JPH10137861A - 絞りしごき加工法 - Google Patents

絞りしごき加工法

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JPH10137861A
JPH10137861A JP8308780A JP30878096A JPH10137861A JP H10137861 A JPH10137861 A JP H10137861A JP 8308780 A JP8308780 A JP 8308780A JP 30878096 A JP30878096 A JP 30878096A JP H10137861 A JPH10137861 A JP H10137861A
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JP
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ironing
die
thin film
alloy
hard thin
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JP8308780A
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Akira Tajiri
彰 田尻
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Sky Aluminium Co Ltd
Original Assignee
Sky Aluminium Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウムDI缶の製造など、絞りしごき
加工においてゴーリングの発生を防止し、特に3004
合金以外の合金やDC材のみならずCC材についてもゴ
ーリングの発生を確実に防止し得るようにする。 【解決手段】 しごき加工における少なくとも最終段の
しごきパスのダイスとして、ダイス基材にHv2500
以上の硬質薄膜が被覆されかつ表面粗さRa0.05μ
m以下のダイスを用いる。特にその硬質薄膜としてダイ
ヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)を用いる。また
その厚みを0.5〜2.5μmの範囲内とする。さら
に、ダイス基材の硬さをHRc58以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は2ピースアルミニ
ウム缶の缶胴(DI缶胴)の製造などに適用される絞り
しごき加工法に関するものであり、特に連続鋳造圧延を
適用して得られたアルミニウム合金圧延板を被加工材と
して絞りしごき加工を施すに適した絞りしごき加工法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属薄板に対して絞り加工(Drawi
ng)を施した後、必要に応じて再絞り加工(Redr
awing)を施し、その後しごき加工(Ironin
g)を施すいわゆる絞りしごき加工(DI加工)は、従
来から2ピースアルミニウム缶の缶胴の製造などに多用
されている。
【0003】一般に絞りしごき加工においては、しごき
加工時において被加工材表面の金属がしごきダイスに凝
着して、被加工材表面にしごき方向と平行に疵や変色模
様が生じること、すなわちゴーリングが生じることがあ
る。このようなゴーリングは、製品の外観品質を損な
い、特にアルミニウム缶の如く表面に塗装を施さずにア
ルミニウム素地を露出させて使用する用途では、致命的
な欠陥とされている。またゴーリングが激しい場合に
は、しごき加工中にそのゴーリング発生部分から材料破
断が生じて、作業を中断させざるを得なくなって作業能
率を低下させることもある。またこのようにしごき加工
中にゴーリングによって材料破断が生じた場合、破断し
た破片がしごきダイスや加工装置に損傷を与えることも
ある。そのため絞りしごき加工においては、しごき加工
時にゴーリングの発生を抑制することが強く望まれてい
る。
【0004】ゴーリングの発生の防止策としては、従来
から、絞りしごき加工の前処理として潤滑油原液を被加
工材表面に塗油して潤滑性を良好にする方法、またしご
き加工時の潤滑油として種々のものを組合せて、油膜切
れが生じにくい適切な潤滑油を選定する方法、さらには
被加工材の表面の粗さを適切に調整して表面の保油性を
向上させる方法などが適用されている。
【0005】ところで絞りしごき加工法を適用した製品
の代表例としてはアルミニウムDI缶胴があるが、一般
にアルミニウムDI缶胴用材料としては、Al−Mn−
Mg系合金である3004合金もしくは3104合金が
用いられている。その理由としては、これらの合金の強
度が比較的高くかつ成形性に優れ、しごき加工時の加工
硬化が少ないなど、機械的性質に優れていることが挙げ
られるが、そればかりでなく、この種の合金では、従来
の一般的な圧延板製造プロセス、すなわちDC鋳造法
(半連続鋳造法)により鋳造後、熱間圧延、冷間圧延を
施しかつ必要に応じて中間焼鈍を行なうプロセス(以下
“DCプロセス”と記す)で圧延板を製造した場合、絞
りしごき加工においてゴーリングが発生しにくいことも
大きな理由となっている。すなわち、この種の合金のD
Cプロセスによる圧延板中にはAl−Mn−Fe系およ
びAl−Mn−Fe−Si系の晶出化合物が数多く存在
するが、これらの晶出化合物が固体潤滑性を示すととも
に、しごきダイスに対してセルフクリーニングの作用を
もたらし、さらには表面の晶出化合物近傍に生じる凹部
が潤滑油溜りの機能を果たして保油性を向上させるなど
の作用によって、ゴーリングを抑制し得ることが知られ
ている。
