JP2021151204A - 容器詰飲料及び容器詰飲料の嗜好性改善方法 - Google Patents

容器詰飲料及び容器詰飲料の嗜好性改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】香味バランスを損なうことなく、容器の開封時に感じる疎水性香気成分による香りが増強され、嗜好性が改善された容器詰飲料の提供。【解決手段】疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填されて密封された容器詰飲料であって、前記飲料は、前記疎水性香気成分を含有する可食性水溶液と、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴とを含有し、前記可食性水溶液と前記疎水性液滴が分離しており、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量が、前記可食性水溶液のみが前記容器と同種の容器に充填され密封された容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量よりも多く、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量は、開封された前記容器詰飲料の開口部から揮発する疎水性香気成分の量であることを特徴とする、容器詰飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、清涼飲料水やアルコール飲料等を缶、瓶、ペットボトル等の容器に封入した容器詰飲料及びその嗜好性を改善する方法に関する。
食品から感じる香りは、鼻から直接嗅ぐ香り(オルソネーザルアロマ)と、口に入れて飲み込むときに喉から鼻に抜ける香り(レトロネーザルアロマ)の2種類に大別される。食品の「おいしさ」には、特にレトロネーザルアロマが寄与していると考えられている。一方、オルソネーザルアロマは、食品を食べる前に「おいしさ」を想起させる。つまり、オルソネーザルアロマとレトロネーザルアロマは、いずれも食品にとって重要である。
容器詰飲料においても、開封時に感じられる香り(オルソネーザルアロマ)の強さや質は、嗜好性を高める重要な要素の一つである。特に、果汁(果実の搾汁、ジュース)や果実、果皮、果実風味のフレーバー等を添加して果実風味をつけた清涼飲料水やアルコール飲料では、果実の香りは嗜好性を左右する要素である。しかし、果実に由来する大部分の果実の香気成分は、揮発性が高く、飲料に添加しても時間経過と共に失われやすい。このため、果実風味の飲料においては、飲用時により強い果実の香りが感じられるよう、様々な改良が試みられている。
例えば、アルコール飲料に柑橘風味を添加するために用いられる呈味改善剤として、柑橘類の果実、ホールペースト、香料、果汁、濃縮果汁、搾汁残渣、果皮及び/又はこれらの乾燥物のエタノール抽出物から精製した香気成分を含む呈味改善剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。その他、特許文献2には、果汁を含有するアルコール飲料に、酢酸ボルニルを特定の濃度範囲となるように添加することによって、果汁に含まれる果皮成分に起因する果皮感を増強する方法が開示されている。また、特許文献3には、高甘味度甘味料を含有し、かつ低果汁又は無果汁である飲料に、ゲンチオオリゴ糖を添加することによって、果汁感を増強できる方法が記載されている。
特開2010−41935号公報 特開2017−131134号公報 特開2011−206030号公報
容器詰飲料の開封時や飲用時に感じられるオルソネーザルアロマを強くする方法としては、飲料自体に含まれている香気成分の濃度を高くする方法がある。しかし、飲料に含まれる香気成分の濃度を高くすると、飲用時に感じられるレトロネーザルアロマも同時に強くなり、飲料の香味バランスが損なわれるおそれがある。また、飲料の組成によっては、飲料中の香気成分の濃度を高くしても、オルソネーザルアロマの強さを充分に強くはできない場合もある。
本発明は、香味バランスを損なうことなく、容器の開封時に感じる疎水性香気成分による香りが増強された容器詰飲料、及び疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填された容器詰飲料の嗜好性を改善する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、可食性水溶液からなる飲料に、疎水性香気成分を含有している疎水性液滴を、当該可食性水溶液と分離した状態で含有させることによって、容器詰飲料の開封時に感じられるオルソネーザルアロマの強さを向上させられることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る容器詰飲料等は、下記[1]〜[15]である。
[1] 疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填されて密封された容器詰飲料であって、
前記飲料は、前記疎水性香気成分を含有する可食性水溶液と、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴とを含有し、前記可食性水溶液と前記疎水性液滴が分離しており、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量が、前記可食性水溶液のみが前記容器と同種の容器に充填され密封された容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量よりも多く、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量は、開封された前記容器詰飲料の開口部から揮発する疎水性香気成分の量であることを特徴とする、容器詰飲料。
[2] 前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量は、
吸気口と排気口とを有し、開封した容器詰飲料を収容する本体と、前記排気口から排気された気体中の香気成分を捕集する捕集部材と、前記排気口から一定の排気速度で排気させるポンプと、を備える香気成分回収用装置の本体内に、開封した状態の前記容器詰飲料を収容し、
前記ポンプで前記本体内の気体を吸引することによって、前記捕集部材に捕集された前記疎水性香気成分の量である、前記[1]の容器詰飲料。
[3] 前記本体の容量が1Lであり、
前記ポンプによる前記本体内の気体の吸引は、毎分50mLの流量で5分間吸引することにより行う、前記[2]の容器詰飲料。
[4] 前記可食性水溶液における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度の割合が、0.20%以上であり、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度は、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を、前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度である、前記[3]の容器詰飲料。
[5] 前記疎水性液滴が、前記可食性水溶液の液面に存在する、前記[1]〜[3]のいずれかの容器詰飲料。
[6] 前記疎水性香気成分が、果実の香気成分である、前記[1]〜[5]のいずれかの容器詰飲料。
[7] 前記疎水性香気成分が、D−リモネンである、前記[1]〜[6]のいずれかの容器詰飲料。
[8] 前記可食性水溶液が、アルコールを含有する、前記[1]〜[7]のいずれかの容器詰飲料。
[9] 前記可食性水溶液が、炭酸ガスを含有する、前記[1]〜[8]のいずれかの容器詰飲料。
[10] 前記可食性水溶液が、果汁又は果実を含有する、前記[1]〜[9]のいずれかの容器詰飲料。
[11] ボトル缶、可撓性容器、又はガラス瓶に充填されている飲料である、前記[1]〜[10]のいずれかの容器詰飲料。
