JP5616036B2 - 基材、中間膜及び微細凹凸構造膜を積層してなる積層体 - Google Patents
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1−1.微細凹凸構造膜の表面形状
本発明の積層体は、図1に示したように、少なくとも、基材、中間膜、微細凹凸構造膜をこの順に積層してなる。そして、かかる微細凹凸構造膜は、中間膜側とは反対側の表面に、平均高さ100nm以上1000nm以下の凸部又は平均深さ100nm以上1000nm以下の凹部を有していることが必須である。ここで凸部とは、基準となる面より出っ張った部分をいい、凹部とは、基準となる面より凹んだ部分をいう。本発明の積層体は、その表面に凸部を有していても、凹部を有していてもよい。また、凸部と凹部の両方を有していてもよく、更に、それらが連結して波打った構造を有していてもよい。
本発明の積層体における微細凹凸構造膜の材質は、硬化性組成物が硬化してなるものであっても、熱可塑性組成物であってもよい。硬化性組成物とは、光照射、電子線照射及び/又は加熱によって硬化する組成物である。中でも、光照射又は電子線照射により硬化する硬化性組成物が好ましい。
「光照射又は電子線照射により硬化する組成物」(以下、「光硬化性組成物」と略記する)としては特に限定はなく、アクリル系重合性組成物又はメタクリル系重合性組成物(以下、「(メタ)アクリル系重合性組成物」と略記する)、光酸触媒で架橋し得る組成物等、何れも使用できるが、(メタ)アクリル系重合性組成物が、本発明における微細構造に適した機械特性を与える点、化合物群が豊富なため種々の物性の微細凹凸構造膜を調製できる点、型の転写で凹凸を形成させる場合には、型を忠実に転写する点、型からの剥離性に優れる点、等から好ましい。
加熱により硬化する組成物(以下、「熱硬化性組成物」と略記する)としては、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる組成物であれば特に制限はないが、例えば、フェノール系重合性組成物、キシレン系重合性組成物、エポキシ系重合性組成物、メラミン系重合性組成物、グアナミン系重合性組成物、ジアリルフタレート系重合性組成物、尿素系重合性組成物(ユリア系重合性組成物)、不飽和ポリエステル系重合性組成物、アルキド系重合性組成物、ポリウレタン系重合性組成物、ポリイミド系重合性組成物、フラン系重合性組成物、ポリオキシベンゾイル系重合性組成物、マレイン酸系重合性組成物、メラミン系重合性組成物、(メタ)アクリル系重合性組成物等が挙げられる。中でも、熱硬化性組成物としては、上記と同様の理由から(メタ)アクリル系重合組成物が好ましい。
上記したように、本発明の積層体における微細凹凸構造膜は、(メタ)アクリル系重合性組成物が、光照射、電子線照射及び/又は加熱によって硬化したものであることが、上記した点から特に好ましい。微細凹凸構造の形成に用いられる(メタ)アクリル系重合性組成物を「(メタ)アクリル系重合性組成物(A)」とする。
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは特に限定はなく、例えば、ウレタン結合の位置や個数、(メタ)アクリル基の位置や個数は特に限定はない。
エステル(メタ)アクリレートとしては特に限定はなく、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましいものとして挙げられる。2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、直鎖アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、3価以上のアルコールの部分(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。2官能エステル(メタ)アクリレートを含有すると、硬化性が上がり、鉛筆硬度がH以上にし易くなり、機械特性向上等の点で好ましい。2官能(メタ)アクリレートの中でも、アルキレングリコール鎖を有し、分子の両末端にそれぞれ1個ずつの(メタ)アクリル基を有する2官能エステル(メタ)アクリレートを含有することが、更に硬化性を上げるために好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては特に限定はないが、具体的には例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコ−ルのジグリシジルエーテル類;グリセリンジグリシジルエーテル等のグリセリングリシジルエーテル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのPO変性ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリジルエーテル等のビスフェノール系化合物のジグリシジルエーテル類等に、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するもの等が挙げられる。また、縮重合されたエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するものが挙げられる。更に、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の縮重合物に、例えばエピクロロヒドリン等を反応させて得られた構造を有するエポキシ樹脂に対して、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するもの等が挙げられる。
