JP6703253B2 - テンプレート形成用重合性化合物及びその硬化性組成物並びにその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、高いガス透過性を有し、マイクロ又はナノインプリント成形用テンプレート(単に、テンプレートという場合がある。)を形成するのに有用な重合性化合物と、この重合性化合物を含む硬化性組成物及びその硬化物(テンプレートなど)と、前記硬化物を利用したマイクロ又はナノインプリント成形用テンプレートとに関する。
マイクロ又はナノメートル領域のインプリント成形による高精度微細加工は、既にコンパクトディスクに実用化され、太陽電池パネル用表面撥水性汚れ防止シートやディスプレイ用光散乱フィルムを始め、発光ダイオード(LED)、半導体、ハードディスク記録装置、ディスプレイ、太陽電池及びバイオセンサーなどの電子デバイスへの実用化が期待されている。
レーザー光を用いた従来の微細加工に比べ、インプリント成形は、(1)高精度微細金型による加工時の製造バラつきを示すLER(line edge roughness)やLWR(line width roughness)が低減し、(2)解像度がレーザー光源波長に依存しないため、レーザー露光装置や電子線描画装置などの高価な設備が不要となり、低コスト化が達成でき、(3)三次元や球体・曲面加工が可能であり、(4)メートルオーダーでの大面積加工が可能であり、(5)真空プロセスが不要であり、(6)加工後のエッチングが困難なバイオ基板や金属材料への直接的なパターニングを可能にするなどの数々の利点がある。
インプリント成形では、基板上に塗布した被転写剤に対して、テンプレート(金型又はモールド)のパターン形成面を押圧し、熱や光などの活性エネルギーを加えて被転写剤を硬化して、テンプレートを剥離することによりパターンを転写する。テンプレートを形成する材料としては、通常、石英やポリジメチルシロキサン(PDMS)などのケイ素系材料が用いられている。しかし、これらの従来のテンプレートでは、押し付けに際して、被転写剤とテンプレートとの間に、空気などのガスを噛み込んでしまう場合があるため、テンプレートの微細凹部に被転写剤を均一に充填できず、前記ガスに対応した欠けが転写パターンに発生する。さらに、パターン形状や押し付け圧力、加熱温度などの転写条件によっては、高価なテンプレート自体のパターンが破損してしまい、長期間に亘り、精度の高いパターンを形成できない。また、被転写剤が希釈剤(又は溶媒)などの揮発性成分を含む場合にも、前記成分の気化により同様の現象が起こるため、高粘性な樹脂成分などの被転写剤における利用は制限されていた。
なお、仮にガスを噛み込むことなく押し付けても、パターン形状によっては、アンカー効果のためか、テンプレートと被転写剤との密着性が高く、剥離性が低下し、テンプレート又は硬化した被転写剤のパターンを欠損又は破損してしまうこともある。被転写剤のパターンが破損すると、テンプレートのパターン形成面に硬化した被転写剤の一部が異物として残ってしまうため、以降の転写を行うことができないだけでなく、微細パターンを傷つけずに異物を除去することも非常に困難であった。
これらの現象は、パターン形状の高精度化、微細化が進むにつれ、一層顕著になり、上述した用途展開に対する障害となるため、改善策の一つとして、ガス透過性テンプレートの開発が検討されている。
例えば、特開2014−31308号公報(特許文献1)には、ヘリウムガス透過性に優れたナノインプリントモールド用合成石英ガラスが開示されている。また、特開2013−55226号公報(特許文献2)には、光吸収により発熱する第1層と、第1層上に設けられ、凹凸パターンが形成された、光透過性及びガス透過性を有する第2層とを備えたインプリント用テンプレートが開示されている。しかし、ガス透過性を有する第2層でもガスを蓄積することが記載されている。さらに、特開2012−992号公報(特許文献3)には、不純物が添加されていない溶融石英よりも不活性ガスに対する透過性が高いガス透過性領域を備えたインプリント用モールドが開示されている。この文献においても、具体的なガス成分として、分子サイズが非常に小さなヘリウムガスを想定していることが記載されている。
しかし、これらの文献では、もともとガス透過性の低い石英系の材料で形成しているためか、ガス透過性が十分ではなく、空気中でのインプリント成型や、有機溶媒を含む被転写剤を使用するには、ガス透過性をさらに改善する必要がある。
特開2014−31308号公報(特許請求の範囲、段落[0011][0015]〜[0020]) 特開2013−55226号公報(特許請求の範囲、段落[0015][0020][0021]) 特開2012−992号公報(特許請求の範囲、段落[0018]〜[0023][0064])
従って、本発明の目的は、高いガス透過性を有する硬化物(例えば、インプリント成形用テンプレートなど)を形成可能な重合性化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガス透過性と、弾性率などの機械的特性と、インプリント成形用テンプレートに求められる諸特性(例えば、耐溶剤性、低線熱膨張性(又は寸法安定性)、透明性など)とを同時に実現する硬化物を形成可能な重合性化合物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、インプリント成形において、揮発成分を含む被転写剤を用いても、パターンを高い精度で転写でき、かつ剥離によるパターンの破損又は異物発生も抑制できるテンプレートを形成可能な重合性化合物を提供することにある。
本発明の別の目的は、煩雑な工程や高価な装置を必要とせず、容易にインプリント成形用テンプレートを調製できる重合性化合物を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、バイオマス資源を有効利用して形成され、自然環境へ与える負荷を低減したインプリント成形用テンプレートを形成可能な重合性化合物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物の少なくとも一部のヒドロキシル基の水素原子が、特定の重合性置換基で置換された化合物が、ガス透過性の高い硬化物を形成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の重合性化合物は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物の少なくとも一部のヒドロキシル基の水素原子が、下記式(1a)〜(1c)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキレン基、nは0又は1を示す。)
で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の重合性置換基に置換されている。
重合性置換基は、式(1b)で表される基であってもよく、Rは、C2−4直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であってもよい。重合性置換基は、重合性化合物1gに対して、1×10−7〜10モル程度の割合で含まれていてもよい。
前記ヒドロキシル基含有多糖類は、セルロース、セルロース誘導体(例えば、セルロースエーテル、セルロースエステルなど)、デキストリン及びデキストリン誘導体(例えば、アルキルシクロデキストリン又はシクロデキストリンアシレートなどのデキストリンエーテル又はデキストリンエステルなど)からなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。また、前記セルロースは、ナノファイバーを含んでいてもよい。
前記ヒドロキシル基含有大環状化合物は、カリックスアレーンを含んでいてもよい。
本発明は、前記重合性化合物を含む硬化性組成物も包含する。前記硬化性組成物は、さらに、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を含んでいてもよい。また、前記硬化性組成物は、さらに、溶媒を含んでいてもよい。
本発明には、前記硬化性組成物が硬化した硬化物も含まれる。前記硬化物は、マイクロ又はナノインプリント成形用テンプレートであってもよい。前記マイクロ又はナノインプリント成形用テンプレートは、マスターテンプレートのパターン形状が反転したパターン形状を有していてもよい。また、前記硬化物は、JIS K7126−1(2006)に準拠して測定した酸素のガス透過係数が、10×10 −12 〜2000×10 −12 cm・cm/(cm・sec・cmHg)程度であってもよい。
さらに、本発明は、前記硬化性組成物に活性エネルギーを与えて硬化し、前記硬化物を形成する方法、及びその硬化物をテンプレートとして用い、被転写剤にパターンを転写する方法も包含する。また、前記被転写剤は、溶媒を含んでいてもよい。
本発明では、所定の有機化合物が所定の置換基で置換された重合性化合物を用いるため、高いガス透過性を有する硬化物が形成できる。また、弾性率などの機械的特性や、インプリント成形において求められる諸特性(例えば、耐溶剤性、低線熱膨張性(又は寸法安定性)、透明性(光透過性)など)を同時に満たすため、高いガス透過性を有するインプリント成形用テンプレートとして利用できる。このようなテンプレートは、インプリント成形において、分子サイズが比較的大きな揮発成分を含む被転写剤を用いても、パターンを高い精度で転写できるため、成形不良(転写不良)を低減でき、しかも、剥離によるパターンの破損又は異物発生も抑制できるため、テンプレートの耐久性が高い。さらに、このようなテンプレートは、糖由来の有機化合物などのバイオマス資源を有効活用して形成することもでき、自然環境に与える負荷も低減できる。
図1は、本発明の実施例9を用いた硬化物の光透過率を示すグラフである。
[重合性化合物]
本発明の重合性化合物は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物(ヒドロキシル基含有化合物)の少なくとも一部のヒドロキシル基の水素原子が、特定の重合性置換基で置換されている。このようなヒドロキシル基含有化合物は、硬化物において高いガス透過性及び機械的強度を付与しやすいため好ましい。
(ヒドロキシル基含有多糖類)
ヒドロキシル基含有多糖類において、ヒドロキシル基は、単糖単位(例えば、グルコース単位など)のヒドロキシル基であってもよく、多糖類への化学修飾(例えば、ヒドロキシアルキルエーテル化など)により導入されていてもよい。前記ヒドロキシル基含有多糖類には、天然物由来のバイオマス資源を利用できるため、自然環境に与える影響を低減できる。このようなヒドロキシル基含有多糖類を基に形成された前記重合性化合物は、その硬化物において、高いガス透過性を実現できる。また、本明細書及び特許請求の範囲において、用語「多糖類」は、比較的低分子量であるオリゴ糖も含む意味に用いる。
代表的な多糖類としては、例えば、植物多糖[例えば、セルロース、ヘミセルロース、キシラン、マンナン、ペクチンなどの細胞壁由来の多糖;デンプン(アミロース、アミロペクチン)、ガラクトマンナン、グルコマンナン(コンニャクマンナン)、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、タラガム、クインスシードガムなどの根茎・種子由来の多糖;アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビノガラクタン、ガッティガムなどの樹液由来の多糖など];海藻多糖(例えば、寒天(アガロース、アガロペクチン)、カラギーナン、アルギン酸又はその塩、ファーセレラン、フコイダン、ラミナランなど);微生物多糖(例えば、デキストラン、キサンタンガム、プルラン、カードラン、ジエランガム、ラムサンガム、ウエランガム、スクレログルカンなど);動物多糖(例えば、グリコーゲン、キチン、キトサン又はその塩(塩酸塩など)、ヘパリン、ヒアルロン酸その塩、コンドロイチン硫酸その塩など);デキストリン[例えば、直鎖又は分岐鎖状デキストリン、シクロデキストリン(サイクロデキストリン又は環状デキストリン)など];オリゴ糖[例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳化オリゴ糖(ラクトスクロース)、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、乳糖ラクトース、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖など]、及びこれらの多糖類の誘導体[例えば、セルロース誘導体、デキストリン誘導体など]などが挙げられる。なお、これらの多糖類のうち、カルボキシル基などの酸基を含有する多糖類は、塩を形成していてもよく、代表的な塩には、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、第四級アンモニウム塩又はこれらの複塩などが例示できる。