[12] 疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填された容器詰飲料の嗜好性を改善する方法であって、
容器詰飲料を開封し、その開口部から揮発する疎水性香気成分の量を、当該容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量とし、
前記飲料に、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴を混合して、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を、前記疎水性液滴を混合させる前の飲料を前記容器と同種の容器に充填し密封した容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量よりも多くなるように調整することを特徴とする、容器詰飲料の嗜好性改善方法。
[13] 前記疎水性液滴を混合させる前の飲料における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度の割合が、所望の範囲内となるように調整する、前記[12]の容器詰飲料の嗜好性改善方法。
[14] 吸気口と排気口とを有し、開封した容器詰飲料を収容する本体と、
前記排気口から排気された気体中の香気成分を捕集する捕集部材と、
前記排気口から一定の排気速度で排気させるポンプと、
を備える、香気成分回収用装置。
[15] 前記[14]の香気成分回収用装置の本体内に、開封した状態の前記容器詰飲料を収容し、
前記ポンプで前記本体内の気体を吸引することによって、開封された前記容器詰飲料の開口部から揮発した香気成分を前記捕集部材に捕集し、
前記捕集部材に捕集された香気成分の量を分析し、
得られた香気成分の量を、前記ポンプで前記本体内から吸引した気体量で除した濃度に基づいて、前記容器詰飲料のオルソネーザルアロマの強さを評価する、
容器詰飲料のオルソネーザルアロマの評価方法。
本発明に係る容器詰飲料は、疎水性香気成分を含有している容器詰飲料であって、容器の開封時に感じる疎水性香気成分による香りが強く、嗜好性に優れている。
また、本発明に係る容器詰飲料の嗜好性改善方法により、容器の開封時に感じられる香りが強化された容器詰飲料が製造できる。
また、本発明に係る香気成分回収用装置及び容器詰飲料のオルソネーザルアロマの評価方法により、容器詰飲料のオルソネーザルアロマの強さを、簡便かつ安定して評価することができる。
香気成分回収用装置の一態様を模式図である。
一般に、清涼飲料水やアルコール飲料等の飲料に含まれる香気成分は、飲料中に溶解又は分散されている。飲料中で香気成分が偏在すると、均質に製品を製造することが困難となる。このため、例えば、香りの強化や補香、風味矯正等を目的として飲料に使用される香料は、香気成分が水に溶解又は分散しやすいように処理されているものが多い。また、飲料に油脂等の疎水性物質が含まれる場合、疎水性物質が分離することは品質上好ましくないこととされ、乳化剤等を用いて乳化させたり、果実パルプに吸着させたりすることが一般的である。また、飲料の製造工程において疎水性物質が分離していると、均質に容器詰めすることが困難となる。
これに対して、本発明に係る容器詰飲料は、飲料の本体たる可食性水溶液(以下、「ベース液体」ということがある。)と、疎水性香気成分を含有している疎水性液滴とを含有しており、当該可食性水溶液と当該疎水性液滴とが分離している。飲料中の疎水性液滴は、1個であってもよく、複数個であってもよい。ベース液体とは分離した状態で存在している疎水性香気成分は、ベース液体に溶解や分散されている疎水性香気成分よりも香りとして感じられやすい。例えば、当該疎水性液滴がベース液体の液面に存在している場合には、当該疎水性液滴から揮発した疎水性香気成分により、飲料のオルソネーザルアロマ、特に容器の開封時のオルソネーザルアロマが増強される。
<疎水性香気成分>
本発明において用いられる疎水性香気成分は、ヒトに「におい」を感じさせる物質のうち、疎水性のものであれば、特に限定されるものではない。なお、疎水性の物質とは、25℃の水に滴下した場合に、少なくとも一部は相溶せずに界面を形成する物質である。すなわち、疎水性の物質は、水に完全に不溶であることまでは必要とせず、一部が水に溶解する物質も含まれる。本発明においては、一般的に飲食品に含まれる疎水性香気成分の中から、目的の香味特質を考慮して適宜選択して用いることができる。
本発明において用いられる疎水性香気成分としては、より香りとしてヒトが感じ取りやすいことから、常温常圧で揮発しやすい物質が好ましい。常温常圧で揮発しやすい疎水性香気成分としては、例えば、沸点が260℃以下の疎水性香気成分が挙げられる。
本発明において用いられる疎水性香気成分としては、目的とする飲料の風味に応じて適宜選択することができるが、飲料に広く使用されていることから、特定の植物の特徴的な香りを構成する成分(特徴香成分)であることが好ましく、果実やハーブ(香草)の特徴香成分であることがより好ましい。なお、「特定の植物の特徴香成分」は、当該植物の特徴的な香りとヒトが認識し得る香りを構成する成分であれば、当該植物に含有されている香気成分に限定されるものではなく、当該植物に含有されていない香気成分も含まれる。
本発明において用いられる疎水性香気成分としては、レモン、ライム、ユズ、シークヮーサー、スダチ、カボス、グレープフルーツ、オレンジ、伊予柑、温州みかん、夏みかん、八朔、日向夏等の柑橘類;イチゴ、モモ、メロン、ブドウ、リンゴ、洋ナシ、ナシ、サクランボ等のソフトフルーツ;バナナ、パイナップル、マンゴー、パッションフルーツ等のトロピカルフルーツ;ペパーミント、セージ、タイム、レモングラス、シナモン、ローズマリー、カモミール、ラベンダー、ローズヒップ、ペッパー、バニラ等のハーブ;などの特徴香成分が好ましい。
柑橘類のうち、レモンの特徴香成分は、シトラール、ネロール、ゲラニオール、酢酸ネリル、酢酸ゲラニル等が挙げられ、シトラールはレモン由来の精油(オイル)に含まれる含酸素化合物の半分以上を占める。グレープフルーツの特徴香成分としては、オクタナール、デカナール、ヌートカトン等が挙げられ、ユズの特徴香成分としては、リナロール、チモール、ユズノン(登録商標)、N−メチルアントラニル酸メチル等が挙げられる。オレンジの特徴香成分としては、オクタナール、デカナール、リナロール、酢酸ゲラニル、シネンサール等が挙げられる。
柑橘類以外の果実やハーブとしては、例えば、モモの特徴香成分としては、γ−ウンデカラクトン等が挙げられる。ブドウの特徴香成分としては、メチルアンスラニレート等が挙げられる。ミントの特徴香成分としては、メントール等が挙げられる。バニラの特徴香成分としては、バニリン等が挙げられる。
<疎水性液状組成物>
本発明に係る容器詰飲料に形成されている疎水性液滴は、疎水性香気成分を含有する疎水性液状組成物からなる。当該疎水性液状組成物に含まれている疎水性香気成分は、1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。また、化学合成品であってもよく、動植物等の天然物から抽出・精製されたものであってもよい。
本発明において、疎水性液滴を形成する疎水性液状組成物は、疎水性香気成分のみからなる組成物であってもよく、疎水性香気成分以外の疎水性物質を含有していてもよい。当該疎水性物質としては、例えば、油脂や、天然物からの有機溶媒抽出物に疎水性香気成分と共に抽出された疎水性物質等が挙げられる。より十分な香り増強効果が得られることから、当該液状組成物全体に対する疎水性香気成分の含有量は、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がよりさらに好ましい。
当該疎水性液状組成物は、沸点が比較的高くて不揮発性の成分を含んでいてもよい。含有されている疎水性香気成分が速やかに揮発して香りとして認識されやすくなり、より十分な香り増強効果が得られることから、当該疎水性液状組成物は、構成成分のうち80質量%以上が、沸点が260℃以下の成分であることが好ましい。
