JP2013005781A - 飲料における精油の分散安定化方法、及びそれを利用した飲料の製造方法 - Google Patents

飲料における精油の分散安定化方法、及びそれを利用した飲料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オイル香料が分散安定化された飲料の製造方法を提供する。
【解決手段】水性飲料原料液に、食品として許容可能な非水性混合溶媒に精油成分を溶解してなるオイル香料の、飲料あたり0.001〜0.2重量%となる量を、撹拌により分散する工程;オイル香料が分散された水性飲料原料液に、乳化香料の、オイル香料分散安定化上有効量のミセル非形成乳化剤を含む量を混合し、オイル香料の分散を安定化する工程により、飲料を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、精油を飲料中に安定して分散させる方法、及びそれを利用した飲料の製造方法に関する。詳細には、精油を実質的に水を含まない溶剤に溶解した後、飲料に添加して撹拌することにより分散させ、さらに乳化香料を少量ずつ添加することにより、精油を飲料中に安定して分散させる方法、当該方法を用いた飲料の製造方法、及びその飲料に関する。
天然香料の原料となる果皮には、レモンのリモネン、グレープフルーツのヌートカトンに代表されるテルペン類が大量に含まれている。これらの成分は、酸化されやすい、水に不溶性であるなどの扱いにくさがあるため、通常、蒸留によってテルペン類を除いたテルペンレスオイルが香料の原料として使用される。このようにして得られたテルペンレスオイルには依然として難水溶性の成分が含まれており、次いで70%程度のエタノール溶液を添加して混合し、水層に移行してくる成分を回収することによって水溶性の高い香料を製造することが一般的に行われている。このような香料をエッセンス香料と呼ぶが、その性質上、香気成分の絶対量が少なく、香気力価が弱いためパンチに欠ける、香りの線が細いなどの欠点を有している。
一方、乳化剤を使用し、香気成分をミセル化することにより分散性を高めた乳化香料が知られている。乳化香料は、コールドプレス(CP)オイルやテルペンレスオイルから難水溶性成分を分離処理していないため力強い香味を実現することができるが、ミセル化により揮発性が低下し、軽い香り立ちに欠ける。
他方、香料素材である柑橘類精油等を用いて、調和のとれた天然香味を有する新規低アルコール飲料を提供するために、柑橘類精油を含水エタノールに溶解させて低アルコール飲料に添加する方法(特許文献1)が検討されている。また、果汁の使用を必要とせず、パルプ質の沈殿も生じず、しかも香り立ちがよい精油の分散・安定化方法として、精油をエタノール水溶液に溶解した後、水溶性多糖類及び/又は乳化剤を含む水と混合し、当該水溶性多糖類及び/又は乳化剤に精油成分を吸着させることにより、精油成分を飲料において分散安定化する方法(特許文献2)などが知られている。
特開2000−245431号公報 特開2008−109900号公報
上述したとおり、精油をアルコール水溶液に溶解させて使用する方法が知られているが、アルコール水溶液は水分を含んでいるため親水性を示す。そのため、精油をアルコール水溶液に溶解させようとすると、精油に含まれる親油性成分(疎水性成分)を高濃度に溶解することができず、オイルに含まれる親油性の高い成分を充分に利用することができないという課題があった。また、精油成分を水溶性多糖類に吸着させ安定化する場合においても、アルコール水溶液中のオイル濃度を高濃度にすることができないため大量のアルコールが飲料に持ち込まれ、実質的にアルコールを含有しない非アルコール飲料を製造することが困難であるという課題もあった。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、調合した飲料に精油を溶解した油相を添加して撹拌することによって強制的に分散させた後、乳化香料を少量ずつ添加することにより、驚くべきことに、乳化香料中の余剰の乳化剤が精油成分を吸着し、実質的にアルコールを含有しない飲料中に高濃度の精油を安定して存在させることができることを見出した。
本発明は、以下を提供する。
[1]水性飲料原料液に、食品として許容可能な非水性混合溶媒に精油成分を溶解してなるオイル香料の、飲料あたり0.001〜0.2重量%となる量を、撹拌により分散する工程;
オイル香料が分散された水性飲料原料液に、乳化香料の、オイル香料分散安定化上有効量のミセル非形成乳化剤を含む量を混合し、オイル香料の分散を安定化する工程;
