JP2020176238A - Pc/asa樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動性、静音化特性(軋み音の抑制効果)、および艶消し性に優れる樹脂成形体が得られるPC/ASA樹脂組成物を提供すること。【解決手段】PC/ASA樹脂(X)と、共重合体(Y)を含むPC/ASA樹脂組成物であって、前記共重合体(Y)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を反応して得られるグラフト共重合体であり、前記重合開始剤(b−4)は、10時間半減期温度が50℃以上75℃以下である重合開始剤を含み、前記有機過酸化物(C)は、10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物を含み、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が1質量%以上30質量%であり、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対して、前記10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物が0.1質量部以上3質量部以下であることを特徴とするPC/ASA樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、PC/ASA樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂成形体に関する。
熱可塑性樹脂は、耐衝撃性、加工性、寸法安定性、機械特性に優れていることから、電気・電子機器の筐体、自動車内装品・外装部品、建材、家具、楽器、雑貨類などの幅広い分野で使用されている。また押出成形品はコーティング処理、積層体、表面修飾などの付加的な二次加工を施すことにより、自動車内装の各種表示装置、保護用部品として広く使用されている。
熱可塑性樹脂のなかでもPC(ポリカーボネート)樹脂とASA樹脂の混合樹脂(以下、PC/ASA樹脂とも称す)は、高いノッチ衝撃強度を維持しながら加工性を向上させた熱可塑性樹脂組成物であって、耐候性に優れ、耐熱性が高いため、屋外部品、自動車部品、電気・電子機器部品などのさまざまな部材に適用されており、近年その使用領域が増えている。しかし、各種部材同士が擦れ合うと、摩耗しやすい(摺動性が不良である)、軋み音が発生しやすい(静音化特性が不良)といった問題点があり、さらに近年では高級感外観の発現、具体的には落ち着いた風合いをもたらす艶消し性の向上も求められている。
特許文献1〜3では、特定のグラフト共重合体をPC/ASA樹脂に添加し、摺動性および静音化特性の改善(軋み音の抑制効果)、あるいは艶消し性を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献4〜7では、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂からなるいずれか1つ以上の樹脂の摺動性および静音化特性の改善(軋み音の抑制効果)を改善するために、主鎖同士が架橋したグラフト共重合体を使用することが開示されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載の方法は、摺動性および静音化特性の改善ができるが、艶消し性については改善の余地があった。また、特許文献3に記載の方法は、艶消し性が改善できるが、静音化特性の改善については効果がなかった。一方、特許文献4〜7には、艶消し性を改善することについて何ら記載乃至示唆がなかった。
以上のような事情に鑑み、本発明は、摺動性、静音化特性(軋み音の抑制効果)、および艶消し性に優れる樹脂成形体が得られるPC/ASA樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、PC/ASA樹脂(X)と、共重合体(Y)を含むPC/ASA樹脂組成物であって、前記共重合体(Y)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を反応して得られるグラフト共重合体であり、前記重合開始剤(b−4)は、10時間半減期温度が50℃以上75℃以下である重合開始剤を含み、前記有機過酸化物(C)は、10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物を含み、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が1質量%以上30質量%であり、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対して、前記10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物が0.1質量部以上3質量部以下であることを特徴とするPC/ASA樹脂組成物、に関する。
また、本発明は、前記PC/ASA樹脂組成物から得られる樹脂成形体、に関する。
本発明のPC/ASA樹脂組成物は、PC/ASA樹脂(X)に、添加剤として、共重合体(Y)を含むものである。前記共重合体(Y)は、原料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)(以下、MECともいう)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を含み、かつ前記重合開始剤(b−4)は10時間半減期温度が50℃以上75℃以下である重合開始剤を含み、前記有機過酸化物(C)は10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物を特定量含む。
このような原料を用いることにより、特許文献1〜3で開示された方法のように、前記重合開始剤の開裂によって、(スチレン−(メタ)アクリロニトリルおよび/またはエポキシ基含有モノマー−MEC)共重合体を含浸したエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)(以下、前駆体ともいう)が得られ、そして、当該前駆体は、溶融混練により、MECが開裂することによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主鎖とするグラフト化反応が進行する。さらに、溶融混練時では、特許文献4〜7で開示された方法のように、上記のグラフト化反応が進行すると共に、前記重合開始剤よりも10時間半減期温度が高い有機過酸化物が開裂することにより、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の水素ラジカル引抜き反応が進行して炭素ラジカルが生成する。当該炭素ラジカルは、主鎖同士の炭素−炭素結合(再結合)反応を引き起こすため、前記共重合体(Y)は、主鎖同士が架橋したグラフト共重合体となる。
