JP5192356B2 - 飲料用乳化組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、香料などの脂溶性成分や、その脂溶性成分を溶解する溶媒などを高濃度に含有でき、しかも合成比重調整剤を含有しなくても飲料中でネックリング(液面に浮上した乳化粒子が飲料容器の上部壁面にリング状に付着する現象)や、クリーミングなどを生じることなく、脂溶性成分を飲料中に安定して分散させ、さらに飲料に適度な濁りを付与するために使用される飲料用乳化組成物、これを用いた安定性に優れた飲料製品、及び飲料中に脂溶性成分をネックリングを発生させずに安定的に分散させる方法に関するものである。
飲料の製造に際し、その嗜好性を高めるために、グレープフルーツやレモン、オレンジなどの香料オイル油を水中油型(O/W型)に乳化した乳化香料、β−カロチンやパプリカ色素などの脂溶性色素を水中油型(O/W型)に乳化した乳化色素、油溶性ビタミン、ドコサヘキサエン酸やコエンザイムQ10などの各種脂溶性機能素材を水中油型(O/W型)に乳化した機能性乳化製剤などが用いられている。
これらの脂溶性成分を乳化し、水溶化した乳化製剤を用いることにより、例えば、飲料に濁りや香りを付与し、果汁感や呈味感を出させたり、脂溶性の機能性素材を添加して、栄養強化を図ったり、脂溶性の着色料を添加して、飲料を着色することができる。
これらの脂溶性成分は直接飲料に添加することができないため、予めアラビアガムなどの保護コロイド物質や各種の乳化剤により水分散を可能とした乳化製剤として添加されるのが一般的である。
上記のような脂溶性成分は、概して比重が水より小さいため、脂溶性成分だけを乳化した乳化製剤を飲料に添加した場合、飲料の保存中に所謂、ネックリングを生じ、飲料の商品価値を著しく低下させる要因となる。
このような現象を解消又は低減するためには、一般に、脂溶性の比重調整剤が用いられている。比重調整剤を脂溶性成分に添加することにより、飲料の比重に近づけ、ネックリングなどを防止して安定化させる方法が提案され、例えば、合成比重調整剤として臭素化ブロム化油(BVO)や、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(Sucrose Acetate IsoButylate、以下「SAIB」という)、アビエチン酸を主成分とするグリセロースエステルウッドロジン(以下「エステルガム」という)などが、天然の比重調整剤としてロジンやダンマル樹脂などが一般的に用いられてきた。
しかし、合成比重調整剤は、その有害性が指摘され、国により使用が許可されていなかったり、使用量に制限が設けられていることが多い。
例えば、臭素化ブロム化油(BVO)は、非常に比重が高いことから、世界各国で使用されていたが、1970年にイギリスにおいて、BVO摂取による体脂肪中の臭素の蓄積を考慮して使用禁止となり、アメリカにおいても食品医薬品局(FDA)により飲料中の最大添加量が15ppm以下と制限され、また、日本においても使用が許可されていない。
SAIBは、日本においては使用制限が無くその使用が認められているものの、多くの国でその使用量が制限されていたり、一部の国では使用が許可されていない。
また、SAIBは、室温において約20,000Pa.sという非常に高い粘度を有し、使用に際しては中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)や植物油、香料などと共に60℃以上に加熱溶解して使用しなければならず、加熱にて容易に揮発、分解する香料や油溶性素材への利用は困難であった。SAIBには匂いが殆どないが、独特の苦味を伴う味を有し、多量に飲料に配合するには不向きであった。更には、SAIBは溶解性が悪く、常温で結晶状の油溶性物質を溶解して乳化させることが非常に困難であるといった問題があった。
また、このような粘度の調整や比重調整のために、本来乳化させたい目的物(香料や油溶性原料など)が乳化製剤に対して多く配合できないという難点があった。
エステルガムもSAIBと同様に、多くの国でその使用量が制限されていたり、日本を始めとして一部の国では使用が許可されておらず、世界各国で共通に使用できる比重調整剤は無く、また、その有害性の観点から、これら合成比重調整剤を使用せず、飲料用の乳化組成物が作られることが待望されていた。
一方で、天然由来の比重調整剤として、ロジンやダンマル樹脂なども飲料用の乳化組成物に使用されている。これらの天然の比重調整剤は、BVOやSAIBなどの合成比重調整剤と比べて、比重が低く、また、エステルガムと比較しても、乳化組成物の乳化安定性を保つ効果は低く、ロジンやダンマル樹脂を脂溶性成分と混合した乳化組成物を飲料に用いた場合、飲料でのネックリング生成を防止するのには限界があった。
