JP5881321B2 - 飲料における精油の分散安定化方法、及びそれを利用した飲料の製造方法 - Google Patents
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[1]水性飲料原料液に、食品として許容可能な非水性混合溶媒に精油成分を溶解してなるオイル香料の、飲料あたり0.001〜0.2重量%となる量を、撹拌により分散する工程;
オイル香料が分散された水性飲料原料液に、乳化香料の、オイル香料分散安定化上有効量のミセル非形成乳化剤を含む量を混合し、オイル香料の分散を安定化する工程;
を含む、飲料の製造方法。
[2]オイル香料が、0.1〜30%の精油を溶解してなるものである、[1]に記載の製造方法。
[3]オイル香料1重量部に対して0.2〜5重量部の乳化香料を用いる、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]油性混合溶媒が、プロピレングリコール及びエタノールからなる、[1]〜[3]のいずれか一に記載の製造方法。
[5]飲料が、低アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、[1]〜[4]のいずれか一に記載の製造方法。
[6]容器詰め飲料の製造方法である、[1]から[5]のいずれか一に記載の製造方法。
[7]飲料であって、2.88ppm〜72ppmのオイル香料と、乳化香料とを含み、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料を含む油滴が分散安定化されている、飲料。
[8]臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料油滴を含む、平均粒径が0.3〜0.5μmの油滴を分散安定化した、飲料組成物。
[9]オイル香料を含む、平均粒径が0.3〜0.5μmの油滴が、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により水性液中に分散安定化されてなる、香料組成物。
(精油)
本発明で「精油」というときは、特に記載した場合を除き、植物の一部(例えば、花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂。好ましくは果皮。)を圧搾及び/又は抽出して得られる天然の精油を指す。精油には、コールドプレスしてえられたものだけではなく、テルペン除去操作を施したテルペンレスオイルも含まれる。なお、CPオイルは果実の香りに近いが不安定であり、テルペンレスオイルは刺激感が物足りないが安定であるという特徴がある。テルペンレスオイルは一般的にCPオイルを蒸留することによって得られるが、例えばスチレン系の吸着濾過剤により難揮発性成分を除去することによっても得られる。シトラス系の精油としてはオレンジオイル、グレープフルーツオイル、ピンクグレープフルーツ、タンジェリンオイル、レモンオイル、ライムオイルなどが挙げられる。
なお、精油には水に溶解しにくいという問題点があるため、精油から水溶性の香気成分を抽出したものがエッセンス香料である。具体的には精油に水又はアルコール水溶液を添加し、混合後、2層分離させて水層を回収することにより水溶性香気成分を含有するエッセンス香料を得ることができる。本発明には、精油及び/又は後述するオイル香料と共に、エッセンス香料を用いることもできる。
本発明で「オイル香料」というときは、特に記載した場合を除き、精油を、食品添加物公定書第8版 E製造基準に記載の、天然香料に使用できる溶媒に溶解させたものをいう。ここでいう溶媒の具体例は、アセトン、エタノール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、二酸化炭素、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、1-プロパノール、2-プロパノール、プロパン、プロピレングリコール、ヘキサン、水、メタノールである。
混合溶媒を用いる場合、その混合比率には特に制限は無いが、典型的な例では、主として精油を溶解させるために、エタノールが用いられ、さらに溶質(精油)の性質に合わせて、プロピレングリコール、水等を混合することができる。エタノール及びプロピレングリコールを用いる場合、エタノール(95%の含水エタノールであってもよい。)1重量部に対し、プロピレングリコールを、好ましくは0.06〜6重量部、より好ましくは、0.2〜2重量部、さらに好ましくは0.3〜1.2重量部、用いることができる。典型的には、エタノール:プロピレングリコール=1:0.6を好ましく使用することができる。なお、本発明で溶媒や成分の比や割合について述べるときは、特に記載した場合を除き、重量に基づいて計算したものである。
本発明で「乳化香料」というときは、特に記載した場合を除き、CPオイル及び/又はテルペンレスオイルを含む油相と、乳化剤を含む水相を攪拌混合することによって、油相に含まれる難水溶性成分を乳化したものをいう。確実に乳化し、かつ安定化させるため、乳化香料は通常、臨界ミセル濃度(CMC)以上の過剰の乳化剤を含有している。本発明に用いられる乳化香料は、このような過剰の乳化剤を含有したものである。