これらの多糖類は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの多糖類のうち、硬化物におけるガス透過性を確保し易い観点から、セルロース、デキストリン、又はこれらの誘導体(例えば、セルロース誘導体、デキストリン誘導体など)などが好ましい。
セルロース(又はセルロース繊維)としては、リグニン、ヘミセルロースなどの非セルロース成分の含有量が少ないパルプ、例えば、植物由来のセルロース原料{例えば、木材[例えば、針葉樹(マツ、モミ、トウヒ、ツガ、スギなど);広葉樹(ブナ、カバ、ポプラ、カエデなど)など];草本類[麻類(麻、亜麻、マニラ麻、ラミーなど)、ワラ、バガス、ミツマタなど];種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど);竹、サトウキビなど};動物由来のセルロース原料(ホヤセルロースなど);バクテリア由来のセルロース原料(ナタデココに含まれるセルロースなど)などのパルプなどが例示できる。
これらのセルロースは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これらのセルロースのうち、パルプ、例えば、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、種子毛繊維由来のパルプ(例えば、コットンリンターパルプ)、バクテリア由来のパルプなどが好ましい。なお、パルプは、パルプ材を機械的に処理した機械パルプであってもよいが、非セルロース成分の含有量が少ないことからパルプ材を化学的に処理した化学パルプが好ましい。
セルロース(又はセルロース繊維)と非セルロース成分との総量に対するセルロースの割合(含有量)は、例えば、70重量%以上(例えば、75〜100重量%)、好ましくは80重量%以上(例えば、85〜100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、95〜100重量%)程度であってもよい。
また、セルロースは、前記例示のパルプ(例えば、化学パルプ)などを微細化(ミクロフィブリル化)したセルロースであってもよく、硬化物におけるガス透過性のみならず、マイクロ又はナノインプリント成形用テンプレートに要求される特性を確保し易い点から、特に、ナノファイバー(セルロースナノファイバー)を含むのが好ましい。このようなナノファイバー(セルロースナノファイバー)は、繊維径がナノオーダーであるため、繊維であっても、表面平滑性が高く、目的のパターン形状を正確に再現した硬化物を形成できる。そのため、ヒドロキシル基含有多糖類として、ナノファイバーを含むセルロースを使用すると、マイクロ又はナノインプリント用テンプレートとして好適に利用できる。さらに、ナノファイバー(セルロースナノファイバー)は、高い機械的強度及び低線熱膨張性も併せ持つため、インプリント成形での加圧及び/又は加熱などの過酷な成形条件下においても、パターン形状の寸法変化を有効に抑制でき、微細なパターン形状であっても高い精度で転写できる。しかも、ナノファイバー(セルロースナノファイバー)は、透明性も高く、光インプリント成形に供すると、被転写剤を効率的に硬化できる。
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、前述の観点から、ナノメーターサイズ、例えば、2〜1000nm(例えば、4〜700nm)、好ましくは5〜500nm(例えば、7〜250nm)、さらに好ましくは10〜100nm(例えば、20〜50nm)程度であってもよい。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、例えば、0.01〜500μm(例えば、0.05〜400μm)程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜300μm(例えば、0.1〜200μm)、好ましくは0.2〜100μm(例えば、0.3〜80μm)、さらに好ましくは0.5〜30μm(例えば、0.5〜10μm)程度であってもよい。
さらに、セルロースナノファイバーの平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、例えば、5以上(例えば、5〜10000程度)、好ましくは10以上(例えば、10〜5000程度)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜3000程度)、特に50以上(例えば、50〜2000程度)であってもよく、100以上(例えば、100〜1000程度)、さらには200以上(例えば、200〜800程度)であってもよい。アスペクト比が小さすぎると、機械的強度が低下し易く、アスペクト比が大きすぎると、繊維が分解(又は損傷)し易くなるおそれがある。
セルロースナノファイバーの製造方法は、特に限定されず、慣用の方法を利用でき、例えば、バクテリアセルロースを機械的なせん断力によって切断(又は粉砕及び開繊)する方法などが挙げられる。
セルロース(又はセルロース繊維)は、結晶性の高いセルロースであってもよく、セルロースの結晶化度は、例えば、40〜100%(例えば、50〜100%)、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜90%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上であってもよい。なお、セルロースの結晶構造としては、例えば、I型、II型、III型、IV型などが例示でき、低線熱膨張性(寸法安定性)を有し、高弾性率なI型結晶構造が好ましい。
また、セルロース誘導体は、セルロース(又はセルロースに含まれる少なくとも一部のヒドロキシル基)を化学的に修飾した化合物、例えば、セルロースエーテル、セルロースエステルなどであってもよい。
代表的なセルロースエーテルとしては、例えば、アルキルセルロース[例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、プロピルセルロースなどのC1−4アルキルセルロース];ヒドロキシアルキルセルロース[例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などのヒドロキシC2−4アルキルセルロースなど];ヒドロキシアルキルアルキルセルロース[例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのヒドロキシC2−4アルキルC1−4アルキルセルロースなど];カルボキシアルキルセルロース又はその塩[例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩などのカルボキシC1−4アルキルセルロース又はその塩など]などが挙げられる。なお、カルボキシアルキルセルロースの塩としては、前記多糖類の項に例示の塩などが例示できる。
これらのセルロースエーテルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのセルロースエーテルのうち、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースなどが好ましく、特に、溶媒に溶解しやすく、前記重合性化合物を調製し易い点から、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−3アルキルセルロースが好ましい。
代表的なセルロースエステルとしては、例えば、有機酸エステル[例えば、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート(DAC)などのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレートなどのセルロースC3−5アシレート;セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)などのセルロースアセテートC3−5アシレートなどのセルロースアシレート];無機酸エステル[例えば、硝酸セルロース(ニトロセルロース)、硫酸セルロース、リン酸セルロースなど];これらの混合酸のエステルなどが挙げられる。
また、デキストリンとしては、直鎖又は分岐鎖状デキストリンであってもよく、シクロデキストリン(サイクロデキストリン又は環状デキストリン)であってもよい。これらのデキストリンは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのデキストリンのうち、ガス透過性が高い硬化物を形成しやすい点から、シクロデキストリンが好ましい。この理由は定かではないが、シクロデキストリンの環状構造をガスが通過可能なためか、架橋された硬化物であっても、高いガス透過性を実現できるようである。
シクロデキストリンは、グルコースを基本骨格(繰り返し単位)とした環状構造を有していればよく、例えば、α−シクロデキストリン(α−CD)、β−シクロデキストリン(β−CD)、γ−シクロデキストリン(γ−CD)などが挙げられ、β−シクロデキストリンが好ましい。
また、デキストリン誘導体としては、デキストリンの少なくとも一部のヒドロキシル基を化学的に修飾した化合物、例えば、デキストリンエーテル、デキストリンエステルなどであってもよい。なお、デキストリン誘導体は、前記直鎖又は分岐鎖状デキストリン、あるいはシクロデキストリンの誘導体であってもよいが、前述のガス透過性の観点から、シクロデキストリンの誘導体であるのが好ましい。
デキストリンエーテルとしては、例えば、アルキルデキストリン[例えば、メチルデキストリン、エチルデキストリン、プロピルデキストリンなどのC1−4アルキルデキストリン];ヒドロキシアルキルデキストリン[例えば、ヒドロキシエチルデキストリン、ヒドロキシプロピルデキストリンなどのヒドロキシC2−4アルキルデキストリンなど];ヒドロキシアルキルアルキルデキストリン[例えば、ヒドロキシエチルメチルデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルデキストリンなどのヒドロキシC2−4アルキルC1−4アルキルデキストリンなど];カルボキシアルキルデキストリン又はその塩[例えば、カルボキシメチルデキストリン、カルボキシエチルデキストリン、カルボキシメチルデキストリンナトリウム塩などのカルボキシC1−4アルキルデキストリン又はその塩など]などが挙げられる。なお、カルボキシアルキルデキストリンの塩としては、前記多糖類の項に例示の塩などが例示できる。
これらのデキストリンエーテルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのデキストリンエーテルのうち、アルキルデキストリン、ヒドロキシアルキルデキストリン、ヒドロキシアルキルアルキルデキストリンなどが好ましく、特に、より高いガス透過性を達成できる観点から、アルキルシクロデキストリン(例えば、メチル−β−シクロデキストリンなどのC1−2アルキルシクロデキストリンなど);ヒドロキシアルキルシクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどのヒドロキシC2−3アルキルシクロデキストリン)などが好ましい。
代表的なデキストリンエステルとしては、例えば、有機酸エステル[例えば、デキストリンアシレート(例えば、デキストリンアセテート、デキストリンプロピオネート、デキストリンブチレートなどのデキストリンC2−5アシレート)など];無機酸エステル[例えば、硝酸デキストリン、硫酸デキストリン、リン酸デキストリンなど];これらの混合酸のエステルなどが挙げられる。
これらのデキストリンエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのデキストリンエステルのうち、デキストリンアシレートなどが好ましく、特に、より高いガス透過性を達成できる観点から、シクロデキストリンアシレート(例えば、アセチル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリンC2−4アシレートなど)が好ましい。
これらのデキストリン誘導体のうち、より高いガス透過性を有する硬化物を形成し易いため、疎水性置換基(例えば、アルキル基などの炭化水素基、アシル基など)で化学修飾(又は置換)されたシクロデキストリン疎水化誘導体が好ましい。このようなシクロデキストリン疎水化誘導体としては、例えば、アルキルシクロデキストリン(例えば、メチルシクロデキストリン、エチルシクロデキストリン、プロピルシクロデキストリンなどのC1−20アルキルシクロデキストリン、好ましくはC1−12アルキルシクロデキストリン、さらに好ましくはC1−5アルキルシクロデキストリン、特に、メチル−β−シクロデキストリンなどのC1−3アルキルシクロデキストリン);シクロデキストリンアシレート(例えば、シクロデキストリンアセテート、シクロデキストリンプロピオネート、シクロデキストリンブチレートなどのシクロデキストリンC2−6アシレート、好ましくはシクロデキストリンC2−5アシレート、さらに好ましくはシクロデキストリンC2−4アシレート、特に、アセチル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリンC2−3アシレートなど)などが挙げられる。
