JP6648427B2 - ポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形品 Download PDF

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Description

本発明は、摺動部材として利用可能なポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート系樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックの中でも耐衝撃性、耐熱変形性の良好な樹脂として知られており、これらの特徴をいかして、OA機器等の電気・電子分野や自動車分野等の各種部品の材料として使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂単体は、摺動性に劣り、軸受けや歯車などの接触を伴う部材への使用に適さない。このため、ポリカーボネート樹脂に摺動性や耐摩耗性の機能を付与するための改良剤の添加や選定が試みられている。
ポリカーボネート樹脂の摺動性を改良するための技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の技術では、ポリエチレンと、アクリロニトリル−スチレン共重合体やメタクリル酸メチルと、のグラフト共重合体を添加剤として加えることによりポリカーボネート樹脂の摺動特性を向上させている。
特開平4−20550号公報
しかしながら、特許文献1に係る添加剤が加えられたポリカーボネート樹脂では、金属を相手材とする摺動試験について良好な結果が得られるものの、相手材をグラフト共重合体を添加していないポリカーボネート樹脂(ニートPC樹脂)とする摺動試験や、相手材をポリエステル樹脂とする摺動試験について十分な結果が得られない。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、相手材によらずに優れた摺動特性が得られるポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形品を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、(X)ポリカーボネート樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有する。
上記(Y)グラフト共重合体の主鎖が、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る。
上記(Y)グラフト共重合体の側鎖が、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、を含有する(B)ビニル共重合体から成る。
上記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が架橋されている。
この構成により、相手材によらずに優れた摺動特性が得られるポリカーボネート樹脂組成物を提供することができる。
上記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が、(C)有機過酸化物によって架橋されていてもよい。
この構成により、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の主鎖同士が選択的に架橋され、(X)ポリカーボネート樹脂に対する(Y)グラフト共重合体の分散性が良好となる。
上記(X)ポリカーボネート樹脂と上記(Y)グラフト共重合体との含有量の合計を100重量部とすると、上記(Y)グラフト共重合体の含有量が1〜25重量部であってもよい。
この構成により、ポリカーボネート樹脂組成物の摺動性や外観品質が更に向上し、摺動時の軋み音の発生も更に抑制できる。
上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と、上記(b−1)スチレンと、上記(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50〜90重量部であってもよい。
この構成により、特に良好な摺動性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
本発明の一形態に係る樹脂成形品は、上記ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる。
相手材によらずに優れた摺動特性が得られるポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形品を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、(X)ポリカーボネート樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有する。なお、以下の説明では、「ポリカーボネート」を、単に「PC」とも呼称するものとする。
このポリカーボネート樹脂組成物で用いる(Y)グラフト共重合体は、特定の主鎖と側鎖からなり、更に有機過酸化物によって選択的に主鎖同士を架橋させて得られる。このような(Y)グラフト共重合体を用いることにより、(Y)グラフト共重合体が(X)ポリカーボネート樹脂に対して良好に分散する。これにより、このポリカーボネート樹脂組成物では、(X)ポリカーボネート樹脂本来の優れた機械物性が維持されるとともに、相手材の種類や負荷の大きさに依らず優れた摺動性が得られる。
<(X)ポリカーボネート樹脂>
本実施形態に係る(X)ポリカーボネート樹脂は、特定の種類に限定されない。例えば、公知のホスゲン法、又は溶融法等により作られた芳香族PCが用いられる。具体的な製造方法は、例えば特開昭63−215763号公報や特開平2−124934号公報等に記載されている。原料として使用される代表的なジフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆるビスフェノールA)が挙げられる。また、カーボネートを導入するための前駆物質としては、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。製造されたPC樹脂は、末端OH基を封止してあるもの、末端OH基を封止してないもののどちらも使用可能である。
<(Y)グラフト共重合体>
本実施形態に係る(Y)グラフト共重合体の主鎖は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成る。(Y)グラフト共重合体の側鎖は、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、のビニル共重合体から成る。
本実施形態に係る(Y)グラフト共重合体は、主鎖同士の炭素−炭素結合により架橋されている。この主鎖同士の炭素−炭素結合は、例えば、後述の(C)有機過酸化物の作用によって得られる。
より詳細には、(Y)グラフト共重合体が生成される際に、(C)有機過酸化物が分解して生じたラジカルが、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から水素を引き抜く。これにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に含まれる炭素ラジカルが生成される。(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体からの水素の引き抜き反応は、一般的に、−OCOCH>(−CH−or−CH―)の順に反応する。この炭素ラジカル同士が再結合反応することにより、(Y)グラフト共重合体の主鎖同士の炭素−炭素結合が形成される。
