JP2017136605A - 缶の製造方法 - Google Patents

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政幸 武井
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友明 飯村
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Hajime Jitsusue
一 実末
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Abstract

【課題】缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施すときに、しわが発生することを顕著に抑制して、高品位な缶を安定して製造できること。【解決手段】ネッキング工程において、缶10の縦断面視で、スピンフローネッキング加工予定部24と、スピンフローネッキング加工部8と、の交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の内側では、スピンフローネッキング加工部8を拡径させるように成形し、交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側では、スピンフローネッキング加工部8を縮径させるように成形し、スピンフローネッキング加工部8の直線状部分と、直線状部分よりも缶軸O方向の缶10の外側に位置する凹曲線状部分との接続部Cを通り缶軸Oに直交する仮想直線L、交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側に位置するスピンフローネッキング加工予定部24及びスピンフローネッキング加工部8に囲まれた領域Aの面積を、3mm2以下とする。【選択図】図7

Description

本発明は、飲料等の内容物が充填・密封される2ピース缶等の缶体に用いられる、有底筒状の缶の製造方法に関するものである。
飲料等の内容物が充填・密封される缶体として、缶胴(ウォール)と缶底(ボトム)を有する有底筒状の缶と、該缶の開口端部に巻き締められる円板状の缶蓋と、を備えた2ピース缶が知られている。上記缶は、具体的にはDI缶であり、「DI」とはDrawing&Ironingの略称である。
このような缶体に用いられる缶は、アルミニウム合金材料の板材から打ち抜いた円板状のブランクに、カッピング工程(絞り工程)及びDI工程(絞りしごき工程)を施すことにより、有底筒状に形成される。また、DI工程を経た缶における缶胴の開口端部には、ネッキング工程において縮径加工が施され、フランジング工程においてフランジ部が形成される。このフランジ部に対して、缶蓋の外周縁部が巻き締められる。
例えば、下記特許文献1の缶の製造方法では、ネッキング工程において、缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施している。スピンフローネッキング加工は、缶を缶軸回りに回転させつつ、缶胴の開口端部を内部と外部から一対のロールで挟んで絞ることにより、該開口端部を先端(開口)側へ向けて縮径させる加工である。
スピンフローネッキング加工を行う場合、予め、缶胴の開口端部を複数段に縮径する加工、すなわちプリネック加工が施される。プリネック加工が施されることにより、スピンフローネッキング加工時の加工量を小さく抑えて加工精度を確保するようにしている。
特開平10−58070号公報
しかしながら、上記従来の缶の製造方法においては、下記の課題を有していた。
缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施したときに、しわが発生することがあった。このようなしわの発生は、缶の外観品位を低下させてしまうことから好ましくない。
なお近年では、CO排出量削減等環境保護の観点から、使用する原材料の削減による、アルミニウム缶の軽量化の要請が強くなっている。具体的には、0.1g以上(約1%以上)の缶重量削減を目指し、耐圧強度の低下や生産性を阻害せず、さらに流通ピンホールに強い軽量缶の開発が必要とされる。一缶あたり、0.1gの削減でも、アルミニウム缶市場年間180億缶に適用できれば、大きな環境負荷低減が達成できる。
缶の軽量化を進める上では、ブランクの重量を削減することが必要であるが、これにともない缶胴の開口端部の厚さも薄くなる。このため、スピンフローネッキング加工時において、缶胴の開口端部にしわがより発生しやすくなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施すときに、しわが発生することを顕著に抑制して、高品位な缶を安定して製造できる缶の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、板材を打ち抜いて円板状のブランクを形成する板材打ち抜き工程と、前記ブランクを絞り加工してカップ状体に成形するカッピング工程と、前記カップ状体を絞りしごき加工して、缶胴と缶底を備える有底筒状の缶に成形するとともに、前記缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工予定部を形成するDI工程と、前記缶胴の開口端部の内部及び外部に金型を嵌合し、前記スピンフローネッキング加工予定部に、缶軸方向に沿って前記缶の外側へ向かうに従い段階的に縮径するプリネック加工を施した後、前記スピンフローネッキング加工予定部を前記缶胴の開口端部の内部と外部から一対のロールで挟んで絞ることにより、缶軸方向に沿って前記缶の外側へ向かうに従い漸次縮径するスピンフローネッキング加工を施すネッキング工程と、を備える缶の製造方法であって、前記ネッキング工程では、缶軸方向に沿う前記缶の縦断面視で、プリネック加工した前記スピンフローネッキング加工予定部と、該スピンフローネッキング加工予定部をスピンフローネッキング加工して形成されたスピンフローネッキング加工部とを、スピンフローネッキング加工の前後で互いに交差するように成形するとともに、前記スピンフローネッキング加工予定部と、前記スピンフローネッキング加工部と、の交差部よりも缶軸方向に沿う前記缶の内側では、前記スピンフローネッキング加工予定部に対して、前記スピンフローネッキング加工部を拡径させるように成形し、前記交差部よりも缶軸方向に沿う前記缶の外側では、前記スピンフローネッキング加工予定部に対して、前記スピンフローネッキング加工部を縮径させるように成形し、前記スピンフローネッキング加工部には、前記交差部を通る直線状部分と、前記直線状部分よりも缶軸方向の前記缶の外側に位置する凹曲線状部分と、が含まれ、前記直線状部分と前記凹曲線状部分との接続部を通り缶軸に直交する仮想直線、前記交差部よりも缶軸方向に沿う前記缶の外側に位置する前記スピンフローネッキング加工予定部及び前記スピンフローネッキング加工部に囲まれた領域の面積を、3mm以下とすることを特徴とする。
本発明の缶の製造方法では、ネッキング工程において、プリネック加工したスピンフローネッキング加工予定部を、スピンフローネッキング加工してスピンフローネッキング加工部とする際に、缶の縦断面視において、スピンフローネッキング加工の前後で、スピンフローネッキング加工予定部の形状と、スピンフローネッキング加工部の形状とが互いに交差するように成形する。
具体的には、缶の縦断面視において、スピンフローネッキング加工予定部と、スピンフローネッキング加工部との交差部よりも、缶軸方向に沿う缶の内側(缶の下方)では、スピンフローネッキング加工予定部に対してスピンフローネッキング加工部を拡径させるように成形し、前記交差部よりも、缶軸方向に沿う缶の外側(缶の上方)では、スピンフローネッキング加工予定部に対してスピンフローネッキング加工部を縮径させるように成形する。
ここで、前記交差部よりも缶軸方向に沿う缶の内側では、スピンフローネッキング加工予定部を「拡径」してスピンフローネッキング加工部を形成しているため、該スピンフローネッキング加工部には、しわが発生しにくい。
これに対し、前記交差部よりも缶軸方向に沿う缶の外側では、スピンフローネッキング加工予定部を「縮径」してスピンフローネッキング加工部を形成するため、該スピンフローネッキング加工部には、しわが発生しやすくなることが考えられる。
そこで本発明では、缶の縦断面視において、スピンフローネッキング加工部に含まれる直線状部分と、該直線状部分よりも缶軸方向の缶の外側に位置する凹曲線状部分と、の接続部を通り缶軸に直交する仮想直線、前記交差部よりも缶軸方向に沿う缶の外側に位置するスピンフローネッキング加工予定部及びスピンフローネッキング加工部により囲まれる領域(缶の縦断面視で略三角形状をなす領域)の面積を、3mm以下に小さく抑えている。
これにより、前記交差部よりも缶軸方向に沿う缶の外側において、スピンフローネッキング加工予定部を縮径してスピンフローネッキング加工部を成形する際の加工量(縮径加工する体積)を、小さく抑えることができる。その結果、しわの発生を顕著に抑制することができる。
以上より本発明によれば、缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施すときに、しわが発生することを顕著に抑制して、高品位な缶を安定して製造することができる。
また、上記缶の製造方法において、前記板材打ち抜き工程では、前記ブランクの質量を9.8〜11.4gとし、前記ブランクの厚さを0.225〜0.245mmとし、前記DI工程では、前記缶胴のうち、缶軸方向に沿う前記開口端部と前記缶底との間に位置して最も薄肉とされた部分の厚さを、0.091〜0.102mmとし、前記スピンフローネッキング加工予定部の厚さを、0.153〜0.162mmとすることが好ましい。
上記構成では、ブランクの質量が、9.8〜11.4gと小さく抑えられている。このため、このブランクから製造される缶の金属質量(印刷・塗装を除く質量)も、例えば9.8〜10.8gと小さく抑えられる。
