JP4869267B2 - コエンザイムq10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造法 - Google Patents

コエンザイムq10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造法 Download PDF

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Description

本発明は、酸性飲料、アルコール飲料などに対する乳化安定性が非常に良好で異味異臭が生成しない、コエンザイムQ10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造方法に関する。
コエンザイムQ10は1957年にウシ心筋のミトコンドリアから単離された電子伝達体の1つで高等動物において補酵素としての役割があり、ビタミンEのような抗酸化性をも有している。食品では魚介類、畜肉類中、次いでオリーブオイル、ブロッコリーなどに1〜数mg/100g程度含まれているとともにヒトの体内でも生産されるが、加齢とともにその量が減少することが知られている。古くより医薬品として軽度及び中程度のうっ血性心不全などの症状改善を目的とする代謝性強心薬等に使用されてきた。その後の研究が進み、発ガン作用、老化防止作用、血中LDL酸化抑制、血圧上昇抑制などに関し数多くの報告がなされている。また、近年、いわゆる食薬区分の見直しが行われた結果、使用が緩和されて食品への利用が可能となり、大いに期待されている素材でもある。
コエンザイムQ10はユビキノン、ユビデカレノン、ユビキノール−10、さらに一般的名称としてビタミンQとも呼ばれる物質である。融点約48℃で黄色〜橙色の結晶性粉末で匂い、味はほとんどない。水、アルコールに溶けにくく、エーテルに溶けやすいが、油に対する溶解性はエーテルほどではなく、光によって分解し、着色が強くなる性質を有している。したがって、これまでは固形物、即ち、カプセル剤、軟カプセル剤、錠剤等の形態でコエンザイムQ10を含有する栄養補助食品での利用に限られていた。飲料に添加し、摂取することが出来れば、利便性が高まり、摂取の機会および量を増やす結果となり、消費者による利用が大いに進むと考えられる。
これまでもコエンザイムQ10を飲料に添加するためのいくつかの提案が行われている。コエンザイムQ10を乳化し飲料に添加する場合、ビタミンC、ゼラチンなどが存在すると乳化安定性が悪くなるのを防ぐためにクエン酸、リンゴ酸を共存させる提案(特許文献1)、光劣化防止のためにカロチノイドとアスコルビン酸を添加する提案(特許文献2)、コエンザイムQ10による基剤臭及び保存による劣化臭を抑制するために特定の条件を満たす香料を添加する提案(特許文献3)、コエンザイムQ10の乳化液を0.3〜20%含有する飲料の安定化のために糖アルコールあるいは有機酸を添加する提案(特許文献4)、乳化剤を用いず、ジェランガムなどの増粘剤を添加してコエンザイムQ10を飲料中に均一に分散する提案(特許文献5)などである。
また、乳化剤の種類および乳化の条件を検討し乳化安定性を改善する提案として、5〜30%重量部の脂溶性物質、5〜30%重量部の乳化剤、30〜85%の多価アルコール及び水を攪拌混合後、高圧ホモ処理し実質的に油脂を含まない脂溶性物質水性液剤(特許文献6)、難水溶性、高結晶性により乳化が困難なコエンザイムQ10を油相成分、多価アルコール及び乳化剤を用いて乳化した組成物(特許文献7)、アラビアガム、ゼラチンなどの乳化剤を用いてコエンザイムQ10を分散させる際に粒子径を800nm以下とする提案(特許文献8)、コエンザイムQ10をN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジエステル系の油剤に溶解して平均粒径200nm以下の乳化物とした乳化型化粧料の提案(特許文献9)、耐アルコール性、耐酸性、耐塩性を目的としてポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、非水溶性の物質、水または多価アルコールを可溶化または乳化する提案(特許文献10)、平均重合度が10のポリグリセリンとステアリン酸、オレイン酸またはリノール酸のモノエステルと平均重合度が3〜6のポリグリセリンとステアリン酸、オレイン酸またはリノール酸のモノ、ジまたはトリエステルを併用して平均粒子径が110nm以下に調整した水溶性組成物の提案(特許文献11)、ユビデカレノンをHLB6以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとHLBが8以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用して可溶化したユビデカレノン製剤の提案(特許文献12)、ポリグリセリンモノミリステート、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを併用してコエンザイムQ10を乳化する提案(特許文献13)、ポリグリセリンの水酸基価が1200以下であり、かつ全ての1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと脂肪酸がエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてコエンザイムQ10を乳化する提案(特許文献14)、コエンザイムQ10、中鎖脂肪酸モノグリセリド及びHLB5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するコエンザイムQ10含有飲食品の提案(特許文献15)などである。
