JP5328140B2 - 組成物 - Google Patents
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Description
また、結晶性が高く水に溶け難い薬剤を飲料に配合する際にも、あらかじめ薬剤を植物性油脂や中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解して利用している。
SAIBは、酢酸及びイソ酪酸が約2:6の比でエステル結合したショ糖であり、わずかな黄色と酢酸臭を有し、25℃における比重は1.146と大きく、比重調整剤として使用される。また、20℃における屈折率が1.4541であり、25℃における水の屈折率1.3301と比較して大きく、水溶液に適度な混濁を与え、飲料の見た目の美味しさを引き出すことができるので、良好な混濁剤としても使用される(非特許文献2参照)。
これに対し、SAIBは、室温において約20000Pa・sという非常に高い粘度を有するため、ハンドリングが悪く、純粋な形で使用することが困難である。そのため、使用に当たっては、(1)60℃以上の高温に加熱して流動性を得る、(2)エタノールを添加して流動性を得る、(3)テルペン油を添加して流動性を得る等の手段が必要である。
しかし、中鎖脂肪酸トリグリセリドと活性剤とを併用する場合には、該活性剤中の水酸基が苦味等の呈味の原因となり、経口用途、特に飲食品用途において、風味に悪影響を与える恐れがあるという問題点があった。
また、SAIBを使用する場合、例えば(1)については、通常、香料が容易に揮発する性質を有することを考慮すると、60℃以上に加熱したSAIBへの香料の混合は非常に困難である。また、αリポ酸等の高温で変質し易い薬剤を溶解するのにも不向きである。(2)については、非アルコール系飲料での使用には不向きである。(3)については、テルペン油が酸化され易いことに加え、強い芳香を有するために、系統の違う香料を使用する場合には利用できない。このように、SAIBの使用時には種々の問題点があった。
さらに、SAIB、香料、水及び乳化剤を混合して得られた乳化香料製剤を使用する場合には、SAIBが沈殿することがある。このため、中鎖脂肪酸トリグリセリドを用いてSAIBに流動性を与え、沈殿が起こり難いようにする必要がある。
本発明の第1の発明は、難溶解性薬剤と、前記難溶解性薬剤の溶解剤と、が配合された組成物であって、前記難溶解性薬剤がバニリン及びαリポ酸からなる群から選択される一種又は二種以上であり、前記溶解剤が、オクタン酸と重合度が2〜5のポリグリセリンとのエステルからなり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする組成物である。
本発明の第2の発明は、難溶解性薬剤と、前記難溶解性薬剤の溶解剤と、が配合された組成物であって、前記難溶解性薬剤がマルトール、バニリン、植物性ステロール、及びαリポ酸からなる群から選択される一種又は二種以上であり、前記溶解剤が、オクタン酸とエリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールからなる群より選ばれた糖アルコールとのエステルからなり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする組成物である。
本発明の第3の発明は、難溶解性薬剤と、前記難溶解性薬剤の溶解剤と、が配合された組成物であって、前記難溶解性薬剤がマルトール、バニリン、コエンザイムQ10及びαリポ酸からなる群から選択される一種又は二種以上であり、前記溶解剤が、オクタン酸とソルビタンとのエステルからなり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする組成物である。
本発明の第5の発明は、前記水酸基価が0〜1mgKOH/gであることを特徴とする第4の発明に記載の組成物である。
本発明の第7の発明は、前記溶解剤の屈折率が1.45〜1.46であることを特徴とする第1〜第6の発明のいずれか一つに記載の組成物である。
<溶解剤>
まず、本発明の難溶解性薬剤の溶解剤について説明する。
本発明の難溶解性薬剤の溶解剤(以下、溶解剤と略記する)は、中鎖脂肪酸と多価アルコールとのエステルからなり、前記多価アルコールが、ポリグリセリン、糖アルコール及び糖アルコールの環状縮合物からなる群から選択される一種又は二種以上であり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする。
天然香料は植物由来のもの、動物由来のもの等いずれでも良く特に限定されないが、特に好ましいものとしては、マルトール又はバニリンが例示できる。また、その他にも植物由来の天然香料として、柑橘類から抽出された柑橘油が好適である。柑橘油としては、ミカン油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、ユズ油、夏ミカン油が例示できる。また、これら柑橘油に含有されるテルペンの一部又は全部を除去したものでも良い。
合成香料も特に限定されず、いずれも使用できる。
そして、調合香料における香料の組み合わせ及び比率も特に限定されない。
このように本発明の溶解剤は、医薬品、化粧品又は飲食品用に好適である。
そして中鎖脂肪酸は、目的に応じて適宜選択すれば良く、例えば、溶解剤を経口用途で使用する場合には、食品用途に適したものであれば良い。このようなものとして、具体的には、ヘキサン酸、オクタン酸及びデカン酸が例示でき、オクタン酸が特に好ましい。
