JP6712346B2 - 乳化組成物 - Google Patents
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Description
詳しくは、油溶性物質を含む油滴の平均粒子径が15〜100μmである水中油滴型(O/W)乳化組成物及びその製造方法、又は、水溶性物質を含む水滴の平均粒子径が15〜100μmである油中水滴型(W/O)乳化組成物及びその製造方法、そしてこれらの乳化組成物を含有する飲食物、並びにこれらの乳化組成物を添加することを特徴とする飲食品の呈味改善方法、異味異臭マスキング方法に関する。
しかしながら、飲食品には香料類の他に性状の異なる様々な添加物が配合され、さらに食品衛生上、加熱殺菌処理が施されるので、耐酸性や耐塩性の他に耐熱性に優れ、かつ、長期間保存してもクリーミング(油と水の密度差により分離し軽い油滴が上層に移る現象)、油滴粒子の凝集や合一(凝集したエマルション粒子同士が融合する現象)を生じたり、油脂が分離したりすることなく、均一な乳化もしくは可溶化状態を保つことが可能なエマルション(乳濁液)であることが要求される。
ところが、例えばラーメンスープのように味覚面でコクが要求される場合、油滴が小さいと油のフレーバーやコク(脂肪感)が低下し、さっぱりとした味になってしまうなど、味覚上の不都合が指摘されている。また、他の飲食品においても、精油や香料成分を含む食品用乳化香料が添加されている場合は、粒子径が小さいほど飲食時の香り立ちに優れることは知られているが、比較的すっきりとした香味を有するため、呈味のボリュームという点では物足りなさが指摘されている。
特許文献1においては、セルロースを乳化剤として使用することで油球を大きく安定に保ち、経時安定性と耐熱安定性を有する油のフレーバーやコク(脂肪感)に優れた食品を提供する技術が開示されている。
特許文献2においては、乳化油脂の平均粒子径を2μm〜15μmの一定の範囲にすることで、油脂の旨味やコクを維持あるいは増強する技術が開示されている。しかし、これらの方法で油脂をほとんど含まない飲食品の呈味のボリュームを増強させることは難しい。
例えば、特許文献3は油滴の粒子径を小さくすることで、魚油の魚臭さをマスキングする技術を提供している。しかし、この方法では、マスキングできる対象が限定されており、多種多様な飲食品の異味・異臭、オフフレーバーに適用することはできない。そのため、飲食品の異味・異臭、オフフレーバーの問題を短時間で簡便に低減(マスキング)する
ことは極めて困難であるのが現状である。
さらに、油性食品の呈味改善や異味異臭を低減(マスキング)可能な食品用香料分野における新たな技術を提供することを目的とする。
しかしながら、本発明者らは平均乳化粒子径の範囲を15〜100μmとすることにより、現時点では詳しいメカニズムは不明であるものの、意外にも呈味(果汁感、濃厚感、乳脂感、コーヒーのボディ感など)のボリュームが増強され、さらに飲食物の異味(苦味、甘味料独特の呈味など)、異臭(アミノ酸の劣化臭、油脂の脂肪酸臭など)を低減(マスキング)できるという知見を得るに至った。
(1)乳化粒子中に油溶性物質又は水溶性物質を含み平均乳化粒子径が15〜100μmであることを特徴とする乳化組成物である。
(2)上記(1)において油溶性物質を含む油滴の平均粒子径が15〜100μmである水中油滴型乳化組成物であり、油溶性物質が精油又は香料成分であり用途が飲食品であることを特徴とする。
(3)上記(1)において水溶性物質を含む水滴の平均粒子径が15〜100μmである油中水滴型乳化組成物であり、水溶性物質が香料成分であり用途が飲食品であることを特徴とする。
(5)上記乳化組成物からなる飲食品用の異味異臭マスキング剤、当該異味異臭マスキング剤を含む飲食品、並びに、上記乳化組成物を飲食品中に0.001〜50質量%添加することを特徴とする飲食品の異味異臭マスキング方法である。
また、油性食品の呈味改善(口中での油風味の後引き改善)や異味異臭の低減(マスキング)を簡便に実現することができる。
従って、特に乳化香料に適した技術である。
本発明の乳化組成物は、乳化の型として水が油中に分散する型(W/O型)、油が水中に分散する型(O/W型)の他に、二重乳化型(分散油滴中にカプセル状に水相を保持するW/O/W型、その逆のO/W/O型の多相・複合エマルション)などの形態を採りうる。
本発明の乳化組成物は、エマルションの油相を構成する油溶性物質、並びに水相を構成する水や水溶性物質、エマルション安定化のための乳化剤や乳化安定剤を主な原材料とする。
本発明に用いる油溶性物質は、水相に不溶または難溶であるが油相に可溶又は易溶の物質であり、エマルションの油相を構成する成分である。
具体的に例えば、(a)着香料、(b)着色料、(c)栄養強化剤、(d)酸化防止剤、(e)保存料、(f)殺菌剤、(g)動植物油脂類、(h)植物性樹脂類等、の油溶性物質が挙げられる。以下、詳説する。
