JP6738897B2 - アルミニウム容器の最適化された絞りおよび壁しごき加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、絞り・しごき加工によって、すなわちこれら2つの基本的ステップを特に含む方法にしたがって製造される、当業者には「缶」、または「飲料用缶」さらには「ツーピースビール缶および飲料用缶」としても知られているアルミニウム合金製の飲料用缶またはアルミニウム容器の分野に関する。
本発明はより詳細には、より低い引裂き率、より優れた缶幾何形状一貫性、およびより優れた缶表面形態を提供するという利点を特に有する、このタイプの利用分野のための最適化されたしごき加工方法に関する。
この改良は、パンチの制御された粗度およびテクスチャ、しごき加工ダイスの幾何形状(ランド幅、作業部域の粗度、入口幾何形状)、ならびにアルミニウムシート(金属の内部および外部粗度)、およびカッパー潤滑を通して得られる。
特別の定めのない限り、アルミニウム合金は以下で、「アルミニウム協会」が定期的に刊行する「Registration Record Series」の中で同協会が定義する名称にしたがって、呼称される。
特に明記のない限り、欧州規格EN515中に列挙されている冶金学的質別の定義が適用される。静的引張機械特性、換言すると、最大抗張力Rm(またはUTS)、0.2%の塑性伸びにおける引張降伏力Rp0.2(またはYTS)および伸びA%(またはE%)は、NF EN ISO 6892−1にしたがった引張試験によって決定される。
アルミニウム合金は、特にプラスチックまたは鋼に比べその非常に魅力的な視覚的外見、再生利用のためのその好適性、およびその高い耐腐食性に起因して、容器、より具体的には飲料用缶の製造においてますます使用されている。
当業者には「缶」または「ツーピース飲料用缶」としても知られている飲料用缶は、通常H19冶金学的質別において3104タイプの合金シートを用いた、0.2〜0.3mmのゲージを用いる絞り・しごき加工によって製造される。
シートは、打ち抜きと絞りから成るカッピング加工のための第1の作業を受ける。より具体的には、このステップの間に、シートコイルから「カッパー」としても知られるプレスに補給が行なわれ、このプレスがブランクとして知られるディスクを切断し、第1の深絞り作業を実施して「カップ」を生産する。
カップは次に、第2のプレス、つまり「缶体製造機」まで搬送されてここで少なくとも1回の第2の深絞り作業および複数回の連続的しごき作業を受ける。これらの作業は、リングまたはダイスとして知られるしごき加工工具の中に深絞りされたブランクを通して、金属を薄く細長くすることからなる。
缶の底面もまた、この時点で形づくられる。可鍛金属は、ふた無しの円筒形容器へと成形される。缶の側壁は、しごき加工されず最初の開始ゲージに近い状態にとどまっている底面(ドーム)よりも著しく薄い。缶の側壁は、一般に中間壁および上壁(図1参照)として知られているもので構成される。
次に缶は、回転機械の中で所望の高さにトリミングされる。
しごき加工プロセスの間、引裂き(しごき加工プロセス中の側壁の破断または不具合)が発生して、ライン能力を低下させる缶体製造機の停止がひき起こされる可能性がある。さらにしごき加工の後、缶の光沢ある外観が大幅に変動する可能性がある。
Avitzur(1983年)によると、「パンチの力[...]は、部分的にカップの底面上の圧力を通して[...]変形ゾーンに伝達され、さらに壁上の張力によって、かつ部分的に摩擦によって伝達される。パンチとカップの内部表面の間の摩擦が増大するにつれて、壁の上に及ぼされる張力は小さくなり、こうしてより大きな圧下を伴うしごき加工が可能となる。摩擦差(すなわちダイスの摩擦よりラムの摩擦を大きくすること)およびダイス角度の適正な選択により、原則として単一のダイスを通して無限量の圧下を達成することができる...。実際には、最近まで、1つのダイスを通した単一の絞りにおいて得られる圧下は小さいものにすぎなかった...」ことが知られている(図2参照)。
英国特許出願公開第1400081号明細書(Avitzur)は、しごき加工されたゾーン内の引張応力が削減されるかまたは無くなるように、ダイスにおけるよりもパンチにおける摩擦面の方が大きいパンチを用いることによって円錐形ダイスを通して中空ワークが壁しごき加工される深絞り加工プロセスを開示している。
特開昭57−7334号公報(岸本昭)は、缶の取出しを改善し缶体のしごき加工における成形性を改善するように設計された、円周方向溝ラインの規定の形状、深さ、および間隔を有するパンチを開示している。パンチのテクスチャは等方性でない。
特開2007−275947号公報(大和製罐株式会社)は、外部円周方向面が2つの部分に分割されて、先端側の部分が粗く基端側の部分が平滑になるようになっている、しごき加工用のパンチを開示している。