特許第3406911号公報 特開2005−263700号公報 特開2007−70269号公報 特開2004−16011号公報 特開2006−254871公報 特許3880265号公報 特開2003−238396号公報 特開2003−300870号公報 特開2007−153866号公報 特開2003−284510号公報 特許3833648号公報 特開2004−261005号公報 特開2007−131619号公報 特開2007−209251号公報 特開2007−302585号公報
しかしながら、従来の提案では飲料に添加した直後、あるいは保存後のコエンザイムQ10の乳化物の安定性は必ずしも満足できるものではなく、あるいは乳化直後、または保存後に生成する異味異臭が結局飲料の嗜好性を損ねるなどの問題があり、さらに乳化安定性が良く、保存後の香気香味の変化のない乳化物が求められていた。
したがって、本発明の目的は、乳化安定性が高く、かつ飲料の味に影響を与えないコエンザイムQ10乳化組成物を提供することである。
本発明者らはコエンザイムQ10の乳化安定性を改善すべく鋭意検討したところ、コエンザイムQ10を油脂類に溶解後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(以下、SAIBと呼ぶ)を添加して比重調整し、これとは別に用意した脱塩アラビアガム水溶液と多価アルコールの混合溶液中に徐々に添加して、乳化することにより、酸性飲料、アルコール飲料などの飲料に対する乳化安定性が高く、保存後も香気香味の変化のない良好な乳化物が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして本発明は、コエンザイムQ10を中鎖脂肪酸トリグリセライドに溶解した後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレートを添加して比重調整を行い、比重調整油相部を調製し、これとは別に用意した90℃で殺菌し、冷却した脱塩アラビアガム水溶液とグリセリンの混合溶液を攪拌しながら混合、溶解後、前記比重調整油相部を徐々に添加して、乳化処理を行い、乳化粒子が平均粒径0.1〜0.5μmの範囲となるまで乳化することを特徴とする飲料配合用乳化組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によればコエンザイムQ10を中鎖脂肪酸トリグリセライドに溶解した後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレートを添加して比重調整を行い、比重調整油相部を調製し、これとは別に用意した90℃で殺菌し、冷却した脱塩アラビアガム水溶液とグリセリンの混合溶液を攪拌しながら混合、溶解後、前記比重調整油相部を徐々に添加して、乳化処理を行い、乳化粒子が平均粒径0.1〜0.5μmの範囲となるまで乳化することにより、酸性飲料、アルコール飲料などの飲料に対する乳化安定性が非常に良好な乳化物を得ることができる。また、該乳化組成物は製造直後、飲料添加時、保存後の異味異臭の生成がなく、広い分野での利用が見込まれる。
本発明で使用することのできるコエンザイムQ10はユビキノン、ユビデカレノン、ユビキノール−10、さらに一般的名称であるビタミンQと呼ばれる物質であり、天然、合成を問わず、食品に使用できる品質であれば純度、規格等は問わないが、純度98%以上の高純度品が香気、香味がほとんどなく、不純物に起因する沈殿の生成も少ないことから望ましい。市販品としてはカネカ・コエンザイムQ10(カネカ社製)、コエンザイムQ10(旭化成社製)、BioQ10(登録商標、三菱瓦斯化学社製)、Co−10協和(登録商標、協和発酵工業社製)などを挙げることができる。
乳化組成物全体に対するコエンザイムQ10の量は0.2〜15重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲内の濃度とする。コエンザイムQ10の量が15重量%を超えると溶解させるための油脂の量が増えるとともに、得られる乳化組成物の粘性が非常に高くなり飲料中に混合、溶解する際に扱いにくくなること、および低温時にコエンザイムQ10の結晶が生成しやすくなるので好ましくない。