更に、本発明の積層体における微細凹凸構造膜は、変性シリコーンオイルを含有することも好ましい。「変性シリコーンオイル」とは、分子中にシロキサン結合を有し、ケイ素原子(Si)にメチル基以外の有機基も結合している化合物をいう。「変性シリコーンオイル」には、シリコーン(メタ)アクリレートが含まれる。「シリコーン(メタ)アクリレート」とは、分子中にシロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物をいう。従って、本発明における(メタ)アクリル系重合性組成物(A)は、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することも好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及び変性シリコーンオイルの含有比率は特に限定はなく、鉛筆硬度がH以上になるように、また種々の物性が最適になるように調整される。ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、エステル(メタ)アクリレート10重量部以上が好ましく、20重量部以上が特に好ましい。また、上限は、400重量部以下が好ましく、300重量部以下がより好ましく、200重量部以下が特に好ましく、100重量部以下が更に好ましい。
本発明における(メタ)アクリル系重合性組成物(A)には、上記したもの以外に、その他の(メタ)アクリレート、重合開始剤、添加剤等を含有させることができる。
本発明の積層体における微細凹凸構造膜は熱可塑性組成物からなっていてもよい。熱可塑性組成物とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなるものをいう。具体的には特に限定はないが、例えば、アクリロニトリル−スチレン系重合体組成物、アクリロニトリル−スチレン系重合体組成物、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン系重合体組成物、スチレン−(メタ)アクリレート系重合体組成物、ブダジエン−スチレン系重合体組成物等のスチレン系重合体組成物;塩化ビニル系重合体組成物、エチレン−塩化ビニル系重合体組成物、エチレン−酢酸ビニル系重合体組成物、プロピレン系重合体組成物、プロピレン−塩化ビニル系重合体組成物、プロピレン−酢酸ビニル系重合体組成物、塩素化ポリエチレン系組成物、塩素化ポリプロピレン系組成物等のポリオレフィン系組成物;ケトン系重合体組成物;ポリアセタール系組成物;ポリエステル系組成物;ポリカーボネート系組成物;ポリ酢酸ビニル系組成物、ポリビニル系組成物、ポリブタジエン系組成物、ポリ(メタ)アクリレート系組成物等が挙げられる。
本発明の積層体における微細凹凸構造膜には、更に、シリコーンオイル、前記した変性シリコーンオイル、バインダーポリマー、微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、離型剤、滑剤、レベリング剤等を配合することもできる。これらは、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
微細凹凸構造膜の膜厚は、積層体の鉛筆硬度をH以上に調整でき、積層体を問題なく形成でき、問題なく使用できれば特に限定はないが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜7μmがより好ましく、0.5μm〜5μmが特に好ましい。微細凹凸構造膜の膜厚が小さ過ぎると、微細凹凸構造を転写しにくくなる場合がある。
2−1.中間膜の組成
本発明の積層体は、図1に示したように、少なくとも、基材、中間膜、微細凹凸構造膜をこの順に積層してなる。該中間膜は、硬化性組成物が硬化してなるものであっても、熱可塑性組成物であってもよいが、光照射、電子線照射及び/又は加熱によって、(メタ)アクリル系重合性組成物が重合したものであることが、鉛筆硬度をH以上にし易い点、それによって、優れた機械特性を与える点等から好ましい。中間膜の形成に用いられる(メタ)アクリル系重合性組成物を「(メタ)アクリル系重合性組成物(B)」とする。また、「光照射、電子線照射及び/又は加熱によって」とは、光照射、電子線照射及び加熱からなる群のうち、何れか1つの処理によってでもよく、そこから選ばれた2つの処理の併用によってでもよく、3つの処理全ての併用によってでもよい。
