JP2022049460A - アクリル樹脂組成物、及び樹脂成形体 - Google Patents

アクリル樹脂組成物、及び樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高荷重下での軋み音防止性に優れるアクリル樹脂組成物を提供すること。【解決手段】アクリル樹脂(X)と、グラフト共重合体(Y)を含有するアクリル樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(Y)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体(b-1)及びエポキシ基含有単量体(b-2)を含むモノマー成分(B)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる主鎖架橋型のグラフト共重合体であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が1~20質量%であり、前記アクリル樹脂(X)100質量部に対して、前記グラフト共重合体(Y)が1~25質量部であるアクリル樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル樹脂組成物、及び樹脂成形体に関する。
アクリル樹脂は、高い光透過性、表面光沢性や高い剛性を有し、耐擦傷性に優れるため、多くの産業分野において成形体の材料として利用されている。その中でも、窓材や照明器具等の外装部品の素材として広く利用されている。
一方で、アクリル樹脂は、非結晶(非晶)性樹脂であるため、結晶性樹脂であるポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール等に比べて摩擦係数(動摩擦係数)が大きく、擦れによる軋み音が発生しやすい。
熱可塑性樹脂の軋み音を抑制する技術として、特許文献1には、エチレン・α-オレフィン共重合体の存在下にビニル系単量体混合物を重合して得られたグラフト共重合体と、帯電防止剤を、メタクリル酸エステル樹脂に配合することで、熱可塑性樹脂の軋み音を抑制する技術が開示されている。また、特許文献2には、エチレン-酢酸ビニル共重合体の存在下にビニル系単量体混合物と有機過酸化物を重合して得られた主鎖架橋型のグラフト共重合体を、ポリカーボネート樹脂に添加することで、摺動性の向上や、軋み音の発生を低減させる技術が開示されている。
特開2018-28046号公報 特開2017-14446号公報
一方、アクリル樹脂には、例えば、外装部品の素材として使用された場合、強風にさらされるといった高い荷重がかかるような環境での、軋み音の発生が問題となっている。しかし、上記の特許文献1で開示されたアクリル樹脂組成物は、このような高荷重下での軋み音防止性が不十分であった。また、上記の特許文献2には、高荷重下での軋み音防止性については検討されていない。
以上のような事情を鑑み、本発明は、高荷重下での軋み音防止性に優れるアクリル樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、アクリル樹脂(X)と、グラフト共重合体(Y)を含有するアクリル樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(Y)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体(b-1)及びエポキシ基含有単量体(b-2)を含むモノマー成分(B)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる主鎖架橋型のグラフト共重合体であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が1~20質量%であり、前記アクリル樹脂(X)100質量部に対して、前記グラフト共重合体(Y)が1~25質量部であるアクリル樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記アクリル樹脂組成物から得られる樹脂成形体に関する。
本発明のアクリル樹脂組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。但し、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されない。
本発明のアクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂(X)と、グラフト共重合体(Y)を含有し、前記グラフト共重合体(Y)は、特定のエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体(b-1)及びエポキシ基含有単量体(b-2)を含むモノマー成分(B)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる主鎖架橋型のグラフト共重合体である。前記グラフト共重合体(Y)は、上記の特許文献2の開示の通り、有機過酸化物(C)の作用によって主鎖同士の炭素-炭素結合により架橋されている。より詳細には、グラフト共重合体(Y)の生成の際、有機過酸化物(C)が分解して生じたラジカルが、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)から水素を引き抜くことにより、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)中に炭素ラジカルが生成される。エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)からの水素の引き抜き反応は、一般的に、-OCOCH>(-CH-or-CH―)の順に反応する。この炭素ラジカル同士が再結合反応することにより、グラフト共重合体(Y)の主鎖同士の炭素-炭素結合が形成される。このようなグラフト共重合体(Y)は、樹脂成形体におけるアクリル樹脂の表面から脱離しづらくなるため、本発明のアクリル樹脂組成物は、高荷重下での軋み音防止性に優れる。
また、本発明のアクリル樹脂組成物は、特定量の前記グラフト共重合体(Y)が、アクリル樹脂(X)に対して相容性に優れ、良好に分散することによって、アクリル樹脂本来の機械的特性や耐候性を低下させないため、有用である。
<アクリル樹脂組成物>
本発明のアクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂(X)と、グラフト共重合体(Y)を含有する。
<アクリル樹脂(X)>
前記アクリル樹脂(X)としては、公知のものが使用でき、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル-アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル-メタクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル-メタクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸エチル共重合体等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の単独重合体あるいは共重合体等が挙げられる。前記アクリル樹脂(X)は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、その製造方法については特に制限されず、公知の懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法等で用いられる。前記アクリル樹脂(X)は、市販されているものを利用することができ、例えば、商品名:パラペットG・標準グレード(クラレ株式会社製)、商品名:アクリペットVH001・標準グレード(三菱ケミカル株式会社製)等を利用することができる。