特開昭61−212428号公報(新日本製鐵株式会社)は、正面と背面で互いに異なるそれぞれの粗化された表面を有する改善されたしごき加工および剥取り加工の加工性を有する鋼板を開示している。
米国特許第5250634号明細書(Aluminum Company of America)は、微量の潤滑剤しか保持しない亀裂の無い表面を有する硬質容器製品を製造するための金属シートを開示している。
さらに、現状技術によると、金属と工具の間、すなわちパンチと金属ならびにダイスと金属の間の相互作用は、以下の仕様を用いて制御される:
− 金属粗度Raは両面で0.3〜0.5μmである。
− カッパー潤滑は、2つの構成要素、すなわちポスト潤滑剤およびカッパー潤滑剤で構成される。ポスト潤滑剤は、アルミニウム製造業者により平均500mg/m2のレベルで両面について塗布され、カッパー潤滑剤は、両面について500〜1100mg/m2のレベルでカッピングプレスにおいて塗布される。こうして、潤滑剤の合計量(ポスト潤滑剤にカッパー潤滑剤を加えたもの)は、1000〜1600mg/m2であり、より具体的には、33cl入り缶について、1カップあたり16〜24mgを意味する。金属シートの両面間の潤滑剤の分布は、外部側が50〜60%、内部側が40〜50%である。
− 缶体製造機パンチは、表面が研磨され研削された状態、すなわちノーズ半径および再加工テーバーは研磨され(Ra≦0.05μm)、主要本体は研削された(Ra≦0.3μm)状態で納品される。
− 缶体製造機パンチは、一般に業界ではクロスハッチングとして知られているプロセスを用いて製缶業者によりテクスチャード加工される。このプロセスは、製缶業者毎に異なり、時には、制御が不十分であり得る。
− しごき加工ダイスの作業表面は、送込み角度(1)、ランド幅(2)およびその角度(3)、送込み表面(7)とランドの間の交差点(5)、出口角度(4)およびこれらの部域の表面粗度によって定義される(図3参照)。典型的には、業界は、7〜8°の送込み角度、0.38〜0.76mmのランド幅を使用している。ランド角度(3)は0〜5’であり得、こうしてランドの出口に向かって直径がより大きくなっている。交差点(5)および(6)は、送込み表面(7)とランド(8)の間、およびランドと出口表面(9)の間でそれぞれ鋭角にされている。出口角度(4)は、2°〜8°であり、表面粗度は典型的にRa≦0.05μmまたはRa≦0.10μmとして規定されている。現在、平均引裂率は、第3のダイスの有効しごき加工比率を38%〜44%として、標準的な3回のしごき加工ダイス工程を用いて得られる20ppm〜150ppmである。缶の標準的60°反射率は、73%未満である。典型的上壁厚み可変性は、11μm前後である。
毎年製造される飲料用缶の量が莫大である(3200億個)ことから、製造プロセスのわずかな改良の各々が、多大な節約を結果としてもたらし得る。
英国特許出願公開第1400081号明細書 特開昭57−7334号公報 特開2007−275947号公報 特開昭61−212428号公報 米国特許第5250634号明細書
解決すべき課題は、長期間にわたり安定した形で、低い引裂率または低いネッキング仕損率などの高い製造生産性を保証する最高のしごき加工条件を識別することにある。
しごき加工後の缶プレフォームの外部壁の光沢ある外観は、加飾後の最終缶製品の視覚的外観の質にとって重要な特性である。解決すべき課題は、先に言及した製造生産性を妥当なレベルに保ちながら、60°で測定された反射率を最大にする最高のしごき加工条件を識別することにある。最後に主要な目的の1つは、缶へ投入する金属の量を削減することにある。これは、上壁、中間壁またはドームの厚みを削減することによって行なうことができると考えられる。解決すべき課題は、先に言及した製造生産性を妥当なレベルに保ちながら、これらの厚みをあらゆる手段を講じて削減できるようにする最高のしごき加工条件を識別することにある。
本発明は、「絞り・しごき加工」によるアルミニウム合金飲料用缶製造方法において、しごき加工ダイスとアルミニウムシートの間よりも高い、缶体製造機パンチと前記アルミニウムシートの間の摩擦が、
− 外部表面よりも粗度が有意に高い内部表面(典型的にはRa<0.3μmに対してRa>0.4μm)を有するアルミニウム合金シート、
− 送込み表面や出口表面とランドとの間に丸味のある交差部を伴うしごき加工ダイスであって、作業部域内の表面のRaが約0.03μm未満であり、ランドの幅が約0.38mm未満である、しごき加工ダイス、
− 0.35μm超の粗度Raおよび等方性テクスチャを有する、追加粗度を有する缶体製造機パンチ、
のうちの少なくとも1つの特殊性によって生成されることを特徴とする、製造方法に関する。