(ヒドロキシル基含有大環状化合物)
ヒドロキシル基含有大環状化合物としては、例えば、カリックスアレーン、レゾルシンアレーン、ホモオキサカリックスアレーン、ピロガロールアレーン、チアカリックスアレーン、シリンドロシクロファンなどが例示できる。これらのヒドロキシル基含有大環状化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのヒドロキシル基含有大環状化合物のうち、ガス透過性の高い硬化物を形成し易い観点から、カリックスアレーンが好ましい。この理由は定かではないが、カリックスアレーンの環状構造がガスの通路となるためか、架橋された硬化物であっても高いガス通過性を達成できるようである。
カリックスアレーンは、基本単位であるフェノール骨格がメチレン基を介して結合し、環状構造を形成していればよく、例えば、カリックス[4]アレーン、カリックス[6]アレーン、カリックス[8]アレーンなどが挙げられる。これらのカリックスアレーンは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのカリックスアレーンのうち、カリックス[6]アレーン、カリックス[8]アレーンなどの6以上のフェノール骨格で構成されたカリックスアレーンが好ましく、特に、カリックス[6]アレーンが好ましい。
これらのヒドロキシル基含有化合物のうち、天然物由来のバイオマス資源を有効活用でき、自然環境に与える影響を低減できる点から、ヒドロキシル基含有多糖類が好ましい。
(重合性置換基)
特定の重合性置換基としては、例えば、下記式(1a)〜(1c)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキレン基、nは0又は1を示す。)
で表される基などが挙げられる。これらの重合性置換基は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできるため、本発明の重合性化合物は、これらの置換基よりなる群より選択された少なくとも1種の重合性置換基で置換されていればよい。
前記式(1b)及び(1c)において、Rのアルキレン基は、例えば、エチレン基、プロピレン基、1,3−プロパンジイル基、n−ブチレン基などのC2−6直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、好ましくはC2−4直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、さらに好ましくはC2−3直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基(特に、エチレン基)などが挙げられる。
前記式(1a)〜(1c)で表される重合性置換基のうち、容易に調製できる点から、式(1b)で表される重合性置換基が好ましい。
このような重合性置換基は、重合性化合物1gに対して、例えば、1×10−7〜10モル(例えば、1×10−6〜1モル)程度の範囲から選択でき、例えば、5×10−6〜0.5モル(例えば、1×10−5〜0.1モル)、好ましくは5×10−5〜5×10−2モル(例えば、1×10−4〜1×10−2モル)、さらに好ましくは5×10−4〜5×10−3モル(例えば、1×10−3〜3×10−3モル)程度の割合で含まれていてもよい。重合性置換基の割合が少なすぎると、硬化物の機械的強度が低下するおそれがある。逆に多すぎると、硬化物のガス透過性が低下するおそれがある。
(調製方法)
本発明の重合性化合物は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物と、これらの化合物のヒドロキシル基と反応可能な反応性基を有し、かつ前記式(1a)〜(1c)で表される重合性置換基に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させることにより調製できる。
反応性基としては、例えば、カルボキシル基又はそのエステル形成性誘導基、イソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。
前記式(1a)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸又はそのエステル形成性誘導体[例えば、(メタ)アクリル酸ハライド(例えば、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸ブロマイドなど)、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸C1−2アルキルエステルなど)など]が挙げられる。これらの前記式(1a)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、前記式(1b)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4−イソシアナトブチル(メタ)アクリレートなどのイソシアナトC2−6アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはイソシアナトC2−4アルキル(メタ)アクリレート、さらに好ましくはイソシアナトC2−3アルキル(メタ)アクリレート(特に、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート)などが挙げられる。これらの前記式(1b)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、前記式(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレートなどのグリシジルオキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート(好ましくはグリシジルオキシC2−4アルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられ、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの前記式(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
前記式(1a)〜(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物の使用割合は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物と、前記式(1a)〜(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物との総重量1gに対して、例えば、1×10−7〜10モル(例えば、1×10−6〜1モル)程度の範囲から選択でき、例えば、5×10−6〜0.5モル(例えば、1×10−5〜0.1モル)、好ましくは5×10−5〜5×10−2モル(例えば、1×10−4〜1×10−2モル)、さらに好ましくは5×10−4〜5×10−3モル(例えば、1×10−3〜3×10−3モル)程度の割合であってもよい。
反応は、重合禁止剤(又は熱重合禁止剤)の存在下で行ってもよい。重合禁止剤としては、ベンゾキノン、ヒドロキノン類(例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルヒドロキノン、p−ベンゾキノンなど)、カテコール類(例えば、p−tert−ブチルカテコールなど)、アミン類(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンなど)、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、トリ−p−ニトロフェニルメチル、フェノチアジンなどが例示できる。重合禁止剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
重合禁止剤の割合は、前記式(1a)〜(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物100重量部に対して、例えば、0.01〜1重量部程度であってもよい。
反応は、溶媒(又は分散媒)の存在下で行ってもよい。溶媒(又は分散媒)としては、反応に不活性な溶媒であればよく、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など);ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど);エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など);ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン類、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類など);エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など);スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど);アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど);ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)などが挙げられる。溶媒(又は分散媒)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。反応液が溶液である場合の溶媒の割合は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物と、前記式(1b)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物との総量100重量部に対して、例えば、0〜1000重量部、好ましくは100〜500重量部程度であってもよい。反応液が分散液である場合の溶媒の割合は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物と、前記式(1b)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物との総量100重量部に対して、例えば、0〜3000重量部、好ましくは1000〜2000重量部程度であってもよい。なお、セルロースナノファイバーを使用する場合、慣用の方法により、水分散液を有機溶媒で置換して調製してもよい。
前記式(1a)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物とエステル化反応させてもよい。
エステル化反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒は、酸触媒(例えば、硫酸、塩酸など)、塩基触媒、アルコキシド(例えば、チタン(IV)テトライソプロポキシドなど)などであってもよい。前記触媒の割合は、前記式(1a)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物1モルに対して、例えば、0.001モル〜1モル程度であってもよい。
また、前記式(1a)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物に(メタ)アクリル酸ハライドを用いる場合には、反応で生成するハロゲン化水素をトラップするため、塩基(例えば、トリエチルアミンなど)の存在下で反応させてもよい。塩基の使用量は、例えば、(メタ)アクリル酸ハライド1モルに対して、例えば、0.8〜20モル程度であってもよい。
前記式(1b)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物とウレタン化反応させてもよい。
なお、ウレタン化反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、例えば、有機スズ系化合物(オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなど)、ナフテン酸金属塩(ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトなど)などの有機金属触媒;第3級アミン類[例えば、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの鎖状第3級アミン;ピリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミンなどの環状第3級アミンなど]などが挙げられる。これらの触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらの触媒のうち、トリエチルアミンなどの第3級アミン類が好ましい。
