され、主ロープ３の他端にはカウンタウエイト１０が固
定してある。このカウンタウエイト１０にはガイドシユ
ー９が取り付けてあり、昇降路内に配置してあるカウン
タウエイトレール５に係合したガイドシユー９が、カウ
ンタウエイトレール５の面上を摺動することにより、カ
ウンタウエイト１０が昇降路内を、乗りかご８の走行に
対応して上昇／下降移動するようにしてある。

【００１２】また、乗りかご８の上面には、点検運転時
に昇降路内に配置されている各種の機器からの音響を集
音する集音手段として、マイクロホン６が取り付けてあ
り、トラクシヨンマシン１には、乗りかご８の昇降路内
の位置を検出する位置検出手段として、ロータリエンコ
ーダ２が取り付けてある。

【００１３】一方、エレベータが設置されたビルには、
エレベータの動作を遠隔的に監視する監視センタ１５と
電話回線１４で接続され、データ記録部１２と、このデ
ータ記録部１２に接続されるデータ判定部１３とを備え
た端末装置１１が制御手段として設けてある。この端末
装置１１のデータ記録手段としてのデータ記録部１２に
は、ロータリエンコーダ２の出力端子と、マイクロホン
６の出力端子とが接続してあり、データ記録部１２は、
マイクロホン６が集音する昇降路内の機器の音響データ
と、ロータリエンコーダ２が検出する乗りかご８の位置
データとを、互いに対応付けて記録格納する機能を備え
ている。

【００１４】また、判別手段としてのデータ判定部１３
は、データ記録部１２と信号の授受が可能に接続してあ
り、さらに運転制御部１６にも接続してあり、このデー
タ判定部１３は、マイクロホン６が集音した音響データ
から異常音を検出し、当該異常音が第１段階ないし第３
段階の何れに対応するかの判別をする機能を備えてい
る。ここで、第１段階とは、異常音からエレベータが運
行可能であると判別される段階であり、第２段階とは、
異常音からエレベータの点検が必要であると判別される
段階であり、第３段階とは、異常音からエレベータの運
行が不能であると判別される段階である。

【００１５】次に、このような構成の実施例の地震発生
時におけるエレベータの点検動作を図２及び図３を参照
して説明する。

【００１６】エレベータが地震を検知して地震管制運転
状態になり、最寄階に誘導されて運転休止状態になつて
いる場合、図２のステツプＳ１において、監視センタ１
５の監視員は、電話回線１４を介して当該エレベータの
端末装置１１に遠隔点検指示信号を送信する。この遠隔
点検指示信号によつて、ステツプＳ２で端末装置１１か
ら運転制御部１６に点検運転指令が入力され、運転制御
部１６からの制御信号によつて、乗りかご８は低速で点
検運転を開始する。そして、この点検運転中にステツプ
Ｓ３で、ロータリエンコーダ２の出力信号に基づいて、
乗りかご８の位置データがデータ記録部１２に記録さ
れ、同時に昇降路内に配置された各種の機器から発生す
る音響が、マイクロホン６で集音されて音響データとし
て、位置データに対応付けられてデータ記録部１２に記
録される。

【００１７】この場合、マイクロホン６で集音され、音
響データとしてデータ記録部１２に記録される音響に
は、地震による昇降路内の機器の歪みや位置ずれなどに
より、異常音が発生することがあり、図３に示すように
この異常音に対して、基準レベル１と基準レベル２と
が、予め設定してある。そして、以下に順次説明するよ
うに、基準レベル２を越える異常音の発生が認められる
場合には、エレベータの運行が不能な第３段階にあると
判断して、エレベータは緊急停止され、基準レベル１の
みを越える異常音の発生が認められる場合には、エレベ
ータは運行可能であるが、保守点検作業を早急に受ける
ことが必要な第２段階にあると判断されて、監視センタ
への通報が行われ、異常音の発生が認められない場合
は、エレベータは通常運転可能と判断される。因みに図
３は、昇降路の２階領域のほぼ中間位置で、第２段階に
相当する異常音が検出され、昇降路の８階領域の上部で
第３段階に相当する異常音が検出された場合を示してい
る。

【００１８】図２に戻つてステツプＳ３からステツプＳ
４に進み、データ判定部１３によつて、データ記録部１
２の音響データが読み出され、基準レベル１を越える音
響データが存在するかどうかが判定され、この判定がＹ
ＥＳ（第２段階）であるとステツプＳ５に進んで、基準
レベル２を越える音響データが存在するかどうかが判定
される。ステツプＳ５の判定がＹＥＳ（第３段階）であ
ると、ステツプＳ７に進んで端末装置１１から運転制御
部１６に停止指令が発せられ、運転制御部１６によつて
エレベータは緊急停止される。次いで、ステツプＳ８に
おいて、基準レベル２を越える異常音データと対応する
乗りかごの位置データとが、データ記録部１２から読み
出され、ステツプＳ９に進んで端末装置１１から監視セ
ンタ１５に、電話回線１４を介して異常音データと対応
する位置データとを含む異常通報が送信される。

