JP2009132628A - 入浴剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浴湯への均一分散が容易で浴湯外観を損なうことなく、スキンケア効果及び安定性に優れた入浴剤組成物及を提供する。
【解決手段】本発明の入浴剤組成物は、少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である粉末組成物を含有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、入浴剤組成物及びその製造方法に関し、特に、油性成分を含む入浴剤組物及びその製造方法に関する。
入浴剤は、温浴効果の助長や楽しさを目的とするものであったが、近年これら以外に、入浴によるスキンケア効果に関心が高まり、スキンケア効果を付与した入浴剤の提案が多くなされるようになってきた。入浴剤によってスキンケア効果を付与する方法としては、多価アルコール、多糖類やミルク成分などの保湿成分を配合したもの、スキンケア効果のあるとされる植物エキスを配合したもの、油分を配合したものなどがある。
しかし、水溶性の保湿成分は浴湯中に希薄に溶けてしまうため皮膚に残りにくく温浴効果が弱い。また効果が期待できるほど多量に用いることは湯上がり後の肌のべたつきなどの原因になったり、経済的でない等の問題があった。
これらに対して、油性成分を用いるものは、比較的少量の使用で効果や実感が得られ有効な手段である。油分を入浴剤に利用する手段としては、油分を直接浴湯に投入するバスオイルタイプ、少量の油分を芒硝、重曹などの無機塩類や無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、デキストリン等の粉末原料に含浸させたものを用いるタイプ、油分を乳化剤により浴湯中に乳化するタイプなどが通常用いられる。
バスオイルタイプのものは、油分が直接皮膚に付くので皮膚への付着量が多く、効果も実感も高い利点がある。しかし、油分が浴湯表面に浮いてしまうため浴湯外観を損ね、浴槽を汚してしまうなどの欠点がある。
また油分を粉末原料に含浸させたタイプのものは、剤型が粉末状であり、扱い易く、油分の付着もバスオイルタイプと類似しており効果も期待できる。しかし、油分の配合量には限度があり、入れすぎると製剤の流動性が悪くなり製剤化に支障を来す。また油分の浮きによる欠点もバスオイルタイプと類似している。
これらの欠点を解決する方法として、油分を浴湯中に均一分散させるため、油分をデキストリン、カゼインナトリウム、アラビアガムで乳化し、スプレードライして粉末化したものを用いるものが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。この方法によれば浴湯外観を損なうことなく効果も期待できるが、吸湿性が高いため変質、固化しやすく製剤を安定に保つことが難しいという欠点がある。
また、水溶性の単糖類〜三糖類又はそれらの水素添加した糖アルコール類からなる群より選ばれる糖類を主基材とする入浴剤組成物において、粉末状油分を配合したことを特徴とする入浴剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、これらの入浴剤組成物においても、入浴中の油分の浮きの問題を完全に解消することができず、更に改善が望まれていた。
更に近年、より高いスキンケア効果が求められるようになってきており、カロテノイド類などが有効なスキンケア成分として配合が望まれている。しかしながら、一般にカロテノイド類は着色油性成分であり、油滴の合一による油分の浮きが発生した場合には、浴槽を汚す原因ともなり特に問題となる。
特開平4−321619号公報 特開平4−321620号公報 特開平7−206663号公報
従って、本発明の目的は、浴湯への均一分散が容易で浴湯外観を損なうことなく、スキンケア効果及び安定性に優れた入浴剤組成物及びその製造方法を提供することである。
本発明の入浴剤組成物は、少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である粉末組成物を含有する。
上記カロテノイド類が、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン及びβ-クリプトキサンチンから選ばれる少なくとも一種及び/又はそのエステル体であってよく、また、前記カロテノイド類が、超臨界炭酸ガスを用いて抽出したカロテノイド類であってもよい。
上記入浴剤組成物において、前記界面活性剤が、HLBが10以上19以下の非イオン性界面活性剤を含むことが好ましく、また、前記界面活性剤が、少なくともショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するものであってもよい。
上記入浴剤組成物では、前記粉末組成物が、前記油性成分の含有量が全組成物に対して0.01〜30質量%であり、かつリン脂質の含有量が油性成分に対して5〜100質量%であり、かつリン脂質以外の界面活性剤成分が油性成分に対して40〜200質量%であることがこのましい。
また、上記入浴剤組成物では、前記粉末組成物が、入浴剤組成物全体に対して1〜50質量%であることが好ましい。
上記入浴剤組成物では、前記カロテノイド類の90質量%以上が、10nm〜300nm以下の大きさの油滴として粉末組成物中に含まれることが好ましい。
また、上記入浴剤組成物は、少なくとも1種の無機塩類を含有するものであってもよく、前記無機塩類として硫酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含有することが好ましい。
本発明の入浴剤組成物の製造方法は、少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である混合物を乳化する乳化工程、前記乳化工程によって得られたエマルション組成物を乾燥して、粉末組成物を得る乾燥工程を含むものである。
本発明によれば、浴湯への均一分散が容易で浴湯外観を損なうことなく、スキンケア効果及び安定性に優れた入浴剤組成物及びその製造方法を提供することができる。
本発明の入浴剤組成物は、少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である粉末組成物を含有するものである。
これにより、本入浴剤組成物における粉末組成物が、油性成分を含有する粉末組成物であっても、水などの液体に再溶解すると液体に容易に微細分散し、更には再分散後においても保存安定性に優れた脂溶性物質含有粉末とすることができる。この結果、このような入浴剤組成物を浴湯に再溶解させると、油性成分が水中に微細分散されて高い皮膚浸透性が得られ、高いスキンケア効果が期待できる。また、入浴時に浴湯に再溶解させたときに浴湯に容易に均一分散することができ、油分の浮きなどがなく浴湯外観を損なわず、製剤および浴湯中での良好な安定性を示すことができる。ここでスキンケア効果とは、例えば、肌をしっとり、なめらかに仕上げる効果を挙げることができる。
また本発明の入浴剤組成物の製造方法は、少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である混合物を乳化する乳化工程、前記乳化工程によって得られたエマルション組成物を乾燥して、粉末組成物を得る乾燥工程を含むものである。
これにより、上記効果を有する入浴剤組成物を効率よく得ることができる。
以下、本発明について説明する。
<油性成分>
本発明の入浴剤組成物中の粉末組成物における油性成分は、少なくとも1種のカロテノイド類を含有するものである。
