JP3367466B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電製
品、建築材料等の産業分野に好適な、表面の摺動性やプ
レス成形性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関す
る。 【0002】 【従来の技術】現在、溶融亜鉛めっき鋼板を自動車の外
装材として使用する場合には、めっき層とその上の塗膜
の密着性を向上させるために合金化溶融亜鉛めっき鋼板
がよく使われる。通常、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
母材を連続炉で予熱し、水素、窒素混合ガスからなる還
元性雰囲気中で焼鈍し、めっき浴温度近傍まで冷却した
後亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきし、その後再
加熱してめっき皮膜をFe−Zn合金化して製造され
る。不めっきを避けるために、還元性雰囲気の露点は−
20℃以下に調整される。 【0003】母材としては、従来低炭素Alキルド鋼が
用いられることが多かったが、近年その用途の拡大に伴
って深絞り性が要求されることが多くなり、IF鋼(In
terstitial Free 鋼)の使用が増加している。IF鋼
は、極低炭素鋼にTi、Nb等を添加し、鋼中に不可避
的に含有されるN、C等の固溶元素を炭化物や窒化物等
にして固定した材料であり、非時効で加工性が優れる特
長を有している。 【0004】極低炭素Ti添加鋼は、Al濃度を低くし
た亜鉛めっき浴を用いて溶融亜鉛めっきし合金化処理す
ると、低炭素Alキルド鋼板にめっきした場合に較べて
合金化速度が大きくなり、ζ相(FeZn13)が粗大な
柱状晶として形成されやすい。表面粗度が粗くなること
に加えて、ζ相は軟質な相であるので、プレス時の金型
との摺動性が低下しプレス割れやカジリが発生し易い。 【0005】一般に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板では亜
鉛めっき浴中のAl濃度を高くすることによってめっき
皮膜の耐パウダリング性や密着性が向上することが知ら
れている。しかしながら、めっき母材としてIF鋼を用
いた場合の合金化処理めっき皮膜表面には、めっき皮膜
が極めて薄くなった部分(ミクロ陥没)が発生しやす
い。ミクロ陥没はめっき皮膜とプレス時の金型との間の
摺動性を損ない、プレス割れやカジリが発生する原因と
なる。 【0006】このように従来技術にあっては具体的には
極低炭素Ti添加鋼をめっき母材として用いた場合、
(1)平滑な皮膜を得ることが困難であり、(2)成型
時の加工性が劣る、等の問題点を有している。 【0007】このような問題を解決するために以下に示
す技術が開示されている。特開平7−18401号公報
には、合金化溶融亜鉛めっき層の最表面の表面粗さの凹
部を3〜10μmとし、凸部を3μm以下とすることに
より、プレス成形性を維持しつつ塗装後の鮮映性を向上
させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。 【0008】特開平7−18402号公報には、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表層部に、深さ:2μm以
上、個数:200〜8200/mm2 、最高山頂から2
μm下での相対負荷長さ:30%〜90%を満足する凹
部が表面に形成されている、プレス成形性と塗装後鮮映
性を改善した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されてい
る。 【0009】特開平7−180018号公報には、Ra
が0.8μm以下の表面粗さのロールを用いて熱間圧延
鋼板を冷間圧延して得ためっき母材に、Alを0.10
〜0.25重量%含有するめっき浴を用いて溶融亜鉛め
っきして合金化処理し、Raが0.5μ以下の表面粗さ
のロールを用いて調質圧延する、塗装後鮮映性を有しプ
レス性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法が開示されている。 【0010】これらの技術はいずれもプレス時のめっき
皮膜表面にプレス油が保持されるミクロプールを形成す
ることによりプレス成形性を改善しようとするものであ
る。しかしながらこれだけでは安定して所望の平滑さを
有するめっき鋼板を得るのが困難なうえ、めっき表面に
プレス油のミクロプールを設けても摺動性の改善効果は
十分ではなかった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面の摺動性に関
する問題点を解決し、ミクロ陥没の発生を抑制したプレ
ス成形性に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する
ことである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、極低炭素
Ti添加鋼をめっき母材とし、Al濃度を高めためっき