(Y)グラフト共重合体の含有量は、(X)ポリカーボネート樹脂と(Y)グラフト共重合体との含有量の合計を100重量部とすると、1〜25重量部であることが好ましく、3〜20重量部であることが更に好ましい。
(Y)グラフト共重合体の含有量を1重量部以上とすることによりポリカーボネート樹脂組成物の摺動性が向上し、(Y)グラフト共重合体の含有量を3重量部以上とすることによりポリカーボネート樹脂組成物の摺動性が更に向上する。
この一方で、(Y)グラフト共重合体の含有量を25重量部以下に留めることによりポリカーボネート樹脂組成物の機械物性や外観品質が向上し、(Y)グラフト共重合体の含有量を20重量部以下に留めることによりポリカーボネート樹脂組成物の機械物性や外観品質が更に向上する。
本実施形態に係る(Y)グラフト共重合体は、以下に説明するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を溶融混練することにより得られる。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物>
本実施形態に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)と、(B)ビニル共重合体と、(C)有機過酸化物と、を含有する。(B)ビニル共重合体及び(C)有機過酸化物は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に含浸されている。
[(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)]
本実施形態に係る(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体では、構造単位での酢酸ビニルの含有量が、1〜20重量%であることが好ましく、3〜10重量%であることが更に好ましい。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニルの含有量を20重量%以下に留めることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の摺動性が向上し、酢酸ビニルの含有量を10重量%以下に留めることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の摺動性が更に向上する。更に、これらの場合に、(Y)グラフト重合体の耐熱性が向上する。
この一方で、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニルの含有量を1重量%以上とすることにより、(C)有機過酸化物による架橋反応が進行しやすくなり、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量を3重量%以上とすることにより、(C)有機過酸化物による架橋反応が更に進行しやすくなる。
また、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、その流動性を指標として任意に選択可能である。例えば、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠した測定方法で、190℃において、0.1〜25(g/10min)であることが好ましく、1.0〜10(g/10min)であることが更に好ましい。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、MFRを25(g/10min)以下に、更にMFRを10(g/10min)以下に留めることにより、ポリカーボネート樹脂組成物の摺動性が向上する。この一方で、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体において、MFRを0.1(g/10min)以上とし、更にMFRを1.0(g/10min)以上とすることにより、(Y)グラフト重合体の製造プロセスにおける作業性が向上する。
[(B)ビニル共重合体]
本実施形態に係る(B)ビニル共重合体は、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、(b−3)t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートと、(b−4)重合開始剤と、から成るビニル単量体組成物により構成される。
(B)ビニル共重合体における各単量体(b−1),(b−2),(b−3),(b−4)の含有量は適宜決定可能である。しかし、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、(b−1)スチレンの含有量が50〜99重量部であることが好ましい。これにより、摺動性及び機械物性に特に優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
また、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50〜90重量部であることが好ましい。この場合に、ポリカーボネート樹脂組成物における特に良好な摺動性が得られる。
(B)ビニル共重合体における(b−3)t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートは、下記化学式(1)で表される化合物である。本実施形態に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を溶融混練すると、(b−3)t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートの過酸化結合が熱分解してラジカルを発生させることにより、(Y)グラフト共重合体が得られる。
Figure 0006648427
…(1)
(B)ビニル共重合体における(b−4)重合開始剤は、特定の種類に限定されず、有機過酸化物やアゾ開始剤などといった公知のものを利用可能である。しかし、(b−4)重合開始剤の10時間半減期温度は50〜75℃であることが好ましい。
ここで、10時間半減期温度(以下、「T10」との略称も用いる。)とは、(b−4)重合開始剤又は(C)有機過酸化物に含まれる過酸化結合濃度又はアゾ結合濃度を0.1モル/リットルとなるようにベンゼンに溶解させた溶液を熱分解させた際に、当該(b−4)重合開始剤又は(C)有機過酸化物が10時間で半減期を迎える温度のことである。
(b−4)重合開始剤の10時間半減期温度を50℃以上とすることにより、(b−4)重合開始剤の急激な分解が抑制され、重合温度を制御しやすくなる。この一方で、(b−4)重合開始剤の10時間半減期温度を75℃以下とすることにより、(b−4)重合開始剤の良好な分解が得られ、(Y)グラフト共重合体に(b−4)重合開始剤自体や他の単量体が残存しにくくなる。
なお、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に(b−4)重合開始剤自体や他の単量体を残存しにくくするために、(B)ビニル共重合体を得るための重合温度を高くすることも考えられる。
しかし、重合温度を高くすると、重合温度と(C)有機過酸化物の10時間半減期温度との差が小さくなるため、(B)ビニル共重合体を得るための重合反応時に(C)有機過酸化物が分解しやすくなる。したがって、溶融混練時に(C)有機過酸化物が不足し、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体が十分に架橋反応を行うことができなくなる場合がある。このため、(B)ビニル共重合体を得るための重合温度を高くすることは好ましくない。
(b−4)重合開始剤として利用可能な有機過酸化物として、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(T10=51℃)