次に本発明で使用することのできる油脂類としては、例えば、大豆油、ゴマ油、コーン油、菜種油、米糠油、綿実油、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、パーム油、サフラワー油、小麦胚芽油、ヤシ油、ヒマワリ油、ツバキ油、ココア脂、魚油、牛脂、豚脂、バターなどの動植物油脂類及びそれらの硬化油類、中鎖脂肪酸トリグリセライド(以下、MCTと称する)などを挙げることができる。特に中鎖脂肪酸トリグリセライドは無味無臭で熱、光に安定でコエンザイムQ10の溶解性が良好で乳化組成物の乳化安定性にも優れており、好ましい。かかるMCTとしては、例えば、カプロン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド、及びこれらの任意の混合物である炭素原子数6〜12の中鎖飽和脂肪酸のトリグリセリドを挙げることができる。殊にカプリル酸トリグリセリド及びカプリン酸トリグリセリド及びこれらの
任意の混合物を好ましく挙げることができる。市販品として、例えば、ココナードML、ココナードMT(登録商標、花王社製)、スコレーML(登録商標、日清オイリオ社製)などを安価かつ容易に入手することができる。
次にコエンザイムQ10を油脂類に溶解する場合の割合であるが、コエンザイムQ10を溶解できる程度の油脂を使用すればよいが、コエンザイムQ10の量に対して0.5〜20倍量、好ましくは1〜10倍量、より好ましくは2〜5倍量の範囲とすることが必要である。
本発明で使用するSAIBは、コエンザイムQ10、油脂類、SAIBの混合物を添加しようとする飲料の比重に合わせ(比重調整油相部)、コエンザイムQ10等の成分の分離、沈殿の生成がなく、良好な乳化状態が保つことを目的として添加するものであるが比重が約1.14程度の市販品として入手することができる。
本発明で使用することのできる脱塩アラビアガムは、通常市販されているアラビアガムから、何らかの方法で金属イオンなどの陽イオンの一部またはほとんどを除去したものである。具体例としては、アラビアガムを水に溶解させた水溶液を陽イオン交換樹脂により陽イオンを除去し、これを乾燥したもの、あるいは、アラビアガム水溶液をイオン交換膜などにより陽イオンを除去したものを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。脱塩アラビアガムは市販品としても入手できる。脱塩アラビアガムは通常のアラビアガムに比べて乳化力が高い。その理由は金属イオンなどの陽イオンの存在が乳化の際に負の効果を有するからであり、これを一部またはほとんど除去することにより、乳化の際に生成する油滴、乳化剤などからなる均質化した粒子が微細かつ安定となると考えられる。
実際に乳化を行う際には、脱塩アラビアガムを水に溶解させて脱塩アラビアガム水溶液として使用する。水溶液中のアラビアガムの濃度は20〜50重量%の範囲内、より好ましくは30〜40重量%の範囲内が望ましい。
脱塩アラビアガム水溶液の量はコエンザイムQ10と中鎖脂肪酸トリグリセライドの合計重量の1.5〜10倍量、好ましくは3〜6倍量が望ましい。
グリセリンの量は乳化組成物全体に対して10〜40重量%の範囲内の濃度、好ましくは15〜30重量%の範囲内の濃度を例示することができる。
また、脱塩アラビアガム以外の乳化剤を使用しても良く、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、化工澱粉などを挙げることができる。
また、本発明の乳化組成物には所望により、各種ビタミン類、色素類、香料、抗酸化剤等の食品に使用可能な成分を添加しても良い。
各種ビタミン類の具体例としては、例えば、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンD3、ビタミンB2酪酸エステル、天然ビタミンE混合物などの油溶性ビタミン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、チアミン塩酸塩、リボフラビンなどの水溶性ビタミン類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
色素類の具体例としては、β-カロチン、アスタキサンチン、トウガラシ色素、トマト色素、パーム油カロテン、マリーゴールド色素などの油溶性色素類;アナトー色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、コチニール色素、ビートレッド、ブドウ果皮色素、ベニバナ黄色素、ベニコウジ色素、ムラサキイモ色素、カカオ色素、ルチンなどの水溶性色素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
香料の具体例としては、例えば、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油およびベルガモット油などのごとき公知の柑橘精油類;ペパ−ミント油、スペアミント油、シンナモン油などのごとき精油類;オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、クミン、ディル、ガーリック、ジンジャー、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ブラックペパー、ナッツメグ、サフラン、ローズマリー等のスパイス類の精油またはオレオレジン類;さらにリモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、l−メントール、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、バニリン、γ−ウンデカラクトン、l−カルボン、マルトール、フルフリルメルカプタン、プロピオン酸エチル、カプロン酸アリル、メチル−n−アミルケトン、ジアセチル、酢酸、酪酸等の公知のフレーバー物質;着香油(反応フレ−バ−);及びこれらの天然精油、オレオレジン及び香料化合物等を任意に組み合わせて混合した調合香料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
