JP3689667B2 - 角形電池缶およびその製造方法並びにそれを用いた角形電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの各種の角形電池の外体ケースとして用いられる角形電池缶をDI(drawing とironing 、つまり絞り加工としごき加工の両方を連続的に一挙に行う)工法を用いて製作することのできる製造方法およびその製造方法により得られた角形電池缶を用いて構成する角形電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、エレクトロニクス技術の進歩に伴い、電子機器の高機能化とともに、小型軽量化と低消費電力化とが可能になった。その結果、各種民生用ポータブル機器が開発、実用化され、それらの市場規模が急速に拡大しつつある。それらの代表例としてはカムコーダ、ノート型パソコン、携帯電話機などがあげられる。これらの機器には、更なる小型軽量化とともに作動時間の長期化に対する要望が継続的に求められており、このような要望から、これらの機器の駆動用内蔵電源として、長寿命でエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池に代表されるリチウム二次電池が積極的に開発され、数多く採用されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、現在実用化されている電池系のなかで、電池の小型化の指標として用いられる単位体積当たりのエネルギー密度は勿論、電池の軽量化の指標として用いられる単位重量当たりのエネルギー密度が抜群に高い長所を有している。電池のエネルギー密度を決定するのは、発電要素を構成する正極や負極の電池活物質が中心であるが、発電要素を収納する電池缶の小型化および軽量化も重要な要素となる。すなわち、電池缶を薄肉にできれば、同一外形の電池缶により多くの電池活物質を収容して電池全体での体積エネルギー密度を向上させることができ、電池缶を軽量な材料で形成できれば、電池全体の重量が低減して重量エネルギー密度が向上する。
【0004】
上述のような電池の動向のなかで、特に、薄型の角形電池缶を外体ケースとして用いた角形電池は、円筒型電池に比較して、機器の薄型化に適し、且つスペース効率が高いことから、重要視されている。従来、角形電池缶の製造方法としては、トランスファプレス機による深絞り加工を10数工程繰り返すことにより、横断面形状がほぼ長方形の電池缶を製作する、いわゆるトランスファ絞り工法、或いはアルミニウムを材料としたインパクト成形による工法がすでに採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トランスファ絞り工法を用いる角形電池缶の製造では、深絞り加工を10数回繰り返すことから、例えば、20個/分程度と生産性が非常に悪く、しかも、工程数が多い上に多段絞りのための金型が複雑であるため、コスト高となる欠点もある。さらに、トランスファ絞り工法では、体積エネルギ−密度を高めて高容量化を図ることを目的として電池缶素材の肉厚を薄くする場合、深絞り加工を繰り返して薄肉化するので、絞り加工の回数分のパンチの抜け入れが必要であり、その都度パンチ径を小さくし、さらにダイスとのクリアランスを小さくとっていくことから、底周辺部の厚い部分から側面と同じ薄さにする必要があり、そのための絞り加工が非常に難しい。また、それにより得られた角形電池缶は、底周辺部の強度が不足し、電池として機能したときに所要の耐圧強度を確保できないという問題もある。
【0006】
また、従来では、長辺側板部の缶厚みをコーナー部の缶厚みよりも大きく設定した角形電池缶(特開2000−182573号公報参照)や、長辺側板部の缶厚みを短辺側板部の缶厚みよりも大きく設定した角形電池缶(特開平6−52842号公報参照)が提案されている。ところが、これらの角形電池缶は、電池内圧が上昇したときの長辺側板部の膨らみ変形を防止することができるが、表面積が最も大きい長辺側板部の缶厚みを大きくすることから、発電要素を収納する容積が小さくなって体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の向上を図ることができない。
【0007】
さらに、従来では、底面に垂直な細かい縦筋を缶内面に形成して発電要素との接触面積の増大を図ることにより、電池としたときの内部抵抗の低減を図った電池缶(特公平7−99686号並びに特開平9−219180号の各公報参照)も知られている。しかし、これらの電池缶の縦筋では、電池内圧が上昇した時の膨らみ変形を防止する機能が殆ど得られない。また、従来では、コーナー部の缶厚みを直線部分である長辺側板部および短辺側板部の缶厚みよりも大きく設定した角形電池缶も提案されている(特開平7−326331号公報参照)。この角形電池缶は、発電要素の収納率の向上を図ることはできるが、肉厚となったコーナー部による強度の増強のみでは薄い長辺側板部の膨らみ変形を防止することができない。
【0008】
一方、インパクト成形による角形電池缶の製造は、電池缶素材となるペレットを、パンチで押し潰しながらパンチとダイスの隙間に材料を押し延ばしてパンチの外周面に沿いながら延出させることにより角形電池缶を形成できるので、トランスファ絞り工程に比較して生産性が向上するが、極めて寸法精度が悪い上に、薄肉化した場合には側面部の強度が不足する。特に、角形電池缶の場合には、電池として機能したときに、電池内圧が上昇した場合の変形が、安定な形状である円筒型電池缶に比較して大きく、より安定な形状である円筒状に向けて面積の広い長辺側板部が膨らむように変形するので、電解液の漏液や発電素子の短絡により機器の損傷が生じるおそれがある。そのため、インパクト成形による角形電池缶の製造では、電池内圧上昇時の変形を確実に防止できる強度を確保するために、薄肉化や軽量化を止むなく犠牲にした形状とする必要があり、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の向上を図ることができない。
【0009】
また、上述とは別に、角形電池缶の他の製造方法としては、角筒と底板を別々に成形加工して、角筒の底部に底板をレーザ溶接によって気密に接合することも提案(特開平6-333541号公報参照)されている。しかし、この製造方法では、トランスファ絞り工程に比較して工程数がさほど減少しない上に、角筒と底板との正確な位置決め工程やレーザ溶接工程などの面倒な作業が介在するので、生産性の向上を図ることができない。しかも、この製造方法では、薄肉化および軽量化による高エネルギー密度と電池内圧上昇時に変形しない耐圧強度との相反する要件を同時に満足できる角形電池缶を得ることができない。
【0010】
ところで、円筒型電池の電池缶の製造方法には、薄肉化して体積エネルギー密度の向上を図りながら所要の耐圧強度を確保できる電池缶を製作でき、且つ高い生産性で製造することが可能なDI工法が用いられている。このDI工法は、プレス機による深絞り加工によって製作したカップ状中間製品に対して絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行う工法であり、これにより、所定の円筒型の電池缶を製作しており、トランスファ絞り工法に比較して、工程数の低減による生産性の向上、肉厚などの寸法精度の向上、缶側周壁の肉厚減少による軽量化および容量アップに伴うエネルギー密度の向上、応力腐食の低減などの長所があり、その使用が拡大している。
【0011】