特許文献1には、比重調整剤を使用しないエマルションを含有する安定な飲料について記載されているが、エマルションの平均粒子径が0.1〜0.3ミクロンの微細エマルションに関するものであり、これらの微細エマルションでは、確かにネックリングの生成を抑制できるが、飲料に適切な濁度や呈味を付与するには不十分であった。平均粒子径0.3ミクロン以上のエマルションにおいては、飲料でのネックリング生成防止には、比重調整剤の添加が必要と考えられていた。
その他に、油脂より比重の大きいポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する方法が提案されている(特許文献2)が、このポリグリセリン脂肪酸エステルの比重は、既存のSAIBやロジン、ダンマル樹脂などの比重調整剤より比重が小さく、水と殆ど同じであることから、対応可能な飲料比重が極端に限定されていた。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルなどの合成乳化剤を使用した場合、非常に微細なエマルションを調製することにより、飲料でのネックリングを防止できるが、これらで調製したエマルションでは、飲料に適度な濁りや呈味感を付与することはできない。このような合成乳化剤を使用して、粒子径0.3ミクロン以上のエマルションを調製する場合は、SAIBなどの比重調整剤を添加混合することが必須となっている(特許文献3)。
さらに、油溶性香料と油溶性成分を100:1〜1:1の割合で混合又は溶解した油相成分を、乳化剤溶液中に微分散又は乳化して得られる、水に透明に溶解し且つ香味発現性が改善された乳化香料組成物が提案されている(特許文献4)。この乳化香料組成物は、乳化剤としてアラビアガム、改質アラビアガム、ガティガムなどを用いて、油相成分の乳化粒子の平均乳化粒子径を0.5μm以下とし、水に1%濃度で希釈した場合の水を対照とした吸光度(測定波長720nm、セル幅1cmで測定)が0.5以下とする、透明性及び保存安定性に優れ、香味の発現性が改善された乳化香料組成物である。しかし、これは透明性を高めるために香料と希釈油の比率を限定したものであり、実際には透明性を高めるために、油相成分の乳化粒子の平均乳化粒子径を0.1μm以下とし、0.1%濃度ではほとんど透明であり、さらに油溶性香料と油溶性成分の量を合計した油相成分の配合割合も5重量%以下となっている。
特表平11−509421号公報 特開2006−50986号公報 特開2007−267683号公報 特開2006−257246号公報
本発明の目的は上記の従来の技術的問題を解消し、合成比重調整剤を使用しなくても、高濃度に香料などの脂溶性成分を含有し、飲料中に添加した際にネックリングなどを生じず、脂溶性成分を安定に保持し、さらに適度な濁りを付与することで、商品価値の高い飲料を調製することのできる飲料用乳化組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ガティガム及び/又は改質アラビアガムを乳化剤として使用することにより、合成比重調整剤を使用しなくても、脂溶性成分を高濃度に含有できる飲料用乳化組成物が調製でき、飲料中に添加してもネックリングなどを生じず、適度な濁りを付与した商品価値の高い飲料を調製することのできることを見出して、この発明を完成させた。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、以下の態様を含むものである。
項1.合成比重調整剤を含有せず、脂溶性成分を8〜18重量%、及びガティガム及び/又は改質アラビアガムを含有し、溶液中に分散又は乳化して得られる脂溶性成分の乳化粒子の平均乳化粒子径が、0.3μm以上0.7μm以下であり、水に0.1%濃度で希釈した場合の水を対照とした吸光度(測定波長720nm、セル幅1cmで測定)が、0.05以上であることを特徴とする飲料用乳化組成物。
項2.改質アラビアガムが、重量平均分子量が150万以上のアラビアガムであるか、又はアラビノガラクタン蛋白量含量が17重量%以上のアラビアガムである、項1記載の飲料用乳化組成物。
項3.天然の比重調整剤も含有しないものである、項1又は2記載の飲料用乳化組成物。
項4.脂溶性成分1重量部に対して、ガティガムを0.2〜1重量部含有する項1〜3に記載の飲料用乳化組成物。
項5.脂溶性成分1重量部に対して、改質アラビアガムを0.7〜2.5重量部含有する項1〜3に記載の飲料用乳化組成物。
項6.項1〜5記載の飲料用乳化組成物を添加した飲料製品。