例えば、植物に含有されている疎水性香気成分は、植物から抽出された精油に多く含まれている。このため、疎水性液滴を構成する疎水性液状組成物には、精油やその加工物を含有させてもよい。精油の加工物としては、精油の濃縮物や、精油から一部成分を除去したものが挙げられる。精油は、植物の花、蕾、果実(果皮、果肉)、枝葉、根茎、木皮、樹幹、樹脂等から、水蒸気蒸留法、熱水蒸留法(直接蒸留法)等の常法によって植物から留出することができる。精油の加工処理は、蒸留法、晶析法、化学処理法等の常法により行うことができる。
精油は、一般に水より軽く、テルペン類を主成分とする疎水性の液状組成物である。テルペン類は、テルペン炭化水素とテルペノイドとからなる。テルペノイドは、テルペン炭化水素から誘導されるアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル等の含酸素誘導体である。
例えば、柑橘類の果実から抽出された精油を含む疎水性液状組成物で疎水性液滴を構成することにより、柑橘類の香りが良好な容器詰飲料を製造できる。柑橘類の特徴香成分は、果実の中でも特に果皮に多く含まれているため、特に果皮から抽出された精油を用いることが好ましい。
柑橘類から得られる精油成分の90%以上は、テルペン炭化水素であり、その主な成分はD−リモネンであるが、香りに対する貢献度は低い。柑橘類の香りを特徴づける成分として重要なのは、精油中に数%存在するアルデヒド類、アルコール類、エステル類などの含酸素化合物(テルペノイド)である。そこで、飲食品に添加される香料としては、D−リモネンなどのテルペン炭化水素を除去し、シトラールなどの含酸素化合物(テルペノイド)の含有比を増大させたテルペンレスオイルやフォールディッドオイルなどが広く使用されている。本発明に係る容器詰飲料においても、疎水性液滴を構成する疎水性液状組成物に、テルペンレスオイルやフォールディッドオイル等を含有させることができる。
柑橘類の精油からテルペン炭化水素を除去し、テルペノイドの含有比を増大させると、香りは強くなるものの、香りの自然さは減弱されるおそれがある。より自然な柑橘類の香りの強い容器詰飲料を製造できるため、疎水性液滴を構成する疎水性液状組成物中のテルペン類全体に対するテルペノイドの含有比は、10〜40質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましく、20〜30質量%であることがよりさらに好ましい。疎水性液状組成物中のテルペン類全体に対するテルペン炭化水素の含有比は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。また、疎水性液状組成物中のテルペン類全体に対するD−リモネンの含有量は、40〜60質量%とすることが好ましく、50〜60質量%とすることがより好ましい。また、疎水性液状組成物中のテルペン炭化水素に対するD−リモネンの含有量は、50〜80質量%とすることが好ましく、60〜75質量%とすることがより好ましい。
疎水性液状組成物は、本発明の効果を損なわない限度において、疎水性香気成分以外のその他の成分を含有していてもよい。当該他の成分としては、油溶性溶剤、疎水性香気成分の劣化を抑制する物質等が挙げられる。例えば、疎水性液状組成物は、疎水性香気成分を液状油等の液状の疎水性溶媒に溶解させた油溶性香料を含有させることもできる。また、精油又はその加工物と油溶性香料を両方とも疎水性液状組成物に含有させてもよい。
疎水性液状組成物の密度が、ベース液体の密度より小さい場合、当該疎水性液状組成物から形成される疎水性液滴は、容器詰飲料のベース液体の液面に位置する。通常、容器詰飲料においては、容器の開口部は、容器本体に充填されたベース液体の液面(天面)側に存在する。つまり、ベース液体よりも密度の小さい疎水性液滴は、容器開口部に最も近いベース液体の液面に浮いており、容器開口部付近の空間には、当該疎水性液滴から揮発した疎水性香気成分が含まれる。このため、容器を開封した際のオルソネーザルアロマを強く感じることができる。
<ベース液体>
本発明に係る容器詰飲料のベース液体は、飲料の本体となる可食性の水溶液である。当該ベース液体としては、水を含む各種の飲料をそのまま使用することができる。当該ベース液体としては、ノンアルコール飲料であってもよく、アルコール飲料であってもよい。また、炭酸ガスを含有していない非発泡性飲料であってもよく、炭酸ガスを含有する発泡性飲料であってもよい。また、発酵工程を経て製造される飲料であってもよく、発酵工程を経ずに製造される飲料であってもよい。
本発明に係る容器詰飲料のベース液体は、全体として流動性のある状態であれば、果実パルプ、ゼリー等の固体を含んでいてもよい。また、成分として水を含有していればよく、水、酒類、果汁そのものであってもよい。
ベース液体は、例えば、原料水に、その他の成分を混合し、必要に応じて炭酸ガスを圧入することにより製造できる。当該その他の成分としては、例えば、酒類、炭酸水、果実、野菜類、ハーブ、糖類、香味料、その他の食品素材、食品添加物などが挙げられ、これらを適宜選択して使用する。ベース液体全体として水を含有していればよく、原料水を原料とせず、炭酸水、酒類、果汁等の水を含有する液体を用い、当該液体にその他の成分を混合してもよい。
ベース液体に含有させる酒類としては、原料用アルコール;ウォッカ、ウイスキー、ブランデー、焼酎、ラム酒、スピリッツ、及びジン等の蒸留酒;ワイン、シードル、ビール、日本酒等の醸造酒;リキュール、ベルモットなどの混成酒等が挙げられる。ベース液体に含有させる酒類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。なお、本発明に係る容器詰飲料が酒類と食品素材を混合した液体をベース液体とする場合には、当該飲料は、日本国の酒税法(平成三十年四月一日施行)上、リキュール(エキス分が二度以上)又はスピリッツ(エキス分が二度未満)に分類される。
ベース液体のアルコール度数(エタノールの体積濃度)は特に制限されず、目的とする製品品質に応じて適宜決定される。例えば、ベース液体のアルコール度数を、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、さらに好ましくは3容量%以上になるように、ベース液体の酒類含有量を調整することができる。
疎水性香気成分の中には、アルコールに溶解しやすいものもある。疎水性液滴に含有させる疎水性香気成分がアルコールに溶解しやすい香気成分であり、かつベース液体のアルコール濃度が高い場合には、疎水性液滴中の疎水性香気成分の一部がベース液体に溶解してしまうことがある。このため、ベース液体のアルコール含有量は、ベース液体と疎水性液滴が分離可能であり、かつ風味のバランスを崩さない程度とすることが好ましい。例えば、アルコール度数を好ましくは15容量%以下、より好ましくは10容量%以下、さらに好ましくは8容量%以下になるように、ベース液体の酒類含有量を調整することができる。
なお、疎水性液滴中の疎水性香気成分の一部がベース液体に溶解した後でも、疎水性香気成分を含有する疎水性液滴がベース液体と分離した状態で飲料中に残るように、予め損失分を加味した十分量の疎水性液状組成物をベース液体に混合させることが好ましい。具体的には、ベース液体に疎水性液状組成物を混合させた後の飲料全体に対する疎水性香気成分の濃度、すなわち、([疎水性液状組成物を混合させる前のベース液体に含有されていた疎水性香気成分の量]+[ベース液体に混合させた疎水性液状組成物に含有されていた疎水性香気成分の量])/([ベース液体の量]+[疎水性液状組成物の量])が、当該疎水性香気成分の25℃におけるベース液体に対する溶解度よりも大きくなるように、疎水性液状組成物における疎水性香気成分の濃度やベース液体へ混合させる量を適宜調整することが好ましい。
ベース液体に含有させる果実、野菜類、ハーブは、特に限定されるものではなく、飲料に一般的に使用される果実等を適宜選択して使用することができる。例えば、果実やハーブとしては、疎水性香気成分に由来する果実やハーブとして挙げられたものを用いることができる。また、野菜類としては、トマト、ニンジン、ホウレン草、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、レタス、パセリ、クレソン、ケール、大豆、ビート、赤ピーマン、カボチャ、小松菜等を用いることができる。ベース液体に含有させる果実、野菜類、ハーブは、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
