JP6635346B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

この発明は鉛蓄電池に関し、特に深い放電を伴う環境で使用する鉛蓄電池に関する。
アイドリングストップ車の登場により、鉛蓄電池は従来よりも深い放電が行われることが増した。例えばアイドリングストップ車の鉛蓄電池は、部分充電状態(PSOC:partial State of Charge)で使用されることを前提としている。またフォークリフト用のように、サイクル用途の鉛蓄電池は、従来から深い放電深さ(DOD:Depth of Discharge)で使用される。部分充電状態で使用されると、鉛蓄電池は、正極への硫酸鉛の蓄積、あるいは負極のサルフェーションにより、寿命が短くなる。そして、部分充電状態では、ガス発生による電解液の撹拌が不足するため電解液が成層化しやすくなり、鉛蓄電池の寿命はさらに短くなる。
一方、車両が長期放置される等で鉛蓄電池が部分充電状態から過放電に陥ると、セパレータを金属鉛が貫通し正負の両極板が短絡する浸透短絡が生じやすくなる。過放電により電解液中の硫酸イオン濃度が低下し、これに伴って電解液中の鉛イオンの濃度が増す。この鉛イオンが充電時に負極板で還元され、セパレータ内部の孔を通じて金属鉛のデンドライトが成長し、セパレータを貫通して正極板と負極板とが短絡する。
出願人は、負極電極材料に黒鉛を含有させることにより、PSOCでの鉛蓄電池の寿命を向上させることを提案した。例えば特許文献1(WO2011/90113)は、負極電極材料に0.02-2.20mass%の黒鉛と、0.5mass%の硫酸バリウム、及び0.02-2.20mass%のカーボンブラックを含有させることを開示している。特許文献2(WO2011/52438)は、負極電極材料に0.5-3.0mass%の膨張化黒鉛と0.6mass%の硫酸バリウムを含有させることを開示している。出願人以外による文献では、例えば特許文献3(JP5584216B)は、1-3mass%の黒鉛と、0.8mass%の硫酸バリウム及び0.1-2mass%のカーボンブラックを、負極電極材料に含有させることを開示している。
WO2011/90113 WO2011/52438 JP5584216B
黒鉛粒子は硫酸鉛への電子の通り道となることにより、負極の充電を容易にする。発明者は、PSOC寿命の向上を検討する過程で、負極電極材料中の黒鉛が、浸透短絡の原因となることを見出した。この原因として、黒鉛粒子が負極板表面に露出しあるいは表面から突き出していると、黒鉛粒子の露出部等が金属鉛の析出の中心となることが考えられる。その結果、露出した黒鉛粒子から金属鉛のデンドライトが成長し、セパレータを貫通して短絡を引き起こすと考えられる。負極電極材料中の黒鉛が浸透短絡の原因になることはこれまで知られておらず、発明者が初めて発見したものである。
この発明の課題は、
・ 黒鉛あるいはカーボンファイバによる浸透短絡が生じ難く、
・ PSOC等の深い放電を伴う環境での寿命性能に優れた鉛蓄電池を提供することにある。
この発明は、負極板と正極板と電解液とセパレータとを有する鉛蓄電池において、前記負極板の負極電極材料は、黒鉛あるいはカーボンファイバと、硫酸バリウムとを含有し、かつ、前記負極板と前記正極板との平均極板間隔Sと負極板1枚当たりの負極電極材料の質量Wとの比S/Wが0.01mm/g以上であることを特徴とする。
黒鉛は、実施例の鱗片状黒鉛や膨張化黒鉛の他に、鱗状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛、あるいは人造黒鉛でも良く、また膨張黒鉛などでも良い。鱗片状黒鉛、膨張化黒鉛が好ましく、特に鱗片状黒鉛が好ましい。なお膨張化黒鉛は膨張済みの黒鉛である。カーボンファイバも黒鉛と同様の効果を有する。カーボンファイバは例えば長さが5μm以上で500μm以下のものを用いる。
