JP4869266B2 - コエンザイムq10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造方法 - Google Patents

コエンザイムq10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸性飲料、アルコール飲料などに対する乳化安定性が非常に良好で異味異臭が生成しない、コエンザイムQ10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造方法に関する。
コエンザイムQ10は1957年にウシ心筋のミトコンドリアから単離された電子伝達体の1つで高等動物において補酵素としての役割があり、ビタミンEのような抗酸化性をも有している。食品では魚介類、畜肉類中、次いでオリーブオイル、ブロッコリーなどに1〜数mg/100g程度含まれているとともにヒトの体内でも生産されるが、加齢とともにその量が減少することが知られている。古くより医薬品として軽度及び中程度のうっ血性心不全などの症状改善を目的とする代謝性強心薬等に使用されてきた。その後の研究が進み、発ガン作用、老化防止作用、血中LDL酸化抑制、血圧上昇抑制などに関し数多くの報告がなされている。また、近年、いわゆる食薬区分の見直しが行われた結果、使用が緩和されて食品への利用が可能となり、大いに期待されている素材でもある。
コエンザイムQ10はユビキノン、ユビデカレノン、ユビキノール−10、さらに一般的名称としてビタミンQとも呼ばれる物質である。融点約48℃で黄色〜橙色の結晶性粉末で匂い、味はほとんどない。水、アルコールに溶けにくく、エーテルに溶けやすいが、油に対する溶解性はエーテルほどではなく、光によって分解し、着色が強くなる性質を有している。したがって、これまでは固形物、即ち、カプセル剤、軟カプセル剤、錠剤等の形態でコエンザイムQ10を含有する栄養補助食品での利用に限られていた。飲料に添加し、摂取することが出来れば、利便性が高まり、摂取の機会および量を増やす結果となり、消費者による利用が大いに進むと考えられる。
これまでもコエンザイムQ10を飲料に添加するためのいくつかの提案が行われている。コエンザイムQ10を乳化し飲料に添加する場合、ビタミンC、ゼラチンなどが存在すると乳化安定性が悪くなるのを防ぐためにクエン酸、リンゴ酸を共存させる提案(特許文献1)、光劣化防止のためにカロチノイドとアスコルビン酸を添加する提案(特許文献2)、コエンザイムQ10による基剤臭及び保存による劣化臭を抑制するために特定の条件を満たす香料を添加する提案(特許文献3)、コエンザイムQ10の乳化液を0.3〜20%含有する飲料の安定化のために糖アルコールあるいは有機酸を添加する提案(特許文献4)、乳化剤を用いず、ジェランガムなどの増粘剤を添加してコエンザイムQ10を飲料中に均一に分散を行う提案(特許文献5)などである。
また、乳化剤の種類および乳化の条件を検討し乳化安定性を改善する提案として、5〜30%重量部の脂溶性物質、5〜30%重量部の乳化剤、30〜85%の多価アルコール及び水を攪拌混合後、高圧ホモ処理し実質的に油脂を含まない脂溶性物質水性液剤(特許文献6)、難水溶性、高結晶性により乳化が困難なコエンザイムQ10を油相成分、多価アルコール及び乳化剤を用いて乳化した組成物(特許文献7)、アラビアガム、ゼラチンなどの乳化剤を用いてコエンザイムQ10を分散させる際に粒子径を800nm以下とする提案(特許文献8)、コエンザイムQ10をN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジエステル系の油剤に溶解して平均粒径200nm以下の乳化物とした乳化型化粧料の提案(特許文献9)、耐アルコール性、耐酸性、耐塩性を目的としてポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、非水溶性の物質、水または多価アルコールを可溶化または乳化する提案(特許文献10)、平均重合度が10のポリグリセリンとステアリン酸、オレイン酸またはリノール酸のモノエステルと平均重合度が3〜6のポリグリセリンとステアリン酸、オレイン酸またはリノール酸のモノ、ジまたはトリエステルを併用して平均粒子径が110nm以下に調整した水溶性組成物の提案(特許文献11)、ユビデカレノンをHLB6以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとHLBが8以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用して可溶化したユビデカレノン製剤の提案(特許文献12)、ポリグリセリンモノミリステート、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを併用してコエンザイムQ10を乳化する提案(特許文献13)、ポリグリセリンの水酸基価が1200以下であり、かつ全ての1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと脂肪酸がエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてコエンザイムQ10を乳化する提案(特許文献14)、コエンザイムQ10、中鎖脂肪酸モノグリセリド及びHLB5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するコエンザイムQ10含有飲食品の提案(特許文献15)などである。
特許第3406911号公報 特開2005−263700号公報 特開2007−70269号公報 特開2004−16011号公報 特開2006−254871公報 特許3880265号公報 特開2003−238396号公報 特開2003−300870号公報 特開2007−153866号公報 特開2003−284510号公報 特許3833648号公報 特開2004−261005号公報 特開2007−131619号公報 特開2007−209251号公報 特開2007−302585号公報
