JP5247995B2 - 耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板および耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法 - Google Patents

耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板および耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板および耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法に関する。
一般に缶ボディとしては、その開口端部に缶蓋が巻締められる缶や、開口端部にキャップが螺着されるボトル缶等があり、飲料等の内容物が充填、密封され、市場において流通している。このような缶ボディは、従来、JIS3004(AA3004)またはJIS3104(AA3104)のAl合金からなる板材に絞り加工およびしごき加工を施すことによって行われるDI加工で形成されている。このようなしごき加工は、通常3回に分けて行われることにより、缶ボディが製缶される。
そして、その胴部は、最薄部における肉厚が約0.106mmとされ、引張強さと0.2%耐力との差が27MPa以下とされる。
従来、上述のような缶ボディの流通過程において、例えば、缶ボディの胴部に先鋭体が接触又は衝突したり、あるいは隣接した缶ボディの胴部同士が衝突したり、缶と缶の間に異物が挟まった状態で擦れること等により、流通ピンホールと呼ばれる微小な孔等の破断
が発生し、その内容物が漏洩する等の問題があった。
上述のようなピンホールが生じる問題を解決するための有効な手段として、胴部の肉厚を大きくすることが考えられるものの、この場合、缶ボディ材の量も増大するので、製造コストが増大するのを回避できなかった。
このような問題を解決するため、例えば、Mn:0.8〜1.5%及びMg:0.8〜1.3%を質量%で含有したアルミニウム合金材からなり、破断伸びが6〜10%とされた缶ボディが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平8−199273号公報
特許文献1に記載の缶ボディでは、缶ボディ材の成分組成を上述としたうえで、製缶後の破断伸びを6〜10%として構成することにより、素材の板厚を薄くした場合であっても、胴部の突き刺し強度が向上するとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の缶ボディ材の構成では、素材の板厚を薄くした場合に底部も薄くなり、底部の耐圧強度が低下する虞がある。このため、素材自体の強度を高くする必要があるが、素材の強度を高くすると、しごき加工による成形時に胴部の破断(胴切れ)が生じ易くなるという問題がある。
このような胴切れを防止するためには、1回のしごき加工でのしごき率を低くするために、しごき加工の回数を増やすことが有効であるが、上述したように、従来から用いられているDI加工方法においては、しごきが通常3回で行われており、しごき回数を増やす場合には従来の工程設備を使用することができないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストを増大させることなくピンホールの発生を防ぐことができる、耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ材を提供すること、および耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法の提供を目的とする。
本発明は、以下に関する。
(1)請求項1に記載の発明
「請求項1」胴部の厚さが0.110mm超0.125mm以下であり、所定ブランク径D1の円板状の板材から絞り加工により所定カップ径D2の第一のカップ状缶体を形成し、再絞り加工により所定胴部径D3の第二のカップ状缶体を形成する場合においてD1/D3で示される総絞り比が2.0〜2.7であり、且つ、前記第二のカップ状缶体をしごき加工により最終缶ボディとする際、前記円板状の板材の板厚をT1、最終缶ボディ胴部最薄部厚さをT2とした場合、(T1−T2)/T1×100(%)で示される総しごき率が50%以上60%未満の缶ボディの製造に用いる缶ボディ用アルミニウム合金板であって、質量%で、Si:0.15〜0.5%、Fe:0.3〜0.6%、Cu:0.15〜0.5%、Mn:0.7〜1.2%、Mg:0.8〜2.0%を含有し、残部が不可避不純物を含むAlからなり、前記円板状の板材の板厚が0.250mm以上0.275mm未満であり、リオイル量が50〜300mg/mであり、ベーキング後の素材耐力が265MPa以上であり、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディの胴部の引張強さが330MPa超380MPa以下であるとともに、前記胴部の伸びが4%以上であることを特徴とする、耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板。
(2)請求項2に記載の発明
さらに、質量%でZn:0.05〜0.30%、Ti:0.05〜0.15%の内の1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板。
