JP6686979B2 - 積層インダクタ - Google Patents

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Description

本発明は、積層インダクタに関する。
従来、積層インダクタとしては、特開2008−53368号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この積層インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、積層体に複数の絶縁層の積層方向に沿って配置されると共に第1の外部電極と第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを有する。
複数の導体部は、少なくとも二つの第1の導体パターンからなる第1の導体部と、一つの第2の導体パターンからなる第2の導体部とを有する。少なくとも二つの第1の導体パターンは、同一形状であり且つ積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続される。第2の導体パターンは、一端が第2の外部電極に電気的に接続されると共に他端が少なくとも二つの第1の導体パターンを介して第1の外部電極に電気的に接続されている。これにより、直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られている。
特開2008−53368号公報
ところで、前記従来のような積層インダクタを使用しようとすると、Q値の確保を図れるが、音声歪みの点では十分な構造ではないことがわかった。
そこで、本発明の課題は、Q値の確保を図りつつ音声歪特性を改善できる積層インダクタを提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の積層インダクタは、
積層方向に積層された複数の絶縁層を含む積層体と、
前記積層体内に前記積層方向に沿って配列され、直列に接続された複数のコイル群と
を備え、
前記コイル群は、前記絶縁層上に設けられ前記積層方向に積層された複数のコイルパターンを含むと共に、n個(nは正の整数)のコイルパターンを並列に接続してなるパターン群を複数個直列に接続して構成され、
少なくとも1つの前記コイル群の並列数nは、その他の前記コイル群の並列数nと異なり、
前記複数の絶縁層は、磁性絶縁層と非磁性絶縁層とを含み、前記コイルパターンに隣接する前記絶縁層の少なくとも1つは、前記非磁性絶縁層である。
本発明の積層インダクタによれば、並列数が異なるコイル群に非磁性絶縁層を設けているため、磁束が抑制されて、音声歪特性が改善される。また、並列数が異なるコイル群を有するので、直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られる。
また、積層インダクタの一実施形態では、最も少ない並列数nを有する前記コイル群に含まれる前記コイルパターンに隣接する前記絶縁層の少なくとも1つは、前記非磁性絶縁層である。
前記実施形態によれば、最も少ない並列数nを有するコイル群では、電流が多く流れて磁束が増加するが、このコイル群に含まれるコイルパターンに隣接する絶縁層の少なくとも1つを非磁性絶縁層としているので、磁束が抑制されて、ヒステリシス線形性が改善され、音声歪特性が改善される。
また、積層インダクタの一実施形態では、前記最も少ない並列数nを有するコイル群における前記積層方向の中央に位置する前記絶縁層は、前記非磁性絶縁層である。
前記実施形態によれば、コイル群の積層方向の中央に位置する絶縁層は、非磁性絶縁層であるので、磁束密度の高い中央部に非磁性絶縁層を配置することで、磁束が抑制されて、音声歪特性が改善される。
また、積層インダクタの一実施形態では、前記最も少ない並列数nを有するコイル群は、前記積層方向の外側に配置されている。
前記実施形態によれば、最も少ない並列数nを有するコイル群では、電流が多く流れて発熱が多くなるが、このコイル群を積層方向の外側に配置することで、チップの放熱性を改善し、定格電流を向上できる。
また、積層インダクタの一実施形態では、前記コイルパターンの側部と前記積層体の側面との間の領域であるサイドギャップ部における前記積層体のポア面積率は、6%以上でかつ20%以下である。
前記実施形態によれば、積層体の側面からサイドギャップ部を経て金属を含む酸性溶液を浸透させ、コイルパターンとその周囲の絶縁層との界面に酸性溶液を到達させることにより、コイルパターンと絶縁層との界面が化学的に解離した状態となる。これにより、積層体の応力を緩和でき、磁性絶縁層が磁気的特性を出すために必要となる磁壁移動の阻害が少なくなり、ヒステリシス線形性が改善して、音声歪特性が改善される。
また、積層インダクタの一実施形態では、前記非磁性絶縁層のポア面積率は、前記磁性絶縁層のポア面積率よりも小さい。
前記実施形態によれば、電流が多く流れるコイル群のコイルパターンに隣接する非磁性絶縁層は、高温高湿環境下などで、マイグレーションによるショートのリスクが高い箇所となるが、この非磁性絶縁層のポア面積率を小さくすることで、高リスク箇所での信頼性を改善し、積層インダクタ全体での信頼性を改善(ショートリスクを低減)することが可能となる。