そこで、上記のDI工法によって角形電池缶を製造することが考えられる。ところが、DI工法により円筒型電池缶を製作する場合には、横断面形状が円形のカップ状中間製品から同じ横断面形状が円形の電池缶への相似形加工であって、DI加工時におけるしごき工程において周壁全体の肉厚が均等に減少するので、加工時に材料が均一に流れてスムーズに変形する。これに対し、DI加工のみにより角形電池缶を製作しようとすれば、横断面形状が円形のカップ状中間製品から横断面形状がほぼ長方形の電池缶への非相似形加工となるので、加工時の材料の流れが不均一となり、偏心による偏肉、剪断、亀裂などが生じ易く、成形時に作用する加工応力が均等でないことから、応力集中に伴って加工が困難となり、安定した加工が行えないために高精度な成形が困難となり、特に角形における面積の小さい短辺側板部に割れや破断が生じ易く、歪な形状となる箇所が生じるなどの問題が発生する。
【0012】
そこで、絞り加工によって第1の中間カップ体を成形したのち、この中間カップ体の側周壁部に対し複数回の絞り加工を繰り返して第2の中間カップ体を成形し、最後に第2の中間カップ体を衝撃押し出し加工(インパクト成形)することにより、底板部とコーナー部との缶厚みを所定値に調整する角形電池缶の製造方法(特開平10−5906号公報参照)が提案されている。しかし、この製造方法では、絞り加工、複数段のDI加工およびインパクト成形を必要とするので、工程が多くなり、しかも、最後の工程でインパクト成形することによって底板部を所要の缶厚みになるよう調整しているので、底板部および側周壁部の缶厚みの調整が非常に難しくなり、各部を所要の缶厚みとした形状の角形電池缶を高精度に得ることができない。
【0013】
これに対し、本件出願人は、DI工法を用いて高エネルギー密度と所要の耐圧強度とを有する角形電池缶を製造することのできる製造方法を先に提案している(特願平11-126873 号)。この製造方法は、第1の工程において、フープ材を打ち抜き加工して、図5(a)に示すような小判形の電池缶素材1を形成したのちに、この電池缶素材1を深絞り加工して、同図(b)に示すような、横断面形状が円形に近い略楕円形状の第1の中間カップ体2を成形する。つぎに、第1の中間カップ体2は、絞りプレス機を用いた第2の工程による複数段の連続的な再絞り加工を経て、同図(c)に示すように、第1の中間カップ体2の横断面形状よりも短径/長径の比が小さい略楕円形の横断面形状を有する第2の中間カップ体3に成形される。最後に、第2の中間カップ体3は、第3の工程において、絞り加工としごき加工とを連続的に行うDI加工することにより、同図(d)に示すように、横断面形状がほぼ長方形であって、その短辺側板部4aの厚みが長辺側板部4bの厚みよりも大きな形状を有する角形電池缶4に成形される。
【0014】
この製造方法では、3工程で所望形状の角形電池缶4を製作することができるので、従来のトランスファ絞り工法などに比較して生産性が格段に向上するとともに、DI工法を用いることによって肉厚などの寸法精度の高い角形電池缶4を得ることができる。しかしながら、この製造方法には、なお解決すべき問題が残存している。すなわち、第1の中間カップ体2をいきなりDI加工して角形電池缶を製作しようとすると、横断面形状が円形に近い略楕円形からほぼ長方形になるようDI加工することになるので、破断や割れが生じる。そのため、第2の工程を介在する必要があるが、この第2の工程では、短径が徐々に短くなるように絞って短径方向の寸法を短縮しながら、その絞りに伴う変形分の材料を長径方向に逃がすように流動させ、さらに、長径方向を所定の寸法に短縮して修正する。したがって、第2の工程では、複数段の再絞り加工を行うことになるので、工程数が多くなる。
【0015】
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、DI工法を用いながらも工程数を低減して生産性の向上を図ることができ、寸法精度が高く、且つ高エネルギー密度と所要の耐圧強度を有する角形電池缶およびこの角形電池缶を容易に得ることができる角形電池缶の製造方法並びにこの角形電池缶を用いた角形電池を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る角形電池缶の製造方法は、所定形状のペレットをインパクト成形して、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、前記中間カップ体を、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴としている。第2の発明に係る角形電池缶の製造方法は、所定形状のペレットをインパクト成形して、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の板厚みが大きくなるような形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、前記中間カップ体を、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴としている。
【0017】
この第1、第2発明に係る角形電池缶の製造方法では、任意の形状を一工程で製作可能なインパクト成形によって横断面形状が略長方形の中間カップ体を一挙に製作し、この中間カップ体をDI工法により角形電池缶に加工するので、共にパンチの1ストロークの移動のみで成形できる第1および第2の工程を有するだけであり、工程数が格段に少なくなって生産性が著しく向上する。また、中間カップ体をDI加工するので、所望形状の角形電池缶を容易、且つ確実に製作できるとともに、肉厚などの寸法精度が向上するので、肉厚を可及的に薄くしながらも十分な耐圧強度を有する角形電池缶を製造できる。
【0018】
また第1発明においては、ペレットをインパクト成形することにより、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の形状を有する中間カップ体を成形しているので、次のような利点がある。
【0019】
すなわち、長,短辺側板部の厚みが薄い中間カップ体は、DI加工時の加工負担が少なくてすむ反面、所要の厚みを有する電池缶を得るためのコントロールが難しくなり、逆に長,短側板部の厚みが厚い中間カップ体は、所要の缶厚みを有する電池缶を得るためのコントロールを容易に行える反面、DI加工時の加工負担が大きくなる。そこで、中間カップ体を、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の範囲内となる形状に形成しておけば、この中間カップ体をDI加工するときの加工負担が少なくなるとともに、所要の厚みを有する電池缶を得るためのコントロールが容易となり、特に、長辺側板部での引きちぎれなどの発生を確実に防止できる。
【0020】
また第2発明においては、ペレットをインパクト成形することにより、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の板厚みが大きい形状を有する中間カップ体を形成しているので、次のような利点がある。
【0021】
すなわち、中間カップ体は、次工程でDI加工されるときに、底板部を除く長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部がほぼ同じ比率でしごかれるので、破れや引きちぎれといった不具合の発生が確実に防止されながら、長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の板厚が大きい所要形状を有する電池缶を確実に得ることができる。
【0022】
なお、中間カップ体の横断面の形状としては、長方形の四隅にRを有するもの、長辺が平行で短辺がR形状であるもの、楕円形のものなどの略長方形のものを用いることができ、製造すべき角形電池缶の横断面形状の外形に対応する平面視形状を有するものとすることが好ましい。
【0023】