本発明における油性成分としては、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油、コーラナッツ、コーヒー、ワニラ、ココア、紅茶、緑茶、ウーロン茶、スパイス類などの油性のエキストラクト類、合成香料化合物、調合香料組成物及びこれら任意の混合物などの着香料、カロテノイド類、リコペン、パプリカ色素、アナトー色素、クロロフィルなどの油溶性天然色素類、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEPA含有魚油などのω3類、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、月見草油、ボラージ油、大豆油、オクタコサノール、ローズマリー、セージ、γ−オリザノール、β−カロチン、パームカロチン、シソ油;ビタミンA(レチノイド類)、ビタミンD、トコフェロールまたはその誘導体、ビタミンF、ビタミンKなどの脂溶性ビタミン類、水溶性ビタミンの油溶化誘導体などの機能性油性材料、補酵素Q10(CoQ10)を含むユビキノン類、スクワレン、スクワラン、菜種油、コーン油、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、綿実油、エノ油、ヒマシ油、アボガド油、タートル油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、豚油、魚油、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油などの動植物油脂類、オリバナム、ロジン、コーパル、ダンマル、エレミ、エステルガムなどの植物性樹脂類、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸トリグリセライドなどの加工食用油脂及びこれらの任意の混合物を使用することができる。
上記カロテノイド類を更に詳述すれば、天然色素を含むカロテノイド類を好ましく挙げることができ、これには、黄色から赤のテルペノイド類の色素であり、植物類、藻類、及びバクテリアのものが含まれる。
また、天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも、本発明におけるカロテノイドに含まれる。例えば、後述のカロテノイド類のカロチン類の多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造している。
このようなカロテノイド類としては、炭化水素類(カロチン類)及びそれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられ、中でも、α−、β−、γ−およびδ−カロテン、“カロチン”(α−及びβ−カロチン類の混合物)、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−アポ−8’−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、リコペン、β−クリプトキサンチン、エキネノン、パーム油カロテン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類を好ましく挙げることができる。
カロテノイド類の多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばシス・トランス体混合物である。
カロテノイド類は一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロテノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮フ及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
本発明において用いられるカロテノイド類としては、乳化しやすさの観点から、好ましくは常温で油状のものであり、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン及びβ−クリプトキサンチン並びにこれらのエステル体から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましくは、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、黄色から赤色の範囲の着色料として知られるアスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体(以下、「アスタキサンチン類」と総称する。)から選択された少なくとも1種を含むことができる。
これらのカロテノイド類は、超臨界炭酸ガスを用いて天然素材から抽出したものが、粉末としたときの臭気の点でより好ましい。このようなものとしては、武田紙器株式会社「ASTOTS−S」(アスタキサンチン)等を挙げることができる。
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロテノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38-165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(C4052、分子量596.82)である。
アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)−位の水酸基の立体配置により、3S,3S’−体、3S,3R’−体(meso−体)、3R,3R’−体の三種の異性体が存在する。また、さらに分子中央の共役二重結合のcis−、trans−の異性体も存在する。例えば全cis−、9−cis体と13−cis体などの如くである。
前記3(3’)−位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル(Yamaguchi,K., Miki,W., Toriu, N., Kondo,Y., Murakami,M., Konosu,S., Satake,M., Fujita,T. : The composition of carotenoid pigments in the antarctic krill Euphausia superba, Bull. Jap. Sos. Sci. Fish., 1983, 49, p.1411-1415.)、H.pluvialisから得られるものは3S,3S’−体で、脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている(Renstrom, B., Liaaen-Jensen, S. : Fatty acids of some esterified carotenols, Comp. Biochem. Physiol. B, Comp. Biochem., 1981, 69, p.625-627.)。
また、Phaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’−体(Andrewes, A.G., Starr, M.P. : (3R,3’R)-Asttaxanthin from the yeast Phaffa rhodozyma, Phytochem., 1976, 15, p.1009-1011.)であり、通常天然に見出される3S,3S’−体と反対の構造を持っている。また、これは脂肪酸とエステル形成していないフリー体で存在している(Andrewes, A.G., Phaffia, H.J., Starr, M.P. : Carotenids of Phaffia rhodozyma, a red pigmented fermenting yeast, Phytochem., 1976, 15, p.1003-1007.)。
アスタキサンチン及び同エステル体はR.Kuhnらによってロブスター(Astacus gammarus L.)から初めて分離され、その推定構造が開示された(Kuhn, R., Soerensen, N.A. : The coloring matters of the lobster (Astacus gammarus L.), Z. Angew. Chem.,1938, 51, p.465-466.)。それ以来、アスタキサンチンが自然界に広く分布し、通常アスタキサンチン脂肪酸エステル体として存在すること、甲殻類などでたんぱく質と結合したアスタキサンチン蛋白(オボルビン、クラスタシアニン)としても存在することが明らかにされている(Cheesman, D.F. : Ovorubin, a chromoprotein from the eggs of the gastropod mollusc Pomacea canaliculata, Proc. Roy. Soc. B, 1958, 149, p.571-587.)。
