JP5388801B2 - エレベータの地震復旧診断運転装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地震の揺れを受けて地震管制運転により休止した複数台のエレベータを復旧させるのに好適なエレベータの地震復旧診断運転装置に関する。
従来より、複数台のエレベータが備えられる場合に、地震が発生したときに各エレベータの異常を点検し、異常の有無に基づいて復旧あるいは適切な処理を行うエレベータの地震復旧診断運転装置が備えられることが多い。このエレベータの地震復旧診断運転装置は、地震発生時に所定以上の揺れがあったときに地震管制運転させ、この地震管制運転により休止したエレベータのそれぞれを、監視装置を介して異常の有無を検出して運転制御を行うものである。
すなわち、これらの運転制御されたエレベータが地震の揺れを受けると、地震管制運転が行われて各エレベータが休止する。各エレベータが休止した後、地震復旧診断運転が行われ、これらの休止したエレベータのかごを走行させて異常の有無を確認する。そして、エレベータに異常が検出されなかった場合には自動的にエレベータが復旧され、エレベータに異常が検出された場合には外部のエレベータの保守会社に通報されて適切な処理が施される。
このようなエレベータの地震復旧診断運転には、各エレベータの地震復旧診断運転中に隣接するエレベータの地震復旧診断運転によって生じる誤作動を防止するために、各台のエレベータの制御盤にそれぞれ設けられ、地震管制運転完了後にタイマーの設定時限が満了すると地震復旧診断運転を複数台同時に行うことなく、1台ずつ時間をずらして順次開始させるタイマー手段を備えたエレベータの地震復旧運転装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−197203号公報
特許文献1に開示された従来のエレベータの地震復旧運転装置は、タイマー手段によって複数台のエレベータに対し、1台ずつ時間をずらして地震復旧診断運転を順次開始させ、結局エレベータの全台数を地震復旧診断運転させることになる。そのため、地震によってエレベータに異常が生じた可能性が高い場合に、エレベータの全台数を地震復旧診断運転させることに伴って、各エレベータにおける乗かごに備えられた機器や昇降路内に設置された装置等の故障を助長する虞がある。特に、複数台のエレベータに異常が生じている場合に、エレベータの全台数を地震復旧診断運転させることによって複数台のエレベータが故障すると、これらのエレベータを復旧させるまでに時間が掛かり、エレベータのサービス性を損なう虞がある。
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、地震復旧診断運転に伴う故障を回避することができるエレベータの地震復旧診断運転装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のエレベータの地震復旧診断運転装置は、複数台のエレベータのそれぞれを、地震発生時に所定以上の揺れがあったときに地震管制運転させ、この地震管制運転により休止した前記エレベータを監視装置を介して、異常の有無を検出する地震復旧診断運転させる運転制御を行うエレベータの地震復旧診断運転装置において、前記複数台のエレベータに対して前記地震復旧診断運転させる前記エレベータの優先順位を設定する診断運転設定手段と、この診断運転設定手段で設定された前記優先順位に従って前記複数台のエレベータの前記地震復旧診断運転を開始させる診断運転開始指令を出力する診断運転指令手段と、前記複数台のエレベータのうち前記診断運転開始指令を受けて開始した前記地震復旧診断運転によって異常が検出された特定エレベータの前記地震復旧診断運転を中止させると共に、前記特定エレベータよりも前記優先順位が低い前記エレベータの前記地震復旧診断運転の開始も中止させる診断運転中止指令を出力する診断運転中止手段とを備え、前記診断運転設定手段は、地震発生時に前記複数台のエレベータにおける乗かごのそれぞれが走行中あるいは停止中であることを示す運行情報と、前記地震管制運転により休止した際の前記各乗かごの位置を示すかご位置情報とに基づいて、前記複数台のエレベータのうち地震発生時に前記乗かごが走行中の前記エレベータよりも地震発生時に前記乗かごが停止中の前記エレベータを優先し、地震発生時に前記乗かごが走行中の前記エレベータのうち前記地震管制運転により休止した際の前記エレベータにおける前記乗かごの位置がより低い前記エレベータを優先し、地震発生時に前記乗かごが停止中の前記エレベータのうち前記地震管制運転により休止した際の前記エレベータにおける前記乗かごの位置がより低い前記エレベータを優先して前記優先順位を設定することを特徴としている。