上記のような主鎖同士が架橋したグラフト共重合体は、PC/ASA樹脂に対して良好に分散できるため、優れた摺動性、静音化特性(軋み音の抑制効果)、および艶消し性を有する樹脂成形体が得られる。
また、本発明のPC/ASA樹脂組成物は、前記PC/ASA樹脂(X)に対して、前記共重合体(Y)を特定量配合することにより、PC/ASA樹脂が本来有する耐衝撃性を維持でき、かつ外観が良好な樹脂成形体が得られる。
本発明のPC/ASA樹脂組成物は、PC/ASA樹脂(X)と、共重合体(Y)を含む。
<PC/ASA樹脂(X)>
前記PC/ASA樹脂(X)は、PC樹脂とASA樹脂の混合樹脂である。
前記PC/ASA樹脂(X)は、PC樹脂とASA樹脂の混合樹脂である。
<PC樹脂>
前記PC樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体の反応(ホスゲン法、あるいはエステル交換法)により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。原料となる前記二価フェノールおよびカーボネート前駆体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。また、前記PC樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記PC樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体の反応(ホスゲン法、あるいはエステル交換法)により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。原料となる前記二価フェノールおよびカーボネート前駆体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。また、前記PC樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記二価フェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕などのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。これらのなかでも、ビスフェノールAが好ましい。また、前記カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、ハロホーメート、炭酸エステルなどが挙げられ、具体的には、ホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。前記PC(ポリカーボネート)樹脂は、多官能性芳香族化合物を二価フェノールと併用して得られる分岐型のポリカーボネート樹脂であってもよく、また、末端OH基が封止されていてもよい。
前記PC(ポリカーボネート)樹脂において、市販品としては、例えば、出光興産(株)製の「タフロンA2200」(標準グレード)などが挙げられる。
<ASA樹脂>
前記ASA樹脂は、アクリル系ゴム、シアン化ビニル単量体、および芳香族ビニル単量体と、必要に応じて、任意の他の共重合し得る単量体を構成単位とする樹脂であり、例えば、前記アクリルゴムの存在下、上記の単量体成分をグラフト重合させる方法などで得られるものである。当該重合の方法としては、公知の方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などが挙げられる。前記ASA樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ASA樹脂は、アクリル系ゴム、シアン化ビニル単量体、および芳香族ビニル単量体と、必要に応じて、任意の他の共重合し得る単量体を構成単位とする樹脂であり、例えば、前記アクリルゴムの存在下、上記の単量体成分をグラフト重合させる方法などで得られるものである。当該重合の方法としては、公知の方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などが挙げられる。前記ASA樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記アクリル系ゴムとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸を構成単位に有するアクリル系ゴム;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステルを構成単位に有するアクリル系ゴムなどが挙げられる。前記アクリル系ゴムは、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、これらの中でも、アクリロニトリルが好適である。前記シアン化ビニル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、о−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらの中でもスチレン、α−メチルスチレンが好適である。前記芳香族ビニル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ASA樹脂としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体などが挙げられる。市販品としては、例えば、日本エイアンドエル(株)製の「ユニブライトUA1300」などが挙げられる。
前記PC/ASA樹脂(X)中、耐熱性の観点から、PC樹脂の割合が、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
<共重合体(Y)>
前記共重合体(Y)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる(構成単位とする)グラフト共重合体である。
前記共重合体(Y)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を反応して得られる(構成単位とする)グラフト共重合体である。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、エチレンと酢酸ビニルから合成される共重合体であり、酢酸ビニル(酢酸ビニル残基単位)の含有率(含有量)が1質量%以上30質量%以下である。前記酢酸ビニルの含有率は、有機過酸化物による架橋反応を進行し易くさせる観点から、3質量%以上であることが好ましく、そして、静音化特性を向上させる観点から、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。なお、前記酢酸ビニルの含有率は、JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定できる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、メルトマスフローレート(以下、MFRとも称す)が、共重合体(Y)の製造プロセスにおける作業性を高める観点、および樹脂成形体の摺動性を向上させる観点から、0.1〜25(g/10min)であることが好ましく、1.0〜10(g/10min)であることがより好ましい。なお、前記MFRは、JIS K 7210に準拠して測定できる。