具体的にブランクは、カッピング工程、DI工程及びネッキング工程を経て缶に成形されるが、缶の製造においてはそれ以外の工程として、缶胴の開口端部をトリミング加工するトリミング工程も含まれる。トリミング工程の際には、ブランク質量を維持しつつ有底筒状に成形された缶の開口端部から、凹凸波形状の凸部(耳)を含めて例えば0.6g程度が除去される。つまり、トリミング加工により除去される端材の質量に応じて、ブランクの質量よりも、製造された缶の金属質量が少なくなる場合がある。
なお一般に、従来のブランクの質量は11.8g以上であり、該ブランクから製造された缶の金属質量は11.2g以上である。つまり上記構成によれば、従来の缶に比べて、0.4〜1.4g(少なくとも0.4g以上)もの軽量化を実現することができる。
また、このように缶を軽量化しつつも、ブランクの厚さ(作製された缶の缶底の厚さに相当)を、0.225〜0.245mmと小さく抑えているため、その分、缶胴の厚さを大きく確保することができる。
具体的には、ブランクの厚さが0.225mm以上であるので、作製された缶の缶底の肉厚が十分に確保されて、ボトムグロースやバックリングを抑制することができる。また、ブランクの厚さが0.245mm以下であるので、缶を確実に軽量化できる。なお、ブランクの厚さを薄くした分、ブランク平面視における表面積を大きくした場合には、缶胴の肉厚を容易に大きく確保することができ、好ましい。
ここで、ボトムグロース及びバックリングについて説明する。
一般に、缶の缶底には、缶軸方向に沿う缶の内側へ向けて凹むドーム部と、ドーム部の外周縁部に連なり、缶軸方向に沿う缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部(リム)と、が形成されている。
ボトムグロースとは、缶底の環状凸部が、缶軸方向に沿う缶の外側(缶の下方)へ突出しつつ、缶軸に直交する径方向の外側へ向けて変形する現象である。ボトムグロースが発生すると、缶の高さ(缶軸方向の全長)が安定せず、製造・出荷の不具合の原因になるなどして好ましくない。また、バックリングとは、缶底のドーム部が反転して缶軸方向の外側に突出する現象である。バックリングが発生すると、缶を製品として出荷することができない。
本発明の上記構成によれば、缶の軽量化を図りつつも缶底の厚さが十分に確保されて、ボトムグロースやバックリングを抑制できる。
また、缶胴のうち、缶軸方向に沿う開口端部と缶底との間に位置して最も薄肉とされた部分(以下、缶胴最薄部と省略)の厚さを0.091〜0.102mmとして、缶胴を薄肉化しつつも十分に強度を確保している。
具体的には、缶胴最薄部の厚さが0.091mm以上であるので、製造時や流通時における缶胴のピンホールの発生を抑制することができる。また、缶のコラム強度を、例えば1200N以上まで大きく確保することができる。このようにコラム強度が高められることにより、特に缶蓋の巻き締め時における缶の缶軸方向の耐圧性能を安定して確保することが可能になる。また、缶胴最薄部の厚さが0.102mm以下であるので、缶の軽量化を確実に実現できる。
また、缶胴の開口端部におけるスピンフローネッキング加工予定部の厚さを、0.153〜0.162mmとして、肉厚を十分に大きく確保している。
具体的には、スピンフローネッキング加工予定部の厚さが0.153mm以上であるので、スピンフローネッキング加工時に、回転する缶を内部と外部から一対のロールで挟んで絞る際、スピンフローネッキング加工予定部(スピンフローネッキング加工部)が成形荷重に耐えきれず予期せぬ形状に変形するようなことを、抑制できる。また、缶径がばらつくことを抑制できる。さらに、スピンフローネッキング加工時において、缶胴の開口端部にしわが発生することを効果的に防止することができる。
また、スピンフローネッキング加工予定部の厚さが0.162mm以下であるので、缶の軽量化を確実に図ることができる。
このように、本発明の上記構成によれば、缶を軽量化しつつ、缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施すときに、缶径がばらついたり、予期せぬ形状に変形したり、しわが発生したりすることを顕著に抑制して、高品位な缶を安定して製造できる。
また、上記缶の製造方法において、前記DI工程では、前記スピンフローネッキング加工予定部の厚さと、前記缶胴のうち、缶軸方向に沿う前記開口端部と前記缶底との間に位置して最も薄肉とされた部分の厚さと、の差を、0.063mm以下にすることが好ましい。
上記構成によれば、スピンフローネッキング加工予定部の厚さと、缶胴最薄部の厚さとの差を、0.063mm以下としたので、スピンフローネッキング加工時において、缶胴に作用する負荷(の最大値)を小さく抑えることができ、缶胴がねじれて変形するような事態を防止できる。
具体的に、スピンフローネッキング加工時には、回転する缶に内部と外部から一対のロールが接触して、回転力に対する負荷(抵抗)が作用するが、上記差が0.063mm以下であることにより、回転力に対する負荷を分散して、局所的に大きな応力がかかることを抑制することができる。従って、上述のように薄肉化された缶胴であっても、スピンフローネッキング加工時にねじれ変形を起こすようなことが抑制される。
また、上記缶の製造方法において、前記DI工程では、前記缶底に、缶軸方向に沿う前記缶の内側へ向けて凹むドーム部と、前記ドーム部の外周縁部に連なり、缶軸方向に沿う前記缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、を成形し、缶軸方向に沿う前記缶の縦断面視で、前記環状凸部の外周壁に、前記缶胴に連なり、凸曲線状をなす凸曲面部と、前記凸曲面部の前記缶胴とは反対側の端縁に連なり、凹曲線状をなす凹曲面部と、を成形し、前記凸曲面部と前記凹曲面部の共通接線と、缶軸に直交する仮想直線と、の間に形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度であるチャイム角度を、31〜36°とすることが好ましい。
上記構成によれば、チャイム角度を31〜36°としたので、缶胴の印刷領域を大きく確保しつつ、缶のコラム強度を高めることができる。
具体的には、チャイム角度が31°以上であるので、環状凸部の外周壁の傾きを、寝かせ過ぎずに適度に立たせて、缶のコラム強度を大きく確保することができる。また、チャイム角度が36°以下であるので、環状凸部の外周壁のうち、缶胴に連なる端縁(凸曲面部の上端)の位置が、環状凸部の突端(缶底のノーズ部)から缶軸方向に大きく離間し過ぎることを抑えて、缶胴の印刷領域を大きく確保することができる。
また、上記缶の製造方法において、前記板材打ち抜き工程では、前記板材として、質量%が、Si:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜2.0%、Cr:0〜0.1%、Zn:0〜0.5%、Ti:0〜0.15%を含有し残部が不可避的不純物を含むアルミニウムからなるアルミニウム合金を用いることが好ましい。
缶の材料として上記構成のアルミニウム合金を用いることにより、缶の各種性能(耐ピンホール性能、コラム強度、缶径の寸法安定性、しわの発生抑止性能等)を高めることができる。
また、上記缶の製造方法において、前記板材打ち抜き工程では、前記板材として、アフターベーキング耐力が、266〜304N/mmのアルミニウム合金を用いることが好ましい。
アフターベーキング耐力とは、Al合金素材の評価方法であり、Al合金の板材を210℃×10分間加熱した後の引張り試験による耐力である。
上記構成のように、アフターベーキング耐力が266N/mm以上であることにより、缶の耐圧強度(バルジ強度)や缶胴の耐ピンホール性能を十分に確保することができる。また、アフターベーキング耐力が304N/mm以下であることにより、板材の硬度を適度に低く抑えて柔軟性を付与することができ、缶胴の開口端部におけるしわの発生を顕著に抑制できる。
また、上記缶の製造方法において、前記DI工程では、前記缶底に、缶軸方向に沿う前記缶の内側へ向けて凹むドーム部と、前記ドーム部の外周縁部に連なり、缶軸方向に沿う前記缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、を成形し、前記ネッキング工程の後工程として、前記環状凸部の内周壁にボトムリフォーム加工して、缶軸に直交する径方向の外側へ向けて凹む凹部を成形するボトムリフォーム工程を備えることが好ましい。
上記構成のように、ボトムリフォーム加工(BPR加工)によって、缶底の環状凸部の内周壁に、径方向外側へ向けて凹む凹部を形成することにより、缶の耐圧強度(バルジ強度)を顕著に高めてボトムグロースやバックリングを効果的に抑制することができる。また耐圧強度が高められるため、缶の材料の選定幅(選択の自由度)が広がる。
本発明の缶の製造方法によれば、缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工を施すときに、しわが発生することを顕著に抑制して、高品位な缶を安定して製造することができる。
本発明の一実施形態に係る缶の製造方法により製造される缶の一例を示す縦断面図である。 缶底の要部を拡大して示す縦断面図である。 缶の製造方法を説明するフローチャートである。 缶の製造方法のうち、板材打ち抜き工程、カッピング工程、DI工程及びトリミング工程を説明する図である。 DI工程において、カップ状体の底壁に、缶の缶底の環状凸部(外周壁)が成形される過程を説明する図である。 缶の各部の厚さ(肉厚)を説明する図である。 ネッキング工程における、スピンフローネッキング加工前のスピンフローネッキング加工予定部の形状と、スピンフローネッキング加工後のスピンフローネッキング加工部の形状とを比較する縦断面図であり、(a)本実施形態を表す図、(b)参考例を表す図、である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る缶10及びその製造方法について説明する。
図1において、本実施形態の缶10は、飲料等の内容物が充填・密封される缶体(2ピース缶)に用いられるものである。缶体は、有底筒状の缶10と、該缶10の開口端部3aに巻き締められる円板状の缶蓋(不図示)と、を備えている。この缶10は、具体的にはDI缶であり、「DI」とはDrawing&Ironingの略称である。
