JP2004051502A - 成長ホルモン含有安定化粉末製剤 - Google Patents

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Hironari Hairi
破入 洋誠
Katsura Inoue
井上 桂
Hidehito Yasukawa
安川 秀仁
Masahito Miyamoto
宮本 雅仁
Masato Horie
堀江 正人
Chihiro Shindo
進藤 千尋
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Abstract

【課題】ヒト成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる粉末製剤において、保存安定性を改善する方法を提供すること、及びそのように保存安定性の改善された粉末製剤を提供すること。
【解決手段】成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末中における成長ホルモンを安定化する方法であって、混合粉末を、乾燥剤及び脱酸素剤と共に、又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質と共に、乾燥剤及び脱酸素剤又は物質との直接接触を防止した状態で、ガスバリア性の容器内に密封することを特徴とする方法、及び、成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末が、乾燥剤及び脱酸素剤と共に、又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質と共に、乾燥剤及び脱酸素剤又は物質との直接接触が防止された状態で、ガスバリア性の容器内に密封されていることを特徴とする、成長ホルモン含有粉末製剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成長ホルモン含有の粉末製剤の安定化に関し、より詳しくは、成長ホルモン及び乳糖を含有する粉末製剤の製造における、保存安定性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患に対する吸入療法が普及しているが、吸入療法はまた、皮下注射等のような全身投与に代わり得る手段としても検討が進められている。例えば、成長ホルモンやインスリンなどの生理活性ペプチドの投与手段として吸入による経肺吸収を利用することにより、従来患者の苦痛を強いてきた日常的皮下注射の必要をなくそうとするものである。
【0003】
吸入用製剤としては、近年、フロンガスのような噴射剤を用いない粉末吸入型の製剤が着目され、喘息薬について開発、製品化が行われている。これは、薬剤含有の粉末を粉末吸入器によってエアロゾル化して吸入するものであり、生理活性ペプチドの吸入用製剤についても、粉末の形での製剤化について研究が行われている。吸入用の粉末製剤は、通常、薬物と乳糖等のような不活性な賦形剤の混合物として提供される。
【0004】
吸入用の粉末製剤について検討すべき事項の一つとして、粉末状態で保存中の安定性がある。本発明等は、ヒト成長ホルモン粉末と乳糖粉末との混合粉末を製造し、予備的な安定性試験(加速試験)を実施したところ、ヒト成長ホルモン原体に比して安定性に劣るという結果が得られた。生理活性ペプチドの粉末経肺製剤を製造するにあたって、乳糖は安全性の点で賦形剤として特に好ましいものの一つである。また、乳糖を賦形剤として配合したヒト成長ホルモンの粉末製剤が、乳糖を配合しない場合に比して、経肺投与したときのヒト成長ホルモンの血中移行性において優れていることを、本発明者等は既に見出している(特願2001−15883)。従って、乳糖を用いつつ、しかもヒト成長ホルモン含有の粉末製剤を安定化できることが望ましい。
【0005】
この背景の下で、本発明は、ヒト成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる粉末製剤において、保存安定性を改善する方法を提供すること、及びそのように保存安定性の改善された粉末製剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、成長ホルモン製剤の保存安定性を改善するために、種々の製造条件つき検討した結果、意外にも、保存中の成長ホルモンの雰囲気の乾燥及び脱酸素を同時に行うことで、安定性が改善できることを見出た。また製剤製造時に用いる乳糖として水分含量の低いものを用いることが有効であることも見出した。
【0007】