(3)請求項3に記載の発明
質量%で、Si:0.15〜0.5%、Fe:0.3〜0.6%、Cu:0.15〜0.5%、Mn:0.7〜1.2%、Mg:0.8〜2.0%を含有し、残部が不可避不純物を含むAlからなるアルミニウム合金からなり、ベーキング後の素材耐力が265MPa以上、リオイル量が50〜300mg/m であるアルミニウム合金板を絞り加工してカップ状缶体を形成し、カップ状缶体をしごき加工して缶ボディを形成する耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法であり、板厚が0.250mm以上0.275mm未満であり、前記アルミニウム合金板からなる所定ブランク径D1の円板状の板材から絞り加工により所定カップ径D2の第一のカップ状缶体を形成し、再絞り加工により所定胴部径D3の第二のカップ状缶体を形成する場合においてD1/D3で示される総絞り比を2.0〜2.7とし、且つ、前記第二のカップ状缶体をしごき加工により最終缶ボディとする際、前記円板状の板材の板厚をT1、最終缶ボディ胴部最薄部厚さをT2とした場合、(T1−T2)/T1×100(%)で示される総しごき率を50%以上60%未満として胴部の厚さが0.110mm超0.125mm以下であり、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディの胴部の引張強さが330MPa超380MPa以下であり、前記胴部の伸びが4%以上である缶ボディを製造することを特徴とする耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法。
(4)請求項4に記載の発明
さらに、質量%でZn:0.05〜0.30%、Ti:0.05〜0.15%の内の1種又は2種を含有するアルミニウム合金を用いることを特徴とする請求項3に記載の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法。
缶ボディの耐流通ピンホール性を向上させるためには、缶ボディの胴部の板厚を厚くすることが最も効果的である。一方、胴部の板厚を厚くすると、製缶に必要な缶ボディ材の必要量も増大するため、経済的でなくなる。
そこで、缶ボディの底部を薄く形成することにより、必要な缶ボディ材の量を少なくする必要がある。缶ボディの底部は、しごき成形されないため、底部を薄くするためには素材板厚を薄くする必要がある。また、底部が薄くなると該底部の耐圧強度が低下するため、素材自体の強度を高める必要がある。しかしながら、素材の強度を高くすると、しごき成形時に胴部の破断(胴切れ)が生じ易くなる。
本発明者らが鋭意検討した結果、素材の板厚を薄く形成し、且つ製缶された缶ボディ胴部の板厚を厚く形成することにより、総しごき率を低くすることができ、胴切れが生じにくくなることから、素材強度を高くしても、胴切れが発生するのを従来と同レベルに抑制できることを知見した。また、素材強度を高くすることにより、製缶後の缶ボディ胴部の強度も高くできるので、よりピンホールを生じにくくなることを見出し、本発明を完成した。
本発明の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板は、上述の組成のアルミニウム合金からなり、リオイル量を特定した上で上述の構成とすることにより、素材板厚を0.250mm以上0.275mm未満と薄くし、且つ胴部板厚を0.110mm超0.125mm以下と厚くしているので、DI加工による製缶の際の総絞り比を2.0〜2.7の範囲に、総しごき率を50%以上60%未満に小さくすることができる。
総しごき率が低くなると、胴部切れが生じにくくなるので、ベーキング後の素材耐力を265MPa以上として従来よりも素材強度を高くした場合であっても、胴部切れが発生するのを抑制することが可能となる。また、素材強度を高くすることにより、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディの胴部の引張強さを330MPa超380MPa以下と高くできるので、よりピンホールを生じにくくなり、焼付けによる加熱により胴部の伸びを4%以上にできる。
従って、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板を用いることにより、製造コストを増大させることなく、耐流通ピンホール性に優れた缶ボディを得ることができる。
以下、本発明に係る耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板(以下、缶ボディ用アルミニウム合金板と略称することがある)の実施の形態について説明する。
本実施形態の缶ボディ用アルミニウム合金板は、質量%で、Si:0.15〜0.5%、Fe:0.3〜0.6%、Cu:0.15〜0.5%、Mn:0.7〜1.2%、Mg:0.8〜2.0%(好ましくは1.5%未満)を含有し、残部が不可避不純物を含むAlからなり、板厚が0.250mm以上0.275mm未満であり、リオイル量が50〜300mg/m(好ましくは200mg/m以下)であり、ベーキング後の素材耐力が265MPa以上であり、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディの胴部の引張強さが330MPa超380MPa以下(好ましくは340MPa超)であるとともに、前記胴部の伸びが4%以上として概略構成されている。