前記アスタキサンチン及びそのエステル(アスタキサンチン類)は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する天然物から分離・抽出したアスタキサンチン含有オイルとして、本発明にかかるエマルション組成物に含まれていてもよい。このようなアスタキサンチン含有オイルとして、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌等を培養し、その培養物からの抽出物、南極オキアミ等からの抽出物を挙げることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとはエステルの種類及びその含有量の点で異なることが知られている。
本発明において用いることができるアスタキサンチン類は、前記抽出物、また更にこの抽出物を必要に応じて適宜精製したものでもよく、また合成品であってもよい。前記アスタキサンチン類としては、ヘマトコッカス藻から抽出されたもの(ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)が、品質、生産性の点から特に好ましい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物の由来としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。
また、本発明では、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5 O、同−5 O、同−10 O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstin SCE7等が挙げられる。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、油脂の臭気を低減し、アスタキサンチンの含有量を高める観点から好ましくは1〜50質量%が好ましく、より好ましくは7〜25質量%である。
なお、本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様、色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含むが、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90%モル以上含むものである。
さらに詳細な説明は「アスタキサンチンの化学」、平成17年、インターネット〈URL:http://www.astaxanthin.co.jp/chemical/basic.htm〉に記載されている。
また本発明における油性成分としては、少なくともトコフェノール類を含有することが、上記カロテノイド類などの酸化防止の観点から好ましい。
上記トコフェロール類としては、特に限定されず、トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群から選ばれるものであり、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が挙げられなかでもδトコフェノールの含有量が多いものが抗酸化性をたかめる上で、より好ましい。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよい。
これらは混合物の状態で使用する場合が好ましく、混合物の状態のものとしては抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれるものが含まれる。
またこのようなトコフェロール類は、アスタキサンチンと併用するとアスタキサンチンの酸化劣化を抑制し、また保存経時中の臭気の悪化を抑制することができるため、アスタキサンチンと併用して用いることが好ましい。更にトコフェノールの抗酸化効果はレシチンと併用するとより高めることができ好ましい。
上記レチノイド類としては、レチノール,3−ヒドロレチノール,レチナール,3−ヒドロレチナール,レチノイン酸,3−デヒドロレチノイン酸,ビタミンAアセテート等のビタミンA類を挙げることができ、また上記ビタミンD類としては、ビタミンD乃至D等のビタミンD類を挙げることができる。
またその他の脂溶性ビタミン物質としては、ニコチン酸ビタミンE等のエステル類;ビタミンK乃至K等のビタミンK類を挙げることができる。
また、上記水溶性ビタミンの油溶化誘導体には、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、ジオレイン酸アスコルビル等のビタミンCの脂肪酸エステル類、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン、ジラウリン酸ピリドキシン、ジオクタン酸ピリドキシン等のビタミンBの脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらのうち、アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体は、後述するラジカル捕捉剤としても使用可能である。
また他の油性成分として、通常、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、分散剤、溶剤、美白剤、抗シミ剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、ビタミン類、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤などとして使用されている他の成分も使用することができる。また、それらの混合物である各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。
上記油性成分の中でも、本発明による水分散性の効果および保存安定性の効果を得る観点で、カロテノイド類、トコフェロール類、スクワレン、スクワラン、オメガ3類油脂、補酵素Q10(CoQ10)が好ましい。
また水への分散性をより高めるためには、上記油性成分を2種以上併用することが好ましい。この目的で併用する油性成分としてはDHA、スクワレン、スクワランが好ましく、特にスクワレン及びDHAが好ましい。特に補酵素Q10(CoQ10)のように常温で固体の油性成分の場合には、DHA、スクワレン、スクワランなどと併用することが、特に好ましい。
本発明における粉末組成物中の油性成分の含有量は、十分な含有量と粉末の取り扱い性の観点から、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。油性成分の含有量を前記1質量%未満とすると取扱上には問題はないが、所望の効果を得るために添加量が多くなりすぎる場合があり、50質量%を超えると油性成分の染み出しにより、粉末の安定性が損なわれる場合や粘着性が増大する場合がある。
<ラジカル捕捉剤>
本発明の入浴剤組成物中の粉末組成物は、ラジカル捕捉剤(酸化防止剤)を含有していてもよい。このラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である(出典:「油化学便覧 第4版」、日本油化学会編 2001)。
前記ラジカル捕捉剤としての機能を確認する直接的な方法としては、試薬と混合して、ラジカルを捕捉する様子を分光光度計やESR(電子スピン共鳴装置)によって測定する方法が知られている。これらの方法では、試薬として、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)や、ガルビノキシルラジカルが使用される。
本発明においては、以下の実験条件下で、油脂の自動酸化反応を利用して、油脂の過酸化物価(POV値)を60meq/kgに引き上げるまでに要する時間が、ブランクに対し2倍以上である化合物を「ラジカル捕捉剤」と定義する。油脂の過酸化物価(POV値)は常法により測定する。
<条件>
油脂:オリーブ油
検体添加量:油脂に対し0.1質量%
試験方法:試料を190℃にて加熱し、時間を追ってPOV値を常法により測定し、60meq/kgとなる時間を算出した。
本発明で使用可能なラジカル捕捉剤は、エマルションの酸化に対する安定性の観点から、前記POV値60meq/kgになるまでに要する時間がブランクに対し5倍以上であるラジカル捕捉剤が好ましい。
上記ラジカル捕捉剤として使用できる化合物は、「抗酸化剤の理論と実際」(梶本著、三書房 1984)や、「酸化防止剤ハンドブック」(猿渡、西野、田端著、大成社 1976)に記載の各種酸化防止剤のうち、ラジカル捕捉剤として機能するものであればよく、具体的には、フェノール性OHを有する化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、また、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体等を挙げることができる。