しかしながら、従来の提案では飲料に添加した直後、あるいは保存後のコエンザイムQ10の乳化物の安定性は必ずしも満足できるものではなく、あるいは乳化直後、または保存後に生成する異味異臭が結局飲料の嗜好性を損ねるなどの問題があり、さらに乳化安定性が良く、保存後の香気香味の変化のない乳化物が求められていた。
したがって、本発明の目的は、乳化安定性が高く、かつ飲料の味に影響を与えないコエンザイムQ10乳化組成物を提供することである。
本発明者らはコエンザイムQ10の乳化安定性をを改善すべく鋭意検討したところ、コエンザイムQ10を油脂類に溶解後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(以下、SAIBと呼ぶ)を添加して比重調整し、これとは別に用意した精製ポリグリセリン脂肪酸エステルと50%以下の多価アルコールの混合溶液中に徐々に添加して、乳化することにより、酸性飲料、アルコール飲料などの飲料に対する乳化安定性が高く、保存後も香気香味の変化のない良好な乳化物が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
かくして本発明はコエンザイムQ10を中鎖脂肪酸トリグリセライドに溶解した後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレートを添加して比重調整を行い、比重調整油相部を調製し、これとは別に用意した、精製デカグリセリンステアレートおよび/または精製デカグリセリンオレエート(ただし、ポリグリセリン脂肪酸エステルを極性溶媒の混合液に溶解させ、該溶液に非極性溶媒を加え、高次エステルを非極性溶媒に溶解して除去し、エステル化度2未満とする工程、及び、ポリグリセリン脂肪酸エステルを水非混和性溶媒に溶解させ、該溶液に水又は飽和食塩水を加え、未反応のポリグリセリンを水相に溶解して除去し、ポリグリセリンを5重量%未満とする工程を経て得られるものに限る)と含水率50重量%以下のグリセリンを混合し、90〜95℃で加熱殺菌後、冷却した混合溶液を攪拌しながら、前記比重調整油相部を徐々に添加して、乳化処理を行い、乳化粒子が平均粒径0.1μm未満となるまで乳化する飲料配合用乳化組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によればコエンザイムQ10を油脂類に溶解後、精製ポリグリセリン脂肪酸エステル、含水率50%以下の多価アルコールの混合溶液に加えて乳化することにより、酸性飲料、アルコール飲料などの飲料に対する乳化安定性が良好な乳化物を得ることができる。
また、コエンザイムQ10を油脂類に溶解後、精製ポリグリセリン脂肪酸エステルと含水率50%以下の多価アルコールの混合溶液に加えて乳化し、乳化粒子が平均粒径約0.1μm未満となるまで乳化することにより、酸性飲料、アルコール飲料などの飲料に対する乳化安定性が良好な耐アルコール性透明乳化組成物を得ることができる。これらの乳化組成物は製造直後、飲料添加時、保存後の異味異臭がなく、広い範囲での利用が見込まれる。
本発明で使用することのできるコエンザイムQ10はユビキノン、ユビデカレノン、ユビキノール−10、さらに一般的名称であるビタミンQと呼ばれる物質であり、天然、合成を問わず、食品に使用できる品質であれば純度、規格等は問わないが、純度98%以上の高純度品が香気、香味がほとんどなく、不純物に起因する沈殿の生成も少ないことから望ましい。市販品としてはカネカ・コエンザイムQ10(カネカ社製)、コエンザイムQ10(旭化成社製)、BioQ10(登録商標、三菱瓦斯化学社製)、Co−10協和(登録商標、協和発酵工業社製)などを挙げることができる。
乳化組成物全体に対するコエンザイムQ10の量は0.2〜15重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲内の濃度とする。コエンザイムQ10の量が15重量%を超えると溶解させるための油脂の量が増えるとともに、得られる乳化組成物の粘性が非常に高くなり飲料中に混合、溶解する際に扱いにくくなること、および低温時にコエンザイムQ10の結晶が生成しやすくなるので好ましくない。
次に本発明で使用することのできる油脂類としては、例えば、大豆油、ゴマ油、コーン油、菜種油、米糠油、綿実油、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、パーム油、サフラワー油、小麦胚芽油、ヤシ油、ヒマワリ油、ツバキ油、ココア脂、魚油、牛脂、豚脂、バターなどの動植物油脂類及びそれらの硬化油類、中鎖脂肪酸トリグリセライド(以下、MCTと称する)などを挙げることができる。特に中鎖脂肪酸トリグリセリドは無味無臭で熱、光に安定でコエンザイムQ10の溶解性が良好で乳化組成物の乳化安定性にも優れており、好ましい。かかるMCTとしては、例えば、カプロン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド、及びこれらの任意の混合物である炭素原子数6〜12の中鎖飽和脂肪酸のトリグリセリドを挙げることができる。殊にカプリル酸トリグリセリド及びカプリン酸トリグリセリド及びこれらの
任意の混合物を好ましく挙げることができる。例えば、ココナードML、ココナードMT(登録商標、花王社製)、スコレーML(登録商標、日清オイリオ社製)などを安価かつ容易に入手することができる。
次にコエンザイムQ10を油脂類に溶解する場合の割合であるが、コエンザイムQ10を溶解できる程度の油脂を使用すればよいが、コエンザイムQ10の量に対して0.5〜20倍量、好ましくは1〜10倍量、より好ましくは2〜5倍量の範囲を挙げることが出来る。