この目的で、該製造方法は、材料として、典型的に0.3μm未満の粗度Raの、ダイスと接触する外部表面、および典型的に0.4μm超の粗度Raの、パンチと接触する内部表面を伴うアルミニウム合金シート、および/または0.35μm超のRaによって特徴付けされる追加粗度および等方性テクスチャを有するパンチ、および/または、有利には作業部域である送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、ランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)、作業部域内の0.03μm未満の粗度Ra(図4参照)、および典型的に0.38mm未満である短いランド幅を有するしごき加工ダイスを使用する。
本発明はまた、上で定義される追加粗度のパンチと組み合わせて、両面に平滑な表面のアルミニウムシートを使用することを特徴とする、「絞り・しごき加工」によるアルミニウム合金飲料用缶の製造方法にも関する。
有利には、本発明の製造方法は、いかなる内部カッパー潤滑も使用しない。
本発明はまた、60°で測定された反射率が、最後のしごきステップの直後で、すなわち、あらゆる補足的表面処理の前、およびいずれの補足的表面処理もなしで、73%超であることを特徴とする、上述のような方法により製造された飲料用缶にも関する。
73%という値は平均値であるということを指摘しておかなければならない。例えば、図5または8に関して、グラフ上の各点は、約8,000〜10,000個の缶を生産する1生産ランあたりで得られ、3個の缶についてかつ1缶あたり10回の測定について計算された平均値である。
本発明はまた、「絞り・しごき加工」によるアルミニウム合金飲料用缶製造方法のためのしごき加工ダイスにおいて、送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、ランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)、0.03μm未満の粗度Raを有する作業部域内の表面、および0.38mm未満のランド幅を有することを特徴とする、しごき加工ダイスにも関する。
最後に本発明はまた、0.35μm超の粗度Raおよび等方性テクスチャを有することを特徴とする、「絞り・しごき加工」によるアルミニウム合金飲料用缶の製造方法のための缶体製造機パンチにも関する。
「底面」(ドーム)(11)、「中間壁」(12)および「上壁」(13)を伴う典型的な「飲料用缶」の缶体を表わす。 パンチ(21)、ダイス(22)、「未変形ゾーン」(23)、「変形済みゾーン」(24)、「変形ゾーン」(25)および「壁張力ゾーン」(26)を伴う、しごき加工ステップを表わす。 「送込み角度」(1)、「ランド幅」(2)、「ランド角度」(3)、「出口角度」(4)、「送込み表面とランドの間の鋭角の交差点」(51)、「ランド角度と出口角度間の鋭角の交差点」(61)、「送込み表面」(7)、「ランド表面」(8)、「出口表面」(9)を伴う、現状技術に係る「しごき加工ダイスの作業表面」を表わす。 「送込み角度」(1)、「ランド幅」(2)、「ランド角度」(3)、「出口角度」(4)、「送込み表面とランドの間の丸味のある交差部」(5)、「出口表面とランドの間の丸味のある交差部」(6)、「送込み表面」(7)、「ランド表面」(8)、「出口表面」(9)を伴う、実施形態に係る「丸味のある交差部を伴うしごき加工ダイスの作業表面」を表わす。 「金属粗度」の関数としての、%単位の「60°で測定された反射率」を表わす。ここで低粗度は0.23μm、高粗度は0.49μmである。菱形点は平均値である。 %単位で表わした「第3のしごき加工比」の関数としての、ppm単位の「引裂比」を表わし、黒色は0.20μmのパンチ粗度Raに関するものであり、白色は0.47μmの粗度Raに関するものである。 mm単位で表わしたランド幅の関数としての、μm単位の平均厚み範囲(最大マイナス最小値)を表わし、左側は中間壁(12)(図1)に関するものであり、右側は、上壁(13)(図1)に関するものである。 送込み表面や出口表面とランドとの間の交差部の尖鋭度の関数としての、%単位で表わした「60°で測定された反射率」を表わす。ここで、0は、0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、および1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)に関するものであり、1は鋭角の交差部に関するものである(図4参照)。菱形点は平均値である。
しごき加工後の外部壁の光沢ある外観は、加飾後の最終製品の視覚的外観の品質のための重要な特性である。この特性は、ヘイズ効果および写像性を用いて定性的に査定可能である。
それを定量的に査定するための最適な測定値の1つは、平坦化した缶壁の法線に対して60°における正反射率である。本明細書中で論述された全ての反射率測定は、製缶工場で行なわれるものと類似したしごき加工および洗浄作業後の缶のプレフォームに対して実施された。
粗度は、NF EN ISO 4287規格に準じて測定される。等方性テクスチャは、粗度測定が測定方向に左右されないテクスチャである。0.35μm超の粗度Raおよび等方性テクスチャの場合、粗度Raは、あらゆる測定方向について0.35μm超である。
