JP2004210957A - 乳濁剤組成物並びに該乳濁剤組成物を含有する乳濁乃至微濁性飲料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】柑橘系精油などを含有する油溶性香料と、乳化剤と、水及び/又は多価アルコールを含有する乳化香料を、衝突させたときの衝突エネルギーによって微細化処理して乳濁剤組成物を得る。50〜250Mpaの圧力に乳化香料を加圧して対向衝突させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳濁剤組成物並びに該乳濁剤組成物を含有する乳濁乃至微濁性飲料に関し、詳しくは乳濁乃至微濁性飲料に長期間安定な香気と混濁、着濁後の安定な濁度などを与え、また乳濁剤組成物を長期に保管しても一定の着濁性を持ちかつ分離せず、乳濁乃至微濁性飲料においては、ネックリングや沈澱物が生じない嗜好性の高い香味と外観を与える乳濁剤組成物並びに該乳濁剤組成物を含有する乳濁乃至微濁性飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料をよりおいしく、かつナチュラル感を高めるために香料が用いられている。飲料に用いられる香料としては水溶性香料(エッセンスなど)が一般に用いられるが、よりマイルドな香りを与え、水に分散したときに特有の白濁を与え、特に果実飲料などに対してボリュームある香りと安定した混濁を与えるために乳化香料が好ましく用いられる(非特許文献1)。そのような乳化香料に要求される特性としては、長期間にわたってクリーミングや油浮きがしないという乳化状態の安定性が第一に挙げられ、その目的のためには例えば油性香料と水溶性大豆多糖類と多価アルコールを含有する乳化組成物(例えば特許文献1)、或いはショ糖酢酸イソ酪酸エステルと柑橘系香料と中鎖脂肪酸トリグリセライドを特定の組成比で含有する乳化物(例えば特許文献2)などが提案されているが、嗜好性の点でいえば未だ満足のいくものではなかった。
【0003】
一方、長期間にわたってクリーミングや油浮きがしないという観点からは、特定の乳化剤と多価アルコールと油溶性物質と水を特定の組成比で混合し、1000kg/cm2以上の圧力で均質化した可溶化組成物が提案されている(例えば特許文献3)。しかしながら、上記提案では、長期間にわたってクリーミングや油浮きがしないものの、得られるものは可溶化物であり、飲料に適度の混濁を与えることはできなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−107927号公報
【特許文献2】
特開平11−178551号公報
【特許文献3】
特開平10−84887号公報
【非特許文献1】
特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第I部 香料一般 第89頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、長期間にわたってクリーミングや油浮きが無く安定で、外観に優れ、かつ、嗜好性の高い飲料用の乳濁剤組成物を提供するとともに、該乳濁剤組成物を含有する乳濁乃至微濁性飲料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは種々の条件を検索した結果、特定の組成からなる乳化香料を、衝突させたときの衝突エネルギーによって微細化処理することにより、長期間にわたってクリーミングや油浮きが無く安定で、外観に優れ、かつ、嗜好性の高い飲料用の乳濁剤組成物が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、油溶性香料と、乳化剤と、水及び/又は多価アルコールを含有する乳化香料を、衝突させたときの衝突エネルギーによって微細化処理したことを特徴とする乳濁剤組成物であり、詳しくは油溶性香料が、柑橘系精油を含有することを特徴とする前記乳濁剤組成物であり、更に詳しくは乳化剤が、アラビアガム及び/又はHLB値が12乃至20であるグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする前記乳濁剤組成物であり、更に詳しくは多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、還元澱粉糖化物、水飴、ショ糖、オリゴ糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記乳濁剤組成物であり、更に詳しくは微細化処理は、乳化香料を加圧して発生させた2つ流れを対向衝突させるものであることを特徴とする前記乳濁剤組成物であり、更に詳しくは微細化処理は、50〜250Mpaの圧力に乳化香料を加圧して衝突させることを特徴とする前記乳濁剤組成物であり、また微細化処理は、70〜150Mpaの圧力に乳化香料を加圧して衝突させることを特徴とする前記乳濁剤組成物であり、また微細化処理は、100〜150Mpaの圧力に乳化香料を加圧して衝突させることを特徴とする前記乳濁剤組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