なお、本実施形態の缶10は、缶胴外径/缶蓋外径を表す一般的な呼び名(当業者間における公称)でいうところの、211/204径缶に用いられるものであるが、これに限定されるものではなく、それ以外の例えば211/206径缶等に用いられてもよい。また、それよりも缶の外径が細い204/200径缶や、204/202径缶等に適用してもよい。
また、本実施形態の缶10は、内容物の容量が略350mlとされた、いわゆる350ml缶である。
図1に示されるように、缶10は、円筒状をなす缶胴(ウォール)3と、概ね円板状をなす缶底(ボトム)4と、を備えている。
缶胴3の中心軸及び缶底4の中心軸は、互いに同軸に配置されており、本実施形態では、これらの共通軸を缶軸Oという。
また、缶軸Oが延在する方向(缶軸O方向)のうち、缶10の外部から内部へ向かう方向を缶軸O方向に沿う缶10の内側といい、缶軸O方向のうち、缶10の内部から外部へ向かう方向を缶軸O方向に沿う缶10の外側という。なお、本実施形態では、缶軸O方向に沿って缶胴3の開口端部3aから缶底4へ向かう方向を下方、缶底4から缶胴3の開口端部3aへ向かう方向を上方ということがある。
また、缶軸Oに直交する方向を径方向といい、径方向のうち、缶軸Oに接近する向きを径方向の内側といい、缶軸Oから離間する向きを径方向の外側という。
また、缶軸O回りに周回する方向を周方向という。
また、本実施形態でいう「凹」、「凸」、「凹む」、「突出する」とは、特に説明を行わない限り、缶10の外面(缶10の外部に露出する表面)における凹凸形状を表している。
また、図1及び図2に示される缶10の縦断面視において、後述する各構成要素の説明に用いる「曲線(凹曲線・凸曲線)」、「直線」、「接線」とは、特に説明を行わない限り、この縦断面視で缶10の前記外面における各種の線を表している。
図1において、缶胴3における上端部は、缶10の外部に開口する開口端部3aとなっている。内容物は、この開口端部3aを通して缶10内に充填される。図1に示される缶10は、後述する缶の製造方法におけるフランジング工程を経たものであり、缶胴3の開口端部3aには、上方に向かって縮径されたネック部8と、ネック部8の上方に位置するとともに、上方に向かって拡径されたフランジ部9と、が形成されている。
缶胴3のうち、ネック部8及びフランジ部9が形成された開口端部3aは、該開口端部3a以外の部位よりも小径とされている。後述するように本実施形態では、このネック部8を、ネッキング工程のスピンフローネッキング加工後の形状を指して、スピンフローネッキング加工部8という場合がある。
また、缶胴3における下端部は、缶底4により閉じられている。缶胴3の外径は、例えば65〜67mmである。
図1及び図2において、缶底4には、缶軸O上に位置するとともに、上方(缶軸O方向に沿う缶10の内側)へ向けて凹むドーム部5と、該ドーム部5の外周縁部に連なり、下方(缶軸方向に沿う缶10の外側)へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状凸部(リム)7と、が形成されている。
缶底4の構成要素のうち、環状凸部7について説明する。
環状凸部7は、この缶10が正立姿勢(缶胴3の開口端部3aが上方を向く姿勢、図1を参照)となるように例えばテーブル等の上面(載置面)Sに載置されたときに、該上面Sに接するノーズ部(接地部)13と、該ノーズ部13の径方向内側(図2における右方)に位置する内周壁(カウンターシンク)14と、該ノーズ部13の径方向外側(図2における左方)に位置する外周壁(ヒール)15と、を備える。
ノーズ部13は、環状凸部7の下端縁(環状凸部7における缶軸O方向に沿う缶10の外側の端縁)に位置している。
外周壁15は、缶胴3の下端部に連なっている。また外周壁15は、ノーズ部13を介して内周壁14の径方向外側に隣接配置されている。図1及び図2に示される缶軸O方向に沿う缶10の縦断面視において、外周壁15は、缶胴3の下端部から下方(缶軸O方向に沿う缶10の外側)に向かうに従い漸次径方向の内側へ向けて傾斜して形成されている。
図2において、外周壁15は、上端部が缶胴3の下端部に接続するとともに凸曲面状をなしており、下端部が内周壁14に接続するとともに凸曲面状をなしており、上端部と下端部との間に位置する中間部が凹曲面状をなしている。
缶胴3の下端部と外周壁15の上端部、外周壁15の上端部と中間部、外周壁15の中間部と下端部、及び、外周壁15の下端部(径方向内側の端部)と内周壁14の下端部(径方向外側の端部)はそれぞれ、図2に示される缶10の縦断面視で、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
図2に示される縦断面視で、外周壁15の上端部は、径方向外側及び下方へ向けて(つまり外径側・斜め下方へ向けて)凸となる曲線状(凸曲線)に形成されており、この上端部が、缶胴3に連なる外凸曲面部(凸曲面部)18とされている。
この縦断面視において、缶10の周壁のうち、外凸曲面部18がなす上記凸曲線の曲率半径の中心を通り缶軸Oに垂直な仮想平面(不図示)を基準として、該仮想平面の下方が缶底4とされ、上方が缶胴3とされている。
図2の縦断面視で、外周壁15の中間部は、径方向内側及び上方へ向けて(つまり内径側・斜め上方へ向けて)凹となる曲線状(凹曲線)に形成されており、この中間部が、外凸曲面部18の缶胴3とは反対側の端縁に連なる外凹曲面部(凹曲面部)19とされている。
この縦断面視において、外凸曲面部18と外凹曲面部19の共通接線CTと、缶軸Oに直交する仮想直線VLと、の間に形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度であるチャイム角度θが、31〜36°とされている。
図2の縦断面視で、外周壁15の下端部は、径方向外側及び下方へ向けて(つまり外径側・斜め下方へ向けて)凸となる曲線状(凸曲線)に形成されており、この下端部が、内周壁14に連なる第1凸曲面部11とされている。この縦断面視で、缶10の外面における第1凸曲面部11の曲率半径R11は、1.8〜2.3mmである。
なお、図2の縦断面視で、外周壁15の上端部(外凸曲面部18)の曲率半径は、下端部(第1凸曲面部11)の曲率半径R11よりも大きくされており、具体的には、例えば曲率半径R11の1.5〜3倍程度である。
また、外周壁15の中間部(外凹曲面部19)の曲率半径は、上端部(外凸曲面部18)の曲率半径よりも大きくされている。
内周壁14は、ドーム部5の径方向外側の端部(外周縁部)に連なっている。また内周壁14は、ノーズ部13を介して外周壁15の径方向内側に隣接配置されている。図1及び図2に示される缶軸O方向に沿う缶10の縦断面視において、内周壁14は、全体としては缶軸O方向に沿うようにノーズ部13から立設されている。
内周壁14は、下方部分(下半分)が外周壁15に接続するとともに凸曲面状をなしており、上方部分(上半分)がドーム部5の外周縁部に接続するとともに凹曲面状をなしている。
内周壁14の上端部とドーム部5の下端部(外周縁部)、内周壁14の上方部分と下方部分、及び、内周壁14の下端部(径方向外側の端部)と外周壁15の下端部(径方向内側の端部)とはそれぞれ、図2に示される缶10の縦断面視で、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
図2に示される縦断面視で、内周壁14の下方部分は、径方向内側へ向けて凸となる曲線状(凸曲線)に形成されており、この下方部分が、外周壁15に連なる第2凸曲面部12とされている。この縦断面視で、缶10の外面における第2凸曲面部12の曲率半径R12は、0.8〜1.0mmである。
本実施形態の例では、この縦断面視において、第1凸曲面部11と第2凸曲面部12の共通接線が、缶軸Oに直交してノーズ部13を通る仮想直線VLと一致している。
図2の縦断面視で、内周壁14の上方部分は、径方向の外側へ向けて凹む凹部1とされている。具体的にこの縦断面視において、内周壁14の上方部分は、径方向外側へ向けて凹となる曲線状(凹曲線)に形成されており、この上方部分が、ドーム部5に連なる第1凹曲面部(凹部)1とされている。この縦断面視で、缶10の外面における第1凹曲面部1の曲率半径R1は、0.8〜1.2mmである。
図2に示される縦断面視で、第1凹曲面部1の曲率半径R1の中心と、ノーズ部13と、の間の缶軸O方向の距離hは、2.0〜2.8mmである。より好ましくは、距離hは、2.0〜2.4mmである。
なお、本実施形態では、第1凹曲面部1の曲率半径R1の中心と、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1において最も径方向の外側に位置する部分(最深部)と、の缶軸O方向の位置が略同じとされている。従って、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1において最も径方向の外側に位置する部分と、ノーズ部13と、の間の缶軸O方向の距離も、上記距離hと同じく2.0〜2.8mmであり、より好ましくは、2.0〜2.4mmである。
またこの縦断面視で、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1における最も径方向の外側に位置する部分と、環状凸部7における第1凹曲面部1よりも下方(缶軸O方向に沿う缶10の外側)に位置する部分(つまり内周壁14の下方部分)の、最も径方向の内側に位置する部分と、の間の径方向の距離dが、0.8〜1.4mmである。
つまり、上記距離dとは、図2の縦断面視において、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1の径方向の外端部(最深部)と、第2凸曲面部12の径方向の内端部(最頂部)と、の径方向の距離である。
缶底4の構成要素のうち、ドーム部5について説明する。
ドーム部5は、缶軸O上に位置するドームトップ16と、ドームトップ16の径方向外側に接続する第2凹曲面部2と、このドーム部5の径方向外側の端部(外周縁部)に配置されるとともに、内周壁14の第1凹曲面部1と上記第2凹曲面部2とを接続するテーパ部17と、を備える。
