JP2013005813A - 粉末組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機能性油性成分の少なくとも1種を含有する油性成分を含み、水性媒体の相に添加することで乳化分散物を形成しうる粉末組成物を、粉末の凝集や機能性油性成分の変質を生ずることなく長期間安定に保存しうる粉末組成物の包装体及び粉末組成物を提供する。
【解決手段】(a)カロチノイド類を含有する油性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、(c)リン脂質を含有し、(b)成分が(c)成分の1〜100倍(質量比)である粉末組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は粉末組成物の包装体及び粉末組成物に関し、詳細には、カロチノイド色素を含有するエマルジョン組成物を乾燥して得られる粉末組成物に代表される、特定の含水率を有し、水性媒体に対する再分散性に優れた粉末組成物の保存に好適な包装体及び粉末組成物に関する。
食品や化粧品などに有効成分や油性成分を乳化物の状態で含む製品が汎用されている。このような製品の製造には、安定性、輸送性が良好であるという観点から、水を主成分とする水性媒体に分散させると微細な乳化分散物を形成しうる粉末組成物が使用される。
このような再溶解性、再分散性が良好で、好適な乳化物を形成しうる粉末組成物は、この特性を維持するために所定の含水率を有するものであり、密閉包装し保存したときに、包装体内で粉末が固化するという問題があり、雰囲気湿度の影響を受けやすく、例えば、湿度が高くなるとべたついて粉体同士が付着、凝集し、このために、再溶解性、再分散性が低下するといった問題を生じ、長期保存に耐える密閉包装体が望まれていた。
特に、粉末組成物に酸素により変質しやすいものを含む場合には、包装体の材料として酸素遮断性に優れたものを使用することに加え、内容物の変質を抑制するために、包装体の内部を非酸素雰囲気下にすることが望まれている。これを解決する方法としては、特定の酸素遮断性を有する複合フィルムを構成単位として有する透明材料を用いて成形した包装体の内部に内容物を真空包装により封入する方法、脱酸素剤を封入する方法、或いは、ガス置換包装を行う方法を実施する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
この方法によれば、酸素による変質は抑制しうるものの、真空包装やガス置換包装は特殊な設備を要するだけでなく、粉末組成物に適用するのは困難である。また、脱酸素剤を共存させることも好ましい態様であるが、通常の脱酸素剤は酸素吸着課程において所定量の水分を保持することになるため、水分に起因する粉体のべたつきが生じるという新たな問題を発生することになる。
特開2006−27638公報
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、機能性油性成分の少なくとも1種を含有する油性成分を含み、水性媒体に添加することで乳化分散物を形成しうる粉末組成物を、粉末の凝集や機能性油性成分の変質を生ずることなく長期間安定に保存しうる粉末組成物の包装体及び粉末組成物を提供することにある。
本発明は以下の通りである。
<1> (a)カロチノイド類を含有する油性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、(c)リン脂質を含有し、(b)成分の含有量が(c)成分の含有量の1倍〜100倍(質量比)である粉末組成物。
<2> カロチノイド類がアスタキサンチン類である<1>に記載の粉末組成物。
<3> 前記粉末組成物を1質量%の水溶液にしたときに得られるエマルション粒子の平均粒子径が1nm以上130nm未満の範囲にある<1>または<2>に記載の粉末組成物。
<4> 前記リン脂質が、1分子内に2つの脂肪酸残基を有する<1>から<3>のいずれか1項に記載の粉末組成物。
<5> 前記粉末組成物が、(d)賦形剤を更に含有する<1>から<4>のいずれか1項に記載の粉末組成物。
<6> 前記(d)賦形剤が、単糖または多糖類である<5>に記載の粉末組成物。
<7> 前記(d)賦形剤が、イヌリンである<6>に記載の粉末組成物。
<8> 含水率が0.5%以上3.0%以下である<1>から<7>のいずれか1項記載の粉末組成物。
本発明によれば、特定の粉末組成物を低含水率で保存しうるため、高湿雰囲気下で保存した場合でも、粉末表面のべたつきやそれに起因する粉末の凝集が抑制され、粒子径の経時安定性が良好である。さらに、機能性油性成分として色素のごとき耐光性の低いものを保存した場合でも、色素の分光吸収極大の吸光度が経時で変化せず、安定性に優れるという利点をも有するものである。
本発明によれば、機能性油性成分の少なくとも1種を含有する油性成分を含み、水性媒体に添加することで乳化分散物を形成しうる粉末組成物を、粉末の凝集や機能性油性成分の変質を生ずることなく長期間安定に保存しうる粉末組成物の包装体及び粉末組成物を提供することができる。
本発明に係る粉末組成物の包装体は(a)機能性油性成分の少なくとも1種を含有する油性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、(c)リン脂質を含有し、(b)と(c)の組成比が、同じか又は(b)の方が多い比であるエマルション組成物を乾燥して得られた粉末組成物を、酸素透過率50mL/m・atm・day以下、透湿度40g/m・day以下の包装材料に、脱酸素剤と乾燥剤の共存下で封入してなることを特徴とする。
本発明者は鋭意検討の結果、特定の酸素遮断性を有する包装材料を用い、脱酸素剤及び乾燥剤の共存下で特定の粉末組成物を密閉することで、上記問題点を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明の包装体により包装される内包物である粉末組成物は、機能性の油性成分を含有し、水性媒体に添加することで、容易に溶解、分散し、安定で且つ乳化粒子の微少な乳化物を得ることができることを特徴とするものである。
<<粉末組成物>>
まず、本発明の包装体に内包される粉末組成物の詳細について説明する。本発明にかかる粉末組成物は、(a)機能性油性成分の少なくとも1種を含有する油性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、(c)リン脂質を含有し、(b)と(c)の組成比が、同じか又は(b)の方が多い比であるエマルション組成物を乾燥して得られる。
以下、このエマルション組成物に含まれる各成分について順次説明する。
<(a)機能性油性成分の少なくとも1種を含有する油性成分>
本発明における機能性油性成分としては、食品、化粧品、医薬品に使用した際に有用な効果を示す油性成分を示し、化学構造面からは、油脂類、炭化水素、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などがある。また、それらの混合物である、各種の植物由来油、動物由来油も含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、前記機能油性成分の機能面からは、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、分散剤、溶剤、美白剤、抗シミ剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、ビタミン類、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましい機能性油性成分の例としては、カロチノイド類(カロチノイド色素)、脂溶性ビタミン類、脂溶性ビタミン様物質からなる群より選択された少なくとも1種であることが好ましく、カロチノイド類、脂溶性ビタミン、ユビキノン類、ω−3油脂類(EPA、DHA、リノレン酸等を含む油脂)などを挙げることができる。
本発明において、これらの機能性油性成分の中で、カロチノイド類、脂溶性ビタミン、ユビキノン類、ω−3油脂類、特に油溶性機能色素であるカロチノイド(カロテノイドとも言う)類を本発明に適用すると、水に分散した際に透明性が高く且つ保存安定性に優れるという顕著な効果を有する粉末組成物を得ることができる。
カロチノイド類
本発明におけるカロチノイド類としては、天然色素を含むカロチノイド類を好ましく挙げることができ、これには、黄色から赤のテルペノイド類の色素であり、植物類、藻類、及びバクテリアのものが含まれる。
また、天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも、本発明におけるカロチノイドに含まれる。例えば、後述のカロチノイド類のカロチン類の多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造している。