前記モノマー成分(B)は、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含む。
前記エポキシ基含有モノマーは、分子内にエチレン性二重結合およびエポキシ基を有するモノマーである。前記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸ジグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルコハク酸ジグリシジル、p−スチレンカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、共重合体(Y)の耐熱性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく、メタクリル酸グリシジルがより好ましい。
前記スチレン(b−1)と前記単量体(b−2)の質量比((b−1)/(b−2))は、樹脂成形体の静音化特性(軋み音の抑制効果)を向上させる観点から、50/50以上90/10以下であることが好ましく、60/40以上80/20以下であることがより好ましい。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と前記モノマー成分(B)の質量比((A)/(B))は、樹脂成形体の摺動性と静音化特性(軋み音の抑制効果)を向上させる観点から、50/50以上95/5以下であることが好ましく、60/40以上90/10であることがより好ましく、70/30以上90/10以下であることがさらに好ましい。
前記重合開始剤(b−4)は、10時間半減期温度が50℃以上75℃以下である重合開始剤を含む。前記10時間半減期温度(以下、T10ともいう)は、前記重合開始剤に含まれる過酸化結合またはアゾ結合濃度を0.1モル/リットルになるようにベンゼンに溶解させた溶液を熱分解させた際に、当該重合開始剤が10時間で半減期を迎える温度のことを意味する。前記重合開始剤は、10時間半減期温度が50℃以上であることにより、急激な分解が抑制され、重合温度を制御しやすくなり、一方で、10時間半減期温度が75℃以下であることにより、重合開始剤や単量体が残存しにくくなる。前記重合開始剤(b−4)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(T10=51℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(T10=53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(T10=55℃)、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(T10=59℃)、ジラウロイルパーオキサイド(T10=62℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(T10=65℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(T10=66℃)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルヘキサノエート(T10=70℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド(T10=71℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(T10=72℃)、ベンゾイルパーオキサイド(T10=74℃)などの有機過酸化物系重合開始剤;2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(T10=51℃)、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(T10=65℃)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(T10=67℃)などのアゾ系重合開始剤などが挙げられる。
前記有機過酸化物(C)は、10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物を含む。前記10時間半減期温度(以下、T10ともいう)は、前記有機過酸化物に含まれる過酸化結合を0.1モル/リットルになるようにベンゼンに溶解させた溶液を熱分解させた際に、当該有機過酸化物が10時間で半減期を迎える温度のことを意味する。前記有機過酸化物は10時間半減期温度が95℃以上であることにより、重合反応時に分解しにくくなる。したがって、重合反応時に有機過酸化物の量が減少しにくいため、グラフト化反応の際に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の架橋反応が不足することを防止できる。前記重合開始剤(C)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記有機過酸化物としては、例えば、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=95℃)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(T10=97℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(T10=98℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=99℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(T10=99℃)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(T10=99℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T10=100℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(T10=102℃)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(T10=103℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(T10=104℃)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート(T10=105℃)、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(T10=119℃)、ジクミルパーオキサイド(T10=116℃)、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(T10=116℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(T10=118℃)、t−ブチルクミルパーオキサイド(T10=120℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(T10=124℃)などが挙げられる。