【0006】なお従来の絞りしごき加工用のダイスとし
ては、一般に合金工具鋼、高速度鋼、超硬合金等が用い
られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにAl−M
n−Mg系の3004合金もしくは3104合金は、D
I缶胴用材料として強度や成形性が優れているのみなら
ず、しごき加工におけるゴーリングの発生防止にも有効
であるところから、従来からDI缶胴に多用されている
が、それ以外のアルミニウム合金は、しごき加工におい
てゴーリングが発生しやすく、しごき加工性に劣るとこ
ろから、連続的に安定して高品質の缶胴を製造すること
は困難とされている。そのため3004合金、3104
合金以外のアルミニウム合金は、強度や成形性(しごき
加工性以外の成形性)が優れていても、DI缶胴に適用
されていなかったのが実情である。
【0008】また最近では、アルミニウムDI缶胴用の
アルミニウム合金板の製造プロセスとして、省エネル
ギ、環境保全、設備コストおよび製造コスト低減等の目
的から、従来の一般的なDCプロセスに代えて、連続鋳
造圧延法を適用した製造プロセス、すなわち連続鋳造圧
延後、通常は熱間圧延を行なうことなく冷間圧延を施
し、かつ必要に応じて中間焼鈍を施すプロセス(以下
“CCプロセス”と記す)を用いることが望まれてい
る。すなわちCCプロセスの場合は、DCプロセスで必
須の熱間圧延工程を省略することができるが、この熱間
圧延工程は大量の熱エネルギと電気エネルギを必要と
し、しかもこれらのエネルギを得るためには大量のCO
2 が発生する。そこで熱間圧延を省略したCCプロセス
を適用することによって、エネルギコストの低減を図る
とともに熱延設備を不要として設備コストの低減を図
り、さらにはCO2 ガスの発生をなくして環境保全も図
ることができるのである。
【0009】しかるに前述の如くDCプロセスで製造し
た圧延板の場合にしごき加工におけるゴーリングの発生
が少ない3004合金や3104合金であっても、CC
プロセスを適用した圧延板の場合には、しごき加工にお
いてゴーリングが発生しやすくなってしまう問題があ
る。すなわち一般にCCプロセスで製造したアルミニウ
ム合金圧延板は、合金元素の固溶量が多くまた晶出物の
粒径が小さいため、一般に強度が高くかつしごき加工性
以外の成形加工性は優れるものの、しごき加工性が劣っ
ていてゴーリングが発生しやすく、そのためたとえ30
04合金や3104合金であっても、CCプロセスを適
用した圧延板をアルミニウムDI缶胴に使用することは
ためらわれていたのが実情である。
【0010】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、基本的にはしごき加工時におけるゴーリング
の発生を確実に抑制した絞りしごき加工法を提供するこ
とを目的とするものである。またこの発明は、従来から
DI缶胴に用いられている3004合金、3104合金
以外のアルミニウム合金でもしごき加工時におけるゴー
リングの発生を抑制し、これによって3004合金、3
104合金以外のアルミニウム合金をもアルミニウムD
I缶胴に使用し得るようにすることをも目的としてい
る。さらにこの発明は、CCプロセスを適用して得られ
たアルミニウム合金圧延板を用いた場合にも、しごき加
工時におけるゴーリングの発生を抑制し、これによって
アルミニウムDI缶胴用圧延板の製造にCCプロセスを
適用可能として、圧延板製造プロセスの省エネルギ化、
環境保全、コスト低減を図ることをも目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するべく本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、絞
りしごき加工に用いられるダイス、特にしごき加工用ダ
イスのうち少なくとも最終しごきパスのダイスとして、
超硬合金などの従来の一般的なダイス材料からなるダイ
ス基材の表面に、特定の硬さ(Hv2500以上)でか
つ特定の表面粗さ(Ra0.05μm以下)の硬質薄
膜、とりわけダイヤモンドライクカーボン膜(DLC
膜)で代表される硬質薄膜を形成しておき、このような
ダイスを用いて絞りしごき加工を行なうことによってし
ごき加工時におけるゴーリングの発生を有効に抑制し得
ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0012】具体的には、請求項1の発明は、金属素板
に対して絞り加工後、しごき加工を施す絞りしごき加工
法において、しごき加工における少なくとも最終段のし
ごきパスのダイスとして、ダイス基材における金属素板
に接する側の面にビッカース硬さ2500以上の硬質薄
膜が被覆されかつその硬質薄膜の表面粗さRaが0.0
5μm以下とされたダイスを用いることを特徴とするも
のである。
【0013】また請求項2の発明の絞りしごき加工法
は、請求項1に記載の絞りしごき加工法において、前記
硬質薄膜として、ダイヤモンドライクカーボン膜を用い
たものである。
【0014】さらに請求項3の発明の絞りしごき加工法
は、請求項1に記載の絞りしごき加工法において、前記
ダイヤモンドライクカーボン膜の厚みを0.5〜2.5
μmの範囲内としたものである。
【0015】そしてまた請求項4の発明の絞りしごき加
工法は、請求項1に記載の絞りしごき加工法において、
前記ダイス基材として、ロックウェル硬さが58以上で
かつ表面粗さRaを0.05μm以下としたものを用い
るものである。
【0016】また請求項5の発明の絞りしごき加工法
は、請求項1に記載の絞りしごき加工法において、前記
ダイスとして、入口半角をなす面と出口半角をなす面と
の交点、もしくは入口半角、出口半角をなす各面とベア
リング部との交点が、曲率半径0.1mm以上の湾曲面