を含む、飲料の製造方法。
[2]オイル香料が、0.1〜30%の精油を溶解してなるものである、[1]に記載の製造方法。
[3]オイル香料1重量部に対して0.2〜5重量部の乳化香料を用いる、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]油性混合溶媒が、プロピレングリコール及びエタノールからなる、[1]〜[3]のいずれか一に記載の製造方法。
[5]飲料が、低アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、[1]〜[4]のいずれか一に記載の製造方法。
[6]容器詰め飲料の製造方法である、[1]から[5]のいずれか一に記載の製造方法。
[7]飲料であって、2.88ppm〜72ppmのオイル香料と、乳化香料とを含み、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料を含む油滴が分散安定化されている、飲料。
[8]臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料油滴を含む、平均粒径が0.3〜0.5μmの油滴を分散安定化した、飲料組成物。
[9]オイル香料を含む、平均粒径が0.3〜0.5μmの油滴が、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により水性液中に分散安定化されてなる、香料組成物。
本発明の方法により得られる飲料は乳化香料による力強い香味を備えつつ、精油の持つ強い軽い香り立ちも相備えているため、特に柑橘系の香料を用いた場合、爽快な刺激感を堪能できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(精油)
本発明で「精油」というときは、特に記載した場合を除き、植物の一部(例えば、花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂。好ましくは果皮。)を圧搾及び/又は抽出して得られる天然の精油を指す。精油には、コールドプレスしてえられたものだけではなく、テルペン除去操作を施したテルペンレスオイルも含まれる。なお、CPオイルは果実の香りに近いが不安定であり、テルペンレスオイルは刺激感が物足りないが安定であるという特徴がある。テルペンレスオイルは一般的にCPオイルを蒸留することによって得られるが、例えばスチレン系の吸着濾過剤により難揮発性成分を除去することによっても得られる。シトラス系の精油としてはオレンジオイル、グレープフルーツオイル、ピンクグレープフルーツ、タンジェリンオイル、レモンオイル、ライムオイルなどが挙げられる。
本発明には、精油を1種のみ用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
なお、精油には水に溶解しにくいという問題点があるため、精油から水溶性の香気成分を抽出したものがエッセンス香料である。具体的には精油に水又はアルコール水溶液を添加し、混合後、2層分離させて水層を回収することにより水溶性香気成分を含有するエッセンス香料を得ることができる。本発明には、精油及び/又は後述するオイル香料と共に、エッセンス香料を用いることもできる。
(オイル香料)
本発明で「オイル香料」というときは、特に記載した場合を除き、精油を、食品添加物公定書第8版 E製造基準に記載の、天然香料に使用できる溶媒に溶解させたものをいう。ここでいう溶媒の具体例は、アセトン、エタノール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、二酸化炭素、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、1-プロパノール、2-プロパノール、プロパン、プロピレングリコール、ヘキサン、水、メタノールである。
本発明においてオイル香料を調製する際には、溶媒として、C2〜C4アルカノール、ポリアルコール、又はそれらの混合物を好適に用いることができる。アルカノールとしては、エタノール、イソプロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。ポリアルコールの好ましい例は、プロピレングリコールである。プロピレングリコールは極性が低いため、疎水性の高い精油成分を高濃度に溶解させることができる。