本発明にかかる粉末組成物におけるラジカル捕捉剤の含有量は一般的には0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.3〜3.0質量%である。
本発明においては、ラジカル捕捉剤として、(a)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩、あるいはアスコルビン酸誘導体またはエリソルビン酸誘導体またはその塩からなる化合物群、(b)ポリフェノール類からなる化合物群を挙げることができ、このうち少なくとも(a)を含有することが好ましく、それぞれ1つずつ選ばれる少なくとも2種の化合物を含有することがより好ましい。中でもアスコルビン酸若しくはその塩又はそれらの誘導体を少なくとも含むことが好ましい。
(a)アスコルビン酸またはエリソルビン酸またはその塩
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビル酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルが特に好ましい。
エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはその塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソルビル、等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
本発明に用いる化合物群(a)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、L−アスコルビン酸Na(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、アスコルビン酸2−グルコシド(商品名 AA−2G:林原生物化学研究所)、L−アスコルビン酸燐酸Mg(商品名 アスコルビン酸PM「SDK」(昭和電工)、商品名 NIKKOL VC−PMG(日光ケミカルズ)、商品名 シーメート(武田薬品工業))、パルミチン酸アスコルビル(DSM ニュートリション ジャパン、金剛薬品、メルク、ほか)等が挙げられる。
(b)ポリフェノール類からなる化合物群
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。これらのポリフェノール類のうち、特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
本発明に用いる化合物群(b)に属するラジカル捕捉剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM−21A、RM−21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW−5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK−2、P−10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所、ほか)等が挙げられる。
<界面活性剤>
本発明の入浴剤組成物にかかる粉末組成物には、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤が含有されている。
本発明では、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤の量が、上述した油性成分に対して100質量%〜400質量%となっている。界面活性剤の量を油性成分に対して100質量%〜400質量%、即ち等倍から4倍量とすることによって粉末に十分な水分散性を付与することができる。100質量%以下では、粉末を水に分散したときの分散性が不十分であり、濁りの大きい水分散物となる。また400質量%以上とした場合にも、粉末を水に分散したときの分散性の悪化が生じる。この水への容易な分散性を付与する観点より、100質量%〜300質量%であることが好ましく、130質量%〜200質量%であることが更に好ましい。
(a)リン脂質
本発明で使用するリン脂質としては、具体的にはレシチン、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン等を例示でき、これらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンも挙げることができる。これらの混合物であるレシチンや水素添加レシチンを用いることもできるが、水素添加ではないレシチンが好ましい。またこれらリン脂質の由来は特に限定されず、例えばダイズ油等の植物油、卵黄等の動物由来のもの等が用いられ、特に精製したものが好適である。
また、本発明においては、グリセロリン脂質として、酵素分解した結果、1分子内に1つの脂肪酸残基を有するグリセロリン脂質、即ちリゾレシチンも含まれる。
このようなリゾレシチンは、酸、又はアルカリ触媒によるレシチンの加水分解により得られるが、ホスホリパーゼA又はAによるレシチンの加水分解により得ることもできる。
このようなリゾレシチンとしては、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
また更に、上記のレシチンに代表されるグリセロリン脂としては、水素添加又はヒドロキシル化されたものも、本発明において用いることができる。
前記水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加により、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
上記の(c)リン脂質の中でも、エマルション組成物としたときの乳化安定性の観点から1分子内に2つの脂肪酸残基を有するものであることが好ましく、レシチンが特に好ましい。
前記レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来より、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
また、水素添加、ヒドロキシル化されたレシチンは、化粧品用途への応用に特に好ましい。
市販品のレシチンとしては、理研ビタミン(株)製レシオンシリーズや、レシマールELなどを挙げることができる。
前記レシチンの純度60質量%以上のものが産業的にはレシチンとして利用されているが、本発明においては、一般に「高純度レシチン」と称されるレシチン純度80質量%以上のものが好ましく、より好ましくは90質量%以上のものである。
このレシチン純度(質量%)は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。高純度レシチンは、リゾレシチンに比べて親油性が高く、そのためレシチンと油性成分との相溶性が高くなり、乳化安定性を向上させ得るため好ましい。
本発明で用いるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明における粉末組成物中、リン脂質の含有量は、油性成分に対して0.1〜200質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜150質量%、更に好ましくは5〜100質量%である。
前記リン脂質の含有量を0.1質量以上とすることにより、エマルション組成物としたときの乳化安定性が良好となる傾向がある。また、前記含有量を200質量%以下とすることにより、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成することなく、エマルション組成物の乳化安定性の点から好ましい。
(b)他の界面活性剤成分
本発明において使用することができる他の界面活性剤として、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤が用いられ、中でも乳化安定性の観点から非イオン性界面活性剤が好ましい。
本発明における界面活性剤としては、乳化安定性、および水への易分散性の観点から、HLB10〜HLB19のものが好ましく、13〜18のものがより好ましい。
