JP6977302B2 - アルミシームレス缶 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミシームレス缶に関するものであり、より詳細には、胴部が極薄肉化されているアルミシームレス缶に関する。
各種金属或いは合金からなる素板を打抜き、次いでパンチとダイスを用いて、絞り−再絞り加工、さらに繰り返しのしごき加工を行うことにより、継ぎ目が無く、外観に優れているばかりか、底蓋の巻締め加工が不要なシームレス缶を製造する方法が、古くから実用化されている。
このようなシームレス缶は、缶胴が薄肉化されているため、軽量性に優れており、特にアルミニウムは加工し易いことから、アルミニウム製のシームレス缶は、飲料等の用途に広く使用されている。
ところで、シームレス缶では、缶胴部の薄肉化に伴い、耐圧強度が低下し、例えば容器内圧力(例えば、ビールや炭酸飲料などの内容物による自生圧力)により、缶底部がバックリングするなどの問題を生じる。特にアルミシームレス缶は、このような問題を生じ易く、アルミ素材の化学組成についての検討に加え、底部のバックリングを防止するための缶底部の形状について種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、シームレス缶について、底部中心部分を上方に膨らんだドーム部(ボトムパネルドーム部)とし、このドーム周縁に連なる接地部と、接地部から外方に傾斜して延びているチャイム部(ボディウオールテーパー部)とが設けられている底部の形態が示されている。即ち、この形態では、チャイム部の上端が、薄肉化されている胴部に連なっている。
現在、市販されている多くのシームレス缶の底部は、上記のような形態が採用されている。
特開平11−123481号公報
しかしながら、絞り−しごき加工技術の進歩に伴う缶胴壁の極薄肉化に伴い、耐圧強度の点では満足し得るとしても、軸荷重強度が低下することにより座屈を生じ易くなるという問題があり、このため、その改善が求められている。
従って本発明の目的は、缶胴壁の厚みが極めて薄いにもかかわらず、座屈が有効に防止されたアルミシームレス缶を提供することにある。
本発明によれば、底部と薄肉化された胴部とを有するアルミシームレス缶において、
前記底部が、中央部に位置する上方に膨らんだドーム部と、該ドーム部周縁から降下した接地部と、該接地部から外方かつ上方に傾斜して延びて前記胴部下端に連なるチャイム部とからなり、
前記ドーム部の中心厚み(T0)が0.245〜0.265mmの範囲にあり、
前記胴部における最薄肉部の厚み(TW)が、0.087〜0.098mmの範囲にあってしかも前記ドーム部の中心厚み(T0)の30〜42%の範囲にあり、かつ該最薄肉部が胴部長さの少なくとも50%以上にわたって存在しており、
前記チャイム部と前記胴部との境界X1から5mm上方に位置する基準部での胴部厚み(T1)が0.137〜0.177mmの範囲にあると共に、
前記最薄肉部の厚み(TW)と前記厚み(T1)との比(TW/T1)が0.49〜0.69の範囲にあり、
1080N以上の軸荷重強度を有していることを特徴とするアルミシームレス缶が提供される。
本発明のアルミシームレス缶においては、
(1)前記基準部でのビッカース硬度が95〜115の範囲にあること、
が好適である。
本発明のアルミシームレス缶は、最薄肉部が胴部長さの少なくとも50%以上の範囲にあり、底部の中心となるドーム部の中心厚み(T0)が0.245〜0.265mmの範囲にある。この中心厚み(T0)は、この缶の成形に用いる素板の厚みよりもドーミング加工によりやや薄くなっている。従って、本発明において、胴部における最薄肉部の厚み(TW)が0.087〜0.098mmの範囲であり且つ底部におけるドーム部の中心厚み(T0)の30〜42%の範囲にあるということは、このアルミシームレス缶は、素板が薄肉化され、胴部が薄肉化され、かつ胴部における薄肉化胴部の割合が大きいことを示している。
即ち、本発明のアルミシームレス缶は、薄肉の素板を用いて缶胴部が極薄肉に成形加工されているにもかかわらず、底部に近い位置での胴部厚み(T1)を一定の範囲に設定しておくことにより、例えば1080N以上の極めて高い軸荷重強度を確保することができ、この結果、座屈を有効に防止でき、従って、缶の一層の薄肉化が可能となったものである。