第3の発明に係る角形電池缶の製造方法は、所定形状のペレットをインパクト成形して、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、前記中間カップ体を、長方形の横断面形状を有する角形板材の少なくとも長辺側面に加工溝が格子状に形成されたDIパンチを用いて、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形であって、その少なくとも長辺側板部の缶内面に厚み方向が肉厚となるように膨出して線状に延びる複数の凸条膨出部が格子状の配置で形成された角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴としている。第4の発明に係る角形電池缶の製造方法は、所定形状のペレットをインパクト成形して、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の板厚みが大きくなるような形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、前記中間カップ体を、長方形の横断面形状を有する角形板材の少なくとも長辺側面に加工溝が格子状に形成されたDIパンチを用いて、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形であって、その少なくとも長辺側板部の缶内面に厚み方向が肉厚となるように膨出して線状に延びる複数の凸条膨出部が格子状の配置で形成された角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴としている。
【0024】
この第3、第4発明に係る角形電池缶の製造方法では、第1、第2の発明と同様の効果を得られるのに加えて、第2の工程のDI加工において、中間カップ体の缶内面側の材料の一部が塑性変形されながらDIパンチの加工溝内に入り込むので、中間カップ体の缶内面側の材料が、DIパンチとの間に抵抗を付加された状態となることによってDIパンチと一体的に移動するとともに、中間カップ体の缶外面側の材料がダイスで主にしごかれるので、ダイスとDIパンチとの間での材料余りの現象を抑制して材料の流れを円滑にすることができる。また角形電池缶の長辺側板部のみに凸条膨出部を形成するようにすれば、長辺側板部での加工速度を抑制して、全体の加工速度を一定化することができる。その結果、この製造方法では、缶内面および缶外面に共に波打ち形状が生じない均一な缶厚みを有する角形電池缶を製缶することができる。さらに製缶された角形電池缶は、可及的に薄い肉厚としながらも、格子状の凸条膨出部が恰も補強桟として機能して膨らみ変形を効果的に抑制できる強度を有するので、極めて高い耐圧強度を有したものとなる。
【0025】
上記第3、4の発明において、格子状を構成する複数の加工溝が互いに交差する交点を介して相互に連通された状態で刻設されたDIパンチを用いてDI加工を行い、各交点を介して相互に連結された格子状を形作る複数の凸条膨出部を缶内面に形成することが好ましい。これにより、製缶された角形電池缶は、凸条膨出部によって強度が増大する方向が2方向以上となって、極めて高い耐圧強度を有するものとなる。
【0026】
第5の発明に係る角形電池缶の製造方法は、所定形状のペレットをインパクト成形して、中間カップ体を成形する第1の工程と、前記中間カップ体を、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形の電池缶素体を成形する第2の工程と、前記電池缶素体に、角形板材の少なくとも長辺側板部に加工溝が格子状に形成された加工用中子を圧入する第3の工程と、前記電池缶素体の両側の長辺側板部の外面の全体に押圧部材を押し当てて加圧することにより、前記電池缶素体の缶内面の材料の一部を塑性変形させながら前記加工溝内に入り込ませて、前記缶内面に前記加工溝に対応する格子状の凸条膨出部を転写形成する第4の工程とを有していることを特徴としている。
【0027】
この角形電池缶の製造方法では、第1、第2の発明と同様の効果を得られるのに加えて、第3、4の発明によって得られる電池缶と同等の電池缶を簡単な工程で製造することができる。
【0028】
上記各発明において、電池缶素材またはこの電池缶素材を所定形状に形成したペレットにアニール処理を施したのち、前記ペレットをインパクト成形することが好ましい。これにより、インパクト成形時のペレットの伸び性が良好となり、インパクト成形により得られた中間カップ体は、その側面部の肉厚のばらつきが小さいものとなる。
【0029】
また、上記各発明において、インパクト成形により得られた中間カップ体にアニール処理を施したのち、前記中間カップ体をDI加工することが好ましい。これにより、中間カップ体は、インパクト成形時に生じた加工硬化が緩和されて材料の伸び性が良好となるから、DI加工が容易となる利点がある。
【0030】
さらにまた、上記各発明において、ペレットを、アルミニウムまたはアルミニウム合金を素材として形成することが好ましい。これにより、延伸性の良好な素材によって第1の工程のインパクト成形を円滑に行うことができる。
【0031】
また、上記各発明において、ペレットを、製造すべき角形電池缶の横断面形状の外形に対応する平面視形状を有する小判形または略長方形に形成することが好ましい。これにより、ペレットを小判形とした場合には、インパクト成形時に生じる応力に起因する形状の潰れを防止して、中間カップ体を所要形状に確実に成形加工することができる。一方、ペレットを略長方形とした場合には、形成すべき角形電池缶に近い外形を有する中間カップ体を形成できるから、この中間カップ体をDI加工して所定の角形電池缶を製作するときの加工負担が軽減される。
【0032】
本発明の角形電池缶は、上記各発明の何れかの製造方法により製造されて、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の缶厚みが大きくなる形状を有している。
【0033】
これにより、電池内圧の上昇時には、長辺側板部を外方へ膨らみ変形させようとする力と、短辺側板部を内方に凹ませようとする力とが同時に作用するのに対し、長辺側板部よりも大きな缶厚みとした短辺側板部が長辺側板部の外方への膨らみ変形を効果的に阻止する。また、長辺側板部はコーナー部を恰も支点として外方へ膨らみ変形しようとするので、短辺側板部よりもさらに缶厚みを大きくしたコーナー部は長辺側板部の外方への膨らみ変形を効果的に阻止する。したがって、長辺側板部は、缶厚みを最も小さく設定しながらも、電池内圧の上昇に伴い外方へ膨らみ変形しようとするのが効果的に防止されて、十分な耐圧強度を確保できるとともに、周壁部分において最も表面積の大きい長辺側板部の缶厚みを最小としたことによって発電要素を収容する容積を大きくできる。特に、長辺側板部に格子状の凸条膨出部を形成する場合には、凸条膨出部によって膨らみ変形を効果的に抑制できるので、長辺側板部の缶厚みを可及的に薄くできる。また、コーナー部の缶厚みは、電池缶に収納する電極群との間に生じる空隙分だけ内方に膨出させた形状で肉厚にしても、電極群の収容量の減少を招かない。
【0034】
上記各発明における凸条膨出部を缶内面に形成する角形電池の製造方法の何れかにより製造されて、長辺側板部の缶厚みは0.25mm以下に設定することができる。すなわち、長辺側板部は、格子状の凸条膨出部によって膨らみ変形が効果的に抑制されるので、0.25mm以下の可及的に小さい缶厚みに形成することが可能となる。換言すれば、この電池缶は、長辺側板部の缶厚みを0.25mm以下に薄くした場合に膨らみ変形が生じ易くなる課題を、格子状の凸条膨出部を形成することによって解消したものである。
【0035】
本発明の角形電池は、上記各発明の角形電池の製造方法の何れかによって製造された角形電池缶を用いて、この角形電池缶の内部に発電要素を収納し、且つ開口部を封口体で液密に封止することによって構成されている。
【0036】