<共重合体(Y)の製造方法>
前記共重合体(Y)の製造方法は、前記t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いた重合法である。
前記共重合体(Y)の製造方法は、前記t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いた重合法である。
前記ラジカル重合性有機過酸化物を用いた重合法は、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)を、水を主成分とする媒体に懸濁した溶液(エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)濃度:10〜30質量%)に、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、前記t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を加え、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)(エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の粒子)中に、前記モノマー成分(B)と前記t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と前記重合開始剤(b−4)と前記有機過酸化物(C)を含浸させて、前記モノマー成分(B)を重合して前駆体を得る工程と、当該前駆体を溶融して混練(溶融混練)して、グラフト化反応と、主鎖(前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A))同士の架橋反応とを進行させて、グラフト共重合体を製造する工程を含む方法である。なお、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)を懸濁する際、必要に応じ、懸濁剤(例えば、ポリビニルアルコール)を前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対して、0.1〜1質量部程度使用してもよい。また、上記の含浸の際、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)中にモノマー成分(B)などを十分に含浸させるため、加温(例えば、60〜80℃程度)しながら、攪拌してもよい。
前記前駆体を製造する工程において、重合温度は、通常、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、そして、90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることがより好ましい。また、重合時間は、原料や反応温度などによって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率性を高める観点から、1.5時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、そして、10時間以下であることが好ましく、8時間以下であることがより好ましい。
前記t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)は、前記モノマー成分(B)100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、そして、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましい。
前記10時間半減期温度が50℃以上75℃以下である重合開始剤は、モノマー成分(B)100質量部に対し、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、そして、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
前記10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対し、0.1質量部以上3質量部以下である。前記有機過酸化物(C)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の架橋反応を進行させ、艶消し性を向上させる観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対し、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、そして、溶融混練の際に、グラフト共重合体の流動性の向上させる観点から、2.5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
前記溶融混練としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、前記前駆体を溶融して混練りする方法が挙げられる。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3〜10分程度とすればよい。また、混練機の排出温度は、150〜350℃とすることが好ましく、180〜250℃とすることがより好ましい。
前記共重合体(Y)は、摺動性、静音化特性(軋み音の抑制効果)、および艶消し性を向上させる観点から、前記PC/ASA樹脂(X)100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、そして、耐衝撃性の低下を抑制し、成形体の外観を良好にさせる観点から、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