本発明で用いられる油溶性香料は、油溶性であれば特に限定されることはなく、その目的に応じて任意に調製されるが、好ましくは柑橘系油溶性香料が用いられる。柑橘系油溶性香料は、柑橘油(シトラス類)系の香料であれば、天然香料、調合香料のいずれも好ましく用いられる。柑橘油としては、例えばミカン油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、ユズ油、夏ミカン油等がある。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せても用いてもよい。また、これら柑橘油の一部又は全部のテルペンを除去したものも用いられる。これらの精油の他に、食品添加物として認められている化合物や、溶剤として菜種油、パーム油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、ヤシ油、エレミ樹脂、マスチック樹脂などの植物油を任意に使用した調合香料を使用してもよい。さらに、香料を安定化する目的で任意に酸化防止剤を加えても良い。
【0010】
本発明で用いられる乳化剤は、可食性のものであれば特に限定されることはなく、例えばエンジュサポニン、オオムギ殻皮抽出物、キラヤ抽出物、グリセリン脂肪酸エステル、酵素処理大豆サポニン、酵素処理レシチン、植物性ステロール、植物レシチン、スフィンゴ脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズサポニン、胆汁末、チャ種子サポニン、動物性ステロール、トマト糖脂質、ビートサポニン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、分別レシチン、ユッカフォーム抽出物、卵黄レシチン、アラビアガム、カードラン、カラギーナン、CMC、ローカストビーンガム、キサンタンガム、キダチアロエ抽出物、キチン、キトサン、グァーガム、グルコサミン、酵母細胞壁、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、タラガム、ダンマル樹脂、デキストラン、トラガントガム、微小繊維状セルロース、プルラン、ペクチン、メチルセルロース、モモ樹脂、ラムザンガム、レバンなどが例示され、好ましくはアラビアガム及び/又はHLB値が12乃至20であるグリセリン脂肪酸エステルが用いられる。
【0011】
本発明で用いられる多価アルコールは、分子内に2以上の水酸基を持つ化合物であれば特に限定されることはなく、任意に用いることができるが、好ましくはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、還元澱粉糖化物、水飴、ショ糖、オリゴ糖、環状オリゴ糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースが用いられ、特に好ましくはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、還元澱粉糖化物、オリゴ糖、乳糖、トレハロースが用いられる。
【0012】
本発明で用いられる微細化処理は、衝突させたときの衝突エネルギーによって乳化香料を微細化するものである。つまり、乳化香料を加圧して高速流を形成し、その流れを相手側に衝突させて乳化香料を微細化するものである。ここで、相手側としては、乳化香料の高速流、固定板等がある。相手側が乳化香料の高速流である場合には、異なる方向に流れる乳化香料の高速流同士を衝突させることになる。この場合、衝突エネルギーを最も大きくするために、高速流同士を対向衝突、即ち高速流同士を正面又は正面に近い角度から衝突させることが好ましい。また、相手側が固定板である場合には、衝突エネルギーを最も大きくするために、乳化香料の高速流を固定板に対して正面又は正面に近い角度から衝突させることが好ましい。
【0013】
図1に、乳化香料の高速流同士を対向衝突させる様子を示す。乳化香料を加圧して発生させた2つの流れ(高速流1)を対向衝突させ、その衝突エネルギーによって乳化香料を微細化している。2つの高速流1は、対向した例えばダイヤモンドノズル2から噴射され、例えば非球面構造の衝突室3内で衝突し、そのエネルギーによって微細化された後、製品として取り出される。高速流1は乳化香料を例えばポンプによって加圧することで発生させる。そして、この高速流1を途中で分岐させて2つの高速流1とし、ダイヤモンドノズル2から衝突室3内に噴射させる。
【0014】
なお、このような微細化処理を1回行うこと(1パス)で乳化香料を製品としても良いが、微細化処理を複数回行うこと(複数パス)で乳化香料を製品としても良い。
【0015】
このような微細化処理を行う装置(以下、微細化処理装置という)としては、例えば「アルティマイザー」(スギノマシン社製)がある。
【0016】
本発明で用いられる微細化処理の圧力条件、即ち乳化香料の圧力値としては、通常の乳化における圧力条件(100〜300kg/cm2:特許文献2)と比べて、遙かに高圧(50Mpa=490kg/cm2以上)の値を必要とする。衝突させる乳化香料を、通常は50〜250Mpaの圧力に加圧し、好ましく70〜150Mpaの圧力に加圧し、特に好ましく100〜150Mpaの圧力に加圧し、高速流1を発生させる。乳化香料の圧力を50〜250Mpaの範囲にするのは、50Mpa未満であれば製品として得られる乳化香料として風味の嗜好性が高いものが得られにくく、250Mpaを越えると乳化そのものが破壊される、即ち再凝縮する可能性があるからである。また、好ましい範囲が70〜150Mpaであるのは、加圧する圧力が70Mpa以上であれば更に嗜好性が増し、150Mpa以下であれば更に安定性が増すからである。さらに、特に好ましい範囲が100〜150Mpaであるのは、加圧する圧力がこの範囲であれば香気の初発性が特に好ましく得られるからである。