抗酸化剤の具体例としては、トコフェロール、アスコルビルステアレート、アスコルビン酸、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、生コーヒー豆抽出物、茶抽出物、BHA、BHT等の任意の抗酸化剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の乳化組成物の調製法の好ましい一実施態様を例示すれば以下の通りである。まず、コエンザイムQ10を1重量部、MCT2.5重量部を混合し、加温、攪拌することによりコエンザイムQ10を溶解させ、さらに比重調整のためのSAIB4重量部を混合、溶解して比重調整油相部とする。かくして得られた比重調整油相部を35%脱塩アラビアガム水溶液30重量部、グリセリン12.5重量部混合溶液に徐々に添加して、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を用いる通常の乳化処理により、平均粒径0.1〜0.5μmの微細かつ均質で安定性の優れた乳化組成物を得ることができる。比重調整油相部を徐々に添加するとは、数回に分けて添加するかまたは、連続して液滴として滴下するか、またはこれらの組合せを意味し、この操作により乳化粒子の均質化、安定化がさらに向上する。なお、乳化粒子の平均粒径の測定は、一般的に動的光散乱粒度分布計、レーザー回折の二通りの測定法が行われているが、動的光散乱粒度分布計は1μm以下の微粒子の測定に適しており、本発明で測定に用いた。
本発明によれば、上記の如くして得られる組成物を、飲料、例えば、茶類飲料、スポーツ飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料、酒類などに、例えば、0.02〜2重量%配合することにより、長期間安定で、かつコエンザイムQ10の有する老化防止作用、血中LDL酸化抑制効果、血圧上昇抑制効果、あるいは美容、健康等へのその他効果が期待できる保健、健康飲料が得られる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
精製例1 <脱塩アラビアガムの調製>
アラビアガム250gをイオン交換水4750gに50℃で攪拌しながら溶解した。これをイオン交換樹脂(登録商標:ダイヤイオンSK−1B、三菱化学社製)700gを充填したカラムに通液し、脱塩処理を行い、さらにイオン交換水1000gを通液して留出液を得た。留出液をニロ社製噴霧乾燥装置を用い熱風入口温度150℃、排出温度80℃の条件で噴霧乾燥を行い、脱塩アラビアガム188gを得た。
実施例1
脱塩アラビアガムを水に溶解し、35重量%濃度となるように調整し、90℃で殺菌後、40℃まで冷却し、35%脱塩アラビアガム水溶液を得た。市販のコエンザイムQ10を20gにMCT50g、SAIB80gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。35%脱塩アラビアガム水溶液600g、グリセリン250gをTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら混合、溶解後、これに比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品1)975gを得た。
なお、乳化粒子の平均粒径の測定は、動的光散乱粒度分布計(ELS−8000、大塚電子社製)を用いて行った。
実施例2
市販のコエンザイムQ10を50gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。35%脱塩アラビアガム水溶液550g、グリセリン250gをTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら混合、溶解後、これに比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品2)978gを得た。
実施例3
市販のコエンザイムQ10を100gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。35%脱塩アラビアガム水溶液450g、グリセリン250gをTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら混合、溶解後、これに比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品3)972gを得た。
比較例1