課題を解決するために、本発明は、パンチと金属の間の摩擦の増大と同時に、しごき加工ダイスと金属の間の摩擦の削減を目的とする。こうして、しごき加工ダイスとアルミニウムシートの間の摩擦よりも高い、缶体製造機パンチと前記アルミニウムシートの間の摩擦が生成される。
この目的で、以下の複数の解決法が、別個にまたは組合せた形で効果的に使用される。
・ 第1の実施形態は、差別化された粗度を有する金属、すなわちアルミニウム合金シートを使用することからなる。より厳密に言うと、これは、0.3μm未満のRaにより特徴付けられる、ダイスと接触する外部の平滑な表面、および0.4μm超のRaにより特徴付けられるパンチと接触する内部の粗い表面を意味する。
平滑な金属を外部に使用することの主要な利点は、缶の明度を60°の反射率で少なくとも73%に改善することにある。他方で、内部に粗い金属を提供することは、パンチとの摩擦を増大させ、したがって引裂率を低下させることに寄与する。
所与の上壁厚みにおいて、中間壁のゲージ低減は、第3のダイスのしごき加工比により制約を受ける。異なる粗度の金属を使用すること、具体的には内部の粗度をより高くすることにより、限界第3しごき加工比を44%超まで増大させ、その結果、中間壁厚みを削減することができる。
・ 第2の実施形態は、当業者により周知である現行のクロスハッチングの実践と比べて、等方性テクスチャを伴い、0.35μm超のRaにより特徴付けされる追加粗度を有するパンチを使用することからなる。これにより、内部摩擦を大幅に増大させ、その結果として引裂率を減少させるかまたはしごき加工比を同じ引裂率で44%超まで増大させることが可能になる。
所与の上壁厚みの場合、中間壁のゲージ低減は、第3のダイスのしごき加工比により制約を受ける。追加粗度のパンチを使用することにより、限界第3しごき加工比を44%超まで増大させ、その結果、中間壁厚みを削減することができる。
・ 好ましくは、本発明の製造方法は、いかなる内部カッパー潤滑も伴わずに機能している。これにより内部摩擦を増大させ、その結果として引裂率を低減させるかまたは同じ引裂率でしごき加工比を増大させることが可能になる。
所与の上壁厚みについて、中間壁のゲージ低減は、いわゆる「限界しごき加工比」を越えることのできない第3のダイスのしごき加工比により制約を受ける。この上限を超えると、いかなるしごき加工も不具合無く実施することはできない。内部カッパー潤滑が無い場合、「限界しごき加工比」は増大し、44%超の第3のしごき加工比を工業的に実施することが可能となる。その結果として、中間壁厚みを削減することができる。
両面に平滑な表面シートを使用することからなる変形形態は、まさに、パンチと金属の間の摩擦を低減させることによって引裂率を増大させることに寄与する。それでもこのようなマイナスの帰結は、追加粗度のパンチまたは内部カッパー潤滑の不在を組合せて使用することによって防ぐことができる。
第3の実施形態は、作業部域である送込み表面(7)とランド(8)の間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、ランドと出口表面(9)の間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)、作業部域内の0.03μm未満の粗度Ra(図4参照)、および0.38mm未満の短いランド幅を伴うしごき加工ダイスを使用することからなる。
これにより、典型的に現行の可変性を1/2にして、上壁厚みをより良く制御することが可能になり、それは缶壁の明度を改善すること、すなわち60°反射率を73%超にすることに寄与する。
ネッキング加工ラインの効率は、上壁厚みの可変性に敏感であり、可変性が高くなるとより低い効率が誘発される。作業部域内の0.03μm未満のRaおよび/または典型的には0.38mm未満のより短いランド幅を有する丸味のあるしごき加工ダイスは、上壁の一貫性を改善しひいてはネッキング加工ライン効率を改善することを可能にする。
作業部域内で0.03μm未満のRaおよび/または典型的に0.38mm未満のランド幅を有する、丸味のあるしごき加工ダイスは、上壁の一貫性を改善し、従って同様のより低い仕様限界のために上壁厚みの目標を減少させることを可能にする。
一方では金属、工具および製造パラメータ、そして他方では缶の製造生産性および光沢ある外観の間の上述の相関関係のいくつかの例が、プロトタイプ製造用絞り・しごき加工の前工程ライン上で0.26mmのゲージを有するH19冶金学的質別において3104タイプの合金のシートを用いて、複数の試験調査中に得られた。定められた条件セットを用いた各生産ランについて、10,000前後の缶が生産され、引裂の発生が計数される。缶プレフォームの厚み、重量および反射率は、生産ランの始め、中間および終りから取った試料について測定される。
