JP2021154355A - 有底筒状体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の絞り加工・しごき加工等の厳しい製缶加工と、洗浄工程におけるコスト削減や環境負荷軽減とを両立し得る有底筒状体の製造方法を提供する。【解決手段】有底筒状体の製造方法であって、加工表面の硬さがHv1500超〜12000の絞りダイ及びHv1000〜12000の絞りパンチを用いて金属板を絞り加工する絞り工程と、加工表面の硬さがHv1500〜12000の成形加工部材を用いて、クーラントを介して被加工部材をしごき加工して有底筒状体とするしごき工程と、を含み、前記クーラントが、(a)含有される油分の濃度が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかを満たす、ことを特徴とする、有底筒状体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、有底筒状体の製造方法に関し、より詳細には、絞りしごき加工により金属製の有底筒状体を製造する方法に関する。
金属製の有底筒状体、例えば、いわゆるシームレス缶体は、プレス加工用金型を用いて絞りしごき加工によって製造される。
上記絞りしごき加工において使用されるパンチ部及びダイ部は、一般的に過酷な環境下に置かれることから、例えば特許文献2〜5に示されるような金型が提案されている。すなわち、加工表面にダイヤモンド膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜などの炭素膜を被覆して、金型の耐久性を向上させることが提案されている。
一方で従来、例えばアルミニウム合金材を用いてシームレス缶体を製造する場合には、潤滑剤や冷却剤(クーラント)を使用してウェット環境で成形を行うことが一般的である。この場合、製缶加工後に、缶体に付着した加工油・潤滑剤・クーラント等を、洗浄剤や薬剤で洗浄する洗浄工程(ウォッシャ工程)が不可欠である。
特許第6012804号公報 特開平10−137861号公報 特開平11−277160公報 特開2013−163187号公報 国際公開WO2017/033791号公報
しかしながら、上記従来のシームレス缶体の製造方法においては、洗浄工程に大量のエネルギーやコストが必要とされる問題や、環境負荷が大きいという問題があった。
例えば、洗浄工程に使用される多量の水に関するコストや環境負荷の軽減、洗浄工程で使用される薬剤が与える環境負荷の軽減、また、洗浄工程において洗浄剤を加温する際に必要とされるエネルギーの減少、などが求められていた。
さらに今回本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定の条件下でクーラントを使用して有底筒状体を製造した場合には、従来の絞り加工・しごき加工等の厳しい製缶加工と、洗浄工程におけるコスト削減や環境負荷軽減とを両立し得ることを見出し、本発明に至ったものである。
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態における有底筒状体の製造方法は、(1)加工表面の硬さがHv1500超〜12000の絞りダイ及びHv1000〜12000の絞りパンチを用いて金属板を絞り加工する絞り工程と、加工表面の硬さがHv1500〜12000の成形加工部材を用いて、クーラントを介して被加工部材をしごき加工して有底筒状体とするしごき工程と、を含み、前記クーラントが、(a)含有される油分の濃度が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかを満たす、ことを特徴とする。
上記(1)において、(2)前記有底筒状体はシームレス缶体であることが好ましい。
また上記(1)又は(2)において、(3)前記金属板がアルミニウム合金であることが好ましい。
上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、(4)前記絞り工程における成形加工部材の加工表面、及び/又は前記しごき工程における成形加工部材の加工表面に炭素膜が形成されていることが好ましい。
上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、(5)前記絞り工程前に、前記金属板の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程を含み、前記絞り工程における絞りダイの加工表面の硬さがHv1000〜12000であることが好ましい。
上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、(6)前記しごき工程、又は前記しごき工程後の洗浄工程において排出された排水を浄化する洗浄工程をさらに含むことが好ましい。
本発明の有底筒状体の製造方法によれば、加工表面の硬さが所定の値以上の成形加工部材(例えばパンチ及びダイ)を用いて絞り加工及びしごき加工をする工程を含む。
そのためしごき工程において、(a)含有される油分の濃度が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかを満たすクーラントを使用した場合において、従来と同様又はそれ以上のしごき率の有底筒状体を得ることが可能となる。
また本実施形態によれば、絞り加工前における金属板(平板)表面への加工油や潤滑剤の塗布工程を省略することが可能となる。また、しごき工程において使用するクーラントについて(a)含有される油分の濃度が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかを満たすクーラントを使用することが可能となる。そのため、洗浄工程において洗浄剤を使用せずに、水または湯を用いて洗浄することが可能となる。あるいは、洗浄工程を設けずに、製缶加工後に、缶体に付着した潤滑成分・クーラント等を乾燥させることにより除去することも可能となる。
そのため、洗浄工程における環境負荷の軽減やコスト削減を図ることが可能となる。