図2に示される縦断面視で、ドームトップ16は、缶軸O上に位置するとともに上方(缶軸O方向に沿う缶10の内側)へ向けて凹む曲線状をなす第1ドームトップ部21と、第1ドームトップ部21の径方向外側に連なり、上方及び径方向外側へ向けて(つまり外径側・斜め上方へ向けて)凹む曲線状をなすとともに、該第1ドームトップ部21の曲率半径よりも小さな曲率半径とされた第2ドームトップ部22と、を備える。
つまり本実施形態のドームトップ16は、複数の凹曲面(縦断面視で凹曲線)が組み合わされて形成されており、具体的には図2の縦断面視において、第1ドームトップ部21の曲率半径が例えば60mmであり、第2ドームトップ部22の曲率半径が例えば35mmである。
ただしこれに限定されるものではなく、この縦断面視においてドームトップ16は、上方へ向けて凹む単一の円弧で形成されていてもよい。この場合、ドームトップ16の曲率半径は、例えば48mmである。
また、図2の縦断面視においてドームトップ16が、3つ以上の凹曲線を組み合わせて形成されていてもよい。
図2に示される縦断面視で、第2凹曲面部2は、前記外径側・斜め上方へ向けて凹む曲線状に形成されており、また第2凹曲面部2の曲率半径R2は、ドームトップ16の曲率半径よりも小さくされている。具体的に、この縦断面視で、缶10の外面における第2凹曲面部2の曲率半径R2は、3.0〜5.0mmである。
図2の縦断面視において、テーパ部17は、第1凹曲面部1及び第2凹曲面部2に接する直線状をなしている。またこの縦断面視で、テーパ部17は、第2凹曲面部2の外周縁部(下端部)から径方向外側へ向かうに従い漸次下方へ向けて傾斜して形成されている。
図2に示される縦断面視で、ドーム部5におけるドームトップ16と第2凹曲面部2、及び、第2凹曲面部2とテーパ部17は、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。また、ドームトップ16の第1ドームトップ部21と第2ドームトップ部22は、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
また、ドーム部5の外周縁部(下端部)に位置するテーパ部17と、内周壁14の上端部に位置する第1凹曲面部1は、この縦断面視で、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
次に、図3〜図7を参照して、アルミニウム合金材料の板材から有底筒状の缶10を製造する方法の一例を説明する。
図3に示されるように、缶10は、板材打ち抜き工程、カッピング工程(絞り工程)、DI工程(絞りしごき工程)、トリミング工程、印刷工程、塗装工程、ネッキング工程、ボトムリフォーム工程及びフランジング工程をこの順に経て、製造される。
[板材打ち抜き工程]
アルミニウム合金材料からなる鋳塊に熱間圧延、冷間圧延及び焼鈍を施して所定板厚の中間板材を形成した後に、該中間板材に冷間仕上げ圧延を施すことにより最終板厚とされた圧延材(板材)を用意する。
具体的には、缶10の材料である上記板材として、質量%が、Si:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜2.0%、Cr:0〜0.1%、Zn:0〜0.5%、Ti:0〜0.15%を含有し残部が不可避的不純物を含むアルミニウムからなるアルミニウム合金を用いる。
また板材として、アフターベーキング耐力が、266〜304N/mmのアルミニウム合金を用いる。アフターベーキング耐力とは、Al合金素材の評価方法であり、Al合金の板材を210℃×10分間加熱した後の引張り試験による耐力である。
この板材を打ち抜いて、図4(a)に示されるように、円板状のブランクWを形成する(打ち抜き加工する)。ブランクWは、その質量を9.8〜11.4gとし、厚さを0.225〜0.245mmとする。
なお、ブランクWは、Al合金材料の圧延材からなるため、異方性が大きくなりやすい(Al合金材料の異方性については、例えば特開2008−126249号公報を参照)。このため、後述するDI工程を経た缶W2(図4(c)を参照)の開口端部3aには、耳が発生する。耳とは、上記缶W2の開口端部3aに形成される凹凸波形状のうち、山の部分(凸部)である。耳は、DI工程後のトリミング工程において切断(トリミング)され、これにより、トリミング加工後の缶W3(図4(d)を参照)の開口端部3aの端縁の高さが、周方向に一定に揃えられる。
本実施形態では、DI工程において生じる耳の高さを抑える目的で、板材打ち抜き工程において、ブランクWを概ね円板状に形成しつつも、厳密には平面視において真円ではない非円形としている。具体的には、ブランクWの外周縁部のうち、耳が発生しやすい方向のカットエッジを予め小径に形成している。
これにより、DI工程で缶W2の開口端部3aに生じる耳の高さが小さく抑えられ、該開口端部3aの端縁の周方向の高さが揃いやすくなり、切断代(トリム代)を小さくすることができて、材料費を削減することが可能になる。
[カッピング工程(絞り工程)]
次に、図4(b)に示されるように、ブランクWをカッピングプレスによって絞り加工(カッピング加工)して、カップ状体W1に成形する。カップ状体W1は、ブランクWから後述する缶W2(トリミング加工前の缶10)へ移行する成形中間体である。
カップ状体W1は有底筒状をなしており、周壁と底壁とを有している。図4(b)及び図5(a)に示されるように、カップ状体W1の底壁には、該カップ状体W1のカップ軸(缶軸Oに相当)方向に沿うカップ状体W1の内側(上方)へ向けて突出する凸部23が形成されている。
凸部23は、カップ状体W1の底壁のうち、外周縁部よりも径方向内側(中央側)に位置しており、カップ軸に同軸の有頂筒状に形成されている。凸部23が、カップ状体W1の底壁のうち、該凸部23以外の部位(外周縁部)よりも上方に向けて突出する高さ(底壁の下面視では深さに相当)は、5.5〜6.5mmであることが好ましい。また、凸部23の直径は、製造される缶10の缶底4におけるノーズ部13の直径よりも大きくされる。
本実施形態の例では、図5(a)に示されるように、カップ状体W1のカップ軸方向に沿う縦断面視で、凸部23は台形状をなしている。またこの縦断面視で、凸部23の頂壁と周壁との接続部分は、径方向外側及び上方へ向けて(つまり外径側・斜め上方へ向けて)凸となる曲線状(凸曲線)に形成されている。この縦断面視において、凸部23の前記接続部分の曲率半径及びその周長は、製造される缶10の缶底4における外周壁15の外凹曲面部19の周長に対応して設定される。
[DI工程(絞りしごき工程)]
次に、DI加工装置によって、図4(c)及び図5(a)〜(d)に示されるように、カップ状体W1にDI加工(絞り(再絞り)しごき加工)を施して、缶胴3と缶底4を備える有底筒状の缶W2に成形する。
図5(a)において、DI加工装置は、再絞り加工するための断面円形の貫通孔を有する一枚の再絞りダイ31と、この再絞りダイ31と同軸に配列される断面円形の貫通孔を有する複数枚(例えば3枚)の不図示のアイアニング・ダイ(しごきダイ)と、アイアニング・ダイと同軸とされ、各アイアニング・ダイの貫通孔の内部に嵌合可能とされ、ダイの軸方向に移動自在とされる円筒状又は円柱状のパンチスリーブ32と、このパンチスリーブ32の外側に嵌合する円筒状のカップホルダースリーブ33と、を備えている。
DI加工装置による再絞り加工は、カップ状体W1をパンチスリーブ32と再絞りダイ31との間に配置し、カップホルダースリーブ33及びパンチスリーブ32を前進させて、カップホルダースリーブ33が、再絞りダイ31の端面にカップ状体W1の底壁を押し付けてカップ押し付け動作を行いながら(図5(a)を参照)、パンチスリーブ32がカップ状体W1を再絞りダイ31の貫通孔内に押し込むことにより行われる(図5(b)〜(d)を参照)。
このとき、パンチスリーブ32の先端が、カップ状体W1の凸部23の頂壁を押し込んでいくとともに、該パンチスリーブ32の先端外周部に位置する凹凸状の傾斜部32aに対して、凸部23における頂壁の外周縁部、頂壁と周壁との接続部分、及び周壁が、密着させられるように変形する。つまり、カップ状体W1の凸部23が、パンチスリーブ32の傾斜部32aに沿うように成形されていくため、パンチスリーブ32に対するカップ状体W1の径方向への移動が規制されるようになっている。
再絞り加工により、カップ状体W1よりも小径とされたカップ状体(不図示)が成形される。引き続き、このカップ状体を複数のアイアニング・ダイを順次通過させつつ徐々にしごき加工をして、カップ状体の周壁をしごいて該周壁を延伸させ、周壁高さを高くするとともに壁厚を薄くして、図4(c)に示される有底筒状の缶W2を成形する。この缶W2は、周壁がしごかれることで冷間加工硬化され、強度が高められる。
しごき加工が終了した缶W2は、パンチスリーブ32がさらに前方に押し出して底部(缶底4となる部分)をボトム成形金型に押圧することにより、この底部が上述したドーム形状に形成される。具体的に、このDI工程において缶底4には、缶軸O方向に沿う缶W2の内側へ向けて凹むドーム部5と、ドーム部5の外周縁部に連なり、缶軸O方向に沿う缶W2の外側へ向けて突出するとともに缶軸O回りの周方向に沿って延びる環状凸部7と、が成形される。
なお、DI工程では、図2に示される環状凸部7のうち、第1凹曲面部(凹部)1以外の部位が成形される。第1凹曲面部1については、後述するボトムリフォーム工程において成形される。
このDI工程では、環状凸部7の外周壁15に、外凸曲面部(凸曲面部)18と、外凹曲面部(凹曲面部)19とを成形するとともに、外凸曲面部18と外凹曲面部19の共通接線CTと、缶軸Oに直交する仮想直線VLと、の間に形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度であるチャイム角度θを、31〜36°とする。