ベース液体には、果実等の細断物をそのままベース液体に含有させてもよく、果汁や野菜汁のような搾汁を原料として添加してもよい。なお、果汁は、日本国においては果実飲料の日本農林規格、国際的には果汁及びネクターに関するコーデックス規格(CODEX STAN 247‐2005)に定義されている。ベース液体の調製に使用する原料としては、濃縮果汁や還元果汁等を使用してもよく、不溶性固形分の一部が除去されて清澄化された果汁を用いてもよい。
ベース液体には、果実エキス、野菜エキスを原料として添加してもよい。特に、疎水性液滴に含まれる疎水性香気成分が、果実やハーブの特徴香成分である場合には、ベース液体には、当該疎水性香気成分と同種の果実等の果汁やエキスを含有することが好ましい。
果実エキス、野菜エキスは、果実や野菜の細断物から水やアルコールを用いて果実や野菜に含まれる成分を抽出したものである。これらのエキスは、例えば、熱水抽出による方法や、液化ガスを用いて果実成分を溶出させた後、液化ガスを気化させ、果実成分を分離、回収する方法などによって製造される。
糖類は、単糖類・二糖類の総称であり、砂糖(ショ糖、スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、異性化糖などがある。これらの糖類をベース液体に含有させることで、飲料に甘味やボディ感等を付与することができる。ベース液体に含有させる糖類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
さらに、ベース液体には、香味料やその他の食品素材を含有させることができる。その他の食品素材としては、例えば、食物繊維、酵母エキス、タンパク質若しくはその分解物等が挙げられる。中でも、水溶性食物繊維は、飲料にボディ感やその他の機能性を付与するために広く使用されている。水溶性食物繊維とは、水に溶解し、かつヒトの消化酵素により消化されない又は消化され難い炭水化物を意味する。水溶性食物繊維としては、例えば、大豆食物繊維、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン、イヌリン、グアーガム分解物、ペクチン、アラビアゴム等が挙げられる。これらの水溶性食物繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベース液体に含有させてもよい食品添加物は、国の法令に基づいて使用可能な物品を用いることができ、その範囲において特に制限されない。例えば、食品の品質を保つための保存料や酸化防止剤等、食品の嗜好性の向上を目的とした着色料、香料、甘味料、酸味料、乳化剤等、食品の製造または加工のために必要なpH調整剤、消泡剤、起泡剤等や、栄養成分の補充、強化に使われる栄養強化剤を、必要に応じて含有させることができる。これらの添加剤は、飲料に一般的に用いられるものの中から適宜選択して用いることができる。
また、飲料のpHは、微生物制御、香気成分の劣化抑制などの目的に応じて調整されてもよい。一般に、飲料のpHが低いほど微生物が発育し難くなる。一方で、pHが低すぎると、酸味が強くなりすぎる。また、香気成分の中には、pHが低くなると劣化しやすいものもある。飲料として適した酸味の強さや香気成分の劣化抑制の点から、ベース液体のpHは、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上である。また、微生物の生育抑制、殺菌条件の強度等を考慮し、ベース液体のpHは、アルコールを含有していない場合は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは4.0未満であり、アルコールを含有している場合は、好ましくは6.5以下、より好ましくは5.0以下である。
上述した食品素材や食品添加物は一例であり、本発明に係る容器詰飲料に含有させるものはこれらに限定されるものではない。使用する食品素材や食品添加物の種類や含有量は、目的に応じて適宜選択、調整すればよい。
ベース液体は、全ての原料を均一に混合して調製する。原料に疎水性の成分が含まれている場合には、適切な乳化剤等を使用して乳化処理して均一にする。また、ベース液体に果実パルプ等の不溶性固形分が含まれている場合も、均一になるように充分に攪拌処理する。乳化処理や攪拌処理は、飲料の製造で汎用されているホモジナイザーや攪拌装置を使用して行うことができる。例えば、ベース液体が疎水性香気成分を含有する場合には、当該疎水性香気成分がベース液体中に均一に分散するように、乳化剤を併用して混合することが好ましく、適切な乳化処理を行うことがより好ましい。
ベース液体が、疎水性の成分や不溶性固形分を含有していない場合には、これらを含有する場合よりも、ベース液体の均一性がより容易に安定して保持できる。ベース液体が均一であるほうが、疎水性液滴がベース液体からより安定して分離でき、好ましい。
さらに、ベース液体に炭酸ガスを圧入して、炭酸飲料としてもよい。このときのガスボリュームは、目的に応じて適宜決定すればよいが、容器の耐圧や製造条件によって制限されることになる。例えば、製造工程において加熱殺菌を行う場合は、加熱中の容器内の圧力を、容器の耐圧以下にする必要があるため、加熱殺菌を行わない場合に比べて、ガスボリュームは制限される。
なお、炭酸ガスが静菌作用を有することから、容器内の炭酸ガス圧力が20℃で98kPa以上であり、飲料に果汁や果実、乳等の植物又は動物の組織成分を含まない場合、加熱殺菌が不要であり、ガスボリュームを高くすることができる。
調製されたベース液体に、不溶物が生じた場合には、当該ベース液体に対して濾過等の不溶物を除去する処理を行うことが好ましい。不溶物除去処理は、特に限定されるものではなく、濾過法、遠心分離法等の当該技術分野で通常用いられている方法で行うことができる。本発明においては、不溶物は濾過除去することが好ましく、珪藻土濾過により除去することがより好ましい。
<容器>
ベース液体と疎水性液状組成物とを容器に封入する、すなわち、充填して密閉することにより、本発明に係る容器詰飲料が得られる。使用できる容器に特に制限はなく、ツーピース飲料缶、スリーピース飲料缶、ボトル缶、可撓性容器、ガラス瓶などを用いることができる。可撓性容器としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の可撓性樹脂をボトル形状等に成形してなる容器が挙げられる。可撓性容器は、単層樹脂からなるものであってもよく、多層樹脂からなるものであってもよい。
本発明に係る容器詰飲料が発泡性飲料の場合、耐圧性の高い容器を使用する。現在、流通しているアルミニウム(合金)製ツーピース飲料缶やアルミニウム(合金)製ボトル缶のメーカー保証耐圧は、高いもので686kPa程度であり、実際の耐圧を考慮すると加熱殺菌を要する場合はおおよそ3.2ガスボリューム以下、加熱殺菌が不要な場合はおおよそ3.8ガスボリューム以下となる。
疎水性香気成分を始めとする疎水性物質の中には、樹脂を溶解又は劣化させるものがある。このため、可撓性容器や容器の一部に樹脂を使用している容器を用いる場合には、飲料中の疎水性液滴中に含まれている疎水性の物質によって溶解や劣化等の影響を受けない樹脂を用いることが好ましい。例えば、ツーピース飲料缶やスリーピース飲料缶などに用いられるシーリングコンパウンドは樹脂を主成分としており、ボトル缶のキャップのライナーにも樹脂が含まれる。