・ 第1の例は、同じ親コイルから取られたものの異なる2つの表面仕上げ、すなわち低い粗度(0.23μmのRa)を有するものおよび高い粗度(0.49μmのRa)を有するものを伴う金属を用いて実施された複数の生産ランを比較する。図5は、しごき加工後の缶壁反射率に対する、この対称的な、すなわち両面で同一の金属粗度の影響を比較している。低い粗度は、平均して、より高い反射率を提供する。図5中の各点は、3個の缶で缶1個あたり10回の測定について計算された約10,000個の缶の生産ラン1回あたりの平均値である。
・ 第2の例は、同じテクスチャ加工された表面仕上げを有するもののそれぞれ0.20μmおよび0.47μmという異なる粗度Raを伴う2つのパンチを用いて実施された複数の生産ランを比較している。図6は、パンチの粗度を増大させることで、複数の第3のしごき加工比について平均して引裂率が低減されるということを示している。図6中の各点は、同じ第1および第2のしごき加工比で約8,000個の缶の試験で得られるものである。
・ 第3の例は、1生産ラン中の缶の壁厚の可変性に関する。図7は、ランド幅が中間壁および上部壁の厚みに影響を及ぼすことを示している。すなわち最も短いのはランドサイズであり、最も重視されるのは厚み分布である。図7中の各点は、約10,000個の缶の1生産ランの中から取られた約30個の試料についての缶1個あたり4回の測定の平均である。比較された全ての生産ランは、同じパンチを用いて、ただし異なるダイス設計で、行なわれた。
・ 第4の例は、反射率に対するダイス設計の影響を扱っている。図8は、同じパンチを用いた複数の生産ランについて平均して、0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)(図4)および1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)(図4)を有するダイスが、より高い反射率を有する缶の生産を可能にする、ということを示している。より具体的には、平滑な外部表面(0.3μm未満のRa)を有する金属と丸味のある交差部を有するダイスを組み合わせることで、標準的なケースよりも約4%優れた、最高の反射率値(74%超)を達成することが可能になる。
1 送込み角度
2 ランド幅
3 ランド角度
4 出口角度
5 送込み表面とランドの間の丸味のある交差部
51 送込み表面とランドの間の鋭角の交差点
6 出口表面とランドの間の丸味のある交差部
61 ランド角度と出口角度間の鋭角の交差点
7 送込み表面
8 ランド表面
9 出口表面
11 底面
12 中間壁
13 上壁
21 パンチ
22 ダイス
23 未変形ゾーン
24 変形済みゾーン
25 変形ゾーン
26 壁張力ゾーン

Claims (13)

  1. 「絞り・しごき加工」によるアルミニウム合金飲料用缶の製造方法において、しごき加工ダイスとアルミニウムシートの間の摩擦よりも高い、缶体製造機パンチと前記アルミニウムシートの間の摩擦が、
    − 外部表面よりも粗度が高い内部表面を有するアルミニウム合金シート、
    − 送込み表面や出口表面とランドとの間に丸味のある交差部を伴うしごき加工ダイスであって、作業部域内の表面のRaが0.03μm未満であり、ランドの幅が約0.38mm未満であるしごき加工ダイス、
    − 0.35μm超の粗度Raおよび等方性テクスチャを有する缶体製造機パンチ、
    のうちの少なくとも1つの特殊性によって生成されることを特徴とし、
    前記アルミニウム合金シートが0.3μm未満のRa係数の、ダイスと接触する外部表面、および0.4μm超のRa係数の、前記パンチと接触する内部表面を伴うことを特徴とし、
    前記パンチが0.35μm超の粗度Raおよび等方性テクスチャを有することを特徴とする、製造方法。
  2. 内部カッパー潤滑を全く使用しないことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記しごき加工ダイスが、送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、およびランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)を有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  4. いかなる内部カッパー潤滑とも組み合わせることなく、両面に0.3μm未満の粗度Raを有する平滑な表面のアルミニウムシートを使用することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  5. 材料として、0.3μm未満のRa係数の、ダイスと接触する外部表面を有するアルミニウム合金シートを使用し、内部カッパー潤滑を全く使用しないことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  6. 