着香料としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油、コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクトなどの油性のエキストラクト及びこれらのオレオレジン類、アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エーテル類、オイゲノール、オクタノール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、
着色料としては、例えば、β−カロチン、アナトー色素、ウコン色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、クロロフィリン、クロロフィル、コーン色素、ササ色素、イモカロチン、デュナリエラカロチン、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、トマト色素、パブリカ色素、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、ベニコウジ色素、マリーゴールド色素等が挙げられる。
栄養強化剤としては、例えば、ビタミンA、カルシフェロール、ビタミンE等が挙げられる。
(d)酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばミックストコフェロール、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、γ−オリザノール、天然抽出抗酸化剤等が挙げられる。
(e)保存料及び(f)殺菌料としては、例えば、デヒドロ酢酸が挙げられる。
動植物油脂類としては、特に限定するものではなく、従来公知とされているもの及び今後市販されるものであれば、どのようなものでも好適に使用できる。例えば、豚脂、牛脂
、鶏油、鯨油、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油、アボガド油、アマニン油、アルモンド油、オリーブ油、
上記の油溶性物質(a)〜(h)は、単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。例えば、油溶性物質がそれ自体油性成分でない色素やビタミン類の場合は、そうした油溶性物質を溶解するための油性溶媒として、例えば(a)の精油類や(g)の動植物油脂類を必要に応じて配合することができる。(g)の中でも中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)が好ましい。
油溶性物質の配合量が0.1質量%未満では、飲食品に充分な効果を与える事ができなくなり、一方、50質量%を超えると、乳化組成物としての安定性に問題が生じる。
水溶性物質の配合量が0.1質量%未満では、飲食品に充分な効果を与える事ができなくなり、一方、50質量%を超えると、乳化組成物としての安定性に問題が生じる。
水相の大部分を構成する水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、ミネラルウォーターなど飲食品の種類に応じて適宜配合することができる。
さらに水相には、例えば、ショ糖、水あめ、異性化糖などの糖類や人工甘味料、クエン酸等の酸味料、アミノ酸やビタミンCなどの水溶性成分を飲食品の種類に応じて適宜配合することができる。
水溶性物質としては、例えば、エキスなどの抽出物を配合することができる。抽出物は特に限定するものではなく、たとえばオレンジ、レモン、グレープフルーツ、リンゴ、バナナ、カリン、マンゴー、マンゴスチン、モモ、ザクロなどの果物類、緑茶、ウーロン茶、紅茶、プーアル茶などの茶類、チコリ、マジョラム、ジャーマンカモミール、ローマンカモミール、タラゴン、黒ショウガ、ローズレッド、レモングラス、レモンバーム、ラベンダー、ラバンジン、オレガノ、サマーセイボリー、ウィンターセイボリー、ローズマリー、タイム、イブキジャコウソウ、ハッカ、ホースミント、ミズレンブ、クローブ、フトモモ、レンブ、オランダセンニチ、ハマナス、ペパーミント、スペアミント、コショウ、
ショウガ、本ワサビ、ワサビダイコン、サンショウ及びトウガラシなどのハーブ・スパイス類、牛、豚、鶏、カニなどの動物類、カツオ、サバ、マグロ、イワシ、トビウオ等の魚類、昆布、ワカメ、ヒジキなどの藻類、コーヒー豆、カカオ豆、アーモンド豆、大豆等の豆類、大麦、玄米などの穀類、シイタケなどの菌類、シャロット、オニオン、セロリ、ほうれん草、キャベツ、ピーマン、白菜、パセリ、レタス、ニンジン、ビーツ、クレソン、カボチャ、ブロッコリー、大根、ケール、モロヘイヤ、セリ、キュウリ、シュンギク、チシャ、カリフラワー、オクラ、小松菜、エンドウ、アスパラガス、トマト、ナス、青梗菜、タアサイ及びパクチョイ等の野菜類、クスノキ、カシア、ニッケイ、シナモン、ヤマモモ、アコウ、ダケカンバ、ナナカマド、シラカバ、ヤマネコヤナギ、ミロバランなどの樹皮類などから水性溶媒を用いて得ることが出来る。