触媒の使用量は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物と、前記式(1b)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物との総量100重量部に対して、例えば、0.001〜500重量部(例えば、0.01〜300重量部)程度であってもよく、10〜200重量部程度であってもよい。
前記式(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物は、ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物と開環付加反応させてもよい。
開環付加反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、例えば、トリエチルアミンなどの塩基触媒であってもよい。触媒の使用量は、例えば、式(1c)に対応する(メタ)アクリロイル基含有化合物1重量部に対して、0.001〜1重量部程度であってもよい。
各反応における反応温度は、例えば、0〜150℃(例えば、40〜150℃)、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度であってもよい。また、反応は、還流下で行ってもよく、反応温度は、還流温度であってもよい。
各反応は、空気中又は不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気中で行ってもよく、反応液中に空気又は不活性ガスを吹き込みながら行ってもよい。また、反応は、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよい。
なお、生成した重合性化合物は、慣用の方法、例えば、濾過、遠心分離、濃縮、抽出、再沈殿、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段や、これらを組み合わせた方法により分離精製してもよい。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、前記重合性化合物を含んでいればよく、必要に応じて、さらに、重合開始剤、溶媒、レオロジー調整剤、接着補助剤、他の重合性化合物(例えば、反応性希釈剤など)などを含んでいてもよい。
(重合開始剤)
本発明の硬化性組成物は、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を含んでいてもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物[ジアルキルパーオキサイド類(例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類(例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、過酸(又は過酸エステル)類(例えば、t−ブチルヒドロペルオキサイド、クメンヒドロペルオキサイド、過酢酸t−ブチルなど)ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類]、アゾ化合物[例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物など]などが例示できる。これらの熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤(又は光ラジカル重合開始剤)としては、例えば、ベンゾイン類(例えば、ベンゾイン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど);アミノアセトフェノン類(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、など);アントラキノン類(アントラキノン、アントラキノン−2−スルホン酸塩、など);チオキサントン類(例えば、チオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノンなど);2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体類(例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体など);キサントン類;2,4,6−トリハロメチルトリアジン類;アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタンなど);ビスアシルフォスフィンオキシド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドなど)などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤(熱及び/又は光重合開始剤)の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有化合物の総量(例えば、本発明の重合性化合物と、後述する他の重合性化合物の総量など)100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部(例えば、0.5〜10重量部)、さらに好ましくは1〜9重量部(例えば、3〜7重量部)程度であってもよい。重合開始剤の量が多すぎると、硬化物の架橋密度が上がるためか、硬化物のガス透過性が低下するおそれがある。
また、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなど]、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど]などのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなど]などの慣用の光増感剤などが挙げられる。これらの光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
光増感剤の割合は、光重合開始剤100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
(溶媒)
溶媒(又は分散媒)としては、重合性化合物を分散又は溶解し、均一な分散液又は溶液を調製できればよく、例えば、水;グリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールなど);(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類[例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)などのセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)などのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのC3−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテルなど];(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類[例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテートなどのカルビトールアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの(ポリ)C3−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートなど];エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など);ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類など);エステル類{例えば、アルカン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのC2−5アルカン酸C1−5アルキルエステルなど);アルコキシアルカン酸エステル類(例えば、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどのC1−2アルコキシC2−5アルカン酸C1−5アルキルエステルなど);ヒドロキシアルカン酸エステル類[例えば、ヒドロキシ酢酸エチルなどのヒドロキシ酢酸エステル;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル(乳酸エチル)、2−ヒドロキシプロピオン酸ブチル(乳酸ブチル)などの乳酸エステル;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチルなどのアルキルヒドロキシアルカン酸エステルなどのヒドロキシC2−5アルカン酸C1−5アルキルエステルなど];ビルビン酸エステル類(例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチルなどのピルビン酸C1−5アルキルエステルなど)など};アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど);ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど);スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど);炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など);ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)などが例示できる。
これらの溶媒は、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。これらの溶媒のうち、メチルエチルケトンなどのケトン類が好ましい。溶媒(又は分散媒)の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有化合物の総量(例えば、本発明の重合性化合物と、後述する他の重合性化合物の総量など)100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは100〜200重量部程度であってもよい。溶媒の割合が少なすぎると、基板への塗布(又はコーティング)が難しくなるおそれがあり、さらに、保存安定性も低下するおそれがある。
(レオロジー調整剤)
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、レオロジー調整剤を添加して、硬化性組成物の流動性を調整してもよい。レオロジー調整剤としては、例えば、ジアルキルフタレート(例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレートなど);ジアルキルアジペート(例えば、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペートなど);ジアルキルマレート(例えば、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレートなど);オレート類(例えば、メチルオレート、ブチルオレートなどのアルキルオレート;テトラヒドロフルフリルオレートなど);ステアレート類(例えば、n−ブチルステアレートなどのアルキルステアレート;グリセリルステアレートなど)などを挙げることができる。
レオロジー調整剤の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有化合物の総量(例えば、本発明の重合性化合物と、後述する他の重合性化合物の総量など)100重量部に対して、例えば、0〜100重量部、好ましくは1〜50重量部程度であってもよい。レオロジー調整剤の割合が多すぎると、硬化物の機械的強度が低下するおそれがある。
(接着補助剤)