該(メタ)アクリル系重合性組成物(B)の(メタ)アクリル基の重合後の反応率は特に限定はないが、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。かかる反応率が低過ぎると、積層体の表面の鉛筆硬度をH以上にできず、機械特性の低下をまねく場合がある。反応率は、微細凹凸構造膜を形成する(メタ)アクリル系重合性組成物(A)の箇所に記載された方法と同様の方法で測定され、その測定値として定義される。
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは特に限定はなく、例えば、ウレタン結合の位置や個数、(メタ)アクリル基の位置や個数は特に限定はない。(メタ)アクリル系重合性組成物(B)が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有することによって、得られた積層体の鉛筆硬度をH以上にできるようになり、機械特性が良好になると共に柔軟性が優れたものになる。
エステル(メタ)アクリレートとしては特に限定はなく、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましいものとして挙げられる。具体的には、微細凹凸構造膜の箇所で記載したもの等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては特に限定はないが、具体的には、微細凹凸構造膜の箇所で記載したもの等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートを含有させることによって、更に強靭になり、積層体の鉛筆硬度をH以上に調整でき、本発明における特殊な構造を有する表面の鉛筆硬度等の機械特性が更に良好になる。
ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートの含有比率は特に限定はないが、積層体の鉛筆硬度をH以上に調整するために、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、エステル(メタ)アクリレート10〜400重量部が好ましく、20〜300重量部がより好ましく、30〜200重量部が特に好ましく、40〜100重量部が更に好ましい。また、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、エポキシ(メタ)アクリレート0〜50重量部が好ましく、1〜20重量部が特に好ましく、2〜10重量部が更に好ましい。
本発明における中間膜が、(メタ)アクリル系重合性組成物(B)の光照射又は電子線照射によって形成される場合に、光重合開始剤の有無は特に限定はないが、特に光照射によって形成される場合には、光重合開始剤が含有されることが好ましい。光重合開始剤としては特に限定はないが、具体的には、微細凹凸構造膜の箇所で記載したもの等が挙げられる。また、光増感剤を併用させることもできる。
本発明の積層体における中間膜は熱可塑性組成物からなっていてもよい。熱可塑性組成物は、具体的には微細凹凸構造膜の箇所で記載したもの等が挙げられる。中でも、中間膜としては、ポリ(メタ)アクリレート系組成物、ポリカーボネート系組成物等が好ましい。これらを用いると、得られた積層体の耐スチールウール性と鉛筆硬度の両立が達成でき、機械特性を特に向上させることができる。
更に、本発明の積層体における中間膜は、シリコーンオイル、前記した変性シリコーンオイル、バインダーポリマー、微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、離型剤、潤滑剤、レベリング剤等を配合することもできる。これらは、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
中間膜の膜厚は、積層体の鉛筆硬度をH以上に調整でき、積層体として問題なく使用できれば特に限定はないが、0.1μm〜100μmが好ましく、0.5μm〜50μmがより好ましく、0.8μm〜30μmが特に好ましい。中間膜の膜厚が大き過ぎると、反射防止積層体の全光線透過率が低下する場合があり、一方、小さ過ぎると、十分な鉛筆硬度や機械特性が得られない場合がある。
中間膜の膜厚と物性は、積層体の表面の鉛筆硬度がH以上にするように調整される。中間膜自体の鉛筆硬度は特に限定はないが、H〜5Hが好ましく、2H〜4Hが特に好ましい。中間膜の硬度が低過ぎると、積層体の鉛筆硬度が低くなり、積層体表面の機械特性が悪化する場合がある。
本発明の積層体は、図1に示したように、少なくとも、基材、中間膜、微細凹凸構造膜をこの順に積層してなる。該基材としては、硬化性若しくは熱可塑性であり、可視光を透過する樹脂、又は無機物が挙げられる。樹脂としては、具体的には、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース誘導体;エポキシ系樹脂;シリコーン系樹脂等が挙げられる。