浴を用いて製造する合金化溶融亜鉛めっき鋼板につい
て、表面の平滑さと摺動性の改善方法について種々研究
を重ねた結果、次のような知見を得た。 【0013】合金化処理時に母材表面の結晶粒界上で細
かい芯状のFe−Zn金属間化合物の集合体が急激に発
達する(バースト反応)。バースト反応の進行過程で
は、母材表面の結晶粒内上の未凝固Znが毛管現象によ
り引き寄せられてバースト部が成長し、合金化の進行と
ともにバースト部と結晶粒内上とでの膜厚差が増大して
ミクロ陥没が発達する。 【0014】優れたプレス成形性を得るためには、めっ
き厚さが平均値の50%に満たないミクロ陥没(以下、
単に「50%陥没部」とも記す)の発生比率を断面長さ
率で1〜10%とすることが重要である。 【0015】溶融亜鉛めっき浴に適量のMgを含有させ
ると、めっき浴のAl濃度を高めても、得られる合金化
亜鉛めっき皮膜のミクロ陥没の発生を抑制する効果があ
る。Mgを含有させることより、溶融亜鉛自身の表面張
力が低下し、毛管現象に基づくバースト部への引き寄せ
作用が抑制されるためと推測される。 【0016】めっき皮膜に含有されたMgは合金化処理
過程でAlよりも優先酸化し、めっき皮膜表層にAlと
同様の強固な酸化皮膜を形成する。このようにめっき皮
膜よりも硬質な酸化物を有することにより、金型とめっ
き皮膜間の摺動性が改善される。さらには、めっき皮膜
自体と金型との直接的な接触が防止されるので、めっき
皮膜と金型との間の凝着現象を防止することができ、プ
レス加工時のカジリ不良が抑制できる。 【0017】本発明はこれらの知見を基にして完成され
たものであり、その要旨は下記(1)および(2)に記
載のプレス成形性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に
ある。 【0018】(1)IF鋼を母材とし、化学組成が、重
量%で、Al:0.20〜0.50%、Fe:8〜15
%、Mg:0.01〜0.20%含有し、残部がZnお
よび不可避的不純物からなるめっき皮膜を備える合金化
溶融亜鉛めっき鋼板であって、その亜鉛めっき皮膜は、
めっき厚さが平均めっき厚さの50%に満たないミクロ
陥没を断面長さ率で1〜10%有し、かつめっき皮膜の
表面粗さが算術平均粗さRaで1.2μm以下であるこ
、およびめっき皮膜表層に、Zn酸化物およびFe酸
化物に加えて、金属Alおよび金属Mgの合計重量で1
〜50mg/m 2 に相当する量のAl酸化物およびMg
酸化物を有することを特徴とするプレス成形性に優れた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 【0019】 【0020】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて詳細に説明する。なお、以下に記す金属元素の%表
示は重量%を意味する。 【0021】(a)めっき皮膜の化学組成 Al:めっき皮膜のAl含有量が高くなるほど、めっき
皮膜の耐パウダリング性や密着性が向上する。めっき皮
膜のAl含有量が0.20%に満たない場合にはめっき
皮膜の密着性が良くない。好ましくは0.25%以上で
ある。しかしながら、Al含有量が0.50%を超える
と、50%ミクロ陥没部の過度の発生を抑制するのが困
難になるうえ、合金化速度が低下しすぎるため、所定の
合金化を実現するために合金化温度を高めたり合金化時
間を長くする必要が生じ、操業性が低下する。このた
め、めっき皮膜のAl含有量は0.50%以下に限定す
る。好ましくは0.40%以下である。 【0022】Fe:めっき皮膜のFe含有量が少なすぎ
るとめっき皮膜表層にζ相が残存する可能性が高く、摺
動性が低下してプレス割れが発生するおそれがある。こ
れを避けるためめっき皮膜のFe含有量は8%以上とす
る。好ましくは9%以上である。しかしながら、Fe含
有量が15%を超えると硬質で脆い合金化相が増してプ
レス成形時にパウダリング(めっき皮膜が粉状に砕かれ
て剥離する現象)が発生し、プレスの作業性や製品品質
を損なう。これを避けるためにめっき皮膜のFe含有量
は15%以下に限定する。好ましくは12%以下であ
る。 【0023】Mg:Mgは、合金化処理時に未凝固の亜
鉛のバースト部への引き寄せ作用を弱くし、ミクロ陥没
の発生を抑制する作用がある。この効果を得るためにめ
っき皮膜にはMgを0.01%以上含有させる。好まし
くは0.03%以上である。 【0024】Mg含有量が0.20%を超えると耐パウ
ダリング性が著しく低下する。これは、Mgを過度に含
有させるとめっき皮膜が硬くなるためであろうと推測さ
れる。従ってMg含有量は0.20%以下とする。好ま
しくは0.10%以下である。 【0025】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっ
き皮膜の化学組成は、上記に規定する以外はZnおよび
不可避的不純物からなる。 【0026】(b)ミクロ陥没 本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜は、め
っきの厚さが平均値の50%に満たないミクロ陥没(5