本発明で用いられる乳化剤は、可食性乳化剤であれば特に限定されることはない。具体的には、アラビアガム、改質アラビアガム、ガティガム、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、有機酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ゼラチン、カゼインナトリウム、レシチン、キサンタンガム、トラガントガム、グァーガム、アルギン酸、エンジュサポニン、オオムギ穀皮抽出物、ダイズサポニン、ステロール、スフィンゴ脂質、ステアロイル乳酸カルシウム、胆汁末、チャ種子サポニン、トマト糖脂質、ビートサポニン、ユッカフォーム抽出物などが例示され、好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、オクテニルコハク酸修飾アラビアガム、ゼラチン、カゼインナトリウム及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上が用いられる。
LipophilicBalance)値が大きい(約6〜19)親水性の乳化剤を使用し、
乳化剤の配合量は、乳化組成物中において0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%となるように配合するのが適当である。
乳化剤の配合量が1質量%未満では乳化組成物が不安定化し、粒子の肥大化やオイルオフなどが起きるために好ましくない。一方、30質量%を超えると乳化剤由来の香味が強く感じられることがあるため好ましくない。
さらに、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、グリセリン、糖、糖アルコール、などの乳化安定剤を配合することができる。
水を含む水相成分に、HLB値が6〜19である乳化剤(アラビアガムなど)及び必要に応じて乳化安定剤(グリセリンなど)を溶解する。
次いで、得られた溶解液(水相)に油溶性物質を含む油相成分を混合する。混合割合は、水相成分:油相成分が好ましくは99.9:0.1〜50:50、特に好ましくは99:1〜60:40である。
水相成分と油相成分の配合割合、ホモジナイザーの回転数や処理時間を変えることによって乳化粒子の粒径範囲をコントロールすることができる。
飲食品のボリューム増強と異味異臭低減(マスキング)の両方に優れた効果をもたらす
ためには、油滴の平均粒子径が15〜100μmの範囲が好ましい。
更に好ましくは30〜50μmであり、この範囲の平均粒子径の乳化組成物を使用すると、香味が増強されると共に嗜好性も非常に高まる効果が得られる。
ここで、平均粒子径はレーザー回折・散乱式の粒度分析測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製LS 13 320)によって測定される粒子径である。
油溶性物質を含む油相成分に、HLB値が2〜8である乳化剤(ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)を溶解する。次いで、得られた溶解液(油相)に水溶性物質を含む水相成分を混合する。なお、水相に水溶性物質を添加しても良い。混合割合は、水相成分:油相成分が好ましくは0.1:99.9〜50:50、特に好ましくは1:99〜40:60である。
水相成分と油相成分を混合した後のホモジナイザーによる乳化処理は、前記水中油滴型乳化組成物の製造方法と同様の条件で行うことができる。
本発明の乳化組成物の飲食品への添加量は、乳化組成物による呈味改善効果と飲食品の風味に与える影響のバランスを考慮すると、飲食品に対し、0.001〜50質量%の添加量が好適であり、特に0.01〜1質量%の添加量が好ましい。
これらの飲食品としては、例えば、スポーツ飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、ミルク入りコーヒー飲料等の飲料や、加工乳、豆乳等の乳飲料、栄養補給のための濃厚流動食、ラクトアイスなどのアイスクリーム類、パン、ビスケット、キャンディ、ゼリーなどのパンや菓子、ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品、ホワイトソース、味噌、ソース、たれ、ドレッシングなどの調味料、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品、粉末飲料、粉末スープなどの粉末食品、カプセル状、タブレット状、粉末状、顆粒状などにした健康食品、豆腐、麺類などを挙げることができ、その範囲は特に制限がなくあらゆる種類の飲食品に適用することができる。