項7.項1〜5記載の飲料用乳化組成物を飲料に添加して、飲料中に脂溶性成分をネックリングを発生させずに安定的に分散させる方法。
本発明によれば、SAIBなどの合成比重調整剤を使用しなくても、飲料に高濃度に添加される香料などの脂溶性成分によるネックリングなどを生じることなく、脂溶性成分を安定して飲料中に保持し、さらには脂溶性成分の乳化粒子の平均乳化粒子径を0.3μm以上とできることで適度な濁りを付与することのできる、飲料用乳化組成物を提供することができる。
本発明で用いる脂溶性成分としては、香料、着色料、ビタミン類、機能性油脂類、脂溶性の粉末や、それらを溶解あるいは希釈する目的で使用される油などが挙げられるが、特に制限されることは無く、これらを単独で使用しても、混合して使用しても良い。
香料としては、脂溶性であれば特に制限はないが、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘系の精油、ペパーミント、オールスパイス、ジンジャー、ブラックペッパーなどのスパイス系精油、コーヒーオイル、カカオバター、シソ油、ヤシ油、パーム油などの植物系油脂、バターなどの動物油脂、リナロール、ゲラニオール、L−メントールなどの所謂合成香料のいずれも使用することができる。
着色料としては、油溶性であれば特に制限はなく、アナトー色素、パプリカ色素、マリーゴールド色素、トマト色素、にんじん色素、パームカロチン、デュナリエラカロチン、ヘマトコッカス藻色素などの天然由来のカロテノイド系色素や、β−カロチン、ルテイン、リコピン、α−カロチン、アスタキサンチン、カンタキサンチンなどのカロテノイド類が挙げられる。
ビタミン類としては、脂溶性のビタミン類、例えばビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、などが挙げられる。
機能性油脂としては、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α-リノレン酸などのオメガ−3系多価不飽和脂肪酸、アラキドン酸、リノール酸、γ−リノレン酸などのオメガ−6系多価不飽和脂肪酸などが挙げられる。
さらに、脂溶性粉末としては、油脂に溶ける粉末であれば特に制限はないが、セサミン、オクタコサノール、コエンザイムQ10、α−リポ酸などが挙げられる。
これらの脂溶性成分を溶解あるいは希釈する目的で使用される油としては、菜種油、大豆油、オリーブ油、エレミ樹脂、マスティック樹脂等の植物性油脂類、牛脂、豚脂等の動物性油脂類、中鎖トリグリセライド、HLBの低いグリセリン脂肪酸エステルなどが例示される。
本発明の飲料用乳化組成物におけるこれらの脂溶性成分の配合量は8〜18重量%、好ましくは8〜15重量%であり、従来の比重調整剤を使用した飲料用乳化組成物に比べて、高濃度の脂溶性成分を配合することができる。
本発明で用いるガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とする天然由来の植物性ガム質であり、増粘安定剤として公知のものである。
ガティガムは商業的に入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ(株)のガティガムSDやGATIFOLIA RDなどが利用される。
本発明の飲料用乳化組成物におけるガティガムの含有量は、脂溶性成分1重量部に対して、0.2〜1重量部、好ましくは0.3〜0.7重量部である。
本発明で用いる改質アラビアガムとは、通常のアラビアガムと比較し、重量平均分子量やアラビノガラクタンタンパク質含量が高く、乳化性に優れたアラビアガムであり、重量平均分子量が150万以上であるか、又はアラビノガラクタン蛋白量含量が17重量%以上であるアラビアガムである(以下、「改質アラビアガムという」)。
アラビアガムの重量平均分子量及びアラビノガラクタンタンパク質含量は、MALLS(多角度光散乱光度計)、RI(屈折率)を検出器としてオンラインで接続したゲル濾過クロマトグラフィー法(GPC−MALLS)により求めることができる。
当該改質アラビアガムとは、天然から得られるアラビアガムに、他の添加剤の添加や化学的な修飾することなく、加熱などの加工処理によりアラビアガムの分子同士が自己重合することにより、上記重量平均分子量やアラビノガラクタンタンパク質含量範囲の規定を満たした乳化性に優れたアラビアガムのことである。
改質アラビアガムの製造方法については、上記規定を満たすものが得られる製造方法であれば特に限定されないが、例えば、特表2006−522202号公報に記載された方法、即ちアラビアガムを110℃以上で10時間以上加熱することにより得ることができる。このような改質アラビアガムは商業的に入手可能であり、例えば、三栄源エフエフアイ株式会社のSUPER GUMなどが利用される。