本発明の一実施形態における有底筒状体の製造方法のうち、絞り工程を示す模式図である。 本発明の一実施形態における有底筒状体の製造方法のうち、しごき工程を示す模式図である。 本実施形態における有底筒状体の製造方法の流れを示す模式図である。
[有底筒状体の製造方法]
本発明の出願人らは、特願2018−204896号明細書及び特願2018−204823号明細書に開示するようなシームレス缶体の製造方法を見出した。すなわち、高い滑り特性を持つダイヤモンド膜等を加工表面に形成した金型を使用しつつ、クーラント中の油分を所定の量以下としてプレス加工をした場合には、しごき加工等の厳しい加工を行っても、従来の量の潤滑剤を使用して製造したプレス加工品と同等以上の加工度合い(例えば限界しごき率)を得ることを見出した。
さらに今回、本発明者らは上記シームレス缶体の製造方法に関連する有底筒状体の製造方法を見出したものである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の有底筒状体の製造方法について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を示してその内容について説明するものであり、本発明を意図的に限定するものではない。また、下記実施形態においては、有底筒状体の例としてシームレス缶体を挙げて説明するが、本発明を意図的に限定するものではない。
<金属板>
本実施形態における被加工材としての金属板は、一般的な金属プレス加工に供されるものであれば特に制限はない。例えば、アルミニウム、銅、鉄、鋼、チタン、さらに純金属だけでなく、それらの合金など公知の種々の金属板が適用できる。このうち、シームレス缶体を成形する場合には、アルミニウム合金板が特に好適である。
本実施形態における金属板の厚みとしては、特に制限はなく、シームレス缶体製造時における通常の厚みを適用することができる。例えばアルミニウム合金板を用いて製缶加工をする場合の金属板の厚みの一例として、元板厚(原板の厚み)が0.1mm〜0.5mmである。
<潤滑剤塗布工程>
本実施形態の有底筒状体の製造方法においては、絞り加工前の金属板(平板)の表面に、潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程を含んでいてもよい。なお、本実施形態において前記潤滑剤とは一般的に「金属加工油」又は「金属切削油」と称される油分をも含むものとする。
一般的に知られているように、絞り加工前に公知の加工油や潤滑剤を塗布することにより、後の絞り工程やしごき工程において厳しい絞りしごき加工を施しても、金属板が傷ついたり破断したりすることなく、有底筒状体等の所望の形状に加工することが可能となる。しかしながら本実施形態においては、後述する理由によりこの工程は必須の工程ではない。
本実施形態における潤滑剤の種類としては、以下のようなものを挙げることができる。
例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール又は脂肪酸等からなる鉱物油等を使用することができる。
あるいは、水溶性潤滑剤、又は、沸点が300℃未満の潤滑剤を用いることも可能である。
本実施形態における水溶性潤滑剤としては、水に可溶である潤滑剤と定義される。水溶性潤滑剤を用いることにより、薬剤(酸、アルカリ、界面活性剤等)を用いずに製缶後に付着した潤滑剤成分を除去することが可能となるため好ましい。なお、本実施形態においては、例えば後述する洗浄工程において水で洗浄を行った場合、後工程の印刷において塗料のムラ、はじき等の不良が発生しない程度に潤滑剤成分やクーラント成分が除去されることが好ましい。
沸点が300℃未満の潤滑剤としては、具体的には、揮発性潤滑油として市販されている無洗浄油を適用することが可能である。沸点が300℃未満の潤滑剤が好ましい理由としては、製缶工程後に、付着した潤滑剤成分を比較的低温で気化させて除去することが可能となるためである。なお、設備コストやエネルギーコスト等の観点から、潤滑剤の沸点は250℃未満であることがさらに好ましい。
なお、本工程において、潤滑剤の塗布量及び塗布方法については、公知の量及び公知の方法を適用することが可能である。
本実施形態において、前記潤滑剤の粘度としては200mPa・s未満であることが、本発明の目的とする洗浄工程における環境負荷やコストの低減の観点からは好ましい。潤滑剤の粘度が200mPa・s以上であった場合、後の洗浄工程や乾燥工程において、潤滑剤の十分な洗浄や除去が行えない可能性があり、好ましくない。なお潤滑剤の粘度は、100mPa・s未満であることがさらに好ましい。
<絞り工程>
次に、本実施形態における絞り工程について説明する。
本実施形態における絞り工程においては、絞り工程における成形加工部材(例えば、絞り加工ダイや絞り加工パンチ)の加工表面が、所定の硬さ以上であることが好ましい。具体的には、前記加工表面の硬さがビッカース硬度においてHv1000〜12000であることが必要である。具体的には本実施形態における有底筒状体の製造方法は、絞りダイの加工表面の硬さがHv1500超〜12000であり、絞りパンチの加工表面の硬さがHv1000〜12000であることを特徴とする。
その理由としては以下のとおりである。
すなわち、図1を用いて金属板の絞り工程の例を説明すると、絞り加工ダイDと絞り加工パンチPとの間に金属板10が介在した状態で、絞り加工パンチPによって絞り加工が施され、浅絞りカップMが製造される。その際、当該絞り加工ダイDと絞り加工パンチPには強い衝撃荷重が作用するため、量産化に耐え得る程度の高い耐久性や耐摩耗性が必要とされる。
また本実施形態では、洗浄工程における環境負荷やコスト低減を図るため、絞り加工前における金属板(平板)表面への加工油や潤滑剤の塗布工程を省略することが可能となる。その際、成形加工部材による金属板の傷付きや破断を回避するため、金型により高い硬度またはすべり性を付与する必要がある。