すなわち本発明は、成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末中における成長ホルモンを安定化する方法であって、該混合粉末を、乾燥剤及び脱酸素剤と共に、又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質と共に、該乾燥剤及び該脱酸素剤又は該物質との直接接触を防止した状態で、ガスバリア性の容器内に密封することを特徴とする方法を提供する。
【0008】
本発明の方法において、該乳糖粉末は、スプレー乾燥乳糖、水分含量1%以下の乳糖、又は無水乳糖であることが好ましい。また好ましくは、用いる成長ホルモンは、真空乾燥処理に付されたものである。また、成長ホルモンの該混合物に対する重量比率は、好ましくは、0.2〜5:30の範囲にある。
【0009】
本発明はまた、成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末が、乾燥剤及び脱酸素剤と共に、又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質と共に、該乾燥剤及び該脱酸素剤又は該物質との直接接触が防止された状態で、ガスバリア性の容器内に密封されていることを特徴とする、成長ホルモン含有粉末製剤をも提供する。
【0010】
本発明の成長ホルモン含有粉末製剤において、該乳糖粉末は、水分含量1%以下の乳糖であることが好ましい。また、成長ホルモンの該混合物に対する重量比率は、好ましくは、0.2〜5:30の範囲にある。
【0011】
【作用】
上記の方法をとることにより、成長ホルモンと乳糖とからなる混合粉末製剤における成長ホルモンの長期保存中の安定性が改善される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、乾燥剤及び脱酸素剤としては、種々のものが市販されており、それらを適宜選択し組合わせて用いることができる。乾燥機能と脱酸素機能とを併せ持つ物質も市販されており、その一例として、RP剤(三菱ガス化学製)が挙げられる。
【0013】
また、本発明において「成長ホルモン」は、好ましくはヒト成長ホルモンである。ヒト成長ホルモンとしては、ヒト下垂体より抽出できる191個のアミノ酸からなる分子量22,125の22K hGHのみならず、32〜46番目の15アミノ酸の欠失した、同等の成長促進作用を示す20K hGHをも包含する。また、本発明において、「ヒト成長ホルモン」の語は、これら天然型ヒト成長ホルモンのみならず、天然ヒト成長ホルモンと同等の作用を有する遺伝子組換えにより得られたタンパク質をも含む。遺伝子組換えによるヒト成長ホルモンとしては、192個のアミノ酸よりなるN末端メチオニン型のもの、及びこの末端メチオニンが除去されたものが例示される。
【0014】
ガスバリア性の容器内において、成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末と、乾燥剤及び脱酸素剤又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質との直接接触を防止するには、例えば、混合粉末を硬カプセルに封入し、且つ脱酸素剤、乾燥剤又は該物質を酸素及び水分透過性のバッグに封入しておく等、通常の方法を適宜用いればよい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明が該実施例に限定されることは意図しない。
【0016】
成長ホルモン(r−hGH)原体と3種の乳糖(乳糖一水和物、スプレー乾燥乳糖、無水結晶乳糖)を混合してr−hGH/乳糖混合粉末を調製し、保存条件を変えて苛酷試験を行い、成長ホルモンの安定性を比較した。保存中の乾燥剤としては、RP剤(三菱ガス化学製)又はMS−セラム−W(東海化学工業所製)を用いた。RP剤は、乾燥機能を備えた脱酸素剤である。MS−セラム−Wは、合成ゼオライトよりなる板状の乾燥剤であり、脱酸素作用は有しない。
【0017】
試験において用いた成長ホルモンは、アミノ酸191個の天然ヒト成長ホルモン(22K hGH)と同一のアミノ酸配列を有する組換えヒト成長ホルモン(末端Nメチオニンを選択的に酵素切断除去したもの)(BTG社製)である。
【0018】
乳糖一水和物としては、Respitose(DMV International製, Veghel, Netherlands) を、無水乳糖としては、DMV International社製の無水結晶乳糖Pharmatose DCL−21(水分含量1%以下)を用い、スプレー乾燥乳糖は、乳糖を次の通りに水に溶解し噴霧乾燥と流動層造粒を一工程で調製したもの(殆ど非晶質)を用いた。すなわち、乳糖(Pharmatose 350M, DMV International製)を精製水に溶解し、造粒装置マルチプレックスFD−MP−10((株)パウレック)で造粒した。このときチャンバーとしてはWursterカラムなしの流動層造粒容器を用い、スプレーガンはボトムスプレーの位置に固定し、スプレーノズルとしては、2流体特殊Aノズルガンを用いた。造粒後の乳糖を、63〜90μmに分級した。