t−ヘキシルパーオキシピバレート(T10=53℃)
t−ブチルパーオキシピバレート(T10=55℃)
ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(T10=59℃)
ジラウロイルパーオキサイド(T10=62℃)
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(T10=65℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(T10=66℃)
t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルヘキサノエート(T10=70℃)
ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド(T10=71℃)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(T10=72℃)
ジベンゾイルパーオキサイド(T10=74℃)
(b−4)重合開始剤として利用可能なアゾ化合物として、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(T10=51℃)
2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(T10=65℃)
2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(T10=67℃)
[(C)有機過酸化物]
本実施形態に係る(C)有機過酸化物は、溶融混練時に熱分解してラジカルを発生させることにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋することができる。(C)有機過酸化物は、特定の種類に限定されず、公知のものを利用可能である。しかし、(C)有機過酸化物の10時間半減期温度は95〜130℃であることが好ましい。
(C)有機過酸化物の10時間半減期温度を95℃以上とすることにより、(B)ビニル共重合体を得るための重合反応時に(C)有機過酸化物が分解しにくくなる。したがって、(B)ビニル共重合体を得るための重合反応時に(C)有機過酸化物が減少しにくいため、溶融混練時に(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が不足することを防止できる。
この一方で、(C)有機過酸化物の10時間半減期温度を130℃以下とすることにより、溶融混練時に(C)有機過酸化物が良好に分解する。これにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が良好に進行するようになる。
本実施形態に利用可能な(C)有機過酸化物としては、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=95℃)
t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(T10=97℃)
t−ブチルパーオキシラウレート(T10=98℃)
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=99℃)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(T10=99℃)
t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(T10=99℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T10=100℃)
t−ブチルパーオキシアセテート(T10=102℃)
2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(T10=103℃)
t−ブチルパーオキシベンゾエート(T10=104℃)
n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート(T10=105℃)
ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(T10=119℃)
ジクミルパーオキサイド(T10=116℃)
ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(T10=116℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(T10=118℃)
t−ブチルクミルパーオキサイド(T10=120℃)
ジ−t−ブチルパーオキサイド(T10=124℃)
本実施形態に係る(C)有機過酸化物の含有量は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量を100重量部とすると、0.1〜3重量部であることが好ましい。(C)有機過酸化物の含有量を0.1重量部以上とすることにより、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が不足することを防止できる。この一方で、(C)有機過酸化物の含有量を3重量部以下に留めることにより、溶融混練により得られる(Y)グラフト共重合体において良好な流動性が得られる。
[その他の添加物]
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じ、上記以外の添加物を含有していてもよい。このような添加物としては、潤滑剤、無機難燃剤、有機難燃剤、無機充填剤、有機無機充填剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤、エンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
より具体的に、潤滑剤としては、例えば、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーンなどが挙げられる。
無機難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
有機難燃剤としては、例えば、ハロゲン系、リン系等の難燃剤などが挙げられる。
無機充填剤としては、例えば、金属粉、タルク、ガラス繊維などが挙げられる。
有機無機充填剤としては、例えば、カーボン繊維、木粉などが挙げられる。
エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリアセタール、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
<樹脂成形品>
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、熱可塑性樹脂であるため、射出成形や押出し成形などにより、容易に様々な形状に成形することが可能である。本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形品は、機械物性、及び摺動性に優れるため、電気部品、電子部品、機械部品、精密機器部品、自動車部品などの広い分野で利用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物>
[エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造]
製造例1−1〜1−13及び比較製造例1−1〜1−3について、表1に示す組成でエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を製造した。この一例として、製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造プロセスを以下に示す。なお、他の製造例及び比較製造例に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物も、製造例1−1と同様のプロセスで製造した。