【0017】
本発明で得られる乳濁剤組成物の着濁性と外観は長期にわたり安定であり、その着濁後の濁度においても、経時的に濃くなったり、薄くなったりもしない優れたものである。
【0018】
本発明で用いられる飲料には制限がなく、例えば炭酸飲料、果実飲料、乳性飲料、嗜好飲料、健康飲料、ミネラルウオーター、スポーツドリンクなど様々な飲料が含まれる。
【0019】
本発明の乳濁剤組成物の飲料への添加量は、使用目的などを考慮して決定すればよいが、好ましくは0.01〜0.5wt%であり、より好ましくは濁りや香りの強度及び経済性を考慮して0.05〜0.2%wtで用いられる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0021】
[実施例1]
グレープフルーツ調合オイルA100g(小川香料社製)とアラビアガム200g、水525g、還元澱粉糖化物100g、エタノール75gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で10000rpm×30分処理した乳化液を得たのち、120Mpaの条件下、即ち乳化香料を120Mpaの圧力に加圧して、微細化処理装置(アルティマイザー/スギノマシン社製)にて1回処理した乳濁剤組成物を得た。
【0022】
[実施例2]
グレープフルーツ調合オイルA100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で10000rpm×30分処理した乳化液を得たのち、120Mpaの条件下、微細化処理装置(アルティマイザー/スギノマシン社製)にて1回処理した乳濁剤組成物を得た。
【0023】
[比較例1]
グレープフルーツ調合オイルA100g(小川香料社製)とアラビアガム200g、水525g、還元澱粉糖化物100g、エタノール75gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で10000rpm×30分処理した乳化液を得た。
【0024】
[比較例2]
グレープフルーツ調合オイルA100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で10000rpm×30分処理した乳化液を得た。
【0025】
[試験1]
実施例1、2及び比較例1、2でそれぞれ得られた組成物について、イオン交換水で1000倍に希釈し、その濁度を濁度計(2100AN Turbidimeter/Hach社)を用いて測定し、濁度を比較した。測定した結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
[試験2]
実施例1、2及び比較例1、2でそれぞれ得られた組成物について、シロップ(Brix10%)に0.1%賦香し、それぞれについて、官能評価専門パネル8人で、初発香気性、果汁感、後切れの良さについてどちらが好ましいか官能評価を行った。それぞれのサンプルについて好ましいとした人数を表2及び表3に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
[実施例3]
グレープフルーツ調合オイルA100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得たのち、120Mpaの条件下、微細化処理装置(アルティマイザー/スギノマシン社製)にて1回処理した乳濁剤組成物を得た。
【0031】
[実施例4]
グレープフルーツ調合オイルB100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得たのち、120Mpaの条件下、微細化処理装置(アルティマイザー/スギノマシン社製)にて1回処理した乳濁剤組成物を得た。
【0032】
[実施例5]
グレープフルーツ 50%テルペンレス オイル100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得たのち、120Mpaの条件下、微細化処理装置(アルティマイザー/スギノマシン社製)にて1回処理した乳濁剤組成物を得た。
【0033】
[比較例3]
グレープフルーツ調合オイルA100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得た。
【0034】
[比較例4]
グレープフルーツ調合オイルB100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得た。
【0035】
[比較例5]
グレープフルーツ 50%テルペンレス オイル100g(小川香料社製)とグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得た。
【0036】
[比較例6]
食物油脂(中鎖脂肪酸トリグリセライド/花王社製)100gとグリセリン脂肪酸エステル(グリスターMSW−7S/阪本薬品社製)75g、還元澱粉糖化物445g、水300g、エタノール80gを混合し、高速回転乳化機(TKホモミクサー/特殊機化社製)で8000〜10000×30分処理した乳化液を得た。
【0037】
[比較例7]
比較例6の乳化液を、120Mpaの条件下、微細化処理装置(アルティマイザー/スギノマシン社製)にて1回処理した乳濁剤組成物を得た。
【0038】
[試験3]