なお、本発明のPC/ASA樹脂組成物は、各種配合剤を用いることができる。配合剤としては、例えば、セラミックファイバー(CF)、ガラス繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、鉱物破砕繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石コウ繊維、水酸化マグネシウム繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア繊維などの繊維強化材;球状シリカ、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、セリサイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、アルミナ、硅酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、グラファイト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、超高密度ポリエチレンなどの各形状の有機または無機の充填剤;鉱油、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルコール、金属石けん、天然ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、シリコーンなどの滑剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機の難燃剤;ハロゲン系、リン系などの有機の難燃剤;ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテルなどのエンジニアプラスチック;酸化防止剤、紫外線防止剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤などが挙げられる。
本発明のPC/ASA樹脂組成物は、前記PC/ASA樹脂(X)、前記共重合体(Y)、任意の前記各種配合剤を混合することによって得られる。混合の方法は、とくに制限はなく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、溶融して混練りする方法などが挙げられる。また、上記の各成分を、任意の順序で添加し混練りしてもよく、同時に添加して混練りしてもよい。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3〜10分程度とすればよい。また、混練機の排出(押出)温度は、150〜350℃とすることが好ましく、180〜250℃とすることがより好ましい。
本発明の樹脂成形体は、前記PC/ASA樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得られる。成形方法としては、何ら限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形などが挙げられ、成形の加熱温度、圧力、時間などは適宜設定できる。当該樹脂成形体は、摺動性、静音化特性(軋み音の抑制効果)、および艶消し性に優れるため、電気部品、電子部品、機械部品、精密機器部品、自動車部品などの広い分野で利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
<共重合体(Y)の製造>
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン510」、酢酸ビニル含有率(含有量)が6質量%、MFRが2.5(g/10min))700gを入れ、攪拌して分散させた。
<共重合体(Y)の製造>
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン510」、酢酸ビニル含有率(含有量)が6質量%、MFRが2.5(g/10min))700gを入れ、攪拌して分散させた。
さらに、重合開始剤(b−4)として、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃)4gと、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)9gと、有機過酸化物(C)として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃)3.5gを、スチレン(以下、Stとも称す)210gとメタクリル酸グリシジル(以下、GMAとも称す)90gからなるモノマー成分(B)に溶解させた溶液を調製し、この溶液を上記のオートクレーブ中に投入し攪拌した。
次いで、上記のオートクレーブを60〜65℃に昇温し、3時間攪拌することによって、重合開始剤(b−4)、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)、有機過酸化物(C)およびモノマー成分(B)をエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)中に含浸させた。続いて、上記のオートクレーブを80〜85℃に昇温し、当該温度で7時間保持して重合させて前駆体(ポリ(St/GMA/MEC)共重合体が含浸したエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物)を得た。得られた前駆体を冷却後、水洗および乾燥した。
さらに、上記で得られた前駆体を、ラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)を用い、180℃にて溶融混練して、グラフト化反応させることにより製造例1の共重合体(Y)(グラフト共重合体)を製造した。
<PC/ASA樹脂組成物の製造>
表2に示す配合割合で、前記PC/ASA樹脂(X)成分として、PC樹脂(商品名「タフロンA2200」、標準グレード、出光興産(株)製)と、ASA樹脂(商品名「ユニブライトUA1300」、標準グレード、日本エイアンドエル(株)製)と、前記(Y)成分として上記で得られた製造例1の共重合体(Y)を、二軸押出機(PCM−30:池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:240℃)した。次いで、ストランド状のPC/ASA樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状のPC/ASA樹脂組成物を得た。
表2に示す配合割合で、前記PC/ASA樹脂(X)成分として、PC樹脂(商品名「タフロンA2200」、標準グレード、出光興産(株)製)と、ASA樹脂(商品名「ユニブライトUA1300」、標準グレード、日本エイアンドエル(株)製)と、前記(Y)成分として上記で得られた製造例1の共重合体(Y)を、二軸押出機(PCM−30:池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:240℃)した。次いで、ストランド状のPC/ASA樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状のPC/ASA樹脂組成物を得た。
上記で得られたPC/ASA樹脂組成物を用いて、以下の方法により、静音化特性(軋み音の抑制効果)、摺動性、艶消し性、耐衝撃性および外観を評価した。結果を表2に示す。
<静音化特性(軋み音の抑制効果)の評価>