<グラフト共重合体(Y)>
前記グラフト共重合体(Y)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体(b-1)及びエポキシ基含有単量体(b-2)を含むモノマー成分(B)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる主鎖架橋型のグラフト共重合体である。
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、エチレンと酢酸ビニルから合成される共重合体であり、酢酸ビニル(酢酸ビニル残基単位)の含有率(含有量)が1~20質量%である。前記酢酸ビニルの含有率は、有機過酸化物による架橋反応を効率よく進行させる観点から、3質量%以上であることが好ましく、そして、軋み音防止性を向上させる観点から、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。なお、前記酢酸ビニルの含有率は、JIS K6924-1(1997年版)に準拠して測定できる。エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、メルトマスフローレート(以下、MFRとも称す)が、グラフト共重合体(Y)の製造プロセスにおける作業性を高める観点から、0.1~25(g/10min)であることが好ましく、1.0~10(g/10min)であることがより好ましい。なお、前記MFRは、JIS K6924-1(1997年版)に準拠して測定できる。
前記モノマー成分は、芳香族ビニル単量体(b-1)及びエポキシ基含有単量体(b-2)を含む。
前記芳香族ビニル単量体(b-1)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、о-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、高荷重下での軋み音防止性を向上させる観点から、スチレン、α-メチルスチレンが好ましい。前記芳香族ビニル単量体(b-1)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エポキシ基含有単量体(b-2)は、分子内にエチレン性二重結合及びエポキシ基を有するモノマーである。前記エポキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸ジグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルコハク酸ジグリシジル、p-スチレンカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、p-グリシジルスチレン、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等が挙げられる。これらの中でも、高荷重下での軋み音防止性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく、メタクリル酸グリシジルがより好ましい。
前記芳香族ビニル単量体(b-1)と前記エポキシ基含有単量体(b-2)の質量比((b-1)/(b-2))は、高荷重下での軋み音防止性を向上させる観点から、50/50~90/10であることが好ましく、60/40~80/20であることがより好ましい。
前記モノマー成分(B)は、上記の単量体以外のその他の単量体を使用することができる。前記その他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル単量体;メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシベンジル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のグリコール系単量体等が挙げられる。これらの中でも、軋み音防止性を向上させる観点から、(メタ)アクリロニトリル単量体が好ましい。前記その他の単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記モノマー成分(B)中、前記芳香族ビニル単量体(b-1)及び前記エポキシ基含有単量体(b-2)の合計の割合は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と前記モノマー成分(B)の質量比((A)/(B))は、30/70~98/2であることが好ましい。前記質量比((A)/(B))は、軋み音の防止性を向上させる観点から、40/60~95/5であることが好ましく、50/50~90/10であることがより好ましい。
前記有機過酸化物(C)は、熱分解してラジカルを発生させることにより、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)を架橋することができる。前記有機過酸化物(C)は、特定の種類に限定されず、公知のものを利用可能であるが、グラフト共重合体(Y)の製造方法において、後述する過酸化結合を有するビニル単量体(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いたラジカル重合法を適用する場合、溶融混練時に、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の架橋反応を効率的に行う観点から、10時間半減期温度(T10)が95℃以上130℃以下であることが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=95℃)、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(T10=97℃)、t-ブチルパーオキシラウレート(T10=98℃)、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=99℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(T10=99℃)、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート(T10=99℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T10=100℃)、t-ブチルパーオキシアセテート(T10=102℃)、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン(T10=103℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(T10=104℃)、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート(T10=105℃)、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(T10=119℃)、ジクミルパーオキサイド(T10=116℃)、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド(T10=116℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(T10=118℃)、t-ブチルクミルパーオキサイド(T10=120℃)、ジ-t-ブチルパーオキサイド(T10=124℃)等が挙げられる。