このような高い軸荷重強度を示す本発明のアルミシームレス缶は、ネックイン加工、フランジ加工あるいは充填時の二重巻締加工時等において、缶軸方向への大きな圧縮荷重が加わった場合にも座屈が有効に防止されているため、歩留りが高く、生産性に優れており、工業上極めて有用である。
本発明のアルミシームレス缶の概略側断面図。 図1のアルミシームレス缶の要部拡大図。 図1のアルミシームレス缶を製造するための打抜き及び絞り加工工程の概略を示す図。 図3の絞り工程後に実施されるしごき加工工程の概略を示す図。 図4のしごき加工後に行われるドーミング工程を説明するための図。 軸荷重強度の測定方法を説明するための図。
<アルミシームレス缶の形態>
本発明のアルミシームレス缶は、後述する薄肉の素板を用いての打抜き、絞り、再絞り−しごき加工及びドーミング加工を行った後、洗浄乾燥、外面印刷、仕上げニス塗布焼付、内面塗料塗布焼付、ネックイン加工及びフランジ加工等の後加工を行うことにより得られるものであり、図1に示す形態を有している。
図1及び要部拡大図である図2を参照して、全体として10で示す本発明のアルミシームレス缶(以下、単にシームレス缶と呼ぶことがある)は、外面がストレートな直胴形状となっている胴部1と、胴部1の下部を閉じている底部3とを有しており、胴部1の上部は、絞られたネックイン部5に連なっており、ネックイン部5の上端には、フランジ部7が形成されている。
かかる形態において、胴部1と底部3との境界X1、及び胴部1とネックイン部5との境界X2を次のように定義する。即ち、境界X1は、チャイム部3cの外面傾斜線と缶胴外面垂直線の交点部位と定義し、境界X2は、缶胴外面垂直線がネックイン部5への曲線との離脱点と定義する。
このようなシームレス缶10において、底部3の中央部分は、上方に膨らんだドーム部3aとなっており、このドーム部3aの周縁部分から降下した接地部3bが形成されており、さらに、接地部3bからは外方且つ上方に向かって傾斜して延びているチャイム部3cが形成されており、このチャイム部3cの上端が胴部1に連なっている。このような形態の底部3において、チャイム部3cと胴部1との間には明確な境界X1が存在している。
上記のような底部3の形態自体は、従来公知のアルミシームレス缶も同じである。
本発明のアルミシームレス缶10においては、先ず、底部3の中心部Cでの厚み(T0)が0.245〜0.265mmの範囲にある。即ち、この部分の厚み(T0)は、後述する打抜き加工、絞り加工、再絞り及びしごき加工、さらにはドーミング加工によってやや薄くなっているが、この厚み(T0)を基準として、胴部1の薄肉化の程度を評価することができる。
また、このようなシームレス缶10では、胴部1の外面はストレートな直線となっているが、胴部1の長さHの少なくとも50%以上好ましくは50〜90%の範囲にわたって、最薄肉部Yとなっており、この最薄肉部Yの下方の領域Zが、上方から下方に向かって厚みが漸次増大しているテーパー領域となっている。即ち、胴部1の半分もしくはそれ以上が最薄肉部Yとなっているということは、胴部1の少なくとも中心Cは最薄肉部Yとなっている。上記テーパー領域の傾斜角度は一定でもよいが、最薄肉部Yからの傾斜角度が徐々に大きくなる2段以上の数段階であることが好ましい。また、曲面状であってもよい。傾斜角度を数段階にすることにより、軸荷重強度が向上するため、容器をより軽量化にすることができる。
さらに、上記の最薄肉部Yでの厚み(TW)は、前述した底部3の中心部Cでの厚み(T0)の30〜42%、特に35〜41%(以下、板厚比と呼称することがある)の範囲にある。即ち、本発明のシームレス缶10では、後述するしごき加工によって、胴部1の半分以上が成形限界に近い領域まで極薄肉化されている。因みに、板厚比が上記の上限値よりも大きくなるようにしごき加工を行うと、軽量化が不十分になる虞があり、下限値よりも下回ると、しごき加工時に缶胴が破胴し成形できなくなる虞がある。
ところで、上記のようにしごき加工により成形限界に近い領域まで極薄肉化が行われると、ネックイン加工、フランジ加工あるいは充填時の二重巻締加工時等に際して胴部1の下方部分に座屈変形が発生する虞が生じるため、従来では、このような極薄肉化が行われたシームレス缶は知られていない。