例えば、柑橘類から得られる精油成分の多くはD−リモネンであり、飲料に自然な柑橘類の香りを付与するためには、疎水性物質にD−リモネンをある程度含有させる必要がある。一方で、D−リモネンは、スチレン・ブタジエンゴム等を主成分とするシーリングコンパウンドやキャップライナーを溶解させる恐れがある。したがって、D−リモネンを含有する疎水性液滴を含む飲料を封入する容器としては、D−リモネン耐性の高い樹脂が使用されている容器、例えば、フッ素ゴム、ニトリルゴム(NBR)、鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等が使用された容器が好ましい。このような容器としては、フッ素ゴム、ニトリルゴム(NBR)等を主成分とするシーリングコンパウンドを使用したツーピース飲料缶又はスリーピース飲料缶や、キャップライナーとしてL−LDPEを用いたボトル缶が挙げられる。
<容器詰飲料>
本発明に係る容器詰飲料は、疎水性香気成分を、ベース液体に分離した疎水性液滴に内包した状態で含有する。疎水性液滴は、飲料を顕微鏡で観察することで確認できる。また、疎水性液滴の密度がベース液体よりも小さい場合には、疎水性液滴は、飲料の液面に浮いているため、目視で確認できる場合もある。
ベース液体に添加された疎水性液状組成物中の疎水性香気成分は、容器中で揮発してヘッドスペース(静置した容器内における、飲料の上部の空間)内の疎水性香気成分の濃度を増大させる、又は、ベース液体に含まれる疎水性香気成分よりも揮発しやすい。そして、開封時に容器開口部から揮発する疎水性香気成分の量(以下、「揮発疎水性香気成分の量」ということがある)が多くなり、感じられるオルソネーザルアロマの強さが強くなり、嗜好性が改善される。ベース液体に添加する疎水性液状組成物の量は、疎水性液状組成物として添加される疎水性香気成分の量が、ヘッドスペース内の疎水性香気成分の濃度を、等量のベース液体のみが前記容器と同種の容器に充填され密封された容器詰飲料(すなわち、疎水性液状組成物を添加しないこと以外は同じ方法で製造された容器詰飲料)の揮発疎水性香気成分の量を多くできる量であれば、特に限定されるものではなく、飲料の香味バランスや求める製品品質に応じて適宜決定することができる。
なお、疎水性以外の香気成分についても、疎水性香気成分と同様に、ヘッドスペース内の当該香気成分の濃度、又は当該香気成分の揮発のしやすさが、開封時等に感じられるオルソネーザルアロマの強さに影響する。すなわち、任意の香気成分について、容器中のヘッドスペースにおける当該香気成分の濃度が所望の範囲内となるように調整することにより、容器詰飲料の開封時に感じられる当該香気成分の強さを向上させことができ、嗜好性を改善できる。
<容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の測定方法及び香気成分回収用装置>
容器詰飲料の揮発疎水性香気成分は、例えば、図1に示すような、開封された容器詰飲料7を収容する本体2と、捕集部材3と、ポンプ4とを備える香気成分回収用装置1を用いて捕集することができる。本体2は、吸気口2aと排気口2bとを有しており、吸気口2aと排気口2b以外は気密の状態で、開封した容器詰飲料7を内部に収容できる。本体2としては、例えば、セパラブルフラスコ等を用いることができる。排気口2bと捕集部材3は、直接連結させてもよく、シリコンチューブ等の連結管5を介して連結させてもよい。ポンプ4と捕集部材3も、直接連結させてもよく、シリコンチューブ等の連結管5を介して連結させてもよい。
本体2中の気体は、ポンプ4によって一定の排気速度で排気口2bから排出され、排気口2bに連結された捕集部材3を通過して排出される。この際に、本体2内部が陰圧とならないよう、吸気口2aから大気が供給される。吸気口2aは直接大気に接触させてもよいが、大気中の各種成分が本体2に持ち込まれることを防止するために、吸気口2aには、活性炭フィルター6のような気体中の不純物を除去する部材を、直接又はシリコンチューブ等の連結管5を介して設置し、当該部材を通過した大気のみを本体2の内部に吸気することが好ましい。
開封された容器詰飲料7のヘッドスペースの気体及び揮発した気体は、本体2内部の気体と共に排気口2bから排出され、捕集部材3を通過する。このため、飲料から揮発した香気成分は、捕集部材3に捕集される。捕集部材3は、捕集する目的の香気成分が捕集可能な部材であれば特に限定されるものではなく、各種の吸着剤を用いることができる。例えば、捕集する目的の香気成分が、テルペン類の場合、2.6-Diphenyl-p-phenylene Oxide等を主成分とする吸着剤を充填したカラムを、捕集部材3として用いることができる。捕集部材3として、親水性香気成分を捕集可能な吸着剤を使用することにより、当該香気成分回収用装置1を用いて親水性香気成分を捕集することも可能である。目的の香気成分を吸着する吸着剤を充填したカラムを排気口2bに連結して、排気口2bから排出された気体を当該カラムに通過させる。これにより、当該カラム中の吸着剤に、目的の香気成分が吸着される。
排気口2bからの排気速度や排気時間は、容器詰飲料のヘッドスペースの気体及び揮発した気体を排気口2bから排気して捕集部材3に通過させることが可能な条件であれば、特に限定されるものではなく、本体2の容量、容器詰飲料のヘッドスペースの容量等を考慮して適宜設定することができる。例えば、本体2の容量が、0.5〜2Lであり、ヘッドスペースの容量が10〜100mLの場合、10〜100mL/分の排気速度で、5〜30分間排気することができる。
開封された容器詰飲料から揮発した香気成分は、まず、図1に示す香気成分回収用装置1を用いて捕集部材3に捕集される。次いで、捕集部材3に捕集された香気成分の量を分析する。捕集部材3に捕集された香気成分の分析は、まず、香気成分回収用装置1から捕集部材3を外し、捕集部材3に吸着されている香気成分を吸着剤から外して回収し、これを分析装置で分析する。捕集部材3からの香気成分の脱着及び回収は、加熱処理等の公知の手法の中から適宜選択して行うことができる。捕集部材3から回収した香気成分は、分析に供される前に、濃縮処理がなされてもよい。
捕集部材3から脱着された疎水性香気成分は、例えば、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)により定量することができる。GC−MSによる定量は、例えば、得られたクロマトグラムにおける各成分のピークの大きさや面積に基づいて、面積百分率法等を用いた常法により定量できる。なお、ベース液体の疎水性香気成分の濃度や、飲料中の疎水性香気成分の濃度も、同様に、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)により定量することができる。
<容器詰飲料の嗜好性改善方法>
容器詰飲料の開封時等に感じられるオルソネーザルアロマの強さは、容器開口部から揮発した揮発疎水性香気成分の濃度に相関する。本発明及び本願明細書において、「容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度」(以下、「HA濃度」ということがある)は、開封した容器詰飲料の開口部からの揮発疎水性香気成分の回収量を、当該揮発疎水性香気成分の回収に要した気体の量で除した濃度を意味する。揮発疎水性香気成分を前記香気成分回収用装置を用いて回収した場合には、前記捕集部材に捕集された香気成分の量(g)を、前記ポンプで前記本体内から吸引した気体量(L)で除した濃度([揮発疎水性香気成分の量(g)]/[前記ポンプで前記本体内から吸引した気体量(L)])である。
容器詰飲料におけるHA濃度を高めることにより、開封時に感じられるオルソネーザルアロマが強く感じられる容器詰飲料が得られる。飲料の嗜好性には、飲料として好ましい強さのオルソネーザルアロマが感じられることが重要であり、HA濃度が所望の範囲内となるように調整することにより、容器詰飲料の開封時にオルソネーザルアロマとして感じられる当該疎水性香気成分の強さを適切に向上させることができ、ひいては嗜好性を改善できる。
ベース液体における疎水性香気成分の濃度(g/L)(以下、「HA濃度」と表すことがある。)に対するHA濃度の割合([HA濃度]/[HA濃度]×100(%))(以下、「C/C」と表すことがある。)が高いほど、高い嗜好性改善効果が得られる。つまり、容器詰飲料のオルソネーザルアロマの強さは、C/Cに基づいて評価することができる。C/Cが大きいほど、ベース液体に含まれる疎水性香気成分の濃度(飲用時感じられる香り)に対してオルソネーザルアロマが強い容器詰飲料であると評価される。
