JP2003055688A - 透明溶解する新規粉末素材 - Google Patents

透明溶解する新規粉末素材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】例えば、ニアウオーターなどの高い透明度を要
求される飲食品に、香料、油溶性色素、油溶性機能性材
料などの可食性油性材料を添加配合することのできる、
水に透明溶解し、保存安定性に優れた可食性油性材料含
有粉末素材を提供すること。 【解決手段】(a)可食性油性材料1〜30重量%、
(b)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはシ
ョ糖脂肪酸エステル1〜20重量%、(c)賦形剤5〜
60重量%、(d)水30〜80重量%からなる水性混
合物を乾燥してなる水に透明に溶解し、保存安定性に優
れた可食性油性材料含有粉末素材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、各種香
料、油溶性色素、油溶性ビタミン類、DHA含有魚油な
どの可食性油性材料を含有し、水に透明に溶解し、保存
安定性に優れた粉末素材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油性材料を飲食品に添加配合する
場合、通常、油性材料を乳化した液状物の形態で添加配
合されている。このような油性材料の乳化液状物を添加
配合した飲食品は、一般的には混濁した状態となり、例
えば、ニアウオーターなどの高い透明度を要求される飲
食品には適していなかった。
【0003】高い透明度を要求される飲食品用乳化組成
物としては種々の提案がなされている。例えば、(a)
可食性油性材料、(b)HLB12以上のポリグリセリ
ン脂肪酸エステル、酵素処理レシチン、キラヤ抽出物よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の乳化剤、(c)
多価アルコール、(d)水からなる組成物を、減圧条件
下で乳化する方法(特許第2741093号公報)、油
脂、キラヤサポニンおよび糖アルコールからなる酸化安
定性に優れ、透明感を有する油脂乳化物(特開平8−5
1928号公報)、平均重合度5以上のポリグリセリン
と、ミリスチン酸またはオレイン酸とのモノエステルか
らなるポリグリセリン脂肪酸モノエステル0.01〜3
0重量%、多価アルコール40〜80重量%及び油溶性
物質0.01〜20重量%を含有し、残余部が水からな
る油溶性物質可溶化組成物(特開平10−84887号
公報)、油脂、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセ
リンおよびシュガーエステルを必須の組合せとする透明
度と耐熱性に優れた油脂乳化物(特開平10−3277
53号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来提案され
ている乳化物は、例えば、ニアウオーターなどの高い透
明度を要求される飲食品に、好ましい風味、色調や各種
の機能性を有する成分などを付与するためにそれなりの
効果はあるが、一般に、乳化物は粉末状物に比べ、保存
中の安定性が悪く、例えば、保存中に油性材料が分離し
たり、酸化劣化を引き起こす恐れがある。また、例え
ば、インスタントの粉末飲料、粉末お吸い物などの粉末
状の飲食品には水に透明に溶解し、保存安定性に優れた
油性材料含有粉末素材が求められている。
【0005】従って、本発明の目的は、例えば、ニアウ
オーターなどの高い透明度を要求される飲食品に、香
料、油溶性色素、油溶性機能性材料などの可食性油性材
料を添加配合することのできる、水に透明溶解し、保存
安定性に優れた可食性油性材料含有粉末素材を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の課題
について鋭意研究を行った結果、今回、(a)可食性油
性材料1〜30重量%、(b)ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステル1〜20重
量%、(c)賦形剤5〜60重量%、(d)水30〜8
0重量%からなる水性混合物を乾燥することにより水に
透明に溶解し、保存安定性に優れた可食性油性材料含有
粉末素材が得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0007】かくして、本発明によれば、水に0.2重
量%の濃度で溶解した際に、分光光度計で測定した68
0nmにおける吸光度が0.02以下の値を示す、水に
透明に溶解する可食性油性材料含有粉末素材であって、
(a)可食性油性材料1〜30重量%、(b)ポリグリ
セリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エス