またDI工程では、図6に示されるように、缶軸O方向に沿う缶W2の縦断面視で、缶胴3のうち開口端部3aの厚さを、該開口端部3a以外の部位の厚さよりも、厚肉に成形する。具体的に、缶胴3の外周面については、開口端部3aとそれ以外の部位とを面一に成形し、缶胴3の内周面については、開口端部3aがそれ以外の部位よりも径方向内側に配置されるように成形する。缶胴3の内周面の形状は、パンチスリーブ32の外周面の形状に対応して成形される。
図6に示される例では、缶胴3の開口端部3aが、缶胴3のうち開口端部3a以外の部位(開口端部3aよりも下方に位置する部位)から缶軸O方向に沿って缶W2の外側(上方)へ向かうに従い漸次肉厚が大きくなる肉厚変化部と、この肉厚変化部よりも上方に配置され、缶軸O方向に沿って肉厚が一定とされた肉厚一定部と、を有する。ただしこれに限定されるものではなく、例えば、図6の縦断面視で、缶胴3の開口端部3aの内周面が、上方へ向かうに従い段階的に複数回縮径させられていてもよい。
そして、DI工程において缶胴3の開口端部3aには、該開口端部3a以外の部位(開口端部3aよりも下方に位置する部位)から上方に向けて、スピンフローネッキング加工予定部24と、フランジ予定部25と、がこの順に成形される。
図示の例では、缶胴3の開口端部3aのうち、缶軸O方向に沿う缶W2の内側(下方)に位置するスピンフローネッキング加工予定部24と、缶軸O方向に沿う缶W2の外側(上方)に位置するフランジ予定部25とは、互いに肉厚が同一とされている。
スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTfは、0.153〜0.162mmとされる。
また、缶胴3には、缶軸O方向に沿う開口端部3aと缶底4との間に位置して最も薄肉とされた部分(以下、缶胴最薄部と省略する)26が形成されている。この缶胴最薄部26の厚さTwは、0.091〜0.102mmとされる。
また、スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTfと、缶胴最薄部26の厚さTwと、の差(Tf−Tw)が、0.063mm以下とされる。
また、缶底4の厚さTbは、ブランクWの厚さと同一であり、0.225〜0.245mmとされる。
本実施形態に含まれる缶W2の諸元の例を、下記表1に示す。なお、表1に示される「空缶質量(金属質量)」は、上記缶W2を後述するトリミング加工した後の、缶W3の金属質量(印刷・塗装を除く金属単体としての質量)を表している。
Figure 2017136605
図4(c)に示されるように、DI工程を経た缶W2の開口端部3aの端縁は、周方向に向かうに従い上下に波打つような凹凸形状(凹凸波形状)に形成されている。なお、この凹凸波形状は、ブランクWをカップ状体W1に成形したときから付与されるものである。
開口端部3aの凹凸波形状をなす上端縁のうち、上方に突出する山となっている部分(凸部)は、耳と呼ばれる。耳は、開口端部3aにおいて周方向に沿って複数形成される。これらの耳は、アルミニウム合金の結晶学的異方性に起因して生じるものである。
[トリミング工程]
次に、缶W2の缶胴3の開口端部3aをトリミング加工する。
すなわち、上記DI加工装置によって形成された缶W2の開口端部3aは、耳が形成されて高さが不均一であるため、この缶W2の開口端部3aを切断してトリミングすることにより、図4(d)に示されるように、缶胴3の開口端部3aにおける缶軸O方向に沿う周壁の高さ(上端位置)を、全周にわたって均等に揃える。
このトリミング加工により、缶W2の質量から例えば0.6g程度が除去される。なお、例えば、上述した板材打ち抜き工程において、ブランクWの平面視形状で、該ブランクWの外周のうち耳が出やすい箇所の直径を予め小さく設定しておくこと等により、トリミング加工時の切断除去量を、上記0.6gよりも小さく抑えることが可能である。具体的に、例えば切断除去量は、0gを超え0.6g以下である。
これにより、缶胴3の開口端部3aに耳を有さない(耳が切除された)、トリミング加工後の缶W3が得られる。缶W3の金属質量は、9.8〜10.8gとされる。なお、この缶W3における缶軸O方向の高さ(缶底4の下端(ノーズ部13)から開口端部3aの上端までの高さ)は、例えば、本実施形態のような350ml缶の場合には124mm程度であり、それ以外の例えば500ml缶の場合には168mm程度である。
[印刷工程、塗装工程]
この缶W3を洗浄し、潤滑油等を除去した後に、表面処理を施して乾燥し、次いで外面印刷、外面塗装を施し、その後内面塗装を施す。
具体的に、印刷工程では、印刷用インクを使用して、缶W3の缶胴3に外面印刷を施す。
次に、塗装工程では、外面塗装を施した後、内面塗装を施す。詳しくは、例えば、ポリエステル系塗料を使用して、缶W3の缶胴3の外面に塗装をし、この外面塗装がされた缶W3をオーブンで加熱乾燥する。なお、オーブンにより加熱乾燥する際は、缶胴3の開口端部3aから内部へ向けて、略水平方向に延在する搬送用ピンが挿入され、該搬送用ピンが缶W3を支持しつつ、チェーンやモータ等を備えた駆動機構により、移動させられる。次いで、缶W3の缶胴3及び缶底4の内面に、例えば、エポキシ系塗料を使用して塗装をし、この内面塗装がされた缶W3をオーブンで加熱乾燥する。
[ネッキング工程]
次いで、缶W3の開口端部3aにネッキング加工を施す。
本実施形態のネッキング加工には、プリネック加工と、該プリネック加工後に行われるスピンフローネッキング加工と、が含まれる。このネッキング工程以降の缶には、符号10を用いることとする。
具体的に、まずプリネック加工では、缶胴3の開口端部3aの内部及び外部に不図示の金型(パンチ及びダイス)を嵌合し、この開口端部3aに形成されたスピンフローネッキング加工予定部24を、缶軸O方向に沿って缶10の外側(開口側)へ向かうに従い段階的に縮径させる。
これにより、図7(a)に示されるように、スピンフローネッキング加工予定部24には、缶軸O方向に並ぶ複数の段部が形成される。なお、図示の例では、スピンフローネッキング加工予定部24に、段部が計4つ形成されているが、段部の数はこれに限定されるものではなく、3つ以下でもよいし、或いは5つ以上であってもよい。
また、このプリネック加工では、缶胴3の開口端部3aに形成されたフランジ予定部25を、図7(a)に示されるように、スピンフローネッキング加工予定部24よりも小径の円筒状に成形する。
缶胴3の開口端部3aに対してプリネック加工を施した後は、スピンフローネッキング加工を施す。
特に図示していないが、スピンフローネッキング装置は、予めダイネッキングにより缶胴3の開口端部3aにプリネックが施された缶10の、缶底4を吸着支持するベースパッドと、該ベースパッドにより缶10を缶軸O回りに回転させながら缶10の開口端部3a周辺に嵌入されるスライドロールと、該スライドロールより小径で缶10の内部に挿入される内部ロールと、缶10の外部に配置され径方向に往復移動可能に設けられる外部ロールと、を備える。
スピンフローネッキング加工では、複数の段部が形成されたスピンフローネッキング加工予定部24を、缶胴3の開口端部3aの内部と外部から一対のロール(内部ロール及び外部ロール)で挟んで絞ることにより、図7(a)に示されるように、スピンフローネッキング加工予定部24を缶軸O方向に沿って缶10の外側(開口側)へ向かうに従い漸次縮径させて、スピンフローネッキング加工部8に成形する。
具体的には、図7(a)に示される缶軸O方向に沿う缶10の縦断面視において、プリネック加工したスピンフローネッキング加工予定部24と、該スピンフローネッキング加工予定部24をスピンフローネッキング加工して形成されたスピンフローネッキング加工部8とを、スピンフローネッキング加工の前後で互いに交差するように成形する。
より詳しくは、スピンフローネッキング加工予定部24と、スピンフローネッキング加工部8と、の交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の内側(図7(a)における右側)では、スピンフローネッキング加工予定部24に対して、スピンフローネッキング加工部8を拡径させるように成形する。また、交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側(図7(a)における左側)では、スピンフローネッキング加工予定部24に対して、スピンフローネッキング加工部8を縮径させるように成形する。
これにより、加工後のスピンフローネッキング加工部8には、交差部Iを通る直線状部分と、この直線状部分よりも缶軸O方向の缶10の外側に位置する凹曲線状部分と、が形成される。
そして、このスピンフローネッキング加工では、図7(a)に示される缶10の縦断面視で、前記直線状部分と前記凹曲線状部分との接続部Cを通り缶軸Oに直交する仮想直線L、交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側に位置するスピンフローネッキング加工予定部24及びスピンフローネッキング加工部8に囲まれた領域Aの面積を、3mm以下としている。
また図7(a)に示される缶10の縦断面視において、領域Aの面積を、交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の内側に位置するスピンフローネッキング加工予定部24及びスピンフローネッキング加工部8に囲まれた領域Bの面積よりも、小さくする。
具体的には、領域Aの面積の、領域Bの面積に対する比(領域Aの面積/領域Bの面積)を、60%以下とし、より好ましくは55%以下とする。
また、このスピンフローネッキング加工では、フランジ予定部25を、缶胴3の開口端部3aの内部と外部から一対のロールで挟んで絞ることにより、図7(a)に示されるように、缶軸O方向に沿う缶10の外側へ向かうに従い漸次拡径させて、フランジ部9に成形する。
スピンフローネッキング加工では、スピンフローネッキング加工予定部24をスピンフローネッキング加工部8に成形する加工と、フランジ予定部25をフランジ部9に成形する加工とが行われる。
[ボトムリフォーム工程]
次いで、缶10の缶底4にボトムリフォーム加工を施す。
このボトムリフォーム工程では、例えば米国特許第5704241号明細書に記載のボトムリフォーム機構(缶底再成形装置)を用いて、ボトムリフォーム加工(BPR加工)を行うことができる。