前記有機過酸化物(C)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の架橋反応を効率的に行い、良好な流動性を有するグラフト共重合体(Y)を得る観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましい。
<グラフト共重合体(Y)の製造方法>
前記グラフト共重合体(Y)の製造方法は、特に制限はなく、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法を使用することができる。これらの中でも、懸濁重合法が好ましい。また、グラフト化する方法としては、特に制限はなく、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法等の公知のグラフト化方法を採用することができる。これらの中でも、ラジカル重合法が好ましく、とくに、グラフト共重合体を工業的に大量かつ効率的に製造できる観点から、過酸化結合を有するビニル単量体(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いたラジカル重合法がより好ましい。
前記過酸化結合を有するビニル単量体は、(ラジカル重合性有機過酸化物)は、分子内にペルオキシ基およびエチレン性不飽和基を有する単量体であれば、その種類に特に制限はなく使用でき、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。前記過酸化結合を有するビニル系単量体としては、例えば、t-ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、t-アミルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、t-ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルカーボネート、t-ブチルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t-アミルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート等が挙げられ、これらの中でも、t-ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネートが好ましい。
前記過酸化結合を有するビニル単量体を用いた重合法は、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)を、水を主成分とする媒体に懸濁した溶液(エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)濃度:10~30質量部程度)に、前記モノマー成分(B)と、前記有機過酸化物(C)と、前記過酸化結合を有するビニル単量体と、重合開始剤を加え、前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)(エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の粒子)中に、前記モノマー成分(B)と前記有機過酸化物(C)と前記過酸化結合を有するビニル単量体と前記重合開始剤を含浸重合して前駆体を得る工程と、前記前駆体を溶融混練して、グラフト共重合体(Y)を製造する工程を含む方法である。なお、前記前駆体を得る工程で、必要に応じ懸濁剤(例えば、ポリビニルアルコール)を前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対して、0.1~1質量部程度使用してもよい。また、上記の含浸の際、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)中に前記モノマー成分(B)等を十分に含浸させるため、加温(例えば、60~80℃程度)しながら、攪拌してもよい。
前記重合開始剤は、熱によりラジカルを発生するものであれば、特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記重合開始剤は、急激な分解を抑制し、重合開始剤や前記モノマー成分(B)の残存を抑制する観点から、10時間半減期温度が、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、そして、130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。このような重合開始剤としては、例えば、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート(T10=51℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(T10=53℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(T10=55℃)、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(T10=59℃)、ジラウロイルパーオキサイド(T10=62℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(T10=65℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(T10=66℃)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキシルヘキサノエート(T10=70℃)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド(T10=71℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(T10=72℃)、ベンゾイルパーオキサイド(T10=74℃)等の有機過酸化物;2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(T10=51℃)、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(T10=65℃)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(T10=67℃)等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。
前記前駆体を製造する工程において、重合温度は、原料(特に、前記重合開始剤の10時間半減期温度)等によって異なるので一概には決定できないが、通常、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、そして、90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることがより好ましい。また、重合時間は、原料や反応温度等によって異なるので一概には決定できないが、収率を高める観点から、1.5時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、そして、6時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましい。