本発明に係る容器詰飲料においては、C/Cは、ベース液体のみが同種の容器に充填され密封された容器詰飲料、すなわち、当該疎水性液状組成物が添加されない以外は同じ条件で製造された容器詰飲料のC/Cよりも高ければ特に限定されるものではない。より十分な嗜好性改善効果が得られることから、本発明に係る容器詰飲料のC/Cは、0.2%以上であることが好ましく、0.2〜5.0%であることがより好ましく、0.3〜4.0%であることがさらに好ましい。
<容器詰飲料の製造方法>
本発明に係る容器詰飲料は、疎水性液状組成物を、疎水性液滴が形成されるようにベース液体に混合する以外は、一般的な容器詰飲料と同様にして製造することができる。
なお、以降において、目的の飲料のベース液体としては未完成の液体を、「ベース液体中間液」という。ベース液体中間液としては、例えば、原料の一部を含有していないもの、後工程で除去される成分等を含むものなどがある。
一般的に、容器詰飲料製品は、濃縮シロップを調製するシロップ調製工程、濃縮シロップと水とを混合する希釈工程、飲料を容器に充填する充填工程等を経て製造される。発泡性飲料の場合、希釈工程と充填工程の間に、必要に応じて炭酸ガスを圧入するガス導入工程が設けられる。本発明に係る容器詰飲料がガス導入工程なしに製造される場合、例えば、濃縮シロップがベース液体中間液に相当し、濃縮シロップと水とを混合して希釈された液がベース液体に相当する。本発明に係る容器詰飲料がガス導入工程を経て製造される場合、例えば、濃縮シロップとその希釈液がベース液体中間液に相当し、濃縮シロップの希釈液に炭酸ガスを導入した液体がベース液体に相当する。
疎水性液状組成物は、シロップ調製工程後から容器に充填し密封するまでの間のいずれかの時点で、ベース液体中間液又はベース液体に混合される。最終的に喫飲のために開封される時点において、原料として添加された疎水性液状組成物の少なくとも一部が、ベース液体と分離した状態の疎水性液滴として存在していればよい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<開封された容器詰飲料から揮発したD−リモネンの回収>
以降の実験において、開封された容器詰飲料から揮発したD−リモネンは、特に記載のない限り、以下の方法で回収した。
1L容の2口セパラブルフラスコと、捕集管と、定量ポンプとを備える香気成分回収用装置を用いて回収した。捕集管としては、100mgの「TENAX TA」(2.6-Diphenyl-p-phenylene Oxideを主成分とする吸着剤、ジーエルサイエンス社製)が充填されたカラムを用いた。2口セパラブルフラスコの一方の口には、シリコン製チューブを経て捕集管を連結し、当該捕集管と定量ポンプをシリコン製チューブで連結した。2口セパラブルフラスコの残る一方の口には、シリコンチューブを経て活性炭フィルターを連結させ、この活性炭フィルターを介した空気を、2口セパラブルフラスコの内部に吸気させた。
開封した容器詰飲料を、1L容のセパラブルフラスコ内に置き、2口セパラブルカバーを被せてバンド留めした。次いで、定量ポンプを毎分50mLの流量で5分間吸引稼働させ、容器内の雰囲気ガス中の香気成分を捕集管内のTENAX TAに吸着させた。
<容器詰飲料から揮発したD−リモネンの定量分析(D−リモネンのHA濃度の測定)>
前記捕集管に回収されたD−リモネンは、以下の方法で分析した。
D−リモネンを吸着させた捕集管を香気成分回収用装置から外し、TDU(Thermal Desorption Unit))CIS(Cooled Injection System)装置にセットして、加熱脱着させ、その後、低温で濃縮させた。濃縮後のサンプルを、GC/MS装置のGCに加熱導入し、測定した。GC/MSは下記の条件で行った。電子衝撃イオン化法を用いてスキャンモードでマススペクトルを測定することにより、m/z=136がD−リモネンの主要なフラグメントイオンであることを確認し、SIMモードで測定を行った。
(GC/MS条件)
GC/MS装置:HP7890A/5975C(アジレント・テクノロジー社製)
キャピラリカラム:DB−5MS(60m×0.25mm×0.25μm、アジレント・テクノロジー社製)
キャリアガス:ヘリウム
流量:1mL/分
注入口温度:250℃
注入モード:スプリットレスモード
温度プログラム:40℃で5分間保持→160℃まで5℃/分で昇温→240℃まで10℃/分で昇温→240℃で10分間保持
得られたクロマトグラムから、D−リモネンのピーク面積を算出し、全ピーク面積に対する比率(D−リモネンのピーク面積比率)を求めた。
濃度既知のD−リモネンのエタノール溶液を吸着させた捕集管について同様に同じ装置に供し、D−リモネンのピーク面積比率を求めて、D−リモネン量とピーク面積比率の関係を示す検量線を作成した。作成した検量線に基づき、容器詰飲料から回収されたD−リモネンを定量した。
<可食性水溶液中のD−リモネンの定量分析(D−リモネンのHA濃度の測定)>
以降の実験において、容器詰飲料の飲料又はベース液体中のD−リモネンの定量分析は、特に記載のない限り、以下の方法で行った。
試料の水溶液部30gを50mL容遠沈管に量り取り、2.5g/Lに調整した酢酸ヘキシルのエタノール溶液を100μL、塩化ナトリウム6g、ヘキサン10mLを添加して密栓し、リストアクションで200rpm、20分間の条件で抽出した。これを遠心機で3000rpm、10分間の条件で分離させ、ヘキサン層を無水硫酸2.00gが入った10mL容試験管に採取し、30分間静置して脱水させた。これをヘキサンで10倍に希釈し、1μLを上記と同条のGC/MS分析に供した。
<飲料のオルソネーザルアロマの官能評価>
以降の実験において、オルソネーザルアロマの官能評価は、特に記載のない限り、以下の方法で行った。
ブラインドにてサンプルの匂いを嗅ぎ、香気成分を添加していない飲料を対照として、目的とする香りの強さを7段階(1:香りを感じない(対照と差なし)、2:香りをやや感じる、3:香りを感じる、4:やや強く香りを感じる、5:強く香りを感じる、6:とても強く香りを感じる、7:非常に強く香りを感じる)で評価した。官能評価はN=3で実施し、評点の平均値を各サンプルの評点とした。評点2以上で、香気成分を添加したことによるオルソネーザルアロマ増強効果がある、とした。
[参考例1]
市販の缶入りレモンチューハイ6種について、開封された容器詰飲料から揮発したD−リモネン濃度(HA濃度)と飲料中のD−リモネン濃度(HA濃度)を定量分析し、C/Cを求めた。なお、全ての市販品において、油状の液滴は確認されず、ベース液体のみからなる飲料であった。測定結果を表1に示す。この結果、ベース液体のD−リモネン濃度が高いほど、容器開口部から揮発したD−リモネン濃度は高かった。また、C/Cは0.07〜0.15%であり、ベース液体のD−リモネン濃度が高いほど、C/Cは小さい傾向が観察された。
Figure 2021151204
[実施例1]
フレーバーオイルを、飲料のベース液体に乳化させて含有させた飲料と、ベース液体とは分離して添加した飲料について、フレーバーオイルに由来する香り(オルソネーザルアロマ)の強さを調べた。
表2に記載の組成のサンプル1〜4を調製した。使用する原料は全て、常温に2時間程度置いたものを用い、秤取にはメスシリンダー又はピペットマンを用いた。水は、逆浸透膜と連続イオン交換を用いて純化処理を行った水を使用した。レモンオイルは、D−リモネンを57質量%含有するものを用いた。
Figure 2021151204
まず、容器に糖酸液(原料用アルコール(Alc.95.3%):300.8g/L、ショ糖:84g/L、無水クエン酸:12.4g/L、クエン酸三ナトリウム:8.6g/L)を秤取り、水を加えた。サンプル2及び4に対しては、水と共に乳化剤を流し込みながら加えた。乳化剤は、ビーカーに直接秤取り、少量(10mL程度)の水を加えて、スパーテルで撹拌してスラリー状にした後に水を加えて、泡立ないよう注意しながら数回に分けて流し込んだ。次いで、サンプル3及び4に対しては、エタノールを加えた。続いて、サンプル2及び4に対して、レモンオイルを加えた後、全てのサンプルについて、泡立てないように注意しながらよく混合し、炭酸水を穏やかに加え、さらに、泡立てないようにして5〜6回転倒混和した。各サンプルについて、50mLずつコップに分注し、以降の測定に供した。サンプル1及び3に対しては、コップへ分注後、開口部から6μLのレモンオイルを滴下して後添した。