本発明で使用することのできる精製ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特開2007−116930に詳細に記載されている精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することができる。すなわち、市販のポリグリセリン脂肪酸エステルを精製し、エステル化度を低下させたもの、またはエステル化度を低下させた後にポリグリセリンの含有率をも低下させたものである。特にエステル化度が2.5未満、好ましくは2.3未満、さらに好ましくは2未満である精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。さらにはエステル化度がこれらの範囲内にあり、かつポリグリセリンの含有率が5重量%未満、好ましくは1重量%未満とした精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。精製に供するポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、SYグリスター(阪本薬品工業社製)、NIKKOL Decaglyn 1−SV、NIKKOL Decaglyn 1−OV(日光ケミカルズ社製)、リョートーポリグリエステル(登録商標、三菱化学フーズ社製)、ポエム J−0081HV、ポエムJ−0381V(登録商標、理研ビタミン社製)などを挙げることができる。
精製方法に関してさらに詳しく説明する。市販のポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレエート、デカグリセリンミリステートなどが挙げられ、これらはグリセリンを縮重合して得られるポリグリセリンと種々の脂肪酸を反応して得られたものである。得られたポリグリセリン脂肪酸エステル中には重合度の異なるもの、及びポリグリセリンに結合する脂肪酸の結合数の異なるエステルが存在する。結合する脂肪酸が2以上のエステルを高次エステルと呼ぶが高次エステルが増えるとポリグリセリン脂肪酸エステルの親水性は低下し、これを用いて調製した乳化組成物の酸性飲料中での安定性は低下することが知られている。エステル化度はエステル中にいくつの脂肪酸が結合しているかを示す指標であり、この値が大きいほど高次エステルの割合が高いことを示している。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル中にはさらに未反応のポリグリセリンが混在している。未反応のポリグリセリンは乳化機能に関与していない。高次エステルおよび未反応のポリグリセリンは酸性飲料中での乳化組成物の安定性に「負」に働く要因である。そこで特開2007−116930に詳細に記載されている方法、すなわち、高次エステルがヘキサンなどの非極性溶媒に溶解しやすく、ポリグリセリンが極性溶媒に溶解しやすい性質を利用して、高次エステル、未反応のポリグリセリンを除去したものが精製ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
さらに具体的には、市販のポリグリセリン脂肪酸エステルを精製水−メタノールなどの極性溶媒(10:90、容量比)の混合溶媒に溶解させ、そこにn−ヘキサンなどの非極性溶媒を加え40℃で1時間攪拌し、20℃まで冷却後、同温度で静置し、分離してきたヘキサン相を除去する。得られた水−メタノール相にn−ヘキサンを加えて同様の操作をさらに3回行い、高次エステル化物をn−ヘキサン相へ抽出することで除去する。得られた水−メタノール相の溶媒を留去して精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを得る。高次エステル化物除去の確認は、薄層クロマトグラフィーを用いて行った。(展開溶媒/クロロホルム:メタノール=95:5(容量比)、検出/リンモリブデン酸10%メタノール溶液を噴霧し、100℃で5分間加熱処理し高次エステル化物相当スポットの有無を確認)。
かくして得られた精製ポリグリセリン脂肪酸エステルをイソブタノールなどの水非混和性溶媒へ40℃で溶解させ、そこに飽和食塩水を加えて85℃で1時間攪拌し、同温度で静置した後、分離してきた水相を除去する。この操作を2回、さらに飽和食塩水を精製水に換えて同様の操作を1回行い、未反応ポリオールを水相へ抽出することで除去する。分離したイソブタノール相は無水硫酸ナトリウムで脱水した後に、溶媒を留去することにより、残存するポリグリセリンの含有量が低下された精製ポリグリセリン脂肪酸エステルが得られる。未反応ポリオール除去の確認は、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒/アセトン:精製水=75:25(容量比)、検出/リンモリブデン酸10%メタノール溶液を噴霧し100℃で5分間加熱処理し相当スポットの有無を確認)で行った。
また、上記精製において使用される極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの溶媒およびこれら二種以上の混合物が例示される。
また、水非混和性溶媒としては、イソブタノールの他に、ブタノール、イソアミルアルコール、アミルアルコール、ヘキサノールなどの水不溶性飽和脂肪族アルコールが例示される。
また、非極性溶媒としては、n−ヘキサンの他に、n−ペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン等の常温で液体の飽和脂肪族炭化水素類、及びシクロヘキサン、シクロペンタン等の常温で液体の脂環式炭化水素類が例示される。
本発明において、エステル化度及び未反応ポリグリセリンの測定は次のようにして行った。