で形成されているダイスを用いるものである。
【0017】さらに請求項6の発明の絞りしごき加工法
は、請求項1に記載の絞りしごき加工法において、前記
金属素板として、アルミニウム合金溶湯を100℃/秒
以上の冷却速度で厚さ50mm以下の板に連続鋳造圧延
しさらに冷間圧延により最終板厚0.35〜0.2mm
としたアルミニウム合金板を用いるものである。
【0018】そしてまた請求項7の発明の絞りしごき加
工法は、請求項1に記載の絞りしごき加工法において、
前記金属素板として、Mg0.5〜2.0wt%、Mn
0.5〜1.8wt%、Fe0.1〜0.7wt%、S
i0.05〜0.5wt%、Cu0.05〜0.5wt
%を含有しかつTi0.005〜0.20wt%を単独
でもしくはB0.0001〜0.05wt%と組合せて
含有し、さらに必要に応じてCr0.05〜0.3wt
%、Zn0.1〜0.5wt%のうちの1種以上を含有
し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、連続鋳
造圧延後、最終冷間圧延率40%以上で冷間圧延を施し
て板厚0.35〜0.2mmの範囲内とし、かつ粒子径
が10μmを越える金属間化合物が存在しないアルミニ
ウム合金圧延板を用いるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】一般にDI缶胴の製造などの絞り
しごき加工においては、金属素板に対して絞り加工を施
した後、必要に応じて再絞り加工を施し、その後2段も
しくは3段以上のしごきパスでしごき加工を行なうのが
通常であるが、この発明の絞りしごき加工法では、絞り
加工用ダイス(再絞り加工用ダイスを含む)と、しごき
加工における各しごきパスに用いられるしごき加工用ダ
イスのうち、少なくともしごき加工の最終段のしごきパ
スに用いるしごき加工用ダイスとして、ダイス基材表面
(金属素板に接する側の面)に硬質薄膜を被覆したもの
を用いる。もちろん絞り加工用ダイスとしごき加工のす
べてのパスのダイスとして硬質薄膜を被覆したものを用
いることが最も望ましいが、ゴーリングは絞り加工より
もしごき加工で発生しやすく、またしごき加工の各パス
のうちでも通常最も加工度の大きい最終パスでゴーリン
グが発生しやすいから、この発明では少なくともしごき
加工の最終パスのしごきダイスとして硬質薄膜を被覆し
たものを用いることとした。
【0020】ここで、ダイス基材に被覆される硬質薄膜
は、その硬さがHv2500以上であることが必要であ
る。すなわち本発明者等がダイスの材質とゴーリングの
発生との関係について多数回の実験を繰返したところ、
ダイスの表面硬さがゴーリングの発生に密接に関係して
おり、表面硬さがHv2500未満では、DCプロセス
により得られた3004合金圧延板以外のアルミニウム
合金圧延板においてダイス表面に対する被加工材の凝着
が生じやすく、その結果製品表面にゴーリングが生じや
すいこと、そして表面硬さをHv2500以上とするこ
とにより、DCプロセスによる3004合金圧延板以外
のアルミニウム合金圧延板でもゴーリングの発生を確実
に低減し得ることが判明した。そこでこの発明ではダイ
ス基材における被加工材に接する表面に被覆される硬質
薄膜の硬さをHv2500以上と規定した。
【0021】このようなHv2500以上の硬さの硬質
薄膜としては、SiC、TiC、HfC、ZrC、WC
等の炭化物、BN、TiN、Si3 4 等の窒化物、ダ
イヤモンド皮膜、ダイヤモンドライクカーボン膜(以下
DLC膜と記す)、あるいはこれらが混在した皮膜など
がある。これらのうちでも、特にDLC膜が最適であ
る。すなわちDLC膜は、単に硬質であるばかりでな
く、ダイヤモンド、カーボン、ポリマーの各成分が含有
されているため、自己潤滑性を有しており、しかもアモ
ルファス構造であるため、表面が極めて滑らかであっ
て、著しい平滑性が得られる。そしてこのようにDLC
膜は、Hv2500以上と硬質であるに加えて、自己潤
滑性を有しかつ表面平滑性が優れているため、被加工材
との間の摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れると同時に被
加工材がダイス表面に凝着するおそれが少なく、その結
果ゴーリングの発生を著しく低減することができるので
ある。なおDLC膜のほか、BN(窒化ホウ素)も自己
潤滑性を有しているため、DLCに比べれば若干劣るも
のの、他の硬質薄膜材と比較して優れた耐ゴーリング性
を示すことができる。
【0022】これらの硬質薄膜をダイス基材上に被覆す
る方法としては、イオンプレーティングや種々のCVD
法、PVD法がある。特にDLC膜を形成する方法とし
ては、グラファイトのスパッタリング、炭素のイオンビ
ーム蒸着、メタンのプラズマCVD等があるが、プラズ
マCVD法が一般的である。なお、同じ皮膜でも成膜方
法や処理温度などの成膜条件によって硬さが異なるのが
通常であるから、最適な成膜方法、条件を選択すること
が望ましい。
【0023】前述のような硬質薄膜の表面粗さ、特に被
加工材と接する表面の粗さは、JIS B 0601で
規定される中心線平均粗さRaにして0.05μm以下
に調整する必要がある。硬質薄膜の粗さRaが0.05
μmを越えれば、しごき加工においてダイス表面に被加
工材の凝着が生じやすく、その結果製品表面にゴーリン
グが発生しやすくなる。すなわち、しごき加工時におい
てダイス表面が粗くかつ硬質であれば、被加工材の表面
が削り取られてその削り取られた被加工材がダイス表面
に凝着し、ゴーリングが発生しやすくなり、特に表面硬
さHvが2500以上の場合表面の粗さがRa0.05
μmを越えればその傾向が顕著となる。したがってダイ
ス基材に被覆されている硬質薄膜の表面粗さRaは0.