また、積層インダクタの一実施形態では、前記非磁性絶縁層の厚みは、前記磁性絶縁層の厚みよりも薄い。
前記実施形態によれば、非磁性絶縁層が高密度化されていることで、非磁性絶縁層を薄くしても、高い耐環境性能を発揮することができる。また、非磁性絶縁層を薄くすることで、高いインピーダンス特性を向上できる。
また、積層インダクタの一実施形態では、最も少ない並列数nを有する前記コイル群における隣り合うパターン群の間に位置する前記絶縁層は、前記非磁性絶縁層である。
前記実施形態によれば、隣り合うパターン群は、異電位となるため、隣り合うパターン群の間でショートした場合に、インピーダンスの影響がある。この隣り合うパターン群の間に、ポア面積率の小さい非磁性絶縁層を配置することで、積層インダクタ全体としての信頼性を改善(ショートリスクを低減)することが可能となる。
本発明の積層インダクタによれば、Q値の確保を図りつつ音声歪特性を改善できる。
本発明の積層インダクタの第1実施形態を示す斜視図である。 本発明の積層インダクタの分解斜視図である。 本発明の積層インダクタの概略図である。 音声歪みTHD+Nを測定する測定装置を示す概略図である。 音声歪みの測定結果のグラフである。 本発明の積層インダクタの第2実施形態を示す分解斜視図である。 本発明の積層インダクタの概略図である。 音声歪みの測定結果のグラフである。 ヒステリシス線形性を示すB-Hカーブのグラフである。 本発明の積層インダクタの第3実施形態を示す分解斜視図である。 本発明の積層インダクタの概略図である。 音声歪みの測定結果のグラフである。 ヒステリシス線形性を示すB-Hカーブのグラフである。 印加電力に対する発熱量を抵抗法で測定したグラフである。 本発明の積層インダクタの第4実施形態を示す分解斜視図である。 本発明の積層インダクタの概略図である。 音声歪みの測定結果のグラフである。 1重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と1重巻きの第3コイル群とを含む積層インダクタの概略図である。 1重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と1重巻きの第3コイル群と2重巻きの第4コイル群と1重巻きの第5コイル群とを含む積層インダクタの概略図である。 2重巻きの第1コイル群と1重巻きの第2コイル群と2重巻きの第3コイル群とを含む積層インダクタの概略図である。 1重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と3重巻きの第3コイル群と4重巻きの第4コイル群と3重巻きの第5コイル群と2重巻きの第6コイル群と1重巻きの第7コイル群とを含む積層インダクタの概略図である。 2重巻きの第1コイル群と1重巻きの第2コイル群とを含む積層インダクタの概略図である。 3重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と3重巻きの第3コイル群とを含む積層インダクタの概略図である。 本発明の積層インダクタの第5実施形態を示す断面図である。 音声歪みの測定結果のグラフである。 本発明の積層インダクタの第6実施形態と比較例の試験結果である。 本発明の積層インダクタの第7実施形態を示すとともに非磁性絶縁層の厚みを示す概略図である。 非磁性絶縁層の厚みを変化した際の音声歪みのグラフである。 非磁性絶縁層の厚みと歪みの立ち上がり出力およびZとの関係を示すグラフである。 本発明の積層インダクタの第8実施形態を示す分解斜視図である。 本発明の積層インダクタの概略図である。 第8実施形態と第6実施形態の試験結果である。
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の積層インダクタの第1実施形態を示す斜視図である。図2Aは、本発明の積層インダクタの分解斜視図である。図2Bは、本発明の積層インダクタの概略図である。図1と図2Aと図2Bに示すように、積層インダクタ1は、積層体10と、積層体10の内部に設けられたコイル20と、積層体10の表面に設けられコイル20に電気的に接続された第1外部電極31および第2外部電極32とを有する。
積層インダクタ1は、第1、第2外部電極31,32を介して、図示しない回路基板の配線に電気的に接続される。積層インダクタ1は、例えば、ノイズ除去フィルタとして用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に用いられる。
積層体10は、複数の絶縁層11,12を含み、複数の絶縁層11,12は、積層方向に積層される。複数の絶縁層11,12は、磁性絶縁層11と非磁性絶縁層12とを含む。非磁性絶縁層12の透磁率は、磁性絶縁層11の透磁率よりも低い。磁性絶縁層11は、例えば、Ni−Cu−Zn系の材料などの磁性材料からなる。非磁性絶縁層12は、例えば、Cu−Zn系の材料などの非磁性材料からなる。図2Aにおいて、非磁性絶縁層12をハッチングにて示す。
積層体10は、略直方体状に形成されている。積層体10の表面は、第1端面15と、第1端面15の反対側に位置する第2端面16と、第1端面15と第2端面16の間に位置する4つの側面17とを有する。第1端面15および第2端面16は、積層方向に直交する方向に対向している。