具体的には、環状凸部7の内周壁14にボトムリフォーム加工して、径方向の外側へ向けて凹む第1凹曲面部(凹部)1を成形する。
ただし、本実施形態で説明した缶底4の形状を付与するにあたっては、上記米国特許第5704241号明細書のFig.6やFig.14に記載のリフォーミングローラ(成形ローラ)26、230のローラ外周縁部の形状や、缶底4の内周壁14に対する周方向のオーバーラップ量(周方向のローラ成形長さ)や、缶軸O方向及び径方向のローラ成形位置(リフォーミングローラのストローク長)などを適宜調整して、成形後に、所期する内周壁14及びドーム部5の形状となるように設定する必要がある。
そこで、特に図示していないが本実施形態では、リフォーミングローラのローラ軸に沿う縦断面視で、ローラ外周縁部をなす凸曲線の曲率半径を、0.8〜1.2mmに設定しており、より好ましくは1.0mmとした。
また、リフォーミングローラを缶底4の内周壁14に対して周方向に回転させる成形時のオーバーラップ量は、例えば20%(つまりローラ成形長さが周方向に計1.2回転)である。オーバーラップ量が20%であると、成形精度を安定して確保することができ、かつ、ローラへの成形負荷を抑えて工具寿命を延長できる。
[フランジング工程]
次いで、缶胴3の開口端部3aをフランジング加工してフランジ部9を成形し、缶蓋に巻き締め可能な形状とする。
具体的に本実施形態では、回転する金型をフランジ部9に押し当てて径方向外側へ広げるスピンフロー成形により、該フランジ部9をフランジング加工している(スピンフローフランジング加工)。ただしこれに限定されるものではなく、このスピンフロー成形に代えて、金型(パンチ)を用いてフランジ部9をフランジング加工してもよい。
このようにして缶10が製造され、フランジング工程の後工程へと搬送される。この後工程では、缶10の内部に飲料等の内容物が充填され、フランジ部9に缶蓋が巻き締められて、缶体が密封される。
以上説明した本実施形態に係る缶10の製造方法では、ネッキング工程において、プリネック加工したスピンフローネッキング加工予定部24を、スピンフローネッキング加工してスピンフローネッキング加工部8とする際に、図7(a)に示される缶10の縦断面視において、スピンフローネッキング加工の前後で、スピンフローネッキング加工予定部24の形状と、スピンフローネッキング加工部8の形状とが互いに交差するように成形する。
具体的には、缶10の縦断面視において、スピンフローネッキング加工予定部24と、スピンフローネッキング加工部8との交差部Iよりも、缶軸O方向に沿う缶10の内側(缶10の下方)では、スピンフローネッキング加工予定部24に対してスピンフローネッキング加工部8を拡径させるように成形し、前記交差部Iよりも、缶軸O方向に沿う缶10の外側(缶10の上方)では、スピンフローネッキング加工予定部24に対してスピンフローネッキング加工部8を縮径させるように成形する。
ここで、前記交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の内側では、スピンフローネッキング加工予定部24を「拡径」してスピンフローネッキング加工部8を形成しているため、該スピンフローネッキング加工部8には、しわが発生しにくい。
これに対し、前記交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側では、スピンフローネッキング加工予定部24を「縮径」してスピンフローネッキング加工部8を形成するため、該スピンフローネッキング加工部8には、しわが発生しやすくなることが考えられる。
そこで本実施形態では、缶10の縦断面視において、スピンフローネッキング加工部8に含まれる直線状部分と、該直線状部分よりも缶軸O方向の缶10の外側に位置する凹曲線状部分と、の接続部Cを通り缶軸Oに直交する仮想直線L、前記交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側に位置するスピンフローネッキング加工予定部24及びスピンフローネッキング加工部8により囲まれる領域(図7(a)に示される缶10の縦断面視で、略三角形状をなす領域)Aの面積を、3mm以下に小さく抑えている。
これにより、前記交差部Iよりも缶軸O方向に沿う缶10の外側において、スピンフローネッキング加工予定部24を縮径してスピンフローネッキング加工部8を成形する際の加工量(縮径加工する体積)を、小さく抑えることができる。その結果、しわの発生を顕著に抑制することができる。
ここで、本実施形態による効果を確認するため、下記の確認試験を行った。
図7(a)に示される缶10の縦断面視で、領域Aの面積を3mm以下に設定してスピンフローネッキング加工を施した、本実施形態に準ずる実施例の缶10を用意した。また、図7(b)に示される缶の縦断面視で、領域Aの面積を3mmよりも大きくしてスピンフローネッキング加工を施した、参考例の缶を用意した。そして、実施例及び参考例の各缶において、しわの発生缶数を比較した。なお、確認試験には、実施例及び参考例ともに240缶ずつを用いることとした。
試験の結果を、下記表2に示す。なお、表2においては、スピンフロー成形時に圧縮される(縮径される)領域Aを「圧縮部」とし、引っ張られる(拡径される)領域Bを「引張部」としている。
Figure 2017136605
表2の試験結果より、本実施形態の実施例によれば、しわの発生缶数が0に抑えられており、スピンフローネッキング加工時におけるしわの抑制に格別顕著な効果を奏することが確認された。
以上より本実施形態によれば、缶胴3の開口端部3aにスピンフローネッキング加工を施すときに、しわが発生することを顕著に抑制して、高品位な缶10を安定して製造することができる。
また本実施形態では、ブランクWの質量が、9.8〜11.4gと小さく抑えられている。また、このブランクWから製造された缶10(トリミング加工後の缶W3に相当)の金属質量(印刷・塗装を除く質量)についても、9.8〜10.8gと小さく抑えられている。
なお一般に、従来のブランクの質量は11.8g以上であり、該ブランクから製造された缶の金属質量は11.2g以上である。つまり本実施形態によれば、従来の缶に比べて、0.4〜1.4g(少なくとも0.4g以上)もの軽量化を実現することができる。
また、このように缶10を軽量化しつつも、ブランクWの厚さ(作製された缶10の缶底4の厚さTbに相当)を、0.225〜0.245mmと小さく抑えているため、その分、缶胴3の厚さを大きく確保することができる。
具体的には、ブランクWの厚さが0.225mm以上であるので、作製された缶10の缶底4の肉厚が十分に確保されて、ボトムグロースやバックリングを抑制することができる。なお、ブランクWの厚さが0.225mmよりも小さくなると、表1に示されるように、ネッキング工程におけるスピンフローネッキング加工の成形精度を良好に維持することが難しくなる場合がある。
また、ブランクWの厚さが0.245mm以下であるので、缶10を確実に軽量化できる。なお、ブランクWの厚さを薄くした分、ブランク平面視における表面積を大きくした場合には、缶胴3の肉厚を容易に大きく確保することができ、好ましい。
ここで、ボトムグロース及びバックリングについて説明する。
本実施形態で説明したように、缶10の缶底4には、ドーム部5と、環状凸部(リム)7とが形成されている。
ボトムグロースとは、缶底4の環状凸部7が、缶軸O方向に沿う缶10の外側(缶10の下方)へ突出しつつ、缶軸Oに直交する径方向の外側へ向けて変形する現象である。ボトムグロースが発生すると、缶10の高さ(缶軸O方向の全長)が安定せず、製造・出荷の不具合の原因になるなどして好ましくない。また、バックリングとは、缶底4のドーム部5が反転して缶軸O方向の外側に突出する現象である。バックリングが発生すると、缶10を製品として出荷することができない。
本実施形態によれば、缶10の軽量化を図りつつも缶底4の厚さTbが十分に確保されて、ボトムグロースやバックリングを抑制できる。
また、缶胴3のうち、缶軸O方向に沿う開口端部3aと缶底4との間に位置して最も薄肉とされた部分(缶胴最薄部)26の厚さTwを0.091〜0.102mmとして、缶胴3を薄肉化しつつも十分に強度を確保している。
具体的には、缶胴最薄部26の厚さTwが0.091mm以上であるので、製造時や流通時における缶胴3のピンホールの発生を抑制することができる。また、表1に示されるように、缶10のコラム強度を、例えば1200N以上まで大きく確保することができる。このようにコラム強度が高められることにより、特に缶蓋の巻き締め時における缶10の缶軸O方向の耐圧性能を安定して確保することが可能になる。また、缶胴最薄部26の厚さTwが0.102mm以下であるので、缶10の軽量化を確実に実現できる。
また、缶胴3の開口端部3aにおけるスピンフローネッキング加工予定部24の厚さTfを、0.153〜0.162mmとして、肉厚を十分に大きく確保している。
具体的には、スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTfが0.153mm以上であるので、スピンフローネッキング加工時に、回転する缶10を内部と外部から一対のロールで挟んで絞る際、スピンフローネッキング加工予定部24(スピンフローネッキング加工部8)が成形荷重に耐えきれず予期せぬ形状に変形するようなことを、抑制できる。また、缶径がばらつくことを抑制できる。さらに、スピンフローネッキング加工時において、缶胴3の開口端部3aにしわが発生することを効果的に防止することができる。
また、スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTfが0.162mm以下であるので、缶10の軽量化を確実に図ることができる。
このように、本実施形態の上記構成によれば、缶10を軽量化しつつ、缶胴3の開口端部3aにスピンフローネッキング加工を施すときに、缶径がばらついたり、予期せぬ形状に変形したり、しわが発生したりすることを顕著に抑制して、高品位な缶10を安定して製造できる。
また、このようにして製造された本実施形態の缶10によれば、軽量化を図りつつ製品の品位(加工精度)を安定して高めることができる。