0%陥没部)を、断面長さ率で1〜10%有している。 【0027】図1は、めっき皮膜の断面を模式的に表し
たものである。本発明が規定する50%陥没部の断面長
さ率は、図1に示すように、鋼板表面に垂直な切断面上
で、平均めっき厚さHの50%の位置でめっき面に平行
に引いた長さLの線分と交わるめっき表面のくぼみ部分
の長さDi を求め、線分Lに対するDi の和の比率(Σ
i /L)を算出する。このような測定を圧延方向に対
して任意の方向に切断した垂直切断面について実施し、
その算術平均値として算出する。 【0028】50%陥没部が断面長さ率で10%を超え
て存在すると、めっき皮膜の表面粗度が過度に大きくな
り、摺動性が低下してプレス成形時に割れが生じる原因
になる。このため、50%陥没部の断面長さ率は10%
以下とする。好ましくは、5%以下である。他方、断面
長さ率が1%に満たない場合にはめっき鋼板表面でのプ
レス潤滑油の保持性が不足し、プレス成形時に潤滑が不
足して型カジリやプレス割れが生じるおそれが増す。こ
のため50%陥没部の断面長さ率は1%以上とする。 【0029】(c)めっき皮膜の表面粗さ プレス成形性を改善する上で、ミクロ陥没の発生を抑制
することは表面平滑性向上に有効に働く。しかしながら
前述したように、合金化処理温度を低くし過ぎると、ζ
相が発達し、巨大な柱状晶がめっき皮膜表層に形成さ
れ、表面粗度が大きくなり、プレス成形性がそこなわれ
ることがある。従ってプレス成形性を損なわないために
めっき皮膜の表面粗さを、JIS−B0601で定義さ
れる算術平均粗さ(Ra)で、1.2μm以下とする。
好ましくは、0.9μm以下である。 【0030】(d)めっき皮膜表層の酸化物 Al酸化物およびMg酸化物:Al酸化物とMg酸化物
はいずれもめっき皮膜表面の硬さを増し、めっき皮膜の
金型に対する凝着現象を抑制し、摺動性を改善してプレ
ス成形性を向上させる作用がある。 【0031】このため、めっき皮膜表層には、合金化処
理過程で形成されるZn−Fe酸化物に、Al酸化物と
Mg酸化物を、酸化物中のAlおよびMgの合計量とし
て1mg/m2 以上含有させるのがよい。好ましくは5
mg/m2 以上である。 【0032】しかしながらAl酸化物およびMg酸化物
の量が過度に多くなると化成処理性が劣化する。このた
め、これらの酸化物の量は、前述の酸化物中のAlおよ
びMgの合計量として50mg/m2 以下とするのがよ
い。より好ましくは25mg/m2 以下である。 【0033】ZnとFeの酸化物については、Mg酸化
物やAl酸化物により大気中の酸素が遮断されるために
形成量が抑制され、摺動性への寄与は小さくなるが、微
量なりとも含有される。 【0034】本発明のめっき鋼板の母材は成形性が優れ
るので極低炭素系の冷間圧延鋼板が望ましい。めっき皮
膜の付着量は特に限定するものではないが、付着量制御
の容易さやパウダリング防止などの観点から片面当たり
25〜80g/m2 が好適である。更に好適な範囲は3
0〜70g/m2 である。めっきを施す面は片面でも両
面でも構わない。めっき皮膜の上に、化成処理その他の
通常おこなわれる後処理を施しても構わない。 【0035】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法は任意であるが、例えば以下に述べる方法が好適で
ある。 【0036】めっき母材は焼鈍材でもよいが、溶融亜鉛
めっき前に、連続焼鈍などの方法で再結晶焼鈍を施すの
が効率的である。溶融亜鉛めっきは、洗浄や表面研削な
どが施された後、通常おこなわれている方法で加熱、還
元され、母材が未焼鈍材の場合には焼鈍され、めっき浴
の温度近傍まで冷却され、所定の化学組成のめっき浴に
浸漬されて亜鉛めっきされる。 【0037】亜鉛めっき浴は、Al:0.05〜0.3
%、Mg:0.01〜0.2%を含有し、残部がZnお
よび不可避的不純物からなるめっき浴を用いるのがよ
い。溶融亜鉛めっきされた後は通常の方法に従って所定
の合金化処理温度に加熱され、所定の時間保持して合金
化された後冷却される。合金化条件も特に限定すること
はなく例えば、通常使用される480〜550℃で5〜
30秒間の熱処理条件でよい。加熱手段についても輻射
加熱、高周波誘導加熱、通電加熱等何れの手段によって
もよい。合金化処理が施された後は調質圧延して材質や
表面性状を調整するのがよい。レベリング等による平坦
形状の調整、さらには化成処理その他の通常おこなわれ
る後処理を施しても構わない。 【0038】 【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成からなる厚
さ0.70mmの冷間圧延鋼板から得た幅100mm、
長さ200mmの切り板を母材とし、以下に述べる方法
で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を作製した。 【0039】 【表1】 【0040】母材の切り板を75℃の10%NaOH水
溶液を用いて脱脂洗浄し、水素20体積%、残り窒素か
らなる露点−40℃の雰囲気中で820℃で60秒間焼
鈍した。焼鈍後、460℃近傍まで冷却し、Al:0.