黒鉛あるいはカーボンファイバ(以下、黒鉛等という)は負極電極材料中の硫酸鉛への電子の通り道となり、硫酸鉛の還元を容易にすることにより、鉛蓄電池のPSOC寿命など鉛蓄電池が完全には充電されない状態での寿命性能を向上させる。一方で、負極電極材料に黒鉛等を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることが明らかになった。鉛蓄電池の負極電極材料に黒鉛等を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることはこれまで知られていなかった。
そこで、発明者は負極電極材料に黒鉛等を含有させてPSOC寿命を向上させつつ、浸透短絡の発生を抑制することを検討した。その結果、負極電極材料に黒鉛等を含有していても、負極電極材料に硫酸バリウムを含有し、負極板と正極板との平均極板間隔Sと、負極板1枚当たりの負極電極材料の質量Wとの比S/W(以下「極間比」という)を0.01mm/g以上とすると、PSOC寿命性能に優れ、かつ耐浸透短絡性能に優れた鉛蓄電池が得られることを見出した。
なお、硫酸バリウムに替えて単体のバリウムや、炭酸バリウム等のバリウム化合物を用いてもよい。単体のバリウムやバリウム化合物を負極電極材料に添加しても、添加後に硫酸バリウムに変化するからである。
負極電極材料中の黒鉛等の含有量を0.5mass%以上にすると、PSOC寿命が大きく向上するので好ましい。また、負極電極材料中の黒鉛等の含有量を1.5mass%以上にすると、PSOC寿命が特に大きく向上するのでより好ましい。
負極電極材料中の黒鉛等の含有量を2.5mass%未満にすると、浸透短絡を抑制できるので好ましい。また、負極電極材料中の黒鉛等の含有量を2.0mass%以下にすると、浸透短絡を一層抑制できるのでより好ましい。
負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量を0.6mass%(バリウム元素換算では0.35mass%)以上にすると、浸透短絡の抑制効果が大きいので好ましい。また、負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%(バリウム元素換算では0.7mass%)以上にすると、浸透短絡の抑制効果が特に大きいのでより好ましい。
負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量を3.5mass%以下とするとPSOC寿命が向上するので、負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は3.5mass%(バリウム元素換算では2.05mass%)以下とすることが好ましい。負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量を3.0mass%以下とするとPSOC寿命が大きく向上するので、負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は3.0mass%(バリウム元素換算では1.75mass%)以下とすることがより好ましい。
極間比S/Wを0.02mm/g以下とするとPSOC寿命が向上するので、極間比S/Wは0.02mm/g 以下が好ましい。極間比S/Wを0.016mm/g以下とすると、PSOC寿命が大きく向上するのでより好ましい。
負極電極材料に黒鉛あるいはカーボンファイバと、硫酸バリウムとを含有し、極間比S/Wを0.01mm/g以上としても、浸透短絡を完全には抑制できない場合がある。そこで、発明者は浸透短絡をさらに抑制することを検討した。
負極電極材料中の黒鉛等の、粉体での4端子法による電気抵抗率(以下単に「抵抗率」という)を0.01Ω・cm以下とすることによって浸透短絡がさらに抑制される。従って、負極電極材料中の黒鉛等の抵抗率は0.01Ω・cm以下とすることが好ましい。
負極電極材料中の黒鉛の平均粒子径を30μm以上にするとPSOC寿命が向上するので、黒鉛の平均粒子径は30μm以上が好ましい。黒鉛の平均粒子径を100μm以上にするとPSOC寿命が大きく向上するので、黒鉛の平均粒子径は100μm以上が好ましい。