このように構成した本発明は、診断運転設定手段によって異常がない可能性が高いエレベータ順に複数台のエレベータに対して地震復旧診断運転させるエレベータの優先順位を設定し、この優先順位に従って診断運転指令手段によって地震復旧診断運転を開始させるので、異常がないエレベータを迅速に復旧させることができる。そして、診断運転設定手段で設定された優先順位に従って開始された地震復旧診断運転によってエレベータの異常を検出した場合に、この異常が検出された特定エレベータの地震復旧診断運転を診断運転中止手段によって中止させるので、特定エレベータが地震復旧診断運転を継続させることによって故障することを回避することができる。さらに、診断運転中止手段によって特定エレベータよりも優先順位が低いエレベータ、つまり特定エレベータよりも異常がある可能性が高いエレベータの地震復旧診断運転の開始を中止させるので、地震復旧診断運転によって複数台のエレベータが故障することを回避することができる。すなわち本発明によれば、地震復旧診断運転に伴う故障を回避することができる。
また、診断運転設定手段が、地震発生時の各エレベータにおける乗かごの運行情報と、地震管制運転により休止した際の各乗かごのかご位置情報との2つの検出可能なエレベータ情報に基づいて上述の優先順位を設定することにより、設定された優先順位と実際のエレベータに異常がある可能性が低い順位との誤差を減少させることができる。これにより、エレベータの地震復旧診断運転に対する信頼性を高めることができる。さらに、診断運転設定手段が優先順位を異常がない可能性が高いエレベータ順に合理的に設定することができる。
本発明は、複数台のエレベータに対して地震復旧診断運転させるエレベータの優先順位を設定する診断運転設定手段と、この診断運転設定手段で設定された優先順位に従って複数台のエレベータの地震復旧診断運転を開始させる診断運転開始指令を出力する診断運転指令手段とを備えている。そのため、診断運転設定手段によって設定された優先順位におけるエレベータ順に診断運転指令手段で地震復旧診断運転を開始させるので、異常がないエレベータを迅速に復旧させることができ、高いサービス性を確保することができる。
そして、本発明は、複数台のエレベータのうち診断運転開始指令を受けて開始した地震復旧診断運転によって異常が検出された特定エレベータの地震復旧診断運転を中止させると共に、特定エレベータよりも優先順位が低いエレベータの地震復旧診断運転の開始も中止させる診断運転中止指令を出力する診断運転中止手段とを備え、診断運転設定手段は、地震発生時に複数台のエレベータにおける乗かごのそれぞれが走行中あるいは停止中であることを示す運行情報と、地震管制運転により休止した際の各乗かごの位置を示すかご位置情報とに基づいて、複数台のエレベータのうち地震発生時に乗かごが走行中のエレベータよりも地震発生時に乗かごが停止中のエレベータを優先し、地震発生時に乗かごが走行中のエレベータのうち地震管制運転により休止した際のエレベータにおける乗かごの位置がより低いエレベータを優先し、地震発生時に乗かごが停止中のエレベータのうち地震管制運転により休止した際のエレベータにおける乗かごの位置がより低いエレベータを優先して優先順位を設定している。これにより、地震復旧診断運転によって異常を検出した特定エレベータ及びこの特定エレベータよりも後に地震復旧診断運転させるエレベータ、すなわち地震復旧診断運転で異常が検出される可能性が高いエレベータを診断運転中止手段によって地震復旧診断運転に伴う故障を回避することができ、従来に比べてエレベータの安全性及びサービス性を向上させることができる。
本発明に係るエレベータの地震復旧診断運転装置の一実施形態の構成を示す図である。 本実施形態の動作手順を示すフローチャートである。
以下、本発明に係るエレベータの地震復旧診断運転装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
本発明に係るエレベータの地震復旧診断運転装置の一実施形態は複数台のエレベータ、例えば図1に示すように、2台のエレベータ30(1号機),31(2号機)に適用される。エレベータ30は、図示しない昇降路内を昇降して乗客を上下の階床へ運ぶ乗かご1と、主ロープ2を介して乗かご1と相対的に昇降する釣合い錘4と、主ロープ2が巻き掛けられて乗かご1に駆動力を伝動する巻上機3と、乗かご1の運転を制御する制御盤5と、この制御盤5に接続されてエレベータ30の状態を監視及び診断し、制御盤5を介して乗かご1を運転させる監視装置8とを備えている。
同様に、エレベータ31は、図示しない昇降路内を昇降して乗客を上下の階床へ運ぶ乗かご26と、主ロープ25を介して乗かご26と相対的に昇降する釣合い錘24と、主ロープ25が巻き掛けられて乗かご26に駆動力を伝動する巻上機23と、乗かご26の運転を制御する制御盤17と、この制御盤17に接続されてエレベータ31の状態を監視及び診断し、制御盤17を介して乗かご26を運転させる監視装置20とを備えている。