中鎖脂肪酸は一種単独でも良いし、二種以上でも良い。二種以上である場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択し得る。
ポリグリセリンとしては、重合度が2〜10のものが好ましく、2〜5のものがより好ましく、ジグリセリンが特に好ましい。
糖アルコールとしては、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールが例示でき、なかでもソルビトールが特に好ましい。
糖アルコールの環状縮合物としては、前記糖アルコールが分子内で脱水縮合した環状縮合物や、前記糖アルコールの複数の分子が分子間で環構造を形成するように脱水縮合した環状縮合物が例示できる。なかでも、分子内で脱水縮合した環状縮合物が好ましく、ソルビタンが特に好ましい。
多価アルコールは一種単独でも良いし、二種以上でも良い。二種以上である場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択し得る。
具体的には、ポリグリセリンとオクタン酸、好ましくはジグリセリンとオクタン酸とのエステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下、好ましくは50mgKOH/g以下の溶解剤は、特にバニリン及びαリポ酸の溶解性に優れる。
また、糖アルコールとオクタン酸、好ましくはソルビトールとオクタン酸とのエステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下、好ましくは50mgKOH/g以下の溶解剤は、特にマルトール、バニリン、植物性ステロール、及びαリポ酸の溶解性に優れる。
また、糖アルコールの環状縮合物とオクタン酸、好ましくはソルビタンとオクタン酸とのエステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下、好ましくは50mgKOH/g以下の溶解剤は、特にマルトール、バニリン、及びαリポ酸の溶解性に優れ、さらに同様のエステルで水酸基価が35mgKOH/g以下の溶解剤は、特にマルトール、バニリン、コエンザイムQ10及びαリポ酸の溶解性に優れる。
飲料は、例えば、溶解剤に薬剤や香料等を溶解して得られた油相の比重を調整した後、これに水及び乳化剤、さらに必要に応じて乳化安定剤を添加して乳化香料製剤を調製し、この乳化香料製剤を水溶性材料に添加することで製造される。
そして、本発明の溶解剤は、乳化香料製剤の比重を水の比重に近い値に調整する、飲料用の比重調整剤として使用することもできる。このような目的においては、溶解剤の比重は、0.95〜1.03であることが好ましい。
飲料には嗜好性の高い混濁の付与が要求されることがある。そして、飲料の混濁の程度は、その構成成分である水と油性成分との屈折率の差に依存しており、通常、その差が大きいほど顕著な混濁が得られる傾向にある。
そして、本発明の溶解剤は、飲料に混濁を付与するクラウディーとして使用することもできる。このような目的においては、溶解剤の屈折率は、SAIBと同等以上であることが好ましく、25℃において1.45〜1.46であることが好ましい。このような屈折率を有することで、飲料に嗜好性の高い好適な懸濁を付与できる。
次に、本発明の溶解剤の製造方法について説明する。
本発明の溶解剤は、例えば、前記中鎖脂肪酸、前記多価アルコール、及び必要に応じて触媒を混合した後、エステル化反応を行い、反応終了後、適宜必要に応じて、触媒の除去、脱酸、脱色及び脱臭等の後処理を行うことにより製造できる。また、得られた溶解剤をさらに、洗浄、抽出、各種クロマトグラフィー等により精製しても良い。
エステル化反応は、公知の手法を適用すれば良い。例えば、使用する原料の一部が加熱条件下で液状であれば、反応溶媒を使用せずに反応を行っても良い。また、エステル化反応の進行に伴い水が副生するが、これは生成したエステル結合を加水分解する原因となるので、溶解剤の収率を向上させるために、エステル化反応は水を留去しながら行なうのが好ましく、窒素等の不活性ガスを吹き込みながら行うのが好ましい。未反応の中鎖脂肪酸は、例えば、加熱撹拌下、減圧留去することで溶解剤から分離できる。この時、水蒸気を吹き込みながら減圧することで、効率良く中鎖脂肪酸を留去できる。
また、エステル化反応の進度は、反応液をサンプリングして水酸基価を測定することで確認できる。
次に、本発明の乳化香料製剤について説明する。
本発明の乳化香料製剤は、上記本発明の溶解剤が配合されたことを特徴とする。具体的には、香料、水、乳化剤及び上記本発明の溶解剤が配合されたものが例示できる。そして、溶解剤が上記のように比重調整能を有するものであれば、該溶解剤を配合することで乳化香料製剤を比重調整することもできるし、溶解剤の比重調整能の有無によらず、別途、公知の比重調整剤を配合して乳化香料製剤としても良い。
本発明の乳化香料製剤は、医薬品、化粧品及び飲食品のいずれにも配合できるが、特に飲料への配合に好適である。
また、溶解剤をその他の比重調整剤と併用する時には、併用する比重調整剤がSAIB等の流動性が低いものである場合、その流動性を改善することもできる。比重調整剤全量に占める溶解剤の比率が上記範囲内であれば、優れた流動性改善効果が得られるし、溶解剤の比率を高くするほど、より優れた流動性が得られる。