実測エステル化率(%)=(SV−AV)/[OHV1+(SV−AV)−(PGL×0.01×OHV2)]×100(式1)
エステル化度=実測エステル化率(%)/ポリグリセリンモノエステル理論エステル化率(%)(式2)
AV=酸価、SV=ケン化価、OHV1=実測水酸基価、OHV2=ポリグリセリン水酸基価理論値、PGL=未反応の残存ポリグリセリン含有率。
未反応の残存ポリグリセリンの測定法は下記条件の下でHPLCを実施し、蒸発光散乱検出器を用いて溶出するポリグリセリンを定量した。
(HPLC条件)
装置:液体クロマトグラフィー8020(東ソー社製)
使用カラム:CAPCELL PAK G18MG、4.6mmI.D.×150mm(資生堂社製)
検出器:蒸発光散乱検出器(ELSD2000、Alltech社製)
溶離液:水:メタノール=3:7、溶出速度:1.0ml/min、注入量:10μl
カラム温度: 50℃
精製ポリグリセリン脂肪酸エステルの量はコエンザイムQ10と油脂類の合計重量の0.05〜0.6倍量、好ましくは0.1〜0.4倍量が望ましい。
本発明で使用することのできる多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、澱粉分解還元物、グルコース、蔗糖、マルトースなどの糖類およびこれらの二種以上の混合物を挙げることができる。このうち、グリセリンが好適である。
多価アルコールの含水率は50重量%以下、好ましくは10〜30重量%の範囲内の濃度とすることが望ましい。水の量が50重量%を超えると乳化安定性が悪くなり、リングや油浮きが発生しやすくなるなどの影響が出る。含水多価アルコールの量はコエンザイムQ10、油脂類、精製ポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量を乳化組成物全体の量から差し引いた残量とするが、30〜90重量%の範囲内の濃度、好ましくは50〜75重量%の範囲内の濃度を例示することができる。
また、精製ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を使用しても良く、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、化工澱粉などを挙げることができる。
本発明で使用するSAIBは、コエンザイムQ10、油脂類、SAIBの混合物を添加しようとする飲料の比重に合わせ(比重調整油相部)、コエンザイムQ10等の成分の分離、沈殿の生成がなく、良好な乳化状態が保つことを目的として添加するものであるが比重が約1.14程度の市販品として入手することができる。
また、本発明の乳化組成物には所望により、各種ビタミン類、色素類、香料、抗酸化剤等の食品に使用可能な成分を添加しても良い。
各種ビタミン類の具体例としては、例えば、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンD3、ビタミンB2酪酸エステル、天然ビタミンE混合物などの油溶性ビタミン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、チアミン塩酸塩、リボフラビンなどの水溶性ビタミン類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
色素類の具体例としては、β-カロチン、アスタキサンチン、トウガラシ色素、トマト色素、パーム油カロテン、マリーゴールド色素などの油溶性色素類;アナトー色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、コチニール色素、ビートレッド、ブドウ果皮色素、ベニバナ黄色素、ベニコウジ色素、ムラサキイモ色素、カカオ色素、ルチンなどの水溶性色素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
香料の具体例としては、例えば、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油およびベルガモット油などのごとき公知の柑橘精油類;ペパ−ミント油、スペアミント油、シンナモン油などのごとき精油類;オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、クミン、ディル、ガーリック、ジンジャー、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ブラックペパー、ナッツメグ、サフラン、ローズマリー等のスパイス類の精油またはオレオレジン類;さらにリモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、l−メントール、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、バニリン、γ−ウンデカラクトン、l−カルボン、マルトール、フルフリルメルカプタン、プロピオン酸エチル、カプロン酸アリル、メチル−n−アミルケトン、ジアセチル、酢酸、酪酸等の公知のフレーバー物質;着香油(反応フレ−バ−);及びこれらの天然精油、オレオレジン及び香料化合物等を任意に組み合わせて混合した調合香料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