この角形電池は、角形電池缶を少ない工程数で製作できる分だけ生産性が向上し、また、肉厚などを高い寸法精度で形成できる角形電池缶の肉厚を可及的に薄く形成することにより、体積エネルギー密度の向上を図りながらも十分な耐圧強度を有するものとなる。
【0037】
また、上記発明の角形電池缶の製造方法において、先端面に凹凸を有するパンチを用いてペレットをインパクト成形して、中間カップ体を成形することが好ましい。これにより、パンチの先端面がペレットに対し所定の相対位置で当接したときに、パンチの先端面の凹凸がペレットの表面に食い込むことにより、以後のインパクト成形過程においてパンチがペレットに対し位置ずれすることなく所定の相対位置に保持されながら中間カップ体が成形される。そのため、ペレットの変形に伴って材料がパンチの周囲に均等に、且つ円滑に流動するので、偏肉のない中間カップ体を確実に成形加工することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態の角形電池缶の製造方法における製造工程を概略的に説明する。この角形電池缶の製造方法では、図1の概略縦断面図に示す第1の工程において、図3に示すように、電池缶素材としてのペレット7は、製造すべき角形電池缶の横断面形状の外形に対応する平面視形状である同図(a)の小判形または同図(c)に示す略長方形に形成する。そして、このペレット7をインパクト成形することにより、同図(b)に示す短径/長径の比の小さい略楕円形状の横断面形状を有する中間カップ体8または同図(d)に示す略長方形の横断面形状を有する中間カップ体8を形成し、この中間カップ体8を、図2の概略縦断面図に示す第2の工程においてDI加工することにより、図3(e)の一部破断した斜視図に示す所望形状の角形電池缶9を製作する。以下、第1および第2の工程について順次詳述する。
【0039】
上記ペレット7を小判形とした場合には、インパクト成形時に生じる応力に起因する形状の潰れを防止して、中間カップ体8を所要形状に確実に成形加工することができる。一方、ペレット7を略長方形とした場合には、形成すべき角形電池缶9に近い外形を有する中間カップ体8を形成できるから、この中間カップ体8をDI加工して所定の角形電池缶9を製作するときの加工負担が軽減される。
【0040】
図1は、第1の工程においてインパクト成形を行うプレス機を示し、ダイスホルダ10にダイス11が固定されている。このダイス11の加工孔11aには、図3(a)または同図(c)に示した電池缶素材としてのペレット7が供給される。ペレット7の材料としては、製造すべき角形電池缶9の軽量化を図れることと、この第1の工程におけるインパクト成形に要求される展伸性を有していることとにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いる。特に、アルミニウム合金はマンガンを含んでいることが好ましい。具体的には、JIS規格のH4000のA1000番〜A5000番の化学成分を有するアルミニウム合金を用いる。このようなアルミニウム合金はインパクト成形に極めて適した展伸性を有しているとともに、成形後に好ましい加工硬化を得ることができる。さらに好ましくは、A3000番の化学成分を有するアルミニウム合金を用いれば良く、この場合には電池缶としての特性が優れたものとなる。
【0041】
また、ペレット7は、上述のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電池缶素材を打ち抜き加工することにより、図3(a)に明示するような平面視形状が製造すべき角形電池缶9の横断面形状に近い楕円形を有する小判形または図3(c)に示す略長方形に形成されている。このような形状としたペレット7には、250 °C〜400 °Cの温度で0.5 時間〜3時間(好ましくは1時間前後)のアニール処理が施される。このアニール処理は、ペレット7を打ち抜き加工する前の電池缶素材に対し施してもよいが、打ち抜き加工により得られたペレット7に対し施すことが好ましい。
【0042】
上記ペレット7がダイス11の加工孔11aに挿入されると、図1(b)に示すように、パンチホルダ12に保持されたパンチ13はダイス11側に近接移動されて、ダイス11の加工孔11a内に打ち込まれる。それにより、ペレット7は、パンチ13によって押し潰されて、パンチ13と加工孔11aの孔壁との隙間に押し込まれるように展延されながら、パンチ13の外周面に沿って伸び上がっていくように鋳造される。
【0043】
上記のインパクト成形では、パンチ13の先端面に形成された凹凸面13aがペレット7に当接した時点でペレット7の表面に食い込むことにより、以後のインパクト成形過程においてパンチ13がペレット7に対し位置ずれすることなく所定の相対位置に保持される。そのため、加工の進行に伴って変形するペレット7の材料がパンチ13の周囲に均等に、且つ円滑に流動するので、偏肉のない高精度な中間カップ体8を確実に成形加工することができる。なお、凹凸面13aはローレットのような網目状に形成するのが好ましい。また、上記凹凸面13aは必ずしも必要なものではなく、先端面が平面となったパンチでインパクト成形しても、ほぼ所要の形状の中間カップ体を得ることが可能である。パンチ13が所定のストロークだけ移動し終えたときには、図3(b)または同図(d)に示す形状の中間カップ体8が成形される。この中間カップ体8の底面には、パンチ13の凹凸面13aが転写された凹凸面8dが形成される。この中間カップ体8は上述したアニール処理が施されて良好な伸び性となったペレット7をインパクト成形して得られたものであるから、この点からも、この中間カップ体8は、その側面部の肉厚のばらつきが一層小さいものとなる。
【0044】
上記中間カップ体8は、図5(c)に示す第2の中間カップ体3と略同形状であって、横断面形状が所望の略楕円形状または略長方形の形状を有している。したがって、この製造方法では、上述した先願の製造方法において深絞り加工を行う第1の工程と再絞り加工を行う第2の工程とを経て製作していた第2の中間カップ体3と同等の中間カップ体8を、第1の工程のインパクト成形を行うことによって一挙に成形加工することができる。但し、この中間カップ体8は、インパクト成形による一工程で形成されたものであるから、歪に変形した箇所が若干存在するが、これは、後述する第2の工程におけるDI工法において十分に修正できるので、何ら問題がない。
【0045】
つぎに、所定のストロークだけ移動し終えたパンチ13は、図1(c)に示すように、ダイス11から離間して元の位置に向け移動する。このとき、成形加工された中間カップ体8は、パンチ13に付着した状態でパンチ13によって加工孔11aから引き出されたのちに、ストリッパ14によってパンチ13から取り外される。
【0046】
ところで、後述の第2の工程のDI加工では、材料が中心方向に集まろうとする応力が作用することから、得られる電池缶が潰れた形状になる傾向がある。これに対し、この実施の形態では、予め小判形または長方形に形成したペレット7をインパクト成形して略楕円形または略長方形の横断面形状の中間カップ体8を形成して、この中間カップ体8をDI加工するので、応力による潰れを防止して、あるいは加工負担を軽減して、所要形状の電池缶を成形加工することができる。
【0047】
上記中間カップ体8の厚みは、パンチ13とダイス11の加工孔11aの孔壁との隙間によって任意に設定される。側面部の肉厚が薄い中間カップ体8は、後工程のDI加工時の加工負担が少なくてすむ反面、所要の肉厚を有する電池缶を得るためのコントロールが難しくなり、逆に側面部の肉厚が厚い中間カップ体8は、所要の肉厚を有する電池缶9を得るためのコントロールを容易に行える反面、DI加工時の加工負担が大きくなる。そこで、中間カップ体8は、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の範囲内となる形状に形成しておけば、この中間カップ体8をDI加工するときの加工負担が少なくなるとともに、所要の肉厚を有する電池缶9を得るためのコントロールが容易となり、特に、長辺側板部の引きちぎれといった不具合の発生を確実に防止できる。