第1外部電極31は、積層体10の第1端面15の全面と、積層体10の側面17の第1端面15側の端部とを覆う。第2外部電極32は、積層体10の第2端面16の全面と、積層体10の側面17の第2端面16側の端部とを覆う。
コイル20は、積層方向に沿って、螺旋状に巻き回されている。コイル20の第1端は、積層体10の第1端面15から露出して、第1外部電極31に電気的に接続される。コイル20の第2端は、積層体10の第2端面16から露出して、第2外部電極32に電気的に接続される。コイル20は、例えば、AgまたはCuなどの導電性材料からなる。
コイル20は、第1コイル群21と第2コイル群22と第3コイル群23とを含む。第1コイル群21と第2コイル群22と第3コイル群23は、積層体10内に積層方向に沿って配列され、第1外部電極31と第2外部電極32の間に直列に接続されている。
第1コイル群21は、絶縁層11,12上に設けられ積層方向に積層された複数のコイルパターン230,231,232を含む。第1コイル群21は、3つのパターン群P1,P2,P3を直列に接続して構成される。3つのパターン群P1,P2,P3は、それぞれ、2つのコイルパターン230,230,231,231,232,232を並列に接続してなる。つまり、第1コイル群21の並列数は、2つであり、言い換えると、第1コイル群21は、2重巻きである。
具体的に述べると、第1パターン群P1は、2つのコイルパターン230,230を並列に接続してなる。第2パターン群P2は、2つのコイルパターン231,231を並列に接続してなる。第3パターン群P3は、2つのコイルパターン232,232を並列に接続してなる。
第1パターン群P1の2つのコイルパターン230,230は、同一形状であり、第2パターン群P2の2つのコイルパターン231,231は、同一形状であり、第3パターン群P3の2つのコイルパターン232,232は、同一形状である。以下、コイルパターンの符号が同一であるとき、コイルパターンの形状は同一であるとする。
コイルパターン230,231,232は、平面状に1周未満に巻回された平面スパイラル形状である。2つのコイルパターン230,230のそれぞれの第1端は、第1外部電極31に接続され、2つのコイルパターン230,230のそれぞれの第2端は、パターン接続部240を介して接続される。これにより、2つのコイルパターン230,230は同電位となる。パターン接続部240は、絶縁層11,12を積層方向に貫通して設けられる。
2つのコイルパターン231,231のそれぞれの第1端は、所定のパターン接続部240を介して接続され、2つのコイルパターン231,231のそれぞれの第2端は、所定のパターン接続部240を介して接続される。これにより、2つのコイルパターン231,231は同電位となる。
2つのコイルパターン232,232のそれぞれの第1端は、所定のパターン接続部240を介して接続され、2つのコイルパターン232,232のそれぞれの第2端は、所定のパターン接続部240を介して接続される。これにより、2つのコイルパターン232,232は同電位となる。
コイルパターン230の第2端とコイルパターン231の第1端は、所定のパターン接続部240を介して接続され、コイルパターン231の第2端とコイルパターン232の第1端は、所定のパターン接続部240を介して接続される。これにより、2つのコイルパターン230,230(第1パターン群P1)と2つのコイルパターン231,231(第2パターン群P2)と2つのコイルパターン232,232(第3パターン群P3)とは、直列に接続される。
第2コイル群22は、絶縁層11上に設けられ積層方向に積層された複数のコイルパターン231〜236を含む。第2コイル群22は、6つのパターン群を直列に接続して構成される。6つのパターン群は、それぞれ、1つのコイルパターン231〜236を並列に接続してなる。つまり、第2コイル群22の並列数は、1つであり、言い換えると、第2コイル群22は、1重巻きである。6つのコイルパターン231〜236は、パターン接続部240を介して、直列に接続される。
第3コイル群23は、絶縁層11,12上に設けられ積層方向に積層された複数のコイルパターン233,234,237を含む。第3コイル群23は、3つのパターン群P1,P2,P3を直列に接続して構成される。3つのパターン群P1,P2,P3は、それぞれ、2つのコイルパターン233,233,234,234,237,237を並列に接続してなる。つまり、第3コイル群23の並列数は、2つであり、言い換えると、第3コイル群23は、2重巻きである。第3コイル群23の具体的な構成は、第1コイル群21の構成と同様であるので、説明を省略する。コイルパターン237は、引出線に相当する。
このように、第2コイル群22の並列数(1である)は、第1、第3コイル群21,23の並列数(2である)と異なる。また、コイルパターン230〜237に隣接する絶縁層の少なくとも1つは、非磁性絶縁層12である。具体的に述べると、非磁性絶縁層12は、第1コイル群21における第1パターン群P1と第2パターン群P2の間に位置し、第1コイル群21における第2パターン群P2と第3パターン群P3の間に位置し、第3コイル群23における第1パターン群P1と第2パターン群P2の間に位置する。
