JP6988180B2 - 純アルミニウム製シームレス缶 - Google Patents
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Description
この方法は、金属板を使用し、この金属板を打ち抜いて円形のブランクを作製し、このブランクを絞り、再絞り成形した後、しごき成形を行って薄肉化を図ることにより、缶体を成形するという手法である。
もう1つのやり方は、缶径が同じ缶型の中で最も缶高さが高い缶型のスラグを作製し、それから素缶を作製し、必要な高さでトリミング加工を行うことで種々の缶高さの缶型を作製するという方法であり、缶高さが低い缶形ほど著しく材料ロスが多いという欠点がある。
またいずれにしても、素板からスラグを打ち抜く工程で打ち抜き屑が発生して材料ロスが多い。
かかる製造方法は、材料ロスが少なく、得られる容器の径や長さに応じて、種々の大きさの容器を得ることができるという利点がある。
底部及び円筒状の胴部を有しており、胴部でのビッカース硬さの周方向の標準偏差が1.4以下であることを特徴とするシームレス缶が提供される。
(1)前記胴部の外面での60度鏡面光沢度が300%以上であり、
(2)前記胴部の外面と底部の外面との境界部に存在する変曲点を基準位置とし、該胴部は、基準位置から上方に向かって厚みが漸次減少しているテーパー領域と、該テーパー領域に連なり且つ厚みが一定のストレート領域とを有していること、
という形態を有している。
即ち、圧延板を基材とし、これを打ち抜き、絞りしごき加工することにより得られるシームレス缶では、缶胴部は、圧延方向に対して異方性を有しているため、どうしても周方向での強度にバラツキを示してしまう。従って、胴部周方向の強度についてバラつきが少なく、等方性を有しているということは、本発明の純アルミシームレス缶が、圧延板からではなく、ロッドを切断して作製されるスラグをインパクト成形し、このインパクト成形の後に絞りしごき加工が行われたことを意味している。このような方法で得られたシームレス缶の胴部周方向は異方性を示さないからである。
また、かかる純アルミシームレス缶は、材料ロスを極めて少なくして製造されるという利点も有している。
本発明の純アルミシームレス缶の製造プロセスを示す図1及び図2を参照して、このシームレス缶は、ロッド1(図1(a)参照)を使用し、これを切断して所定長さの円板状のスラグ3を作製し(図1(b)参照)、このスラグ3をインパクト成形に供し(図1(c)参照)、最後に再絞りとしごき加工を行うことにより得られる(図2参照)。
尚、最終的に得られるシームレス缶は、図3において50で示されている。
このような純アルミ製のロッド1を用いて、以下の工程の成形を行うことにより、優れた高い金属光沢を発現させることができ、また得られるシームレス缶50は、耐食性にも優れたものとなる。
ブランク3の直径t′は次の工程となるインパクト成形のダイ21の内径より若干小さく設定される。
これにより、材料ロスを大きく低減させ、100%に近い材料利用率で成形を行うことができるとともに缶種の変更が容易になる。
高さhが過度に大きくなると、次の工程での塑性加工が困難となるおそれがあるので、ロッド1の径tも、最終的に得られるシームレス缶50の大きさに応じて適宜の大きさのものとしておき、この高さhがロッド1の径tの2倍以下程度となるようにすることが望ましい。
このインパクト成形は、図1(c)に示されているように、雌型のダイ21とパンチ23を使用し、スラグ3をダイ21内で衝撃押出しすることにより、カップ状成形体11を成形するものである。
この得られたカップ状成形体11の外径は、スラグ3の径t’と同じである。
このような再絞り成形は、必要に応じて複数回行われ、これにより、さらなる小径化を行うこともできる。
得られた純アルミシームレス缶50は、パンチ37が上昇する際に、ストリッパフィンガ39でパンチ37から引き抜かれる(図示せず)。