本実施形態の缶ボディ用アルミニウム合金板は、胴部の厚さが0.110mm超0.125mm以下であり、製造時の総絞り比が2.0〜2.7であり、且つ総しごき率が50%以上60%未満の缶ボディの製造に用いるのに適する。
また、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、アルミニウム鋳塊に対して560℃〜融点未満の温度範囲で均質化処理を施した後、熱間圧延を行うか、あるいは、更に冷間圧延、および/または、中間焼鈍を施すことによって所定板厚に形成された後、最終圧下率45%〜90%の冷間仕上げ圧延を施すことにより、素材としての最終板厚(0.250mm以上0.275mm未満)に形成される。
[成分組成]
以下、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において限定する成分組成について説明する。
なお、以下に記載する各元素の含有量は、特に規定しない限り質量%であり、また、特に規定しない限り上限と下限を含むものとする。従って、例えば0.15〜0.5%は、0.15%以上、0.5%以下を意味する。
「Si」0.15〜0.5%
Siは、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において、同時に含有されるMg等とともに化合物を形成し、固溶硬化、析出硬化及び分散硬化作用で強度を向上させる他、Al−Mn−Fe系金属間化合物を形成して、しごき成型時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を有する。
Siの含有量が0.15%未満だと、十分な強度が得られず、また、金属間化合物寸法が大きくなる。また、所望の潤滑性能を発揮できず、ダイス(金型)への焼き付きを防止するのに不充分となる。
Siの含有量が0.5%を越えると、強度が高くなりすぎ、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなり、加工性が劣化する。
また、Mg、Cu、Alとの金属間化合物が溶体化できなくなり、靭性が低下し、ピンホールが生じやすくなる。
従って、Siの含有量は、0.15〜0.5%の範囲内とすることが好ましい。
「Fe」0.3〜0.6%
Feは、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において、Al−Mn−Fe系金属間化合物の析出量を増加させ、結晶の微細化と、しごき成形加工時にダイスに対して焼き付きが生じるのを防止する効果を有する。
Feの含有量が0.3%未満だと、Al−Mn−Fe系金属間化合物の析出量が少なくなりすぎ、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。
Feの含有量が0.6%を超えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。
従って、Feの含有量は、0.3〜0.6%の範囲内とすることが好ましい。
「Cu」0.15〜0.5%
Cuは、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において、Mg等と金属間化合物を形成し、固溶硬化、析出硬化及び分散硬化作用で強度を高める効果を有する。
Cuの含有量が0.15%未満だと、充分な強度向上効果が得られない。
Cuの含有量が0.5%を越えると、強度が高くなりすぎ、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなる。また、Mg、Si、Alとの金属間化合物が溶体化できなくなり、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。
従って、Cuの含有量は、0.15〜0.5%の範囲内とすることが好ましい。
「Mn」0.7〜1.2%
Mnは、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において、Al−Mn−Fe系金属間化合物を形成し、晶出相及び分散相となって分散硬化作用を発揮するとともに、しごき成型加工時にダイスに対して焼き付きが生じるのを防止する効果を有する。
Mnの含有量が0.7%未満だと、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が少なくなりすぎて充分な硬化特性が得られず、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。
Mnの含有量が1.2%を越えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。
従って、Mnの含有量は、0.7〜1.2%の範囲内とすることが好ましく、1.0%以下とすることがより好ましい。
「Mg」0.8〜2.0%(好ましくは、1.5%未満)
Mgは、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において、固溶体強化作用を有し、圧延加工時に加工硬化性を高めるとともに、SiやCuと共存することで分散硬化と析出硬化作用を発揮し、強度を向上させる。
Mgの含有量が0.8%未満だと、上述した充分な効果が得られない。