【0019】
1.r−hGH/乳糖混合粉末の調製
作業は室温25℃±2℃、湿度20〜30%RHの環境下で実施した。
表1に示した組み合わせに従って、混合物I〜IVの4種類のr−hGH/乳糖混合粉末を調製した。混合物I用の成長ホルモン原体には混合粉末の調製に先立って乾燥処理を施さなかったのに対し、混合物II〜IV用の成長ホルモン原体には混合粉末の調製に先立って乾燥処理を施したものを用いた。また、乳糖に関して、混合物I及びIIには、上記乳糖一水和物を、混合物IIIには乳糖を水に溶解しスプレー造粒装置を用いて製造した上記スプレー乾燥乳糖を、そして混合物IVには上記無水乳糖を、それぞれ用いた。
【0020】
各混合粉末とも、HPMCカプセルに充填し、乾燥機能のある脱酸素剤であるRP剤(RP−3A,35×120 mm;三菱ガス化学製)又はMS−セラム−W(10g,60×40 mm;東海化学工業所製)と共に又はそれらを伴なわずに、ガスバリア性のアルミ袋(180×250 mm)に封入した。
【0021】
なお、成長ホルモン原体の乾燥前後に試料を各々50mg採取し、カールフィッシャー法(電量滴定法)による水分含量の測定を行った。
【0022】
【表1】
Figure 2004051502
【0023】
〔混合物I〕 試験群1〜3
成長ホルモン原体0.07gと乳糖一水和物 2.03gを30mL容梨型沈殿管に入れて密栓し、手に持って振とう混合した。r−hGH/乳糖混合品をHPMCカプセルに30mgずつ充填し、仕込み本数は60カプセルとした。ガスバリア性アルミ袋にRP剤を1個入れ、それに充填済みのカプセルを3個ずつ入れてヒートシールしたものを計6袋調製した(試験群1)。RP剤の代わりにMS−セラム−Wを入れ、充填済みのカプセルを3個ずつ入れてヒートシールしたものも計6袋調製した(試験群2)。さらに、乾燥剤は入れずに充填済みのカプセル3個のみを入れてヒートシールしたものも計6袋調製した(試験群3)。
【0024】
〔混合物II〕 試験群4〜6
成長ホルモン原体をデシケーターに入れ、シリカゲル存在下、真空ポンプで脱気を行い、4時間乾燥させた。こうして乾燥処理を施した成長ホルモン原体0.07gと乳糖一水和物 2.03gを30mL容梨型沈殿管に入れて密栓し、手に持って振とう混合した。r−hGH/乳糖混合品をHPMCカプセルに30mgずつ充填し、仕込み本数は60カプセルとした。ガスバリア性アルミ袋にRP剤を1個入れ、それに充填済みのカプセルを3個ずつ入れてヒートシールしたものを計6袋調製した(試験群4)。RP剤の代わりにMS−セラム−Wを入れ、充填済みのカプセルを3個ずつ入れてヒートシールしたものも計6袋調製した(試験群5)。さらに、乾燥剤は入れずに充填済みのカプセル3個のみを入れてヒートシールしたものも計6袋調製した(試験群6)。
【0025】
〔混合物III〕 試験群7〜9
乾燥処理(減圧、シリカゲル、4時間)を施した成長ホルモン原体0.07gとスプレー乾燥乳糖2.03gを用いて上記と同様に調製したr−hGH/乳糖混合品を60カプセル充填し、RP剤(試験群7)又はMS−セラム−W(試験群8)と共に、又はこれらを伴なうことなく(試験群9)、アルミ袋に3カプセルずつ入れて、ヒートシールしたものを6袋ずつ計18袋調製した。
【0026】
〔混合物IV〕 試験群10〜12
乾燥処理(減圧、シリカゲル、4時間)を施した成長ホルモン原体0.07gと無水結晶乳糖2.03gを用いて上記と同様に調製したr−hGH/乳糖混合品を60カプセル充填し、RP剤(試験群10)又はMS−セラム−W(試験群11)と共に、又はこれらを伴なうことなく(試験群12)、アルミ袋に3カプセルずつ入れて、ヒートシールしたものを6袋ずつ計18袋調製した。
【0027】
2.試験条件
被験物質を表1に示すように40±2℃の温度条件で保存し、表2に示す測定時期に取り出し、各項目の測定を実施した。r−hGH単量体の含量、脱アミド体含量、及びタンパク質含量の測定には、1回に同一の3カプセルを用いた。なお、試験開始時の測定に関する限り、混合物I〜IVの単位で行い、同一混合物内のサンプルについての各測定値は同一であると見なした。
【0028】
【表2】
Figure 2004051502
【0029】
3.測定方法
(1)単量体含量
(i) リン酸緩衝液の調製: リン酸二水素ナトリウム二水和物15.6g、リン酸水素二ナトリウム十二水和物35.8g及び塩化ナトリウム11.7gを水に溶かして1000mLとした後、0.22μmのフィルターで濾過した。