また、各エレベータ30,31の制御盤5,17は群管理盤14にそれぞれ接続されている。この群管理盤14はI/F回路15及び制御回路16を備えており、これらエレベータ30,31を群管理制御している。さらに、各エレベータ30,31の制御盤5,17は地震感知器11にそれぞれ接続されている。この地震感知器11は、I/F回路13及び制御回路12を備えており、図示しない昇降路内あるいは機械室等に設置され、所定震度以上の揺れを感知した際に地震情報を知らせる信号を制御盤5,17へそれぞれ出力する。
また、エレベータ30,31の各制御盤5,17は、I/F回路6,18及び制御回路7,19をそれぞれ備えており、地震感知器11から地震情報の信号を受信すると、各エレベータ30,31を地震管制運転して休止させる。
同様に、エレベータ30,31の各監視装置8,20は、I/F回路9,21及び制御回路10,22をそれぞれ備えており、このI/F回路9は、地震発生時のエレベータ30における乗かご1が走行中あるいは停止中であることを示す運行情報、乗かご1の位置を示すかご位置情報、及びエレベータ30のサービス階床の数の確認情報等のエレベータ30の情報を記録する。同様に、I/F回路21は、地震発生時のエレベータ31における乗かご26が走行中あるいは停止中であることを示す運行情報、乗かご26の位置を示すかご位置情報、及びエレベータ31のサービス階床の数の確認情報等のエレベータ31の情報を記録する。また、これら監視装置8,20は互いに接続されており、エレベータ30,31の各制御盤5,17が地震感知器11から地震情報の信号を受信すると、監視装置20がI/F回路21に記録されているエレベータ31における乗かご26の運行情報及びかご位置情報を監視装置8へ送信する。
また、監視装置8の制御回路10は、エレベータ30,31に対して地震復旧診断運転させるエレベータ30,31の優先順位を設定する診断運転設定手段と、この診断運転設定手段で設定された優先順位に従ってエレベータ30,31の地震復旧診断運転を開始させる診断運転開始指令を制御盤5,17へ出力する診断運転指令手段とを内部に含んでいる。
さらに、監視装置8の制御回路10は、エレベータ30,31のうち診断運転開始指令を受けて開始した地震復旧診断運転によって異常が検出された特定エレベータの地震復旧診断運転を中止させると共に、特定エレベータよりも優先順位が低いエレベータの地震復旧診断運転の開始も中止させる診断運転中止指令を出力する診断運転中止手段も内部に含んでいる。
また、監視装置8の制御回路10の診断運転設定手段は、例えば地震発生時にエレベータ30,31における乗かご1,26のそれぞれが走行中あるいは停止中であることを示す運行情報と、地震管制運転により休止した際の各乗かご1,26の位置を示すかご位置情報とに基づいて上述の優先順位を設定する。
具体的には、監視装置8の制御回路10の診断運転設定手段は、エレベータ30,31のうち地震発生時に乗かごが走行中のエレベータよりも地震発生時に乗かごが停止中のエレベータを優先し、地震発生時に乗かごが走行中のエレベータのうち地震管制運転により休止した際のエレベータにおける乗かごの位置がより低いエレベータを優先し、地震発生時に乗かごが停止中のエレベータのうち地震管制運転により休止した際のエレベータにおける乗かごの位置がより低いエレベータを優先して優先順位を設定する。
以下、本実施形態によって運転制御されたエレベータ30,31が所定以上の地震の揺れを受けたときの動作を図2に基づいて説明する。
図2に示すように、地震が発生して各エレベータ30,31が地震の揺れを受けると(S100)、地震感知器11が起動して地震の揺れを検出し、この地震情報を知らせる信号を制御盤5,17へそれぞれ出力する。この信号を受けた各制御盤5,17はそれぞれ地震管制運転を行い、エレベータ30,31の乗かご1,26を最寄階にそれぞれ移動させて停止させる。そして、乗かご1,26内の乗客を降ろした後、エレベータ30,31を休止する。
次に、エレベータ30の制御盤5が、I/F回路6から読み取った地震発生時のエレベータ30における乗かご1が走行中あるいは停止中であることを示す運行情報、地震管制運転により休止した際の乗かご1の位置を示すかご位置情報、及びエレベータ30のサービス階床の数の確認情報等のエレベータ30の情報を監視装置8内のI/F回路9へ送信する(S101)。これと同時に、エレベータ31の制御盤17が、I/F回路18から読み取った地震発生時のエレベータ31における乗かご26が走行中あるいは停止中であることを示す運行情報、地震管制運転により休止した際の乗かご26の位置を示すかご位置情報、及びエレベータ31のサービス階床の数の確認情報等のエレベータ31の情報を監視装置20内のI/F回路21へ送信する(S101)。