Mgの含有量が2.0%を超えると、強度が高くなりすぎて加工性、特にカール加工性が劣化し、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなる。
従って、Mgの含有量は、0.8〜2.0%の範囲内とすることがより好ましく、1.5%未満とすることがより好ましい。
「Zn及びTi」Zn:0.05〜0.30%、Ti0.05〜0.15%
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、さらに必要に応じて、質量%でZn:0.05〜0.30%、Ti:0.05〜0.15%の内の1種又は2種を含有する成分組成とすることができる。
Znは、析出するMg、Si、Cuの金属間化合物を微細化する作用を有する。
Znの含有量が0.05%未満だと、上述した充分な効果が得られない。
Znの含有量が0.30%を越えると、加工性と耐食性が劣化する。
従って、Znの含有量は、0.05〜0.30%の範囲内とすることが好ましい。
Tiは、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板において、結晶粒を微細化し、加工性を改善する効果を有する。
Tiの含有量が0.05%未満だと、上述した充分な効果が得られない。
Tiの含有量が0.15%を越えると、粗大な化合物が生じて加工性が劣化する。
従って、Tiの含有量は、0.05〜0.15%の範囲内とすることが好ましい。
[缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚は、0.250mm以上0.275mm未満の範囲であることが好ましい。
板厚が0.250mm未満だと、製缶して缶ボディとした際の十分な耐圧強度が得られなくなる。
また、板厚が0.275mm以上だと、缶ボディの底部の重量が重くなり、製造コストが上昇して経済的でない。
[リオイル量]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板では、冷間仕上圧延後、板の表面に50〜300mg/mの潤滑剤をリオイル(塗油)する。リオイルには、深絞り成形の直前に塗油する潤滑剤と親和性が高い潤滑剤を用いれば良く、例えば、深絞り成形の直前に塗油する潤滑剤と同じものを用いることができる。
予め、合金板素材に潤滑剤を少量リオイルしておくことにより、深絞り成形直前に潤滑剤を塗油する際に均一に塗油されるようになり、深絞り、及び、しごき成形の際の潤滑効果が高まり、特にしごき成形時の胴切れを抑制することができる。
リオイル量は、50〜300mg/mの範囲であることが好ましい。この範囲であれば、上述の効果が充分に得られる。
また、リオイル量は、より好ましくは200mg/m以下である。
[ベーキング後の素材耐力(210℃×10分)]
DI加工後の缶ボディは、洗浄、化成処理後の乾燥時、外面印刷または内面塗装後の焼付け処理によって180〜230℃の温度に加熱される。この加熱により、一般に、缶底部や胴部の強度が変化する。この、加熱後の強度は、DI成形時の歪量によって異なる。底部はDI成形時の歪みが小さいため、その加熱後の強度はDI加工前の素材であるアルミニウム合金板を加熱した後の強度とほぼ等しくなる。このため、底部の強度の目安として、素材であるアルミニウム合金板をベーキング(加熱)した後の強度を用いることができる。本発明では、このための加熱条件を、210℃×10分としている。
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板の、ベーキング後の素材耐力は、上記条件でベーキングを行った後の耐力で、265MPa以上であることが好ましい。
上述の条件でベーキングした後の素材耐力が265MPa未満だと、製缶後の缶ボディの十分な耐圧強度が得られなくなる。
[総しごき率及び総絞り比について]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、胴部の厚さ(最薄部厚さ)が0.110mm超0.125mm以下の缶ボディの製造に用いられる。また、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、DI加工時の総しごき率が50%以上60%未満の缶ボディの製造に用いる。ここで、総しごき率は、次式(4)で表される。
総しごき率(%) = (元の板厚T1−最終缶ボディ胴部最薄部厚さT2)/元の板厚T1 × 100 ・・・(4)
上記(4)式において、最終缶ボディ胴部最薄部厚さT2は、塗膜無しの厚さである。
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、素材板厚が0.250mm以上0.275mm未満であり、最小のしごき率は、元板厚が0.250mmで胴部厚さが0.125mmである場合の50%となる。
ここで、総しごき率を60%以上とした場合、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は素材強度が高いため、しごき成形時に胴切れが発生しやすく生産性が低下する。一方、総しごき率が50%より低い場合とは、素材板厚が0.250mmよりも小さい場合か、あるいは、胴部板厚が0.125mmよりも大きい場合である。
素材板厚が0.250mmよりも小さい場合、充分な耐圧強度が得られない。また、胴部板厚が0.125mmより大きい場合、耐ピンホール性は向上するものの、実用的な見地からは過剰強度となり、必要な素材の量が増えるため、経済的でない。従って、総しごき率は、50%以上であることが必要である。