前記積層インダクタ1によれば、第1、第3コイル群21,23の並列数は2であるので、直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られる。また、並列数が異なるコイル群21,22,23に非磁性絶縁層12を設けているため、磁束が抑制されて、音声歪特性が改善される。具体的に述べると、非磁性絶縁層12の挿入による磁束抑制効果により、ヒステリシス線形性が向上し、この結果、音声歪みTHD+N[%]が向上する。
図3は、音声歪みTHD+Nを測定する測定装置を示す。図3に示すように、測定装置は、オーディオアナライザ100とアンプ101とダミー抵抗102とフィルタ103と制御装置104とを有する。オーディオアナライザ100とアンプ101とフィルタ103は、信号線で環状に接続されている。制御装置104は、オーディオアナライザ100に接続されている。ダミー抵抗102は、アンプ101とフィルタ103の間に接続されている。被測定部品105は、アンプ101とフィルタ103の間に設置される。
オーディオアナライザ100は、信号発生および信号解析を行い、コーンズテクノロジー社製APx525を用いる。アンプ101は、Pioneer社製A636を用いる。ダミー抵抗102は、8Ωの抵抗を用いる。フィルタ103は、AP AUX−0025を用いる。制御装置104は、コンピュータを用いる。
被測定部品105に、図2Aに示す本実施形態の積層インダクタ1と、比較例の積層インダクタとを用いた。比較例は、図2Aの全ての非磁性絶縁層12を磁性絶縁層11とした構成であり、従来(特開2008−53368号公報)と同様の構成である。そして、測定周波数を1kHzとして、音声歪みを測定した。
図4は、音声歪みの測定結果のグラフを示す。グラフL1は、第1実施形態の積層インダクタの測定結果を示す。グラフL10は、比較例の積層インダクタの測定結果を示す。グラフL0は、被測定部品105を設置しないとき(つまり、ショート状態)の測定結果を示す。図4から分かるように、第1実施形態の積層インダクタ(グラフL1)は、比較例の積層インダクタ(グラフL10)に比べて、音声歪みTHD+N[%]を改善できた。
前記実施形態において、コイル群は、3つ以外に複数あってもよい。このとき、コイル群は、n個(nは正の整数)のコイルパターンを並列に接続してなるパターン群を複数個直列に接続して構成される。少なくとも1つのコイル群の並列数nは、その他のコイル群の並列数nと異なる。コイルパターンに隣接する絶縁層の少なくとも1つは、非磁性絶縁層である。
次に、第1実施形態の実施例を示す。
(1)非磁性シート(非磁性絶縁層)の作製
本実施例では、非磁性材料としてCu−Zn系の材料を使用した。まず、酸化第2鉄(Fe23)を48mol%、酸化亜鉛(ZnO)を43mol%、酸化銅(CuO)を9mol%の比率の材料を原料としてボールミルにより所定の時間だけ湿式調合した。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、その粉末を750℃で1時間仮焼した。このフェライト粉末にバインダ樹脂と可塑剤、湿潤剤、分散剤を加えてボールミルで所定の時間だけ混合を行なった後、減圧により脱泡を行ない、スラリーを得た。このスラリーをPETフィルム等の基材上に塗布し、その後乾燥させることにより所望の膜厚の非磁性体材料のフェライトグリーンシートを作製した。
(2)磁性シート(磁性絶縁層)の作製
また、磁性体材料としてNi−Cu−Zn系の材料を使用した。Fe23を47.4mol%、ZnOを20.6mol%、CuOを8.3mol%、酸化ニッケル(NiO)を23.7mol%の比率の材料を原料とし、上記非磁性体と同様の方法によりスラリーを得た。このスラリーを基材であるPETフィルム上に塗布し、その後、乾燥させることにより、所望の膜厚の磁性体材料のフェライトグリーンシートを作製した。
(3)積層インダクタの作製
非磁性シート上にAgペーストをスクリーン印刷し、続いて乾燥を行うことで、所定の導体パターン(コイルパターン)を有する非磁性印刷シートを作製した。磁性シートに関しても上記同等Agペーストをスクリーン印刷し、続いて乾燥を行うことで、所定の導体パターン(コイルパターン)を有する磁性印刷シートを作製した。
これらの非磁性シートおよび磁性シートをチップ内部でコイルが形成されるように積層し、続いて熱圧着した。この圧着体を所定のチップ寸法になるように切断し、所定の温度、時間をかけて脱バインダ、焼成を行った。
このチップのコイルパターンの引き出し電極が露出している端面に、浸漬法により外部電極ペーストを塗布し、所定の温度、時間をかけて塗膜を焼き付けることで、積層インダクタを得た。
(第2実施形態)