[製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造]
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5(g/10min)700gを入れ、攪拌して分散させた。
これとは別に、4.0gのラジカル重合開始剤、9.0gのラジカル(共)重合性有機過酸化物、及び3.5gの架橋剤を、210gのスチレン(St)及び90gのメタクリル酸グリシジル(GMA)に溶解させた溶液を生成し、この溶液をオートクレーブ中に投入し攪拌した。
ラジカル重合開始剤としてはジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃、日油株式会社製)を用い、ラジカル(共)重合性有機過酸化物としてはt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート(MEC)を用い、架橋剤としては2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃、日油株式会社製)を用いた。
そして、オートクレーブを60〜65℃に昇温し、3時間攪拌することによって、ラジカル重合開始剤及びラジカル(共)重合性有機過酸化物を含む単量体組成物をエチレン−酢酸ビニル共重合体中に含浸させた。
その後、オートクレーブを80〜85℃に昇温し、当該温度で7時間保持して重合させ、水洗及び乾燥することにより、(B)ビニル共重合体であるポリ(St/GMA/MEC)共重合体と、(C)有機過酸化物である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンと、が(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に含浸されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を得た。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からポリ(St/GMA/MEC)共重合体を酢酸エチルで抽出した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定の結果、ポリ(St/GMA/MEC)共重合体の重量平均分子量は40万であることがわかった。
[比較製造例1−1〜1−3の説明]
比較製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、上記実施形態とは異なり、(C)有機過酸化物を添加せず、主鎖同士の架橋反応が行われていない。
比較製造例1−2に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量が32重量%であり、MFRが30(g/10min)と、製造例1−1〜1−13に比べて高い。
比較製造例1−3に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンが用いられている。
Figure 0006648427
表1中の各略称の意味は以下のとおりである。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(各実施例及び各比較例では、適宜、以下の3種類のうちいずれか1つを用いている。)
(I)「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5(g/10min)
(II)「ウルトラセン537」、東ソー株式会社製、VAc含有量15%、MFR=3.0(g/10min)
(III)「ウルトラセン750」、東ソー株式会社製、VAc含有量32%、MFR=30(g/10min)
LDPE:低密度ポリエチレン(「スミカセンG401」住友化学株式会社製、密度=0.926g/cm
St:スチレン
GMA:メタクリル酸グリシジル
AN:アクリロニトリル
MEC:t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート
R355:ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド
BW:ベンゾイルパーオキサイド(「ナイパーBW」、10時間半減期温度=74℃、日油株式会社製)
25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
BuE:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(「パーブチルE」、10時間半減期温度=99℃、日油株式会社製)
<(Y)グラフト共重合体>
[(Y)グラフト共重合体の製造]
製造例2−1〜2−13及び比較製造例2−1〜2−3では、表2に示すように、それぞれ製造例1−1〜1−13及び比較製造例1−1〜1−3に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を用いて(Y)グラフト共重合体を製造した。この一例として、製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の製造プロセスを以下に示す。なお、他の製造例及び比較製造例に係る(Y)グラフト共重合体も、製造例2−1と同様のプロセスで製造した。
[製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の製造]
まず、製造例1−1で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物をラボプラストミル一軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)で200℃にて溶融混練し、グラフト化反応させることにより主鎖がエチレン−酢酸ビニル共重合体から成り、側鎖がポリ(St/GMA)から成る(Y)グラフト共重合体を得た。
得られた(Y)グラフト共重合体のMFR(220℃/10kgf)を測定したところ、0.6(g/10min)であり、グラフト化反応及びエチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行していることを確認した。また、得られた(Y)グラフト共重合体を走査型電子顕微鏡(「JEOL JSM T300」、日本電子株式会社製)で観察したところ、粒径0.1〜0.2μmの真球状樹脂が均一に分散していることが確認された。
Figure 0006648427
表2から明らかなように、製造例2−1〜2−13では、グラフト化反応及び(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行することにより、(Y)グラフト共重合体のMFRが0.1以上1.1以下となり、適切な流動性が得られた。
これに対し、比較製造例2−1では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の主鎖同士の架橋反応が進行せず、(Y)グラフト共重合体のMFRが4.5(g/10min)と製造例2−1と比較して高い値を示した。
比較製造例2−2では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRが高いため得られた(Y)グラフト共重合体のMFRが12.8(g/10min)と製造例2−1と比較して高い値を示した。