本発明の溶解剤を配合することで、従来、使用が困難であった比重調整剤の配合も容易となる。
香料である前記アルコール類としては、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、テルピネオール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、ファルネソール、ネロリドール、シス−3−ヘキセノール、セドロール、メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、フェニルエチルジメチルカルビノール、フェニルヘキサノール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノールが例示できる。
香料である前記フェノール類としては、バニリン、グアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、チモールが例示できる。
前記酢酸エステルとしては、n−ヘキシルアセテート、シス−3−ヘキセニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、テルピニルアセテート、ノピルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、シンナミルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、3−ペンチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテートが例示できる。
前記プロピオン酸エステルとしては、シトロネリルプロピオネート、トリシクロデセニルプロピオネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、エチル2−シクロヘキシルプロピオネート、ベンジルプロピオネートが例示できる。
前記酪酸エステルとしては、シトロネリルブチレート、ジメチルベンジルカルビニルn−ブチレート、トリシクロデセニルイソブチレートが例示できる。
前記ノネン酸エステルとしては、メチル2−ノネノエート、エチル2−ノネノエート、エチル3−ノネノエートが例示できる。
安息香酸エステルとしては、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、3,6−ジメチルベンゾエートが例示できる。
桂皮酸エステルとしては、メチルシンナメート、ベンジルシンナメートが例示できる。
サリチル酸エステルとしては、メチルサリシレート、n−ヘキシルサリシレート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、シクロヘキシルサリシレート、ベンジルサリシレートが例示できる。
ブラシル酸エステルとしては、エチレンブラシレートが例示できる。
チグリン酸エステルとしては、ゲラニルチグレート、1−ヘキシルチグレート、シス−3−ヘキセニルチグレートが例示できる。
ジャスモン酸エステルとしては、メチルジャスモネート、メチルジヒドロジャスモネートが例示できる。
グリシド酸エステルとしては、メチル2,4−ジヒドロキシ−エチルメチルフェニルグリシデート、4−メチルフェニルエチルグリシデートが例示できる。
アントラニル酸エステルとしては、メチルアントラニレート、エチルアントラニレート、ジメチルアントラニレートが例示できる。
前記天然色素類としては、β−カロチン、パプリカ色素、アナトー色素及びクロロフィルが例示できる。
前記脂溶性ビタミン類としては、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンB2酪酸エステル及び天然ビタミンE混合物が例示できる。
前記多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、水飴、ショ糖、オリゴ糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖及びトレハロースが例示できる。
前記酸味料としては、クエン酸及びクエン酸ナトリウムが例示できる。
前記酸化防止剤としては、ビタミンCが例示できる。
次に、本発明の乳化香料製剤の製造方法について説明する。
本発明の乳化香料製剤は、例えば、香料を本発明の溶解剤に良く溶解させ、必要に応じてSAIB等の公知の比重調整剤を加えた後、適切な乳化剤及び水、並びに必要に応じて乳化安定剤やその他の成分を加え、ホモミキサー等を用いて強力に撹拌及び乳化することで製造できる。そして、撹拌及び乳化は、高圧ホモジナイザー等を用いることで、より均一に行うことができる。高圧ホモジナイザーは、液体中に他の液体粒子を細かく分散させて、均一なエマルジョンを得る装置であり、バネを利用した弁等を通じて、極めて狭い空間に50〜300kg/cm2程度の高圧で混合液を噴出させることで、強い剪断作用により乳化する。
次に、本発明の飲料について説明する。
本発明の飲料は、上記本発明の乳化香料製剤が配合されたことを特徴とする。
乳化香料製剤の飲料への配合量は、目的に応じて、また、所望の混濁及び香りの強さ等を考慮して適宜選択すれば良い。通常は、飲料全量に対して0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.2質量%であることがより好ましい。
そして、本発明の飲料には、前記乳化香料製剤以外に、目的に応じて任意の成分を配合できる。