【0048】
上記中間カップ体8は、上述のアニール処理を施した電池缶素材またはペレット7をインパクト成形して得られたものである場合においても、再度アニール処理を施してからDI加工することが好ましい。このアニール処理は、250 °C〜400 °Cの温度で0.5 時間〜3時間(好ましくは1時間前後)程度行う。これにより、中間カップ体8は、インパクト成形時に生じた加工硬化が緩和されて材料の伸び性が良好となり、次工程のDI加工を行い易い状態となる。
【0049】
そして、この中間カップ体8は、図2に示す第2の工程において、絞り兼しごき加工機によって1段の絞り加工と3段のしごき加工とを連続的に一挙に施すDI加工されることにより、所望形状の角形電池缶9となる。この絞り兼しごき加工機は、中間製品搬送部17、ダイス機構18およびストリッパ19などを備えて構成されている。ダイス機構18には、絞りダイス18Aおよび第1ないし第3のしごきダイス18B〜18Dが配設され、これらダイス18A〜18Dは、DIパンチ20の軸心と同心となるように直列に配置されている。
【0050】
中間製品搬送部17は、中間カップ体8を順次成形箇所に搬送する。成形箇所に搬送されて位置決めされた中間カップ体8は、はずみホイール(図示せず)によって駆動されるDIパンチ20の押動により、絞りダイス18Aによってその形状がDIパンチ20の外形状に沿った形状になるように絞られる。この絞りダイス18Aを通過し終えたカップ体は、中間カップ体8に対し長径方向および短径方向の各寸法を若干小さく、且つ胴長に変形されて、所望の角形電池缶9の横断面形状である略長方形に近い略楕円形状に成形されるが、その肉厚などに変化がない。
【0051】
つぎに、絞りダイス18Aを通過し終えたカップ体は、DIパンチ20の押動が進むことにより、第1のしごきダイス18Bによって第1段のしごき加工が施され、側周部が展伸されてその肉厚が小となるとともに加工硬化によって硬度が高められる。この第1のしごきダイス18Bを通過し終えたカップ体は、DIパンチ20の押動がさらに進むことにより、第1のしごきダイス18Bよりも小さいしごき加工孔を有する第2のしごきダイス18C、次いで第2のしごきダイス18Cよりも更に小さいしごき加工孔を有する第3のしごきダイス18Dによって、第2段および第3段のしごき加工が順次施され、その周壁部は順次延伸され、肉厚が更に小となるとともに加工硬化によって硬度が高められる。第3のしごきダイス18Dを通過し終えると、所望形状の角形電池缶9が出来上がる。この場合、短径/長径の比が小さい略楕円形状、つまり長方形に近い楕円形状の横断面形状とした中間カップ体8をDI加工するので、無理なくDI加工して所望形状の角形電池缶9を安定に製作できる。
【0052】
この角形電池缶9は、ストリッパ19によって絞り兼しごき加工機から取り外されたのちに、その側上部(耳部)が上記の各加工を経たことによって多少歪な形状になっているので、その耳部が切断されて、図3(e)に示す角形電池缶9となる。この電池缶9の底面には、インパクト成形時に形成された凹凸面8dがそのまま残存している。
【0053】
この実施の形態の角形電池缶9の製造方法では、上述した先願の角形電池缶の製造方法では深絞り加工による第1の工程と複数段の再絞り加工による第2の工程を経ることによって製作していた第2の中間カップ体3と同等の中間カップ体8をインパクト成形による一工程で製作する第1の工程と、生産速度に優れたDI加工による第2の工程とにより、所望形状の角形電池缶9を製作できるので、先願の製造方法に比較して工程数が大幅に低減して生産性が格段に向上し、長方形に近い楕円形状の横断面形状とした中間カップ体8をDI加工するので、所望形状の角形電池缶9を容易に製作することができる上に、DIパンチ20の1ストロークの作動で成形するDI加工によって肉厚などの寸法精度が向上する利点がある。
【0054】
なお、この実施の形態により得られた図3(e)の角形電池缶9は、全体に均等な肉厚を有しているが、この実施の形態の第1の工程のインパクト成形は、パンチ13とダイス11の加工孔11aの孔壁との隙間の設定によって任意の形状に容易に成形できる良好な形状選択性を有しているから、先願の製造方法により得られる図5(d)の角形電池缶4のように、横断面形状がほぼ長方形であって、その短辺側板部4aの厚みが長辺側板部4bの厚みよりも大きな形状に形成することも容易である。
【0055】
さらに、この製造方法では、図3(f)の縦断面図に示すような形状の角形電池缶21をも容易に製作することができる。この角形電池缶21は、短辺側板部21aおよび長辺側板部21bにおける開口部周辺、つまり角形電池としたときの封口部周辺に、他の部分よりも肉厚が約10%薄い薄肉部21cが形成されている。この薄肉部21cは、第2の工程における絞り兼しごき加工機のDIパンチ13の所定部分を僅かに大きな径に膨らんだ形状とすることによって形成できる。
【0056】
つぎに、上述の実施の形態に係る角形電池缶9,21の製造方法に係る具体例について説明する。先ず、第1の工程を実施したときの実測値を示すと、ペレット7は、アルミニウムを材料とした小判形であって、その厚みが3.6 mm、長径が30.9mm、短径が9.8 mmである。中間カップ体8は、厚みが0.4 mm、長径が31.1mm、短径が10.0mmである。続いて、第2の工程を経て製作した図3(c)に示す角形電池缶9は、短辺側板部9aおよび長辺側板部9bの厚みが0.2 mm以下、底板部の厚みが0.4 mm、長辺が29.5mm、短辺が5.3 mmである。このような形状の変換を経ることにより、歪な変形が殆ど無く、高い寸法精度を有する角形電池缶9を円滑に製作することができた。
【0057】
また、同様の角形電池缶を他のペレット形状にて製造した製造方法に係る具体例について説明する。先ず、第1の工程を実施したときの実測値を示すと、ペレットは、アルミニウムを材料とした横断面形状が長方形の四隅にRを有する略長方形の小判形であって、その厚みが3.6 mm、長辺が29.5mm、短辺が5.0 mmである。中間カップ体は、厚みが0.4 mm、長辺が30.0mm、短辺が5.5 mmである。
【0058】
続いて、第2の工程を経て先の図3(e)に示す角形電池缶9と同様の電池缶、短辺側板部9aおよび長辺側板部9bの厚みが0.2 mm、底板部の厚みが0.4 mm、長径が29.5mm、短辺が5mmを作製した。このような形状の変換を経ることにより、歪な変形が殆ど無く、高い寸法精度を有する角形電池缶9を円滑に製作することができた。特に、横断面形状が長方形の四隅にRを有する略長方形とすることにより、DI工程において、底面の膨れを抑制でき、また、曲げ、絞り加工率が小さく、DI工程での絞り加工が容易になる等の利点を有する。
【0059】
図4は、図3(f)に示す角形電池缶21を用いて構成した角形のリチウムイオン二次電池を示す縦断面図である。この角形電池は、角形電池缶21の開口部内周縁部に封口板22が嵌着され、この角形電池缶21と封口板22の嵌合部23はレーザ溶接により一体化されて、液密且つ気密に封口されている。封口板22は、その中央部が内方へ凹む形状に形成され、且つ貫通孔24が形成されており、この貫通孔24には、ブロンアスファルトと鉱物油との混合物からなる封止剤を塗布した耐電解液性で、且つ電気絶縁性の合成樹脂製ガスケット27が一体に取り付けられている。
【0060】