図5Aは、本発明の積層インダクタの第2実施形態を示す分解斜視図である。図5Bは、本発明の積層インダクタの概略図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、非磁性絶縁層の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図5Aと図5Bに示すように、第2実施形態の積層インダクタ1Aでは、最も少ない並列数(1である)を有する第2コイル群22に含まれるコイルパターン231〜236に隣接する絶縁層の少なくとも1つは、非磁性絶縁層12である。具体的に述べると、第2コイル群22において、コイルパターン234とコイルパターン235の間、および、コイルパターン231とコイルパターン232の間に、非磁性絶縁層12が設けられている。さらに、第1コイル群21における第2パターン群P2と第3パターン群P3の間に、非磁性絶縁層12が設けられている。
前記積層インダクタ1Aによれば、最も少ない並列数を有する第2コイル群22では、電流が多く流れて磁束が増加するが、この第2コイル群22に含まれるコイルパターンに隣接する絶縁層の少なくとも1つを非磁性絶縁層12としているので、磁束が抑制されて、ヒステリシス線形性が改善され、音声歪特性が改善される。
図6は、音声歪みの測定結果のグラフを示す。前記第1実施形態と同様の測定を行った。グラフL2は、第2実施形態の積層インダクタの測定結果を示す。グラフL1は、第1実施形態の積層インダクタの測定結果を示す。グラフL0は、ショート状態を示す。図6から分かるように、第2実施形態の積層インダクタ(グラフL2)は、第1実施形態の積層インダクタ(グラフL1)に比べて、音声歪みTHD+N[%]をさらに改善できた。
図7は、ヒステリシス線形のグラフを示す。1kHzでのB−Hカーブを示す。グラフL2は、第2実施形態の積層インダクタのヒステリシス線形性を示す。グラフL1は、第1実施形態の積層インダクタのヒステリシス線形性を示す。図7から分かるように、第2実施形態の積層インダクタ(グラフL2)は、第1実施形態の積層インダクタ(グラフL1)に比べて、ヒステリシス線形性を改善できた。
このように、電流の増加する並列数の小さいコイル群に非磁性絶縁層を配置することで、磁束の集中を抑制し、ヒステリシス線形性を改善でき、この結果、音声歪を改善できた。
好ましくは、最も少ない並列数を有するコイル群における積層方向の中央に位置する絶縁層は、非磁性絶縁層である。これにより、磁束密度の高い中央部に非磁性絶縁層を配置することで、磁束が抑制されて、音声歪特性が改善される。
(第3実施形態)
図8Aは、本発明の積層インダクタの第3実施形態を示す分解斜視図である。図8Bは、本発明の積層インダクタの概略図である。第3実施形態は、第2実施形態とは、最も少ない並列数を有するコイル群の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図8Aと図8Bに示すように、第3実施形態の積層インダクタ1Bのコイル20Bでは、最も少ない並列数を有するコイル群は、積層方向の外側に配置されている。具体的に述べると、並列数が1である第1コイル群21Bおよび第3コイル群23Bは、並列数が2である第2コイル群22Bの積層方向の両側に配置されている。
第1コイル群21Bは、直列に接続された3つのコイルパターン230,231,232を含む。第3コイル群23Bは、直列に接続された3つのコイルパターン233,234,237を含む。
第2コイル群22Bは、6つのパターン群P1〜P6を含む。第1パターン群P1は、2つのコイルパターン233,233を並列に接続してなる。第2パターン群P2は、2つのコイルパターン234,234を並列に接続してなる。第3パターン群P3は、2つのコイルパターン235,235を並列に接続してなる。第4パターン群P4は、2つのコイルパターン236,236を並列に接続してなる。第5パターン群P5は、2つのコイルパターン231,231を並列に接続してなる。第6パターン群P6は、2つのコイルパターン232,232を並列に接続してなる。
非磁性絶縁層12は、第1コイル群21Bにおけるコイルパターン230とコイルパターン231の間と、第3コイル群23Bにおけるコイルパターン233とコイルパターン234の間と、第2コイル群22Bにおけるコイルパターン235とコイルパターン235の間に、配置される。
図9は、音声歪みの測定結果のグラフを示す。前記第1実施形態と同様の測定を行った。グラフL3は、第3実施形態の積層インダクタの測定結果を示す。グラフL30は、比較例の積層インダクタの測定結果を示す。比較例は、図8Bの全ての非磁性絶縁層12を第2コイル群22Bに配置した構成である。図9から分かるように、第3実施形態の積層インダクタ(グラフL3)は、比較例の積層インダクタ(グラフL30)に比べて、音声歪みTHD+N[%]を改善できた。
図10は、ヒステリシス線形のグラフを示す。1kHzでのB−Hカーブを示す。グラフL3は、第3実施形態の積層インダクタのヒステリシス線形性を示す。グラフL30は、比較例の積層インダクタのヒステリシス線形性を示す。図10から分かるように、第3実施形態の積層インダクタ(グラフL3)は、比較例の積層インダクタ(グラフL30)に比べて、ヒステリシス線形性を改善できた。
このように、電流の増加する並列数の小さいコイル群に非磁性絶縁層を配置することで、磁束の集中を抑制し、ヒステリシス線形性を改善でき、この結果、音声歪を改善できた。
前記積層インダクタ1Bによれば、最も少ない並列数を有するコイル群では、電流が多く流れて発熱が多くなるが、このコイル群を積層方向の外側に配置することで、チップの放熱性を改善し、定格電流を向上できる。