次に、本発明の飲料の製造方法について説明する。
本発明の飲料は、乳化香料製剤として従来のものに代わり本発明のものを使用すること以外は、公知の手法で製造でき、例えば、乳化香料製剤を所望の水溶性材料と良く混合することで製造できる。ここで、乳化香料製剤は油溶性であり、水溶性のものとは混合し難いので、水溶性材料と混合する際には撹拌装置を使用するのが好ましい。撹拌装置としては撹拌効率の高いものが好ましく、上記の高圧ホモジナイザーが好適である。
次に、本発明の化粧品及びその製造方法について説明する。
本発明の化粧品は、難溶解性薬剤として植物性ステロール、コエンザイムQ10又はαリポ酸が配合され、さらに上記本発明の難溶解性薬剤の溶解剤が配合されたことを特徴とする。本発明の溶解剤の配合量は特に限定されず、植物性ステロール、コエンザイムQ10又はαリポ酸の配合量等に応じて適宜調整すれば良い。そして、本発明の化粧品には、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じてその他の成分を配合できる。本発明の化粧品は、配合されている溶解剤が難溶解性薬剤の溶解性に優れるので、品質の安定したものである。
本発明の化粧品は、溶解剤として従来のものに代わり本発明のものを使用すること以外は、公知の手法で製造できる。そして、例えば、本発明の溶解剤を植物性ステロール、コエンザイムQ10又はαリポ酸と共に、水溶性材料と混合する際は、上記の乳化香料製剤や飲料の場合と同様に、高圧ホモジナイザー等、撹拌効率が高い撹拌装置を使用するのが好ましい。
本発明の医薬品、化粧品又は食品は、上記本発明の難溶解性薬剤の溶解剤が配合されたことを特徴とする。本発明の溶解剤の配合量は特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。そして、これら医薬品、化粧品又は食品は、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて該溶解剤以外にその他の成分が配合されても良く、該溶解剤が難溶解性薬剤の溶解性に優れるので、品質の安定したものとなる。
本発明の医薬品、化粧品又は食品は、従来の溶解剤に代わり本発明の溶解剤を使用すること以外は、公知の手法で製造できる。
<溶解剤の製造>
[試験例1]溶解剤Aの製造
市販のジグリセリン332.1g(20.8質量%)に、オクタン酸1267.9g(79.2質量%)を、四つ口フラスコ(容積2L)に充填し、活性炭を8.0g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、28時間反応させた。
得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら1時間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするジグリセリンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Aを1279.7g得た(収率;約95%)。また、溶解剤Aのヨウ素価は、「基準油脂分析試験法3.3.3−1996」に準拠した試験法による試験値で、0.1g(I2)/100g以下であり、ランシマット試験にて、溶解剤Aは大豆油よりも安定であることを確認した。
市販のソルビトール394.5g(24.6質量%)に、オクタン酸1205.8g(75.4質量%)を、四つ口フラスコ(容積2L)に充填し、活性炭を8.0g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、39時間反応させた。
得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら1時間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Bを1117.2g得た(収率;約97%)。
市販のソルビトール455.7g(28.5質量%)に、オクタン酸1144.3g(71.5質量%)を、四つ口フラスコ(容積2L)に充填し、活性炭を8.0g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、22時間反応させた。
得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら1時間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Cを得た。
市販のソルビタン332.8g(27.4質量%)に、オクタン酸871.5g(72.6質量%)を、四つ口フラスコ(容積2L)に充填し、活性炭を6.0g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、22時間反応させた。
得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら1時間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Dを737.0g得た(収率;約80%)。また、溶解剤Dのヨウ素価は、前記試験法による試験値で、0.1g(I2)/100g以下であり、ランシマット試験にて、溶解剤Dは大豆油よりも安定であることを確認した。