グラニュー糖100g、クエン酸1g、水939gが配合された1040gの柑橘系飲料を調製後、8本に分け、実施例3〜5及び比較例3〜7でそれぞれ得られた組成物を、0.1%添加し、70℃、20分間殺菌して容器詰柑橘系飲料を得た。この飲料を40℃の恒温槽に入れ、1日、3日、5日間の濁度変化を確認した。その結果を図2に示す。なお、図2では、イオン交換水=0.132NTUである。
【0039】
図2より、本発明の乳濁剤組成物はいずれも40℃恒温下で初期の濁度を保持した。また、比較例6と7において、油溶性香料を含まない乳化液は、高圧湿式微粒化処理の効果は認められず、どちらも経時安定性に違いは無かった。
【0040】
[試験4]
実施例3と比較例3を室温、恒温40℃、冷蔵5℃に8週間保管して目視評価による経時安定性評価を行った。その結果を表4に示す。作成した組成物において、微細化処理したものは、明らかに品質の劣化が抑制され、本発明の乳濁剤組成物の品質維持期間が延長された。即ち、比較例3のものは、冷蔵5℃保管では初期状態を8週間維持できたものの、室温保管では3週間しか初期状態を維持することができず、4週間目で結晶析出を起こした。また、恒温40℃保管では5週間しか初期状態を維持することができず、6週間目でオイルオフを起こした。これらに対し、実施例3のものは、室温保管、恒温40℃保管、冷蔵5℃保管のいずれにおいても8週間経過しても初期状態を維持しており、保管の温度条件に影響されることなく品質維持期間が延長されたことを確認できた。
【0041】
【表4】
【0042】
[試験5]
グラニュー糖100g、クエン酸1g、水939gが配合された1040gの柑橘系飲料を調製後、8本に分け、実施例3及び比較例3でそれぞれ得られた組成物を、0.1wt%添加し、70℃、20分間殺菌して容器詰め柑橘系飲料を得た。この飲料を30℃の恒温下で溶液安定性・分散性評価装置(タービスキャンLab/Formulaction社)で透過光の測定を行い、飲料上部の挙動変化率を測定した。その結果を図3に示す。上記測定機は、サスペンションやエマルションなどの分散系サンプルを濃厚状態のままでも内部の粒子の振る舞いを、短時間で特徴付けることができる。比較例3のものは時間の経過に伴って飲料上部の挙動変化率が増加したのに対し、実施例3のものは挙動変化率がほとんど変化しなかった。このため、ネックリングが起こっていないことが確認できた。また実際に状態を観察すると、室温6ヶ月の状態観察では、比較例3のものは上部にネックリングを起こし、実施例3のものでは、初期の状態を保っていた。この結果は図3の結果とも符合し、上記測定機を用いた比較的短時間の測定が有効なものであることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ロングライフで着香後の濁度変化が少なく、安定な風味と外観に優れ、かつ、嗜好性が高い乳濁剤組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に好適である微細化処理装置の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の乳濁剤組成物を添加した飲料の経時的濁度変化を示すグラフである。
【図3】本発明の乳濁剤組成物を添加した飲料の上部の経時的透過度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 高速流
2 ダイヤモンドノズル
3 衝突室
4 タンク
5 ポンプ
Claims (9)
- 油溶性香料と、乳化剤と、水及び/又は多価アルコールを含有する乳化香料を、衝突させたときの衝突エネルギーによって微細化処理したことを特徴とする乳濁剤組成物。
- 油溶性香料が、柑橘系精油を含有することを特徴とする請求項1記載の乳濁剤組成物。
- 乳化剤が、アラビアガム及び/又はHLB値が12乃至20であるグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳濁剤組成物。
- 多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、還元澱粉糖化物、水飴、ショ糖、オリゴ糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の乳濁剤組成物。
- 微細化処理は、乳化香料を加圧して発生させた2つ流れを対向衝突させるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の乳濁剤組成物。
- 微細化処理は、50〜250Mpaの圧力に乳化香料を加圧して衝突させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の乳濁剤組成物。
- 微細化処理は、70〜150Mpaの圧力に乳化香料を加圧して衝突させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の乳濁剤組成物。
- 微細化処理は、100〜150Mpaの圧力に乳化香料を加圧して衝突させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の乳濁剤組成物。
- 請求項1から8のいずれかに記載の乳濁剤組成物を、飲料に配合したことを特徴とする乳濁乃至微濁性飲料。
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