前記前駆体を製造する工程において、前記過酸化結合を有するビニル単量体は、前記モノマー成分(B)100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、そして、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましい。
前記前駆体を製造する工程において、前記重合開始剤は、前記モノマー成分(B)100質量部に対し、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、そして、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
前記溶融混練としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等の混練機を用いて、前記前駆体を溶融して混練する方法が挙げられる。混練する回数は、1回または複数回であってもよい。混練する時間は、使用する混練機の大きさ等によって異なるが、通常、3~10分程度とすればよい。また、混練機の排出温度は、130~350℃とすることが好ましく、150~250℃とすることがより好ましい。
前記グラフト共重合体(Y)は、前記アクリル樹脂(X)100質量部に対して、1~25質量部である。前記グラフト共重合体(Y)は、軋み音防止性を向上させる観点から、前記アクリル樹脂(X)100質量部に対して、2質量部以上であることが好ましく、そして、外観品質や機械的物性を向上させる観点から、20質量部以下であることが好ましい。
なお、本発明のアクリル樹脂組成物は、各種配合剤を用いることができる。配合剤としては、例えば、セラミックファイバー(CF)、ガラス繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、鉱物破砕繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石コウ繊維、水酸化マグネシウム繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア繊維等の繊維強化材;球状シリカ、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、セリサイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、アルミナ、硅酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、グラファイト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、超高密度ポリエチレン等の各形状の有機または無機の充填剤;鉱油、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルコール、金属石けん、天然ワックス、シリコーン等の滑剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機の難燃剤;ハロゲン系、リン系等の有機の難燃剤;ポリエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリングプラスチック;酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤等が挙げられる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、前記アクリル樹脂(X)、前記グラフト共重合体(Y)、及び任意の前記各種配合剤を混合することによって得られる。混合の方法は、とくに制限はなく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等の混練機を用いて、溶融して混練りする方法等が挙げられる。また、上記の各成分を、任意の順序で添加し混練りしてもよく、同時に添加して混練りしてもよい。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさ等によって異なるが、通常、3~10分程度とすればよい。また、混練機の排出(押出)温度は、150~350℃とすることが好ましく、180~250℃とすることがより好ましい。
本発明のアクリル樹脂成形体は、前記アクリル樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得られる。成形方法としては、何ら限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形等が挙げられ、成形の加熱温度、圧力、時間等は適宜設定できる。当該アクリル樹脂成形体は、建材や産業用資材等の分野で利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<製造例>
<グラフト共重合体(Y-1)の製造>
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5g/10min)700gを入れ、攪拌して分散させた。
さらに、重合開始剤として、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃)4.0gと、過酸化結合を有するビニル単量体として、t-ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(以下、MECとも称す)9.0gと、有機過酸化物(C)として、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃、日油株式会社製)3.5gを、芳香族ビニル単量体(b-1)として、スチレン(以下、Stとも称す)210gと、エポキシ基含有単量体(b-2)として、メタクリル酸グリシジル(以下、GMAとも称す)90gからなるモノマー成分(B)に溶解させた溶液を調製し、この溶液を上記のオートクレーブ中に投入し攪拌した。
次いで、上記のオートクレーブを60~65℃に昇温し、3時間攪拌することによって、重合開始剤、過酸化結合を有するビニル単量体、有機過酸化物(C)およびモノマー成分(B)をエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)中に含浸させた。続いて、上記のオートクレーブを80~85℃に昇温し、当該温度で7時間保持して重合させ、前駆体として共重合体(ポリ(St/GMA/MEC)が含浸したエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物)を得た。得られた前駆体を、ラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)を用いて、200℃にて溶融混練し、グラフト化反応させた。次いで、ストランド状の樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状にすることでグラフト共重合体(Y-1)を製造した。
<グラフト共重合体(Y-2~Y-11、Y´-1~Y´-4)の製造>
各原料の種類とその配合量(質量%)を表1および2に示すように変えたこと以外は、グラフト共重合体(Y-1)の製造と同様の方法により、グラフト共重合体(Y-2~Y-11、Y´-1~Y´-4)を製造した。
Figure 2022049460000001
Figure 2022049460000002