何れにしろ、本発明の純アルミシームレス缶50では、最後のしごきダイ(図2の例ではダイ33c)の内径が、最も薄肉化された胴部の外径t2(t2<t1)にほぼ相当する。
また、しごき加工に際しては、潤滑液のエマルジョン等がクーラントとして使用され、このようなクーラントを流しての冷却が行われながら、しごき加工が行われることとなる。
底部53が、このような形態を有していることにより、この純アルミシームレス缶50は、直立状態が安定に保持されるように設置することができる。
なお、本発明において底部53の形状は図3に示す態様に限定されるものではなく、例えば、図4に示すように接地部53bと曲率面53cとの間にチャイム部53dを形成することもでき、このような形態のものについても同様に考えることができる。
このような胴部51は、上記の境界部X(変曲点)を基準位置として、この基準位置から上方に向かって厚みが漸次減少しているテーパー領域Yが形成されており、このテーパー領域Yに連なって、厚みが一定のストレート領域Zが形成されている。
即ち、上記のストレート領域Zは、最も薄肉化された部分であり、その外径t2は、先にも述べたように、最後のしごきダイ(図2においてダイ33c)の内径にほぼ相当している。
インパクト成形のみで容器を成形したときには、このようなテーパー領域Yは形成されず、胴部51の厚みは一様である。
先にも述べたように、このような高い金属光沢は、インパクト成形のみによって得られる缶では発現しない。
アルミニウム含量が99.7質量%以上の純アルミA1070製のロッド(20mm径、長さ4m)を用意し、このロッドを長さ約20mmになるようにカッティング及びプレスして、径が48mm、厚みが約3.5mmの円板状スラグを得た。
この円板状スラグを350℃で1時間焼き鈍しした。焼き鈍しした円板状スラグの硬さはビッカース硬さでHV20であった。この円板状スラグを、インパクト成形を行うことで、底部径が48mm、底部の厚みが約0.9mm、側壁の平均厚みが約1.3mm、高さが約27mmのカップ状成形体を成形した。成形に際しては、絞り成形用潤滑剤を使用した。
このカップの側壁はインパクト成形特有の肌荒れが生じていた。
次いで、上記で得られたカップ状成形体に付着している潤滑剤を除去することなく再絞り成形金型により絞り成形し、底部径が約36mm、側壁厚みが約1.4mm及び高さが約38mmの有底筒状絞り成形体を得た。
次いで、水性エマルジョンのクーラントを使用し且つ加工面にダイヤモンド膜が形成されているしごき用ダイスを使用してしごき成形を3段行い、底部径が約35mm、側壁厚みが約0.35mm及び高さが約150mmの純アルミ製シームレス缶を得た。
さらに、上記成形後の残りの純アルミ製ロッドを使用し、同様の操作で純アルミ製の絞りしごき缶を繰り返し成形した。これにより、先に用意した純アルミ製ロッドの約99%を純アルミ製シームレス缶の製造に使用することができ、材料ロスを有効に回避することができた。
3:スラグ
11:カップ状成形体
13:絞り成形体
15:しごき成形体
50:純アルミシームレス缶
51:胴部
53:底部
X:胴部と底部との境界部(基準位置)
Y:テーパー領域
Z:ストレート領域
Claims (3)
- アルミニウム含量が99.0質量%以上の純アルミニウム製のシームレス缶において、
底部及び円筒状の胴部を有しており、胴部でのビッカース硬さの周方向の標準偏差が1.4以下であることを特徴とするシームレス缶。 - 前記胴部の外面での60度鏡面光沢度が300%以上である請求項1に記載のシームレス缶。
- 前記胴部の外面と底部の外面との境界部に存在する変曲点を基準位置とし、該胴部は、基準位置から上方に向かって厚みが漸次減少しているテーパー領域と、該テーパー領域に連なり且つ厚みが一定のストレート領域とを有している請求項1または2に記載のシームレス缶。
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