本発明の積層体は、中間膜側とは反対側の表面、すなわち微細凹凸構造を有する表面で測定した鉛筆硬度がH以上であることが必須である。鉛筆硬度は、JIS K5400に基づいた鉛筆硬度試験機に荷重500gを載せ測定したものとして定義される。「H以上」とは、H又はHより鉛筆硬度が硬いことをいう。好ましくは2H以上である。
5−1.微細凹凸構造の形成方法
本発明においては、微細凹凸構造の形成方法は限定されず、微細凹凸構造を有する型の転写、微粒子の吹き付け若しくは付着、溶媒の留去に伴う凹凸形成等何れも可能である。均一な微細凹凸構造が形成できる点、本発明によって機械特性が良好になる効果が大きい点等により、微細凹凸構造を有する型の転写による形成方法が好ましい。
本発明の積層体の製造方法は、例えば下記の方法が好ましい。すなわち、上記中間膜形成材料を基材上に採取、バーコーター若しくはアプリケーター等の塗工機又はスペーサーを用いて、均一膜厚になるように塗布する。その後、要すれば、塗布溶剤を留去した後、要すれば、紫外線等の光照射及び/又は電子線照射及び/又は加熱により硬化させて、基材上に中間膜を得る。
本発明の積層体は、視認性改良用、光の反射防止用、光の透過改良用、表面保護用等に好適に用いられる。具体的には、FPD等の反射防止膜、透過性改良膜、表面保護膜等として好適に用いられる。
<中間膜の製造>
厚さ80μmのPETフィルムを基材として用い、その上に、下記式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレート32.7g、下記式(2)で示されるウレタン(メタ)アクリレート65.3g、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0gを混合して得た塗布液を塗布、乾燥させた。次いで、フュージョン製UV照射装置を用いて光硬化させ、基材上に5μmの中間膜を形成させた。
下記式(1)で示される化合物(1)11.8重量部、下記化合物(2)23.0重量部、テトラエチレングリコールジアクリレート45.2重量部、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート20.0重量部及び光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0重量部を混合して光硬化性組成物(a)を得た。
2HEA−−IPDI−−(アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールとの重量平均分子量3500の末端水酸基のポリエステル)−−IPDI−−2HEA
で示される化合物である。ここで、「2HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、「IPDI」は、イソホロンジイソシアネートを示し、「−−」は、イソシアネート基と水酸基の通常の下記の反応による結合を示す。
−NCO + HO− → −NHCOO−
アルミニウムの陽極酸化とエッチング(孔径拡大)処理を交互に5回繰り返すことで、周期200nm、細孔径開口部160nm、底部50nm、細孔深さ300nmのテーパー形状の細孔を有する陽極酸化被膜表面を得た。以下、これを型として用いた。
実施例1において、中間膜の厚さを5μmから10μmに代えた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例1において、中間膜の厚さを5μmから15μmに代えた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例1において、中間膜の製造を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<中間膜の製造>
厚さ80μmのPETフィルムを基材として用い、その上に、ビスフェノールA系エポキシアクリレート65.4g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート32.6g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0gを混合して得た塗布液を塗布、乾燥させた。次いで、フュージョン製UV照射装置を用いて光硬化させ、基材上に15μmの中間膜を形成させた。
実施例1において、中間膜の製造を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<中間膜の製造>
厚さ80μmのPETフィルムを基材として用い、その上に、テトラエチレングリコールジアクリレート65.4g、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート32.6g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0gを混合して得た塗布液を塗布、乾燥させた。次いで、フュージョン製UV照射装置を用いて光硬化させ、基材上に15μmの中間膜を形成させた。