05μm以下とする必要がある。
【0024】ここで、前述のような各種の硬質薄膜のう
ちでもDLC膜やアモルファスBN(αBN)膜などの
場合は成膜したままで表面粗さRaを0.05μm以下
とすることができるが、その他の硬質薄膜の場合は、表
面粗さRaを0.05μm以下とするために成膜後にダ
イモンド粉末等で研磨するかまたはラッピング等の手段
を適用する必要がある。また前述のようにDLC膜やB
N膜は皮膜自体が自己潤滑性を有するため、表面粗さR
a0.05μm以下で確実にゴーリングの発生を抑制で
きるが、自己潤滑性を持たない他の硬質薄膜の場合にお
いては、確実かつ充分にゴーリングの発生を抑制するた
めには表面粗さRaを0.02μm以下とすることが望
ましい。
【0025】ダイス基材上に被覆される硬質薄膜の厚さ
は0.5〜5μmの範囲内が適当である。硬質薄膜の厚
さが0.5μm未満では、摩耗した場合に基材から剥離
しやすくなり、一方5μmを越えて厚くコーティングす
ることは、不経済であるばかりでなく、皮膜が脆くなっ
てかえって剥離しやすくなる。したがって充分な耐用寿
命を与えるためには、0.5〜5μmの範囲内の膜厚が
望ましい。なおDLC膜の場合は特に0.5〜2.5μ
mの範囲内が適当である。
【0026】さらに、硬質薄膜が被覆されるダイス基材
としては、ロックウェル硬さ(HRc)で58以上の硬
さを有する材料を用いることが望ましい。基材の硬さが
HRc58未満では軟質過ぎるため、その上に硬質薄膜
を被覆しても、硬質薄膜による低摩擦、耐摩耗性等の優
れた性能を発揮することができず、またしごき加工時の
高い面圧によってダイス基材自体の弾性変形量が大きく
なって硬質薄膜の変形も大きくなり、硬質薄膜に亀裂や
剥離が生じやすくなる。したがってダイス基材としては
HRc58以上の材料を選択することが望まれるが、よ
り好ましくはHRc61以上の材料が適当である。具体
的なダイス基材の材料としては、合金工具鋼、高速度
鋼、超硬合金等があるが、このうちでも特に超硬合金が
好ましい。
【0027】なおダイス基材に被覆される硬質薄膜の表
面粗さを前述のようにRa0.05μm以下とするため
には、硬質薄膜を被覆する前のダイス基材の表面粗さ
を、研磨やラッピング等によってRa0.05μm以下
に調整しておくことが望ましい。すなわち、硬質薄膜を
成膜した後の表面粗さは、成膜前の基材表面の粗さの影
響を受けるから、成膜前の基材表面の粗さが大きけれ
ば、成膜後の表面粗さも大きくなり、その後に表面粗さ
をRa0.05μm以下に調整するために著しく大きな
労力と時間を要し、また均一な厚みで硬質薄膜を生成す
ることが困難となることがある。そこで硬質薄膜を形成
する前のダイス基材表面の粗さをRa0.05μm以下
としておくことにより、これらの問題を防止することが
できるのである。
【0028】なおダイス基材と硬質薄膜との間には、硬
質薄膜の密着性を向上させるため、中間層を設けても良
い。この中間層としては、ダイス基材および硬質薄膜の
材質に応じ、両者に対して密着性が良好な材料を適宜選
択すれば良く、例えばアルミニウム、シリコン、タング
ステン等の金属やその合金、あるいはこれらの金属の炭
化物、窒化物、酸化物等を用いることができる。このよ
うな中間層の厚みは特に限定されるものではないが、通
常は、100nm〜1μm程度とすれば良い。中間層の
厚みが100nm未満では硬質薄膜の密着性を向上させ
る効果が得られず、一方1μmを越えればそれ以上密着
性は向上せず、経済性を損なうだけである。
【0029】さらにこの発明の絞りしごき加工法におい
て使用するダイスとしては、入口半角と出口半角との間
にベアリング部を持たないダイスの場合は、入口半角を
なす面と出口半角をなす面との交点が曲率半径0.1m
m以上の滑らかな湾曲面となるような形状のものを用い
ることが望ましく、一方入口半角と出口半角との間にダ
イス中心軸線と実質的に平行なベアリング部を有するダ
イスの場合には、入口半角をなす面、出口半角をなす面
とベアリング部との交点がそれぞれ曲率半径0.1mm
以上の滑らかな湾曲面となるような形状のものを用いる
ことが望ましい。
【0030】この点について図1〜図4を参照して説明
すれば、図3はベアリング部3を有する従来のしごき加
工用ダイス1の一般的な例を示し、この場合は入口半角
θ1をなすアプローチ部4とベアリング部3との交点6
およびベアリング部3と出口半角θ2 をなすリリース部