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン;アルキルエーテルカルボン酸及びその塩;アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩;アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩;アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩等のリン酸塩;N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
前記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン結合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
上記界面活性剤は一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、脂肪酸として、花王(株)製ルナック シリーズ、新日本理化(株)製の各種脂肪酸、日本精化(株)製の各種脂肪酸などを挙げることができる。アルキル硫酸塩・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩として花王(株) エマール シリーズなどを挙げることができる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩として花王(株) カオーアキポ シリーズなどを挙げることができる。
また、グリセリン脂肪酸エステルとして、日光ケミカルズ(株)製 NIKKOL MGO、NIKKOL DGO、NIKKOL MGS、NIKKOL Fの各シリーズ、花王(株)製エキセル シリーズなどを挙げることができる。有機酸モノグリセリドとして、理研ビタミン(株)製ポエムG−002などを挙げることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、理研ビタミン(株)製ポエムJシリーズ、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL Tetraglynシリーズ、Decaglynシリーズなどを挙げることができる。ソルビタン脂肪酸エステルとして、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL SSシリーズ、SOシリーズなど、花王(株)製エマゾール シリーズなどを挙げることができる。ショ糖脂肪酸エステルとして、三菱化学フーズ(株)製 リュートーシュガーエステル シリーズなどを挙げることができる。プロピレングリコール脂肪酸エステルとして、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL PMS−SEなどを挙げることができる。
上記界面活性剤のうち、乳化安定性の観点から、非イオン性界面活性剤、特に、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びこれらの混合物からなる群より選択されたものが好ましい。
本発明で使用可能なショ糖脂肪酸エステルは、粉末の水への易分散性の観点から脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でもラウリン酸エステルがより好ましい。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステルS−070、S−170、S−270、S−370、S−370F、S−570、S−770、S−970、S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−070、P−170、P−1570、P−1670、M−1695、O−170、O−1570、OWA−1570、L−195、L−595、L−1695、LWA−1570、B−370、B−370F、ER−190、ER−290、POS−135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F−A50、F−20W、F−10、F−A10E、コスメライクB−30、S−10、S−50、S−70、S−110、S−160、S−190、SA−10、SA−50、P−10、P−160、M−160、L−10、L−50、L−160、L−150A、L−160A、R−10、R−20、O−10、O−150等が挙げられる。
本発明で使用可能なポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、乳化安定性の観点から平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸とのエステルを挙げることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO−CV,NIKKOL DGMO−90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1−SV,NIKKOL Tetraglyn 1−O,NIKKOL Tetraglyn 3−S,NIKKOL Tetraglyn 5−S,NIKKOL Tetraglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Hexaglyn 1−SV,NIKKOL Hexaglyn 1−O,NIKKOL Hexaglyn 3−S,NIKKOL Hexaglyn 4−B,NIKKOL Hexaglyn 5−S,NIKKOL Hexaglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn PR−15,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,NIKKOL Decaglyn 2−SV,NIKKOL Decaglyn 2−ISV,NIKKOL Decaglyn 3−SV,NIKKOL Decaglyn 3−OV,NIKKOL Decaglyn 5−SV,NIKKOL Decaglyn 5−HS,NIKKOL Decaglyn 5−IS,NIKKOL Decaglyn 5−OV,NIKKOL Decaglyn 5−O−R,NIKKOL Decaglyn 7−S,NIKKOL Decaglyn 7−O,NIKKOL Decaglyn 10−SV,NIKKOL Decaglyn 10−IS,NIKKOL Decaglyn 10−OV,NIKKOL Decaglyn 10−MAC,NIKKOL Decaglyn PR−20,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステルL−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
本発明で使用可能なソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられ、これらの中でもラウリン酸エステルがより好ましい。これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL−10,SP−10V,SS−10V,SS−10MV,SS−15V,SS−30V,SI−10RV,SI−15RV,SO−10V,SO−15MV,SO−15V,SO−30V,SO−10R,SO−15R,SO−30R,SO−15EX,第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110、花王(株)社製の、レオドールAS−10V、AO−10V、AO−15V、SP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30Vなどが挙げられる。
本発明で使用可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。またポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2〜100が好ましく、4〜50がより好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL TL−10、NIKKOL TP−10V、NIKKOL TS−10V、NIKKOL TS−10MV、NIKKOL TS−106V、NIKKOL TS−30V、NIKKOL TI−10V、NIKKOL TO−10V、NIKKOL TO−10MV、NIKKOL TO−106V、NIKKOL TO−30V、花王(株)社製の、レオドールTW−L106、TW−L120、TW−P120、TW−S106V、TW−S120V、TW−S320V、TW−O106V、TW−O120V、TW−O320V、TW−IS399C、レオドールスーパーSP−L10、TW−L120、第一工業製薬(株)社製の、ソルゲンTW−20、TW−60V、TW−80V等が挙げられる。