テル1〜20重量%、(c)賦形剤5〜60重量%、
(d)水30〜80重量%からなる水性混合物を乾燥し
てなる水に透明に溶解する可食性油性材料含有粉末素材
が提供される。
【0008】また本発明は、水に0.2重量%の濃度で
溶解した際に、分光光度計で測定した680nmにおけ
る吸光度が0.02以下の値を示す、水に透明に溶解す
る可食性油性材料含有粉末素材であって、(a)可食性
油性材料1〜30重量%、(b)ポリグリセリン脂肪酸
エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステル1〜20
重量%、(c)賦形剤5〜60重量%、(d)水30〜
80重量%、(e)エチルアルコール1〜15重量%か
らなる水性混合物を乾燥してなる水に透明に溶解する可
食性油性材料含有粉末素材を提供するものである。
【0009】さらに、上記のポリグリセリン脂肪酸エス
テルが、HLB10以上で、かつ平均重合度6以上のポ
リグリセリンと、炭素数12以上の脂肪酸とのエステル
である粉末素材が提供される。
【0010】さらにまた、上記のショ糖脂肪酸エステル
が、HLB10以上のモノエステルまたはジエステルの
脂肪酸エステルである粉末素材を提供するものである。
【0011】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の水に透明溶解する可食性
油性材料含有粉末素材に使用される(a)可食性油性材
料としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレ
ープフルーツなどの柑橘類精油;花精油、ペパーミント
油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油;コー
ラナッツ、コーヒー、ワニラ、ココア、紅茶、緑茶、ウ
ーロン茶、スパイス類などの油性のエキストラクト類、
オレオレジン類;香味油;合成香料化合物、調合香料組
成物及びこれらの任意の混合物などの如き着香料;例え
ば、α−カロチン、β−カロチン、リコペン、パプリカ
色素、アナトー色素、クロロフィルなどの油溶性天然色
素類;例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコ
サペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEP
A含有魚油、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレ
ン酸、月見草油、ボラージ油、レシチン、オクタコサノ
ール、ローズマリー、セージ、γ−オリザノール、β−
カロチン、パームカロチン、シソ油;ビタミンA、ビタ
ミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンKなどの油
溶性ビタミン類などの機能性油性材料;大豆油、菜種
油、コーン油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒ
マワリ油、米油、牛脂、豚油、魚油などの動植物油脂
類;オリバナム、ロジン、コーパル、ダンマル、エレ
ミ、エステルガムなどの植物性樹脂類;炭素数6〜12
の中鎖脂肪酸トリグリセライドなどの加工食用油脂及び
これらの可食性油性材料の任意の混合物を例示すること
ができる。
【0013】本発明の粉末素材に使用される(b)ポリ
グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸
エステルからなる乳化剤のうちポリグリセリン脂肪酸エ
ステルとしては、例えば、デカグリセリンモノラウレー
ト、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリン
モノオレエート、デカグリセリンモノミリスチレート、
デカグリセリンジオレエートなどを挙げることができ、
特に、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリン
モノオレエートを好ましく例示することができる。
【0014】また、ショ糖脂肪酸エステルとしては、例
えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸
エステル、ショ糖ステアリン酸エステルなどを挙げるこ
とができ、特にショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パ
ルミチン酸エステルを好ましく例示することができる。
【0015】これらのポリグリセリン脂肪酸エステルと
ショ糖脂肪酸エステルはそれぞれ単独で使用することも
できるし、組み合わせて使用することもできる。
【0016】本発明の粉末素材に使用される(c)賦形
剤としては、水に透明に溶解できるもので有れば特に制
限されないが、例えば、デキストリン、糖アルコール、