本発明の飲料用エマルションにおける改質アラビアガムの含有量は、脂溶性成分1重量部に対して、0.7〜2.5重量部、好ましくは1〜2重量部である。
本発明の飲料用乳化組成物は、SAIBなどの合成比重調整剤を含有しないものである。
好ましくは、ロジンやダンマル樹脂などの天然の比重調整剤も含有しないものであるが、
脂溶性成分の配合量が12重量%を越える場合には、これらの天然の比重調整剤を含有しても良い。
その際のこれらの天然の比重調整剤の含有量は、脂溶性成分1重量部に対して0.3重量部以下で十分あり、0.25重量部以下での使用がさらに好ましい。
本発明の飲料用乳化組成物には、ガティガムや改質アラビアガム以外に、乳化効果を有する多糖類(例えばアラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、水溶性大豆多糖類など)や、乳化性を有する化工澱粉(オクテニルコハク酸デンプンやオクテニルコハク酸デンプンナトリウムなど)、乳化性を有するポリペプチド(ゼラチン、カゼインナトリウム、乳清タンパク質、大豆タンパク質、大豆ペプチド、小麦タンパク質など)、乳化性を有する各種の界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなど)の1種以上の乳化剤と併用して使用しても良い。また、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどの多価アルコール、リン酸、フィチン酸、クエン酸、乳酸などの酸味料、ローズマリー抽出物、ビタミンC、エリソルビン酸、フェルラ酸、酵素処理イソクエルシトリン、ルチン、ヤマモモ抽出物、ヒマワリ種子抽出物などの酸化防止剤、安息香酸、安息香酸ナトリウムなどの保存料などを適宜配合しても良い。
本発明の飲料用乳化組成物を調製するには、脂溶性成分を上記の脂溶性成分を溶解する溶媒、例えば中鎖脂肪酸トリグリセライドや食用油脂、HLBの低いグリセリン脂肪酸エステルなどに均一に混合し、ガティガムや改質アラビアガムの天然植物性ガム質と多価アルコール、保存料などの水溶性成分を水に溶解して調製した乳化剤溶液に添加して、予備撹拌する。
次いで、乳化装置を用いて、均一に乳化して、油溶性成分を上記溶媒に溶解した油相成分の乳化粒子の平均粒子径を0.3μm以上0.7μm以下、好ましくは0.35μm以上0.6μm以下の大きさに調製する。
0.3μm未満では飲料の濁りの程度が薄いため充分でなく、また、0.7μmを越えるとネックリングを防止することが難しい。
本発明の乳化組成物を調製する際に使用される乳化装置については、目的の乳化粒子を得ることが可能な乳化装置であれば特に制限はないが、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ナノマイザー、ディスパーミル、ホモミキサーなどを用いることができる。
飲料は適度な濁りを伴うことにより、果汁感を演出でき、見た目の美味しさが引き出され、売れ行きにも影響を与えるものである。
本発明の飲料用乳化組成物の濁りの程度は、水に0.1%濃度で希釈した場合の水を対照とした吸光度(abs)(測定波長720nm、セル幅1cmで測定)が、0.05以上である必要がある。吸光度の上限は特に制限されないが、0.50が好ましい。
吸光度が0.05未満では、飲料の濁りの程度が薄く充分でないため、商品価値に乏しいものとなる。
本発明の飲料用乳化組成物では、脂溶性成分の乳化粒子の平均粒子径を0.3μm以上0.7μm以下、好ましくは0.35μm以上0.6μm以下の大きさに調製することで、上記の好ましい濁りを飲料に付与することができる。
本発明の飲料用乳化組成物が適用される飲料としては、炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、乳酸飲料、清涼飲料、乳飲料、ミネラルウオーター、スポーツドリンク、アルコール飲料などが挙げられる。
飲料への本発明の飲料用乳化組成物の添加量は、0.005〜1質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%である。
飲料への本発明の飲料用乳化組成物の添加は、飲料を製造する工程で特に制限されず行なうことができる。
本発明の飲料用乳化組成物を飲料に添加することで、保存中にネックリングなどの飲料の商品価値を著しく低下させる現象を防止することができ、さらに適度な濁りを付与することで、商品価値の高い飲料を調製することができる。