しかるに、本発明のシームレス缶10は、上記のような極薄肉化が行われていると同時に、1080N以上、特に1200N以上の軸荷重強度を示す。これにより、耐座屈性が大きく向上したものとなっている。
上記の軸荷重強度は、後述する実施例で説明されている方法で測定される(図6参照)。
本発明においては、上記のように大きな軸荷重強度を持たせるため、チャイム部3cの近傍での厚みが若干厚肉となるようにしごき加工が行われている。即ち、チャイム部3cと胴部1との境界X1から5mm上方に位置する部分1aでの厚み(T1)が0.137〜0.177mmの範囲となるように厚み調整しておくことにより、上記のような軸荷重強度を得ることができる。
即ち、このシームレス缶10に圧縮荷重が加わると、胴部1の厚みが薄くなる程、単位面積当たりの応力が増大し、この結果、チャイム部3cが外側に押し広げられやすくなり、この結果、座屈を生じ易くなる。しかるに、本発明では、胴部1が極薄肉化されているにもかかわらず、チャイム部3cの近傍での厚みが上記範囲となるように設定されているため、軸荷重強度が高く、耐座屈性が大きく向上している。
座屈変形は境界X1から15mm上方近傍を中心として缶胴が菱形形状に凹む現象であり、凹みの下端が境界X1から5mm上方近傍である。即ち、境界X1から5mm上方に位置する部分1a(以下、基準部と略す)の厚み(T1)を設定しているのは、この基準部1aが座屈変形を生じるときの曲げ変形部分であり、その厚みが曲げ変形に対する抵抗となり、軸荷重強度に大きな影響を与えるためである。基準部1aの板厚設定は、しごきパンチの形状及び最終しごきダイ内径を調整することにより、確実に行うことができる。
上記基準部1aよりもチャイム部3に近い領域では、チャイム部3c上端の円形形状効果により曲げ変形への影響が小さく、軸荷重強度と厚みとの相関性が希薄である。また、上記基準部1aよりもチャイム部3から遠い領域では、凹み下端の曲げ変形への影響が小さく、軸荷重強度と厚みとの相関性が希薄である。
また、本発明においては、基準部1aでの厚み(T1)が上記範囲内であると共に、最薄肉部Yでの厚み(TW)と前記厚み(T1)との比(TW/T1)が0.49〜0.69の範囲にあることが好適である。このように胴部1の厚みを調整することにより、軸方向荷重に対する応力が均等に分散され、局部的な応力集中が回避され、高い軸荷重強度を確保することができる。この範囲を上回ると軽量化が不十分となる虞があり、下回るとしごき加工での破胴が発生する虞がある。
さらに、本発明のシームレス缶10では、上記のような厚み調整により軸荷重強度が高く設定されていると共に、基準部1aでのビッカース硬度が95〜115の範囲にある。本発明では、シームレス缶10の成形に用いるアルミ素材の材質を選定することにより、この基準部1aでのビッカース硬度を上記範囲に設定することができる。この範囲を上回るとドーミング加工時にチャイム部にシワが発生する虞があり、下回ると軸荷重強度が不足する虞があり、また底部の耐圧強度が不足する虞がある。
<アルミシームレス缶10の製造>
上記のような形態を有する本発明のアルミシームレス缶10は、それ自体公知のアルミ製素板を用いての成形加工により製造される。
成形加工により供されるアルミ製素板は、純アルミニウムであってもよいが、アルミニウムと他の金属との合金、例えば、マグネシウムやマンガンなどを含むアルミニウム合金であることが好ましい。特に、本発明では、高い耐圧強度を確保するという観点から、Siを0.1〜0.4質量%、Feを0.28〜0.50質量%、Cuを0.15〜0.25質量%、Mnを0.8〜1.4質量%、Mgを1.0〜1.6質量%程度含むアルミ合金が好適に使用され、より好適にはSiを0.1〜0.4質量%、Feを0.28〜0.50質量%、Cuを0.15〜0.25質量%、Mnを0.9〜1.4質量%、Mgを1.3〜1.6質量%程度含むアルミ合金が使用される。
このようなアルミ製素板は、必要により、陽極酸化、化成処理、電解処理等によって表面に酸化膜や表面処理皮膜が形成されていてもよい。