このようなカロチノイド類としては、炭化水素類(カロチン類)及びそれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられ、中でも、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−アポ−8’−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロチン、β−カロチン、”カロチン”(α−及びβ−カロチン類の混合物)、γ−カロチン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類を好ましく挙げることができる。
カロチノイド類の多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばラセミ混合物である。
カロチノイド類は一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロチノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮フ及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
本発明において用いられるカロチノイド類としては、ハンドリングの観点から、好ましくは常温で油状のものであり、特に好ましくは、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、黄色から赤色の範囲の着色料として知られるアスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体(以下、「アスタキサンチン類」と総称する。)から選択された少なくとも1種である。
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロチノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38-165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione (C0H52、分子量596.82)である。
アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)−位の水酸基の立体配置により、3S,3S’−体、3S,3R’−体(meso−体)、3R,3R’−体の三種の異性体が存在する。また、さらに分子中央の共役二重結合のcis−、trans−の異性体も存在する。例えば全cis−、9−cis体と13−cis体などの如くである。
前記3(3’)−位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル(Yamaguchi,K., Miki,W., Toriu, N., Kondo,Y., Murakami,M., Konosu,S., Satake,M., Fujita,T. : The composition of carotenoid pigments in the antarctic krill Euphausia superba, Bull. Jap. Sos. Sci. Fish., 1983, 49, p.1411-1415.)、H. pluvialisから得られるものは3S,3S’−体で、脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている(Renstrom, B., Liaaen-Jensen, S. : Fatty acids of some esterified carotenols, Comp. Biochem. Physiol. B, Comp. Biochem., 1981, 69, p.625-627.)。
また、Phaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’−体(Andrewes, A.G., Starr, M.P. : (3R,3’R)-Asttaxanthin from the yeast Phaffa rhodozyma, Phytochem., 1976, 15, p.1009-1011.)であり、通常天然に見出される3S,3S’−体と反対の構造を持っている。また、これは脂肪酸とエステル形成していないフリー体で存在している(Andrewes, A.G., Phaffia, H.J., Starr, M.P. : Carotenids of Phaffia rhodozyma, a red pigmented fermenting yeast, Phytochem., 1976, 15, p.1003-1007.)。
アスタキサンチン及び同エステル体はR.Kuhnらによってロブスター(Astacus gammarus L.)から初めて分離され、その推定構造が開示された(Kuhn, R., Soerensen, N.A. : The coloring matters of the lobster (Astacus gammarus L.), Z. Angew. Chem.,1938, 51, p.465-466.)。それ以来、アスタキサンチンが自然界に広く分布し、通常アスタキサンチン脂肪酸エステル体として存在すること、甲殻類などでたんぱく質と結合したアスタキサンチン蛋白(オボルビン、クラスタシアニン)としても存在することが明らかにされている(Cheesman, D.F. : Ovorubin, a chromoprotein from the eggs of the gastropod mollusc Pomacea canaliculata, Proc. Roy. Soc. B, 1958, 149, p.571-587.)。
前記アスタキサンチン及びそのエステル(アスタキサンチン類)は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する天然物から分離・抽出したアスタキサンチン含有オイルとして、本発明にかかるエマルション組成物に含まれていてもよい。このようなアスタキサンチン含有オイルとして、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌等を培養し、その培養物からの抽出物、南極オキアミ等からの抽出物を挙げることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとは脂肪酸エステル体(モノエステル、ジエステルなど)の主成分の点で異なることが知られている。(http://www.astaxanthin.co.jp/chemical/basic.htm)
本発明において用いることができるアスタキサンチン類は、前記抽出物、また更にこの抽出物を必要に応じて適宜精製したものでもよく、また合成品であってもよい。前記アスタキサンチン類としては、ヘマトコッカス藻から抽出されたもの(ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)が、品質、生産性の点から特に好ましい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物の由来としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。
また、本発明では、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5 O、同−5 O、同−10 O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstin SCE7等が挙げられる。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
なお、本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様、色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含むが、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90%モル以上含むものである。
さらに詳細な説明は「アスタキサンチンの化学」、平成17年、インターネット〈URL:http://www.astaxanthin.co.jp/chemical/basic.htm〉に記載されている。
これらのアスタキサンチン類は、超臨界炭酸ガスを用いて抽出したものが、粉末としたときの臭気の点でより好ましい。
ユビキノン類
ユビキノン類としては、コエンザイムQ10のようなコエンザイムQ類等が挙げられる。コエンザイムQ10は、日本において1974年に代謝性強心剤の医療用医薬品として承認・販売された。以後、OTCも含めて医薬品として扱われてきた。一方、海外(主に欧米)ではここ10年あまり、有効性・安全性の高い健康食品素材として需要が伸びてきた。そして日本においても、2001年厚生労働省医薬局長通知「医薬品の範囲に関する基準の改正について」(医薬発第243号)にて、コエンザイムQ10が「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り食品と認められる成分本質(原材料)」リストに収載され、食品として扱ってもよいという規制緩和がなされた。国内でもこの食品素材が持つ、多様な機能性に注目が集まり、コエンザイムQ10を含有した一般食品(いわゆる健康食品)が数多く商品化されつつある。