10〜0.4%、Mg:0.22%以下を含有し、残部
がZnおよび不可避的不純物からなる460℃の亜鉛め
っき浴に2秒間浸漬した後、高圧空気を吹き付けてめっ
き付着量を片面当たり60g/m2 に調整した。その
後、常温まで冷却し、500℃の塩浴に浸漬して15〜
30秒間保持する合金化処理をおこない、さらに伸び率
0.8%での調質圧延を施した。これらの鋼板から得た
試験片について以下の調査をおこなった。 【0041】めっき皮膜の化学組成:上記鋼板から25
mmφの試料片を採取し、市販のインヒビターを0.5
容積%含有した10容積%の塩酸水溶液でめっき皮膜を
溶解し、得られた溶解液を誘導結合高周波プラズマ分光
分析法(ICP法)で分析してめっき皮膜の化学組成を
求めた。 【0042】50%陥没部の断面長さ率:試験片の表面
に垂直な切断面を研磨し、その研磨面を走査型電子顕微
鏡によって倍率500倍で観察し、めっき皮膜の平均厚
さの50%の位置で、めっき皮膜表面に平行な長さ50
0μmの仮想した線分の間に観察される陥没部の長さを
測定し、それらの和の500μmに対する比率として算
出した。このような測定を圧延方向に対して任意の方向
に切断した5個の切断面について実施し、その平均値を
求めた。 【0043】耐パウダリング性:上記鋼板から直径60
mmの円盤を打ち抜き、動粘度10.5mm2 /秒の市
販の防錆油を2g/m2 塗油し、ポンチ直径:30m
m、ダイス直径:35.4mm、ダイ肩半径:3mm、
しわ押さえ力:500kgfで円筒絞り試験を行った。
得られた成形品に付着している防錆油を溶剤を用いて除
去した後、粘着テープを用いて成形品の内外周の剥離し
ているめっき皮膜片を除去し、その後の成形品の重量を
測定し、円筒絞り前の重量との差からめっき皮膜のパウ
ダリング量(成形品1ヶ当たりのめっき皮膜の剥離重
量)を測定した。 【0044】めっき皮膜表面の摩擦係数:図2に示す高
面圧U溝成形試験装置を用いて摩擦係数を測定した。図
2で、ダイ4の間隔Hd :32mm、ダイの肩半径
d :5mm、ポンチ2の幅Hp :30mm、ポンチの
長さ:60mm、ポンチの肩半径Rp :5mmである。
ブランクホルダー3には、半径5mmの半円柱状のしわ
押さえ5が設けられている。ポンチ2としわ押さえ3に
はそれぞれ独立に圧力が調節可能な加圧装置(図示せ
ず)が設けられている。これらの工具の表面は#600
のエメリー紙を用いて、互いに直交する2方向に研磨し
た。幅:30mm、長さ:270mmの試験片に上述の
防錆油を2g/m2 の割合で塗布して試験装置にセット
し、しわ押さえ力Pを750〜1500kgfの範囲で
変更してU字形に成形した。ポンチの圧入速度は60m
m/分とした。ポンチ圧入時の最大荷重Fmax.を求め、
摩擦係数μをμ=dFmax./(2dP)により求めた。
μが0.22以下の場合を良好と判断した。 【0045】めっき密着性:長さ:100mm、幅:2
0mmの試験片2枚の長さ方向の一端同士の片面に、重
ね代:12.5mm、接着剤の塗布厚さ:約250μm
として、一液型構造用エポキシ系接着剤を塗布して接着
し、長さ方向を引っ張り方向とする接着試験片を作製し
た。この接着試験片を引張り速度:1mm/分で引張り
試験し、めっき皮膜を母材表面から剥離させ、剥離に要
した最大荷重を接合部の面積で除して剪断引張強度を求
め、剪断引張強度が140kg/m2 以上であるか接着
剤層内で凝集破壊した場合を良好としてめっき皮膜の密
着性を評価した。 【0046】化成処理性:試験片を脱脂し、市販の処理
液を用いて燐酸亜鉛系の化成処理をおこなった。化成皮
膜の均一性をSEMにより観察し下記の基準で化成処理