5との交点7は、図4に拡大して示すようにいずれもシ
ャープエッジとしているのが通常である。これは、従来
はこれらの交点6,7の形状をシャープエッジとするこ
とが良好なしごき性や加工製品の良好な表面品質を得る
ために重要であるとされ、摩耗等によって交点形状のシ
ャープさが失われれば、缶切れの発生あるいは黒筋や縦
傷等の外観不良の発生の原因になると考えられていた。
しかしながらこの発明の場合のようにダイスとして硬質
薄膜を被覆したものを用いた場合は、これらの交点の形
状がシャープエッジとなっていれば、逆に加工時の衝撃
や摩耗などによってシャープエッジの部分から薄膜が剥
離しやすくなるという好ましくない結果を招くことが判
明した。なお図3、図4ではベアリング部3を有するダ
イスについて示したが、ベアリング部3を持たないダイ
スの場合も、入口半角θ1 をなすアプローチ部4と出口
半角θ2 をなすリリース部5との交点をシャープエッジ
としておくことによって同様な問題が生じることが判明
した。そして本発明者等の実験によれば、図1に示すよ
うにベアリング部を持たない場合の入口半角θ1 をなす
アプローチ部4と出口半角θ2 をなすリリース部5との
交点P1 、あるいは図2に示すようにベアリング部3を
有する場合の入口半角θ1 をなすアプローチ部4とベア
リング部3との交点P2 、および出口半角θ2 をなすリ
リース部5とベアリング部3との交点P3 を、それぞれ
曲率半径が0.1mm以上の滑らかな湾曲面としておく
ことによってこのような問題を防止することができ、さ
らにこれらの交点を滑らかな形状としておいても、硬質
薄膜の硬さおよび表面粗さを前述のように調整しておけ
ば、缶切れや製品の外観不良の発生は抑制できることが
判明した。したがってこの発明の方法を適用する場合、
これらの交点の形状を曲率半径0.1mm以上の滑らか
な湾曲面としておくことが望ましい。
【0031】この発明の絞り加工法に供されるアルミニ
ウム合金圧延板としては、連続鋳造圧延法(CCプロセ
ス)によって製造された板が好適である。すなわち、既
に述べたようにCCプロセスを適用して熱間圧延工程を
省略することにより、エネルギコストの低減や設備コス
トの低減、さらにはCO2 ガスの発生の削減による環境
保全を図ることが可能となるが、従来の一般的な絞りし
ごき加工法では、CCプロセスによる板を使用した場
合、ゴーリングが発生しやすいという問題があった。こ
れに対し硬質薄膜を被覆したダイスを用いてその表面硬
さをHv2500以上、表面粗さRaを0.05μm以
下とすることによって、CCプロセスによる板でもゴー
リングの発生を防止することが可能となったのであり、
したがってこの発明の方法による効果はCCプロセスに
よって得られた板の場合に最も有効となる。
【0032】ここで、連続鋳造圧延における冷却速度は
100℃/秒以上とすることが適当である。冷却速度が
100℃/秒未満では鋳造速度が遅くなって生産性を阻
害する。また連続鋳造圧延板の厚みは50mm以下が適
当である。連続鋳造圧延時の板厚が50mmを越えれ
ば、100℃/秒以上の充分な冷却速度を得ることが困
難となり、またその後の冷間圧延での負担も大きくな
る。
【0033】連続鋳造圧延板に対しては、冷間圧延を施
して最終板厚とすれば良いが、冷間圧延の中途あるいは
連続鋳造圧延と冷間圧延との間には、冷間圧延性を改善
するために必要に応じて中間焼鈍を行なっても良い。こ
の中間焼鈍の条件は特に限定されないが、例えばバッチ
炉を使用して320℃以上の温度で2時間以上の保持を
行なう方法、あるいは連続焼鈍を適用して到達温度45
0℃以上で急速冷却を行なう方法を適用すれば良い。冷
間圧延における最終圧延率(冷間圧延の中途で中間焼鈍
を行なわない場合には連続鋳造圧延板の板厚から最終板
厚までの圧延率を意味し、冷間圧延の中途で中間焼鈍を
挟む場合は中間焼鈍後、最終板厚までの圧延率を意味す
る)は、40%以上とすることが好ましい。すなわち、
最終圧延率が40%未満では最終圧延板の強度を充分に
確保することが困難となり、40%以上の最終圧延率に
よってDI缶胴等として必要な強度を確保することが可
能となる。また冷間圧延による最終板厚は0.35〜
0.2mmの範囲内が適当である。最終板厚が0.35
mmを越えれば、DI缶等として充分な軽量化を図るこ
とが困難となり、一方0.2mmより薄ければ、容器と
して必要な耐摩耗強度を確保できなくなるおそれがあ