以下の通り、本発明の乳化組成物1〜4を製造した。
〔乳化組成物1〕
乳化処理の条件を変えて粒子径の異なるグレープフルーツエマルションを製造した。
まず、100ml容ステンレス製ビーカーに、水45g、グリセリン29g、およびアラビアガム(HLB値約10〜12)21gを入れ、溶解した。
その溶解液にグレープフルーツコールドプレスオイル2g、及び中鎖脂肪酸トリグリセライド3gを混合し、次いでホモジナイザー((株)エスエムテー製、型式:HIGH―FLEX HOMOGENIZER HF93)により乳化処理を行い、グレープフルーツオイルが水中に分散したO/W形態のグレープフルーツエマルションを得た。本品を乳化組成物1とする。
粒子径0.4〜10μmの乳化組成物の製造は、回転数12000rpmの条件で乳化時間を適宜設定して行った。
また、粒子径15〜200μmに関しては回転数2000rpmの条件で乳化時間を適
宜設定して製造した。
乳化組成物1と同様の製法で、表1の組成で表2に記載の各種香料をそれぞれ用いて乳化組成物2〜4を作成した。
乳化組成物1では、0.4μm、10μm、15μm、20μm、40μm、60μm、80μm、100μm、120μm、150μm及び200μmの11種の乳化粒子径であった。かかる11種の乳化組成物を以下の試験例1と2で使用した。
同様に測定した乳化組成物2〜4の平均粒子径は、0.4μm、5.0μm、30μm、50μm、100μmであった。かかる乳化組成物2〜4を以下の試験例3〜9でそれぞれ使用した。
前記〔1〕乳化組成物の製造で得られた乳化組成物1〜4を添加した各種の飲食品A〜Gを調製して評価した。
(A)グレープフルーツ風味飲料
〔試験例1〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物1を0.1%添加した飲料の香味について官能評価を実施した。
グレープフルーツエマルションをシロップ(グラニュー糖を8.0%、クエン酸を0.
08%含むイオン交換水)に0.1%添加したグレープフルーツ風味のモデル飲料を調製した。
官能評価は、粒子径の異なるグレープフルーツエマルションを添加した11種類のモデル飲料を、20名の熟練したパネリストが試飲することによって行い、各モデル飲料のすっきりとした(シャープな)香味、呈味のボリューム(果汁感)の2項目について7段階で評価した。結果を表1に示す。
平均粒子径が0.4μmのグレープフルーツエマルションを添加したモデル飲料の各評価項目を4.0の点数に設定し、各パネリストはそれを基準に各粒子径のグレープフルーツエマルションを添加したモデル飲料を比較評価する方法を採用した。
同 2:かなり弱い
同 3:少し弱い
同 4:どちらとも言えない
同 5:少し強い
同 6:かなり強い
同 7:非常に強い
一方、平均乳化粒子径を10〜100μmに調製したグレープフルーツエマルションは、モデル飲料の果汁感や後味といった呈味のボリュームアップに効果的であるという結果が得られた。粒子径が大き過ぎても呈味のボリューム向上に寄与しないことが明らかとなった。
本試験例では、各種グレープフルーツエマルション(平均乳化粒子径が0.4〜200μm)を0.08%添加したグレープフルーツ風味のモデル飲料を調製し、グレープフルーツエマルションのマスキング効果について官能評価を実施した。
各種グレープフルーツエマルションを、アミノ酸を含有する酸入りシロップに0.08%添加したモデル飲料(表4参照)を調製し、80℃にて3時間処理したものを官能評価に供した。
その結果、平均乳化粒子径を15〜100μmに調整したグレープフルーツエマルションを添加したモデル飲料は、その範囲外の乳化粒子径のグレープフルーツエマルションを添加したモデル飲料と比較し、アミノ酸由来のオフフレーバーが比較的弱く感じられると、パネリスト全員が評価した。結果を表5に示す。
同 2:かなり弱い
同 3:少し弱い
同 4:どちらとも言えない
同 5:少し強い
同 6:かなり強い
同 7:非常に強い
〔試験例3〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物2を使用し表6の組成で以下に記載の方法により作成したグミキャンデーの香味について官能評価を実施した。
砂糖、水飴、D-ソルビトール液および水を混合し、加温溶解したものに、ゼラチン溶液を加え混合した。さらにクエン酸50%水溶液、乳化組成物2を混合したものを、各約3gになるようにスターチモールドの型に流し込み、静置し固化させた。これを評価品として使用した。
一方、平均乳化粒子径を30〜50μmに調製した乳化組成物2は、果汁感や後味といったグミキャンデーの呈味のボリュームアップに効果的であり、より嗜好性が高いという結果が得られた。