アラビアガム、各種デンプン由来の水溶性物質などを例
示することができる。
【0017】本発明の可食性油性材料含有粉末素材は、
前記した(a)可食性油性材料を1〜30重量%、好ま
しくは3〜20重量%、(b)ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステルを1〜20
重量%、好ましくは3〜15重量%、(c)賦形剤を5
〜60重量%、好ましくは10〜50重量%および
(d)水を30〜80重量%、好ましくは35〜75重
量%からなる水性混合物を乾燥することにより得ること
ができる。
【0018】本発明の可食性油性材料含有粉末素材の好
ましい一実施態様を例示すれば、前記したごとき賦形
剤、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはショ
糖脂肪酸エステルからなる乳化剤と水との混合物を加熱
殺菌した後冷却し、該混合物に可食性油性材料を添加し
て温度約10〜約50℃でホモミキサー、コロイドミル
などを用いて約10分間〜約1時間乳化処理することに
より平均乳化粒子径が0.1ミクロン以下の安定な乳化
液状物を得ることができる。さらに所望により水を添加
して、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥などの適宜な乾燥手
段を採用して乾燥することにより水に透明に溶解し、保
存安定性に優れた可食性油性材料含有粉末素材を得るこ
とができる。
【0019】本発明の可食性油性材料含有粉末素材の他
の態様としては、前記の(a)可食性油性材料を1〜3
0重量%、好ましくは3〜20重量%、(b)ポリグリ
セリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エス
テルを1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、
(c)賦形剤を5〜60重量%、好ましくは10〜50
重量%および(d)水を30〜80重量%、好ましくは
35〜70重量%、(e)エチルアルコールを1〜15
重量%、好ましくは2〜10重量%からなる水性混合物
を乾燥することにより得ることもできる。
【0020】上記の可食性油性材料含有粉末素材の好ま
しい一実施態様を例示すれば、前記したごときポリグリ
セリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エス
テルからなる乳化剤および可食性油性材料にエチルアル
コールを添加混合して可溶化し、該可溶化物にあらかじ
め殺菌した賦形剤と水との混合物を添加し、さらに所望
により水を添加して、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥など
の適宜な乾燥手段を採用して乾燥することにより水に透
明に溶解し、保存安定性に優れた可食性油性材料含有粉
末素材を得ることができる。
【0021】上述のようにして得ることのできる可食性
油性材料含有粉末素材は、あらゆる飲食品に配合するこ
とができるが、殊に透明ないし混濁の少ない飲食品に好
適に利用することができ、例えば、炭酸飲料、栄養ドリ
ンク、嗜好飲料、アルコール飲料、果実飲料、乳性飲料
などの飲料類;キャンディー、ゼリーなどの菓子類;お
吸い物、中華風スープ、和風スープ、洋風スープなどの
スープ類などの飲食品およびそれらの粉末状のインスタ
ント飲食品に、約0.02〜約0.5重量%配合するこ
とにより長期間安定で、好ましい透明感、風味、色調及
び機能性を有する成分を付与することができる。
【0022】以下、実施例、比較例により本発明をさら
に詳細に説明する。
【0023】
【実施例】実施例1 水500gにDE8のマルトデキストリン300g、D
E40の粉末水飴500g、デカグリン1−L(日光ケ
ミカル(株)製のデカグリセリンモノラウレート)30
gおよびシュガーエステルDK−SS(第一工業製薬
(株)製のショ糖ステアリン酸エステル)30gを加え
て溶解し、80〜90℃で15分間殺菌する。これを4
0℃に冷却しレモンオイル(長谷川香料(株)製)10
0gを添加・混合後、TK−ホモミキサー(特殊機化
(株)製)で乳化した。この乳化液に水300gを添加
・混合後、L−8型スプレードライヤ(大川原化工機
(株)製)を使用し、入口温度140℃、出口温度70
℃にて噴霧乾燥し、レモン粉末香料800gを得た。
【0024】実施例2 95%エチルアルコール75gにデカグリン1−L30
gおよびシュガーエステルDK−SS30gを加えて溶
解し、この溶液にレモンオイル(長谷川香料(株)製)
100gを添加・混合後し可溶化液とする。水500g
にマルトデキストリン300gおよび粉末水飴500g
を加えて溶解し、85〜90℃で15分間殺菌後、40
℃に冷却し前記可溶化液を加えて混合後、L−8型スプ