市販のソルビタン542.4g(30.1質量%)に、オクタン酸1257.0g(69.9質量%)を、四つ口フラスコ(容積500mL)に充填し、活性炭を9.0g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、12時間反応させた。
得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら30分間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Eを1124.8g得た(収率;約76%)。
市販のソルビタン108.0g(30.8質量%)に、オクタン酸242.0g(69.2質量%)を、四つ口フラスコ(容積500mL)に充填し、活性炭を3.5g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、6時間反応させた。
得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら30分間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Fを205.0g得た(収率;約73%)。
市販のソルビトール394.4g(24.6質量%)に、オクタン酸1206.0g(75.4質量%)を、四つ口フラスコ(容積2L)に充填し、活性炭を8.0g添加し、窒素気流下、200℃において加熱、撹拌し、Dean Stark水分離器を用いて、還流するオクタン酸と共に留出する水を分離しながら、6時間反応させた。
得られた反応混合物の一部を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら30分間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Gを174.0g得た。
溶解剤Hの反応混合物をさらに1時間反応し、得られた反応混合物を冷却した後、減圧下(約20mmHg)、180℃において攪拌しながら1時間処理することによって未反応のオクタン酸を留去した。その後、水蒸気を吹き込みながら、減圧下(約3mmHg)、165℃において3時間処理することによってオクタン酸を完全に除去し、再び冷却した後、濾過によって活性炭を除去して、目的とするソルビタンのオクタン酸エステルよりなる溶解剤Hを452.5g得た。
試験例1〜8の溶解剤A〜H、及び比較対象である中鎖脂肪酸トリグリセリド(O.D.O、日清オイリオグループ株式会社製)(試験例9)について、けん化価、水酸基価、比重及び屈折率を測定し、苦味に関する官能評価を行い、0℃における結晶析出の有無を確認した。結果を表1に示す。
酸価:基準油脂分析試験法2.3.1−1996
けん化価:基準油脂分析試験法2.3.2.1−1996
水酸基価:基準油脂分析試験法2.3.6.2−1996
比重:基準油脂分析試験法2.2.2−1996
屈折率:基準油脂分析試験法2.2.3−1996
○:ほとんど苦味を感じない
△:苦味を僅かに感じる
×:苦味を感じる
○:析出なし
×:析出あり
Claims (9)
- 難溶解性薬剤と、前記難溶解性薬剤の溶解剤と、が配合された組成物であって、
前記難溶解性薬剤がバニリン及びαリポ酸からなる群から選択される一種又は二種以上であり、
前記溶解剤が、オクタン酸と重合度が2〜5のポリグリセリンとのエステルからなり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする組成物。 - 難溶解性薬剤と、前記難溶解性薬剤の溶解剤と、が配合された組成物であって、
前記難溶解性薬剤がマルトール、バニリン、植物性ステロール、及びαリポ酸からなる群から選択される一種又は二種以上であり、
前記溶解剤が、オクタン酸とエリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールからなる群より選ばれた糖アルコールとのエステルからなり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする組成物。 - 難溶解性薬剤と、前記難溶解性薬剤の溶解剤と、が配合された組成物であって、
前記難溶解性薬剤がマルトール、バニリン、コエンザイムQ10及びαリポ酸からなる群から選択される一種又は二種以上であり、
前記溶解剤が、オクタン酸とソルビタンとのエステルからなり、水酸基価が100mgKOH/g以下であることを特徴とする組成物。 - 前記水酸基価が5mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記水酸基価が0〜1mgKOH/gであることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
- 前記溶解剤の比重が0.95〜1.03であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記溶解剤の屈折率が1.45〜1.46であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
- さらにショ糖酢酸イソ酪酸エステルが配合されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- 医薬品、化粧品又は飲食品用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
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