る。
【0034】さらに、この発明の絞りしごき加工法を適
用する対象となるアルミニウム合金の成分組成は特に限
定されるものではないが、Al−Mn−Mg系合金とし
ては、例えばMg0.5〜2.0wt%、Mn0.5〜
1.8wt%、Fe0.1〜0.7wt%、Si0.0
5〜0.5wt%、Cu0.05〜0.5wt%を含有
し、かつTi0.005〜0.20wt%を単独でもし
くはB0.0001〜0.05wt%と組合せて含有
し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を好
適に使用することができる。このようなAl−Mn−M
g系合金における成分組成は、DI缶胴等として充分な
強度と成形加工性、耐摩耗性、リサイクル性を確保する
ために定めたが、これ以外の成分組成の合金、例えば5
182合金についても、この発明の方法を適用すること
によってゴーリングを発生させることなくDI缶胴等を
得ることができることはもちろんである。
【0035】またこの発明の絞りしごき加工法に供され
るアルミニウム合金圧延板としては、その圧延板中に金
属間化合物として粒子径10μmを越えるもの(晶出
物、析出物)が存在しないことが好ましい。すなわち、
10μmを越える大きな金属間化合物粒子が存在すれ
ば、その粒子附近が成形加工時の破断の起点となりやす
く、例えばフランジ加工(缶開口端部の口拡げ加工)に
おいて端面の剥れが発生しやすくなる。
【0036】なおこの発明の絞りしごき加工法におい
て、絞り加工、しごき加工での潤滑の方法は特に限定さ
れるものではなく、従来と同様な水溶性エマルジョンタ
イプのクーラントを用いれば良い。但しこの発明の場
合、加工時の摩擦係数が低くなることやダイスの耐凝着
性が向上することから、エマルジョンの濃度を下げた
り、エマルジョンに代えてソリューションタイプのクー
ラントを用いることもでき、この場合には製造後の洗浄
作業等の負担を軽減してコスト低減を図ることができ
る。
【0037】
【実施例】
実施例1:表1の合金符号A〜Cに示す各アルミニウム
合金について、DCプロセスもしくはCCプロセスによ
って厚さ0.30mmの板とした。
【0038】ここで、DCプロセスとしては、半連続鋳
造法(DC鋳造法)によって厚さ500mmの鋳塊を
得、常法に従って熱間圧延して3.5mmの熱延板と
し、さらに一次冷間圧延を行なって板厚0.75mmと
した後、中間焼鈍として、加熱速度20℃/分で520
℃まで昇温し、冷却速度20℃/分で冷却する連続焼鈍
を適用し、さらに最終冷間圧延として0.30mmまで
冷間圧延した。一方CCプロセスとしては、冷却速度1
00℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造圧延を行なって厚
さ6mmの連続鋳造圧延板を得、さらに一次冷間圧延と
して0.75mmまで冷間圧延した後、中間焼鈍として
前記と同様な条件の連続焼鈍を適用し、最終冷間圧延と
して0.30mm厚まで冷間圧延した。
【0039】これらのアルミニウム合金板について、種
々のダイスを用いてDI加工を施し、350mlサイズ
のアルミニウム缶胴を250缶/分の速度で1000缶
連続製缶する実験を行なった。ここで、ダイスとして
は、基材として超硬合金を用い、そのダイス基材に対し
て硬質薄膜を被覆していないダイス、および硬質薄膜と
してDLC、TiC、TiN、CrN、BNのいずれか
を被覆したダイスを用いた。また被覆ダイスを用いる場
合、絞りダイス、再絞りダイス、および3段のしごきダ
イスの全てに被覆ダイスを用いた。潤滑油としては水溶
性エマルジョンタイプのクーラントを用いたが、その濃
度は従来の一般的な濃度である4%より薄い2%とし
た。
【0040】DCプロセスによって得られたアルミニウ
ム合金圧延板を用いた場合の製缶結果を表2に示す。な
おダイス表面の硬さ(Hv)および表面粗さ(Ra)を
調べたので、その結果も併せて表2中に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表2において、No.1は3004相当の
合金AのDCプロセス材(現行材)について、硬質薄膜
を被覆していない超硬合金ダイスを用いた比較例であ
り、この場合は3004合金DCプロセス材を用いてい
るため、ダイスの硬さがHv2500未満でもゴーリン
グは発生せず、良好なDI加工性を示した。またNo.