(ii) 試料溶液及び標準溶液の調製: 試料を水に溶解し、試料溶液中の成長ホルモン濃度が0.7〜2.1mg/mLの範囲内となるように調製した。別に、成長ホルモン標準品の既知量を水に溶解し、標準溶液とした。
(iii) 分析操作
試料溶液及び標準溶液につき以下の条件でHPLCを行い、試料中の単量体の含量を、
単量体(%)=単量体ピーク面積/(単量体ピーク面積+二量体ピーク面積)×100
として算出した。
<HPLC条件>
分離カラム: HPLC用親水性シリカゲルカラム TSK G3000SWXL(東ソー製、7.8×300mm)
ガードカラム: TSK guardcolumn SWXL(東ソー製)
カラム温度: 25℃
移動相: リン酸緩衝液
流速: 0.6mL/分
注入液量: 50μL
検出波長: 280nm
保持時間: 単量体;約18分、二量体;約17分
【0030】
(2)脱アミド体含量
(i) トリス/n−プロパノール緩衝液の調製: トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン12gに水1900mLを加えて溶かし、6M塩酸でpH7.5に調整した。これを水で2000mLとした後、0.22μmのフィルターで濾過した。この溶液とn−プロパノールとを、体積比71:29で混合した。
(ii) 試料溶液及び標準溶液の調製: 試料を水に溶解し、試料溶液中の成長ホルモン濃度が1.2〜2.0mg/mLの範囲内となるように調製した。別に、成長ホルモン標準品の既知量を水に溶解し、標準溶液とした。
(iii) 分析操作
試料溶液及び標準溶液につき以下の条件でHPLCを行い、試料中のアミド体含量を算出した。
<HPLC条件>
分離カラム: HPLC用親水性シリカゲルカラム Protein C4(Vydac製、Cat.No. 214ATP54、4.6×250mm)
カラム温度: 45℃
移動相: トリス/n−プロパノール緩衝液
流速: 0.5mL/分
注入液量: 50μL
検出波長: 280nm
保持時間:脱アミド体;15〜60分(30〜36分を除く)、主ピーク;30〜36分
【0031】
(3)タンパク質含量
上記(1)の測定における単量体のピーク面積を用いて、次の式に従い試料中のタンパク質含量を算出した。
試料中のタンパク質量(mg)
=標準品のタンパク質(mg/バイアル)
×試料の単量体ピーク面積/標準品の単量体ピーク面積
×試料の溶解液量(mL)/標準品の溶解液量(mL)
【0032】
(4)水分含量及び性状
各検体の性状を目視観察により確認した後に、それぞれカールフィッシャ水分計(MKC−210、京都電子工業(株)製)により水分含量を測定した。
【0033】
(5)統計解析
測定結果の統計解析は、多変量解析法の重回帰分析を用い、目的変数に対する説明変数(制御変数)の影響について、偏回帰係数の観点から行った。
【0034】
4.試験結果
(1)成長ホルモン原体の水分含量
成長ホルモン原体の乾燥処理(減圧、シリカゲル、4時間)前後における、カールフィッシャー法による水分含量の測定結果を表3に示す。乾燥処理後においても成長ホルモン原体には約3%の結合水が含まれていた。
【0035】
【表3】
Figure 2004051502
【0036】
(2)苛酷試験結果
(a)性状: いずれの被験物質においても、試験期間内では性状はすべて白色粉末であり、変化は認めなかった。
【0037】
(b)水分含量: 表4には、各試験群についての平均水分含量(%)の経時的推移を、表5には、各試験群の個々のサンプルについての、試験開始時の水分含量(%)と、その経時的な、増減量を示す。水分含量は、組成物I、II、及びIVではあまり経時変化がなかったが、組成物IIIでは顕著な経時変化を認めた。組成物IIIの水分含量は、試験開始時で2.7%であったのが、乾燥剤(RP剤又はMS−セラム−W)を使用した群では14日後には0.6%以下に減少し、乾燥剤不使用の群では逆に4.2%に上昇した。r−hGH/乳糖混合品の水分含量は、組成比(1:29)から見て、乳糖の水分含量に大部分依存している。このことから、スプレー乾燥乳糖(ほとんどが非晶質)は雰囲気中の水分を吸収する傾向があり、このため、製剤の水分含量が経時的に変化を受けやすくなると結論できる。RP剤とMS−セラム−Wとの比較では、組成物I〜IVの何れについても、MS−セラム−Wを使用した方が水分含量が低く、従って、MS−セラム−WはRP剤より乾燥効果が高いことが示された。またこれらのことは、統計的にも確認された。
【0038】
【表4】
Figure 2004051502
【0039】
【表5】
Figure 2004051502