なお、本実施形態では、350ml缶についての構成及びその作用効果を説明したが、例えば500ml缶の場合には、下記の構成とすることが好ましい。これにより、上述した本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
・ブランクWの質量:14.0〜14.5g
・ブランクWの厚さ(缶底4の厚さTb):0.257〜0.280mm
・缶胴最薄部26の厚さTw:0.091〜0.102mm
・スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTf:0.153〜0.162mm
また本実施形態では、スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTfと、缶胴最薄部26の厚さTwとの差(Tf−Tw)を、0.063mm以下としたので、スピンフローネッキング加工時において、缶胴3に作用する負荷(の最大値)を小さく抑えることができ、缶胴3がねじれて変形するような事態を防止できる。
具体的に、スピンフローネッキング加工時には、回転する缶10に内部と外部から一対のロールが接触して、回転力に対する負荷(抵抗)が作用するが、上記差(Tf−Tw)が0.063mm以下であることにより、回転力に対する負荷を分散して、局所的に大きな応力がかかることを抑制することができる。従って、上述のように薄肉化された缶胴3であっても、スピンフローネッキング加工時にねじれ変形を起こすようなことが抑制される。
また本実施形態では、缶軸O方向に沿う缶10の縦断面視で、環状凸部7の外周壁15における外凸曲面部18と外凹曲面部19の共通接線CTと、缶軸Oに直交する仮想直線VLと、の間に形成されるチャイム角度θを、31〜36°としたので、缶胴3の印刷領域を大きく確保しつつ、缶10のコラム強度を高めることができる。
具体的には、チャイム角度θが31°以上であるので、環状凸部7の外周壁15の傾きを、寝かせ過ぎずに適度に立たせて、缶10のコラム強度を大きく確保することができる。また、チャイム角度θが36°以下であるので、環状凸部7の外周壁15のうち、缶胴3に連なる端縁(外凸曲面部18の上端)の位置が、環状凸部7の突端(缶底4のノーズ部13)から缶軸O方向に大きく離間し過ぎることを抑えて、缶胴3の印刷領域を大きく確保することができる。
また本実施形態では、缶10の材料として、質量%が、Si:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜2.0%、Cr:0〜0.1%、Zn:0〜0.5%、Ti:0〜0.15%を含有し残部が不可避的不純物を含むアルミニウムからなるアルミニウム合金を用いているので、缶10の各種性能(耐ピンホール性能、コラム強度、缶径の寸法安定性、しわの発生抑止性能等)を高めることができる。
また本実施形態では、ブランクWを打ち抜く板材として、アフターベーキング耐力が266〜304N/mmのアルミニウム合金を用いているので、下記の作用効果を奏する。
すなわち上記構成のように、板材のアフターベーキング耐力が266N/mm以上であることにより、缶10の耐圧強度(バルジ強度)や缶胴3の耐ピンホール性能を十分に確保することができる。また、アフターベーキング耐力が304N/mm以下であることにより、板材の硬度を適度に低く抑えて柔軟性を付与することができ、缶胴3の開口端部3aにおけるしわの発生を顕著に抑制できる。
また、本実施形態の缶10の製造方法では、カッピング工程を経て成形されたカップ状体W1の底壁に凸部23が形成されているので、続くDI工程において、パンチスリーブ32の先端部が凸部23を拘束しつつ、絞りしごき加工が施されることになる。
つまり、凸部23が形成されていることによって、パンチスリーブ32とカップ状体W1との相対位置が安定して、非拘束域が生じにくくなることから、しわの発生を顕著に抑えることができ、外観の優れた高品位な缶10を作製することができる。
また、カップ状体W1の凸部23におけるカップ軸方向の高さが、5.5〜6.5mmとされているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、凸部23の高さが5.5mm以上と大きく確保されているので、例えば本実施形態とは異なり、凸部23の高さが低過ぎて缶底4に発生するしわを十分に抑制できなくなるような不具合を、本実施形態によれば安定して回避することができる。また、凸部23の高さが6.5mm以下に抑えられているので、例えば本実施形態とは異なり、凸部23の高さが高過ぎてカップ状体W1を作製した時点で環状凸部7の外周壁15に対応する部分の肉厚が薄くなってしまい、缶10のコラム強度を十分に確保できなくなるような不具合を、本実施形態によれば安定して回避することができる。
また本実施形態では、カップ状体W1の縦断面視において、凸部23の頂壁と周壁との接続部分の曲率半径及びその周長が、製造される缶10の缶底4における外周壁15の外凹曲面部19の周長に対応して設定されるので、DI加工時に缶底4の外周壁15において材料が圧縮されることを防ぐことができる。従って、材料が圧縮されることによるしわの発生を、効果的に抑制することができる。
また本実施形態では、ネッキング工程の後工程にボトムリフォーム工程を備えており、このボトムリフォーム工程において、環状凸部7の内周壁14に径方向外側へ向けて凹む第1凹曲面部(凹部)1を成形している。これにより、缶10の耐圧強度(バルジ強度)を顕著に高めてボトムグロースやバックリングを効果的に抑制することができる。具体的には、表1に示されるように、ボトムリフォーム加工を行って缶底4に凹部1が形成された缶10は、バルジ強度が650kPa以上にまで高められている。
また、このように耐圧強度が高められるため、缶10の材料の選定幅(選択の自由度)が広がる。
また、環状凸部7の内周壁14に連なるドーム部5の外周縁部に、環状凸部7の第1凹曲面部1と、ドーム部5の第2凹曲面部2と、を接続するテーパ部17が形成されており、該テーパ部17は、図2に示される缶10の縦断面視で、第1、第2凹曲面部1、2に接する直線状をなしている(つまり第1、第2凹曲面部1、2の共通接線となっている)。このような特別な構成により、下記の顕著な作用効果を奏する。
すなわち、テーパ部17の両端に接続する第1、第2凹曲面部1、2が屈曲するように形成されることとなり、具体的には、図2に示される縦断面視において、直線状のテーパ部17に接続させられる第1、第2凹曲面部1、2の曲率半径が小さくなる(曲がり具合いがきつくなる)ことから、これら第1、第2凹曲面部1、2に対して、応力が集中しやすくなる。つまり、応力が集中する箇所を、安定して複数箇所確保することができるので、缶底4の強度が向上して変形が抑制される。つまり、缶10の内圧が上昇したときに、第1、第2凹曲面部(屈曲部)1、2に応力が分散させられることで、缶10の耐圧強度が高められる。
これにより、ボトムグロースやバックリングを効果的に抑制することができる。
より詳しくは、本実施形態とは異なり、例えば缶10の縦断面視において、ドーム部5の外周縁部が凹曲線状に形成されており、この外周縁部が内周壁14の第1凹曲面部1に直接接続された構成(不図示)と比較して、本実施形態の上記構成によれば、有限要素法による強度解析の結果、2%以上も耐圧強度を向上できることが確認された。
また、ドーム部5の外周縁部(テーパ部17)の径方向内側に隣接して第2凹曲面部2が配置されており、缶10の縦断面視で、第2凹曲面部2の曲率半径R2がドームトップ16の曲率半径よりも小さくされているので、ドーム部5のなかでも環状凸部7に近い第2凹曲面部2において、缶底4の変形を効果的に抑制することができる。従って、上述した効果がより顕著なものとなる。
このように本実施形態によれば、缶重量の削減を図って缶10の板厚を薄肉化しつつも、缶底4の強度を十分に高めることが可能になる。またこれにより、缶10の生産性を安定して高めることができ、かつ、品質を良好に維持することができる。
また本実施形態では、缶10の縦断面視で、当該缶10の外面における第1凹曲面部1の曲率半径R1が、0.8〜1.2mmであるので、環状凸部7の内周壁14にボトムリフォーム加工を施して第1凹曲面部1を成形することにより、上述のボトムグロースやバックリングを抑制する効果が得られつつ、さらに下記の効果を奏する。
すなわち、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第1凹曲面部1の曲率半径R1が0.8mm以上であるので、缶10の表面処理層を破壊してしまうことなくこの第1凹曲面部1を成形できる。つまり、表面処理層の性能を良好に維持することができるとともに、缶底4の美観を損なうようなこともなく、安定して第1凹曲面部1を成形できる。
また、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第1凹曲面部1の曲率半径R1が1.2mm以下であるので、成形後のスプリングバックが抑えられ、精度よくこの第1凹曲面部1を成形できる。具体的には、スプリングバックが抑えられるので、所期する第1凹曲面部1の形状を安定的に付与することができ、耐圧強度が安定して高められる。
また本実施形態では、缶10の縦断面視で、当該缶10の外面における第2凹曲面部2の曲率半径R2が、3.0〜5.0mmであるので、下記の効果を奏する。
すなわち、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第2凹曲面部2の曲率半径R2が3.0mm以上であるので、缶底4の板厚がこの第2凹曲面部2において減肉され過ぎるようなことが防止されて、所期する耐圧性能を安定して得ることができる。
また、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第2凹曲面部2の曲率半径R2が5.0mm以下であるので、該第2凹曲面部2を適度に屈曲させて、この第2凹曲面部2に応力を集中させやすくすることができる。つまり、応力が集中する箇所を、第1、第2凹曲面部1、2の複数箇所に安定して設定できる(応力を確実に複数箇所に分散できる)ので、缶10の耐圧強度が安定して高められる。