図11は、印加電力に対する発熱量を抵抗法で測定したグラフを示す。「●」は、第2実施形態の積層インダクタの結果を示し、「◇」は、第3実施形態の積層インダクタの結果を示す。図11から分かるように、第3実施形態の積層インダクタは、第2実施形態の積層インダクタに比べて、同じ電力での発熱量を抑制でき、この結果、チップの定格電流を向上できる。
(第4実施形態)
図12Aは、本発明の積層インダクタの第4実施形態を示す分解斜視図である。図12Bは、本発明の積層インダクタの概略図である。第4実施形態は、第2実施形態とは、コイル群の並列数が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図12Aと図12Bに示すように、第4実施形態の積層インダクタ1Cのコイル20Cでは、第1コイル群21Cおよび第3コイル群23Cの並列数は3であり、第2コイル群22Cの並列数は、2である。
第1コイル群21Cは、2つのパターン群P1,P2を含む。第1パターン群P1は、3つのコイルパターン230を並列に接続してなる。第2パターン群P2は、3つのコイルパターン231を並列に接続してなる。
第2コイル群22Cは、3つのパターン群P1,P2,P3を含む。第1パターン群P1は、2つのコイルパターン232,232を並列に接続してなる。第2パターン群P2は、2つのコイルパターン233,233を並列に接続してなる。第3パターン群P3は、2つのコイルパターン234,234を並列に接続してなる。
第3コイル群23Cは、2つのパターン群P1,P2を含む。第1パターン群P1は、3つのコイルパターン235を並列に接続してなる。第2パターン群P2は、3つのコイルパターン237を並列に接続してなる。
非磁性絶縁層12は、第1コイル群21Cにおける2つのコイルパターン230,230の間と、第2コイル群22Cにおけるコイルパターン232とコイルパターン233の間と、第3コイル群23Cにおけるコイルパターン235とコイルパターン237の間に、配置される。
図13は、音声歪みの測定結果のグラフを示す。前記第1実施形態と同様の測定を行った。グラフL4は、第4実施形態の積層インダクタの測定結果を示す。グラフL40は、比較例の積層インダクタの測定結果を示す。比較例は、図12Bの全ての非磁性絶縁層12を第1コイル群21Cと第3コイル群23Cに配置した構成である。図13から分かるように、第4実施形態の積層インダクタ(グラフL4)は、比較例の積層インダクタ(グラフL40)に比べて、音声歪みTHD+N[%]を改善できた。
このように、電流の増加する並列数の小さいコイル群に非磁性絶縁層を配置することで、磁束の集中を抑制し、ヒステリシス線形性を改善でき、この結果、音声歪を改善できた。
図14Aから図14Fは、並列数(巻き数)の異なるコイル群を有する積層インダクタを示す。
図14Aは、1重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と1重巻きの第3コイル群とを含む積層インダクタを示す。図14Bは、1重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と1重巻きの第3コイル群と2重巻きの第4コイル群と1重巻きの第5コイル群とを含む積層インダクタを示す。図14Cは、2重巻きの第1コイル群と1重巻きの第2コイル群と2重巻きの第3コイル群とを含む積層インダクタを示す。
図14Dは、1重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と3重巻きの第3コイル群と4重巻きの第4コイル群と3重巻きの第5コイル群と2重巻きの第6コイル群と1重巻きの第7コイル群とを含む積層インダクタを示す。図14Eは、2重巻きの第1コイル群と1重巻きの第2コイル群とを含む積層インダクタを示す。図14Fは、3重巻きの第1コイル群と2重巻きの第2コイル群と3重巻きの第3コイル群とを含む積層インダクタを示す。
図14Aから図14Fに示すように、並列数(巻き数)の異なるコイル群において、最も少ない並列数を有するコイル群に含まれるコイルパターンに隣接する絶縁層の少なくとも1つを、非磁性絶縁層とている。
ここで、図中、挿入箇所の欄には、非磁性絶縁層を挿入する箇所を「〇」で示す。コイルパターンの欄には、巻き数の異なるコイル群のコイルパターンを示す。例えば、コイルパターンの欄に「1重巻き」と記載されているとき、1重巻きのコイル群のコイルパターンを示す。
そして、所定のコイルパターンの欄に「〇」が付されているとき、所定のコイルパターンと所定のコイルパターンの上のコイルパターンとの間に、非磁性絶縁層が挿入されているとする。各図において、全ての「〇」の少なくとも1つに、非磁性絶縁層が挿入されていればよい。
したがって、電流の増加する並列数の小さいコイル群に非磁性絶縁層を配置することで、磁束の集中を抑制し、ヒステリシス線形性を改善でき、この結果、音声歪を改善できる。
(第5実施形態)