また、過酷なしごき成形に対する耐性を確保及び缶体の耐圧強度や軸荷重強度を得るために、この素板は、205℃で10分間の空焼きを行ったあとの引張強度が280〜330MPaであることが好ましく、かつ空焼き前の引張強度が290〜360MPaであることが好ましく、205℃で10分間の空焼きを行ったあとの引張強度が295〜325MPaであり、かつ空焼き前の引張強度が310〜350MPaであることがより好ましい。この範囲を上回るとしごき成形時に破胴する虞があり、下回ると耐圧強度や軸荷重強度が不足する虞がある。
上記のようなアルミ製素板を用いての成形加工は、通常通り打抜き加工、絞り加工、しごき加工及びドーミング加工により行われ、ドーミング加工後は、適宜、トリミング、洗浄乾燥、外面印刷、仕上げニス塗布焼付、内面塗料塗布焼付、ネックイン加工及びフランジ加工を行うことにより、図1に示す形態の本発明のアルミシームレス缶10が得られる。
前述したアルミ製素材からなる素板11の厚みは、先にも述べたように、図1における底部3の中心部Cでの厚み(T0)に近い厚みを有するものであり、本発明では、0.255〜0.275mmにすることによって缶を軽量化してある。
かかる素板11は、図3(a)に示す打抜きパンチ15と打抜きダイ17による打抜き加工で円板13を得、図3(b)に示す絞りダイ21と絞りパンチ25で絞りカップ(有底筒状体)19を得、図4に示すリドローダイ31、複数のしごきダイ33a〜33cとしごきパンチ43で再絞りしごき加工を行った後、ドーミングダイ39でドーミング加工を行い、ストリッパフィンガ35でパンチ43から引き抜くことによりブランク缶20が得られる。ドーミング加工時にはチャイム部外面は、チャイム部形成のためホールドダウンリング37で押さえられる。ドーミング加工によりパンチ43に接触している缶胴は約3mmチャイム側に引き込まれる。
上記のようなしごき加工工程において、図4では、しごきダイが3個配置されており、3段でしごき加工が行われるようになっているが、このしごきダイの数は3個に限定されるものではなく、目的とする薄肉化の程度に応じて、適宜の数とすることができ、1個のダイで1段でのしごき加工とすることもできるし、2またはそれ以上の数のダイを配置して、複数段でのしごき加工とすることができる。勿論、しごきダイを複数個、加工方向に沿って配列し、しごき加工を多段で行う場合には、加工方向下流側にいくにしたがい、その内径(加工径)が小さくなっている。
何れにしろ、本発明のシームレス缶10を成形するためには、最後のしごきダイ(図4の例ではダイ33c)の内径が、図1のシームレス缶10の最薄肉部Yでの外径にほぼ相当する。
このようなしごき加工は、先にも述べたように、最薄肉部Yでの厚み(TW)が底部3の中心部Cでの厚み(T0)の30〜42%、特に35〜41%の範囲となるように行われる。
さらに、本発明のシームレス缶10を成形するために、上記のパンチ43は、下方部分が先細形状となっており、このようなパンチ43を用いてのしごき加工及びドーミング加工により、胴部1の下方部分に前述したテーパー領域Zが形成され且つ基準部1aでの厚みが所定の範囲となるように設定されている。
図5に示すようにホールドダウンリング37の内周面は、図1のシームレス缶10の底部3のチャイム部3c及び接地部3bの側面に対応する形状を有している。
また、ドーミングダイ39の上面は、シームレス缶10の底部3の中央部分のドーム部3aに対応する形状を有している。
このようにして図1に示されているシームレス缶10が有する厚み及び形態が形成されることとなる。
例えば、パンチ43のチャイム部及びその近傍相当部形状としごきダイ33cの内径を調整することにより、境界X1から5mm上方の基準部1aの厚み(T1)を前述の所定範囲内にし、且つ最薄肉部Yの厚み(TW)と基準部1aでの厚み(T1)との比(TW/T1)を所定の範囲に調節することができる。
このようにして得られたブランク缶20は、次の後工程で、必要により、トリミング、外面印刷、仕上げニス塗布焼付、内面塗料塗布焼付が行われた後、それ自体公知のダイネック加工あるいはロールネック加工等のネックイン加工により、段形状あるいはスムース形状のネックイン部5が形成され、さらに、フランジ加工によりフランジ部7が形成され、図1に示す形態のアルミシームレス缶10として使用に供される。
このような本発明のアルミシームレス缶10では、前述したしごき加工及びドーミング加工により形状及び厚み調整されているため、ブランク缶20の時点から軸荷重強度が1080N以上、特に1200N以上となっている。