以下、本発明につき実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り、%は質量%を示すものとし、「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ社製であることを意味する。
実施例1
表3の処方に従い、オレンジオイル香料(オレンジ果皮より抽出された精油)20gと中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)80gを均一に混合し、脂溶性成分溶液100gを調製した。ガティガム60g、クエン酸(無水)2g、安息香酸ナトリウム1gを水837gに溶解した後、予め混合しておいた脂溶性成分100gを添加し、攪拌機にて10分間予備攪拌混合した。
次いで、高圧ホモジナイザー15MR-8TA(APV Gaulin社製)を用いて、圧力350kg/cm2で4回処理を行い、脂溶性成分の乳化粒子の平均粒子径が0.42μmの乳化香料組成物を得た。
実施例2
ガティガムの代わりに改質アラビアガム(180g)を使用した以外は、実施例1と同様に製造した。
比較例1
ガティガムの代わりにアラビアガム(180g)を使用した以外は、実施例1と同様にして製造した。
比較例2
ガティガムの代わりに水溶性大豆多糖類(150g)を使用した以外は、実施例1と同様にして製造した。
比較例3
ガティガムの代わりにグリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリンモノオレエートとポリグリセリンモノステアレートの2:1併用、30g)を使用した以外は、実施例1と同様にして製造した。
比較例4
ガティガムの代わりにグリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリンモノオレエートとポリグリセリンモノステアレートの2:1併用、60g)を使用した以外は、実施例1と同様にして製造した。
実施例1、2及び比較例1〜4で得られた乳化香料組成物を用いて、下記表1の処方にて全量溶解後、93℃達温にて殺菌し、200ml容量のガラス瓶にホットパック充填して、清涼飲料水を調製した。
この清涼飲料水の20℃で1ヶ月間静置保存後の状態安定性を、表2の評価基準に従って評価した。
その結果を表3に示した。
Figure 0005192356
Figure 0005192356
Figure 0005192356
1:ガティガムRD
2:スーパーガムEM10
3:ガムアラビックSD
表3の結果から明らかなように、ガティガムを用いて平均乳化粒子径を0.42μmとした実施例1や、改質アラビアガムを用いて平均粒子径を0.44μmとした実施例2は、飲料の濁りも充分あり、合成比重調整剤を含有しなくても、1ヶ月の静置保存後も飲料にネックリングや沈殿は認められず、安定に分散していた。
一方、アラビアガムや大豆多糖類、グリセリン脂肪酸エステルを使用した比較例1〜3は、平均乳化粒子径が0.4μm程度であっても、合成比重調整剤を含有しないため、1ヶ月の静置保存により、飲料に多量のネックリングを認めた。
また、グリセリン脂肪酸エステルの濃度を上げて調製した比較例4においては、平均乳化粒子径が0.3μm未満となり、比較例3と比較して、静置保存によるネックリングの生成は大幅に減ったが、飲料の濁りの程度が薄く充分ではなかった。
実施例3
表4の処方に従い、オレンジオイル香料(オレンジ果皮より抽出された精油)20gと中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)80gとロジン20gを混合し、100℃まで加熱し、均一に溶解し、常温まで冷却し、脂溶性成分溶液120gを調製した。これを改質アラビアガム180g、クエン酸(無水)2g、安息香酸ナトリウム1gを水697gに溶解した後、予め混合しておいた脂溶性成分120gを添加し、攪拌機にて10分間予備攪拌混合した。
次いで、高圧ホモジナイザー15MR-8TA(APV Gaulin社製)を用いて、圧力350kg/cm2で4回処理を行い、脂溶性成分の乳化粒子の平均粒子径が0.47μmの乳化香料組成物を得た。
実施例4
改質アラビアガムの代わりにガティガム60gを使用した以外は、実施例3と同様に製造した。
比較例5
改質アラビアガムの代わりにアラビアガム180gを使用した以外は、実施例3と同様に製造した。
実施例5