オイル香料の調製に際しては、通常、界面活性剤を少量配合する場合があるが、本発明においては、界面活性剤を配合しないことが好ましい。
混合溶媒を用いる場合、その混合比率には特に制限は無いが、典型的な例では、主として精油を溶解させるために、エタノールが用いられ、さらに溶質(精油)の性質に合わせて、プロピレングリコール、水等を混合することができる。エタノール及びプロピレングリコールを用いる場合、エタノール(95%の含水エタノールであってもよい。)1重量部に対し、プロピレングリコールを、好ましくは0.06〜6重量部、より好ましくは、0.2〜2重量部、さらに好ましくは0.3〜1.2重量部、用いることができる。典型的には、エタノール:プロピレングリコール=1:0.6を好ましく使用することができる。なお、本発明で溶媒や成分の比や割合について述べるときは、特に記載した場合を除き、重量に基づいて計算したものである。
本発明に用いるオイル香料においては、溶媒に対して精油を適当量溶解することができる。通常、溶媒は水分をほとんど含有していないため、精油の十分量を溶解することができる。オイル香料における精油の濃度は、例えば1.0%(w/w)以上、好ましくは3.0%(w/w)以上、さらに好ましくは4.0%(w/w)以上、最も好ましくは5.0 %(w/w)以上とすることができる。
オイル香料の調製においては、溶媒に精油を溶解した後、低温で濾過する工程を経てもよい。このような工程により、極めて疎水性の高い成分を析出させ、濾過により除去することができる。
(乳化香料)
本発明で「乳化香料」というときは、特に記載した場合を除き、CPオイル及び/又はテルペンレスオイルを含む油相と、乳化剤を含む水相を攪拌混合することによって、油相に含まれる難水溶性成分を乳化したものをいう。確実に乳化し、かつ安定化させるため、乳化香料は通常、臨界ミセル濃度(CMC)以上の過剰の乳化剤を含有している。本発明に用いられる乳化香料は、このような過剰の乳化剤を含有したものである。
乳化香料における香料(CPオイル及び/又はテルペンレスオイル)の濃度は、例えば0.25%(w/w)以上、好ましくは0.50%(w/w)以上、さらに好ましくは1.0%(w/w)以上とすることができる。
一般に、乳化剤には大別して天然乳化剤と合成乳化剤がある。天然乳化剤としてはアラビアガム、ガティーガム、グァガムなどが、合成乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。合成系の乳化剤には特有の苦味があり、天然原料と併用した場合には凝集、沈殿を生じやすいという難点がある。天然乳化剤は合成乳化剤と比較して、幅広く飲料に適用でき、ミセルの粒子が大きくなるため白濁しやすいものの、それにより複雑な味、厚み、ボディーが付与できるなどの効果も得られる。
本発明に用いられる乳化香料においては、乳化剤は天然乳化剤であることが好ましい。このような乳化剤の好ましい例は、アラビアガム、ガティーガム、グァーガム、カラヤガム、カロブビーンガム(ローカストビ−ンガム)、キサンタンガム、ジェランガム、トラガンドガム、サイリウムシードガム、カラギナン、微小繊維状セルロース(微結晶セルロース)、ファーセレラン、ペクチン、寒天、シクロデキストリン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリデキストロース、アラビノガラクタン、カードラン、加工ユーケマ藻類、精製カラギナンユーケマ藻末、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、カゼインNaである。
本発明に用いられる乳化香料においては、比重調整を目的として、乳化効果が十分でない界面活性剤が、天然乳化剤とともに用いられる場合がある。このような界面活性剤の例は、ショ糖脂肪酸エステルである。
本発明に用いられる乳化香料においては、乳化を目的とした界面活性剤は用いられない。このような本発明において乳化香料中に用いられない界面活性剤の例は、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンである。