また本実施形態では、缶10の縦断面視で、第1凹曲面部1の曲率半径R1の中心と、環状凸部7における缶軸O方向に沿う缶10の外側の端縁(ノーズ部13)と、の間の缶軸O方向の距離hが、2.0〜2.8mmであるので、下記の効果を奏する。
すなわちこの場合、環状凸部7の内周壁14に第1凹曲面部1をボトムリフォーム加工する際の加工容易性を向上できるとともに、成形精度を確保でき、耐圧強度を安定的に高めることができる。また、ボトムグロース量(変形量)を効果的に抑制することができる。
具体的には、前記距離hが2.0mm以上であるので、環状凸部7の内周壁14に第1凹曲面部1を成形する際、ボトムリフォーム機構(缶底再成形装置)の成形ローラを内周壁14に接触させた状態を良好に維持することができ、安定してボトムリフォーム加工することができる。これにより、所期する第1凹曲面部1の形状を安定的に付与することができ、耐圧強度が安定して高められる。
また、前記距離hが2.8mm以下であるので、環状凸部7における第1凹曲面部1よりも下方(缶軸O方向に沿う缶10の外側)に位置する部分の、缶軸O方向の長さを小さく抑えることができ、これによりボトムグロース量を確実に抑制できる。なお、前記距離hが2.4mm以下であると、ボトムグロース量をより確実に抑制でき、好ましい。
また本実施形態では、缶10の縦断面視で、当該缶10の外面のうち、第1凹曲面部1における最も径方向の外側に位置する部分(最深部)と、環状凸部7における第1凹曲面部1よりも下方(缶軸O方向に沿う缶10の外側)に位置する部分の、最も径方向の内側に位置する部分(最頂部)と、の間の径方向の距離dが、0.8〜1.4mmであるので、下記の効果を奏する。
すなわち、缶10の縦断面視で、前記距離dが0.8mm以上であるので、環状凸部7の内周壁14に、第1凹曲面部1を十分な深さで成形することができ、所期する耐圧強度を安定して得ることができる。
また、缶10の縦断面視で、前記距離dが1.4mm以下であるので、環状凸部7における第1凹曲面部1、及び該第1凹曲面部1よりも下方(缶軸O方向に沿う缶10の外側)に位置する部分(第2凸曲面部12)において、缶底4の板厚が減肉され過ぎたり破断するようなことが防止される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、缶底4のチャイム角度θを31〜36°とすることとしたが、これに限定されるものではない。
また、缶10の材料となるアルミニウム合金の組成は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。
また、ブランクWを打ち抜く板材のアフターベーキング耐力は、前述の実施形態で説明した数値範囲(266〜304N/mm)に限定されない。
また、缶10の製造方法が、ボトムリフォーム工程を備えることとしたが、凹部1を成形することなく缶10のバルジ強度を十分に確保できる場合には、ボトムリフォーム工程を省いてもよい。
また、ブランクWの質量、缶W3(10)の金属質量、ブランクWの厚さ(缶底4の厚さTb)、缶胴最薄部26の厚さTw、スピンフローネッキング加工予定部24の厚さTf、及び、厚さTfと厚さTwとの差(Tf−Tw)は、前述の実施形態で説明した各数値範囲に限定されるものではない。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 第1凹曲面部(凹部)
3 缶胴
3a 開口端部
4 缶底
5 ドーム部
7 環状凸部
8 ネック部(スピンフローネッキング加工部)
10(W2、W3) 缶
14 内周壁
15 外周壁
18 外凸曲面部(凸曲面部)
19 外凹曲面部(凹曲面部)
24 スピンフローネッキング加工予定部
26 缶胴最薄部(缶胴のうち、缶軸方向に沿う開口端部と缶底との間に位置して最も薄肉とされた部分)
A 領域
C 接続部
CT 共通接線
I 交差部
L 仮想直線
O 缶軸
Tb 缶底の厚さ
Tf スピンフローネッキング加工予定部の厚さ
Tw 缶胴最薄部の厚さ
VL 仮想直線
W ブランク
W1 カップ状体
θ チャイム角度

Claims (7)

  1. 板材を打ち抜いて円板状のブランクを形成する板材打ち抜き工程と、
    前記ブランクを絞り加工してカップ状体に成形するカッピング工程と、
    前記カップ状体を絞りしごき加工して、缶胴と缶底を備える有底筒状の缶に成形するとともに、前記缶胴の開口端部にスピンフローネッキング加工予定部を形成するDI工程と、
    前記缶胴の開口端部の内部及び外部に金型を嵌合し、前記スピンフローネッキング加工予定部に、缶軸方向に沿って前記缶の外側へ向かうに従い段階的に縮径するプリネック加工を施した後、前記スピンフローネッキング加工予定部を前記缶胴の開口端部の内部と外部から一対のロールで挟んで絞ることにより、缶軸方向に沿って前記缶の外側へ向かうに従い漸次縮径するスピンフローネッキング加工を施すネッキング工程と、を備える缶の製造方法であって、
    前記ネッキング工程では、
    缶軸方向に沿う前記缶の縦断面視で、
    プリネック加工した前記スピンフローネッキング加工予定部と、該スピンフローネッキング加工予定部をスピンフローネッキング加工して形成されたスピンフローネッキング加工部とを、スピンフローネッキング加工の前後で互いに交差するように成形するとともに、
    前記スピンフローネッキング加工予定部と、前記スピンフローネッキング加工部と、の交差部よりも缶軸方向に沿う前記缶の内側では、前記スピンフローネッキング加工予定部に対して、前記スピンフローネッキング加工部を拡径させるように成形し、前記交差部よりも缶軸方向に沿う前記缶の外側では、前記スピンフローネッキング加工予定部に対して、前記スピンフローネッキング加工部を縮径させるように成形し、
    前記スピンフローネッキング加工部には、
    前記交差部を通る直線状部分と、
    前記直線状部分よりも缶軸方向の前記缶の外側に位置する凹曲線状部分と、が含まれ、
    前記直線状部分と前記凹曲線状部分との接続部を通り缶軸に直交する仮想直線、前記交差部よりも缶軸方向に沿う前記缶の外側に位置する前記スピンフローネッキング加工予定部及び前記スピンフローネッキング加工部に囲まれた領域の面積を、3mm以下とすることを特徴とする缶の製造方法。
  2. 請求項1に記載の缶の製造方法であって、
    前記板材打ち抜き工程では、前記ブランクの質量を9.8〜11.4gとし、前記ブランクの厚さを0.225〜0.245mmとし、
    前記DI工程では、
    前記缶胴のうち、缶軸方向に沿う前記開口端部と前記缶底との間に位置して最も薄肉とされた部分の厚さを、0.091〜0.102mmとし、
    前記スピンフローネッキング加工予定部の厚さを、0.153〜0.162mmとすることを特徴とする缶の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の缶の製造方法であって、
    前記DI工程では、
    前記スピンフローネッキング加工予定部の厚さと、前記缶胴のうち、缶軸方向に沿う前記開口端部と前記缶底との間に位置して最も薄肉とされた部分の厚さと、の差を、0.063mm以下にすることを特徴とする缶の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の缶の製造方法であって、
    前記DI工程では、
    前記缶底に、
    缶軸方向に沿う前記缶の内側へ向けて凹むドーム部と、
    前記ドーム部の外周縁部に連なり、缶軸方向に沿う前記缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、を成形し、
    缶軸方向に沿う前記缶の縦断面視で、
    前記環状凸部の外周壁に、
    前記缶胴に連なり、凸曲線状をなす凸曲面部と、
    前記凸曲面部の前記缶胴とは反対側の端縁に連なり、凹曲線状をなす凹曲面部と、を成形し、
    前記凸曲面部と前記凹曲面部の共通接線と、缶軸に直交する仮想直線と、の間に形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度であるチャイム角度を、31〜36°とすることを特徴とする缶の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶の製造方法であって、
    前記板材打ち抜き工程では、前記板材として、質量%が、Si:0.1〜0.5%、Fe:0.3〜0.7%、Cu:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜1.5%、Mg:0.4〜2.0%、Cr:0〜0.1%、Zn:0〜0.5%、Ti:0〜0.15%を含有し残部が不可避的不純物を含むアルミニウムからなるアルミニウム合金を用いることを特徴とする缶の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の缶の製造方法であって、
    前記板材打ち抜き工程では、前記板材として、アフターベーキング耐力が、266〜304N/mmのアルミニウム合金を用いることを特徴とする缶の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の缶の製造方法であって、
    前記DI工程では、
    前記缶底に、
    缶軸方向に沿う前記缶の内側へ向けて凹むドーム部と、
    前記ドーム部の外周縁部に連なり、缶軸方向に沿う前記缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、を成形し、
    前記ネッキング工程の後工程として、
    前記環状凸部の内周壁にボトムリフォーム加工して、缶軸に直交する径方向の外側へ向けて凹む凹部を成形するボトムリフォーム工程を備えることを特徴とする缶の製造方法。
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