上記観点より本発明者らが試行錯誤した結果、本実施形態においては、絞り加工における成形加工部材の加工表面の硬さを、ビッカース硬度においてビッカース硬度ビッカース硬度ビッカース硬度絞りダイの加工表面の硬さがHv1500超〜12000であり、絞りパンチの加工表面の硬さがHv1000〜12000とした場合、過酷な絞り加工・しごき加工が施される場合においても、耐久性や耐摩耗性、金属板の傷付き等の観点において、問題がないことを見出したものである。
なお本実施形態において、絞り工程における成形加工部材(金型)は、加工表面が上記の硬さである限りにおいて、公知の素材からなる基材で製造されていてもよいし、かかる基材の加工表面に表面処理膜L(図2参照)を形成してなるものであってもよい。
上記金型において基材の素材としては、具体的には、タングステンカーバイド(WC)とコバルト等の金属バインダーとの混合物を焼結して得られる超硬合金;炭化チタン(TiC)等の金属炭化物や炭窒化チタン(TiNC)等のチタン化合物とニッケルやコバルト等の金属バインダーとの混合物を焼結して得られるサーメット;等を挙げることができる。
また、上記基材の上に形成する前記表面処理膜Lとしては、例えば炭素膜、セラミック膜、フッ素樹脂膜、等を好ましく用いることができる。
前記炭素膜としては、ビッカース硬度においてHv8000〜12000程度のダイヤモンド膜やビッカース硬度においてHv3000〜7000程度のDLC膜等を挙げることができる。これら炭素膜の形成方法には特に制限はなく、例えば化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法等を適用することが可能である。
また前記セラミック膜としては例えば、炭化ケイ素(SiC)や窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)といった硬質セラミック等を挙げることができる。
本実施形態において、絞り工程に用いる成形加工部材の種類の組み合わせとしては、絞り加工ダイと絞り加工パンチの両方に同じ素材又は表面処理膜Lが使用されてもよいし、異なる素材又は表面処理膜Lが使用されてもよい。例えば、絞り加工ダイと絞り加工パンチの両方が超硬合金製であってもよいし、絞り加工ダイ又は絞り加工パンチの一方が超硬合金製であってもよい。あるいは、絞り加工ダイと絞り加工パンチの両方の加工表面に炭素膜が形成されていてもよいし、絞り加工ダイ又は絞り加工パンチの一方の加工表面に炭素膜が形成されていてもよい。すなわち、図2においては絞り加工ダイDの加工表面に表面処理膜Lが形成されており、絞り加工パンチPの加工表面に表面処理膜Lは形成されていないが、本発明はこれに限られるものではない。
なお本実施形態においては、絞り加工時における雄型と雌型の少なくとも一方の加工表面に炭素膜が形成されていることが好ましい。例えば、雌型として絞り加工ダイ、雄型として絞り加工パンチを使用する場合、少なくともそれらの一方の加工表面に炭素膜が形成されていることが好ましい。
さらに具体的には、絞り加工ダイと絞り加工パンチの両方の加工表面にDLC膜が形成されていてもよいし、絞り加工ダイと絞り加工パンチの一方にダイヤモンド膜が形成され、他方にDLC膜が形成されていてもよい。
特に、金型間の寸法管理や、金型間の破損被害の抑制の観点からは、絞り加工ダイと絞り加工パンチの一方の表面処理膜がダイヤモンド膜である場合には、他方はダイヤモンド膜以外の表面処理膜であることがより好ましい。その場合特に、より高い加工負荷がかかる絞り加工ダイにダイヤモンド膜が形成されることがより好ましい。なおダイヤモンド膜は少なくともダイ部の上記した加工表面に形成されていればよいが、他の部分に形成されていてもよい。
上記ダイヤモンド膜の厚みとしては、5μm〜30μmであることが好ましい。厚みが5μm未満の場合には、得られたダイヤモンド膜にクラックが入りやすく剥離しやすくなるため、好ましくない。一方で、厚みが30μmを超える場合にはダイヤモンド膜の内部応力が高まり剥離しやすくなるため、好ましくない。
一方で、絞り加工ダイと絞り加工パンチの一方の表面処理膜がダイヤモンド膜である場合、他方に形成される表面処理膜の厚みについては、0.1〜10μm程度が好ましく、特にダイヤモンド膜の厚みよりも薄くなるように設定されることが好ましい。
これは以下の理由によるものである。すなわち、例えば絞り加工パンチに形成された表面処理膜の厚みを、絞り加工ダイに形成したダイヤモンド膜の厚みより薄くした場合、薄膜であるために成膜による寸法誤差をそもそも小さくすることができる。これに加えて、表面処理膜のビッカース硬さがダイヤモンド膜に比べて軟質であるため、公知のダイヤモンド砥粒を用いることで容易に研磨が可能であり加工コストを低減できるばかりでなく、目的の金型寸法を高精度に仕上げることができる。
<しごき工程>
次に、本実施形態におけるしごき工程について説明する。
本実施形態におけるしごき工程としては、しごき工程における成形加工部材(例えばしごきダイやしごきパンチ)の加工表面の硬さがHv1500〜12000であることを特徴とする。
図面を用いて本実施形態のしごき工程をより具体的に説明すると、図2(a)、(b)に示すように、例えば、ダイヤモンド膜20が加工表面に形成されたしごきダイDと、ダイヤモンド膜とは異なる表面処理膜30が加工表面に形成されたしごきパンチPを用い、クーラントCが介在した状態で、ダイD及びパンチPの加工表面で浅絞りカップMをしごき加工する工程を含む。
その際、上記しごきダイDとしごきパンチPには、量産化に耐え得る程度の高い耐久性や耐摩耗性が必要とされる。また本実施形態においては後述のように、クーラントC中に含まれる油分の濃度は4.0体積%未満、あるいは上記クーラントCが水溶性クーラント又は沸点が300℃未満のクーラントであることが必要とされる。それゆえ、被加工部材(金属板10や浅絞りカップM)の傷つきや破断を避けるため等の理由で、しごきダイDとしごきパンチPの加工表面の硬さがHv1500〜12000とすることが必要とされる。