表4の処方に従い、中鎖トリグリセライド(MCT)120gとダンマル樹脂30gを混合し、80℃まで加熱して均一に溶解し、常温まで冷却し、脂溶性成分溶液150gを得た。これを改質アラビアガム180g、クエン酸(無水)2g、安息香酸ナトリウム1gを水667gに溶解した後、予め混合しておいた脂溶性成分150gを添加し、攪拌機にて10分間予備攪拌混合した。 次いで、高圧ホモジナイザー15MR-8TA(APV Gaulin社製)を用いて、圧力350kg/cm2で4回処理を行い、脂溶性成分の乳化粒子の平均粒子径が0.52μmの乳化組成物を得た。
実施例6
改質アラビアガムの代わりにガティガム60gを使用した以外は、実施例5と同様に製造した。
比較例6
改質アラビアガムの代わりにアラビアガム180gを使用した以外は、実施例5と同様に製造した。
実施例3〜6、及び比較例5、6で得られた乳化組成物を用いて、上記表1の処方にて全量溶解後、93℃達温にて殺菌し、200ml容量のガラス瓶にホットパック充填して、清涼飲料水を調製した。
この清涼飲料水の20℃で1ヶ月間静置保存後の状態安定性を、上記表2の評価基準に従って評価した。
その結果を表4に示した。
Figure 0005192356
改質アラビアガムを使用した実施例3、及びガティガムを使用した実施例4ともに、1ヶ月保存後のネックリングは無く、十分な濁りもあった。
一方、アラビアガムを使用した比較例5は、天然の比重調整剤(ロジン)を含有していても、1ヶ月保存後のネックリング生成量が多かった。
改質アラビアガムを使用した実施例5、及びガティガムを使用した実施例6ともに、1ヶ月保存後のネックリングは極少量認めるだけで、肉眼で明確な異常とは認められず、商品価値を損なうほどではなかった。また、十分な濁りもあった。
一方、アラビアガムを使用した比較例6は、天然比重調整剤(ダンマル樹脂)を含有していても、1ヶ月保存後のネックリングは生成量が極めて多く、十分な濁りもなかった。
実施例7〜11、及び比較例7〜9は、表5に記載の処方に基づき調製し、高圧ホモジナイザー15MR-8TA(APV Gaulin社製)を用いて、圧力350kg/cm2で4回処理を行った。
実施例7〜11、及び比較例7〜9で得られた乳化組成物を用いて、上記表1の処方にて全量溶解後、93℃達温にて殺菌し、200ml容量のガラス瓶にホットパック充填して、清涼飲料水を調製した。
この清涼飲料水の20℃で1ヶ月間静置保存後の状態安定性を、上記表2の評価基準に従って評価した。
その結果を表5に示した。
Figure 0005192356
実施例7〜9は、脂溶性成分である中鎖トリグリセライド(MCT)1重量部に対して、改質アラビアガムを1〜2重量部添加したものであり、これらはいずれも十分な濁りを有し、且つ、合成比重調整剤を含有しなくても、1ヶ月保存でのネックリング生成はほとんど認めなかった。
これに対して、比較例7のように改質アラビアガムを3重量部添加した場合は、ネックリング生成を認めないものの、十分な濁りを得ることはできず、また、比較例8のように0.5重量部添加した場合は、十分な濁りは認めるものの、合成比重調整剤を含有しないため、1ヵ月後に多くのネックリング生成を認めた。
実施例10及び11は、中鎖トリグリセライド1重量部に対して、ガティガムを0.33及び0.67重量部使用して調製しているが、合成比重調整剤を含有しなくても、1ヶ月保存後のネックリング生成はほとんど認めなかった。
これに対して、比較例9のようにガティガムを0.17重量部しか添加しない場合は、十分な濁りは認めるものの、合成比重調整剤を含有しないため、1ヶ月保存後のネックリング生成を認めた。
本発明により、合成比重調整剤を含有しなくても、飲料に添加される高濃度の香料などの脂溶性成分を、ネックリングなどを生じることなく、安定して飲料中に保持し、さらには適度な濁りを付与することができる飲料用乳化組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 合成比重調整剤を含有せず、脂溶性成分を8〜18重量%、及びガティガムを脂溶性成分1重量部に対して0.2〜1重量部含有し、溶液中に分散又は乳化して得られる脂溶性成分の乳化粒子の平均乳化粒子径が、0.3μm以上0.7μm以下であり、水に0.1%濃度で希釈した場合の水を対照とした吸光度(測定波長720nm、セル幅1cmで測定)が、0.05以上であることを特徴とする飲料用乳化組成物。
  2. 天然の比重調整剤も含有しないものである、請求項記載の飲料用乳化組成物。
  3. 請求項1又は2記載の飲料用乳化組成物を添加した飲料製品。
  4. 請求項1又は2記載の飲料用乳化組成物を飲料に添加して、飲料中に脂溶性成分をネックリングを発生させずに安定的に分散させる方法。
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