実施例1において、中間膜を形成させずに、基材の上に直接微細凹凸構造膜を形成させた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例1において、中間膜の製造を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<中間膜の製造>
厚さ80μmのPETフィルムを基材として用い、その上に、下記化合物(3)を72g、トリプロピレングリコールジアクリレート26g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0gを混合して得た塗布液を塗布、乾燥させた。次いで、フュージョン製UV照射装置を用いて光硬化させ、基材上に10μmの中間膜を形成させた。
2HEA−−IPDI−−(アジピン酸と1,4−ブタンジオールとの重量平均分子量25000の末端水酸基のポリエステル)−−IPDI−−2HEA
で示される化合物である。ここで、「2HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、「IPDI」は、イソホロンジイソシアネートを示し、「−−」は、イソシアネート基と水酸基の通常の下記の反応による結合を示す。
−NCO + HO− → −NHCOO−
[反射率の測定方法]
島津製作所製、自記分光光度計「UV−3150」を用い、積層体の裏面(PETフィルム側)に黒色テープを貼り付け、裏面から波長380nm〜750nmの光をスキャンさせて、正5°反射率スペクトルを測定した。波長380nm〜750nmの範囲で最も正5°反射率の大きかった波長での正5°反射率(%)を表1に示す。
[耐スチールウール性の測定方法]
積層体の表面上を、新東科学(株)社製の表面試験機ドライボギアTYPE−14DRを用い、25mm円柱の平滑な断面にスチールウール#0000を均一に貼り付け、荷重400gをかけながら、速度10cm/秒で10往復させたときの傷の付き具合を観察した。以下の基準で判定した。結果を表1に示す。
5:25mm円柱内に引掻き傷なし
4:25mm円柱の一部に数本程度の引掻き傷あり
3:25mm円柱の一部に無数の引掻き傷あり
2:25mm円柱の全面に無数の引掻き傷あり
1:25mm円柱の全面に無数の激しい引掻き傷あり
JIS K5400に基づいた鉛筆硬度試験機に荷重500gを載せ測定を行った。結果を表1に示す。
2 型
3 基材
4 中間膜
5 ローラー
6 微細凹凸構造膜
7 積層体
8 硬化装置
9 支持ローラー
Claims (7)
- 少なくとも、基材、中間膜、微細凹凸構造膜をこの順に積層してなる積層体であって、 該中間膜と微細凹凸構造膜は何れも、分子中に複数個のイソシアネート基を有する化合物に対して、分子中に水酸基と複数個の(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつ官能基数が4〜15個のウレタン(メタ)アクリレート、及び、2官能以上のエステル(メタ)アクリレートを含有する(メタ)アクリル系重合性組成物が重合したものであって、
該中間膜の膜厚が0.8μm〜30μmであり、
該微細凹凸構造膜が、中間膜側とは反対側の表面に、平均高さ100nm以上1000nm以下の凸部又は平均深さ100nm以上1000nm以下の凹部を有し、その凸部又は凹部が、少なくともある一の方向に対し平均周期100nm以上400nm以下で存在する微細凹凸構造を有し、
該微細凹凸構造膜の膜厚が0.1μm〜10μmであり、該表面で測定した鉛筆硬度がH以上であることを特徴とする積層体。 - 該微細凹凸構造膜が、光照射、電子線照射及び/又は加熱によって(メタ)アクリル系重合性組成物(A)が重合したものである請求項1記載の積層体。
- 該(メタ)アクリル系重合性組成物(A)が、更に、エポキシ(メタ)アクリレートを含有するものである請求項2記載の積層体。
- 該中間膜が、光照射、電子線照射及び/又は加熱によって、(メタ)アクリル系重合性組成物(B)が重合したものである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の積層体。
- 該(メタ)アクリル系重合性組成物(B)の重合後の(メタ)アクリル基の反応率が85モル%以上である請求項4記載の積層体。
- 該(メタ)アクリル系重合性組成物(B)が、更に、エポキシ(メタ)アクリレートを含有するものである請求項4又は請求項5記載の積層体。
- 光の反射防止用及び/又は光の透過改良用である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の積層体。
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