実施例1の脱塩アラビアガムを脱塩を行わないアラビアガムに代えるほかは実施例1と同様な手順で乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(比較品1)972gを得た。
比較例2
実施例2の脱塩アラビアガムを脱塩を行わないアラビアガムに代えるほかは実施例2と同様な手順で乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(比較品2)975gを得た。
比較例3
実施例3の脱塩アラビアガムを脱塩を行わないアラビアガムに代えるほかは実施例3と同様な手順で乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(比較品3)971gを得た。
〔乳化組成物の評価〕
発明品1〜3および比較品1〜3の乳化物について下記の方法で乳化直後の乳化状態、酸性飲料中での安定性およびその香味、高アルコールシロップ中での安定性を調べた。
乳化直後の乳化状態の確認
目視による外観観察および光学顕微鏡を用いた粒子の観察により乳化状態を確認した。
酸性飲料中での安定性および香味の確認
屈折糖度計による糖度がブリックス6゜、pH3.5の飲料基材(グラニュー糖60
g、クエン酸1.5g、クエン酸ナトリウム0.5g、ビタミンC0.2gを水に溶解させ1Lとしたもの、比重1.0249)1Lに発明品1〜3または比較品1〜3をそれぞれ1g添加し、98℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し、500mlのペットボトルにホットパックし飲料試料とした。飲料試料の外観等を観察するとともにその香味についての官能評価を行い、異味異臭の有無等を確認した。また、飲料試料の35℃1ヶ月保存後の状態観察および香味の官能評価を行った。
高アルコールシロップ中での安定性の確認
99%アルコール240.0ml、ショ糖180.0g、クエン酸6.0g、クエン酸ナトリウム1.2gに水を加えて全体を1000mlとすることによりアルコール24%シロップ(アルコール濃度約24%V/V)を調製した。アルコール濃度約24%はチュウハイなどのアルコール飲料の飲用時のアルコール濃度6%に対し、その4倍の高アルコールシロップであり、この濃度でも乳化物が安定であることは製造上、非常に有利である。上記シロップに対して発明品1〜3および比較品1〜3をそれぞれ0.8%W/V添加して調製した乳化物を混合溶液とした。混合溶液の24時間後の状態を光学顕微鏡を用いて観察し、乳化粒子の状態から安定性を評価した。
〔評価結果〕
評価結果を表1に示した。
Figure 0004869267
表1において発明品1〜3は35%脱塩アラビアガム水溶液を乳化剤として用い、コエンザイムQ10の量を変えた場合である。コエンザイムQ10の量が2重量%、5重量%である発明品1および2は乳化状態、酸性飲料中および高アルコールシロップ中での安定性はいずれも良好であり、酸性飲料添加時の香味も異味異臭がなく、良好であった。さらに酸性飲料添加後、35℃1ヶ月保存した試料でも乳化状態に変化はなく、異味異臭がないという結果であった。また、コエンザイムQ10を10重量%添加した発明品3は、酸性飲料添加時および35℃1ヶ月保存後にやや透過率(%T)が低いなど発明品1および2には若干劣ったが実用的には問題ない範囲であった。
これに対して脱塩を行わない35%アラビアガム水溶液を用いた比較品1および2は乳化直後の乳化状態こそ良好であったが、酸性飲料、高アルコールシロップ中での安定性は脱塩アラビアガム水溶液に比べ劣っており、酸性飲料添加時の香味もややコエンザイムQ10に由来する違和感のある香味が感じられ、飲料として使用するには更なる改良が必要と判定された。さらに35℃1ヶ月保存は透過率(%T)の低下、リング浮きが起こり、乳化状態が壊れるとともに、不快な異味が感じられた。また、コエンザイムQ10の量を10重量%とした比較品3は乳化直後の乳化状態、酸性飲料中での安定性、高アルコールシロップ中での安定性はいずれも不良という結果であり、酸性飲料添加時の香味、35℃1ヶ月保存後の香味についても違和感あるいは異味感じられるなど発明品1〜3に比べるとかなり評価が劣っていた。
以上総合すると、本発明の脱塩アラビアガム水溶液を用いたコエンザイムQ10の乳化物は通常のアラビアガム水溶液に比べ、乳化安定性が著しく良好であるとともに、飲料添加後の異味異臭を生じないことが確認された。

Claims (1)

  1. コエンザイムQ10を中鎖脂肪酸トリグリセライドに溶解した後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレートを添加して比重調整を行い、比重調整油相部を調製し、これとは別に用意した90℃で殺菌し、冷却した脱塩アラビアガム水溶液とグリセリンの混合溶液を攪拌しながら混合、溶解後、前記比重調整油相部を徐々に添加して、乳化処理を行い、乳化粒子が平均粒径0.1〜0.5μmの範囲となるまで乳化することを特徴とする飲料配合用乳化組成物の製造方法。
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