本発明においては、飲料原料液に対して、所望の最終香料濃度になるようにオイル香料を添加し、攪拌し、分散する。
オイル香料中の香料濃度が例えば6%(w/w)であるとすると、これは60000ppmに相当するため、仮に最終製品である飲料におけるオイル香料の濃度を60ppmとしたい場合は、該オイル香料を1/1000重量部添加すればよい。最終製品におけるオイル香料の濃度は、0.001〜0.2重量%とすることができ、0.004〜0.1重量%とすることが好ましく、0.008〜0.075重量%とすることがより好ましい。
攪拌は、原料飲料液中にオイル香料が分散するまで行う。オイル香料が十分に分散しているかどうかは、種々の手段で確認しうるが、例えば、オイル香料の油滴の平均粒子サイズ(平均粒径)により、確認することができる。具体的には、油滴の平均粒子サイズが0.3〜5μm、好ましくは0.3〜1μm、より好ましくは0.3〜0.5μmであれば、オイル香料は分散しているといえる。なお、本発明で平均粒子径をいうときは、特に記載した場合を除き、メジアン径を指す。
本発明では、オイル香料の分散工程に次いで、乳化香料を添加し、攪拌し、オイル香料からなる油滴を安定化する。
本発明で「低アルコール飲料」というときは、特に記載した場合を除き、アルコール(この定義においてはエタノールの意味で用いている。)の含有量が1%以上10%未満の飲料をいう。
本発明は、種々の飲料の製造において利用することができる。本発明は天然物を利用していることから、日常的に接種するような飲料、例えば、比較的軽い運動や日常生活における発汗時に水分や電解質を補給する際に飲用する飲料の製造において用いることが好ましい。
オイル香料の香り立ちのよさを確認及び比較するため、下表の配合でオイルを乳化して香料製剤にした乳化オイル香料を用い、乳化オイル香料含有飲料を調整した。
下表の配合で調製した界面活性剤を含まないオイル香料2.5mlを、比較例1で用いたものと同じ飲料原料液10 Lに添加し、10分撹拌してオイル香料を均一に分散させた。
比較例1、実施例1で得られた飲料について、香り立ちのよさの観点から官能評価を行った。官能評価は訓練された7名のパネラーによって行い、5点法にて採点を行った。(1点;香り立ちが悪い、2点;どちらかといえば香り立ちが悪い、3点;どちらともいえない、4点;どちらかといえば香り立ちが良い、5点;香り立ちが良い)
結果を下表に示す。
実施例1で製造した飲料の製造直後品(グラフ中、「スタート」)、及び製造後2ヶ月間、5℃又は23℃で保管した保管品の粒度分布を測定した。具体的には、実施例1で製造したオイル香料含有飲料を、超純水を用いて1容量%程度に希釈し、LIQUILAZ SO2及びE20P(PARTICLE MEASURING SYSTEMS, inc.)にて粒度分布を測定した。結果を下に示す。
[評価3:オイルリングの観察]
実施例1で製造した飲料の製造直後品、及び製造後2ヶ月間、5℃あるいは23℃で保管した保管品の外観を集光灯を用いて肉眼にて観察評価した。具体的には、オイルリングの有無の観察、及び、開栓時の液表面の観察により評価した。
Claims (9)
- 水性飲料原料液に、食品として許容可能な非水性混合溶媒に精油成分を溶解してなるオイル香料の、飲料あたり0.001〜0.2重量%となる量を、撹拌により分散する工程;
オイル香料が分散された水性飲料原料液に、乳化香料の、オイル香料分散安定化上有効量のミセル非形成乳化剤を含む量を混合し、オイル香料の分散を安定化する工程;
を含む、飲料の製造方法。 - 前記乳化香料を、滴下することによって混合する、請求項1に記載の方法。
- オイル香料が、0.1〜30%の精油を溶解してなるものである、請求項1または2に記載の方法。
- オイル香料1重量部に対して0.2〜5重量部の乳化香料を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 非水性混合溶媒が、プロピレングリコール及びエタノールからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 飲料が、低アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 容器詰め飲料の製造方法である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって製造された飲料であって、
2.88ppm〜72ppmのオイル香料と、乳化香料とを含み、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料を含む油滴が分散安定化されている、飲料。 - 前記油滴の平均粒径が0.3〜0.5μmである、請求項8に記載の飲料。
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