本発明にかかる粉末組成物中のリン脂質以外の他の界面活性剤の含有量は、油性成分に対して一般的には40〜200質量%である。この他の界面活性剤量を40質量%以上とすることにより、エマルション組成物としたときの油相/水相間の界面張力を下げ易く、また、200質量%以下とすることにより、過剰量とすることがなくエマルション組成物の泡立ちがひどくなる等の問題を生じ難い点で好ましい。
更に、本発明における粉末組成物としては、上述した油性成分の含有量が全組成物に対して0.01〜30質量%であり、かつリン脂質の含有量が油性成分に対して5〜100質量%であり、かつリン脂質以外の他の界面活性剤が油性成分に対して40〜200質量%であることが、再溶解後に充分に微細な粒子径となって良好な透明性を実現できると共に保存安定性に優れた入浴剤組成物を提供できるため、更に好ましい。
<賦形剤>
本発明の入浴剤組成物における粉末組成物では、粉末化の容易性の観点から好ましくは賦形剤を含む。
賦形剤は、本入浴剤組成物中の油性成分を安定して粒子化させるために一般的に用いられている水溶性物質であればよく、グルコース、果糖、乳糖、麦芽糖、ショ糖、デキストリン類、マルトデキストリン(粉飴を含む)、シクロデキストリン、ガラクトース、イノシトール、マルトース、フルクトース、イヌリン、トレハロース、ラクチロース、パラチニット、エリスリトール、キシロース、ペンタエリスリトールなどの単糖及び多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;アラビアガム、グアーガム、ペクチン、プルラン、アルギン酸ナトリウムなどの増粘多糖類;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;デンプンにエステル化、エーテル化処理、末端還元処理を施したデンプン誘導体;その他に加工澱粉、ゼラチン分解物、寒天、ポリビニルアルコール、脱脂粉乳などが挙げられる。この中でも、溶解性の面から単糖、多糖類、糖アルコール、無機塩が好ましく、吸湿性、粒子形成性の観点から、アラビアガム、デキストリン類、イヌリン、糖アルコール、無機塩が更に好ましく、アラビアガム、デキストリン類、イヌリンが特に好ましい。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記デキストリン類としては、マルトデキストリン、シクロデキストリンを挙げることができる。これらのデキストリン類のうち、水への易分散性の観点からDE値20〜50のデキストリン類が更に好ましい。またDE値40〜50のデキストリン類が最も好ましい。
これらの賦形剤は、油性成分を効率よく良好に保持する観点から、粉末組成物全体に対して、好ましくは20質量%〜90質量%、より好ましくは30質量%〜85質量%で用いられる。
なお、本発明の入浴剤組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を適宜添加することができるが、粉末化の容易性の観点から多価アルコールを含まないことが好ましい。ここでいう多価アルコールとは、二価以上のアルコールを意味し、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、果糖、ブドウ糖、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられ、これらを、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明において「多価アルコールを含まない」とは、入浴剤組成物全体に対して10質量%以下を意味し、好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%、最も好ましくは0質量%である。
本発明の入浴剤組成物における粉末組成物は、上述したように、上記各成分を含む混合物を乳化してW/O型のエマルション組成物を製造し、これを乾燥することによって得ることができる。
<エマルション組成物の製造方法>
エマルション組成物の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、I)水性媒体(水等)に、界面活性剤を溶解させて、水相を得る工程、II)前記油性成分及びリン脂質を混合・溶解して、油相を得る工程、III)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、水中油型エマルション組成物を得る工程を含む製造方法が好ましい。
賦形剤の添加工程は、乳化の前後のいずれであってもよく、乳化工程の前に水相、すなわち、水などの水性媒体に添加されていてもよいし、乳化後に得られたエマルション組成物に添加されてもよく、乳化の前後の双方において一部ずつ添加してもよい。賦形剤の添加工程は、油滴を効果的に包み込むためには乳化前に添加される方が好ましい。
ここで使用可能な乳化手段は、自然乳化法、界面化学的乳化法、電気乳化法、毛管乳化法、機械的乳化法、超音波乳化法等一般に知られている乳化法のいずれも使うことができる。
前記製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明の入浴剤組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、一般的には、油相/水相比率(質量%)は0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70が好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。0.1/99.9以上であれば、油性成分中の有効成分の効果を充分に期待でき、一方、50/50以下であれば、透明性を損なわれない程度の粒子径のエマルショを容易に得ることができるため、それぞれ好ましい。
エマルションを微細化するための有用な方法として、PIT乳化法、ゲル乳化法等の界面化学的乳化法が知られている。この方法は消費するエネルギーが小さいという利点があり、熱で劣化しやすい素材を微細に乳化する場合に適している。
また、汎用的に用いられる乳化法として、機械力を用いた方法、すなわち外部から強い剪断力を与えることで油滴を分裂させる方法が適用されている。機械力として最も一般的なものは、高速、高剪断攪拌機である。このような攪拌機としては、ホモミキサー、ディスパーミキサーおよびウルトラミキサーと呼ばれるものが市販されている。
また、微細化に有用な別な機械的な乳化装置として高圧ホモジナイザーがあり、種々の装置が市販されている。高圧ホモジナイザーは、攪拌方式と比べて大きな剪断力を与えることが出来るために、乳化剤の量を比較的少なくても微細化が可能である。
高圧ホモジナイザーには大きく分けて、固定した絞り部を有するチャンバー型高圧ホモジナイザーと、絞りの開度を制御するタイプの均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。
チャンバー型高圧ホモジナイザーの例としては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
比較的エネルギー効率のよい分散装置で、簡単な構造を有する乳化装置として超音波ホモジナイザーがある。製造も可能な高出力超音波ホモジナイザーの例としては、超音波ホモジナイザーUS−600、同US−1200T,同RUS−1200T、同MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000,同UIP−4000、同UIP−8000,同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置は25kHz以下、好ましくは15〜20kHzの周波数で使用される。
また、他の公知の乳化手段として、外部からの攪拌部を持たず、低エネルギーしか必要としない、スタチックミキサー、マイクロチャネル、マイクロミキサー、膜乳化装置等を使う方法も有用な方法である。