抗酸化剤の具体例としては、トコフェロール、アスコルビルステアレート、アスコルビン酸、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、生コーヒー豆抽出物、茶抽出物、BHA、BHT等の任意の抗酸化剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の乳化組成物の調製法の好ましい一実施態様を例示すれば以下の通りである。まず、コエンザイムQ10を1重量部およびMCT2重量部を混合し、攪拌、溶解することによりコエンザイムQ10を溶解させ、さらに比重調整のためのSAIBの4重量部を混合、溶解して比重調整油相部とする。かくして得られた比重調整油相部を精製デカグリセリンモノオレエート1重量部、グリセリン12重量部および水3重量部の混合溶液に徐々に添加して、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を用いる通常の乳化処理により、平均粒径0.1〜0.5μmの微細かつ均質で安定性の優れた乳化組成物を得ることができる。上記の実施態様で、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化粒子を含む乳化組成物を飲料に添加した際には、飲料に適度な濁度を与え、商品価値を高める。
なお、乳化粒子の平均粒径の測定は、一般的に動的光散乱粒度分布計、レーザー回折の二通りの測定法が行われているが、動的光散乱粒度分布計は1μm以下の微粒子の測定にも適しており、本発明で測定に用いた。
本発明によれば、上記の如くして得られる組成物を、飲料、例えば、茶類飲料、スポーツ飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料、酒類などに、例えば、0.02〜2重量%配合することにより、長期間安定で、かつコエンザイムQ10の有する老化防止作用、血中LDL酸化抑制効果、血圧上昇抑制効果、あるいは美容、健康等へのその他効果が期待できる保健、健康飲料が得られる。
あるいは本発明の別の実施態様を例示すれば以下の通りである。まず、コエンザイムQ10を1重量部およびMCT2重量部を混合し、攪拌、溶解することによりコエンザイムQ10を溶解させ、油相部とする。かくして得られた油相部を精製デカグリセリンモノオレエート1重量部、グリセリン12重量部および水3重量部の混合溶液に徐々に添加して、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を用いる通常の乳化処理により、平均粒径0.1μm未満の極めて微細かつ均質で安定性の優れた透明乳化組成物を得ることができる。上記の実施態様では、平均粒径0.1μm未満の乳化粒子が得られるため、比重調整を行わなくても飲料に添加した際に安定で良好な分散状態を保つことが出来るとともに、かつ、この範囲内の粒径ならば、飲料に添加した際にその外観が透明となる。
本発明によれば、上記の如くして得られる透明乳化組成物を、飲料、例えば、透明飲料、透明なアルコール飲料などに、例えば、0.02〜2重量%配合することにより、長期間安定な、コエンザイムQ10含有透明飲料が得られる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
精製例1 デカグリンモノステアレートの精製工程<高次エステルの除去および未反応ポリグリセリンの除去>
未精製のデカグリンモノステアレート(商品名:Decaglyn1−SVF/日光ケミカルズ、エステル化度2.7、ポリオール残存率39.4%→ 以下、未精製DSEと呼ぶ)80gを720mlのメタノールに溶解する。溶解後にn−ヘキサン800mlを添加して40〜45℃で1時間攪拌する。その後、精製水80mlを加え、攪拌しながら20〜25℃程度まで冷却し静置する。直ちに液は2層に分離し、上層のn−ヘキサンは除去し、下層と同量のn−ヘキサンを新たに加えて同様の工程を再度行う。薄層クロマトグラフィーで高次エステルの除去を確認し(展開溶媒/クロロホルム:メタノール=95:5(容量比)、検出/リンモリブデン酸5%メタノール溶液を噴霧し、100℃で5分間加熱処理し高次エステル化物相当スポットの有無を確認)、結果により精製3回目を実施する。高次エステルの除去が確認できたら、エバポレーターで70℃、3hrの濃縮を行い、61.0gの精製DSE1を回収した(エステル化度1.7、ポリオール残存率51.6%)。
この半量30.5gを取り、さらに未反応のポリグリセリンを除去するためにイソブタノール250mlに60℃で溶解する。溶解したDSE−イソブタノール相に予め50℃に温めておいた25%(W/V)食塩水500mlを添加し80℃で1時間攪拌する。80℃で静置し、上下ともに均一透明になったら下層を除去する。さらに、同様の工程を10%食塩水でも行い、静置後に下層を除去する。その後、約50℃の精製水を添加後、80℃で30分攪拌した後に80℃で静置し、上下ともに均一透明になったら下層を除去する。こうして得られた上層は未反応ポリグリセリンの除去がされていることを、薄層クロマトグラフィーを用いて確認する(展開溶媒/アセトン:精製水=75:25(容量比)、検出/リンモリブデン酸5%メタノール溶液を噴霧し100℃で5分間加熱処理し相当スポットの有無を確認)。除去が確認できたら、エバポレーターで70℃、3hrの濃縮を行い14.8gの精製DSE2を回収した(エステル化度1.7、ポリオール残存率0.1%)。
精製例2 デカグリンモノオレエートの精製工程<高次エステルの除去および未反応ポリグリセリンの除去>
未精製のデカグリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1−OLV/日光ケミカルズ、エステル化度2.5、ポリオール残存率39.9%→ 以下、未精製DOEと呼ぶ)80gを720mlのメタノールに溶解する。溶解後にn−ヘキサン800mlを添加して40〜45℃で1時間攪拌する。その後、精製水80mlを加え、攪拌しながら20〜25℃程度まで冷却し静置する。直ちに液は2層に分離し、上層のn−ヘキサンは除去し、下層と同量のn-ヘキサンを新たに加えて同様の工程を再度行う。薄層クロマトグラフィーで高次エステルの除去を確認し(展開溶媒/クロロホルム:メタノール=95:5(容量比)、検出/リンモリブデン酸5%メタノール溶液を噴霧し、100℃で5分間加熱処理し高次エステル化物相当スポットの有無を確認)、結果により精製3回目を実施する。高次エステルの除去が確認できたら、エバポレーターで70℃、3hrの濃縮を行い、60.9gの精製DOE1を回収した(エステル化度1.8、ポリオール残存率52.4%)。