そして、エレベータ30の制御盤5は地震感知器11から受信した地震情報を監視装置8へ送信し、監視装置8は受信した地震情報から地震感知器11が高ガルを感知したと判断した場合に処理を終了し(S102)、作業者が安全を確認するまでエレベータ30を休止状態とする制御を行う。これと同時に、エレベータ31の制御盤17は地震感知器11から受信した地震情報を監視装置20へ送信し、監視装置20は受信した地震情報から地震感知器11が高ガルを感知したと判断した場合に処理を終了し(S102)、作業者が安全を確認するまでエレベータ31を休止状態とする制御を行う。
一方、手順S102において監視装置8,20が受信した地震情報から地震感知器11が高ガルの振動を感知していないと判断した場合に、エレベータ30の監視装置8以外のエレベータの監視装置、すなわちエレベータ31の監視装置20が手順S101で受信したエレベータ31の情報をエレベータ30の監視装置8へ送信する。
そして、この監視装置8はエレベータ30の運行情報とエレベータ31の運行情報とをそれぞれ比較し、地震発生時にエレベータ30,31における乗かご1,26の双方が停止中でないと判断した場合(S103)、監視装置8は、地震発生時に「乗かご1が走行中かつ乗かご26が停止中」であるかどうかを判断する(S104)。監視装置8は、地震発生時に「乗かご1が走行中かつ乗かご26が停止中」でないと判断した場合(S104)、地震発生時に「乗かご1が停止中かつ乗かご26が走行中」であるかどうかを判断する(S105)。
手順S103において監視装置8が地震発生時に乗かご1,26の双方が停止中であると判断した場合、又は手順S105において監視装置8が地震発生時に「乗かご1が停止中かつ乗かご26が走行中」でないと判断した場合、監視装置8はエレベータ30のかご位置情報とエレベータ31のかご位置情報とをそれぞれ比較し、地震管制運転により休止した際の乗かご1の位置が乗かご26の位置よりも低いかどうか、及び同じであるかどうかを判断する(S106)。すなわち、乗かご1の位置が、乗かご26の位置よりも最下階に近いか、又は両乗かごの位置が同じか判断する(S106)。
手順S105において監視装置8が地震発生時に「乗かご1が停止中かつ乗かご26が走行中」であると判断した場合、又は手順S106において監視装置8が地震管制運転により休止した際の乗かご1の位置が乗かご26の位置よりも低い、あるいは同じであると判断した場合、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転設定手段は、優先順位としてエレベータ31よりもエレベータ30(1号機)を優先する(S107)。
その後、監視装置8は診断運転設定手段で設定された優先順位を監視装置8以外の監視装置、すなわち監視装置20へ送信する。そして、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転指令手段によって診断運転開始指令を制御盤5へ出力し、エレベータ30の地震復旧診断運転を開始させる。監視装置8は、エレベータ30の地震復旧診断運転で異常を検出しなければ、診断運転指令手段によって診断運転開始指令を監視装置20へ出力する。監視装置20はこの診断運転開始指令を受信すると、制御盤17を介してエレベータ31の地震復旧診断運転を開始させる。
ここで、監視装置8以外の各監視装置、すなわち監視装置20は、自号機であるエレベータ31の地震復旧診断運転が終了した後に終了指令を監視装置8へ送信する。そして、監視装置8は、エレベータ30,31の全てを地震復旧診断運転させたかどうかを判断する(S109)。
ここで、例えば監視装置8がエレベータ30,31の双方共を地震復旧診断運転させていないと判断した場合(S109)、エレベータ31よりも優先順位の高いエレベータ30の制御盤5へ診断運転指令手段によって診断運転開始指令を出力し、エレベータ30の地震復旧診断運転を開始させる(S110)。そして、エレベータ30の地震復旧診断運転によって異常を検出した場合(S111)、監視装置8は、エレベータ30を特定エレベータとして診断運転中止手段によって地震復旧診断運転を中止させ、さらに診断運転中止指令を監視装置20へ出力してエレベータ30よりも優先順位が低いエレベータ31の地震復旧診断運転の開始も中止させる。