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、接着補助剤を添加して、硬化性組成物を塗布する基板と硬化物との接着性を向上してもよい。接着補助剤としては、例えば、シラン類{例えば、クロロシラン類(例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシランなど);アルコキシシラン類[例えば、トリメチルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン;ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン;、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン(又はシランカップリング剤)など];シリルアミン類(例えば、ジメチルトリメチルシリルアミンなど);シラザン類(例えば、ヘキサメチルジシラザンなど);シリルイミダゾール類(例えば、トリメチルシリルイミダゾールなど);シリルウレア類(例えば、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレアなど)など};尿素類[尿素化合物(例えば、1,1−ジメチルウレア(N,N−ジメチルウレア)、1,3−ジメチルウレア(N,N’−ジメチルウレア)など];チオ尿素化合物など];複素環類[例えば、イミダゾール類(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールなど);トリアゾール類(例えば、ベンゾトリアゾールなど);インダゾール類(例えば、インダゾールなど);オキサゾール類(例えば、2−メルカプトベンゾオキサゾールなど);チアゾール類(例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールなど);ウラゾール類(例えば、ウラゾールなど);チオウラシル類(例えば、4−チオウラシルなど);ピリミジン類(例えば、メルカプトピリミジンなど)など]などが挙げられる。
接着補助剤の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有化合物の総量(例えば、本発明の重合性化合物と、後述する他の重合性化合物の総量など)100重量部に対して、例えば、0〜10重量部、好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。
(他の重合性化合物)
硬化性組成物には、本発明の重合性硬化物に加えて、さらに、分子中に1個以上の重合性基を持つ他の重合性化合物(単にモノマーということがある)を含んでいてもよい。モノマーとしては、分子内に重合性基(又は重合性不飽和結合)[例えば、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基など)、(メタ)アクリロイル基など]を有する化合物であればよく、例えば、(メタ)アクリル系モノマーなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーは、単官能性であってもよく、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性であってもよい。単官能性の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどであってもよく、単官能性(メタ)アクリレートであってもよい。これらのモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのC1−20アルキル(メタ)アクリレートなど];シクロアルキル(メタ)アクリレート[例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの単環式C5−10シクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式C7−20シクロアルキル(メタ)アクリレートなど];アリール(メタ)アクリレート(例えば、フェニル(メタ)アクリレートなど);アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど);アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど);アルキルアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなど);ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど);アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレートなど);エポキシ基含有(メタ)アクリレート(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど);硫黄原子含有(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオエチル(メタ)アクリレートなど);N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)などが例示できる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
また、(メタ)アクリル系モノマーは、多官能性であってもよく、多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、二官能性(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA(又はそのC2−4アルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなど];三官能以上の(メタ)アクリレート[例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのトリ乃至ヘキサオールのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートなど];(メタ)アクリレートオリゴマー[例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなど]などが例示できる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの他の重合性化合物の割合は、本発明の重合性化合物100重量部に対して、例えば、0〜100重量部、好ましくは1〜50重量程度であってもよい。他の重合性化合物の割合が多すぎると、硬化物のガス透過性が低下するおそれがある。
(他の添加剤)
硬化性組成物は、必要に応じて、さらに、慣用の添加剤、例えば、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤、可塑剤、重合禁止剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
[硬化物(テンプレート)の特性と硬化方法]
(硬化方法)
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー(活性エネルギー線)を付与する硬化工程を経ることで容易に硬化し、硬化物を形成する。硬化工程における活性エネルギーは、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(紫外線、電子線、X線など)が有用である。
熱エネルギーを利用する場合、加熱温度としては、例えば、50〜250℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜150℃程度であってもよい。加熱時間は、例えば、5分〜12時間、好ましくは10分〜8時間、さらに好ましくは30分〜4時間程度であってもよい。
また、光エネルギー(例えば、紫外線照射などの光照射)を利用する場合、光照射エネルギー量は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、100〜200000mJ/cm、好ましくは1000〜150000mJ/cm、さらに好ましくは10000〜100000mJ/cm(例えば、50000〜80000mJ/cm)程度であってもよい。光源としては、ディープUVランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(例えば、ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを使用できる。なお、光照射により硬化する場合においても、反応性が向上するため、加熱処理(アフターベーク)を行ってもよい。加熱処理の温度及び時間は、前記熱エネルギーを利用する場合と同様であってもよい。また、反応(又は重合、架橋、若しくは硬化)は、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気(例えば、窒素雰囲気;ヘリウム、アルゴンなどの希ガス雰囲気など)で行ってもよく、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよい。
(硬化物の特性)
このような方法により得られる本発明の硬化物は、ガス透過性に優れている。例えば、JIS K7126−1(2006)に準拠して測定した酸素のガス透過係数は、例えば、10×10−12〜2000×10−12cm・cm/(cm・sec・cmHg)程度の範囲から選択でき、例えば、50×10−12〜1500×10−12cm・cm/(cm・sec・cmHg)、好ましくは80×10−12〜1000×10−12cm・cm/(cm・sec・cmHg)、さらに好ましくは100×10−12〜700×10−12cm・cm/(cm・sec・cmHg)程度であってもよい。
また、本発明の硬化物は、ガス透過性のみならず、機械的強度にも優れている。例えば、JIS K7161−1(2014)に準拠して測定したヤング率(弾性率)は、例えば、0.5〜10GPa程度の範囲から選択でき、例えば、1〜8GPa、好ましくは2〜6GPa、さらに好ましくは2.5〜4GPa程度であってもよい。なお、ヤング率は、後述の実施例に記載の方法などにより測定してもよい。
さらに、本発明の硬化物は、高い透明性(光透過性)を有している。フィルム状(厚み10μm)の硬化物において、波長300〜900nmにおける光透過率は、例えば、50%以上(例えば、70%以上)、好ましくは80%以上(例えば、90%以上)、さらに好ましくは95%以上(特に98〜100%程度)であってもよい。なお、光透過性は、後述する実施例に記載の方法などにより測定できる。
本発明の硬化物は、耐溶剤性にも優れている。例えば、膜厚1.1μmの硬化物を、溶媒(例えば、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒)中に室温で3分間浸漬しても、硬化物の膜厚は全く変化せず、膨潤しない。
本発明の硬化物(テンプレート)は、ガス透過性が高く、かつ弾性率などの機械的特性や、インプリント成形において求められる諸特性(例えば、耐溶剤性、低線熱膨張性(又は寸法安定性)、透明性(光透過性)など)を同時に達成することができるため、インプリント成形用のテンプレートとして好適に利用できる。
(インプリント用テンプレート及びその調製方法)
インプリント用テンプレートは、前記硬化物で形成されており、前記硬化物表面の少なくとも一部に、パターン形状(凹凸パターン又はパターン面)を有していればよい。パターン形状は、特に制限されず、例えば、ライン・アンド・スペース、ドット、ピラー、V溝、格子、レンズ、ハニカム、ピラミッド、及びこれらを組み合わせた形状などであってもよい。これらのパターン形状は、マイクロメーターサイズであってもよく、ナノメーターサイズ(例えば、ライン・アンド・スペースにおいて、ラインの幅が、10〜1000nm、好ましくは100〜600nm程度など)であってもよい。本発明のテンプレートは、ガス透過性及び寸法安定性(低線熱膨張性)が高いため、より微細又は複雑なパターン形状を有していても、インプリント成形において、高い精度で転写することができる。
パターン形状を形成する方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、マスターテンプレートのパターン形状を転写する方法(すなわち、インプリント成形)により形成してもよい。この方法では、例えば、本発明の硬化性組成物を塗布(又はコーティング)して、基板上に硬化性組成物層を形成し、この硬化性組成物層にマスターテンプレートのパターン面を押圧して、前記硬化工程を経ることにより、パターン形状を転写してもよい。なお、硬化性組成物層の形成において、硬化性組成物が溶媒などの揮発成分を含む場合、マスターテンプレートの押圧前に、加熱及び/又は減圧などの方法により、前記揮発成分を硬化性組成物層から除去して、生産性を向上してもよい。また、マスターテンプレートとの接触において、気泡を混入しないように押圧してもよい。さらに、硬化工程を経て得られた硬化物(テンプレート)を、マスターテンプレートから離型する離型工程を含む方法であってもよい。このような方法により、パターン形状(マスターテンプレートのパターンが反転した形状)を有する硬化物(テンプレート)を容易に調製できる。