図15は、本発明の積層インダクタの第5実施形態を示す断面図である。第5実施形態は、第4実施形態とは、積層体のポア面積率の規定している点が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第4実施形態と同じ構成であり、第4実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図15に示すように、第5実施形態の積層インダクタ1Dでは、コイルパターン232,233の側部と積層体10の側面との間の領域であるサイドギャップ部10aにおける積層体10のポア面積率は、6%以上でかつ20%以下である。
ポア面積率の測定は、以下の通りで測定した。
積層体10を、第1端面15と第2端面16とが対向する方向のほぼ真ん中でカットし、サイドギャップ部10aの箇所の断面を鏡面研磨し、集束イオンビーム加工(FIB加工)(FIB装置:FEI製FIB200TEM)した。その後、走査電子顕微鏡(FE-SEM:日本電子製JSM−7500FA)により観察し、ポア面積率を測定した。ポア面積率は画像処理ソフト(三谷商事(株)製WINROOFVer.5.6)を用いて算出した。
なお、積層体10の集束イオンビーム加工や、FE−SEMの観察条件は以下の通りである。
<集束イオンビーム加工(FIB加工)条件>
鏡面研磨した試料の研磨面に対し、入射角5°でFIB加工を行った。
<走査電子顕微鏡(SEM)による観察条件>
加速電圧 :15kV
試料傾斜 :0゜
信号 :二次電子
コーティング :Pt
倍率 :5000倍
また、画像処理ソフトによるポア面積率は、以下の方法で求めた。
まず、画像の計測範囲を22.85μm×9.44μmとした。次にFE−SEMで得られた画像を2値化処理し、ポアのみを抽出する。画像処理ソフトの「総面積・個数計測」機能で計測範囲の面積およびポアの面積を算出し、計測範囲の面積当たりのポアの面積の割合(ポア面積率)を求めた。
前記積層インダクタ1Dによれば、積層体10の側面からサイドギャップ部10aを経て金属を含む酸性溶液を浸透させ、コイルパターン232,233とその周囲の積層体10の絶縁層11,12との界面に酸性溶液を到達させることにより、コイルパターン232,233と絶縁層11,12との界面が化学的に解離した状態となる。これにより、積層体10の応力を緩和でき、磁性絶縁層11が磁気的特性を出すために必要となる磁壁移動の阻害が少なくなり、ヒステリシス線形性が改善して、音声歪特性が改善される。
なお、サイドギャップ部10aにおけるポア面積率が6%未満になると、金属を含む酸性溶液をコイルパターンとその周囲の積層体との界面に到達させて、その界面に空隙を存在させることなく、その界面が解離した状態とすることが困難になる。また、サイドギャップ部10aにおけるポア面積率が20%を超えると、積層インダクタの内部への金属析出が多くなりすぎてショートが起こる危険性が増大するため好ましくない。
図16は、音声歪みの測定結果のグラフを示す。前記第1実施形態と同様の測定を行った。グラフL5は、第5実施形態の積層インダクタの測定結果を示す。第5実施形態は、サイドギャップ部10aにおけるポア面積率が10%である。グラフL50は、比較例の積層インダクタの測定結果を示す。比較例は、サイドギャップ部10aにおけるポア面積率が1%である。図16から分かるように、第5実施形態の積層インダクタ(グラフL5)は、比較例の積層インダクタ(グラフL50)に比べて、音声歪みTHD+N[%]を改善できた。
(第6実施形態)
本発明の積層インダクタの第6実施形態を説明する。第6実施形態は、第4実施形態とは、積層体の非磁性絶縁層および磁性絶縁層のポア面積率の比率を規定している点が相違する。
第6実施形態では、非磁性絶縁層のポア面積率は、磁性絶縁層のポア面積率よりも小さい。これによれば、電流が多く流れるコイル群のコイルパターンに隣接する非磁性絶縁層は、高温高湿環境下などで、マイグレーションによるショートのリスクが高い箇所となるが、この非磁性絶縁層のポア面積率を小さくすることで、高リスク箇所での信頼性を改善し、積層インダクタ全体での信頼性を改善(ショートリスクを低減)することが可能となる。
図17は、第6実施形態と比較例の試験結果を示す。図17に示すように、比較例では、非磁性絶縁層のポア面積率は10%であり、磁性絶縁層のポア面積率は9%である。第6実施形態では、非磁性絶縁層のポア面積率は1%であり、磁性絶縁層のポア面積率は9%である。そして、85℃、85%の環境加速試験を行った。試験電流によりチップ発熱量を変えたときの3000時間後の不良発生率を示す。したがって、第6実施形態に示すように、非磁性絶縁層のポア面積率を下げることで、インダクタの信頼性を改善でき、この結果、定格電流を上げることができる。
(第7実施形態)
本発明の積層インダクタの第7実施形態を説明する。第7実施形態は、第6実施形態とは、積層体の非磁性絶縁層および磁性絶縁層の厚みを規定している点が相違する。
第7実施形態では、非磁性絶縁層の厚みは、磁性絶縁層の厚みよりも薄い。これによれば、非磁性絶縁層がポア面積率が小さくて高密度化されていることで、非磁性絶縁層を薄くしても、高い耐環境性能を発揮することができる。また、非磁性絶縁層を薄くすることで、高いインピーダンス特性を向上できる。
非磁性絶縁層の厚みは、5μm以上であることが好ましい。図18は、非磁性絶縁層の厚みを定義する。積層インダクタ1の非磁性絶縁層12の厚みtは、隣り合うコイルパターン232,233の間の厚みである。