乳化香料に用いられる香料は、オイル香料に用いられる精油と同一又は同種の起源物質から得られたものであってもよく、また、異なっていてもよい。本発明において用いられる精油及び/又は香料の起源物質の例として、果物、具体的には、レモン、グレープフルーツ、ライム、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、うんしゅうみかん、タンゴール、なつみかん、甘夏、はっさく、ひゅうがなつ、シイクワシャー、すだち、ゆず、かぼす、だいだい、いよかん、ぽんかん、きんかん、さんぼうかん、オロブランコ、ぶんたん、あんず(別名アプリコット)、さくらんぼ、うめ、すもも類(にほんすもも、プルーン)、もも類(もも、ネクタリン、黄桃)、ふどう(マスカット、リースリング、デラウエア、巨峰、ピオーネ)、いちご、ブラックベリー、ブルーベリー、ラズベリー、グズベリー(別名西洋すぐり)、クランベリー、ざくろ、りんご、なし類(にほんなし、中国なし、西洋なし)、かりん、キウイフルーツ、パインアップル、パッションフルーツ、アセロラ、ライチー、メロン、すいか、あけび、アテモヤ、アボカド、いちじく、オリーブ、かき、キワノ、グァバ、ぐみ、ココナッツ、ごれんし(別名スターフルーツ)、タンゼロ、チェリモヤ、ドリアン、なつめ、なつめやし、ハスカップ、パパイヤ、ピタヤ、びわ、りゅうがん、ホワイトサポテ、まくわうり、マルメロ、マンゴー、マンゴスチン、やまももを挙げることができる。果皮のみを香料起源物質としてもよい。香料起源物質の他の例として、コーヒー、ココア、カカオ、バニラ、茶(不発酵茶、半発酵茶、発酵茶などを含む)、ハーブ類を挙げることができる。
乳化香料には、オイル、乳化剤、油相の溶媒(例えば、プロピレングリコール、食用油脂)、及び水相の溶媒(例えば、水)のほか、キレート剤(例えば、フィチン酸)、トコフェノールを含んでいてもよい。
(オイル香料分散工程)
本発明においては、飲料原料液に対して、所望の最終香料濃度になるようにオイル香料を添加し、攪拌し、分散する。
オイル香料をどの程度用いるかは、オイル香料中の精油の濃度や、最終製品における精油の濃度を勘案し、当業者であれば、適宜設計できる。
オイル香料中の香料濃度が例えば6%(w/w)であるとすると、これは60000ppmに相当するため、仮に最終製品である飲料におけるオイル香料の濃度を60ppmとしたい場合は、該オイル香料を1/1000重量部添加すればよい。最終製品におけるオイル香料の濃度は、0.001〜0.2重量%とすることができ、0.004〜0.1重量%とすることが好ましく、0.008〜0.075重量%とすることがより好ましい。
オイル香料は飲料を激しく撹拌しながら適量添加すればよい。攪拌のための手段としては、同様の目的で使用される既存の手段を用いることができる。
攪拌は、原料飲料液中にオイル香料が分散するまで行う。オイル香料が十分に分散しているかどうかは、種々の手段で確認しうるが、例えば、オイル香料の油滴の平均粒子サイズ(平均粒径)により、確認することができる。具体的には、油滴の平均粒子サイズが0.3〜5μm、好ましくは0.3〜1μm、より好ましくは0.3〜0.5μmであれば、オイル香料は分散しているといえる。なお、本発明で平均粒子径をいうときは、特に記載した場合を除き、メジアン径を指す。
攪拌は、予め、必要な平均粒子径が得られる攪拌速度、時間等の条件を求めておき、その条件に基づいて実施することができる。この場合、分散できたかどうかを平均粒子形等の指標に拠らなくてもよい。
本発明においては、精油をそのまま飲料に分散させるのではなく、オイル香料として分散させる。最終製品における精油の濃度はごく少量であるために、精油をそのまま用いるのでは精油の量を微調整しにくいという難点がある。また、一旦オイル香料とすることにより、オイル香料の製造工程で、精油中のきわめて疎水性の高い成分を除去できるというメリットがある。
(乳化香料添加工程)
本発明では、オイル香料の分散工程に次いで、乳化香料を添加し、攪拌し、オイル香料からなる油滴を安定化する。
本発明においては、オイル香料を飲料中に分散させた後、乳化香料を滴下することにより、乳化香料に含まれている余剰の、すなわちミセル形成に寄与していない一部の乳化剤を油滴に結合させることができる。乳化香料をどの程度添加するかは、余剰の乳化剤の量に基づいて決定することができる。余剰の乳化剤の適切な量は、原料飲料液において、オイル香料油滴をミセル化しない量、すなわち臨界ミセル濃度(critical micelle concentration; CMC、臨界ミセル形成濃度ということもある。)未満となる量である。乳化香料を多く添加すると油滴がミセルを形成してしまい、添加したオイル香料が乳化香料と化してしまうため、あらかじめ適切な添加量を設定しておく必要がある。最終製品における乳化香料の濃度は、0.001〜0.2重量%とすることができ、0.004〜0.1重量%とすることが好ましく、0.008〜0.075重量%とすることがより好ましい。