【0040】
(c)単量体含量: 表6に各試験群についての単量体含量の経時的推移を、表7には、各試験群の個々のサンプルについての試験開始時の単量体含量とその経時的な増減量を示す。表に見られる通り、試験期間内で二量体含量は経時的に増加し、単量体含量はそれに応じて経時的に減少した。この経時変化は、乾燥剤を使用しない群において顕著であり(試験群3、6、9、12)、RP剤又はMS−セラム−Wを用いた群では、大幅に安定化されていた。単量体含量の経時変化が最も少なかったのは、成長ホルモンとして乾燥処理を施したものを、且つ乳糖として無水乳糖又はスプレー乾燥乳糖を使用し、且つRP剤を共存させた場合であった。また、RP剤とMS−セラム−Wとの比較では、何れの組成物の場合も、RP剤の方がより優れていることが判明した。これらの結果は、統計的にも確認された。
【0041】
【表6】
Figure 2004051502
【0042】
【表7】
Figure 2004051502
【0043】
(d)脱アミド体含量: 表8に脱アミド体含量の経時的推移を、表9に各試験群の個々のサンプルについての試験開始時の脱アミド体含量とその経時的増減量を示す。表に見られる通り、脱アミド体含量は経時的に増加し、乾燥剤を使用しない群において顕著であり(試験群3、6、9、12)、RP剤又はMS−セラム−Wを用いた群では大幅に大幅に安定化されていた。また脱アミド体含量の増加は、無水乳糖及びスプレー乾燥乳糖の場合に抑制された。RP剤とMS−セラム−Wとの比較では、何れの組成物についても、RP剤の方が優れていた。これらの結果は、統計的にも確認された。
【0044】
【表8】
Figure 2004051502
【0045】
【表9】
Figure 2004051502
【0046】
(e)タンパク質含量: 結果を下の表10に示す。タンパク質含量の経時変化には、測定誤差によると見られるばらつきが認められたが、乾燥剤不使用の群では、タンパク質含量の低下が顕著であり(No. 3, 6, 9, 12)、RP剤又はMS−セラム−Wを用いた群ではタンパク質含量の低下は軽微であった。また、RP剤とMS−セラム−Wとの比較では、RP剤の方が優れている傾向が認められた。
【0047】
【表10】
Figure 2004051502
【0048】
以上の全結果より、乳糖混合物中の成長ホルモンの安定化のためには、用いる乳糖として、乾燥度の高いもの、すなわち、乳糖一水和物よりもスプレー乾燥乳糖を、更にはスプレー乾燥乳糖よりも無水乳糖(水分含量1%以下)を使用し、混合物を、ガスバリア性の容器内に密封し、且つ容器内に、雰囲気中の水分及び酸素を除去する作用を有する物質を、成長ホルモンとの直接接触を回避する状態で封入することによって、成長ホルモンと乳糖とからなる混合粉末の保存安定性を改善することができることが判明した。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、成長ホルモンと乳糖とからなる、保存安定性に優れた成長ホルモン粉末製剤を提供することを可能にする。

Claims (9)

  1. 成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末中における成長ホルモンを安定化する方法であって、該混合粉末を、乾燥剤及び脱酸素剤と共に、又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質と共に、該乾燥剤及び該脱酸素剤又は該物質との直接接触を防止した状態で、ガスバリア性の容器内に密封することを特徴とする方法。
  2. 該乳糖粉末がスプレー乾燥乳糖である、請求項1の方法。
  3. 該乳糖粉末が水分含量1%以下の乳糖粉末である、請求項1の方法。
  4. 該乳糖粉末が無水乳糖である、請求項1の方法。
  5. 該成長ホルモン粉末が、真空乾燥処理に付されたものである、請求項1ないし4の何れかの方法。
  6. 成長ホルモンの該混合物に対する重量比率が0.2〜5:30である、請求項1ないし5の何れかの方法。
  7. 成長ホルモン粉末と乳糖粉末とを含んでなる混合粉末が、乾燥剤及び脱酸素剤と共に、又は乾燥機能及び脱酸素機能を併せ持った物質と共に、該乾燥剤及び該脱酸素剤又は該物質との直接接触が防止された状態で、ガスバリア性の容器内に密封されていることを特徴とする、成長ホルモン含有粉末製剤。
  8. 該乳糖粉末が水分含量1%以下の乳糖である、請求項7の成長ホルモン含有粉末製剤。
  9. 成長ホルモンの該混合物に対する重量比率が0.2〜5:30である、請求項7又は8の成長ホルモン含有粉末製剤。
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