コエンザイムQ10がもつ機能を生かすために、脂溶性物質であるこの素材の水溶化が重要である。水溶化の目的は、脂溶性という物性では食事と共に摂取しないと生体内での吸収が低いことが考えられ、このようなマイナス点を改善するため、何時どこで摂取しても生体内での吸収性が確実に得られるようにすることである。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよい。
脂溶性ビタミン類
本発明における脂溶性ビタミン類としては、脂溶性ビタミンE類、レチノイド類、ビタミンD類、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体を挙げることができ、この内でも、抗酸化機能が高くラジカル捕捉剤としても使用可能な脂溶性ビタミンE類であることが好ましい。
脂溶性ビタミンE類には、特に限定されないが、トコフェロール及びトコトリエノール並びにこれらの誘導体などが含まれ、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等を挙げることができる。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよいが、混合物の状態で使用する場合が好ましく、混合物の状態のものとしては抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれるものが含まれる。
レチノイド類としては、レチノール,3−ヒドロレチノール,レチナール,3−ヒドロレチナール,レチノイン酸,3−デヒドロレチノイン酸,ビタミンAアセテート等のビタミンA類;α,β,γ−カロチン,β−クリプトキサンチン,エキネノン等のカロチノイドやキサントフィル等のプロビタミンA類を挙げることができる。ビタミンD類としては、ビタミンD乃至D等のビタミンD類を挙げることができる。
またその他の脂溶性ビタミン物質としては、ニコチン酸ビタミンE等のエステル類;ビタミンK乃至K等のビタミンK類を挙げることができる。
アスコルビン酸、エリソルビン酸などの油溶化誘導体には、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、ジオレイン酸アスコルビル等のビタミンCの脂肪酸エステル類、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン、ジラウリン酸ピリドキシン、ジオクタン酸ピリドキシン等のビタミンBの脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらのうち、アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体は、ラジカル捕捉剤としても使用可能である。
ω−3油脂類
また、ω−3油脂類としては、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)並びにこれらを含有する魚油などを挙げることができる。
上記以外にも油性成分として使用可能な化合物には、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
前記液体の油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
また他の油性成分として、通常、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、分散剤、溶剤、美白剤、抗シミ剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、ビタミン類、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤などとして使用されている他の成分も使用することができ、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリンなどのロウ類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル類、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、アラキドン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、その他、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などを挙げることができる。また、それらの混合物である各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。
上記油状性成分は、水への分散性をより高めるために、2種以上を併用することが好ましく、この目的で併用可能な油性成分としては、DHA、スクワレン、スクワランが好ましく、スクワレンが特に好ましい。特に、コエンザイムQ10のように常温で固体の油性成分の場合には、DHA、スクワレン、スクワランなどと併用することが特に好ましい
機能性油性成分としては、食品や化粧品類の用途を考慮すれば、脂溶性カロチノイド、特にアスタキサンチン類が好ましい。
このような機能性油性成分は空気中における酸化の影響を受けやすく、そのような観点からは、油性成分にラジカル捕捉剤を併用することが好ましい。
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である(出典:「油化学便覧 第4版」、日本油化学会編 2001)。
前記ラジカル捕捉剤としての機能を確認する直接的な方法としては、試薬と混合して、ラジカルを捕捉する様子を分光光度計やESR(電子スピン共鳴装置)によって測定する方法が知られている。これらの方法では、試薬として、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)や、ガルビノキシルラジカルが使用される。
本発明においては、以下の実験条件下で、油脂の自動酸化反応を利用して、油脂の過酸化物価(POV値)を60meq/kgに引き上げるまでに要する時間が、ブランクに対し2倍以上である化合物を「ラジカル捕捉剤」と定義する。油脂の過酸化物価(POV値)は常法により測定する。
<ラジカル捕捉剤を定義するための実験条件>
油脂:オリーブ油
検体添加量:油脂に対し0.1質量%
試験方法:試料を190℃にて加熱し、時間を追ってPOV値を常法により測定し、60meq/kgとなる時間を算出した。
本発明におけるラジカル捕捉剤は、エマルションの酸化に対する安定性の観点から、前記POV値60meq/kgになるまでに要する時間がブランクに対し5倍以上であるラジカル捕捉剤が好ましい。
本発明のラジカル捕捉剤として使用できる化合物は、「抗酸化剤の理論と実際」(梶本著、三書房 1984)や、「酸化防止剤ハンドブック」(猿渡、西野、田端著、大成社 1976)に記載の各種酸化防止剤のうち、ラジカル捕捉剤として機能するものであれば良く、具体的には、フェノール性OHを有する化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、また、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体等を挙げることができる。
以下に好ましいラジカル捕捉剤(酸化防止剤)を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のエマルジョン組成物および高濃度エマルジョンは、ラジカル捕捉剤として化合物群(I)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩、あるいはアスコルビン酸誘導体またはエリソルビン酸誘導体またはその塩からなる化合物群、(II)ポリフェノール類からなる化合物群より選ばれる少なくとも2種の化合物を含有することが好ましい。
本発明のエマルジョン組成物および高濃度エマルジョンにおけるラジカル捕捉剤の含有量は一般的には0.001〜5.0質量%であり、好ましくは0.01〜3.0質量%、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。
以下、化合物群(I)〜(II)の具体的な化合物例を挙げるが、本発明に使用できる化合物を制限するものではない。
(I)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。
エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはその塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソルビル、等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
本発明に用いる化合物群(I)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、L−アスコルビン酸Na(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、アスコルビン酸2−グルコシド(商品名 AA−2G:林原生物化学研究所)、L−アスコルビン酸燐酸Mg(商品名 アスコルビン酸PM「SDK」(昭和電工)、商品名 NIKKOL VC−PMG(日光ケミカルズ)、商品名 シーメート(武田薬品工業))、パルミチン酸アスコルビル(DSM ニュートリション ジャパン、金剛薬品、メルク、ほか)等が挙げられる。