また、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、DI加工時の総絞り比が2.0〜2.7である缶ボディの製造に用いられる。
総絞り比が2.7より大きいと、2回の絞り工程で絞った場合に、絞り成形時に材料の破断が生じ易くなる。一方、上記素材板厚T1、最終缶ボディ胴部最薄部厚さT2、及び総しごき率の制約下で実用的な容量の缶ボディを得るためには、総絞り比を2.0以上とする必要がある。例えば、一般的に用いられている缶胴径66mmで容量が350ccの缶ボディを成形する場合には、総絞り比を2.2〜2.4とすることが好ましい。また、缶胴径約66mmで容量が約500ccの缶ボディを成形する場合には、総絞り比を2.45〜2.65とすることが好ましい。
ここで、総絞り比Aとは、カップ絞り比B(図1(a)〜(b)の工程)と、再絞り比C(図1(b)〜(c)の工程)を掛け合わせた値であり、次式(1)〜(3)で表される。
カップ絞り比B = ブランク径D1/カップ径D2 ・・・(1)
再絞り比C = カップ径D2/胴部径D3 ・・・(2)
総絞り比A = カップ絞り比B×再絞り比C = ブランク径D1/胴部径D3 ・・・(3)
[DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディ胴部の引張強さ]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板をDI加工及び塗装焼付けして得られる缶ボディの胴部の引張強さは、330MPa超380MPa以下であることが好ましい。
DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディ胴部の引張強さが330MPa以下だと、充分な耐流通ピンホール性が得られず、また、380MPaを超えると、胴切れが生じ易くなるとともに生産性が低下する。
また、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディ胴部の引張強さは、より好ましくは340MPa超である。
[DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶胴部の伸び]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板をDI加工及び塗装焼付けして得られる缶ボディの胴部の伸びは4%以上であることが好ましく、5%以上であることが最も好ましい。
DI成形直後の胴部は、伸びが低く、また脆いためにピンホールを生じやすい。成形された缶ボディは、洗浄及び化成処理して乾燥し、外面塗装印刷及び内面塗装を行った後の焼付けで加熱されることにより、強度は低下するが、延性を回復する。
上述のような加熱の条件を制御することによって、胴部の伸びを上記下限値以上とすることが必要となるが、例えば10分間、一定温度で加熱する場合、180℃の温度では充分でなく、190℃以上の温度で加熱する必要がある。
[金属間化合物の数]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、円相当径が1〜10μmの金属間化合物の数が、3000〜4800個/mmであることが好ましい。成分組成を上述のように規定し、且つ560℃〜融点未満の温度で均質化処理を行なうことにより、この範囲の金属間化合物の分布が得られる。
金属間化合物の数が3000個/mm未満だと、金属間化合物の量が少なくなりすぎ、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。
金属間化合物の数が4800個/mmを超えると、金属間化合物の量が多くなりすぎ、靱性が低下し、ピンホールが生じ易くなる。
また、金属間化合物の数は、4400個/mm以下がより好ましい。
[金属間化合物の面積率]
本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、円相当径が1〜10μmの金属間化合物の面積率が1.5〜2.5%であることが好ましい。
金属間化合物の面積率が1.5%未満だと、金属間化合物の量が少なくなりすぎ、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。
金属間化合物の面積率2.5%を超えると、金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性が低下し、ピンホールが生じやすくなる。
また、金属間化合物の面積率は、2.2%以下であることがより好ましい。
[DI加工による製缶工程]
以下、図1を用いて、缶ボディ用アルミニウム合金材にDI加工を施して製缶し、缶ボディ10を得る工程の一例を説明する。
まず、図1(a)に示すように、缶ボディ用アルミニウム合金材に打ち抜き加工を施し、直径が149mmの円板状の板材を得る。
ついで、この円板状の板材に絞り加工を施し、図1(b)に示すような、軸線方向における高さが42mm、外径が88.2mmとされたカップ状缶体を形成する。ここで、円板状の板材は、厚さが0.250mm以上0.275mm未満とされている。