上記ガスケット27には、負極端子を兼ねるニッケルまたはニッケルめっき鋼製のリベット28が固着されている。このリベット28は、ガスケット27の中央部に挿入されて、その下部にワッシャ29を嵌合させた状態において先端部がかしめ加工されることによって固定され、ガスケット27に対し液密且つ気密に密着されている。なお、この実施の形態のガスケット27は、射出成形によって封口板22と一体形成されている。負極端子を兼ねるリベット28と封口板22の長辺側の外縁との間には略楕円形の排気孔30が設けられ、この排気孔30は、封口板22の内面に圧着して一体化されたアルミニウム箔31により閉塞されて、防爆用安全弁が形成されている。
【0061】
角形電池缶21における発電要素の収納部には電極群32が収納されている。この電極群32は、微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ33を介して各1枚の正極板(図示せず)および負極板(図示せず)を巻回し、最外周をセパレータ33で包んで横断面が長円形に形成されている。この電極群32の正極リード34は、封口板22の内面に対しレーザビームによるスポット溶接により接続され、負極リード板37は、ワッシャ29に対し抵抗溶接により接続されている。
【0062】
封口板22には注液孔38が設けられており、この注液孔38から所定量の有機電解液が注入される。そののち、注液孔38は蓋板39を嵌着して施蓋され、蓋板39と封口板22とをレーザ溶接することにより、角形電池が出来上がる。なお、電極群32は、横断面が長円形になるように巻回したものを用いる場合について説明したが、この角形電池缶21は、一般的な角形セルのように、セパレータ33を介して複数枚の正極板および負極板を積層して構成された電極群を収納して角形電池を構成する場合にも適用できる。
【0063】
この角形電池は、上記実施の形態の製造方法により製作される角形電池缶21を用いて構成するので、角形電池缶21を少ない工程数で製作できる分だけ生産性が向上する。また、角形電池缶21はDI工法によって肉厚などを高い寸法精度で形成できるから、角形電池缶21の肉厚を可及的に薄く形成すれば、この角形電池は、体積エネルギー密度の向上を図りながら十分な耐圧強度を有するものとなる。このような効果は、図3(e)の角形電池缶9を用いた場合にも同様に得ることができるが、角形電池缶21を用いた場合には、封口板22と角形電池缶21との嵌合部23をレーザ溶接するに際し、封口板22が角形電池缶21の薄肉部21cと他の部分との段部に支持されるから、封口板22を支持するための手段が不要となってレーザ溶接を容易に行える利点がある。
【0064】
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る角形電池缶の製造方法について説明する。この製造方法では、図1に示す第1の工程においてインパクト成形することにより、第1の実施の形態と同様の中間カップ体8を成形加工し、この中間カップ体8を、図6に示す第2の工程において、絞り兼しごき加工機によってDI加工するものである。図6において、図2と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この絞り兼しごき加工機が図2のものと相違するのは、DIパンチ40の構成が異なるのみである。すなわち、DIパンチ40は、図7(a)の斜視図および(a)のA部の拡大図である同図(b)に示すように、製造すべき角形電池缶に対応した横断面形状が略長方形の角形板材状の外形を有し、その両長辺側面における下端から所定位置までの箇所に格子状の加工溝41が形成されている。この格子状の加工溝41は、互いに交差する交点42を介して相互に連通されている。
【0065】
この第2の工程におけるDI加工は、基本的に第1の実施の形態の第2の工程と同様であるが、異なる点についてのみ説明する。図8に示すように、中間カップ体8が絞りダイス18Aおよび第1ないし第2のしごきダイス18B〜18Cを通過して絞り加工およびしごき加工されたカップ体36が第3のしごきダイス18Dを通過するときには、この第3のしごきダイス18Dの最も小さいしごき加工孔による加圧力によってカップ体36の缶内面がDIパンチ40の外面に強く圧接される。これにより、そのカップ体36の缶内面側の材料の一部が塑性変形されながらDIパンチ40の加工溝41内に押し込められ、加工溝41がカップ体36の缶内面に転写されて、加工溝41に対応する格子状の凸条膨出部43が形成される。
【0066】
上記のカップ体36の缶内面に凸条膨出部43が形成されるときには、カップ体36の缶内面側の材料が、DIパンチ40との間に抵抗を付加された状態となることによって殆ど加工されずにDIパンチ40と一体的に移動するとともに、カップ体36の缶外面側の材料が第3のしごきダイス18Dで主にしごかれるので、第3のしごきダイス18DとDIパンチ40との間での材料余りの現象を抑制して材料の流れを円滑にすることができる。しかも、カップ体36の長辺側板部のみに凸条膨出部43を形成するようにしているので、長辺側板部での加工速度を抑制して、全体の加工速度を一定化することができる。
【0067】
その結果、この製造方法では、缶内面および缶外面に共に波打ち形状が生じない均一な缶厚みを有する角形電池缶を製缶することができる。換言すると、仮に、長辺側面が平面となった角形板材状のDIパンチでDI加工した場合には、カップ体36の缶内面側および缶外面側の材料がDIパンチおよびしごきダイスに沿って加工されないため、材料余りの現象が生じて、DIパンチとしごきダイスとの間のクリアランスよりも細い缶厚みが部分的に生じる波打ちが生じてしまう。また、角形電池缶をDI加工する場合には、その長辺側板部の加工速度が短辺側板部よりも速くなってしまい、長辺側板部が延伸して薄くなってしまうが、このような不具合は、この実施の形態の製造方法を採用することによって一挙に解消することができる。
【0068】
図9は上記第2の実施の形態の製造方法によって得られた角形電池缶44の縦断面形状を示す斜視図、同図(b)はその電池缶44の一部を拡大して示した斜視図、(c)は一部の拡大断面図である。この角形電池缶44は、横断面形状が長方形となった有底角筒状の外形を有し、その長辺側板部44aの缶内面に、DIパンチ40の加工溝41の格子状と同様の格子状となった多数の凸条膨出部43が形成されており、これら各凸条膨出部43は交点47を介して相互に連結されている。
【0069】
この角形電池缶44は、可及的に薄い肉厚としながらも、格子状の凸条膨出部43が恰も補強桟として機能して膨らみ変形を効果的に抑制できる強度を有するので、極めて高い耐圧強度を有したものとなり、しかも、缶外面および缶内面が共に波打ちの無い高精度な平面になっている。さらに、この角形電池缶44は、凸条膨出部43が交点47を介して相互に連結されているから、凸条膨出部43によって強度が増大する方向が2方向以上となって、一層高い耐圧強度を有するものになっている。
【0070】
図9(c)を参照しながら具体的に説明すると、凸条膨出部43は、膨出高さH、幅Wおよび間隔Kをつぎのような範囲内の値に設定して電池缶の缶内面に形成すれば、十分なエネルギー密度を確保しながらも、電池内圧の上昇に対し膨らみ変形を効果的に抑制できる所要の効果が得られる。
【0071】
すなわち、凸条膨出部43の膨出高さHは、電池缶の缶厚み(角形電池缶では長辺側板部44aの缶厚み)Dの5〜50%の範囲に設定することが好ましい。5%未満では膨らみ変形を抑制する効果が少なく、50%以上では、電池缶の容積が減少して体積エネルギー密度の低下を招くだけでなく、電池缶の製缶自体が困難となる。より好ましい膨出高さHは、缶厚みDの5〜20%の範囲内の値に設定することであり、最も好ましい膨出高さHは、缶厚みDの5〜10%の範囲内に設定することであり、具体的な数値は0.01mm〜0.02mmである。
【0072】
また、凸条膨出部43の幅Wは、上記膨出高さHの1〜30倍の範囲内に設定することが好ましい。1倍以下では膨らみ変形を効果的に抑制できる膨出高さHを有する凸条膨出部43を形成することができず、30倍以上では電池缶の内容積が小さくなって体積エネルギー密度の低下を招く。より好ましい幅Wは膨出高さHの5〜20倍の範囲内の値に設定することであり、最も好ましい幅Wは膨出高さHの10〜15倍の範囲内に設定することである。