上記において特に、しごきダイDとしごきパンチPの加工表面のいずれかに、炭素膜が形成されていることが好ましい。炭素膜としては例えば、ビッカース硬度においてHv8000〜12000程度のダイヤモンド膜やビッカース硬度においてHv3000〜7000程度のDLC膜等を挙げることができる。これら炭素膜の形成方法には特に制限はなく、例えば化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法等を適用することが可能である。
なお、本実施形態においては特に、ダイヤモンド膜が、金型の雄型と雌型のいずれかの加工表面に形成されていることが好ましい。すなわち、図2において示されるように、硬度の高いダイヤモンド膜20が、しごきダイDの加工表面に形成されており、しごきパンチPの加工表面にダイヤモンド膜とは異なる表面処理膜30が形成されていてもよいし、図示はしないがその逆でもよい。
なお、一般的にはしごきダイの方がしごきパンチよりも過酷な加工負荷を受けることが多いので、特にしごきダイの加工表面にダイヤモンド膜20が形成されることが好ましい。
上記ダイヤモンド膜20の厚みとしては、5μm〜30μmであることが好ましい。厚みが5μm未満の場合には、得られたダイヤモンド膜にクラックが入りやすく剥離しやすくなるため、好ましくない。一方で、厚みが30μmを超える場合にはダイヤモンド膜の内部応力が高まり剥離しやすくなるため、好ましくない。
一方で、上記ダイヤモンド膜20とは異なる表面処理膜30の厚みとしては、0.1〜10μm程度が好ましく、特にダイヤモンド膜20の厚みよりも薄くなるように設定されることが好ましい。
これは以下の理由によるものである。すなわち、例えば表面処理膜30の厚みをダイヤモンド膜20の厚みより薄くした場合、薄膜であるために成膜による寸法誤差をそもそも小さくすることができる。
本実施形態においてダイヤモンド膜20の表面粗さRa(JIS B−0601−1994)は、0.12μm以下であることが、金型に高い滑り特性を付与できる観点から好ましい。さらに、Raを0.08μm以下とした場合、被加工物(例えば缶体)の外観を鏡面或いは鏡面に近い平滑面とすることができ、より好ましい。
この場合、プレス加工時におけるダイヤモンド膜20と被加工材との間の摩擦係数μは0.1よりも低いことが好ましい。
次に、本実施形態のしごき工程において用いられるクーラントについて説明する。
本実施形態において用いられるクーラントとしては、その成分中に油分を含有してもよいが、後の洗浄工程で容易に洗浄可能であること、あるいは、洗浄工程を設けない場合にも、乾燥により除去できることが好ましい。従って、本実施形態におけるクーラントは、(a)含まれる油分が4.0体積%未満であること、(b)水溶性クーラントであること、又は(c)沸点が300℃未満のクーラントであること、の少なくともいずれかを満たすものであることが好ましい。
(a)含まれる油分が4.0体積%未満のクーラントである場合において、油分としては一般的な水溶性金属加工油剤組成物に含まれる油分が挙げられる。当該油分は、天然油分であってもよいし、合成油分であってもよい。
天然油分としては例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油が挙げられる。また、脂肪酸グリセライドも天然油分として挙げることができる。
合成油分としては例えば、ポリオレフィン等の炭化水素系、脂肪酸エステル等のエステル系、ポリアルキレングリコール等のエーテル系、パーフルオロカーボン等の含フッ素系、リン酸エステル等の含リン系、ケイ酸エステル等の含ケイ素系、等を挙げることができる。
上記に挙げた油分としては、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
具体的には例えば、JIS K 2241に規定されるA1種(エマルション型)又はA2種(ソリュブル型)の水溶性金属加工油剤等を挙げることができる。また、JIS規格においては規定されていないが、いわゆるシンセティックタイプ(鉱物油を含まず、化学合成された油分を含む金属加工油剤)と呼ばれる水溶性金属加工油剤を挙げることもできる。
本実施形態において、上記油分のクーラント中における濃度としては、4.0体積%未満であることが好ましい。
この場合、まず4.0体積%以上の含有量の油分を含む原液を調製して、これを使用時まで保管し、使用する際にこの原液を水等の溶媒で希釈して油分の濃度が4.0体積%未満であるクーラントを調製してもよい。すなわち、油分のクーラント中における濃度は、使用状態において4.0体積%未満であればよい。
次に本実施形態において使用されるクーラントにおいて(b)水溶性クーラントは、水に可溶であるクーラントと定義される。水溶性クーラントを用いることにより、薬剤(酸、アルカリ、界面活性剤等)を用いずに製缶後に付着したクーラント成分を除去することが可能となるため好ましい。なお、本実施形態においては、例えば後述する洗浄工程において水で洗浄を行った場合、後工程の印刷において塗料のムラ、はじき等の不良が発生しない程度に潤滑剤成分やクーラント成分が除去されることが好ましい。
また本実施形態において(c)沸点が300℃未満のクーラントとして、具体的には揮発性潤滑油として市販されている無洗浄油を適用することが可能である。沸点が300℃未満のクーラントが好ましい理由としては、製缶工程後に、付着したクーラント成分を比較的低温で気化させて除去することが可能となるためである。なお、設備コストやエネルギーコスト等の観点から、クーラントの沸点は250℃未満であることがさらに好ましい。
なお本実施形態のクーラントとしては、上記した(a)、(b)、(c)のクーラントを混合して使用してもよい。また、(a)、(b)、(c)のうち複数の性質を兼ね備えたクーラントを使用してもよい。
また本実施形態におけるクーラント中は、(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかという特徴を損なわない限りにおいて、添加物を含んでいてもよい。例えば、水、界面活性剤、さび止め剤、極圧添加剤、カップリング剤、非鉄金属防食剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、キレート剤、着色料、香料、等を適宜含んでいてもよい。