黒鉛等と硫酸バリウムとを含有する負極電極材料に、さらにカーボンブラックを含有させると、浸透短絡をさらに抑制することができる。カーボンブラックが浸透短絡を抑制する効果は、負極電極材料中のカーボンブラック含有量が0.05mass%以上で顕著になるので、負極電極材料中のカーボンブラックの含有量は0.05mass%以上とすることが好ましい。一方、負極電極材料中のカーボンブラック含有量が1.0mass%を超えると負極電極材料のペーストが硬くなり過ぎて、集電体への充填が困難になる。従って、負極電極材料中のカーボンブラックの含有量は1.0mass%以下とすることが好ましい。
負極電極材料中のカーボンブラック含有量を0.1mass%以上とすると、PSOC寿命の向上効果が大きくなる。従って、負極電極材料中のカーボンブラック含有量は0.1mass%以上とすることが好ましい。
負極電極材料中の硫酸バリウムの吸油量を12mL/100g以上とすると、浸透短絡をさらに抑制できる。従って、負極電極材料中の硫酸バリウムの吸油量を12mL/100g以上とすることが好ましい。負極電極材料中の硫酸バリウムの吸油量を12.5mL/100g以上とすると、浸透短絡を抑制する効果がより大きくなるので、負極電極材料中の硫酸バリウムの吸油量を12.5mL/100g以上とすることがより好ましい。
セパレータとしてポリオレフィン等の合成樹脂からなるセパレータを使用し、セパレータのシリカ(SiO2)含有量を60mass%以上とすると、浸透短絡をさらに抑制できる。従って、セパレータはシリカ(SiO2)含有量が60mass%以上である合成樹脂セパレータであることが好ましい。合成樹脂セパレータのシリカ(SiO2)含有量を70mass%以上とすると、浸透短絡を顕著に抑制できる。従って、セパレータはシリカ(SiO2)含有量が70mass%以上である合成樹脂セパレータであることがより好ましい。一方で、合成樹脂セパレータのシリカ(SiO2)含有量を80mass%超とするとPSOC寿命が低下するので、セパレータはシリカ(SiO2)含有量が80mass%以下である合成樹脂セパレータであることが好ましい。
電解液にアルミニウムイオンを0.02mol/L以上含有させると、PSOC寿命が大きく向上するので、電解液中のアルミニウムイオンの濃度は0.02mol/L以上とすることが好ましい。電解液にアルミニウムイオンを0.03mol/L以上含有させると、PSOC寿命が顕著に向上するので、電解液中のアルミニウムイオンの濃度は0.03mol/L以上とすることが好ましい。
電解液にアルミニウムイオンを含有させると、浸透短絡をさらに抑制できる。電解液に0.06mol/L以上のアルミニウムイオンを含有させると、浸透短絡を顕著にできる。従って、電解液中のアルミニウムイオンの濃度は0.06mol/L以上とすることが好ましい。
電解液にアルミニウムイオンを0.15mol/L以下含有させると、PSOC寿命が大きく向上するので、電解液中のアルミニウムイオンの濃度は0.15mol/L以下とすることが好ましい。電解液にアルミニウムイオンを0.12mol/L以下含有させると、PSOC寿命が顕著に向上するので、電解液中のアルミニウムイオンの濃度は0.12mol/L以下とすることが好ましい。
電解液にリチウムイオンを含有させると、浸透短絡をさらに抑制できる。また、電解液にリチウムイオンを0.01mol/L以上含有させると、浸透短絡を顕著に抑制できる。従って、電解液中のリチウムイオンの濃度は0.01mol/L以上とすることが好ましい。
電解液のリチウムイオンの濃度を0.02mol/L以上とするとPSOC寿命が顕著に向上するので、電解液中のリチウムイオンの濃度は0.02mol/L以下とすることが好ましい。
電解液のリチウムイオンの濃度を0.22mol/L以下とするとPSOC寿命が大きく向上するので、電解液中のリチウムイオンの濃度は0.22mol/L以下とすることが好ましい。電解液のリチウムイオンの濃度を0.18mol/L以下とするとPSOC寿命が顕著に向上するので、電解液中のリチウムイオンの濃度は0.18mol/L以下とすることが好ましい。