比較製造例2−3では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンが用いられているために、主鎖同士の架橋反応が進行しにくく、(Y)グラフト共重合体のMFRが2.6(g/10min)と製造例2−1と比較して高い値を示した。
<ポリカーボネート樹脂組成物>
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
実施例1〜14及び比較例1〜5について、表3に示す配合割合で、(X)ポリカーボネート樹脂(商品名「タフロンA2200」、標準グレード、出光興産株式会社製、表3中で「PC−1」と示す)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、260℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。
なお、実施例1,3〜14では、それぞれ製造例2−1〜2−13で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が10重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)であるポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
実施例2では、製造例2−1で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が3重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)であるポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
比較例1では、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ポリカーボネート樹脂のみを用いて製造した。
比較例2は、製造例2−1で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が30重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)であるポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
比較例3〜5では、比較製造例2−1〜2−3で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が10重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)であるポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
実施例15〜19及び比較例6について、表3に示す配合割合で、(X)ポリカーボネート樹脂に市販されているポリカーボネート樹脂(商品名「レキサン101」、SABIC製、表3中で「PC−2」と示す)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、260℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。
なお、実施例15,17〜19ではそれぞれ製造例2−1,2−6,2−7,2−11で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が10重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)であるポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
実施例16では、製造例2−1で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が3重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)であるポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
比較例6に係るポリカーボネート樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ポリカーボネート樹脂のみにより製造した。
[評価材の作製]
実施例1〜19及び比較例1〜6で得られたポリカーボネート樹脂組成物を射出成形機によって成形することにより、それぞれの評価材を作製した。射出成形の条件としては、バレル温度を265℃とし、金型温度を80℃とした。
[評価方法]
・引張り強さ
JIS K−7113に準拠し、試験速度50mm/minとして行った。引張り強さの目標値は、(X)ポリカーボネート樹脂の種類に応じて決定され、40MPa以上とした。
・曲げ弾性率
JIS K−7203に準拠し、試験速度2mm/minとして行った。曲げ弾性率の目標値は、(X)ポリカーボネート樹脂の種類に応じて決定され、1.5GPa以上とした。
・摺動性評価(スラスト式摩擦摩耗試験)
試験機:オリエンテック株式会社製 摩擦摩耗試験機 EFM−III−F
評価材:内径20mm、外径25.6mmの円筒材
評価材材質:表3に示す組成のポリカーボネート樹脂組成物
相手材:内径20mm、外径25.6mmの円筒材
相手材材質:(1)炭素鋼(S45C)、(2)ニートPC樹脂、(3)ポリエチレンテレフタレート樹脂、(4)ポリエチレンナフタレート樹脂
試験条件(相手材材質が(1)の場合):荷重50N、線速度10cm/sec
試験条件(相手材材質が(2)〜(4)の場合):荷重20N、線速度10cm/sec
試験時間:100分間
本試験では、各相手材材質(1)〜(4)について、それぞれ各評価材の摩耗量(mg)及び動摩擦係数を求めた。
なお、実施例1〜14及び比較例1〜5については、(2)ニートPC樹脂として「タフロンA2200(出光興産株式会社製)」を用いた。実施例15〜19及び比較例6については、(2)ニートPC樹脂として「商品名:レキサン101(SABIC製)」を用いた。
摩耗量及び動摩擦係数の目標値は、(X)ポリカーボネート樹脂の種類に応じて決定される。本実施例及び比較例では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合において、摩耗量の目標値を2.5mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.25以下とした。また、相手材が(2)〜(4)である場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.25以下とした。
・軋み音の評価
得られた評価材を、軋み音評価試験用のプレート(60mm×100mm×2mm)と、擦り合わせる相手材用としてポリカーボネート樹脂(ニートPC樹脂)プレート(50mm×25mm×2mm)と、に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%でそれぞれ12時間状態調整した。また、相手材用のプレート(50mm×25mm×2mm)として、ステンレス製のプレートも準備した。
軋み音評価試験用のプレートと、相手材としての各プレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP−02に固定し、荷重=40N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の軋み音リスク値の測定を行った。なお、軋み音リスク値は、値が小さいほど軋み音発生のリスクが低いことを示す。軋み音リスク値の判断基準は以下に示す通りである。
軋み音リスク値1〜3:軋み音発生のリスクが低い
軋み音リスク値4〜5:軋み音発生のリスクがやや高い
軋み音リスク値6〜10:軋み音発生のリスクが高い