材料として、0.3μm未満のRa係数の、ダイスと接触する外部表面を伴うアルミニウム合金シートを使用すること、および送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、およびランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)を有し、作業部域内の粗度Raが0.03μm未満であり、ランド幅が0.38mm未満であるしごき加工ダイスを使用することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  7. 0.35μm超のRaにより特徴付けされる粗度を伴う、等方性テクスチャを有するパンチを使用すること、およびいかなる内部カッパー潤滑も使用しないことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  8. 0.35μm超のRaにより特徴付けされる追加粗度を伴う、等方性テクスチャを有するパンチを使用すること、および送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、およびランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)を有し、作業部域内の粗度Raが0.03μm未満であり、ランド幅が0.38mm未満であるしごき加工ダイスを使用することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  9. いかなる内部カッパー潤滑も使用しないこと、および送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、およびランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)を有し、作業部域内の粗度Raが0.03μm未満であり、ランド幅が0.38mm未満であるしごき加工ダイスを使用することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  10. 材料として、0.3μm未満のRa係数の、ダイスと接触する外部表面、および0.4μm超のRa係数の、前記パンチと接触する内部表面を伴うアルミニウム合金シートを使用すること、0.35μm超のRaにより特徴付けされる追加粗度を伴う、等方性テクスチャを有するパンチを使用すること、およびいかなる内部カッパー潤滑も使用しないことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  11. 材料として、0.3μm未満のRa係数の、ダイスと接触する外部表面、および0.4μm超のRa係数の、前記パンチと接触する内部表面を伴うアルミニウム合金シートを使用すること、0.35μm超のRaにより特徴付けされる粗度を伴う、等方性テクスチャを有するパンチを使用すること、および送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、およびランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)を有し、作業部域内の粗度Raが0.03μm未満であり、ランド幅が0.38mm未満であるしごき加工ダイスを使用することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  12. 材料として、0.3μm未満のRa係数の、ダイスと接触する外部表面、および0.4μm超のRa係数の、前記パンチと接触する内部表面を伴うアルミニウム合金シートを使用すること、0.35μm超のRaにより特徴付けされる粗度を伴う、等方性テクスチャを有するパンチを使用すること、いかなる内部カッパー潤滑も使用しないこと、および、送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、およびランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)を有し、作業部域内の粗度Raが0.03μm未満であり、ランド幅が0.38mm未満であるしごき加工ダイスを使用することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  13. 「絞り・しごき加工」によるアルミニウム合金飲料用缶の製造方法のためのしごき加工ダイスにおいて、送込み表面(7)とランド(8)との間の0.5〜4.6mmの半径の丸味のある交差部(5)、ランドと出口表面(9)との間の1.2mm未満の半径の丸味のある交差部(6)、0.03μm未満の粗度Raを有する作業部域内の表面、および0.38mm未満のランド幅を有することを特徴とする、しごき加工ダイス。
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