本発明者らの検討によると、本明細書の実施例で用いた乳化香料を使用した場合、乳化香料1重量部で、オイル香料2重量部程度まで安定化することができた。この比率は、オイル香料に含まれるオイルの質によっても変わりうる。
本発明でオイル香料油滴に関し「安定化」というときは、特に記載した場合を除き、対象となる飲料を密封容器に入れて5〜23℃で4週間以上、好ましくは8週間以上保存したときに、飲料に含まれる乳化香料の分散が安定しており、かつオイル香料油滴の分散が安定していることをいう。分散が安定しているとは、粒子分布にほとんど変化がみられないこと、及び/又はオイルリングが観察されないことをいう。粒子分布の評価に代えて、平均粒子径に差異がないこと若しくは差異があるとしても±10%以内であること、本願明細書の実施例に記載されているようなグラフを作成したときに、各粒子径における粒子数の変化が、±20%以内であることにより、評価してもよい。なお、典型的には、乳化香料の平均粒子径は、0.3〜0.6μmであり、オイル香料の平均粒子径は、0.3〜0.5μmである。
本発明においては、乳化香料に由来する乳化粒子、及び乳化香料の余剰分の乳化剤によって分散したオイル香料油滴のいずれも、飲料における白濁に寄与している。白濁は、味に厚みをもたせうる点で、好ましい。本発明においては、精油の濃度が低いにもかかわらず、白濁した飲料を得ることができる点でも好ましい。
なお、本発明の方法とは逆に乳化香料を分散させた飲料にオイル香料を添加した場合、高濃度のオイル香料と乳化香料ミセルが接触し、ミセルが破壊されてしまうことでオイルの分離を招く可能性がある。一方、本発明の方法では油滴が微小化されて飲料中に均一に分散しているため、ミセルの破壊を防止することができる。乳化香料のミセルが破壊されると、ミセルの中心にあった香料成分が露出し、再度乳化剤と接触して飲料中で分散できたとしても、乳化香料ミセルに含まれていた他の成分、食用油脂・トコフェロールと香料とのバランスが適正でなくなり、先にオイル香料を分散した場合に得られるのと同じ飲料は、製造できない。
(飲料、その他)
本発明で「低アルコール飲料」というときは、特に記載した場合を除き、アルコール(この定義においてはエタノールの意味で用いている。)の含有量が1%以上10%未満の飲料をいう。
本発明で「ノンアルコール飲料」というときは、特に記載した場合を除き、アルコール(この定義においてはエタノールの意味で用いている。)含有量が1%未満の飲料をいう。ノンアルコール飲料には、アルコールを実質的に含まない飲料が含まれる。ノンアルコール飲料の例として、清涼飲料、茶飲料(例えば、烏龍茶飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、ほうじ茶飲料、各種ブレンド茶飲料、そば茶飲料、杜仲茶飲料、麦茶飲料)、コーヒー飲料、乳飲料、各種果汁飲料、各種野菜系飲料、炭酸飲料(例えば、コーラ、ジンジャーエール、サイダー)、スポーツドリンク、栄養ドリンク(ドリンク剤)が挙げられる。
本発明によって得られる飲料は、殺菌された容器詰め飲料製品とすることができ、この場合、飲料原料液を容器に充填した後に加熱殺菌(レトルト殺菌等)を行うか、又は飲料原料液を殺菌して容器に充填することにより、製造することができる。例えば、缶飲料とする場合には、上記飲料原料液を缶に所定量充填し、レトルト殺菌(例えば、1.2mmHg、121℃、7分)を行うことができ、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、缶飲料、パウチ飲料とする場合には、例えば90〜130℃で1〜数十秒保持するFP又はUHT殺菌を行い、所定量をホットパック充填するか、又は低温で無菌充填する。本発明によって得られる飲料を容器詰め飲料とする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができる。
なお、容器としては、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、ガラス瓶、アルミパウチ、紙容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。