性を評価した。 【0047】 ○:均一に皮膜が形成されている。 △:皮膜が形成されていない箇所がある。 ×:全く皮膜が形成されていない。 これらの測定結果を表2に示した。 【0048】 【表2】 【0049】表2に示されているように、めっき皮膜の
化学組成が本発明の規定する範囲内にあり、50%陥没
部の断面長さ率と酸化物中のAlとMgの合計量が本発
明の規定する範囲内である試番2〜4、7、10、1
1、14および15はいずれも良好な耐パウダリング性
と摺動性を示し、母材に対するめっき皮膜の密着性は良
好であった。めっき皮膜のAl含有量が低すぎた試験番
号1では、めっき皮膜の密着性が良くなかく、せん断引
張強度が低かった。めっき皮膜のAl含有量が高すぎた
試験番号5では、ミクロ陥没が多く表面粗さが粗くて摺
動性が良くなかった。めっき皮膜のFe含有量が少なす
ぎた試験番号6も摺動性が良くなかった。Fe含有量が
多すぎた試験番号8およびMg含有量が多すぎた試験番
号13は耐パウダリング性が良くなかった。Mgを含有
しなかった試験番号9はミクロ陥没が多く表面粗さが粗
くて摺動性が良くなかった。Mg含有量が多すぎMg酸
化物が多すぎた試験番号14は、化成処理性が良くなか
った。10%NaOH水溶液を用いてアルカリ脱脂した
ためにAl酸化物とMg酸化物の合計量が不足した試験
番号16は摺動性が良くなかった。酸化皮膜が容易に破
壊されたためであろうと推測される。 【0050】 【発明の効果】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
めっき皮膜表面に硬質な酸化物を含有し、さらに適度な
表面粗度を有しているので、プレス成形時の潤滑油の保
持性が優れ、鋼板の摺動性が良好であり、過酷な加工を
受けても割れやカジリが発生しにくく、耐パウダリング
性にも優れているので、プレス加工用素材として好適で
ある。
【図面の簡単な説明】 【図1】IF鋼を母材とした合金化溶融亜鉛めっき鋼板
のめっき皮膜の凹凸状況の概念を示す断面図である。 【図2】摺動性評価用の高面圧U溝成形装置の概念図で
ある。 【符号の説明】 1・・・鋼板、2・・・ポンチ、3・・・ブランクホル
ダー、4・・・ダイ、5・・・押さえビード、10・・・
50%陥没部、H・・・めっき厚さ平均値。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−43757(JP,A) 特開 平10−226862(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 IF鋼を母材とし、化学組成が、重量%
    で、Al:0.20〜0.50%、Fe:8〜15%、
    Mg:0.01〜0.20%含有し、残部がZnおよび
    不可避的不純物からなるめっき皮膜を備える合金化溶融
    亜鉛めっき鋼板であって、その亜鉛めっき皮膜は、めっ
    き厚さが平均めっき厚さの50%に満たないミクロ陥没
    を断面長さ率で1〜10%有し、かつめっき皮膜の表面
    粗さが算術平均粗さRaで1.2μm以下であること
    およびめっき皮膜表層に、Zn酸化物およびFe酸化物
    に加えて、金属Alおよび金属Mgの合計重量で1〜5
    0mg/m 2 に相当する量のAl酸化物およびMg酸化
    物を有することを特徴とするプレス成形性に優れた合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板。
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