(II)ポリフェノール類からなる化合物群
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。これらのポリフェノール類のうち、特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
本発明に用いる化合物群(II)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM−21A、RM−21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW−5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK−2、P−10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所、ほか)等が挙げられる。
本発明に係る粉末組成物における(a)機能性油性成分の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.2〜2質量%である。
油性成分の含有量が前記範囲において、機能性油性成分よる効果を十分に得ることができ、また、保存経時による粉末表面への油性成分しみ出しが効果的に抑制され、取り扱い性の向上が可能となり、好ましい。
脂溶性の機能性素材に加えて他の油性成分を併用する場合には、油性成分全体に対して機能性油性成分は、好ましくは10質量%〜99質量%、より好ましくは50質量%〜99質量%で用いることができる。
<(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル>
(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルは後述する(c)リン脂質とともに、本発明に係るエマルション組成物の乳化剤として機能する成分であり、これらの使用により、エマルション組成物としたときのエマルション粒子の平均粒子径をより小さいものにすることができる。
本発明に用いられる、ショ糖脂肪酸エステルは、界面活性の観点から脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。炭素数12以上とすることにより、平均粒子径のより小さいエマルジョン粒子にすることができる場合がある。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でもショ糖モノエステルが好ましく、特に、ショ糖モノラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステルがより好ましい。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステルS−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−070、P−170、P−1570、P−1670、M−1695、O−170、O−1570、OWA−1570、L−195、L−595、L−1695、LWA−1570、B−370、B−370F、ER−190、ER−290、POS−135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−A50、F−20W、F−10、F−A10E、コスメライクB−30、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190、SA−10、SA−50、P−10、P−160、M−160、L−10、L−50、L−160、L−150A、L−160A、R−10、R−20、O−10、O−150等が挙げられる。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸とのエステルを挙げることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO−CV,NIKKOL DGMO−90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1−SV,NIKKOL Tetraglyn 1−O,NIKKOL Tetraglyn 3−S,NIKKOL Tetraglyn 5−S,NIKKOL Tetraglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Hexaglyn 1−SV,NIKKOL Hexaglyn 1−O,NIKKOL Hexaglyn 3−S,NIKKOL Hexaglyn 4−B,NIKKOL Hexaglyn 5−S,NIKKOL Hexaglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn PR−15,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,NIKKOL Decaglyn 2−SV,NIKKOL Decaglyn 2−ISV,NIKKOL Decaglyn 3−SV,NIKKOL Decaglyn 3−OV,NIKKOL Decaglyn 5−SV,NIKKOL Decaglyn 5−HS,NIKKOL Decaglyn 5−IS,NIKKOL Decaglyn 5−OV,NIKKOL Decaglyn 5−O−R,NIKKOL Decaglyn 7−S,NIKKOL Decaglyn 7−O,NIKKOL Decaglyn 10−SV,NIKKOL Decaglyn 10−IS,NIKKOL Decaglyn 10−OV,NIKKOL Decaglyn 10−MAC,NIKKOL Decaglyn PR−20,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステルL−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
本発明に係る粉末組成物は、これらのショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとは、いずれか一方を含んでいればよく、粉末の保存安定性をより向上させる観点から併用することが好ましい。
これらのショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、HLB8以上を有するものが好ましく、10以上を有する者がより好ましく、12以上を有するものが特に好ましい。HLB値の上限値は、特に限定されないが、一般的には18以下であり、17以下が好ましい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
本発明に係る粉末組成物は、(b)成分として、全粉末組成物に対して、好ましくは1質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜40質量%でこれらの成分を含有することができる。これらの成分を併用する場合には、特に制限はないが、粉末の保存安定性を向上させる観点からショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの質量比は、10:90〜90:10であることが好ましい。
本発明における上記ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、エマルション組成物に対して、0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。0.1質量%以上とすることによって、微細な粒子径のエマルション組成物を効果的に得ることができ、また、ポリフェノールを添加した場合であっても良好な乳化安定性を維持することができ、40質量%以下とすることによって、エマルション組成物の泡立ちを適切に抑制することができる。
なお、他の乳化剤を併用する場合には、ショ糖脂肪酸エステルとの合計量が上記範囲となればよいが、その場合には、他の乳化剤の含有比は、本発明による効果を確実に得るために、乳化剤合計量全体に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
<(c)リン脂質>
本発明に係る粉末組成物は、(c)成分として、リン脂質を含有する。
ここでいうリン脂質とは、複合脂質の内、脂肪酸、アルコール、燐酸、窒素化合物からなるエステルで、リン酸エステル及び脂肪酸エステルを有する一群であり、グリセリンを含まないグリセロリン脂質、スフィンドシンを含むスフィンゴリン脂質をいう。
本発明で用いることができるグリセロリン脂質としては、例えば、ホスファチジン酸、ビスホスアチジン酸、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等の成分が挙げられ、これらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンを挙げることができる。