本発明のアルミシームレス缶は、胴部壁が極薄肉化されていながら軸荷重強度が高く、耐座屈性が大きく向上しており、ネックイン加工、フランジ加工あるいは充填時の二重巻締加工時等座屈が有効に防止されているため、極薄肉化による軽量化を工業的に実施する上で極めて有用である。
以下の実施例及び比較例において、各種物性の測定は以下の方法により行った。
<缶肉厚測定方法>
得られたアルミシームレス缶の測定対象部の缶底中央部、缶胴中央部、及びチャイム部上方近傍を切り出し、樹脂で固定し、断面を切り出し、鏡面に研磨し、該当部の断面について光学顕微鏡と基準スケールを用いて、金属層の厚みを測定した。
測定は、缶胴中心部(C)、缶底のドーム中央部(C)、及び上記の基準部1aを測定点とし、それぞれ、厚みTW、T0、T1とした。
<ビッカース硬度測定方法>
得られたアルミシームレス缶のチャイム部上方近傍を切り出し、樹脂で固定し、断面を切り出し、鏡面に研磨し、基準部1aの断面についてJIS Z2244に準じてビッカース硬度(Hv)を測定した。測定点は基準部1aである。
<軸荷重強度の評価>
得られたアルミシームレス缶の軸荷重強度評価方法を図6に示す。
即ち、図6に示すように、缶10の開口部に治具100を挿入し、プレート110を介して治具100の上面と缶底の間に圧縮試験機で荷重をかけ、座屈直前の最大荷重を軸荷重強度とした。
<缶重量の評価>
缶重量の評価指標として缶体の金属部分のみの重量を指標とした。即ち、外面印刷、仕上げニス、内面塗料等を設ける前の缶体の重量を測定して、次の評点とした。
○:金属部分重量が11.0g未満である
×:金属部分重量が11.0g以上である
<実施例1>
組成が、Si0.26質量%、Fe0.30質量%、Cu0.22質量%、Mn1.2質量%、Mg1.38質量%、残部がアルミニウムであり、厚みが0.265mmのアルミニウム合金板を加工用の素板として用意した。この素板の205℃、10分空焼き後の引張り強度(JIS Z2241、試験片第5号に準拠)は315MPa、空焼き前の引張り強度は328MPaであった。
上記の素板(アルミニウム合金板)を、図3、図4に示す打抜き、絞り、再絞り−しごき(ドーミング加工を含む)、トリミング、洗浄乾燥、外面印刷、仕上げニス塗布焼付、内面塗料塗布焼付、ネックイン加工及びフランジ加工を経て、缶胴内径66mm、高さ122mm、開口部内径55mmの350ml用シームレス缶(絞りしごき缶)を作製した。ネックイン部はダイ加工でスムース形状である。
缶胴形状は、次のとおりである。下記高さは底部の接地部最下端(即ち接地点)からの高さで表示した。
境界X2高さ:103mm
最薄肉部Y上端高さ:99mm
最薄肉部Yと第1テーパー領域の境界K1高さ:40mm
第1テーパー領域と第2テーパー領域の境界K2高さ:15mm
基準部1a高さ:12mm
境界X1高さ:7mm
即ち、缶胴ストレート部長さH、最薄肉部長さY及びテーパー領域Z長さは、以下の通りである。
缶胴ストレート部長さH:96mm
最薄肉部長さY:59mm
テーパー領域Z長さ:33mm
(第1テーパー領域長さ:25mm、第2テーパー領域長さ:8mm)
また、しごき加工のパンチ43の形状、及び最終しごきダイ内径調整により、表1に示すように、底部3の中心部(C0)での厚み(T0)、缶胴最薄肉部厚み(TW)と基準部1aの厚み(T1)、(TW/T1)比となるように設定した。テーパー領域Zにおいて、境界K2部厚みは、最薄肉部厚みTWよりも0.024mm厚くした。
得られたシームレス缶について軸荷重強度、基準部1aでのビッカース硬度を測定し、結果を表1に示した。
<実施例2>
素板として用いるアルミニウム合金板の組成を、Si0.32質量%、Fe0.43質量%、Cu0.20質量%、Mn0.87質量%、Mg1.09質量%に変更し、205℃10分空焼き後の引張り強度が284MPa、空焼き前の引張り強度が301MPaの合金板を素板として用いた以外は、実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
しごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更し、基準部1aでの厚みT1を0.177mm、TWを0.087mmに変更した以外は実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
しごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更し、基準部1aでの厚みT1を0.137mm、TWを0.094mmに変更した以外は実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
素板として用いるアルミニウム合金板の厚みを0.255mmに変更し、かつしごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更して基準部1aでの厚みT1を0.157mm、TWを0.088mmに変更した以外は実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
素板として用いるアルミニウム合金板の厚みを0.275mmに変更し、かつしごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更して基準部1aでの厚みT1を0.157mm、TWを0.098mmに変更した以外は実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
しごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更し、基準部1aでの厚みT1を0.132mm、TWを0.096mmに変更した以外は実施例2と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
しごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更し、基準部1aでの厚みT1を0.132mm、TWを0.096mmに変更した以外は実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
素板として用いるアルミニウム合金板の組成を、Si0.32質量%、Fe0.43質量%、Cu0.20質量%、Mn0.87質量%、Mg1.09質量%で、205℃10分空焼き後引張り強度が284MPa、空焼き前引張り強度が301MPaで、板厚0.290mmに変更し、しごきパンチ43の先端近傍形状としごきダイ内径を変更し、T1が0.145mm、TWが0.105mm、境界K2部厚みが最薄肉部厚みTWよりも0.017mm厚くした以外は実施例1と同様にしてシームレス缶を作製し、軸荷重強度及びビッカース硬度の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006977302
1:胴部
3:底部
3a:ドーム部
3b:接地部
3c:チャイム部
5:ネックイン部
7:フランジ部
10:アルミシームレス缶
Y:最薄肉部
Z:テーパー領域
20:ブランク缶

Claims (2)

  1. 底部と薄肉化された胴部とを有するアルミシームレス缶において、
    前記底部が、中央部に位置する上方に膨らんだドーム部と、該ドーム部周縁から降下した接地部と、該接地部から外方かつ上方に傾斜して延びて前記胴部下端に連なるチャイム部とからなり、
    前記ドーム部の中心厚み(T0)が0.245〜0.265mmの範囲にあり、
    前記胴部における最薄肉部の厚み(TW)が、0.087〜0.098mmの範囲にあってしかも前記ドーム部の中心厚み(T0)の30〜42%の範囲にあり、かつ該最薄肉部が胴部長さの少なくとも50%以上にわたって存在しており、
    前記チャイム部と前記胴部との境界X1から5mm上方に位置する基準部での胴部厚み(T1)が0.137〜0.177mmの範囲にあると共に、
    前記最薄肉部の厚み(TW)と前記厚み(T1)との比(TW/T1)が0.49〜0.69の範囲にあり、
    1080N以上の軸荷重強度を有していることを特徴とするアルミシームレス缶。
  2. 前記基準部でのビッカース硬度が95〜115の範囲にある請求項1に記載のアルミシームレス缶。
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