この発明の鉛蓄電池はPSOC環境で使用する際に浸透短絡が発生しにくいので、PSOC環境で使用するアイドリングストップ車用などの他に、フォークリフト用などのサイクル用途にも使用できる。実施例では鉛蓄電池は液式であるが、制御弁式でも良い。この発明の鉛蓄電池は、好ましくは液式の鉛蓄電池である。また、この発明の鉛蓄電池は部分充電状態で使用されても浸透短絡を生じにくいため、部分充電状態で使用される鉛蓄電池に好適である。
実施例の鉛蓄電池の要部断面図 実施例でのPSOC寿命試験を示す図 黒鉛含有量の影響を示す特性図(表3の試料5−9) 極間比の影響を示す特性図(表3の試料5、15C、16-18) 極間比の影響を示す特性図(表3の試料5、19C、20、23、25) 硫酸バリウム含有量の影響を示す特性図(表3の試料5、10C、11-14) 黒鉛の抵抗率の影響を示す特性図(表3の試料26、27、29) 黒鉛の粒子径の影響を示す特性図(表3の試料5、28-30) カーボンブラック含有量の影響を示す特性図(表3の試料5、41-43) 硫酸バリウムの吸油量の影響を示す特性図(表3の試料5、54、55) 合成樹脂セパレータ中の、シリカ(SiO2)含有量の影響を示す特性図(表3の試料5、48-51) アルミニウムイオン含有量の影響を示す特性図(表3の試料5、31-35) リチウムイオン含有量の影響を示す特性図(表3の試料5、36-40)
以下に、本願発明の最適実施例を示す。本願発明の実施に際しては、当業者の常識及び先行技術の開示に従い、実施例を適宜に変更できる。なお実施例では、負極電極材料を負極活物質と呼び、正極電極材料を正極活物質と呼ぶことがある。また負極板は、負極集電体(負極格子)と負極活物質(負極電極材料)とから成り、正極板は、正極集電体(正極格子)と正極活物質(正極電極材料)とから成り、集電体以外の固形成分は活物質(電極材料)に属するものとする。
負極活物質ペーストは、ボールミル法による鉛粉に、黒鉛と硫酸バリウム及び防縮剤のリグニン、補強材の合成樹脂繊維を混合したものを用い、カーボンブラックをさらに含有させたものも作製した。以下、含有量は、既化成で満充電状態の負極活物質中のmass%濃度で示す。なお、満充電とは、15分ごとに測定した充電中の端子電圧が3回連続して一定値(±0.01V)を示すまで5時間率電流で充電した状態をいう。
黒鉛含有量は満充電状態の負極活物質の質量に対して0mass%〜2.5mass%の範囲で変化させた。黒鉛として鱗片状黒鉛と膨張化黒鉛とを用いたが、土状黒鉛、人造黒鉛などの他の黒鉛でも良く、カーボンファイバでもよい。黒鉛及びカーボンファイバの中では鱗片状黒鉛又は膨張化黒鉛が好ましく、鱗片状黒鉛が特に好ましい。鱗片状黒鉛の平均粒子径は5μm〜300μmの範囲で変化させた。鱗片状黒鉛と膨張化黒鉛の4端子法による抵抗率は0.001Ω・cm〜0.012Ω・cm(2.5MPaの加圧下での抵抗率)の範囲で変化させた。
硫酸バリウム含有量は満充電状態の負極活物質の質量に対して0mass%〜3.5mass%の範囲で変化させた。硫酸バリウムの吸油量(JIS K-5101-13-2:2004に準拠する吸油量)は11.5mL/100g〜14.4mL/100gの範囲で変化させた。硫酸バリウムの平均1次粒子径は例えば0.3μm以上2.0μm以下、平均2次粒子径は例えば1.0μm以上10μm以下とする。リグニン含有量は0.2mass%としたが、含有量は任意で、リグニンに代えてスルホン化したビスフェノール類の縮合物等の合成防縮剤を用いても良い。補強材含有量は0.1mass%としたが、含有量及び合成樹脂繊維の種類は任意である。また鉛粉の製造方法、酸素含有量等は任意で、他の添加物、例えば水溶性の合成高分子等を含有させても良い。
前記の混合物を水と硫酸とでペースト化し、アンチモンフリーのPb-Ca-Sn系合金から成るエキスパンドタイプの負極格子(高さ110mm×幅100mm×厚さ1.0mm)に充填し、熟成、乾燥を施した。なお負極格子は鋳造格子、打ち抜き格子等でも良い。負極板1枚当たりの負極活物質の質量は30g以上80g以下の範囲で調整した。なお、化成後の負極活物質の密度は例えば3.6g/cm3以上4.0g/cm3以下であればよい。