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、評価用試験片(長さ:60mm×幅:100mm×厚み:2mm)を作製した。次いで、当該試験片(評価材)を、静音化特性の試験用のプレート(55mm×80mm×2mm)と、相手材用のプレート(50mm×25mm×2mm)、に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%RHで12時間放置した。
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、評価用試験片(長さ:60mm×幅:100mm×厚み:2mm)を作製した。次いで、当該試験片(評価材)を、静音化特性の試験用のプレート(55mm×80mm×2mm)と、相手材用のプレート(50mm×25mm×2mm)、に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%RHで12時間放置した。
静音化特性は、上記の静音化特性の試験用のプレートと、相手材用のプレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP−04に固定し、荷重=40N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の軋み音リスク値を測定して、評価した。なお、軋み音リスク値は、値が小さいほど軋み音発生のリスクが低いことを示す。軋み音リスク値の判断基準は以下に示す通りであり、目標値は3以下とした。
軋み音リスク値1〜3:軋み音発生のリスクが低い
軋み音リスク値4〜5:軋み音発生のリスクがやや高い
軋み音リスク値6〜10:軋み音発生のリスクが高い
軋み音リスク値1〜3:軋み音発生のリスクが低い
軋み音リスク値4〜5:軋み音発生のリスクがやや高い
軋み音リスク値6〜10:軋み音発生のリスクが高い
<摺動性の評価>
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、試験片(内径20mm、外径25.6mm、厚み5.6mmの円筒材)を作製した。摺動性の評価は、試験片をスラスト式摩擦摩耗試験(オリエンテック(株)社製 摩擦摩耗試験機「EFM−III−F」)に装着し、荷重20N、線速度50cm/secの条件にて100分間の試験を行い、試験前後の試験片の重量変化より、摩耗量(mg)を算出した。なお、相手材としては同材を用いた。摩耗量(mg)の目標値は30mg以下とした。
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、試験片(内径20mm、外径25.6mm、厚み5.6mmの円筒材)を作製した。摺動性の評価は、試験片をスラスト式摩擦摩耗試験(オリエンテック(株)社製 摩擦摩耗試験機「EFM−III−F」)に装着し、荷重20N、線速度50cm/secの条件にて100分間の試験を行い、試験前後の試験片の重量変化より、摩耗量(mg)を算出した。なお、相手材としては同材を用いた。摩耗量(mg)の目標値は30mg以下とした。
<艶消し性の評価>
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、試験片(長さ:60mm×幅:100mm×厚み:2mm)を作製した。艶消し性の評価は、JIS K7105に準拠して、試験片の60°鏡面光沢度(%)を測定し、鏡面光沢度の目標値を50%以下とした。
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、試験片(長さ:60mm×幅:100mm×厚み:2mm)を作製した。艶消し性の評価は、JIS K7105に準拠して、試験片の60°鏡面光沢度(%)を測定し、鏡面光沢度の目標値を50%以下とした。
<耐衝撃性の評価>
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、Izod衝撃試験評価用ノッチ付き試験片(長さ:63.3mm×幅:9.8mm×厚み:3.8mm)を作製した。耐衝撃性の評価は、JIS K 7110に準拠し、ノッチ付きの上記で得られた試験片を、アイゾット衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用いて、アイゾッド衝撃強度(単位KJ/m2)を測定し、以下の式(1)にて、衝撃強度変化率(%)を算出した。なお、共重合体(Y)を含まない試験片は、上記の実施例1において、共重合体(Y)を添加しないこと以外は、同様の操作にて作製した。衝撃強度変化率(%)の目標値は、80(%)以上とした。
衝撃強度変化率(%)={(試験片のアイゾッド衝撃強度の値)/共重合体(Y)を含まない試験片のアイゾッド衝撃強度の値)}×100・・・(式(1))
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)し、Izod衝撃試験評価用ノッチ付き試験片(長さ:63.3mm×幅:9.8mm×厚み:3.8mm)を作製した。耐衝撃性の評価は、JIS K 7110に準拠し、ノッチ付きの上記で得られた試験片を、アイゾット衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用いて、アイゾッド衝撃強度(単位KJ/m2)を測定し、以下の式(1)にて、衝撃強度変化率(%)を算出した。なお、共重合体(Y)を含まない試験片は、上記の実施例1において、共重合体(Y)を添加しないこと以外は、同様の操作にて作製した。衝撃強度変化率(%)の目標値は、80(%)以上とした。
衝撃強度変化率(%)={(試験片のアイゾッド衝撃強度の値)/共重合体(Y)を含まない試験片のアイゾッド衝撃強度の値)}×100・・・(式(1))
<外観の評価>
外観に関しては、上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)して作製した試験片(長さ:150mm×幅:100mm×厚み:2mm)を目視により、以下の基準により評価した。
○:良好(フローマーク、ジェッティング、剥離などがない。)
×:不良(フローマーク、ジェッティング、剥離などが存在する。)
なお、フローマークとは、成形体のゲート付近に円形波紋ができる外観不良である。ジェッティングとは、成形体に蛇状の樹脂の流れ模様ができる外観不良である。剥離とは、成形体外観の表面に樹脂が剥がれたようなあとができる外観不良を意味する。
外観に関しては、上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:245℃、金型温度:80℃)して作製した試験片(長さ:150mm×幅:100mm×厚み:2mm)を目視により、以下の基準により評価した。
○:良好(フローマーク、ジェッティング、剥離などがない。)
×:不良(フローマーク、ジェッティング、剥離などが存在する。)
なお、フローマークとは、成形体のゲート付近に円形波紋ができる外観不良である。ジェッティングとは、成形体に蛇状の樹脂の流れ模様ができる外観不良である。剥離とは、成形体外観の表面に樹脂が剥がれたようなあとができる外観不良を意味する。