この方法において、マスターテンプレートは、例えば、石英などのセラミックス、金属、樹脂などの材料で形成されていてもよく、石英などのガス透過性が低い材料であってもよい。マスターテンプレートのガス透過性が低くても、本発明の硬化物(テンプレート)のガス透過性が高く、外気(空気など)を透過し易いため、離型工程において、マスターテンプレートから容易に離型できる。そのため、微細なパターン形状により硬化物とマスターテンプレートとが密着していても、離型によるパターン形状の破損を防止(又は抑制)でき、高い精度でパターンを形成できる。
なお、前記基板は、板状であってもよく、柔軟(又は湾曲可能)なフィルム状であってもよい。また、基板は、例えば、無機材料(例えば、シリコン、アルミナ、ガラスなど)、金属(例えば、真鍮、アルミニウムなど)、樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂など)などで形成されていてもよく、本発明のテンプレートは透明性に優れ、光インプリントに使用することもできるため、ガラス基板、透明樹脂基板(PET基板など)などの透明な基板であってもよい。
基板表面には、硬化物(テンプレート)を密着させるために密着材料(例えば、日産化学工業(株)製「GF」など)で形成された接着層が積層されていてもよい。接着層の膜厚10〜100nm(例えば、30〜70nmなど)程度であってもよい。
(テンプレートに形成されたパターンの転写方法)
本発明のテンプレートを用いて、被転写剤にパターンを転写する方法としては、前述のテンプレートの調製方法(インプリント成形)と同様の方法を利用できる。
被転写剤の成分は、特に限定されず、熱可塑性樹脂や熱又は光硬化性樹脂などの樹脂成分などであってもよい。特に、本発明のテンプレートは、透明性(光透過性)が高いため、テンプレートを通して被転写剤に光を照射できる。そのため、被転写剤としては、光硬化性樹脂、例えば、光ラジカル硬化性樹脂や光カチオン硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂など)などを好適に利用してもよい。これらの光硬化性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの光硬化性樹脂のうち、光ラジカル硬化性樹脂が好ましい。
光ラジカル硬化性樹脂は、重合により3次元網目状硬化物を形成できればよく、例えば、前記他の重合性化合物の項に例示した多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの多官能性(メタ)アクリレートのうち、二官能性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレートオリゴマーなどが好ましく、なかでも、二官能性(メタ)アクリレート(特に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)が好ましい。
また、光ラジカル硬化性樹脂は、必要に応じて、さらに、前記他の重合性化合物の項に例示した単官能性(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。これらの単官能性(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの単官能性(メタ)アクリレートのうち、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレートなどが好ましく、特に、ブチル(メタ)アクリレートなどのC1−4アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのC7−10架橋環式(メタ)アクリレートなどが好ましい。単官能性(メタ)アクリレートの割合は、多官能性(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば、0〜1000重量部、好ましくは10〜800重量部、さらに好ましくは100〜500重量部程度であってもよい。
なお、被転写剤は、添加剤として、さらに、熱又は光重合開始剤、光増感剤、溶媒、レオロジー調整剤、接着補助剤、他の慣用の添加剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、前記重合性組成物の項に記載の成分などが例示でき、好ましい成分及び割合も前記記載と同様であってもよい。なお、通常、被転写剤が溶媒(又は揮発成分、例えば、メチルエチルケトンなど)を含むと、溶媒の気化により、転写精度の低下や、転写不良(又はパターン欠け)が増加するため、従来の方法では、テンプレートの押圧前に溶媒を除去しないと、良好なパターン形状を転写できないが、本発明の方法では、被転写剤層から溶媒を除去することなく、効率的にかつ高い精度でパターン形状を転写できるため、溶媒を好適に使用することができる。そのため、被転写剤として、従来は使用できなかった樹脂成分(例えば、高粘性なため、溶媒非存在下では、パターン形状が容易に転写できない樹脂成分など)なども利用可能になり、インプリント成形の適用分野を拡大できる。
本発明のテンプレートは、ガス透過性が高いため、インプリント成形において、被転写剤(又は被転写剤層)が溶媒を(多量に)含んでいても、気化した溶媒蒸気がテンプレートを透過可能なため、テンプレート及び被転写剤間における溶媒蒸気を効率的に拡散できる。そのため、被転写剤層から溶媒を除去することなく、高い精度でパターンを転写でき、転写不良を有効に低減できる。例えば、ライン幅が100〜1000nm(例えば、150〜600nmなど)程度、高さ:100〜1000nm(例えば、300〜700nmなど)程度、ライン:スペースの比率1:1のライン・アンド・スペースのパターン転写において、ラインの幅寸法のバラつきが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの従来のテンプレートでは、転写パターンのバラつきが±10%を超えるのに対して、本発明のテンプレートでは、例えば、±10%以下(例えば、±8%以下など)、好ましくは±5%以下(例えば、±2%以下など)程度に低減できる。
また、本発明のテンプレートは、その高いガス透過性のため、テンプレートを被転写剤(又は被転写剤層)に接触する際に、テンプレート及び被転写剤間への気泡の混入を効果的に解消できる。そのため、インプリント成形において、気泡混入を抑制するための特殊な方法(例えば、ヘリウムガス雰囲気下、減圧環境下などの特殊な環境で行う方法など)を適用しなくても、大気中で容易に精度よくパターンを転写できる。
さらに、テンプレートが外気(空気など)も透過しやすいため、離型工程において、テンプレートを容易に離型でき、パターン形状の破損及びそれに伴う異物混入も有効に防止できる。そのため、本発明のテンプレートで繰り返しインプリント成形を行っても、パターン形状を良好に転写でき、テンプレートの耐久性を向上できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製、以下MEKという)282.0gに、ヒドロキシルプロピルセルロース(和光純薬工業(株)、粘度2.0〜2.9mPa・sグレード、以下HPCという)62.0gを溶解し、溶液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、40分撹拌した。
溶液を60℃に保ちながら、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、「カレンズMOI」、以下MOIという)17.0gとトリエチルアミン(東京化成工業(株)製、以下TEAという)35.0gとを添加した。
水が混入しないように、窒素雰囲気下、60℃で1時間撹拌後、HPCとMOIとの反応物を含む溶液(固形分濃度20%)を得た。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して固体の重合性化合物(又はプレポリマー)を回収した。
得られた重合性化合物について、東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC」装置を使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行なった。
なお、GPC分析は、重合性化合物を0.05質量%の割合で含むN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液10μlを調製し、この溶液を流量0.6ml/分で10分流して、示差屈折計(RI検出器)で検出する試料の溶出時間を測定して行った。また、ガードカラムとして、東ソー(株)製「TSKguardcolumn SuperAW−H」を使用し、東ソー(株)製「TSKgel SuperAW3000」及び「TSKgel SuperAWM−H」を連結したカラムを用いた。カラム温度は、40℃に設定した。
その結果、得られた重合性化合物の重量平均分子量(以下、Mwという)は6,000,000(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物10gに、アゾビスイソブチロニトリル(関東化学(株)製、以下AIBNという)0.5g及びMEK14.5gを混合し、ポリ四フッ化エチレン製ミクロフィルター(孔径:0.45μm)とポリエーテルスルホン製ミクロフィルター(孔径:0.2μm)を用いて異物(又はゴミ)を濾過し、硬化性組成物を調製した。
(実施例2)
MEK426.6gに、HPC98.94gを溶解し、溶液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、50分撹拌した。
溶液を60℃に保ちながら、2−イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工(株)製「カレンズAOI」、以下AOIという)24.24gとTEA53.42gとを添加した。
水が混入しないように、及び窒素雰囲気下、60℃で1時間撹拌後、HPCとAOIとの反応物を含む溶液(固形分濃度20%)を得た。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して固体の重合性化合物を回収した。
実施例1と同様の方法によりGPC分析を行った結果、Mwは6,000,000(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を使用し、実施例1と同様の方法によって、硬化性組成物を調製した。
(実施例3)
バクテリアセルロースナノファイバー(ナタデココ由来、PT. NIRAMAS UTAMA社(インドネシア)製)50gに純水を加えて500gに希釈し、10分間振とう後、遠心分離を4000rpmで10分間を行い、上清を廃棄した。この工程を2回行った。遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン社製「P-6 Classic Line」)を用い、ジルコニア製容器及びジルコニア製ビーズ(直径5.0mm)を用いて、300rpmで60分間、粉砕及び開繊処理を行った。その後、アセトンを加えて約500gに調整し、室温で20時間静置した後、上清を廃棄した。さらに、アセトンを加えて500gに調整し、振とう後、遠心分離を行い、上清を廃棄する工程を2回行った後、アセトンを加えて500gに調整し、シェーカーにて室温で20時間振とうした。その後、上清を廃棄し、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を加えて500gに調整し、振とう後、遠心分離を行い、上清を廃棄した。このような操作により、分散媒を水からアセトン、アセトンからDMAへと置換した。DMA90g中にバクテリアセルロースナノファイバー10gが分散した分散液を調整した。
MEK144.0gに、バクテリアセルロースナノファイバー15.5gが分散したDMA分散液を混合し、分散液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、60分撹拌した。分散液を60℃に保ちながら、MOI4.25gとTEA35.0gとを添加した。
水が混入しないように、及び窒素雰囲気下、60℃で2時間撹拌後、バクテリアセルロースナノファイバーとMOIとの反応物を含む分散液(固形分濃度5.6%)を得た。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して固体の重合性化合物を回収した。
得られた重合性化合物について、試料溶液として、塩化リチウム1%含有DMA溶液10μl(重合性化合物濃度:0.05質量%)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でGPC分析を行った。その結果、得られた重合性化合物のMwは900,000(標準ポリスチレン換算)であった。
得られたプレポリマー5gに、AIBN0.25gとMEK7.25gとを加えて分散させ、硬化性組成物を調製した。