各サンプル(N=3)について、開封された容器詰飲料から揮発したD−リモネンを回収して定量し、D−リモネンのピーク面積を求めた。サンプル2及び4については、コップに分注後、直ちに香気成分回収用装置に設置した。サンプル1及び3について、コップに分注してレモンオイルを後添した後、直ちに香気成分回収用装置に設置した。各サンプルのD−リモネンのピーク面積の測定結果を表3に示す。
Figure 2021151204
表3に示すように、各サンプルについて、測定間の差はあまり大きくなく、この香気成分回収用装置を使用した、開封された容器詰飲料から揮発した香気成分の定量分析法は比較的安定した信頼できる測定結果が得られることが確認された。また、レモンオイルを後添したサンプル1及び3は、サンプル2及び4と比べて明らかにD−リモネンの回収量が多かった。この結果から、レモンオイルを乳化剤と共に均一に乳化させたベース液体のみからなる飲料よりも、レモンオイルをベース液体とは分離した状態で液面表面に有する飲料のほうが、オルソネーザルアロマとして感じられる柑橘香が強くなることが示された。
また、エタノールを含有するサンプル4は、ノンアルコール飲料であるサンプル2よりもD−リモネンの回収量が少なかった。これは、エタノールにD−リモネンを始めとするレモンオイル由来の香気成分が溶解したため、香りとして放出されなかったためと推察された。一方で、サンプル2と4とは異なり、レモンオイルを後添したサンプル1と3では、D−リモネンの回収量の差はほとんどなかった。そこで、サンプル1及び3について、D−リモネンの回収時の捕集時間を、5、10、及び20分間として、D−リモネンの回収量を調べた。各サンプルのD−リモネンのピーク面積の測定結果を表4に示す。
Figure 2021151204
表4に示すように、両サンプルについて、回収されるD−リモネンの量はおおよそ同程度であり、レモンオイル等のフレーバーオイルをベース液体とは分離した状態で液面表面に存在させることにより、オルソネーザルアロマが感じられ難いアルコール飲料であっても、開封された容器詰飲料から揮発する香気成分濃度を高くできることが確認された。
サンプル1〜4について、オルソネーザルアロマとして感じられる柑橘香の強さを調べた。具体的には、調製されたサンプル1〜4について、オルソネーザルアロマとして感じられる柑橘香の強さを14名のパネルにより官能評価した。各サンプルの評価を表5に示す。
Figure 2021151204
この結果、サンプル1はサンプル2よりも有意に柑橘香が強く、サンプル3はサンプル4よりも有意に柑橘香が強かった。これらの結果から、レモンオイル等のフレーバーオイルをベース液体とは分離した状態で液面表面に存在させることにより、オルソネーザルアロマを強くできること、この効果は、オルソネーザルアロマが感じられ難いアルコール飲料であっても得られることが確認された。
[実施例2]
実施例1と同様にして、レモンオイルを、飲料のベース液体に乳化させたり、ベース液体とは分離して添加した飲料を調製し、オルソネーザルアロマとして感じられる柑橘香の強さを調べた。レモンオイルは、D−リモネンを57質量%含有するものを用いた。
具体的には、ベース液体のD−リモネンと、ベース液体と分離した状態のD−リモネンが表6及び7に記載の添加量となるように各サンプルを調製し、炭酸水によってガス圧を0.12MPaに調整して、ボトル缶に充填して密封した。なお、ベース液面へのレモンオイルの滴下は、ベース液体をボトル缶に充填した後、開口部からレモンオイルを滴下した。
表6及び7中、「乳化状態のリモネン添加量」は、ベース液体に乳化状態で配合させたD−リモネンの添加量(mg)を、ベース液体の液量(L)で除して求めた濃度(mg/L)である。「分離状態のリモネン添加量」は、ベース液体の液面に滴下したレモンオイルに含まれているD−リモネン量(mg)を、ベース液体の液量(L)で除して求めた濃度(mg/L)である。「−」は添加しなかったことを意味する。
また、調製された各サンプルの開封された容器詰飲料から揮発したD−リモネンと飲料中のD−リモネンを定量分析し、C/Cを求めた。さらに、柑橘香について、開封時の香りの強さ(オルソネーザルアロマ)、開封時の香りの自然さ、飲用時の香りの強さ(レトロネーザルアロマ)を官能評価した。結果を表6及び7に示した。
Figure 2021151204
Figure 2021151204
分離状態のリモネンを添加していないサンプル1〜4は、ベース液体へ添加したリモネン量が多いほど、リモネンのHA濃度が高くなり、開封時の香りの強さも強くなっていた。これに対して、分離状態のリモネンを添加したサンプル5〜10では、ベース液体のリモネン濃度にかかわらず、開封時の香りが強く、また、開封時の香りの自然さも良好であった。また、分離状態のリモネンの添加の有無や添加量にかかわらず、飲用時の香りの強さは、ベース液体のリモネン濃度に依存した。
1…香気成分回収用装置、2…本体、2a…吸気口、2b…排気口、3…捕集部材、4…ポンプ、5…連結管、6…活性炭フィルター、7…容器詰飲料。
すなわち、本発明に係る容器詰飲料等は、下記[1]〜[13]である。
[1] 疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填されて密封された容器詰飲料であって、
前記飲料は、前記疎水性香気成分を含有する可食性水溶液と、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴とを含有し、前記可食性水溶液と前記疎水性液滴が分離しており、
水溶性食物繊維を含有しておらず、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量が、前記可食性水溶液のみが前記容器と同種の容器に充填され密封された容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量よりも多く、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量は、吸気口と排気口とを有し、開封した容器詰飲料を収容する本体と、前記排気口から排気された気体中の香気成分を捕集する捕集部材と、前記排気口から一定の排気速度で排気させるポンプと、を備える香気成分回収用装置の本体内に、開封した状態の前記容器詰飲料を収容し、前記ポンプで前記本体内の気体を吸引することによって、前記捕集部材に捕集された前記疎水性香気成分の量であり、
前記可食性水溶液における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度の割合が、0.2%以上である、容器詰飲料。
[2] 前記可食性水溶液における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度の割合が、0.2〜5.0%である、前記[1]の容器詰飲料。
[3] 前記本体の容量が1Lであり、
前記ポンプによる前記本体内の気体の吸引は、毎分50mLの流量で5分間吸引することにより行う、前記[2]の容器詰飲料。
[4] 前記可食性水溶液における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度の割合が、0.20%以上であり、
前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度は、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を、前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度である、前記[3]の容器詰飲料。