軋み音リスク値の目標値は、(X)ポリカーボネート樹脂の種類に応じて決定される。本実施例及び比較例では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とし、相手材が(2)ニートPC樹脂である場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とした。
表3は、実施例1〜19及び比較例1〜6に係る評価材について、機械物性、摺動性、及び軋み音リスク値の評価結果を示す。なお、表3は、相手材材質に(1)炭素鋼(S45C)と(2)ニートPC樹脂を用いたときのスラスト式摩擦摩耗試験の摺動性評価及び軋み音の評価の結果を示す。
表4は、実施例1,2,7,8、12,15及び比較例1に係る評価材について、相手材材質に(3)ポリエチレンテレフタレート樹脂と(4)ポリエチレンナフタレート樹脂を用いたときのスラスト式摩擦摩耗試験の摺動性評価の結果を示す。
Figure 0006648427
Figure 0006648427
表3、表4中の各略称の意味は以下のとおりである。
PC−1:「タフロンA2200」、標準グレード、出光興産株式会社製
PC−2:「レキサン101」、SABIC製
PET:「TRN−8550FF」、標準グレード、帝人株式会社製
PEN:「テオネックススTN8065S」、標準グレード、帝人株式会社製
[評価結果]
(実施例について)
・機械物性
実施例1〜19に係る評価材ではいずれも、引張り強さが40MPa以上の大きい値であり、曲げ弾性率が1.5GPa以上の高い値であった。
・摺動性評価
実施例1〜19に係る評価材ではいずれも、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が2.5mg以下、動摩擦係数が0.25以下の低い値が得られた。
実施例1〜19に係る評価材ではいずれも、相手材を(2)ニートPC樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験においても、摩耗量が5.0mg以下、動摩擦係数が0.25以下の低い値であった。
実施例1,2,7,8,12,15に係る評価材ではいずれも、相手材を(3)ポリエチレンテレフタレート樹脂及び(4)ポリエチレンナフタレート樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、それぞれで摩耗量が5.0mg以下、動摩擦係数が0.25以下の低い値であった。
・軋み音評価
実施例1〜19に係る評価材ではいずれも、相手材を(1)炭素鋼(S45C)及び(2)ニートPC樹脂とした場合の摺動時の軋み音リスク値が3以下の小さい値であった。
(比較例について)
(X)ポリカーボネート樹脂のみを用いる比較例1及び6では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が2.5(mg)を上回り、動摩擦係数が0.25を上回っていた。
また、比較例1及び6では、相手材を(2)ニートPC樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回り、動摩擦係数が0.25を上回っていた。
更に、比較例1及び6では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とした場合の軋み音リスク値が3を上回っていた。
加えて、比較例1及び6では、相手材を(2)ニートPC樹脂とした場合の軋み音リスク値が3を上回っていた。
更に、比較例1では、相手材を(3)ポリエチレンテレフタレート樹脂、及び(4)ポリエチレンナフタレート樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験のいずれにおいても、評価材が溶融した。
製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の含有量が30重量部((X)と(Y)の合計を100重量部とした場合)である比較例2では、曲げ弾性率が1.5GPa以下の低い値であった。また、比較例2では、相手材を(2)ニートPC樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回っていた。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の主鎖同士が架橋していない比較例3では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が2.5(mg)を上回っていた。また、比較例3では、相手材を(2)ニートPC樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回っていた。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニルの量が多く、(Y)グラフト共重合体のMFRが高い値を示した比較例4では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が2.5(mg)を上回っていた。
また、比較例4では、相手材を(2)ニートPC樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回り、動摩擦係数が0.25を上回っていた。
更に、比較例4では、相手材を(2)ニートPC樹脂とした場合の軋み音リスク値が3を上回っていた。
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンを用いた比較例5では、相手材を(2)ニートPC樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回っていた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (4)

  1. (X)ポリカーボネート樹脂と、(Y)グラフト共重合体と、を含有し、
    前記(Y)グラフト共重合体の主鎖が、1〜20重量%の酢酸ビニルを含む(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体から成り、
    前記(Y)グラフト共重合体の側鎖が、(b−1)スチレンと、(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、を含有する(B)ビニル共重合体から成り、
    前記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が架橋されており、
    前記(X)ポリカーボネート樹脂と前記(Y)グラフト共重合体との含有量の合計を100重量部とすると、前記(Y)グラフト共重合体の含有量が1〜25重量部である
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物であって、
    前記(Y)グラフト共重合体の主鎖同士が、(C)有機過酸化物によって架橋されている
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物であって、
    前記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と、前記(b−1)スチレンと、前記(b−2)アクリロニトリル及びメタクリル酸グリシジルの少なくとも1つと、の含有量の合計を100重量部とすると、前記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50〜90重量部である
    リカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる
    樹脂成形品。
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