本発明は、種々の飲料の製造において利用することができる。本発明は天然物を利用していることから、日常的に接種するような飲料、例えば、比較的軽い運動や日常生活における発汗時に水分や電解質を補給する際に飲用する飲料の製造において用いることが好ましい。
[比較例1:乳化オイル香料含有飲料の調製]
オイル香料の香り立ちのよさを確認及び比較するため、下表の配合でオイルを乳化して香料製剤にした乳化オイル香料を用い、乳化オイル香料含有飲料を調整した。
乳化オイル香料5.0 mlを、アルコールを含まないスポーツドリンクタイプの飲料原料液10 Lに添加し、均一になるように撹拌した。得られた飲料に95℃、30秒の加熱殺菌処理を施し、500 mlのPET容器に充填した。
[実施例1:オイル香料含有飲料の調製]
下表の配合で調製した界面活性剤を含まないオイル香料2.5mlを、比較例1で用いたものと同じ飲料原料液10 Lに添加し、10分撹拌してオイル香料を均一に分散させた。
さらに比較例1と同様の乳化オイル香料2.5 mlを添加し、10分間撹拌を継続してオイル香料含有飲料を調製した。得られた飲料は比較例1と同等の条件にて加熱殺菌処理を施した。なお、調製した飲料においてはオイルの分離は観察されなかった。
[評価1:官能評価]
比較例1、実施例1で得られた飲料について、香り立ちのよさの観点から官能評価を行った。官能評価は訓練された7名のパネラーによって行い、5点法にて採点を行った。(1点;香り立ちが悪い、2点;どちらかといえば香り立ちが悪い、3点;どちらともいえない、4点;どちらかといえば香り立ちが良い、5点;香り立ちが良い)
結果を下表に示す。
[評価2:粒度分布の測定]
実施例1で製造した飲料の製造直後品(グラフ中、「スタート」)、及び製造後2ヶ月間、5℃又は23℃で保管した保管品の粒度分布を測定した。具体的には、実施例1で製造したオイル香料含有飲料を、超純水を用いて1容量%程度に希釈し、LIQUILAZ SO2及びE20P(PARTICLE MEASURING SYSTEMS, inc.)にて粒度分布を測定した。結果を下に示す。
粒度分布の測定の結果、経時的な粒度分布の変化はほとんどなく、安定的に分散していることが確認された。
[評価3:オイルリングの観察]
実施例1で製造した飲料の製造直後品、及び製造後2ヶ月間、5℃あるいは23℃で保管した保管品の外観を集光灯を用いて肉眼にて観察評価した。具体的には、オイルリングの有無の観察、及び、開栓時の液表面の観察により評価した。
オイルリングの観察の結果、製造直後品及び保管品のすべてのサンプルでオイルリングは認められなかった。

Claims (9)

  1. 水性飲料原料液に、食品として許容可能な非水性混合溶媒に精油成分を溶解してなるオイル香料の、飲料あたり0.001〜0.2重量%となる量を、撹拌により分散する工程;
    オイル香料が分散された水性飲料原料液に、乳化香料の、オイル香料分散安定化上有効量のミセル非形成乳化剤を含む量を混合し、オイル香料の分散を安定化する工程;
    を含む、飲料の製造方法。
  2. オイル香料が、0.1〜30%の精油を溶解してなるものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. オイル香料1重量部に対して0.2〜5重量部の乳化香料を用いる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 油性混合溶媒が、プロピレングリコール及びエタノールからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 飲料が、低アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 容器詰め飲料の製造方法である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 飲料であって、2.88ppm〜72ppmのオイル香料と、乳化香料とを含み、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料を含む油滴が分散安定化されている、飲料。
  8. 臨界ミセル濃度未満の乳化剤により、オイル香料油滴を含む、平均粒径が0.3〜0.5μmの油滴を分散安定化した、飲料組成物。
  9. オイル香料を含む、平均粒径が0.3〜0.5μmの油滴が、臨界ミセル濃度未満の乳化剤により水性液中に分散安定化されてなる、香料組成物。
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