この半量30.5gを取り、さらに未反応のポリグリセリンを除去するためにイソブタノール250mlに60℃で溶解する。溶解したDOE−イソブタノール相に予め50℃に温めておいた25%(W/V)食塩水500mlを添加し80℃で1時間攪拌する。80℃で静置し、上下ともに均一透明になったら下層を除去する。さらに、同様の工程を10%食塩水でも行い、静置後に下層を除去する。その後、約50℃の精製水を添加後、80℃で30分攪拌した後に80℃で静置し、上下ともに均一透明になったら下層を除去する。こうして得られた上層は未反応ポリグリセリンの除去がされていることを、薄層クロマトグラフィーを用いて確認する(展開溶媒/アセトン:精製水=75:25(容量比)、検出/リンモリブデン酸5%メタノール溶液を噴霧し100℃で5分間加熱処理し相当スポットの有無を確認)。除去が確認できたら、エバポレーターで70℃、3hrの濃縮を行い14.5gの精製DOE2を回収した(エステル化度1.8、ポリオール残存率0.1%)。
乳濁した飲料用乳化組成物の調製−実施例1〜8、比較例1〜4
実施例1
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DSE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品1)970gを得た。
なお、乳化粒子の平均粒径の測定は、動的光散乱粒度分布計(ELS−8000、大塚電子社製)を用いて行った。
実施例2
市販のコエンザイムQ10の20gにMCT110g、SAIB70gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DSE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品2)972gを得た。
実施例3
市販のコエンザイムQ10の100gにMCT100g、SAIB100gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン500g、精製DSE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品3)970gを得た。
実施例4
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン625g、精製DSE2を25gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品4)972gを得た。
実施例5
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DOE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品5)969gを得た。
実施例6
市販のコエンザイムQ10の20gにMCT110g、SAIB70gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DOE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品6)971gを得た。
実施例7
市販のコエンザイムQ10を100gにMCT100g、SAIB100gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン500g、精製DOE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品7)974gを得た。
実施例8
市販のコエンザイムQ10を50gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。水相部としてグリセリン625g、精製DOE2を25gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(発明品8)970gを得た。
比較例1
実施例1の精製DSE1を未精製DSEに代えるほかは実施例1と同様な手順で乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(比較品1)968gを得た。
比較例2
実施例5の精製DOE1を未精製DOEに代えるほかは実施例5と同様な手順で乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(比較例2)969gを得た。
比較例3
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100g、SAIB50gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。一方、市販アラビアガムを35重量%となるように水に溶解させ、95〜98℃で15分間加熱殺菌後、40℃まで冷却して得たアラビアガム水溶液600gをTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、さらにグリセリン200gを加え、攪拌混合後に高圧ホモジナイザーによる乳化処理を行い、平均粒径0.5〜0.5μmの乳化物(比較品3)960gを得た。
比較例4