本発明で用いることができるスフィンゴリン脂質としては、例えば、スフィンゴミエリンを挙げることができる。
また、本発明においては、グリセロリン脂質として、酵素分解した結果、1分子内に1つの脂肪酸残基を有するグリセロリン脂質、即ちリゾレシチンも含まれる。
このようなリゾレシチンは、酸、又はアルカリ触媒によるレシチンの加水分解により得られるが、ホスホリパーゼA又はAによるレシチンの加水分解により得ることがもできる。
このようなリゾレシチンとしては、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
また更に、上記のレシチンに代表されるグリセロリン脂質としては、水素添加又はヒドロキシル化されたものも、本発明において用いることができる。
前記水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加により、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
上記の(c)リン脂質の中でも、粉末の保存安定性の観点から1分子内に2つの脂肪酸残基を有するものであることが好ましく、レシチンが特に好ましい。
前記レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来より、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
また、水素添加、ヒドロキシル化されたレシチンは、化粧品用途への応用に特に好ましい。
前記レシチンの純度60質量%以上のものが産業的にはレシチンとして利用されているが、本発明においては、一般に「高純度レシチン」と称されるレシチン純度80質量%以上のものが好ましく、より好ましくは90質量%以上のものである。
このレシチン純度(質量%)は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。高純度レシチンは、リゾレシチンに比べて親油性が高く、そのためレシチンと油性成分との相溶性が高くなり、乳化安定性を向上させ得るため好ましい。
本発明で用いるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明に係る粉末組成物において、リン脂質の含有量は、粉末組成物全体に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
前記リン脂質の含有量を上記範囲とすることにより、エマルション組成物の乳化安定性が良好となり、且つ、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成することなく、エマルション組成物の乳化安定性の点から好ましい。
本発明に係る粉末組成物は、更に、(b)成分と(c)成分との組成比が、同じか又は(b)成分の方が多いものである。(b)成分が(c)成分と同じかそれ以上の量で粉末組成物中に存在するので、微細な粒子径を得ることができると共に、粒子径の保存安定性及びエマルションの保存安定性をも良好なものにすることができる。
(b)成分及び(c)成分の組成比は、粒子の微細化及び乳化安定性に適切な量という観点から、またエマルション組成物としたときの泡立ちの調整の観点から、(b)成分が(c)成分の1倍〜100倍であることが好ましく、5倍を超え、80倍以下であることが更に好ましい。
また本発明に用いうる粉末組成物は、上記(b)成分及び(c)成分とは別に、以下に挙げる界面活性剤を含有していてもよい。本発明における界面活性剤としては、水性媒体に溶解する非イオン性の界面活性剤(親水性の界面活性剤)がエマルション組成物中の油相/水相の界面張力を大きく下げることができ、その結果、粒子径を細かくすることができる点で好ましい。
本発明で使用することのできる非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。より好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。また、上記の界面活性剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
本発明に用いられる、ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL−10,SP−10V,SS−10V,SS−10MV,SS−15V,SS−30V,SI−10RV,SI−15RV,SO−10V,SO−15MV,SO−15V,SO−30V,SO−10R,SO−15R,SO−30R,SO−15EX,第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110、花王(株)社製の、レオドールAS−10V、AO−10V、AO−15V、SP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30Vなどが挙げられる。
本発明に用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。またポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2〜100が好ましく、4〜50がより好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL TL−10、NIKKOL TP−10V、NIKKOL TS−10V、NIKKOL TS−10MV、NIKKOL TS−106V、NIKKOL TS−30V、NIKKOL TI−10V、NIKKOL TO−10V、NIKKOL TO−10MV、NIKKOL TO−106V、NIKKOL TO−30V、花王(株)社製の、レオドールTW−L106、TW−L120、TW−P120、TW−S106V、TW−S120V、TW−S320V、TW−O106V、TW−O120V、TW−O320V、TW−IS399C、レオドールスーパーSP−L10、TW−L120、第一工業製薬(株)社製の、ソルゲンTW−20、TW−60V、TW−80V等が挙げられる。
これらの他の界面活性剤の量は、微細な粒子径の乳化物が容易に得るために、油性成分の量に対して0.5倍量以下であることが好ましく、2倍量以下がより好ましく、1.5倍量以下が更に好ましく、1倍量以下が特に好ましい。前記界面活性剤量が2倍量以下とすることにより、泡立ちがひどくなる等の問題がなくなる傾向となる点で好ましい。
これらの任意の界面活性剤の添加量は、粉末組成物全体に対して、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましい。
前記界面活性剤量を0.01質量%以上とすることにより、エマルション組成物としたときの油相/水相間の界面張力を下げ易く、また、30質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなくエマルション組成物の泡立ちがひどくなる等の問題を生じ難い点で好ましい。
(d)賦形剤
本発明に係る粉末組成物は、粉末化の容易性の観点から好ましくは(d)成分として賦形剤を含む。
賦形剤は、本粉末組成物中の油性成分を安定して粒子化させるために一般的に用いられている水溶性物質であればよく、グルコース、果糖、乳糖、麦芽糖、ショ糖、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、イヌリン、トレハロースなどの単糖及び多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;アラビアガム、グアーガム、ペクチン、プルラン、アルギン酸ナトリウムなどの増粘多糖類;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;デンプンにエステル化、エーテル化処理、末端還元処理を施したデンプン誘導体;その他に加工澱粉、ゼラチン分解物、寒天、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。この中でも、溶解性の面から単糖、多糖類、糖アルコール、無機塩が好ましく、吸湿性、粒子形成性の観点から、アラビアガム、イヌリン、デキストリン、糖アルコール、無機塩が更に好ましく、アラビアガム、イヌリン、デキストリンが特に好ましく、イヌリンが最も好ましい。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの賦形剤は、油性成分を効率よく良好に保持する観点から、粉末組成物全体に対して、好ましくは20質量%〜95質量%、より好ましくは30質量%〜85質量%で用いられる。
なお、本発明に係る粉末組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を適宜添加することができるが、粉末化の容易性の観点から常温で液体の多価アルコールを含まないことが好ましい。ここでいう多価アルコールとは、二価以上のアルコールを意味し、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらを、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明において「常温で液体の多価アルコールを含まない」とは、粉末組成物全体に対して1質量%以下を意味し、好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%、最も好ましくは0質量%である。