特に本実施形態のクーラントは、防腐剤及び/又は防錆剤を含んでいることが好ましい。これは以下の理由によるものである。
すなわち、水溶性のクーラントの場合、細菌やカビ等の微生物の栄養源となる物質が多く含有されている。そのため、希釈後のクーラントが腐敗しやすい、また、加工の設備のうちクーラントと接触する箇所に錆が発生しやすいという問題がある。
なお本実施形態において「防腐剤及び/又は防錆剤」とは、「防腐剤」と「防錆剤」のいずれかを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよいことを意味する。さらには、「防腐」と「防錆」のいずれかの性質を有する物質を使用してもよいし、「防腐」と「防錆」の両方の性質を兼ね備える物質を使用してもよいことをも意味する。
クーラントの腐敗が進行すると、クーラントの機能である潤滑機能や冷却機能が低下するばかりでなく、腐敗による悪臭も問題となる。また錆が発生した場合には、被加工物に対する傷つき等の問題が発生する。
また腐敗や錆の発生によってクーラント交換の頻度が高くなることによるコスト面の問題も発生する。さらに、カビや錆が発生した場合、ポンプ等の循環系統においてパイプ詰まりの原因にもなる。
防腐剤及び/又は防錆剤としては、(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかというクーラントの特徴を損なわない限りにおいて、公知の物質を適宜使用することが可能である。例えば、ホルムアルデヒド放出型やフェノール系の物質、あるいは、アミン系の物質を適宜添加してもよい。
以上、上述したように本実施形態の製造方法においては、しごき加工時におけるクーラントが、(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は(c)沸点が300℃未満のクーラント、の少なくともいずれかである場合、製缶時の成形不良等を抑制することができ、結果的に成形安定性を向上させることが可能である。
また本実施形態においては上述のようなクーラントを使用するため、後述の洗浄工程において、環境負荷の低い薬剤や水での洗浄が可能となる。あるいは、洗浄工程そのものを省略することも可能となるため、環境への負荷を軽減することが可能となる。
また、洗浄後の排水処理が容易となったことにより、排水をリサイクルして循環させる場合、リサイクル率を向上させることが可能となり、コストや環境への負荷を軽減することが可能となる。
なお、本実施形態のしごき工程においては、しごき率(板厚減少率)が10%以上となるように前記金属材をしごいて缶胴部を形成するしごき加工の工程を含むことが好ましい。なお、しごき加工の工程は複数回含まれていてもよく、各回のしごき率を変化させてもよい。例えば、初期のしごき工程のしごき率を10%以上とし、最終のしごき工程のしごき率を30%以上としてもよい。
なお本実施形態におけるしごき率は、しごき加工前の板厚t0、加工後の板厚(缶底から60mm部分)をt1としたとき、下記式で表される。
しごき率(%)=100×(t0−t1)/t0
<洗浄工程>
次に、本実施形態における洗浄工程について説明する。
本実施形態における洗浄工程は、上述の絞り工程及びしごき工程において得られた有底筒状体に対して洗浄剤を接触させ、前記有底筒状体の内側表面及び外側表面に付着する潤滑剤及びクーラントを除去する工程である。なお、本実施形態において洗浄工程は必須の工程ではなく、適宜省略することも可能である。
洗浄剤を有底筒状体に接触させる方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、洗浄剤中に有底筒状体を浸漬してもよいし、スプレーやシャワーにより洗浄剤を吹き付けてもよい。
本実施形態において使用される洗浄剤としては、公知のアルカリ洗浄剤、酸洗浄剤、中性洗浄剤を使用することもできるし、水を使用することもできる。
アルカリ洗浄剤としては例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機化合物の水溶液が挙げられる。
また、上記酸洗浄剤としては例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ化水素酸、等の無機酸等の水溶液を挙げることができる。
なおアルカリ洗浄剤や酸洗浄剤を用いて洗浄処理を行った後は、公知のように、金属板表面に残存する洗浄剤を除去するために、水洗処理を行なった後、エアーブロー若しくは熱空気乾燥等の方法にて、金属板表面の水分を除去することが好ましい。
なお、アルカリ洗浄剤や酸洗浄剤等を使用する場合の洗浄剤の洗浄成分の濃度としては、2.0〜5.0重量%であることが、洗浄性を保ちつつ、コストや環境負荷を抑制する観点からは好ましい。
本実施形態における洗浄工程においては、使用される洗浄剤の温度が70℃未満であることが好ましい。すなわち本実施形態においては、絞り加工前における金属板(平板)表面への加工油や潤滑剤の塗布工程を省略することが可能であり、また、しごき工程におけるクーラントとして(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は(c)沸点が300℃未満のクーラント、の少なくともいずれかが使用される。そのため、洗浄剤の温度が70℃未満であっても、有底筒状体の内側表面及び外側表面の油分を充分に除去することが可能となる。
一方で、洗浄剤の温度の下限としては、室温(例えば20℃)であることが好ましい。一般的に金属プレス加工において加工油等を洗浄する際には、洗浄性を高めるために洗浄剤が加熱して使用される。しかしながら、洗浄剤を加熱するためには相応のエネルギー資源が消費される。そのため本実施形態においては、コスト抑制や環境負荷軽減の観点では、洗浄剤を使用する際には、洗浄性が低下しない限りにおいて、室温で使用することが可能である。