(実施例4)
セルロースナノファイバー((株)スギノマシン、BiNFi−s AMa−10002)10gを用いて、純水、アセトン、及びDMAを添加する際に、これらの割合を500gから100gにそれぞれ変更する以外は、実施例3と同様の方法により、分散媒を水からアセトン、アセトンからDMAへと置換して、DMA18g中にセルロースナノファイバー2gが分散した分散液を調整した。
MEK25.0gに、セルロースナノファイバー3.7gが分散したDMA分散液を混合し、分散液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、60分撹拌した。分散液を60℃に保ちながら、MOI1.0gとTEA7.0gを添加した。
水が混入しないように、及び窒素雰囲気下、60℃で2時間撹拌後、セルロースナノファイバーとMOIとの反応物を含む分散液(固形分濃度6.4%)を得た。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して固体の重合性化合物を回収した。
得られた重合性化合物について、実施例3と同様の方法によりGPC分析を行った結果、Mwは500,000(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を用いる以外は、実施例3と同様の方法により、硬化性組成物を調製した。
(実施例5)
MEK100gに、アセチル−β−シクロデキストリン[ワッカーケミー(Wacker−Chemie GmbH)社製「CAVASOL W7A」、シクロデキストリンの末端基割合:水酸基67%、アセチルオキシ基33%;以下、アセチル−β−CDという]20.0gを溶解し、溶液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、40分撹拌した。反応溶液を60℃に保ちながら、MOI12.5gとTEA10.0gとを添加した。
水が混入しないように、及び窒素雰囲気下、60℃で1時間撹拌後、アセチル−β−CDとMOIとの反応物を含む溶液(固形分濃度23%)を得た。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して固体の重合性化合物を回収した。
得られた重合性化合物について、実施例1と同様の方法によりGPC分析した結果、Mwは2,500(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を用いる以外は、実施例1と同様の方法により、硬化性組成物を調製した。
(実施例6)
実施例5で得られた重合性化合物10gに、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製「DAROCUR1173」)0.5gとMEK14.5gとを混合して、実施例1と同様のフィルターを用いて濾過し、硬化性組成物を調製した。
(実施例7)
アセチル−β−CDに代えて、メチル−β−シクロデキストリン[ワッカーケミー(Wacker−Chemie GmbH)社製「CAVASOL W7M」、シクロデキストリンの末端基割合:水酸基50%、メトキシ基50%;以下メチル−β−CDという]を用いる以外は、実施例5と同様の方法により、重合性化合物を調製した。得られた重合性化合物について、実施例1と同様の方法によりGPC分析した結果、Mwは2,000(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を用いる以外は、実施例6と同様の方法により、硬化性組成物を調製した。
(実施例8)
MEK50gに、カリックス[6]アレーン(東京化成工業(株)製)10.0gを溶解し、溶液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、40分撹拌した。溶液を60℃に保ちながら、MOI5.5gとTEA5.0gとを添加した。
水が混入しないように、及び窒素雰囲気下、60℃で1時間撹拌後、カリックス[6]アレーンとMOIとの反応物を含む溶液(固形分濃度22%)を得た。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して、固体のプレポリマーを回収した。
得られた重合性化合物について、実施例1と同様の方法によりGPC分析した結果、Mwは1,500(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を用いる以外は、実施例6と同様の方法により、硬化性組成物を調製した。
(比較例1)
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(アズマックス(株)製)2.0g、水0.384g、及びパラトルエンスルホン酸0.15gを乳酸エチル19.1gに加え、室温で5時間撹拌し、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを加水分解して、その縮合物(重合性化合物)を得た。
得られた重合性化合物について、実施例1と同様の方法によりGPC分析した結果、Mwは3,200(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を用いる以外は、実施例6と同様の方法により、硬化性組成物を調製した。
(比較例2)
2.5×2.5cmの面積に高さ500nm、幅500nmのラインが等間隔(ライン:スペースの比率1:1)でライン・アンド・スペースのパターンが刻まれている市販の石英テンプレート(大日本印刷(株)製、ヤング率:73GPa)を用いて評価した。
(耐溶剤性試験)
実施例1〜5で得た熱硬化性組成物をMEKを用いて固形分濃度9%に希釈した後、スピナー(ミカサ(株)製「MS−A100」)によりシリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上で130℃、120分間の加熱を行った。実施例6〜8、及び比較例1で得た光硬化性組成物をMEKを用いて固形分濃度6%に希釈した後、前記スピナーによりシリコンウエハー上に塗布し、メタルハライドランプ(サンエナジー(株)製)を用いて、58mW/cm、20分間の条件で紫外線照射した。硬化物の膜厚は、近赤外分光エリプソメーター(日本セミラボ(株)製「GES5E」)を用いて測定し、1.1μmに調整した。
このようにして得られた硬化物及び比較例2の石英テンプレートを、溶媒に3分間浸漬した後、それぞれの硬化物の膜厚を再測定した。なお、溶媒には、MEK、DMFを用い、それぞれの溶媒について試験を行った。
実施例1〜8及び比較例1のいずれの硬化物も、MEK又はDMFに浸漬後の膜厚に変化はなく、不溶であった。これは、実施例1〜5では加熱により、実施例6〜8及び比較例1では紫外光により3次元的に架橋反応が進行しているためである。なお、比較例2は石英であるため、浸漬後の厚みに変化はなく、溶媒に不溶であった。
(ガス透過性試験)
シリコンウエハーに代えてステンレスメッシュシートを用い、膜厚を5μmに調整する以外は、耐溶剤性試験と同様の方法により、実施例1〜8及び比較例1の硬化性組成物から硬化物を形成した。JIS K7126−1(2006)に準拠して、差圧式ガスバリア測定装置(GTRテック(株)製「GTR−10」)を用い、得られた硬化物及び比較例2の石英テンプレートの酸素ガス透過係数(cm・cm/(cm・sec・cmHg))を測定した。各サンプルについて、5回ずつ測定を行い(N=5)、その平均値(算術平均値)を算出した。得られた結果を、表1に示す。
実施例1〜8の硬化物の酸素ガス透過係数は、いずれも比較例1〜2に比べて非常に大きく、高いガス透過性を有することを確認した。従来のマイクロ又はナノインプリント成形で使用されている比較例2の石英テンプレートは、ガス透過性を有しないことを確認した。
(ナノインプリント用テンプレートの調製)
熱・光ハイブリッドナノインプリント装置(リソテックジャパン(株)「LTNIP−500T」)及び小型卓上試験機((株)島津製作所製「EZTest EZ−L」)を使用して、密着材料(日産化学工業(株)製「GF」、膜厚50nm)を塗布した基板上に、実施例1〜8及び比較例1の硬化性組成物をドロップ塗布法により1箇所、3.0mlの液滴を設けた。その後、ホットプレートを用いて基板を加熱し、液滴(硬化性組成物層)からMEKを揮発させた。この基板を、比較例2の石英テンプレート(マスターテンプレート)との距離が均一になるように水平に設定した。0.5mm/秒の速度でマスターテンプレートを降下し、前記液滴(硬化性組成物層)に向かって接触させた。マスターテンプレートが、液滴(硬化性組成物層)表面と接し始めた後、10〜3000Nの押しつけ力で加重をかけて、マスターテンプレートの凹凸部(パターン形状)を基板に完全に密着させた。その後、実施例1〜5の硬化性組成物は、130℃、120分間の加熱により硬化した。実施例6〜8及び比較例1の硬化性組成物は、メタルハライドランプ(サンエナジー(株)製)を用い、ランプの全波長を58mW/cm、20分間の条件で紫外線照射して硬化した。マスターテンプレートを上昇させ、パターン形状が形成されたテンプレートを調製した。
(揮発性溶媒を含むナノインプリント用被転写剤の調製)
アクリル酸ブチル(東京化成工業(株)製)35.2g、アクリル酸イソボルニル(東京化成工業(株)製)60.1g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業(株)製)28.6g、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製「DAROCUR1173」)2.31gを混合し、室温で4時間撹拌した。アクリル酸ブチル、アクリル酸イソボルニル、エチレングリコールジメタクリレート及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンのモル比は、38:40:20:2であった。この混合物45gに、揮発性溶媒としてMEK5gを添加し、揮発性溶媒を含むナノインプリント用光硬化被転写剤を調製した。
(ナノインプリント成形による被転写剤の加工性試験)
熱・光ハイブリッドナノインプリント装置(リソテックジャパン(株)「LTNIP−500T」)及び小型卓上試験機((株)島津製作所製「EZTest EZ−L」)を使用して、密着材料(日産化学工業(株)製「GF」、膜厚50nm)を塗布した基板上の2.5×2.5cmの領域に、ドロップ塗布法により、前記被転写剤500μlの液滴を1箇所設けた。液滴(被転写剤層)から、MEKを除去することなく、この基板と、前記実施例1〜8及び比較例1の硬化性組成物から調製したテンプレートとの距離が均一になるように水平に設定した。0.4mm/秒から0.003mm/秒の速度で減少させ、前記テンプレートを、基板に向かって降下した。前記テンプレート材料が、被転写剤の液滴(被転写剤層)表面と接し始めた後、1.0〜100Nの押しつけ力で加重をかけて、テンプレートの凹凸部(パターン形状)を完全に基板に密着させた。その後、光照射(メタルハライドランプ(サンエナジー(株)製)、照射条件:58mW/cm、120秒間)を行い、揮発性溶媒を含む被転写剤を硬化した。前記テンプレートを上昇させ、被転写剤にパターン形状を形成した。
また、調製したテンプレートに代えて、比較例2の石英テンプレートを用いて、上記と同様の方法により、揮発性溶媒を含む被転写剤にパターン形状を転写した。
得られたパターン形状について、表面凹凸形状及び断面形状を以下の方法で評価した。すなわち、表面凹凸形状は、走査型プローブ顕微鏡の観察により、硬化した被転写剤の表面凹凸形状を評価した。具体的には、500nmのライン幅の寸法バラつきについて、下記の基準により行った。
優:寸法が±2%(490−510nm)に収まっている
良:寸法が±5%(475−525nm)に収まっている
不可:寸法が±10%以上(450以下、又は550nm以上)の箇所が見られる。
断面形状は揮発性溶媒を含む被転写剤のパターンの矩形性について、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により断面形状を評価した。具体的には、ライン・アンド・スペースのパターン形状の側壁部と底部とがなす角度について、下記の基準により行った。
良:80〜100°に収まっている
不可:80°未満、又は100°を超える箇所が見られる。
表2から明らかなように、実施例のテンプレートでは、MEKなどの揮発性溶媒を含む被転写剤を使用しているにもかかわらず、パターン形状が均一に(高い精度で)転写できた。これに対して、比較例では、良好なパターン形状が転写できなかった。また、実施例1〜8の硬化性組成物から得られたテンプレートでは、離型後のテンプレートに硬化した被転写剤は全く付着していなかった。
特に、実施例1〜2と実施例5〜7の硬化性組成物から得られたテンプレートを用いた場合は、酸素ガス透過係数が大きいため、テンプレートと被転写剤との間に混入する空気、気化した溶媒蒸気、又は被転写材料から反応時に発生するガスなどが、テンプレートを透過し易く、成形不良や寸法バラつきを抑える効果が最良となったと考えられる。