表1および2中、A-1は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5g/10min);
A-2は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン537」、東ソー株式会社製、VAc含有量15%、MFR=3.0g/10min);
A-3は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン750」、東ソー株式会社製、VAc含有量32%、MFR=3.0g/10min);
LDPEは、低密度ポリエチレン(商品名「スミカセンG401」、住友化学株式会社製、密度=0.926g/cm);
Stは、スチレン;
ANは、アクリロニトリル;
GMAは、メタクリル酸グリシジル;
25Bは、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンを示す。
<実施例1>
<アクリル樹脂組成物の製造>
アクリル樹脂(X)として、ポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名「パラペットG」、標準グレード、クラレ株式会社製)90gと、前記グラフト共重合体(Y-1)10gをドライブレンドした。その後、二軸押出機(PCM-30:池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:250℃)した。次いで、ストランド状の樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状にすることで実施例1のアクリル樹脂組成物を得た。
<実施例2~14、比較例1~7>
<アクリル樹脂組成物の製造>
各原料の種類とその配合量(質量部)を表3および4に示すように変えたこと以外は、実施例1のアクリル樹脂組成物の製造と同様の方法により、アクリル樹脂組成物を製造した。
<軋み音防止性の評価>
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:250℃、金型温度:80℃)し、評価用試験片(長さ:60mm×幅:100mm×厚み:2mm)を作製した。次いで、当該試験片(評価材)を、軋み音防止性の試験用のプレート(55mm×80mm×2mm)に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%RHで12時間放置した。また、相手材用のプレート(50mm×25mm×2mm)として、評価材と同材のプレートを準備した。次いで、上記の軋み音防止性の試験用のプレートと、相手材用の同材プレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP-04に固定し、荷重=10N又は40N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の軋み音リスク値を測定し、以下の判断基準で評価した。
軋み音リスク値1~3:軋み音発生のリスクが低い。
軋み音リスク値4~5:軋み音発生のリスクがやや高い。
軋み音リスク値6~10:軋み音発生のリスクが高い。
本発明のアクリル樹脂成形体は、上記の軋み音防止性の評価において、軋み音リスク値が3以下を良好とした。
<機械的特性の評価(引張り強さの評価)>
JIS K-7113に準拠し、試験速度50mm/minとして行った。引張り強さの目標値は、50MPa以上とした。
<機械的特性の評価(曲げ弾性率の評価)>
JIS K-7203に準拠し、試験速度2mm/minとして行った。曲げ弾性率の目標値は、1.5GPa以上とした。
<耐候性の評価>
サンシャインウェザオメーター(ブラックパネル温度63℃、降雨無し、試験時間500時間)を用いて、耐候性試験を行った。目視により耐候性試験前後の表面状態を判定し、次のようにランク付けした。
〇:表面に荒れがなく、平滑で透明である。
×:表面に荒れがあり、非透明である。
Figure 2022049460000003
Figure 2022049460000004
表3および4中、アクリル樹脂(X-1)は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名「パラペットG」、標準グレード、クラレ株式会社製);
アクリル樹脂(X-2)は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名「アクリペット VH001」、標準グレード、三菱ケミカル株式会社製)を示す。
実施例1~14のアクリル樹脂組成物では、軋み音防止性について目標値を満たす評価結果が得られた。また、実施例1~14のアクリル樹脂組成物は、機械的特性および耐候性の結果も良好であった。
比較例1および2は、グラフト共重合体(Y)を含まないアクリル樹脂組成物であるため、軋み音リスク値がいずれも3を上回っていた。
比較例3は、アクリル樹脂(X-1)100質量部に対して、グラフト共重合体(Y-1)が30質量部であるため、高荷重下(40N)での軋み音リスク値が3を上回っていた。また、機械的特性および耐候性の結果も不良であった。
比較例4は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の主鎖同士が架橋していないグラフト共重合体のため、高荷重下(40N)での軋み音リスク値が3を上回っていた。
比較例5は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)中の酢酸ビニルの含有率が32質量%であるため、軋み音リスク値が3を上回っていた。また、耐候性の結果が不良であった。
比較例6は、モノマー成分(B)として、エポキシ基含有単量体(b-2)を含んでいないため、高荷重下(40N)での軋み音リスク値が3を上回っていた。
比較例7は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の代わりに、低密度ポリエチレンを用いているため、高荷重下(40N)での軋み音リスク値が3を上回っていた。また、耐候性の結果が不良であった。

Claims (3)

  1. アクリル樹脂(X)と、グラフト共重合体(Y)を含有するアクリル樹脂組成物であって、
    前記グラフト共重合体(Y)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体(b-1)及びエポキシ基含有単量体(b-2)を含むモノマー成分(B)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる主鎖架橋型のグラフト共重合体であり、
    前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が1~20質量%であり、
    前記アクリル樹脂(X)100質量部に対して、前記グラフト共重合体(Y)が1~25質量部であることを特徴とするアクリル樹脂組成物。
  2. 前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と前記モノマー成分(B)の質量比((A)/(B))が、30/70~98/2であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のアクリル樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂成形体。
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