[5] 前記疎水性液滴が、前記可食性水溶液の液面に存在する、前記[1]〜[3]のいずれかの容器詰飲料。
[6] 前記疎水性香気成分が、果実の香気成分である、前記[1]〜[5]のいずれかの容器詰飲料。
[7] 前記疎水性香気成分が、D−リモネンである、前記[1]〜[6]のいずれかの容器詰飲料。
[8] 前記可食性水溶液が、アルコールを含有する、前記[1]〜[7]のいずれかの容器詰飲料。
[9] 前記可食性水溶液が、炭酸ガスを含有する、前記[1]〜[8]のいずれかの容器詰飲料。
[10] 前記可食性水溶液が、果汁又は果実を含有する、前記[1]〜[9]のいずれかの容器詰飲料。
[11] ボトル缶、可撓性容器、又はガラス瓶に充填されている飲料である、前記[1]〜[10]のいずれかの容器詰飲料。
[12] 疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填された容器詰飲料の嗜好性を改善する方法であって、
吸気口と排気口とを有し、開封した容器詰飲料を収容する本体と、前記排気口から排気された気体中の香気成分を捕集する捕集部材と、前記排気口から一定の排気速度で排気させるポンプと、を備える香気成分回収用装置の本体内に、開封した状態の前記容器詰飲料を収容し、前記ポンプで前記本体内の気体を吸引することによって、前記捕集部材に捕集された前記疎水性香気成分の量を、当該容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量とし、
前記飲料に、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴を混合して、前記疎水性液滴を混合させる前の飲料における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度の割合が、所望の範囲内となるように調整することを特徴とする、容器詰飲料の嗜好性改善方法。
[13] 前記可食性水溶液における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度の割合が、0.2%以上になるように、前記飲料に混合する前記疎水性液滴の量を調整する、前記[12]の容器詰飲料の嗜好性改善方法

Claims (15)

  1. 疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填されて密封された容器詰飲料であって、
    前記飲料は、前記疎水性香気成分を含有する可食性水溶液と、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴とを含有し、前記可食性水溶液と前記疎水性液滴が分離しており、
    前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量が、前記可食性水溶液のみが前記容器と同種の容器に充填され密封された容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量よりも多く、
    前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量は、開封された前記容器詰飲料の開口部から揮発する疎水性香気成分の量であることを特徴とする、容器詰飲料。
  2. 前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量は、
    吸気口と排気口とを有し、開封した容器詰飲料を収容する本体と、前記排気口から排気された気体中の香気成分を捕集する捕集部材と、前記排気口から一定の排気速度で排気させるポンプと、を備える香気成分回収用装置の本体内に、開封した状態の前記容器詰飲料を収容し、
    前記ポンプで前記本体内の気体を吸引することによって、前記捕集部材に捕集された前記疎水性香気成分の量である、請求項1に記載の容器詰飲料。
  3. 前記本体の容量が1Lであり、
    前記ポンプによる前記本体内の気体の吸引は、毎分50mLの流量で5分間吸引することにより行う、請求項2に記載の容器詰飲料。
  4. 前記可食性水溶液における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度の割合が、0.20%以上であり、
    前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の濃度は、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を、前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度である、請求項3に記載の容器詰飲料。
  5. 前記疎水性液滴が、前記可食性水溶液の液面に存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  6. 前記疎水性香気成分が、果実の香気成分である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  7. 前記疎水性香気成分が、D−リモネンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  8. 前記可食性水溶液が、アルコールを含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  9. 前記可食性水溶液が、炭酸ガスを含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  10. 前記可食性水溶液が、果汁又は果実を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  11. ボトル缶、可撓性容器、又はガラス瓶に充填されている飲料である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  12. 疎水性香気成分を含有する飲料が容器に充填された容器詰飲料の嗜好性を改善する方法であって、
    容器詰飲料を開封し、その開口部から揮発する疎水性香気成分の量を、当該容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量とし、
    前記飲料に、前記疎水性香気成分を含有している疎水性液滴を混合して、
    前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を、前記疎水性液滴を混合させる前の飲料を前記容器と同種の容器に充填し密封した容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量よりも多くなるように調整することを特徴とする、容器詰飲料の嗜好性改善方法。
  13. 前記疎水性液滴を混合させる前の飲料における前記疎水性香気成分の濃度に対する、前記容器詰飲料の揮発疎水性香気成分の量を前記ポンプで吸引した前記本体の気体量で除した濃度の割合が、所望の範囲内となるように調整する、請求項12に記載の容器詰飲料の嗜好性改善方法。
  14. 吸気口と排気口とを有し、開封した容器詰飲料を収容する本体と、
    前記排気口から排気された気体中の香気成分を捕集する捕集部材と、
    前記排気口から一定の排気速度で排気させるポンプと、
    を備える、香気成分回収用装置。
  15. 請求項14に記載の香気成分回収用装置の本体内に、開封した状態の前記容器詰飲料を収容し、
    前記ポンプで前記本体内の気体を吸引することによって、開封された前記容器詰飲料の開口部から揮発した香気成分を前記捕集部材に捕集し、
    前記捕集部材に捕集された香気成分の量を分析し、
    得られた香気成分の量を、前記ポンプで前記本体内から吸引した気体量で除した濃度に基づいて、前記容器詰飲料のオルソネーザルアロマの強さを評価する、
    容器詰飲料のオルソネーザルアロマの評価方法。
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