次いで、図1(b)に示すカップ状缶体に再絞り加工を施し、図1(c)に示すような外形66mmのカップ状缶体とする。ここで、D1とD3との比は、2.0〜2.7とされており、図示例では149/66=2.26である。
次いで、総しごき率が50%以上60%未満となるように、しごき加工を施し、図1(d)に示すような有底筒状缶体を形成する。この有底筒状体の開口端部は、その缶軸方向に波打つような凹凸形状とされる。
次いで、図1(d)に示す有底筒状体の開口端部を切断して、缶軸方向における大きさ、つまり高さをその全周に亙って約123.5mmと同等にし、外径が65mm以上67mm以下とされた胴部11と底部12とを有する横断面円形の缶ボディ10を形成する。本例では、図2に示すように、底部12が、胴部11の缶軸方向における内側に向けて凹むドーム部12aを備えるとともに、このドーム部12aの外周縁部が胴部11の缶軸方向における外側に向けて突出する環状凸部12cとされている。この環状凸部12cの缶軸方向における頂部が、缶ボディ10が正立姿勢となるように、この缶ボディ10を接地面L上に配置したときに、接地面Lに接する接地部12bとされる。
以上説明したように、本実施形態の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板によれば、成分組成を上述の範囲内とし、また、素材の板厚を0.250mm以上0.275mm未満と薄く構成し、且つ製缶された缶ボディの胴部の板厚を0.110mm超0.125mm以下と厚く構成することにより、総しごき率を50%以上60%未満と低くすることが可能となるため、胴切れが生じにくくなる。これにより、素材強度を、ベーキング後の素材耐力で265MPa以上と高くした場合でも、胴切れが発生するのを抑制することができる。
また、素材強度を高くすることにより、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディ胴部の強度を、引張強さで330MPa超380MPa以下(好ましくは340MPa超)と高くできるので、前記胴部の突き刺し強度が向上し、胴部にピンホールが生じるのを抑制することができる。
また、素材板厚を薄くすることにより、缶ボディの重量を従来と同等に抑制することができる。
従って、本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板を用いることにより、製造コストを増大させることなく、耐流通ピンホール性に優れた缶ボディを得ることができる。
以下、実施例を示して、本発明の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは無い。
本実施例では、下記表1及び表2に示す成分組成及び製造条件にて、以下の工程で本発明の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板(実施例)及び比較例の缶ボディ用アルミニウム合金板を作製し、後述の各項目について評価を行った。
[缶ボディ用アルミニウム合金板作製工程]
下記表1に示す成分を含有するアルミニウム合金を溶解し、この溶湯を常法により脱ガス、介在物除去を行い、半連続鋳造により厚さ550mm、幅1.5m、長さ4.5mのスラブに鋳造した。次いで、スラブに表1に示す温度で均熱化処理を施した後、熱間圧延を施した。そして、表1に示す条件で必要に応じて冷間圧延及び中間焼鈍を行った後、最終冷間圧延を施して、板厚を0.270mmとした実施例1〜6及び比較例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板、並びに板厚を0.295mmとした比較例7の缶ボディ用アルミニウム合金板を得た。なお、実施例1〜6、比較例1〜2及び比較例5〜7の缶ボディ用アルミニウム合金板には、下記表1に示す量でリオイルを施した。
上述のようにして得られた缶ボディ用アルミニウム合金板の各サンプルについて、EPMA(Electron Probe Micro Analyser)を用いてSEM画像及び組成像を画像解析し、Mnを含有する金属間化合物を測定することにより、円相当径が1〜10μmの金属間化合物の数及び面積率を調べた。この際、各サンプルの表面を、圧延痕が消えるまで研磨した後、合金板表面に対して垂直方向の画像を観察し、解析を行なった。
また、缶ボディ用アルミニウム合金板の各サンプルについて、210℃で10分加熱後(ベーキング後)の0.2%耐力YSを測定した。
[缶ボディの製缶]
上述の工程で得られた各実施例及び比較例の缶ボディ用アルミニウム合金板を打ち抜き、直径が141mm、または149mmとされた円板状の板材(図1(a)参照)を得た。この円板状の板材にDI加工を施し、胴部の最薄部肉厚T2が下記表2に示す肉厚になるまで絞り加工及びしごき加工を行い、各実施例及び比較例の缶ボディ(350cc缶)を得た。なお、この際の総絞り比及び総しごき率を、前式(1)〜(4)式によって求め、下記表1に示した。
上述のようにしてDI加工した各実施例及び比較例の缶ボディに対し、以下に説明する方法で外面塗装及び外面印刷、並びに内面塗装を行なった。
まず、塗料としてエポキシ系塗料及びアクリル系塗料を使用し、文字情報等の印刷部分も含め、缶ボディの外面に50mg/dmの膜厚で塗布した。そして、この缶ボディをオーブンに入れ、180℃の温度で30秒間、加熱乾燥した。
また、上述のようにして外面塗装を施した缶ボディの内面に、スプレーを使用してエポキシ塗料を40mg/dmの膜厚で塗布した。そして、この缶ボディをオーブンに入れ、200℃の温度で60秒間、加熱乾燥した。