このような工程によって得られたエマルション組成物は、油性成分を含有する乳化粒子が水性媒体中に分散しているO/Wエマルションである。
特に、本発明では、微細なエマルション粒子が均一に分散したエマルション組成物を得ることができる。
ここで得られたエマルション組成物の粒子径は、粒子安定性及び透明性の観点から、300nm以下であることが好ましく、透明性の観点から、より好ましくは130nm以下、最も好ましくは90nm以下である。
特に、溶解時の透明性及びスキンケア効果の観点から、上記カロテノイド類の90質量%が、10nm〜300nmの大きさの油滴(エマルション粒子)として粉末組成物中に含まれるようにエマルション組成物に含まれていることが好ましい。
本発明においてエマルション組成物の粒子径(体積平均粒子径)は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における粒子径範囲及び測定の容易さから、本発明でのエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒子径の測定方法は、エマルション組成物の場合には20〜25℃の温度にて、油性成分が0.06質量%となるように調整した水分散液を動的光散乱法にて測定する。一方、入浴剤組成物の場合にも、油性成分が0.06質量%となるように調整した水分散液を、上記エマルション組成物と同じ条件で、測定する。
前記エマルション組成物の粒子径は、エマルション組成物の成分以外に、製造方法における攪拌条件(せん断力・温度・圧力)や、油相と水相比率、などの要因によって調整することができる。
上記のようにして得られたエマルション組成物は、次いで乾燥工程で乾燥に供される。
本製造方法に適用可能な乾燥方法としては、通常、この用途で使用される方法であればいずれのものであってもよく、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、棚乾燥、ベルト乾燥、ドラム乾燥などを挙げることができる。このうち、粉末の水への易分散性の観点から、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥が好ましい。
このようにして得られた粉末組成物は、入浴剤組成物中の成分として、浴湯に再溶解することによって、粒子径、色素及びエマルション粒子の分散性において良好な保存安定性を有するO/W型のエマルション組成物を構成することができる。
再溶解後に得られた浴湯中のエマルション粒子の粒子径は、上述したように油性成分が0.06質量%となる水分散液としたときに、透明性や吸収性の観点から動的光散乱方で測定した体積平均粒子径(累積50%値)が300nm以下にものとすることができ、良好な透明性や分散安定性並びに上記各種保存安定性の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上で、200nm以下、より好ましくは130nm以下のものとすることができる。再溶解後のエマルション組成物における粒径の測定は、前述したエマルション組成物の粒径と同様に行うことができる。
乾燥工程によって得られた粉末組成物は、その後、粉末組成物のみで入浴剤組成物を構成してもよいが、入浴剤組成物の目的及び種類に応じて、後述する各成分を混合して入浴剤組成物を得てもよい。この場合、本発明の製造方法では、乾燥工程で得られた粉末組成物と、後述する各成分とを混合する混合工程を更に含む。
他の成分を含む場合、本発明の入浴剤組成物における上記粉末組成物の含有量は、一般に、1〜50質量%、温まり感と他成分との併用によるリラックス効果の複合作用を得る観点から、好ましくは1〜30質量%とすることができる。
本発明の入浴剤組成物には、入浴剤組成物の形状を安定させるために無機塩類を含むことができる。
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸鉄、亜硫酸鉄、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、イオウ、硫化カリウム、硫化ナトリウム、多硫化カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、ホウ砂、ホウ酸、酸化カルシウム、酸化チタン、消石灰、水酸化ナトリウム、メタケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、臭化カリウム、過マンガン酸カリウム、人工カルルス塩、中性白土、カオリン、雲母末、湯の花等が挙げられる。中でも、肌触り感と血行促進効果の観点から硫酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方が含まれていることが好ましい。
これらの無機塩類は、入浴剤組成物の剤型によって適宜配合することができるが、肌触り感と血行促進効果の観点から入浴剤組成物全体に対して、10質量%〜80質量%であることが好ましく、15質量%〜50質量%であることがより好ましい。
また本発明の入浴剤組成物には、上記粉末組成物以外の他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、生薬末及び植物エキス類、香料が挙げられる。
生薬及びエキス類としては、ソウジュツ、ビャクジュツ、カノコソウ、ケイガイ、コウボク、センキュウ、インチンコウ、トウヒ、トウキ、ジャスミン、ショウキョウ、ニンジン、ケイヒ、シャクヤク、ハッカ葉、オウゴン、サンシシ、ブクリョウ、ドクカツ、ショウブ、ガイヨウ、マツブサ、ビャクシ、ジュウヤク、サフラン、ウイキョウ、チンピ、ユズ、カン皮、カミツレ、ヨクイニン、アロエ、卵黄、米ヌカ、オウバク、ゴシュユ、シコン、褐藻、トウガラシ、レモン、ローズマリー、ビワ葉、海藻、ヘチマ、カンゾウ、ショウブ、ジュウヤク、緑茶、霊芝、セイジ、タイム、メリッサ等およびそれから得られたエキス等が挙げられる。特に、主基材として化学的に極めて安定で変質しにくいソルビトールのような糖アルコールを用いると配合される他の成分の影響をほとんど受けないため自由に配合が可能である。
香料としては、動物系、植物系、鉱物系の天然香料および合成香料のいずれも使用可能であり、例えば、ローズ抽出エキス、カモミール抽出エキス、グリーンティー香料、ラベンダー油、ゼラニウム油、ジャスミン油、ベルガモット油、ムスク油、イランイラン油、リモネン、リナロール、β−フェニルエチルアルコール、2,6−ノナジエナール、シトラール、シクロペンタデカノン、オイゲノール、ローズオキサイド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、オーランチオールなどを挙げることができる。
これらの香料は、入浴剤組成物の剤型及び香料の種類によって適宜配合されるが、リラックス効果の観点から入浴剤組成物全体に対して、0.05質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
この他、水溶性高分子、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症剤、酸化防止剤等の薬効成分、色素、その他、通常入浴剤に配合される成分を適宜添加することができる。
本発明の入浴剤組成物を使用する際には、好み等によって適宜変更することができるが、一般に、油性成分が、浴湯に対し0.1〜200ppm、好ましくは1〜100ppmの濃度になるように使用する。0.1ppm以上であれば油性成分の効果を得ることができ、200ppm以下であれば、油浮き、ぬるつき等を効果的に抑制して、浴湯外観を損なう懸念がない。
本発明の入浴剤組成物は、上記粉末組成物を含有するものであれば形態に限定はなく、粉末状又は顆粒状のものであってよく、打錠して錠剤状としてもよい。また、本発明の入浴剤組成物における粉末組成物を他の適当な液体媒体に溶解させて形成したゲル状等の他の形態のものであってもよい。これらの形態に応じた公知の成分を更に含有することができる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の記載で「部」と「%」表示してあるものは、特に断らない限り質量基準である。
[粉末組成物No.1]
エマルション組成物及び入浴剤組成物の調製
<1−1:エマルション組成物の調製>
エマルション組成物を下記に示す組成及び下記製法で調製した。
<組成>