市販のコエンザイムQ10の20gにMCT110g、SAIB70gを加え、溶解させ、比重調整油相部とした。一方、市販アラビアガムを35重量%となるように水に溶解させ、90℃達温殺菌後、40℃まで冷却して得たアラビアガム水溶液600gをTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、比重調整油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、さらにグリセリン200gを加え、攪拌混合後に高圧ホモジナイザーによる乳化処理を行い、平均粒径0.1〜0.5μmの乳化物(比較品4)959gを得た。
〔乳化組成物の評価〕
発明品1〜8および比較品1〜4の乳化物について下記の方法で乳化直後の乳化状態、酸性飲料中での安定性およびその香味、高アルコールシロップ中での安定性を調べ、表1にまとめた。
乳化直後の乳化状態の確認
目視による外観観察および光学顕微鏡を用いた粒子の観察により乳化状態を確認した。〔酸性飲料中での安定性および香味の確認〕
屈折糖度計による糖度がブリックス6゜、pH3.5の飲料基材(グラニュー糖60g、クエン酸1.5g、クエン酸ナトリウム0.5g、ビタミンC0.2gを水に溶解させ1Lとしたもの、比重1.0249)1Lに発明品1〜8または比較品1〜4をそれぞれ1g添加し、98℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し、500mlのペットボトルにホットパックし飲料試料とした。飲料試料の外観等を観察するとともにその香味についての官能評価を行い、異味異臭の有無等を確認した。また、飲料試料の35℃1ヶ月保存後の状態観察および香味の官能評価を行った。
高アルコールシロップ中での安定性の確認
99%アルコール240.0ml、ショ糖180.0g、クエン酸6.0g、クエン酸ナトリウム1.2gに水を加えて全体を1000mlとすることによりアルコール24%シロップ(アルコール濃度約24%V/V)を調製した。アルコール濃度約24%はチューハイなどのアルコール飲料の飲用時のアルコール濃度6%に対し、その4倍の高アルコールシロップであり、この濃度でも乳化物が安定であることは製造上、非常に有利である。上記シロップに対して発明品1〜8および比較品1〜4をそれぞれ0.8%W/V添加して調製した乳化物を混合溶液とした。混合溶液の24時間後の状態を光学顕微鏡を用いて観察し、乳化粒子の状態から安定性を評価した。
Figure 0004869266
表1において発明品1〜3は精製DSE1を乳化剤として用い、コエンザイムQ10の量を変えた場合であるが、コエンザイムQ10の量が5重量%、2重量%である発明品1および2は乳化状態、酸性飲料中および高アルコールシロップ中での安定性はいずれも良好であり、酸性飲料添加時の香味も異味異臭がなく、良好であった。さらに酸性飲料添加後、35℃1ヶ月保存した試料でも乳化状態に変化はなく、異味異臭がないという結果であった。また、コエンザイムQ10の量を10重量%とした発明品3は酸性飲料添加時およびその35℃1ヶ月保存後にやや透過率(%T)が低く、高アルコールシロップ中での安定性が発明品1および2には若干劣ったが実用的には問題ない範囲であった。また、精製DSE1からポリグリセリンを除去した精製DSE2を半量の2.5重量%添加した発明品4は発明品1と同程度の良好な結果が得られた。
また、精製DSE1、精製DSE2をそれぞれ、精製DOE1、精製DOE2に代えた発明品5〜8でも対応する精製DSEの場合と同様な結果が得られ、乳化状態、安定性が良好で異味異臭の生成もなかった。
これに対して未精製のDSE、DOEを添加した比較品1および2は乳化直後の乳化状態こそ良好であったが、酸性飲料、高アルコールシロップ中での安定性は精製品に比べ劣り、酸性飲料添加時にやや違和感のある香味が感じられた。さらに、酸性飲料添加後、35℃1ヶ月保存した試料では、透過率(%T)が低い、リング浮きなどが生ずるなど、保存安定性に大いに問題があり、飲料として使用するにはかなりの改良が必要と判定された。また、35%アラビアガム水溶液を使用した比較品3および4は酸性飲料添加時の香味は良好であったが、乳化直後の乳化状態は不良か〜やや劣るであり、酸性飲料中での安定性は不良〜やや劣るであり、高アルコールシロップ中での安定性が不良という結果であり、発明品1〜8に比べるとかなり評価が劣っていた。さらに、酸性飲料添加後、35℃1ヶ月保存した試料では透過率(%T)の著しい低下、リング浮きなどが生ずるなど、保存安定性は比較品1および2よりさらに悪いという結果であった。
以上総合すると、本発明の精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いたコエンザイムQ10の乳化物は通常のポリグリセリン脂肪酸エステル、あるいは香料の乳化に良く使用されるアラビアガムを用いる場合に比べ、乳化安定性が著しく良好であるとともに、飲料添加後の異味異臭を生じないことが確認された。
透明乳化物の調製−実施例9〜12、比較例5および6
実施例9
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100gを加え、溶解させ、油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DSE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1μm未満の透明乳化物(発明品9)940gを得た。
実施例10
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100gを加え、溶解させ、油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DSE2を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1μm未満の透明乳化物(発明品10)980gを得た。
実施例11