[缶ボディの評価項目]
上述の工程で得られた各実施例及び比較例の缶ボディについて、缶ボディの胴部における引張強さTS、伸び率、及び突き刺し強度を測定した。
引張強さTS及び伸び率は、各実施例及び比較例の缶ボディから引張試験片を採取し、全長75mm、平行部長36mm、平行部幅10mm、つかみ部幅15mm、肩半径15mmの寸法形状に加工した試験片を用いて評価した。この際、缶の接地部から缶軸方向上方に60mm離れた部分が引張試験片の中心となり、引張方向が缶軸方向となるようにした。そして、外面及び内面の塗装を、硝酸を用いて脱膜処理した後、引張試験を行うことにより、引張強さTS及び伸び率を測定した。
また、突き刺し強度は、室温(20℃)雰囲気中において、缶ボディに0.196MPaの内圧をかけた状態とし、缶ボディ胴部のうち、接地部から缶軸方向上方に60mm離れた部分を、曲率半径2.25mmとされた押圧子によって径方向内方に向けて押圧し、穴があいた時の押圧力で評価した。この際、押圧子の胴部の径方向内方へ向けた移動速度を25mm/minとした。
各実施例、比較例の組成成分、製造条件並びに評価試験結果を表1及び表2に示す。
なお、表1の中間焼鈍の欄に示すIA−CALとは、合金板作製工程において、冷間圧延と冷間圧延との間で連続中間焼鈍を行なったことを示し、また、HOT−CALとは、合金板作製工程において、熱間圧延と冷間圧延との間で連続焼鈍を行なったことを示している。
Figure 0005247995
Figure 0005247995
[評価結果]
表1及び表2に示す結果より、本発明で規定する成分組成を有し、素材にリオイルが施され、本発明で規定する製造条件によって得られた、実施例1〜6に示す本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、何れも、アルミニウム合金板素材の0.2%耐力YSが266MPa以上であった。また、何れも、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディ胴部の引張強さTSが336MPa以上であり、伸び率が4.1%以上、突き刺し強度が144MPa以上であった。また、DI工程(製缶工程)における胴切れ発生率は、0〜10ppmの範囲内であった。
このように、実施例1〜6に示す本発明の缶ボディ用アルミニウム合金板は、何れも高い機械的特性を有し、耐流通ピンホール性に優れていることが明らかであるとともに、製造効率に優れていることが明らかである。
これに対し、比較例1の缶ボディ用アルミニウム合金板は、ベーキング後の素材耐力YS(0.2%耐力)が253MPaとされており、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の胴部の引張強さが328MPaであった。比較例1の缶ボディ用アルミニウム合金板は、製缶時の胴切れこそ発生しなかったものの、突き刺し強度が132MPaとなっており、実施例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板に比べて劣る結果となった。
また、比較例2の缶ボディ用アルミニウム合金板は、ベーキング後の素材耐力YS(0.2%耐力)が264MPaとされており、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の胴部の引張強さが326MPaであった。比較例2の缶ボディ用アルミニウム合金板は、製缶時の胴切れこそ発生しなかったものの、突き刺し強度が133MPaとなっており、実施例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板に比べて劣る結果となった。
また、素材にリオイルが施されていない比較例3の缶ボディ用アルミニウム合金板は、ベーキング後の素材耐力YS(0.2%耐力)が266MPaとされており、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の胴部の引張強さが336MPaであった。比較例3の缶ボディ用アルミニウム合金板は、突き刺し強度が145MPaと比較的高い数値になっているものの、製缶時の胴切れ発生率が100ppmとなった。
また、素材にリオイルが施されていない比較例4の缶ボディ用アルミニウム合金板は、ベーキング後の素材耐力YS(0.2%耐力)が275MPaとされており、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の胴部の引張強さが350MPaであった。比較例4の缶ボディ用アルミニウム合金板は、突き刺し強度が142MPaと比較的高い数値になっているものの、製缶時の胴切れ発生率が200ppmとなっており、実施例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板に比べて劣る結果となった。
また、比較例5の缶ボディ用アルミニウム合金板は、リオイル量が40mg/mと、本発明の規定範囲外となっている。比較例5の缶ボディ用アルミニウム合金板は、突き刺し強度は153MPaと比較的高かったものの、胴切れ発生率が100ppmとなっており、実施例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板に比べて劣る結果となった。