図19は、非磁性絶縁層の厚みを変化した際の音声歪みのグラフを示す。前記第1実施形態と同様の測定を行った。図19から分かるように、非磁性絶縁層の厚みが薄くなると、ショート状態(SHORT)を維持できなくなる(つまり、音声歪みが発生する)ときの出力が小さくなる。このときの出力を、歪みの立ち上がり出力という。
図20は、非磁性絶縁層の厚みと歪みの立ち上がり出力およびZとの関係を示す。図19では、非磁性絶縁層の厚みが5.5μm、6.3μm、7.2μmであるときのグラフが重なっている。図20に示すように、非磁性絶縁層の厚みを薄くすることによりZ向上効果が期待できるが、非磁性絶縁層の厚みを薄くし過ぎると、歪みの立ち上がり出力が低下しており、好ましくは5μm以上の非磁性絶縁層の厚みを確保することが望ましい。
(第8実施形態)
図21Aは、本発明の積層インダクタの第8実施形態を示す分解斜視図である。図21Bは、本発明の積層インダクタの概略図である。第8実施形態は、第6実施形態(コイルの構造および非磁性絶縁層の位置に関して図12Aと同じである)とは、非磁性絶縁層の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第6実施形態と同じ構成であり、第6実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図21Aと図21Bに示すように、第8実施形態の積層インダクタ1Fでは、最も少ない並列数(2である)を有する第2コイル群22Cにおける隣り合うパターン群P1,P2,P3の間に位置する絶縁層は、非磁性絶縁層12である。具体的に述べると、非磁性絶縁層12は、第2コイル群22Cにおける第1パターン群P1と第2パターン群P2の間と、第2コイル群22Cにおける第2パターン群P2と第3パターン群P3の間とに設けられる。さらに、非磁性絶縁層12は、第1コイル群21Cと第2コイル群22Cの間に設けられる。
前記積層インダクタ1Fによれば、隣り合うパターン群P1,P2,P3は、異電位となるため、隣り合うパターン群P1,P2,P3の間でショートした場合に、インピーダンスの影響がある。この隣り合うパターン群P1,P2,P3の間に、ポア面積率の小さい非磁性絶縁層12を配置することで、積層インダクタ全体としての信頼性を改善(ショートリスクを低減)することが可能となる。
図22は、第8実施形態と第6実施形態の試験結果を示す。図22に示すように、第6、第8実施形態では、非磁性絶縁層のポア面積率は1%であり、磁性絶縁層のポア面積率は9%である。そして、85℃、85%の環境加速試験を行った。試験電流によりチップ発熱量を変えたときの3000時間後の不良発生率を示す。したがって、第8実施形態では、第6実施形態と比べて、非磁性絶縁層をインピーダンスの影響のある位置に挿入することで、インダクタの信頼性をさらに改善できた。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第8実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
1,1A〜1F 積層インダクタ
10 積層体
10a サイドギャップ部
11 磁性絶縁層
12 非磁性絶縁層
20,20B,20C コイル
21,21B,21C 第1コイル群
22,22B,22C 第2コイル群
23,23B,23C 第3コイル群
230〜237 コイルパターン
240 パターン接続部
31 第1外部電極
32 第2外部電極
P1〜P6 第1〜第6パターン群

Claims (5)

  1. 積層方向に積層された複数の絶縁層を含む積層体と、
    前記積層体内に前記積層方向に沿って配列され、直列に接続された複数のコイル群と
    を備え、
    前記コイル群は、前記絶縁層上に設けられ前記積層方向に積層された複数のコイルパターンを含むと共に、n個(nは正の整数)のコイルパターンを並列に接続してなるパターン群を複数個直列に接続して構成され、
    少なくとも1つの前記コイル群の並列数nは、その他の前記コイル群の並列数nと異なり、
    前記複数の絶縁層は、磁性絶縁層と非磁性絶縁層とを含み、前記コイルパターンに隣接する前記絶縁層の少なくとも1つは、前記非磁性絶縁層であり、
    最も少ない並列数nを有する前記コイル群における前記積層方向の中央に位置する前記絶縁層は、前記非磁性絶縁層であり、
    前記非磁性絶縁層のポア面積率は、前記磁性絶縁層のポア面積率よりも小さい、積層インダクタ。
  2. 前記最も少ない並列数nを有するコイル群は、前記積層方向の外側に配置されている、請求項1に記載の積層インダクタ。
  3. 前記コイルパターンの側部と前記積層体の側面との間の領域であるサイドギャップ部における前記積層体のポア面積率は、6%以上でかつ20%以下である、請求項1または2に記載の積層インダクタ。
  4. 前記非磁性絶縁層の厚みは、前記磁性絶縁層の厚みよりも薄い、請求項1から3の何れか一つに記載の積層インダクタ。
  5. 最も少ない並列数nを有する前記コイル群における隣り合うパターン群の間に位置する前記絶縁層は、前記非磁性絶縁層である、請求項1から3の何れか一つに記載の積層インダクタ。
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