本発明に係る粉末組成物は、上述した(a)成分、(b)成分、(c)成分を含むエマルション組成物を製造し、これを乾燥することによって得ることができる。
即ち、本発明に係る粉末組成物は、(a)脂溶性の栄養機能性素材の少なくとも1種を含有する油性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、(c)リン脂質を含有し、(b)と(c)の組成比が、同じか又は(b)の方が多い比であるエマルション組成物を製造する製造工程と、得られたエマルション組成物を乾燥する工程を含む製造方法によって得ることができる。
<エマルション組成物の製造方法>
エマルション組成物の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、I)水性媒体(水等)に、界面活性剤を溶解させて、水相を得る工程、II)前記油性成分及びリン脂質を混合・溶解して、油相を得る工程、III)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、エマルション組成物を得る工程を含む製造方法が好ましい。
前記製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明に係る粉末組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、一般的には油相/水相比率が小さい方が、粒子径は小さくなるが、油相/水相比率が小さすぎると、有効成分が低くなるため実用上の問題を生じたり、また、界面活性剤濃度が薄くなるため、エマルション組成物の乳化安定性が悪化することがある。
以上の観点から、油相/水相比率(質量%)は0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70が好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
前記乳化分散は、1ステップの乳化操作を行うことでもよいが、2ステップ以上の乳化操作を行うことが均一で微細な乳化粒子を得る点から好ましい。
具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることができる。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行ってもよい。
本発明における乳化分散する際の温度条件は、特に限定されるものでないが、機能性油性成分の安定性の観点から10〜100℃であることが好ましく、取り扱う機能性油性成分の融点などにより、適宜好ましい範囲を選択することができる。
前記高圧ホモジナイザーとしては、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するチャンバー型高圧ホモジナイザー及び均質バルブを有する均質バルブ型高圧ホモジナイザーが挙げられる。これらの中でも、均質バルブ型高圧ホモジナイザーは、処理液の流路の幅を容易に調節でき、操作時の圧力及び流量を任意に設定できるため、その操作範囲が広く、特に本発明にかかるエマルション組成物の製造方法にとって好ましい。
また、操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする場合、チャンバー型高圧ホモジナイザーも好適に用いることができる。
前記チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
前記均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
本発明において、前記高圧ホモジナイザーの圧力は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは50〜250MPa、更に好ましくは100〜250MPaで処理することが好ましい。
また、乳化分散された組成物である乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、分散粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
このような工程によって得られたエマルション組成物は、油性成分を含有する乳化粒子が水性媒体中に分散しているO/Wエマルションである。
特に、本発明では、微細なエマルション粒子が均一に分散したエマルション組成物を得ることができる。
ここで得られたエマルション組成物の粒子径は、粒子安定性及び透明性の観点から、200nm以下であることが好ましく、透明性の観点から、より好ましくは130nm以下、最も好ましくは90nm以下である。
本発明においてエマルション組成物の粒子径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における粒子径範囲及び測定の容易さから、本発明でのエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒子径の測定方法は、たとえば、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)の場合、エマルション組成物の場合には10質量%の水溶液を調製し、同装置の標準測定条件で測定する。一方、粉末組成物の場合には、1質量%の水溶液を調製し、上記エマルション組成物と同じ条件で、測定する。
前記エマルション組成物の粒子径は、エマルション組成物の成分以外に、製造方法における攪拌条件(せん断力・温度・圧力)や、油相と水相比率、などの要因によって調整することができる。
上記のようにして得られたエマルション組成物は、次いで乾燥工程で乾燥に供される。
本製造方法に適用可能な乾燥方法としては、通常、この用途で使用される方法であればいずれのものであってもよく、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、棚乾燥、ベルト乾燥、ドラム乾燥などを挙げることができる。このうち、粉体の取り扱いの観点から、噴霧乾燥、凍結乾燥が好ましい。
このようにして得られた本発明に係る粉末組成物は、目的とする製品に応じた水性媒体に再溶解することによって、粒子径、色素及びエマルション粒子の分散性において良好な保存安定性を有するエマルション組成物を構成することができる。
再溶解後に得られたエマルション組成物における粒子径は、1質量%の水溶液としたときに平均粒子径が透明性や吸収性の観点から200nm以下にものとすることができ、良好な透明性や分散安定性並びに上記各種保存安定性の観点から、1nm以上、130nm未満のものであることが好ましい。
本発明に係る粉末組成物は、このように透明性、分散安定性のみならず、含有成分の保存安定性、粒子径の保存安定性、エマルションとしての保存安定性が良好なものであるため、食品組成物、化粧品組成物、医薬品組成物に適用することが好ましい。
即ち、本発明の食品組成物、化粧品組成物、医薬品組成物は、それぞれ本発明の上記粉末組成物を含むものである。
ここで、食品としては、飲料、冷菓など、化粧品としてはスキン化粧料(化粧水、美容液、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧料、メークアップ化粧料など、医薬品としては、栄養ドリンク、滋養強壮剤などを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
また、前記本発明の食品組成物、化粧品組成物、医薬品組成物は、本発明に係る粉末組成物と、所望の目的を達成するための添加可能な任意の成分とを、常法により混合等して、得ることができる。
ここで本粉末組成物は、目的とする各種製品組成物の形態に応じて、粉末化の状態で、又は水性媒体に再溶解して、他の成分と混合すればよい。
食品、化粧品、医薬品などに対して用いられる本発明に係る粉末組成物の添加量は、製品の種類や目的などによって異なり一概には規定できないが、製品に対して、0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜5質量%の範囲となるように添加して用いることができる。
添加量が0.01質量%以上であれば目的の効果の発揮が期待でき、10質量%以下であれば、適切な効果を効率よく発揮できることが多い。
本発明に係る粉末組成物は、粉末として長期保存が可能であり、特に再溶解して水溶性製品、例えば飲料(食品の場合)や化粧水、美容液、乳液、クリームパック・マスク、パック、洗髪用化粧品、フレグランス化粧品、液体ボディ洗浄料、UVケア化粧品、防臭化粧品、オーラルケア化粧品等(化粧品の場合)などに使用した場合には、透明感のある製品が得られ、且つ、長期保存又は滅菌処理などの苛酷条件下での不溶物の析出、沈殿又はネックリングなどの不都合な現象の発生を抑制することができる。