3は3004合金よりも若干Mg量を高目とした合金B
のDCプロセス材について硬質薄膜を被覆していない超
硬合金ダイスを用いた比較例であり、この場合もゴーリ
ングは発生せず、良好なDI加工性を示した。一方N
o.5は5182相当の合金CのDCプロセス材につい
て、硬質薄膜を被覆しなかった超硬合金ダイスを用いた
比較例であり、この場合はゴーリングが発生してしまっ
た。
【0044】一方、No.2、No.4、No.6、N
o.7、No.10は超硬合金基材に硬質薄膜を被覆し
かつ表面硬さがHv2500以上で表面粗さRa0.0
5μm以下としたダイスを用いた本発明例であるが、い
ずれの場合もゴーリングの発生はなく、良好なDI加工
性を示した。これらのうち、特にNo.6、No.7、
No.10は、従来ゴーリングが発生しやすいとされて
いた5182相当の合金Cについての例であるが、これ
らの場合もゴーリングが発生しなかったことから、51
82合金についてもDI缶用材料として活用できること
が判る。
【0045】これに対し、No.8、No.9は518
2合金相当の合金Cについて、硬質薄膜表面の硬さがH
v2500に満たなかったダイスを用いた比較例である
が、これらの場合には弱いゴーリングが発生してしまっ
た。
【0046】さらに、CCプロセスによって得られたア
ルミニウム合金圧延板を用いた場合の製缶結果を表3に
示す。なおダイス表面の硬さ(Hv)および表面粗さ
(Ra)を調べたので、その結果も表3中に示す。
【0047】
【表3】
【0048】表3において、No.11は3004相当
の合金AのCCプロセス材について、硬質薄膜を被覆し
ていない超硬合金ダイスを用いた比較例であり、この場
合はダイス表面硬さがHv2500に満たないため、成
形途中で強いゴーリングにより缶切れが発生し、成形を
中断せざるを得なかった。またNo.21は3004合
金よりも若干Mg量を高目とした合金BのCCプロセス
材について、硬質薄膜を被覆していない超硬合金ダイス
を用いた比較例であり、この場合もNo.11と同様で
あった。
【0049】一方No.12、No.13、No.1
5、No.20、No.22はいずれも超硬合金からな
るダイス基材に各種の硬質薄膜を被覆しかつ表面硬さが
Hv2500以上、表面粗さがRa0.05μm以下の
各条件を満たしたダイスを用いた本発明例であり、これ
らの場合はゴーリングは発生せず、良好なDI加工性を
示し、またダイスへのアルミの凝着は全く認められなか
った。
【0050】これに対しNo.18、No.19は硬質
薄膜を被覆したものの、表面硬さがHv2500以上の
条件を満たさなかったダイスを用いた比較例であり、こ
の場合はゴーリングが発生し、またダイスに対するアル
ミの凝着が認められた。またNo.14、No.16、
No.17は、硬質薄膜を被覆したものの、表面粗さR
aが0.05μm以下の条件を満たさなかったダイスを
用いた比較例であり、この場合もゴーリングが発生し、
またダイスへのアルミの凝着が認められた。
【0051】実施例2:実施例1のNo.1、No.1
1、No.12によって得られた缶胴を用いてフランジ
成形性の評価を行なった。評価方法としては、常法によ
るネッキング加工後、フランジ部の穴拡げ試験を行なっ
て評価した。すなわち、DI加工後、トリミング、洗浄
を行ない、さらに塗装焼付けを想定した200℃×20
分の加熱処理を行ない、4段ネッキング加工後、穴拡げ
試験を行ない、その穴拡げ試験において破断が生じるま
での穴拡げ径を測定した。その結果を表4に示す。また
同時に各例におけるアルミニウム合金圧延板中の10μ
mを越える金属間化合物粒子の存在について調べたの
で、その結果も併せて表4中に示す。
【0052】
【表4】
【0053】No.1は3004相当の合金AのDC
材、すなわち現行材について、硬質薄膜で被覆しない超
硬合金ダイスを用いた比較例であり、一方No.12は
同じ合金AのCC材についてHv2500以上のDLC
膜で被覆したダイスを用いた本発明例であって、既に述
べたようにいずれの場合もゴーリングの発生はなかった
が、表4に示すように後者の場合は圧延板中に10μm
を越える金属間化合物が存在せず、前者よりもフランジ
成形性が優れていることが判明した。なおNo.11は
同じ合金AのCCプロセス材について、硬質薄膜を被覆
していないダイスを用いた比較例であり、この場合はゴ
ーリングが発生しただけではなく、穴拡げ時にゴーリン
グ傷を起点として割れが発生して、フランジ成形性が劣
ることが判明した。
【0054】実施例3:実施例1のNo.12と同一の
条件で、基材の材質を変えたダイスを用いて、前記同様
の連続製缶を行なった。その結果を、ダイス基材の硬さ
とともに表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】表5において、No.12、No.23、
No.24はいずれも使用したダイス基材の硬さがHR
c58以上の例であり、これらの場合にはダイスの薄膜
剥離は生じず、良好な成形性を示した。一方No.2
5、No.26はダイス基材の硬さがHRc58以上の
条件を満たさなかった例であり、この場合にはダイスの
一部に薄膜剥離が生じ、その部分でゴーリングが発生し
た。
【0057】実施例4:実施例1のNo.12と同一の
条件で、ダイス形状を種々変化させて前記同様の連続製
缶を行なった。すなわち、ベアリング部を有するダイ
ス、ベアリング部を持たないダイスのそれぞれについ
て、入口半角をなす面と出口半角をなす面との交点形状
あるいは入口半角、出口半角をなす面とベアリング部と
の交点形状を、曲率半径0.3〜1.0mmの滑らかな
形状、もしくはシャープエッジ形状に変化させて連続製
缶を行なった。その結果を表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】表6において、No.12、No.28、
No.29は交点形状が曲率半径0.1mm以上の滑ら
かな湾曲面となっているダイスを用いた例であり、これ
らの場合はいずれも硬質薄膜の剥離が生じず、ゴーリン
グも発生せずに良好なDI加工性を示した。一方No.