また、比較例6の缶ボディ用アルミニウム合金板は、Mgの含有量が2.29%と、本発明の規定範囲外となっており、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の引張強さTSが382MPaであった。比較例6の缶ボディ用アルミニウム合金板は、突き刺し強度は149MPaと比較的高かったものの、胴切れ発生率が200ppmとなっており、実施例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板に比べて劣る結果となった。
また、比較例7の缶ボディ用アルミニウム合金板は、素材板厚が0.295mm、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の胴部の最薄部肉厚T2が0.106mmと、本発明の規定範囲外となっている。比較例7の缶ボディ用アルミニウム金属板は、突き刺し強度が125MPaとなり、また、胴切れ発生率が300ppmとなり、実施例1〜6の缶ボディ用アルミニウム合金板に比べて劣る結果となった。従って、比較例7の缶ボディ用アルミニウム金属板は、総しごき率が64.1%と本発明の規定範囲外となっている。
以上の結果により、本発明で規定された各種特性を有する缶ボディ用アルミニウム合金材が、高い機械的特性を有し、耐流通ピンホール性に優れていることが明らかである。
本発明の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金材をDI加工して製缶する際の工程を説明する概略図である。 図1に示す缶ボディの一部拡大縦断面図である。
符号の説明
10…缶ボディ、11…胴部、12…底部

Claims (4)

  1. 胴部の厚さが0.110mm超0.125mm以下であり、所定ブランク径D1の円板状の板材から絞り加工により所定カップ径D2の第一のカップ状缶体を形成し、再絞り加工により所定胴部径D3の第二のカップ状缶体を形成する場合においてD1/D3で示される総絞り比が2.0〜2.7であり、且つ、前記第二のカップ状缶体をしごき加工により最終缶ボディとする際、前記円板状の板材の板厚をT1、最終缶ボディ胴部最薄部厚さをT2とした場合、(T1−T2)/T1×100(%)で示される総しごき率が50%以上60%未満の缶ボディの製造に用いる缶ボディ用アルミニウム合金板であって、
    質量%で、Si:0.15〜0.5%、Fe:0.3〜0.6%、Cu:0.15〜0.5%、Mn:0.7〜1.2%、Mg:0.8〜2.0%を含有し、残部が不可避不純物を含むAlからなり、
    前記円板状の板材の板厚が0.250mm以上0.275mm未満であり、リオイル量が50〜300mg/mであり、ベーキング後の素材耐力が265MPa以上であり、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディの胴部の引張強さが330MPa超380MPa以下であるとともに、前記胴部の伸びが4%以上であることを特徴とする、耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板。
  2. さらに、質量%でZn:0.05〜0.30%、Ti:0.05〜0.15%の内の1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板。
  3. 質量%で、Si:0.15〜0.5%、Fe:0.3〜0.6%、Cu:0.15〜0.5%、Mn:0.7〜1.2%、Mg:0.8〜2.0%を含有し、残部が不可避不純物を含むAlからなるアルミニウム合金からなり、ベーキング後の素材耐力が265MPa以上、リオイル量が50〜300mg/m であるアルミニウム合金板を絞り加工してカップ状缶体を形成し、カップ状缶体をしごき加工して缶ボディを形成する耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法であり、
    板厚が0.250mm以上0.275mm未満であり、前記アルミニウム合金板からなる所定ブランク径D1の円板状の板材から絞り加工により所定カップ径D2の第一のカップ状缶体を形成し、再絞り加工により所定胴部径D3の第二のカップ状缶体を形成する場合においてD1/D3で示される総絞り比を2.0〜2.7とし、且つ、前記第二のカップ状缶体をしごき加工により最終缶ボディとする際、前記円板状の板材の板厚をT1、最終缶ボディ胴部最薄部厚さをT2とした場合、(T1−T2)/T1×100(%)で示される総しごき率を50%以上60%未満として胴部の厚さが0.110mm超0.125mm以下であり、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後の缶ボディの胴部の引張強さが330MPa超380MPa以下であり、前記胴部の伸びが4%以上である缶ボディを製造することを特徴とする耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法。
  4. さらに、質量%でZn:0.05〜0.30%、Ti:0.05〜0.15%の内の1種又は2種を含有するアルミニウム合金を用いることを特徴とする請求項3に記載の耐流通ピンホール性に優れる缶ボディの製造方法。
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