(実施例9)
MEK60.4gに、2−ヒドロキシルプロピル−β−シクロデキストリン[ワッカーケミー(Wacker−Chemie GmbH)社製「CAVASOL W7A」、シクロデキストリンの末端基割合:水酸基67%、2−ヒドロキシルプロピルオキシ基33%;以下、2HP−β−CDという]20.0gを溶解し、溶液中に窒素を3分間流した後、60℃に昇温し、40分撹拌した。反応溶液を60℃に保ちながら、MOI12.5gとTEA4.9gを添加した。
水が混入しないように、及び窒素雰囲気下、60℃で6時間撹拌後、2HP−β−CDとMOIとの反応物を含む溶液(固形分濃度33%)を得た。なお、反応は、FTIRスペクトルにより確認した。詳しくは、Perkin Elmer社製「spectrum two」を使用して、基[−N=C=O](2275〜2250cm−1)、基[C=C](1680〜1620cm−1)及び基[−HNC(=O)−](1510cm−1)の反応前後における吸収最大値を測定することにより確認した。反応の進行につれて、基[−N=C=O]の吸収最大値が減少するのに対して、基[−HNC(=O)−]の吸収最大値は増加し、基[C=C]は反応前後において変化しなかった。なお、アクリル基と2−ヒドロキシプロピル基との比は、前者/後者(モル比)=70/30程度であった。反応終了後、再沈殿法により精製し、エバポレータで濃縮して固体の重合性化合物を回収した。
得られた重合性化合物について、ガードカラムとして、東ソー(株)製「TSKguardcolumn SuperAW−H」を使用し、東ソー(株)製「TSKgel SuperAW3000」を使用する以外は、実施例1と同様の方法によりGPC分析した結果、Mwは3,300(標準ポリスチレン換算)であった。
得られた重合性化合物を用いる以外は、実施例6と同様の方法により、硬化性組成物を調製した。
(比較例3)
ポリジメチルシロキサン(PDMS)[Dow Corning社製「Slygard 184」]を用いた。
(比較例4)
石英板(厚み:0.3mm、直径:5cm)を用いて評価した。
(比較例5)
Mwが32000、分子量分布が2.2のポリメチルメタクリレートを用いて評価した。
(比較例6)
Mwが25000、分子量分布が2.7のポリエチレンを用いて評価した。
(ヤング率)
実施例9で得られた硬化性組成物に、メタルハライドランプ(サンエナジー(株)製)を用いて、58mW/cm、20分間の条件で紫外線照射した。その後、減圧環境下、110℃、2時間保持して、硬化物を作製した。
JIS K7161−1(2014)に準拠して、(株)島津製作所製「DUH−211」を使用して、実施例9及び比較例3〜6の硬化物の弾性率(ヤング率)を測定した。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例9では、比較例3のPDMSよりも高く、インプリント成形に充分適用できる機械的強度を有することが分かった。
(酸素ガス透過性)
ステンレスメッシュシートを用い、膜厚を100μmに調整する以外は、前記耐溶剤性試験と同様の方法により、実施例9の硬化性組成物から硬化物を形成した。
JIS K7126−1(2006)に準拠して、差圧式ガスバリア測定装置(GTRテック(株)製「GTR−11」)を用い、得られた実施例9の硬化物及び比較例3〜6の硬化物の酸素ガス透過係数(cm・cm/(cm・sec・cmHg))を測定した。各サンプルについて、5回ずつ測定を行い(N=5)、その平均値(算術平均値)を算出した結果を表4に示す。
表4から明らかなように、実施例9では、比較例に比べて、極めて高い酸素ガス透過性を有することが分かった。例えば、比較例3のPDMSに比べて、実施例9では、約60倍の酸素ガス透過性を有している。
(光透過性)
幅2cm×長さ2cm×厚み1mmの石英基板を用い、膜厚を10μmに調整する以外は、前記耐溶剤性試験と同様の方法により、実施例9の硬化性組成物から硬化物を形成した。この硬化物について、JASCO社製「V−650」を用い、波長250〜900nmにおける光透過率を測定した。結果を図1に示す。図1から明らかなように、波長300〜900nmの領域において、光透過率は98%以上であり、光インプリント成形にも十分適用可能な高い透明性を示した。
(実施例9及び比較例3を用いたテンプレートの調製)
マスターテンプレートとして、ライン幅550nm及び200nm、高さ500nmのライン・アンド・スペース(ライン:スペースの比率1:1)のパターンが10mmの領域に形成された市販の石英テンプレートを準備した。なお、マスターテンプレートには、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルジメチルクロロシラン(Aldrich社製)の0.2重量%トルエン溶液中に12時間浸漬した後、トルエンでリンスすることにより、表面にフッ素系単分子層を形成した。
小型卓上試験機((株)島津製作所製「EZTest EZ−L」)及びソフトウェア((株)島津製作所製「TRAPEZIUM」)を使用して、密着材料(日産化学工業(株)製「GF」、膜厚50nm)を塗布した基板上に、実施例9の硬化性組成物をドロップ塗布法により1箇所、3.0mlの液滴を設けた。その後、ホットプレートを用いて基板を加熱し、液滴(硬化性組成物層)からMEKを揮発させた。この液滴(硬化性組成物層)に対して、前記マスターテンプレートを100Nの押しつけ力で加重をかけて、マスターテンプレートの凹凸部(パターン形状)を基板に完全に密着させた。さらに、メタルハライドランプ(サンエナジー(株)製)を用いて、58mW/cm、20分間の条件で紫外線照射した。その後、減圧環境下、110℃、2時間保持して、硬化物を作製した。
また、比較例3のPDMS及び前記マスターテンプレ−トを用いて、50℃の環境下、450Nの加重を12時間かけて、熱ナノインプリント成形に供し、比較例3のPDMSに前記マスターテンプレートのパターン形状を転写した。
(実施例9及び比較例3から得られたテンプレートによる転写試験)
アクリル酸ブチル(東京化成工業(株)製)、アクリル酸イソボルニル(東京化成工業(株)製)、エチレングリコールジアクリレート(東京化成工業(株)製)28.6g、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製「DAROCUR1173」)、及びMEKをモル比、30:40:20:5:5の割合で混合して、揮発性溶媒を含むナノインプリント用光硬化被転写剤を調製した。
熱・光ハイブリッドナノインプリント装置(リソテックジャパン(株)「LTNIP−500T」)及び小型卓上試験機((株)島津製作所製「EZTest EZ−L」)を使用して、密着材料(日産化学工業(株)製「NCI−NIL−U01」、膜厚50nm)を塗布したシリコン基板上に、ドロップ塗布法により、前記被転写剤500μlの液滴を1箇所設けた。液滴(被転写剤層)から、MEKを除去することなく、この基板に対して、前記実施例9の硬化性組成物から調製したテンプレートを降下して、50Nの押しつけ力で加重をかけて接触させた。テンプレートの凹凸部(パターン形状)を完全に基板に密着させて、120秒間保持した。その後、光照射(メタルハライドランプ(サンエナジー(株)製)、照射条件:58mW/cm、60秒間)を行い、揮発性溶媒を含む被転写剤を硬化した。前記テンプレートを上昇させ、被転写剤にパターン形状を形成した。
また、実施例9の硬化性組成物から調製したテンプレートに代えて、比較例3のPDMSで調製したテンプレートを用いて、同様の方法により、被転写剤にパターン形状を形成した。
それぞれの硬化した被転写剤のパターンについて、走査型プローブ顕微鏡((株)島津製作所製「SPM−9700」)を用いて観察し、ライン幅の寸法バラつきを確認した。結果を表5に示す。
表5の結果から明らかなように、比較例3では、目的のパターン形状に対する寸法が、±18%の範囲を超えるのに対して、実施例9では、±8%以内の範囲に収まっており、高い精度でパターンが転写できることが分かる。
本発明の硬化物は、ガス透過性が高いため、ガス透過膜などとして利用できる。また、ガス透過性だけでなく、機械的強度や、耐溶剤性、低線熱膨張性(又は寸法安定性)、透明性などにも優れているため、コンパクトディスク(CD)、太陽電池、太陽電池パネル用表面撥水性汚れ防止シート、ディスプレイ、ディスプレイ用光散乱フィルム、発光ダイオード(LED)、半導体、ハードディスク記録装置、バイオセンサーなどの電子デバイスやバイオチップなどの医療用材料を成形するためのマイクロ又はナノインプリント成形用テンプレートとして好適に利用できる。
また、本発明のテンプレートは、多糖類(例えば、セルロースなど)などのバイオマス資源を有効利用して形成することもでき、自然環境へ与える負荷を低減したインプリント成形用テンプレートとしても利用することもできる。

Claims (16)

  1. ヒドロキシル基含有多糖類又はヒドロキシル基含有大環状化合物の少なくとも一部のヒドロキシル基の水素原子が、下記式(1a)〜(1c)
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキレン基、nは0又は1を示す。)
    で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の重合性置換基に置換された重合性化合物を含む硬化性組成物の硬化物で形成されたインプリント成形用テンプレート
  2. 重合性置換基が、式(1b)で表される基であり、RがC2−4直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基である請求項1記載のインプリント成形用テンプレート
  3. 重合性置換基が、重合性化合物1gに対して、1×10−7〜10モルの割合で含まれる請求項1又は2記載のインプリント成形用テンプレート
  4. ヒドロキシル基含有多糖類が、セルロース、セルロース誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体からなる群より選択された少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレート
  5. セルロースが、ナノファイバーを含む請求項4記載のインプリント成形用テンプレート
  6. セルロース誘導体が、セルロースエーテルを含み、デキストリン誘導体が、デキストリンエーテル又はデキストリンエステルを含む請求項4記載のインプリント成形用テンプレート
  7. デキストリンエーテル又はデキストリンエステルが、アルキルシクロデキストリン又はシクロデキストリンアシレートである請求項6記載のインプリント成形用テンプレート
  8. ヒドロキシル基含有大環状化合物が、カリックスアレーンを含む請求項1記載のインプリント成形用テンプレート
  9. 硬化性組成物が、さらに、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を含む請求項1〜8のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレート
  10. 硬化性組成物が、さらに、溶媒を含む請求項1〜9のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレート
  11. マイクロ又はナノインプリント成形用テンプレートである請求項1〜10のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレート
  12. スターテンプレートのパターン形状が反転したパターン形状を有する請求項1〜11のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレート
  13. JIS K7126−1(2006)に準拠して測定した酸素のガス透過係数が、10×10−12〜2000×10−12cm・cm/(cm・sec・cmHg)である請求項1〜12のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレート
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物に活性エネルギーを与えて硬化し、請求項1〜13のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレートを形成する方法。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載のインプリント成形用テンプレートをテンプレートとして用い、被転写剤にパターンを転写する方法。
  16. 被転写剤が、溶媒を含む請求項15記載の方法。
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