さらに本実施形態においては、コスト抑制や環境負荷軽減の観点から、洗浄工程における洗浄時間が45秒以下であることが好ましい。すなわち本実施形態においては、絞り工程における潤滑剤、及び、しごき工程におけるクーラントが共に水溶性及び/又は沸点が300℃未満であるため、洗浄時間が45秒以下であっても、有底筒状体の内側表面及び外側表面を充分に洗浄することが可能である。
なお、洗浄時間の下限は特にないが、実用上問題無く洗浄ができ、且つ排水処理性に問題のない洗浄時間の下限としては例えば10秒超であることが好ましい。また、洗浄の方法としてスプレーやシャワーにより洗浄剤を吹き付ける場合には、一缶当たり、洗浄剤噴出量は60〜70ml/秒であることが好ましい。
本実施形態の洗浄工程においては、洗浄剤により有底筒状体の内側表面及び外側表面に付着した潤滑剤及びクーラントを除去する。そのため、洗浄前後の有底筒状体の重量には変化が生じるが、当該重量変化は100mg/m未満であることが好ましい。
すなわち本実施形態においては、製缶工程(絞り工程及びしごき工程)を経た後で有底筒状体の内側表面および外側表面に付着する潤滑剤やクーラントの量を少なくすることが可能となる。
よって、洗浄前後の有底筒状体の重量変化を100mg/m未満とすることで、洗浄工程において発生する排水中に含まれる潤滑剤及びクーラントの量をも減少することが可能となり、環境負荷を軽減することが可能となった。
<乾燥工程>
本実施形態において、洗浄工程は適宜省略することが可能であることは上述したとおりである。その場合、有底筒状体の内側表面及び外側表面に付着した潤滑剤及びクーラントを除去するために、乾燥工程を設けることが好ましい。
すなわち本実施形態においては、絞り加工前における金属板(平板)表面への加工油や潤滑剤の塗布工程を省略することが可能であり、また、しごき工程におけるクーラントとして(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は(c)沸点が300℃未満のクーラント、の少なくともいずれかが使用される。
このうち、絞り加工前における金属板(平板)表面への加工油や潤滑剤の塗布を行わず、且つ、しごき工程におけるクーラントとして(c)沸点が300℃未満のクーラントを用いた場合には、製缶工程(絞り工程及びしごき工程)後に洗浄工程を設けない場合でも、乾燥工程により有底筒状体の内側表面及び外側表面に付着した潤滑剤及びクーラントを除去することが可能である。
本実施形態の乾燥工程においては、具体的には、例えば乾燥オーブン中で約150〜300℃、30〜180秒間加熱することにより、有底筒状体の内側表面及び外側表面に付着した潤滑剤及びクーラントを除去することが可能である。
<浄化工程>
次に、本実施形態における浄化工程について説明する。本実施形態における有底筒状体の製造方法は、図3に示すように、上述したしごき工程及び/又は洗浄工程において排出された排水を浄化する浄化工程を含んでいてもよい。
すなわち上述したように、本実施形態の有底筒状体の製造方法において、しごき工程においてはクーラントを介してしごき加工が行われる。また、洗浄工程においては洗浄剤を用いて有底筒状体の表面に付着したクーラント成分を除去する。そのため、両工程においては大量の排水が発生する。
従って本実施形態における有底筒状体の製造方法においては、図3に示すように、上記排水を浄化する浄化工程をさらに含んでいてもよい。このとき、後述する理由から、上記のように浄化された排水は、浄化水として再度しごき工程や洗浄工程に再利用(リサイクル)されることが好ましい。
本実施形態における有底筒状体の製造方法では、絞り加工前における金属板(平板)表面への加工油や潤滑剤の塗布工程を省略することが可能であることは上述したとおりである。また、しごき工程におけるクーラントとして(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は(c)沸点が300℃未満のクーラント、の少なくともいずれかが使用されることは上述したとおりである。
そのため、しごき工程及び/又は洗浄工程において発生する排水は、比較的簡易な方法で浄化することが可能である。そして上記の浄化工程を経ることにより、さらなる環境負荷の低減やコスト削減を図ることが可能となる。
上記浄化工程における排水の浄化方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。すなわち、濾過、中和、煮沸、沈殿、浮上、生物処理、UV殺菌等の方法を適宜組み合わせて浄化を行うことが可能である。また、凝集剤、消毒薬、殺菌剤等を適宜混入してもよい。
以上、本実施形態の有底筒状体の製造方法によれば、以下の効果を奏することができる。
(A)絞り工程における成形加工部材の加工表面の硬さを所定の値以上とするため、絞り加工前における金属板(平板)表面への潤滑剤塗布工程を省略することができる。
(B)しごき工程における成形加工部材の加工表面の硬さを所定の値以上とするため、しごき工程におけるクーラントとして(a)含まれる油分が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は(c)沸点が300℃未満のクーラント、の少なくともいずれかを満たすクーラントを使用することができる。
(C)上記の結果、洗浄工程における洗浄剤における洗浄成分の濃度を低くし、洗浄剤の加熱を抑制し、及び/又は洗浄時間を短くすることができる。また、洗浄工程を省略することも可能となる。
(D)結果的に、環境負荷の軽減やコスト削減を図ることが可能となる。
また、本実施形態において上記浄化工程をさらに実行すれば、以下の効果をさらに奏することができる。
(E)しごき工程及び/又は洗浄工程において排出される排水の浄化処理が容易とすることができる。
(F)排水を浄化して再利用(リサイクル)することが可能となり、コストや環境への負荷を軽減することが可能となる。