本発明に係るこのような粉末組成物は、再分散性、再溶解性を良好に維持する観点から、その含水率は、0.5%以上3.0%以下であることが好ましい。
<<包装体>>
以下、上記本発明に係る粉末組成物を包装する際の好ましい包装体及びそれに用いる包装材料について説明する。
本発明に係る前記粉末組成物を長期保存したり、乳化物調整工程に付するために搬送する場合、乳化分散性を維持するため、特定の含水率を維持し、且つ、空気中の酸素や水分、或いは、光の影響をできるだけ抑制することが要求されることから、本発明の包装体は、少なくともその最外層として酸素透過率50mL/m・atm・day以下、透湿度40g/m・day以下の包装材料を用い、この粉末組成物を脱酸素剤と乾燥剤の共存下でこの包装材料からなる容器に封入することを要する。
<包装材料>
本発明に使用する包装材料は、酸素透過率が50mL/m・atm・day以下、透湿度40g/m・day以下の包装材料を使用する。酸素透過率は、10mL/m・atm・day以下であることがより好ましく、透湿度は5mL/m・atm・day以下であることがより好ましい。
酸素透過率が50mL/m・atm・day以下の包装材料としては、この条件を満たす限りにおいて、単層又は多層構造の樹脂フィルム、金属箔ラミネート樹脂フィルム、及び金属蒸着フィルムから適宜、選択することができる。
包装材料の形状は、粉末組成物を封入した場合の密閉性が維持できるものであればどのような形状でも良く、たとえば、ガラス瓶や、高分子材料で成型されたようなボトルであっても良い。内部に余分な空間を残さずに包装できるという点で、好ましくは、樹脂フィルム材料を所定の接着剤で貼りあわせるか、加熱圧着により融着することで形成された袋状のものが好ましく、一度開封したあとでも、再度密閉状態を保てるという観点からは、チャック付きの袋状包装材料が好ましい。
具体的には、袋状包装材料を形成しうる樹脂フイルムとしては、たとえば、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合鹸化物(市販品としては、例えば、商品名:エバール、クラレ(株)製が挙げられる)、ポリビニルアルコール(版品としては、例えば、商品名:ビニロン、クラレ(株)製が挙げられる)、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。これらの樹脂フィルムは、樹脂の分子量、フィルムの密度、厚みなどを調整することにより、上記酸素透過率を達成することができる。目的に応じて、異種の樹脂フィルムを積層して用いてもよく、着色樹脂フィルムと透明樹脂フィルムとを積層して用いてもよい。
一般的には、樹脂フィルムの単層或いは積層状態で包装材料を構成する場合には、フィルムの総厚みは、20μm〜1000μmであることが好ましく、40μm〜300μmの範囲であることがより好ましい。
積層状態で用いる場合、異種のフィルムをラミネートして用いる、単層樹脂フィルムに他の樹脂材料をコーティングして用いる、コートした樹脂フィルムを他の樹脂フィルムにラミネートして用いる、などの方法をとることができるが、樹脂材料同士の組合せの例としては、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)/ポリエチレン(PE)、OPP/エチレンビニルアセテート(EVA)、OPP/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、OPP/無延伸ポリプロプイレン(CPP)、OPP/エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)/PE、ポリ塩化ビニリデンをコートしたOPPフィルム(KOP)/PE、KOP/EVA、KOP/LLDPE、KOP/CPP、ポリエチレンテレフタレート(PET)/PE、PET/EVA、PET/LLDPE、PET/CPP、片面にポリ塩化ビニリデンをコートしたPETフィルム(KPET)/PE、KPET/EVA、KPET/LLDPE、KPET/CPP、延伸ナイロン(ON)/PE、ON/EVA、ON/LLDPE、ON/CPP、片面にポリ塩化ビニリデンをコートしたONフィルム(KON)/PE、KON/CPP、PET/VMPET/PE、PET/VMPET/EVA、PET/VMPET/LLDPE、PET/AL/CPPなどをあげることが出来る。
また、通気性を低く保つという観点からは、金属箔を積層したり、樹脂フィルムに金属を蒸着したものを用いることも好ましく、そのような例としては、PET/アルミ箔(AL)/PE、OPP/アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(VMPET)/CPP、OPP/アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン(VMCPP)などが挙げられる。
これらのなかでも、より好ましくは、PET/AL/PE、PET/AL/CPPなどアルミ箔を挟んだ構成のラミネートフィルムや、OPP/VMPET/CPP、PET/VMPET/PE、PET/VMPET/EVA、PET/VMPET/LLDPEなどのアルミ蒸着フィルムを挟んだ構成のものが挙げられ、これらを本発明の好適な包装材料として使用することができる。
包装材料が透明性を要しない場合、或いは、内包する粉末組成物に光により劣化し易い成分を配合する場合などには、樹脂フィルムに金属箔をラミネートしたもの、或いは、金属蒸着膜を有する樹脂フィルムなども好適に用いることができる。これらの積層フィルムは、金属層を有することで、遮光性のみならず、優れた酸素遮断性、湿度遮断性を達成することができる。特に、アスタキサンチン類などの着色有効成分を含有する場合には、このような金属層を有する包装材料を用いることが有用である。
金属箔ラミネートとしては、アルミニウム箔ラミネートフィルムが一般的である。また、金属蒸着フィルムを用いる場合、堅牢性、取り扱い容易性の観点から同様にアルミニウム蒸着品が好ましい。金属箔ラミネート、金属蒸着用の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体等を基体として用いることが好ましい。
金属箔の厚みは、1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。また、形成される金属蒸着層の厚みは、0.1μm〜2μmの範囲であることが好ましい。
これらのうち、内容物の安定性の観点からは、アルミニウム箔ラミネートフィルムが好ましい。
透湿度が40g/m・day以下の材料としては、たとえば上述したポリ塩化ビニリデン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合鹸化物(商品名:エバール、クラレ(株)製)、ポリビニルアルコール(商品名:ビニロン、クラレ(株)製)、ポリ塩化ビニルや、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどを挙げることができる。また、前記アルミニウム等の金属箔ラミネートフィルム、アルミニウム等金属蒸着フィルムもまた、透湿性の観点からも、本発明に規定される条件を満たすものである。
本発明に使用する包装体は、包装材料で形成された容器内に粉末組成物とともに、脱酸素剤と乾燥剤を内包する。
粉末組成物、脱酸素剤、乾燥剤は、それぞれ別の袋体に内包されて封入されてもよく、これらのうち、いずれか2種が別の袋体に内包されてもよいが、粉末組成物は、脱酸素剤及び乾燥剤と、粉末として混合することなく包装されることを要する。
従って、前記した包装材料からなる容器中に、粉末組成物が直接封入されてもよく、また、酸素透過率が50mL/m・atm・dayを超えるか、透湿度が40g/m・dayを超えるような包装材料からなる袋体に内包されて封入されてもよい。
<脱酸素剤>
本発明に使用する脱酸素剤は、主として、前記粉末組成物中に含まれる機能性油性成分の酸化による劣化を抑制するために用いられる。
本発明に使用可能な脱酸素剤としては、たとえば市販のエージレス(商品名:三菱ガス化学(株))、タモツ(商品名:大江化学工業(株))、ワンダーキープ(商品名:パウダーテック(株))、セキュール(商品名:ニッソー樹脂(株))、モデュラン(日本化薬(株))、サンソカット(商品名:ニッテツ・ファイン・プロダクツ(株))などが挙げられる。
また、粉末組成物として、含水率が非常に低い場合、たとえば水分活性で0.3以下を維持する必要がある場合には、脱酸素剤が有する水分が少ないもの、即ち、低水分活性の脱酸素剤を選択することが好ましく、低水分活性の脱酸素剤としては、具体的には、例えば、エージレス ZP−K、エージレス E−150(以上、三菱ガス化学(株)製)、タモツD(大江化学工業(株)製)、ワンダーキープRP(パウダーテック(株)製)などが挙げられる。
脱酸素剤は、粉末組成物と混合されるのを抑制するため、通気性で且つ脱酸素剤成分や粉末組成物を構成する粒子が通過できない微少な開口部を有する通気性フィルムからなる袋体に内包されて容器内に封入されるか、或いは、包装体の容器を通気性フィルムで分割して多層構造とし、粉末組成物とは異なる層に封入して用いられることが好ましい。