27、No.30は、交点形状をシャープエッジとした
ダイスを用いた例であり、これらの場合は硬質薄膜の一
部に剥離が生じ、その部分でゴーリングが発生してしま
った。
【0060】
【発明の効果】この発明の方法によれば、絞りしごき加
工に使用される各ダイスのうち、少なくともしごき加工
の最終パスのしごき加工用ダイスとして、Hv2500
以上の硬質薄膜が被覆されかつ表面粗さRaが0.05
μm以下とされたものを用いることによって、ゴーリン
グの発生を確実に防止することができ、特に従来からD
I缶胴材として多用されている3004合金DC材や3
104合金DC材以外のアルミニウム合金板、例えば5
182合金DC材、あるいは3004合金の連続鋳造圧
延材(CC材)についてもゴーリングの発生を招くこと
なく、絞りしごき加工を施すことができる。このように
この発明の方法によれば、従来は絞りしごき加工には不
適当とされていた材料についても絞りしごき加工が可能
となり、そのため従来よりも高強度の材料を用いてDI
缶胴などの絞りしごき加工品の一層の高強度化、薄肉化
を図ることが可能となるとともに、絞りしごき加工品の
製造のために連続鋳造圧延材を使用することが可能とな
るため、圧延板製造時においてDCプロセスに代えて連
続鋳造圧延を適用することにより、省エネルギ、環境保
全、製造コストの低減などを図ることが可能となる。さ
らにこの発明の方法によれば、一回のしごき加工で成形
可能な限界しごき率が向上するため、従来アルミニウム
DI缶の製造のために3回のしごき加工を行なっていた
のに対し、この発明の方法の適用によって2回のしごき
加工でも安定した製缶が可能となって、DI加工コスト
低減、設備コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で使用されるダイスの一例の要部を拡
大して示す断面図である。
【図2】この発明で使用されるダイスの他の例の要部を
拡大して示す断面図である。
【図3】従来の一般的なダイスを全体的に示す断面図で
ある。
【図4】図3に示される従来のダイスの要部を拡大して
示す断面図である。
【符号の説明】
3 ベアリング部 θ1 入口半角 θ2 出口半角 P1 ,P2 ,P3 交点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B21D 37/01 B21D 37/01 51/26 51/26 X B22D 11/00 B22D 11/00 E C22C 21/06 C22C 21/06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属素板に対して絞り加工後、しごき加
    工を施す絞りしごき加工法において;しごき加工におけ
    る少なくとも最終段のしごきパスのダイスとして、ダイ
    ス基材における金属素板に接する側の面にビッカース硬
    さ2500以上の硬質薄膜が被覆されかつその硬質薄膜
    の表面粗さRaが0.05μm以下とされたダイスを用
    いることを特徴とする、絞りしごき加工法。
  2. 【請求項2】 前記硬質薄膜として、ダイヤモンドライ
    クカーボン膜を用いる、請求項1に記載の絞りしごき加
    工法。
  3. 【請求項3】 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚
    みを0.5〜2.5μmの範囲内とした、請求項1に記
    載の絞りしごき加工法。
  4. 【請求項4】 前記ダイス基材として、ロックウェル硬
    さが58以上でかつ表面粗さRaを0.05μm以下と
    したものを用いる、請求項1に記載の絞りしごき加工
    法。
  5. 【請求項5】 前記ダイスとして、入口半角をなす面と
    出口半角をなす面との交点、もしくは入口半角、出口半
    角をなす各面とベアリング部との交点が、曲率半径0.
    1mm以上の湾曲面で形成されているダイスを用いる、
    請求項1に記載の絞りしごき加工法。
  6. 【請求項6】 前記金属素板として、アルミニウム合金
    溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で厚さ50mm以下
    の板に連続鋳造圧延しさらに冷間圧延により最終板厚
    0.35〜0.2mmとしたアルミニウム合金板を用い
    る、請求項1に記載の絞りしごき加工法。
  7. 【請求項7】 前記金属素板として、Mg0.5〜2.
    0wt%、Mn0.5〜1.8wt%、Fe0.1〜
    0.7wt%、Si0.05〜0.5wt%、Cu0.
    05〜0.5wt%を含有しかつTi0.005〜0.
    20wt%を単独でもしくはB0.0001〜0.05
    wt%と組合せて含有し、さらに必要に応じてCr0.
    05〜0.3wt%、Zn0.1〜0.5wt%のうち
    の1種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
    よりなり、連続鋳造圧延後、最終冷間圧延率40%以上
    で冷間圧延を施して板厚0.35〜0.2mmの範囲内
    とし、かつ粒子径が10μmを越える金属間化合物が存
    在しないアルミニウム合金圧延板を用いる、請求項1に
    記載の絞りしごき加工法。
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