本試験例では、試験例3で使用したグミキャンデーを用いて、ゼラチン由来のオフフレーバーについての評価を行った。
評価基準は試験例2と同様であり、表8にはパネリスト10人の評価の単純平均値を記載した。乳化組成物2を添加していないグミキャンデーに感じられるゼラチン由来のオフフレーバーを参考とし、各粒子径の乳化組成物2を添加したグミキャンデーのオフフレーバーの強さを各パネリストが絶対評価する方法を採用した。
〔試験例5〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物3を使用し、表9の組成で以下に記載の方法により作成したミルク入りコーヒー飲料の香味について官能評価を実施した。市販のコーヒー豆を粉砕し、粉砕コーヒー豆の10倍量の熱湯を用いてコーヒー抽出液を得た。
得られたコーヒー抽出液が固形量1.2になるように水で希釈後、重曹、砂糖、牛乳、乳化剤および乳化組成物3を加えてホモジナイザーで混合した。混合液を容器に充填後レトルト殺菌処理したものをミルク入りコーヒーとして評価した。
一方、平均乳化粒子径を30〜50μmに調製した乳化組成物3は、コーヒーの濃厚感や香り立ちといったミルク入りコーヒー飲料の香味のボリュームアップに効果的であり、より嗜好性が高いという結果が得られた。
〔試験例6〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物4を使用し、表9の組成で、乳化組成物3を4に置き換えて試験例5と同様の方法で作成したミルク入りコーヒー飲料の香味について官能評価を実施した。官能評価は、試験例5と同様に行った。結果を表11に示す。
一方、平均乳化粒子径を30〜50μmに調製した乳化組成物4は、ミルクの濃厚感や乳脂感が強く感じられ、クリームを使用していないミルク入りコーヒー飲料でも飲用時のコク味や乳脂感から高い満足感を感じるという結果が得られた。
〔試験例7〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物2を使用し表12の処方により作成した10%グレープフルーツ果汁飲料の香味について官能評価を実施した。
一方、平均乳化粒子径を30〜50μmに調製した乳化組成物2は、果汁感や果皮感といったグレープフルーツ果汁飲料の呈味のボリュームアップに効果的であり、乳化粒子径が大きいほど果汁感やオイリーな果皮感が高まるという結果が得られた。
〔試験例8〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物4を使用し表14の組成で以下に記載の方法により作成したラクトアイスの香味について官能評価を実施した。
ここで、ラクトアイスとは乳等省令で規定される乳固形分が3%以上のアイスクリーム類である。
水飴に加糖凍結卵黄、イオン交換水、脱脂粉乳を加え湯浴にて撹拌し、更に乳化安定剤、砂糖および食塩を混合した。得られた混合物に精製ヤシ油を加え、クレアミックス(15000rpm、10分)にて均一化した。均一化した混合物に乳化組成物4を加え、混合後凍結したものをラクトアイスとして評価した。
一方、平均乳化粒子径を30〜50μmに調製した乳化組成物4を添加したラクトアイスでは、ミルクの濃厚感や乳脂感が強く感じられ、乳脂肪率の低いラクトアイスでも喫食時のコク味や乳脂感から高い満足感を感じるという結果が得られた。
〔試験例9〕(呈味改善効果)
本試験例では、前記の通り製造した乳化組成物4を使用し、表16の組成で以下に記載の方法により作成したホワイトソースの香味について官能評価を実施した。
水に牛乳、薄力粉、加工デンプンを加え、85℃で10分間加熱しながら混合した。次にバター、砂糖、食塩、MSG、ホワイトペッパーパウダーを加え更に混合し、全体が滑らかになった後に乳化組成物4を混合し、得られたホワイトソースを評価した。
一方、平均乳化粒子径を30〜50μmに調製した乳化組成物4を添加したホワイトソースでは、ミルクの濃厚感および後残りや乳脂感が強く感じられ、脂肪含量の低いホワイトソースでも喫食時のコク味や乳脂感から高い満足感を感じるという結果が得られた。
Claims (4)
- 乳化粒子中に油溶性物質を含む水中油滴型(O/W)の乳化組成物であって、油溶性物質が精油又は香料成分であり、油滴の平均粒子径が30〜100μmである乳化組成物からなることを特徴とする飲食品のアミノ酸の劣化臭及びゼラチン由来のオフフレーバーのマスキング剤。
- 飲食品が、飲料、菓子又はアイスクリーム類である請求項1記載のマスキング剤。
- 請求項1に記載のマスキング剤を飲食品中に0.001〜50質量%添加することを特徴とする飲食品のアミノ酸の劣化臭及びゼラチン由来のオフフレーバーのマスキング方法。
- 飲食品が、飲料、菓子又はアイスクリーム類である請求項3に記載のマスキング方法。
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