【００１９】この場合には、異常通報を受信した監視セ
ンタからは、直ちにエレベータの設置場所に保守技術者
が派遣され、異常状態にあるエレベータの復旧作業が行
われる。

【００２０】また、ステツプＳ５の判定がＮＯである
と、ステツプＳ６に進んで、基準レベル１を越える異常
音データと対応する乗りかごの位置データが、データ記
録部１２に記録された状態で点検が続行され、ステツプ
Ｓ１０に進んで、昇降路内の全ての位置の点検が済んだ
かどうかの判定が行われる。ステツプＳ１０の判定がＮ
Ｏであると、ステツプＳ３，Ｓ４の処理が繰り返され、
ステツプＳ１０の判定がＹＥＳになると、ステツプＳ１
１に進み昇降路内の異常の有無の判定がされ、この場合
は判定がＹＥＳとなるので、ステツプＳ１２に進んでデ
ータ記録部１２からデータが読み出され、端末装置１１
から監視センタ１５に、電話回線１４を介して異常音デ
ータと対応する位置データとを含む点検要求信号が送信
される。

【００２１】この場合には、エレベータの運行には支障
がないので、監視センタ１５からの指令によつて端末装
置１１から発せられる復旧指令信号によつて、運転制御
部１６は正常運転状態に復帰するが、可能な限り早い時
期に保守技術者が、エレベータの設置場所に派遣され、
異常音を発生した機器に関する整備作業が行われる。

【００２２】また、基準レベル１を越える異常音の発生
が認められない場合は、ステツプＳ４の判定がＮＯとな
り、ステツプＳ１０で全ての点検の終了が確認された後
で、ステツプＳ１１の判定もＮＯとなり、第１段階にあ
ることになるので監視センタ１５からの指令によつて端
末装置１１から発せられる復旧指令信号によつて、運転
制御部１６は正常運転状態に復帰する。

【００２３】このように、実施例によると、地震発生に
よつて地震管制運転状態になり、最寄階に誘導されて運
転休止状態になつたエレベータについて、監視センタ１
５から昇降路内の機器の異常音を検出する点検作業が自
動的に行われ、エレベータの運行不能の場合には、直ち
にエレベータは運転停止の状態にされ、エレベータの設
置場所に保守技術者が派遣されてエレベータの異常復旧
作業が行われる。一方、異常音の発生が認められない場
合には、監視センタ１５からの指令によつてエレベータ
は直ちに正常運転に復帰され、軽微な異常音のみが発生
している場合は、同様にエレベータは正常運転に復帰さ
れ、この場合は可能な限り早い時期に、エレベータの設
置場所に保守技術者が派遣され、異常音を発生した機器
に関する整備作業が行われる。このようにして、実施例
によると地震発生後のエレベータに対して、昇降路内の
機器の異常を検出しながら高信頼度の点検作業が、自動
的に短時間で能率的に行われるので、エレベータの異常
復旧作業が、保守技術者の負担を低減して効率的に行わ
れる。

【００２４】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明による
と、地震の発生後に監視センタの指令によつて、昇降路
内の機器の発する音響から異常音が検出され、そのレベ
ルに応じて、エレベータが運行可能な第１段階、エレベ
ータの点検が必要な第２段階及びエレベータが運行不能
な第３段階の判別が行われ、第１段階に該当すると判定
された場合は、乗りかごの平常運転を再開し、第２段階
に該当すると判定された場合は、点検要求信号を監視セ
ンタに送信し、第３段階に該当すると判定された場合
は、エレベータの運転を停止する高信頼度の自動点検作
業が行われるので、地震発生後のエレベータの復旧作業
を保守技術者の負担を低減し、短時間で効率的に且つ的
確に行うことが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成を示す説明図である。

【図２】該実施例の動作を示すフローチヤートである。

【図３】該実施例の異常音検出動作を示す特性図であ
る。

【符号の説明】

１ トラクシヨンマシン ２ ロータリエンコーダ ６ マイクロホン ８ 乗りかご １１ 端末装置 １２ データ記録部 １３ データ判定部 １５ 監視センタ １６ 運転制御部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地震発生後に監視センタからの指令によ
   り、エレベータを自動的に点検するエレベータの点検装
   置において、前記エレベータの点検運転時に、昇降路内
   の機器が発生する音響を集音する集音手段と、前記点検
   運転時の前記エレベータの乗りかご位置を検出する位置
   検出手段と、前記集音手段が集音する音響データと前記
   位置検出手段が検出する位置データとを、互いに対応付
   けて記録するデータ記録手段と、前記音響データから異
   常音を検出し、検出した異常音のレベルに応じて、エレ
   ベータが運行可能な第１段階、エレベータの点検が必要
   な第２段階及びエレベータが運行不能な第３段階の判別
   をする判別手段と、前記第１段階の判別時には平常運転
   を再開し、前記第２段階の判別時には、異常音データ及
   び該異常音の発生位置に対応する前記位置データを含む
   点検要求信号を前記監視センタに送信し、前記第３段階
   の判別時には、前記エレベータの運転を停止する制御手
   段とを有することを特徴とするエレベータの点検装置。