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下に示す方法により、内容積350mLの絞りしごき缶(DI缶)を製造した。
まず、アルミニウム合金板(JIS H 4000 3104材、0.28mm)を用意した。上記アルミニウム合金板の両面への潤滑剤の塗布は行わなかった。
次いで、上記アルミニウム合金板を絞り成形機で、直径160mmの円盤状に打ち抜いた後、直ちに直径90mmのカップ体となるように絞り成形を行った。なお、絞り加工時の成形加工部材の加工表面硬さは、表1に示すとおりとした。
得られたカップ体をボディーメーカ(缶体製造機)に搬送し、直径66mmの形状になるように再絞り成形を行った後、クーラントを用いて、直径66mm、高さ130mmの形状となるようにしごき加工を行った。
この際のしごきダイとしては、その表面に平均厚さ約10μmのダイヤモンド膜が形成されたものを使用した。ダイヤモンド膜の表面硬さは、表1に示すとおりとした。
また、使用したしごきパンチとしては、その表面に厚さ0.5μmのダイヤモンドライクカーボン膜が形成されたものを使用した。ダイヤモンドライクカーボン膜の表面硬さは、表1に示すとおりとした。
しごき加工の際のしごき率は表1に示すとおりとした。クーラント中における油分の含有量は表1のとおりとした。クーラント中には、公知の界面活性剤、さび止め剤、極圧添加剤、防腐剤を添加した。
得られたDI缶に対し、内側表面及び外側表面に付着する潤滑剤及びクーラント成分を除去するための洗浄を行った。洗浄の際に使用した洗浄剤としては、硫酸(濃度:3.0%)を使用した。また、洗浄の際の洗浄剤の温度は50℃とし、洗浄時間は30秒とした。
(実施例2)
しごき加工時のしごきダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
しごき加工時のしごきダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
しごき加工時のしごきパンチの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
しごき加工中に使用したクーラントの油分の含有量は表1に示すものとした。それ以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
しごき加工中に使用したクーラントは、表1に示す沸点を有するものとした。それ以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
洗浄の際に使用した洗浄剤としては純水を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
しごき加工中に使用したクーラントは、表1に示す沸点を有するものとし、絞りしごき加工後の洗浄の工程に替えて、乾燥(300℃30秒)を行った以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
絞り加工工程及びしごき加工工程におけるパンチとダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
絞り加工工程及びしごき加工工程におけるパンチとダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
絞り加工工程及びしごき加工工程におけるパンチとダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例9と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
絞り加工工程及びしごき加工工程におけるパンチとダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
絞り加工工程の前に水溶性潤滑油を塗布した点、絞り加工工程における絞りパンチと絞りダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした点、以外は実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例14)
絞り加工工程における絞りパンチの加工表面硬さを表1に示すとおりとした点以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例15)
絞り加工工程の前に水溶性潤滑油を塗布した点以外は実施例16と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例16)
絞り加工工程及びしごき加工工程におけるパンチの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例17)
しごき加工工程におけるパンチの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は、実施例15と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
絞り加工時の絞りダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様に行ったが、絞り工程において破胴した。結果を表1に示す。
(比較例2)
絞り加工時の絞りダイと絞りパンチの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様に行ったが、絞り工程において破胴した。結果を表1に示す。
(比較例3)
しごき加工時のしごきダイとしごきパンチの加工表面硬さを表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
絞り加工工程の前に水溶性潤滑油を塗布した点以外は比較例3と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