【0073】
さらに、凸条膨出部43の間隔Kは、上記幅Wの2〜20倍の範囲内に設定することが好ましい。2倍以下では電池缶の内容積が小さくなって体積エネルギー密度の低下を招き、20倍以上では膨らみ変形を抑制する効果が不十分となる。より好ましい間隔Kは幅Wの5〜15倍の範囲内に設定することである。
【0074】
また、図10(a)は上記第2の実施の形態の製造方法における第1の工程を経て製作された中間カップ体8の開口部から見た図、(b)は第2の工程を経ることにより製造された角形電池缶44の開口部から見た図である。(a)の中間カップ体8は、長辺側板部8aの厚みT1 、短辺側板部8bの厚みT2 、コーナー部8cの厚みT3 が、T1 <T2 <T3 の相対関係となった形状を有している。具体的には、長辺側板部8aの厚みT1 が0.40mm、短辺側板部8bの厚みT2 が0.55mm、コーナー部8cの厚みT3 が0.75mmである。なお、底板部の厚みは0.40mmである。第1のインパクト成形は、上述したように、パンチ13とダイス11の加工孔11aの孔壁との隙間の設定によって任意の形状に容易に成形できる良好な形状選択性を有しているから、上記した各部の厚みT1 〜T3 が異なる形状の中間カップ体8を容易、且つ一工程で迅速に製作することができる。
【0075】
上記形状とした中間カップ体8は、次工程でDI加工されるときに、底板部を除く長辺側板部8a、短辺側板部8bおよびコーナー部8cがほぼ同じ比率でしごかれるので、破れや引きちぎれといった不具合の発生が確実に防止されながら、目的とする所要の缶厚み有する電池缶44を確実に得ることができる。
【0076】
(b)の角形電池缶44は、長辺側板部44aの缶厚みt1 、短辺側板部44bの缶厚みt2 、コーナー部44cの缶厚みt3 が、中間カップ体8と同様に、t1 <t2 <t3 の相対関係の形状を保持している。具体的には、長辺側板部44aの缶厚みt1 が0.20mm、短辺側板部44bの缶厚みt2 が0.30mm、コーナー部44cの缶厚みt3 が0.50mmである。これは、中間カップ体8の周側面の全体がDI加工によってほぼ均等に薄くなるよう成形された結果である。なお、底板部の厚みは中間カップ体8と同じ0.40mmのままである。
【0077】
したがって、所望形状の角形電池缶44の各部の缶厚みt1 〜t3 の比率に対応した比率の厚みT1 〜T3 を有する中間カップ体8をインパクト成形によって予め製作しておけば、DI加工では、所要の缶厚みt1 〜t3 を有する角形電池缶44を得るためのコントロールが容易となり、且つ加工負担が小さくなる。また、底板部は、第1の工程のインパクト成形した時点で所定の缶厚みに成形され、且つその缶厚みがDI加工を経ても変化しないので、可及的に少ない工程で確実に所定の缶厚みに形成することがでる。
【0078】
上記形状とした電池缶44は、電池内圧の上昇時に、長辺側板部44aを外方へ膨らみ変形させようとする力と、短辺側板部44bを内方に凹ませようとする力とが同時に作用するので、長辺側板部44aよりも大きな缶厚みt2 とした短辺側板部44bが長辺側板部44aの外方への膨らみ変形を効果的に阻止する。また、長辺側板部44aはコーナー部44cを恰も支点として外方へ膨らみ変形しようとするので、短辺側板部44bよりもさらに缶厚みt3 を大きくしたコーナー部44cは長辺側板部44aの外方への膨らみ変形を効果的に阻止する。
【0079】
したがって、長辺側板部44aは、缶厚みt1 を最も小さく設定しながらも、電池内圧の上昇に伴い外方へ膨らみ変形しようとするのが効果的に防止されて、十分な耐圧強度を確保できるとともに、周壁部分において最も表面積の大きい長辺側板部44aの缶厚みt1 を最小としたことによって発電要素を収容する容積を大きくできる。また、コーナー部44cの缶厚みt3 は、電池缶44に収納する電極群との間に生じる空隙分だけ内方に膨出させた形状で肉厚にしても、電極群の収容量の減少を招かない。
【0080】
また、上記角形電池缶44の長辺側板部44aの缶厚みt1 は、上述したように0,20mmと可及的に薄くできる。何故ならば、長辺側板部44aは、格子状の凸条膨出部43によって膨らみ変形が効果的に抑制されるので、0.25mm以下の可及的に小さい缶厚みt1 に形成することができる。換言すれば、この角形電池缶44は、長辺側板部44aの缶厚みt1 を0.25mm以下に薄くした場合に膨らみ変形が生じ易くなる課題を、格子状の凸条膨出部43を形成することによって解消したものである。
【0081】
図11(a),(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る角形電池缶の製造方法の製造過程を工程順に示した概略斜視図である。この製造方法では、第1の実施の形態における第1の工程および第2の工程と同様の工程を経て、図3(e)に示すように、第1の実施の形態の角形電池缶9に相当する電池缶素体48を製作する。
【0082】
そして、図11(a)に示すように、上記電池缶素体48内には加工用中子49を圧入する。この加工用中子49は、上記電池缶素体48内に嵌入することのできる略長方形の横断面形状を有する角形板材状であって、その両側の長辺側面に格子状の加工溝50が形成されている。すなわち、加工用中子49は、第2の実施の形態の第2工程で用いたDIパンチ40と略同様の形状を有したものである。
【0083】
図11(b)に示すように、内部に加工用中子49を嵌入した電池缶素体48の両側の長辺側板部の開口端の外面には、一対の押圧ローラ51が圧力を加えた状態で押し付けられる。そして、電池缶素体48は、(b)に矢印で示すように、両側から圧力を加えられた一対の押圧ローラ51間を通り抜けるように移動される。このとき、電池缶素体48の両長辺側板部は、押圧ローラ51による加圧力で缶内面が加工用中子49に強く圧接されることにより、缶内面の材料の一部が塑性変形しながら加工用中子49の加工溝50内に入り込んで缶内面に加工溝50が転写されて、第2の実施の形態で示したと同様の電池缶が出来上がる。したがって、この製造方法では、第2の実施の形態と同様の角形電池缶を、スムーズな材料流れによって高精度に製造することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上のように本発明の角形電池缶の製造方法によれば、任意の形状に一工程で製作できるインパクト成形によって横断面形状が略楕円形の中間カップ体を一挙に製作し、この中間カップ体をDI工法により角形電池缶とするようにしたので、共にパンチの1ストロークの移動のみで成形する第1および第2の2工程を有するだけであり、工程数が格段に少なくなって生産性が著しく向上する。また、中間カップ体をDI加工するので、所望形状の角形電池缶を容易、且つ確実に製作できるとともに、肉厚などの寸法精度が向上するので、肉厚を可及的に薄くしながらも十分な耐圧強度を有する角形電池缶を製造できる。
【0085】
以上のように本発明の角形電池缶によれば、電池内圧の上昇時には、長辺側板部よりも大きな缶厚みとした短辺側板部が長辺側板部の外方への膨らみ変形を効果的に阻止する。また、長辺側板部はコーナー部を恰も支点として外方へ変形しようとするので、短辺側板部よりもさらに缶厚みを大きくしたコーナー部は長辺側板部の外方への膨らみ変形を効果的に阻止する。したがって、長辺側板部は、缶厚みを最も小さく設定しながらも、電池内圧の上昇に伴い外方へ膨らみ変形しようとするのが効果的に防止されて、十分な耐圧強度を確保できるとともに、周壁部分において最も表面積の大きい長辺側板部の缶厚みを最小としたことによって発電要素を収容する容積を大きくできる。
【0086】