通気性フィルムとしては、ポリプロピレンなどの合成繊維からなる不織布、微少な開口部を有する多孔質フィルム、レーヨン紙、和紙などが挙げられる。
脱酸素剤の使用量は、効果の観点から、包装容器の内容積にあわせた酸素吸収能力を有する量(サイズ)を使用することが好ましい。
<乾燥剤>
本発明に使用しうる乾燥剤は、たとえば、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化カルシウム(石灰)、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、無水硫酸マグネシウム、五酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛などが挙げられる。なかでも、食品用途等に好ましく使用することができるという安全性の観点から、塩化カルシウム、酸化カルシウム(石灰)、シリカゲルが特に好ましい。
乾燥剤の封入方法としては、脱酸素剤と同様に、粉末組成物への混合を抑制するため、通気性フィルムに内包して容器内に封入するか、或いは、包装体の容器を通気性フィルムで分割して多層構造とし、粉末組成物とは異なる層に封入して用いることが好ましい。
通気性フィルムとしては、脱酸素剤におけるのと同様のものを挙げることができるが、例えば、乾燥剤として、比較的大きな粒径のシリカゲルなどを用いる場合には、さらに、樹脂フィルムの一部にメッシュ状の通気口を有するものや、多孔質フィルムなども用いることができる。
乾燥剤の使用量は、たとえば、シリカゲルに関しては、JIS−Z−0301記載の方法にて必要量を算出することができる。その他の乾燥剤についても、容器の内容量、粉末組成物の含水量などから必要量を算出することができ、目的に応じて適宜決定することができる。
乾燥剤の種類によって好ましい範囲は変化するが、一般的には、質量比で、粉末組成物100に対し、3〜30の範囲で用いることが好ましく、3〜15の範囲で用いることがより好ましい。
乾燥剤は、粉末組成物のみならず、共存する脱酸素剤の水分量をも制御することから脱酸素剤の近傍に封入することが好ましい。
両者を混合して一つの通気性フィルムからなる袋体に内包することも可能であるが、乾燥剤は再生利用が可能なものが多いため、両者を別々の袋体に内包することが好ましい。
なお、脱酸素剤、乾燥剤のいずれか、或いは双方を袋体に内包して用いる場合、一つの包装体にそれぞれ1つである必要はなく、粉末組成物との接触面積を向上する目的で、それぞれを、複数の袋体に内包して封入してもよい。
本発明の包装体は、前記態様としたので、粉末組成物の保存、輸送に好適に使用され、保存、輸送後に該粉末組成物を水性媒体に添加した場合、速やかに再分散し、安定で微細な乳化粒子、例えば、1%水溶液としたとき、平均粒子径が1nm以上130nm未満の乳化粒子を形成しうるエマルション組成物を得ることができる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の記載で「部」或いは「%」と表示してあるものは、特に断らない限り質量基準である。
[実施例1]
1.粉末組成物PW−1の調製
<1−1:エマルション組成物EM−1の調製>
エマルション組成物EM−1を下記に示す組成及び下記製法で調製した。
<組成>
(成分) (質量%)
(1)ヘマトコッカス藻色素(アスタキサンチン類含有率 20質量%)*1
1.8
(2)ミックストコフェロール*2 0.5
(3)ショ糖ラウリン酸エステル*3 1.8
(4)ラウリン酸ポリグリセリル−10*4 1.8
(5)レシチン*5 1.8
(6)アカシアガム*6 6.0
(7)HO 86.3
*1:ASTOTS−S:武田紙器(株)製
*2:理研Eオイル800:理研ビタミン(株)製
*3:リョートーシュガーエステルL−1695:三菱化学フーズ(株)製
*4:NIKKOL Decaglyn 1−L:日光ケミカルズ(株)製
*5:レシオンP:理研ビタミン(株)製
*6:INSTANTGUM AB:コロイド・ナチュレル・ジャパン(株)
<製法>
(A) 上記成分(1)〜(2)を、容器に秤量し、70℃の恒温槽にて攪拌しながら加熱混合し、よく混合したことを確認し、70℃に保ち、混合物Aを得た。
(B) 上記成分(3)〜(7)を、容器に秤量し、70℃の恒温槽にて攪拌しながら加熱混合し、よく混合したことを確認し、加熱混合し、70℃に保ち、混合物Bを得た。
(C) 混合物Bに混合物Aを加えて混合し、均一に乳化した。乳化装置は、ホモジナイザー(SMT社製)を使用し、10000回転にて5分間攪拌し、混合物Cを得た。
(D) 混合物Cを高圧ホモジナイザー(アルティマイザーHJP−25003:(株)スギノマシン製)を使用し、圧力235MPa、液温60℃にて乳化操作を行い、エマルション組成物EM−1を得た。
エマルション組成物EM−1の平均粒子径は、粒度分布計(FPAR-1000:大塚電子製)を用いて、10質量%の溶液を調製し、25℃の測定条件で測定した。その結果、粒径は72nmであった。
<1−2:粉末組成物PW−1の調製>
1−1で得られたエマルション組成物EM−1を、スプレードライヤ(ADL310:ヤマト科学(株)製)にて毎分10mLの速度で送液し、150℃の送風にて噴霧乾燥させ、粉末組成物PW−1を調製した。
上記で得られた粉末組成物PW−1を厚さ40μmのポリエチレンフィルム(酸素透過率:1000mL/m・atm・day、透湿度:5g/m・day)で成形した袋体に100g秤量して入れ、脱酸素剤(商品名:エージレスE−150、三菱ガス化学(株)製)、乾燥剤の粒子が通過し得ない開口部を有する通気性フィルム(合成繊維不織布)に内包された5gの乾燥剤(表1に記載の種類)とともに、基体フィルム(厚さ80μmのポリエチレン)に厚さ7μmのアルミ箔、厚さ15μmのポリエチレン、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートをラミネートした包装材料(酸素透過率:0.5mL/m・atm・day、透湿度:0.2g/m・day)からなる容器に封入し、開口部を加熱シールにより密閉して包装体を得た。
得られた粉末組成物の包装体を温度40℃の雰囲気下にて30日間保存し、開封した。
内包された粉末組成物を目視で観察し、以下の基準にて評価した。結果を下記表1に示す。
(保存性1:凝集の有無)
粉末組成物を観察し、封入前と状態が変化せず、凝集体が観察されなかったものを「OK」、粉末の凝集体が観察されたものを「NG」と判定した。
(保存性2:アスタキサンチン残存率)
粉末組成物1gを水999gに溶解した試料について、分光吸収測定を、分光光度計(ND−1000:ナノドロップ社製)で行った。保存前の479nmでの吸光度をAb0、保存後の479nmでの吸光度をAb1とし、次式にて変化率を求め、以下の基準で評価した。
式:変化率(%)=(Ab0−Ab1)/Ab0 *100
○:10%以内
△:10%を超え、20%以内(実用的に許容)
×:20%を超えた
(再分散エマルション組成物における乳化粒子の粒径)
保存後の実施例1〜2,比較例1〜3の包装体から取りだした粉末組成物を1gを水99gに添加することにより得られたエマルション組成物の乳化粒子の平均粒子径を、粒度分布計(FPAR−1000:大塚電子製)を用いて、10質量%の溶液を調製し、25℃の測定条件で測定した。結果を下記表1に併記する。
表1の結果より、本発明の包装体は、粉末組成物の凝集もなく、機能性油性成分であるアスタキサンチンの保存性も良好であった。
他方、脱酸素剤のみを封入した比較例1では粉末組成物に凝集が見られ、再分散した場合も、微細なエマルション粒子が得られなかった。乾燥剤のみを封入した比較例2及び脱酸素剤及び乾燥剤のいずれも封入しなかった比較例3では、機能性油性成分であるアスタキサンチンの残存率が劣り、比較例3では、再分散した場合も、微細なエマルション粒子が得られないことがわかった。

Claims (8)

  1. (a)カロチノイド類を含有する油性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル、(c)リン脂質を含有し、(b)成分の含有量が(c)成分の含有量の1〜100倍(質量比)である粉末組成物。
  2. カロチノイドがアスタキサンチン類である請求項1に記載の粉末組成物。
  3. 前記粉末組成物を1質量%の水溶液にしたときに得られるエマルション粒子の平均粒子径が1nm以上130nm未満の範囲にある請求項1または請求項2に記載の粉末組成物。
  4. 前記リン脂質が、1分子内に2つの脂肪酸残基を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉末組成物
  5. 前記粉末組成物が、(d)賦形剤を更に含有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉末組成物。
  6. 前記(d)賦形剤が、単糖または多糖類である請求項に記載の粉末組成物。
  7. 前記(d)賦形剤が、イヌリンである請求項に記載の粉末組成物。
  8. 含水率が0.5%以上3.0%以下である請求項1から請求項7のいずれか1項記載の粉末組成物。
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