また、手順S111においてエレベータ30の地震復旧診断運転によって異常を検出しなかった場合、監視装置8がエレベータ30の地震復旧診断運転が完了したと判断し(S112)、再びエレベータ31を地震復旧診断運転させたかどうかを判断する(S109)。そして、監視装置8がエレベータ31を地震復旧診断運転させたと判断した場合(S109)、動作を終了し、エレベータ31を地震復旧診断運転していないと判断した場合(S109)、手順S110〜手順S112を繰り返して動作を終了する。
一方、手順S104において監視装置8が地震発生時に「乗かご1が走行中かつ乗かご26が停止中」であると判断した場合、又は手順S106において監視装置8が地震管制運転により休止した際の乗かご1の位置が乗かご26の位置よりも高いと判断した場合、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転設定手段は、優先順位としてエレベータ30よりもエレベータ31を優先する(S108)。
その後、監視装置8は診断運転設定手段で設定された優先順位を監視装置8以外の監視装置、すなわち監視装置20へ送信する。そして、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転指令手段によって診断運転開始指令を監視装置20へ出力し、監視装置20は制御盤17を介してエレベータ31の地震復旧診断運転を開始させる。監視装置8は、監視装置20を介してエレベータ31の地震復旧診断運転で異常を検出しなければ、診断運転指令手段によって診断運転開始指令を制御盤5へ出力してエレベータ30の地震復旧診断運転を開始させる。
ここで、例えば監視装置8がエレベータ30,31の双方を地震復旧診断運転させていないと判断した場合(S109)、エレベータ30よりも優先順位の高いエレベータ31の制御盤17へ診断運転指令手段によって診断運転開始指令を出力し、エレベータ31の地震復旧診断運転を開始させる(S110)。そして、エレベータ31の地震復旧診断運転によって異常を検出した場合(S111)、監視装置8は、エレベータ31を特定エレベータとして診断運転中止手段によって監視装置20を介して地震復旧診断運転を中止させ、さらに診断運転中止指令を制御盤5へ出力してエレベータ31よりも優先順位が低いエレベータ30の地震復旧診断運転の開始も中止させる。
また、手順S111においてエレベータ31の地震復旧診断運転によって異常を検出しなかった場合、監視装置8が監視装置20を介してエレベータ31の地震復旧診断運転が完了したと判断し(S112)、再びエレベータ30を地震復旧診断運転させたかどうかを判断する(S109)。そして、監視装置8がエレベータ30を地震復旧診断運転させたと判断した場合(S109)、動作を終了し、エレベータ30を地震復旧診断運転していないと判断した場合(S109)、手順S110〜手順S112を繰り返して動作を終了する。
このように構成した本実施形態は、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転設定手段が手順S103〜S106におけるエレベータ30,31の運行情報及びかご位置情報に基づいて、手順S107、S108において異常がない可能性が高いエレベータ順に地震復旧診断運転させるエレベータ30,31の優先順位を設定し、監視装置8,20は、この優先順位に従って監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転指令手段によって地震復旧診断運転を開始させるので、異常がないエレベータを迅速に復旧させることができる。
そして、手順S111において監視装置8,20が地震復旧診断運転によってエレベータ30,31のいずれか一方に異常を検出した場合、監視装置8は、制御回路10に含まれる診断運転中止手段によってこの異常が検出されたエレベータを特定エレベータとして地震復旧診断運転を中止させるので、特定エレベータが地震復旧診断運転を継続させることによって故障することを回避することができる。
さらに、手順S107の後、手順S111において監視装置8,20が地震復旧診断運転によってエレベータ30,31の双方に異常を検出した場合、診断運転中止手段によってエレベータ30の地震復旧診断運転を中止させると共に、エレベータ30よりも異常がある可能性が高いエレベータ31の地震復旧診断運転の開始を中止させるので、地震復旧診断運転によってエレベータ30,31が同時に故障することを回避することができる。また、手順S108の後、手順S111において監視装置8,20が地震復旧診断運転によってエレベータ30,31の双方に異常を検出した場合、診断運転中止手段によってエレベータ31の地震復旧診断運転を中止させると共に、エレベータ31よりも異常がある可能性が高いエレベータ30の地震復旧診断運転の開始を中止させるので、地震復旧診断運転によってエレベータ30,31が同時に故障することを回避することができる。