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100gを加え、溶解させ、油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DOE1を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1μm未満の透明乳化物(発明品11)977gを得た。
実施例12
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100gを加え、溶解させ、油相部とした。水相部としてグリセリン600g、精製DOE2を50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1μm未満の透明乳化物(発明品12)980gを得た。
比較例5
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100gを加え、溶解させ、油相部とした。水相部としてグリセリン600g、未精製DSEを50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1μm未満の透明乳化物(比較品5)978gを得た。
比較例6
市販のコエンザイムQ10の50gにMCT100gを加え、溶解させ、油相部とした。水相部としてグリセリン600g、未精製DOEを50gおよび精製水150gを加え、溶解後、90〜95℃で15分間加熱殺菌後40℃に冷却した。次に得られた水相部をTK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて攪拌しながら、油相部を徐々に加え、乳化処理を行い、平均粒径0.1μm未満の透明乳化物(比較品6)979gを得た。
〔透明乳化物のアルコールシロップに対する安定性〕
発明品9〜12および比較品5および6を以下の手順でアルコールシロップと混合し、その安定性を調べた。
アルコールシロップの調製
(1)シロップA(アルコール濃度0%V/V)
ショ糖 45.0g
クエン酸 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.3g
水 残量
合 計 1000ml
(2)シロップB(アルコール濃度6%V/V)
アルコール 60.0ml
ショ糖 45.0g
クエン酸 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.3g
水 残量
合 計 1000ml
(3)シロップC(アルコール濃度24%V/V)
アルコール 240.0ml
ショ糖 180.0g
クエン酸 6.0g
クエン酸ナトリウム 1.2g
水 残量
合 計 1000ml
透明乳化物の各シロップとの混合及び評価
発明品9〜12及び比較品5〜6を下記処方に従い、シロップA、シロップB及びシロップCに対してそれぞれ0.1%W/V、0.1%W/Vおよび0.4%W/V添加して混合溶液を作成した。上記混合溶液の調整直後及び24時間後の外観観察、吸光度測定を行った。結果を表2に示す。吸光度の測定は乳化物を希釈せず、そのままの濃度で測定波長680nmにおける吸光度を測定した。
Figure 0004869266
表2に示したように本発明品9〜12をシロップA、B、Cと混合したいずれの場合も調整直後および24時間後の外観が透明であるとともに、吸光度も0.001〜0.003の範囲内で低かった。すなわち、アルコール濃度が0%、6%の場合はもちろん、24%と高い場合でも透明乳化物の乳化状態が壊れることはなく、非常に安定であることが確認された。
これに対し、比較品5、6をシロップA、Bと混合した場合は調整直後および24時間後の外観は透明であり、吸光度も0.001〜0.002の範囲内であったが、シロップCと混合した場合には、調整直後でもその外観がやや白濁しており、吸光度は0.027および0.037であり、本発明品9〜12と比べて高かった。また、24時間後には比較品5、6の外観はともに白濁へと変化、吸光度も0.145、0.216とさらに高くなった。すなわち、アルコール濃度が24%と高い場合には透明乳化物の安定性が悪いことが確認された。
結論として透明乳化物を調製する場合でも、本発明の精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる乳化方法は未精製のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる方法に比べ、乳化状態が安定であり、特にアルコール濃度が24%と高い場合にその差が顕著であることが確認された。

Claims (1)

  1. コエンザイムQ10を中鎖脂肪酸トリグリセライドに溶解した後、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレートを添加して比重調整を行い、比重調整油相部を調製し、これとは別に用意した、精製デカグリセリンステアレートおよび/または精製デカグリセリンオレエート(ただし、ポリグリセリン脂肪酸エステルを極性溶媒の混合液に溶解させ、該溶液に非極性溶媒を加え、高次エステルを非極性溶媒に溶解して除去し、エステル化度2未満とする工程、及び、ポリグリセリン脂肪酸エステルを水非混和性溶媒に溶解させ、該溶液に水又は飽和食塩水を加え、未反応のポリグリセリンを水相に溶解して除去し、ポリグリセリンを5重量%未満とする工程を経て得られるものに限る)と含水率50重量%以下のグリセリンを混合し、90〜95℃で加熱殺菌後、冷却した混合溶液を攪拌しながら、前記比重調整油相部を徐々に添加して、乳化処理を行い、乳化粒子が平均粒径0.1μm未満となるまで乳化することを特徴とする飲料配合用乳化組成物の製造方法。
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