また、本発明の角形電池によれば、角形電池缶を少ない工程数で製作できる分だけ生産性が向上し、また、肉厚などを高い寸法精度で形成できる角形電池缶の肉厚を可及的に薄く形成することにより、体積エネルギー密度の向上を図りながらも十分な耐圧強度を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)は本発明の第1の実施の形態に係る角形電池缶の製造方法における第1の工程を工程順に示した概略縦断面図。
【図2】 同上実施の形態における第2の工程の概略縦断面図。
【図3】 (a)、(c)は同上実施の形態における電池缶素材となるペレットを示す斜視図、(b)、(d)は第1の工程で製作された中間カップ体を示す斜視図、(e)は第2の工程を経て製作された角形電池缶を示す一部破断した斜視図、(f)は第2の工程を経て製作された他の角形電池缶を示す縦断面図。
【図4】 図3(c)の角形電池缶を用いて構成した角形電池を示す縦断面図。
【図5】 (a)は従来の角形電池缶の製造方法における電池缶素材を示す平面図、(b)は第1の工程で製作された第1の中間カップ体を示す斜視図、(c)は第2の工程で製作された第2の中間カップ体を示す斜視図、(d)は第3の工程を経て製作された角形電池缶を示す一部破断した斜視図。
【図6】 本発明の第2の実施の形態に係る角形電池缶の製造方法における第2の工程の概略横断面図。
【図7】 (a)は同上の製造方法における第2の工程で用いるDIパンチを示す斜視図、(b)は(a)のA部の拡大図。
【図8】 同上の製造方法における第2の工程における製缶過程を示す一部の断面部。
【図9】 (a)は同上の製造方法によって製造された角形電池缶を示す縦断面形状を示す斜視図、(b)はその電池缶の缶内面の一部を拡大して示した斜視図、(c)は電池缶の一部の拡大断面図。
【図10】 (a)は同上の製造方法における第1の工程によって製作された中間カップ体の開口部から見た図、(b)は第2の工程を経ることにより製造された角形電池缶の開口部から見た平面図。
【図11】 (a),(b)は本発明の第3の実施の形態に係る角形電池缶の製造方法の製造過程を工程順に示した概略斜視図。
【符号の説明】
7 ペレット
8 中間カップ体
9,21,44,48 角形電池缶
22 封口板(封口体)
32 電極群(発電要素)
40 DIパンチ
41 加工溝
43 凸条膨出部
44a 長辺側板部
44b 短辺側板部
44c コーナー部
47 交点
48 電池缶素体
49 加工用中子
t1 長辺側板部の缶厚み
t2 短辺側板部の缶厚み
t3 コーナー部の缶厚み
Claims (14)
- 所定形状のペレットをインパクト成形して、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、
前記中間カップ体を、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴とする角形電池缶の製造方法。 - 所定形状のペレットをインパクト成形して、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の板厚みが大きくなるような形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、
前記中間カップ体を、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴とする角形電池缶の製造方法。 - 所定形状のペレットをインパクト成形して、長辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が0.6〜1.3で、短辺側板部の厚み/底板部の厚みの比が1.0〜1.8の形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、
前記中間カップ体を、長方形の横断面形状を有する角形板材の少なくとも長辺側面に加工溝が格子状に形成されたDIパンチを用いて、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形であって、その少なくとも長辺側板部の缶内面に厚み方向が肉厚となるように膨出して線状に延びる複数の凸条膨出部が格子状の配置で形成された角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴とする角形電池缶の製造方法。 - 所定形状のペレットをインパクト成形して、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の板厚みが大きくなるような形状を有する中間カップ体を成形する第1の工程と、
前記中間カップ体を、長方形の横断面形状を有する角形板材の少なくとも長辺側面に加工溝が格子状に形成されたDIパンチを用いて、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形であって、その少なくとも長辺側板部の缶内面に厚み方向が肉厚となるように膨出して線状に延びる複数の凸条膨出部が格子状の配置で形成された角形電池缶を成形する第2の工程とを有していることを特徴とする角形電池缶の製造方法。 - 格子状を構成する複数の加工溝が互いに交差する交点を介して相互に連通された状態で刻設されたDIパンチを用いてDI加工を行い、各交点を介して相互に連結された格子状を形作る複数の凸条膨出部を缶内面に形成するようにした請求項3または4に記載の角形電池缶の製造方法。
- 所定形状のペレットをインパクト成形して、中間カップ体を成形する第1の工程と、
前記中間カップ体を、絞り加工としごき加工とを連続的に一挙に行うDI加工することにより、横断面形状が略長方形の角形の電池缶素体を成形する第2の工程と、
前記電池缶素体に、角形板材の少なくとも長辺側板部に加工溝が格子状に形成された加工用中子を圧入する第3の工程と、
前記電池缶素体の両側の長辺側板部の外面の全体に押圧部材を押し当てて加圧することにより、前記電池缶素体の缶内面の材料の一部を塑性変形させながら前記加工溝内に入り込ませて、前記缶内面に前記加工溝に対応する格子状の凸条膨出部を転写形成する第4の工程とを有していることを特徴とする角形電池缶の製造方法。 - 電池缶素材またはこの電池缶素材を所定形状に形成したペレットにアニール処理を施したのち、前記ペレットをインパクト成形するようにした請求項1〜6の何れかに記載の角形電池缶の製造方法。
- インパクト成形により得られた中間カップ体にアニール処理を施したのち、前記中間カップ体をDI加工するようにした請求項1〜7の何れかに記載の角形電池缶の製造方法。
- ペレットを、アルミニウムまたはアルミニウム合金を素材として形成した請求項1〜8の何れかに記載の角形電池缶の製造方法。
- ペレットを、製造すべき角形電池缶の横断面形状の外形に対応する平面視形状を有する小判形または略長方形に形成した請求項1〜9の何れかに記載の角形電池缶の製造方法。
- 請求項1〜10の何れかに記載の製造方法により製造されて、横断面形状がほぼ長方形の有底角筒状であって、その長辺側板部、短辺側板部およびコーナー部の順に各々の缶厚みが大きくなる形状を有することを特徴とする角形電池缶。
- 請求項1〜10の何れかに記載の製造方法により製造されて、長辺側板部の缶厚みが0.25mm以下の形状に形成されていることを特徴とする角形電池缶。
- 請求項1〜10の何れかに記載の製造方法によって製造された角形電池缶を用いて、前記角形電池缶の内部に発電要素を収納し、且つ開口部を封口体で液密に封止して構成した角形電池。
- 先端面に凹凸を有するパンチを用いてペレットをインパクト成形して、中間カップ体を成形するようにした請求項1〜4の何れかに記載の角形電池缶の製造方法。
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