絞りしごき加工後の洗浄の工程に替えて、乾燥(300℃30秒)を行った以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
絞り加工工程及びしごき加工工程におけるパンチとダイの加工表面硬さを表1に示すとおりとし、しごき加工中に使用したクーラントの油分の含有量は表1に示すものとした。それ以外は実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例7)
しごき加工中に使用したクーラントの油分の含有量は表1に示すものとした。それ以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
絞り加工工程の前に水溶性潤滑油を塗布した点以外は比較例5と同様に行った。結果を表1に示す。
[評価]
上記方法により得られたDI缶について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示す。
[しごき加工性]
(i)しごき加工時における破断の有無、(ii)得られたDI缶の開口部におけるブリードスルー(黒すじ)、(iii)缶胴部外面の傷、の3項目について目視で観察した。上記4項目のいずれにも問題がなく缶表面が鏡面であるものを◎、いずれにも問題がなく優れているものを○、いずれかに問題は発生するが実用に耐えられるものを△、いずれかに問題があり実用に耐えられないものを×とした。
[印刷適性]
得られたDI缶に対して洗浄を行った後の缶表面に水性塗料を塗布した後、公知の方法により焼き付けを行い、塗料のムラを評価した。目視により塗料のムラがないものを○、塗料のはじき等によりムラが発生したものを×とした。なお、塗料のムラが発生した場合、絞り工程又はしごき工程において使用した潤滑剤及び/又はクーラントが残存していると評価できる。
[排水処理性]
上記洗浄液を用いてDI缶に対しスプレー洗浄し水洗した後の排水をビーカーに収容して、公知の方法により化学的酸素要求量(COD)を測定した。CODが200ppm未満であれば○(排水処理性が良い)、200ppm以上であれば×(排水処理性が悪い)と判断した。結果を表1に示した。
Figure 2021154355
本発明の有底筒状体の製造方法によれば、しごき工程において使用されるクーラントについて、(a)含有される油分の濃度が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかを満たすものである場合においても、従来と同様又はそれ以上のしごき率の有底筒状体を得ることが可能となった。
本実施形態においては、上記のクーラントを使用しているため、洗浄工程において洗浄剤を使用せずに、水または湯を用いて洗浄することが可能となり得るものである。
あるいは、洗浄工程を設けずに、製缶加工後に、缶体に付着した潤滑剤・クーラント等を乾燥させることにより除去し得るものである。
また、しごき工程及び洗浄工程において生じた排水を浄化する浄化工程を経て、再度しごき工程や洗浄工程に再利用(リサイクル)できることが明らかである。
本発明は、加工性や成形安定性を維持しつつ環境に配慮する金属プレス加工の分野において、好適に利用することが可能である。
絞り加工ダイ
絞り加工パンチ
しごきダイ
しごきパンチ
C クーラント
M 浅絞りカップ
10 金属板
20 ダイヤモンド膜
30 表面処理膜
上記観点より本発明者らが試行錯誤した結果、本実施形態においては、絞り加工における成形加工部材の加工表面の硬さを、ビッカース硬度において絞りダイの加工表面の硬さがHv1500超〜12000であり、絞りパンチの加工表面の硬さがHv1000〜12000とした場合、過酷な絞り加工・しごき加工が施される場合においても、耐久性や耐摩耗性、金属板の傷付き等の観点において、問題がないことを見出したものである。
Figure 2021154355

Claims (6)

  1. 有底筒状体の製造方法であって、
    加工表面の硬さがHv1500超〜12000の絞りダイ及びHv1000〜12000の絞りパンチを用いて金属板を絞り加工する絞り工程と、
    加工表面の硬さがHv1500〜12000の成形加工部材を用いて、クーラントを介して被加工部材をしごき加工して有底筒状体とするしごき工程と、を含み、
    前記クーラントが、(a)含有される油分の濃度が4.0体積%未満、(b)水溶性クーラント、又は、(c)沸点が300℃未満、の少なくともいずれかを満たす、
    ことを特徴とする、有底筒状体の製造方法。
  2. 前記有底筒状体がシームレス缶体である、請求項1に記載の有底筒状体の製造方法。
  3. 前記金属板がアルミニウム合金である、請求項1又は2に記載の有底筒状体の製造方法。
  4. 前記絞り工程における成形加工部材の加工表面、及び/又は前記しごき工程における成形加工部材の加工表面に炭素膜が形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有底筒状体の製造方法。
  5. 前記絞り工程前に、前記金属板の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程を含み、
    前記絞り工程における絞りダイの加工表面の硬さがHv1000〜12000である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の有底筒状体の製造方法。
  6. 前記しごき工程、又は前記しごき工程後の洗浄工程において排出された排水を浄化する洗浄工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有底筒状体の製造方法。
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WO2024004775A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 東洋製罐株式会社 缶容器

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