[脂溶性成分]
(成分) (質量%)
(1)ヘマトコッカス藻色素(アスタキサンチン類含有率 20質量%)*1
1.0
(8)ビタミンEオイル*6 0.25
[水溶性成分]
(2)ショ糖ラウリン酸エステル*2 0.5
(3)ラウリン酸ポリグリセリル−10*3 0.5
(5)レシチン*4 1.0
(6)マルトデキストリン(DE42.0)*5 12.0
(7)HO 84.75
*1:ASTOTS−S:武田紙器(株)製
*2:リョートーシュガーエステルL−1695:三菱化学フーズ(株)製
*3:NIKKOL Decaglyn 1−L:日光ケミカルズ(株)製
*4:レシオンP:理研ビタミン(株)製
*5:ニポデックス42:株式会社 ニッシ 製
*6:理研Eオイル800:理研ビタミン(株)製
<製法>
(A) 上記成分(1)、(8)を、容器に秤量し、70℃の恒温槽にて攪拌しながら加熱混合し、よく混合したことを確認し、70℃に保ち、混合物Aを得た。
(B) 上記成分(2)〜(7)を、容器に秤量し、70℃の恒温槽にて攪拌しながら加熱混合し、よく混合したことを確認し、加熱混合し、70℃に保ち、混合物Bを得た。
(C) 混合物Bに混合物Aを加えて混合し、均一に乳化した。乳化装置は、ホモジナイザー(SMT社製)を使用し、10000回転にて5分間攪拌し、混合物Cを得た。
(D) 混合物Cを高圧ホモジナイザー(アルティマイザーHJP−25003:(株)スギノマシン製)を使用し、圧力240MPa、液温45℃にて乳化操作を行い、エマルション組成物EM−1を得た。
上記で得られたエマルション組成物をスプレイドライヤ(ADL310:ヤマト科学(株)製にて140℃の送風で噴霧乾燥させ、粉末組成物No.1を調製した。
[粉末組成物No.2〜7]
表1に示されるように各成分を配合した以外は、粉末組成物No.1と同様にしてエマルション組成物を得て、粉末組成物を調製した。
なお、表中記載の各成分は以下のとおりである。
イヌリン:フジ日本精糖株式会社製
ゼアゴールド:KALSEC社製 ゼアキサンチン10%、カプサンチン1.5%、βクリプトキサンチン1%、βカロテン0.5%、ルテイン1.0%
キサンゴールド:コグニスジャパン(株)製 ルテイン15%
Figure 2009132628
[実施例]
上記粉末組成物に、表2記載の配合量の通り、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及び香料を混合して、本発明の実施例にかかる入浴剤組成物を作成した。この入浴剤組成物30gを、40℃の浴湯200Lの中に投入した。
<評価>
入浴剤を溶解した浴湯の透明性の指標として、平均粒子径の測定を行った。粒子径は粒度分布計(FPAR−1000:大塚電子製)を用いて、25℃にて測定した。粉末組成物の平均粒子径は、粒径は累積50%の値で評価を行った。
また溶解後〜翌日において、浴湯面上に油滴の浮きがないか、目視にて評価を行った。
保湿感の評価は、作製した浴湯にパネラー10名が入浴し、入浴剤組成物を投入しない40℃の浴湯と比較し、官能評価を行った。パネラーは入浴後、軽くタオルドライし、23℃、40%RHの恒温恒湿室で安静を保ち、30分後の肌の感触を官能により評価した。評価は以下のとおりである。結果を表2に示す。
水道水の浴湯と比較して
非常に肌の潤いを感じた 2点
肌の潤いを感じた 1点
かわらない 0点
結果はパネラー評価の平均点で下記のように示した。
◎・・・1.5点以上
○・・・1.0〜1.5点未満
×・・・1.0点未満
[比較例]
表2記載のように、ASTOTS−S、イヌリン、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムをステンレス製ポット内で混練し、比較用入浴剤組成物を作成した(比較例1)。この比較例1の入浴剤組成物30gを、40℃の浴湯200Lの中に投入し、実施例と同様に評価を行った。
また、比較例2の比較用入浴剤として草津温泉で購入した湯の華30gを、40℃の浴湯200Lの中に投入し、実施例と同様に評価を行った。
それぞれの結果を表2に示す。
Figure 2009132628
表に示されるように、本発明の実施例の入浴剤組成物を使用した浴湯は、溶解性に優れ、溶解後に良好な透明性を示し、高い清涼感を与えるものであった。また入浴中〜24時間後においても、油滴の浮きがなく、沈澱物を発生せず、安定して澄明な外観を保っていた。更に、入浴後において良好な保湿感を示した。
これに対して、比較例の入浴剤組成物では、本発明のような良好な溶解性、保湿感はなく、大きな粒子径による乳濁や沈殿が発生した。
このように本発明の入浴剤組成物では、浴湯への均一分散が容易で浴湯外観を損なうことなく、良好なスキンケア効果及び安定性を示すことができる。

Claims (15)

  1. 少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である粉末組成物を含有する入浴剤組成物。
  2. 前記カロテノイド類が、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン及びβ-クリプトキサンチン並びにこれらのエステル体から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の入浴剤組成物。
  3. 前記油性成分として少なくともトコフェロール類を含有する請求項1又は請求項2に記載の入浴剤組成物。
  4. 前記カロテノイド類が、超臨界炭酸ガスを用いて抽出したカロテノイド類である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  5. 前記界面活性剤が、HLBが10以上19以下の非イオン性界面活性剤を含む請求項1〜請求項4のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  6. 前記界面活性剤が、少なくともショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  7. 前記粉末組成物が、前記油性成分の含有量が全組成物に対して0.01〜30質量%であり、かつリン脂質の含有量が油性成分に対して5〜100質量%であり、かつリン脂質以外の界面活性剤成分が油性成分に対して40〜200質量%である請求項1〜請求項6のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  8. 前記粉末組成物が、入浴剤組成物全体に対して1〜50質量%である請求項1〜請求項7のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  9. 前記賦形剤が、DE値20〜50を有するデキストリン類である請求項1〜請求項8のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  10. 前記賦形剤がイヌリンである請求項1〜9のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  11. アスコルビン酸および/又はその誘導体を少なくとも含むラジカル捕捉剤を更に含有する請求項1〜請求項10のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  12. 前記カロテノイド類の90質量%以上が、10nm〜300nm以下の大きさの油滴として粉末組成物中に含まれる請求項1〜11のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  13. 前記入浴剤組成物が、少なくとも1種の無機塩類を含有する請求項1〜請求項12のいずれかに記載の入浴剤組成物。
  14. 前記無機塩類として硫酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの少なくとも一方を含有する請求項13に記載の入浴剤組成物。
  15. 少なくとも1種のカロテノイド類を含有する油性成分と、少なくとも1種のリン脂質を含む界面活性剤と、賦形剤とを含み、前記界面活性剤の量が油性成分に対して100質量%〜400質量%である混合物を乳化する乳化工程、
    前記乳化工程によって得られたエマルション組成物を乾燥して、粉末組成物を得る乾燥工程
    を含む入浴剤組成物の製造方法。
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