レードライヤを使用し、入口温度140℃、出口温度7
0℃にて噴霧乾燥し、レモン粉末香料800gを得た。
【0025】比較例1 水1600gにオクテニルコハク酸エステル化デンプン
100g、デキストリン300gおよび粉末水飴550
gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間殺菌する。
これを40℃に冷却しレモンオイル(長谷川香料(株)
製)50gを添加・混合後、TK−ホモミキサーで乳化
した。この乳化液をL−8型スプレードライヤを使用
し、入口温度140℃、出口温度70℃にて噴霧乾燥
し、レモン粉末香料880gを得た。 (水溶液の透明度及び保存安定性試験)実施例1、2お
よび比較例1で得られたレモン粉末香料を、水に0.2
重量%の濃度に溶解し、日本分光(株)製V−560型
分光高度計にて、それぞれの溶液を10mmセルに入
れ、680nmにおける吸光度を測定した。
【0026】また、実施例1、2および比較例1で得ら
れたレモン粉末香料を低密度ポリエチレン袋に入れ、恒
温槽にて50℃、2週間遮光下にて保存し、上記と同様
にそれぞれの溶液の吸光度を測定した。吸光度の測定結
果を表1に示した。
【0027】また、それぞれのレモン粉末香料の香味を
専門パネラー10名によって評価した。専門パネラー1
0名の平均的な評価を表2に示した。
【0028】
【表1】表1:粉末調製直後と保存後の水溶液の吸光度
【0029】上記結果より、本発明品である実施例1お
よび2のレモン粉末香料は、調製直後および50℃、2
週間保存後ともに吸光度の変化が無く、かつ50℃、2
週間保存後も水に透明に溶解することが確認された。一
方、比較品は、本発明品に比較すると吸光度が非常に高
く、調製直後、50℃、2週間保存後も吸光度に変化は
ないが、調製直後から水に溶解した際、混濁した状態で
あった。
【0030】
【表2】表2:レモン粉末香料の官能評価
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、例えば、ニアウオータ
ーなどの高い透明度を要求される飲食品に、香料、油溶
性色素、油溶性機能性材料などの可食性油性材料を添加
配合することのできる、水に透明溶解し、保存安定性に
優れた可食性油性材料含有粉末素材を提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B026 DC03 DK01 DK03 DL02 DL06 DX03 DX08 4B047 LB03 LE02 LE06 LG12 LG36 LP02 LP07 4H059 BA17 BA34 BA35 BB02 BB03 BB15 BB22 BB44 BB45 BC06 BC13 BC23 BC45 BC46 DA09 DA16 DA30 EA01 EA11 EA15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に0.2重量%の濃度で溶解した際に、
    分光光度計で測定した680nmにおける吸光度が0.
    02以下の値を示す、水に透明に溶解する可食性油性材
    料含有粉末素材であって、下記の組成、(a)可食性油
    性材料1〜30重量%、(b)ポリグリセリン脂肪酸エ
    ステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステル1〜20重
    量%、(c)賦形剤5〜60重量%、(d)水30〜8
    0重量%、からなる水性混合物を乾燥してなる水に透明
    に溶解する可食性油性材料含有粉末素材。
  2. 【請求項2】水に0.2重量%の濃度で溶解した際に、
    分光光度計で測定した680nmにおける吸光度が0.
    02以下の値を示す、水に透明に溶解する可食性油性材
    料含有粉末素材であって、下記の組成、(a)可食性油
    性材料1〜30重量%、(b)ポリグリセリン脂肪酸エ
    ステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステル1〜20重
    量%、(c)賦形剤5〜60重量%、(d)水30〜8
    0重量%、(e)エチルアルコール1〜15重量%、か
    らなる水性混合物を乾燥してなる水に透明に溶解する可
    食性油性材料含有粉末素材。
  3. 【請求項3】ポリグリセリン脂肪酸エステルが、HLB
    10以上で、かつ平均重合度6以上のポリグリセリン
    と、炭素数12以上の脂肪酸とのエステルである請求項
    1または2記載の粉末素材。
  4. 【請求項4】ショ糖脂肪酸エステルが、HLB10以上
    のモノエステルまたはジエステルの脂肪酸エステルであ
    る請求項1または2記載の粉末素材。
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