このように本実施形態は、地震復旧診断運転に伴う故障を回避することができ、エレベータの安全性を高めることができる。特に、地震復旧診断運転に伴って複数台のエレベータ30,31の故障が悪化することが防止されるので、復旧に要する時間を削減することができ、エレベータのサービス性を向上させることができる。
また、本実施形態は、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転設定手段が、地震発生時にエレベータ30,31における乗かご1,26のそれぞれが走行中あるいは停止中であることを示す運行情報と、地震管制運転により休止した際の各乗かご1,26の位置を示すかご位置情報との2つの検出可能なエレベータ30,31の情報に基づいて地震復旧診断運転させる優先順位を設定することにより、設定されたエレベータ30,31の優先順位と実際のエレベータ30,31に異常がある可能性が低い順位との誤差を減少させることができる。これにより、エレベータの地震復旧診断運転に対する信頼性を高めることができる。
また、本実施形態は、監視装置8の制御回路10に含まれる診断運転設定手段は、手順S103〜手順S105においてエレベータ30,31のうち地震発生時に乗かごが走行中のエレベータよりも地震発生時に乗かごが停止中のエレベータを優先し、手順S106において地震発生時に乗かご1,26が走行中のエレベータ30,31のうち地震管制運転により休止した際のエレベータ30,31における乗かご1,26の位置がより低いエレベータを優先し、手順S106において地震発生時に乗かご1,26が停止中のエレベータ30,31のうち地震管制運転により休止した際のエレベータ30,31における乗かご1,26の位置がより低いエレベータを優先して優先順位を設定している。
ここで、地震発生時において複数台のエレベータ30,31における乗かご1,26が走行中のエレベータよりも乗かご1,26が停止中のエレベータのほうが地震でエレベータに異常が生じる可能性が低い。一方、地震発生時に複数台のエレベータ30,31における乗かご1,26の運行情報が同一である場合、地震管制運転により休止した際の乗かご1,26の位置が低い方が地震でエレベータに異常が生じる可能性がより低い。
そのため、監視装置8の診断運転設定手段が上述したように地震復旧診断運転させる優先順位を設定し、エレベータ30,31の運行情報とかご位置情報とに応じてS103〜S106の動作手順に従うことにより、優先順位を異常がない可能性が高いエレベータ順に合理的に設定することができる。
1,26 乗かご
2,25 主ロープ
3,23 巻上機
4,24 釣合い錘
5,17 制御盤
6,9,13,15,18,21 I/F回路
7,10,12,16,19,22 制御回路
8,20 監視装置
11 地震感知器
14 群管理盤
30,31 エレベータ

Claims (1)

  1. 複数台のエレベータのそれぞれを、地震発生時に所定以上の揺れがあったときに地震管制運転させ、この地震管制運転により休止した前記エレベータを監視装置を介して、異常の有無を検出する地震復旧診断運転させる運転制御を行うエレベータの地震復旧診断運転装置において、
    前記複数台のエレベータに対して前記地震復旧診断運転させる前記エレベータの優先順位を設定する診断運転設定手段と、この診断運転設定手段で設定された前記優先順位に従って前記複数台のエレベータの前記地震復旧診断運転を開始させる診断運転開始指令を出力する診断運転指令手段と、前記複数台のエレベータのうち前記診断運転開始指令を受けて開始した前記地震復旧診断運転によって異常が検出された特定エレベータの前記地震復旧診断運転を中止させると共に、前記特定エレベータよりも前記優先順位が低い前記エレベータの前記地震復旧診断運転の開始も中止させる診断運転中止指令を出力する診断運転中止手段とを備え
    前記診断運転設定手段は、地震発生時に前記複数台のエレベータにおける乗かごのそれぞれが走行中あるいは停止中であることを示す運行情報と、前記地震管制運転により休止した際の前記各乗かごの位置を示すかご位置情報とに基づいて、前記複数台のエレベータのうち地震発生時に前記乗かごが走行中の前記エレベータよりも地震発生時に前記乗かごが停止中の前記エレベータを優先し、地震発生時に前記乗かごが走行中の前記エレベータのうち前記地震管制運転により休止した際の前記エレベータにおける前記乗かごの位置がより低い前記エレベータを優先し、地震発生時に前記乗かごが停止中の前記エレベータのうち前記地震管制運転により休止した際の前記エレベータにおける前記乗かごの位置がより低い前記エレベータを優先して前記優先順位を設定することを特徴とするエレベータの地震復旧診断運転装置。
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