<実施例2〜18、比較例1〜6>
<共重合体(Y)およびPC/ASA樹脂組成物の製造>
各実施例および各比較例において、使用する原料の種類とその配合量を表1および表2に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、共重合体(Y)およびPC/ASA樹脂組成物を製造した。
<共重合体(Y)およびPC/ASA樹脂組成物の製造>
各実施例および各比較例において、使用する原料の種類とその配合量を表1および表2に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、共重合体(Y)およびPC/ASA樹脂組成物を製造した。
上記で得られた実施例2〜18、比較例1〜6のPC/ASA樹脂組成物を用い、上記の評価方法により、静音化特性(軋み音の抑制効果)、摺動性、艶消し性、耐衝撃性および外観を評価した。結果を表2に示す。
表1中、
EVA1は、酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン510」、酢酸ビニル含有率(含有量)が6質量%、MFRが2.5(g/10min));
EVA2は、酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン537」、酢酸ビニル含有率(含有量)が15質量%、MFRが3.0(g/10min));
EVA3は、酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン750」、酢酸ビニル含有率(含有量)が32質量%、MFRが30(g/10min));
Stは、スチレン;
ANは、アクリロニトリル;
GMAは、メタクリル酸グリシジル;
R355は、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃);
BWは、ベンゾイルパーオキサイド(日油(株)製、商品名「ナイパーBW」、10時間半減期温度=74℃);
25Bは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃);
BuEは、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油(株)製、商品名「パーブチルE」、10時間半減期温度=99℃);を示す。
EVA1は、酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン510」、酢酸ビニル含有率(含有量)が6質量%、MFRが2.5(g/10min));
EVA2は、酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン537」、酢酸ビニル含有率(含有量)が15質量%、MFRが3.0(g/10min));
EVA3は、酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン750」、酢酸ビニル含有率(含有量)が32質量%、MFRが30(g/10min));
Stは、スチレン;
ANは、アクリロニトリル;
GMAは、メタクリル酸グリシジル;
R355は、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃);
BWは、ベンゾイルパーオキサイド(日油(株)製、商品名「ナイパーBW」、10時間半減期温度=74℃);
25Bは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃);
BuEは、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油(株)製、商品名「パーブチルE」、10時間半減期温度=99℃);を示す。
表2中、
PCは、ポリカーボネート(出光興産(株)製、商品名「タフロンA2200」、標準グレード);
ASAは、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体(日本エイアンドエル(株)製、商品名「ユニブライトUA1300」、標準グレード);を示す。
PCは、ポリカーボネート(出光興産(株)製、商品名「タフロンA2200」、標準グレード);
ASAは、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体(日本エイアンドエル(株)製、商品名「ユニブライトUA1300」、標準グレード);を示す。
Claims (4)
- PC/ASA樹脂(X)と、共重合体(Y)を含むPC/ASA樹脂組成物であって、
前記共重合体(Y)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と、スチレン(b−1)、並びに(メタ)アクリロニトリルおよびエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる1つ以上の単量体(b−2)を含むモノマー成分(B)と、t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(b−3)と、重合開始剤(b−4)と、有機過酸化物(C)を反応して得られるグラフト共重合体であり、
前記重合開始剤(b−4)は、10時間半減期温度が50℃以上75℃以下である重合開始剤を含み、
前記有機過酸化物(C)は、10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物を含み、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が1質量%以上30質量%であり、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100質量部に対して、前記10時間半減期温度が95℃以上130℃以下である有機過酸化物が0.1質量部以上3質量部以下であることを特徴とするPC/ASA樹脂組成物。 - 前記PC/ASA樹脂(X)100質量部に対して、前記共重合体(Y)が1質量部以上25質量部以下であることを特徴とする請求項1記載のPC/ASA樹脂組成物。
- 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と前記モノマー成分(B)の質量比((A)/(B))が50/50以上95/5以下であることを特徴とする請求項1または2記載のPC/ASA樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のPC/ASA樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂成形体。
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-
2019
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