正極活物質ペーストは、ボールミル法による鉛粉に、既化成で満充電状態の正極活物質の質量に対し0.1mass%の補強材の合成樹脂繊維を混合し、水と硫酸とでペースト化したものを用いた。このペーストをアンチモンフリーのPb-Ca-Sn系合金から成るエキスパンドタイプの正極格子(高さ110mm×幅100mm×厚さ1.2mm)に充填し、熟成、乾燥を施した。鉛粉の種類と製造条件は任意である。なお正極格子は鋳造格子、打ち抜き格子等でも良い。
未化成の負極板をベースからリブが突出したポリエチレンセパレータで包み、未化成の負極板7枚と未化成の正極板6枚とを交互に積層し、負極板、正極板それぞれをストラップで接続して極板群とした。セパレータのベース厚さは例えば0.15mm以上0.25mm以下であればよい。6個の極板群を直列に接続した状態で電槽のセル室に収容し、20℃で比重1.230の硫酸を加えて電槽中で化成し、B20サイズで5時間率容量が30Ahの液式鉛蓄電池とした。なお正極板と負極板との平均極板間隔S(以下では省略して「極間」ということがある)は0.3mm以上1.0mm以下の範囲で調整した。また、鉛蓄電池当たりの正極活物質の質量Pと負極活物質の質量Nの比N/Pは例えば0.62以上0.95以下であればよい。
図1は、鉛蓄電池2の要部を示し、4は負極板、6は正極板、8はセパレータで、10は硫酸を主成分とする電解液である。負極板4は負極格子12と負極活物質14とから成り、正極板6は正極格子16と正極活物質18とから成る。セパレータ8はベース20とリブ22とを備える袋状で、袋の内部に負極が収納され、リブ22が正極板6側を向いている。ただしリブ22を正極板に向けてセパレータ8に正極板6を収納しても良い。また、セパレータは正極板と負極板を隔離していれば、袋状である必要はなく、例えばリーフレット状のガラスマットやリテーナマット等を用いても良い。S'は極板間の間隔(正極活物質面と負極活物質面の間隔)で、この平均値が平均極板間隔Sである。なお、正負極板の耳が突出する方向を上方向とした場合に、正負極板の活物質面の上端における極板間の間隔をS'とする。
平均極板間隔(極間)Sは、極板群の厚さから負極板の厚さと正極板の厚さを除き、極板群当たりの極板の総枚数−1で割ることにより求める。極板群の厚さは極群の両端に位置する極板の積層方向外端間の長さ、言い換えれば、極群の両端に位置する極板の積層方向外側の活物質面の間の長さである。なお、極板群の厚さ、正極板の厚さ、負極板の厚さはいずれも正負極板の活物質面の上端において測定する。また、平均極板間隔S及び極板群の厚さは極板群が電槽に収納され、かつ、満充電された状態での寸法とする。
既化成の負極活物質に含まれるバリウム含有量は以下のようにして定量する。満充電状態の鉛蓄電池を解体し、負極板を水洗及び乾燥して硫酸分を除去し、負極活物質を採取する。負極活物質を粉砕し、300g/Lの過酸化水素水を、負極活物質100g当たり20mL加え、さらに60mass%の濃硝酸をその3倍容のイオン交換水で希釈した(1+3)硝酸を加え、撹拌下で5時間加熱し、鉛を硝酸鉛として溶解させる。さらに硫酸バリウムを溶解させ、その溶液中のバリウム濃度を原子吸光測定法により定量し、負極活物質中のバリウム含有量に換算する。さらに、負極活物質中のバリウム含有量から負極活物質中の硫酸バリウム含有量を求めることができる。
負極板1枚当たりの負極活物質の質量、既化成の負極活物質に含まれる黒鉛およびカーボンブラックの含有量は以下のようにして定量する。満充電状態の鉛蓄電池2を解体し、負極板4を水洗及び乾燥して硫酸分を除去し、負極活物質14を採取し、負極板1枚当たりの負極活物質の質量を測定する。負極活物質を粉砕し、300g/L濃度の過酸化水素水を、負極活物質100g当たり20mL加え、さらに60mass%の濃硝酸をその3倍容のイオン交換水で希釈した(1+3)硝酸を加え、撹拌下で5時間加熱し、鉛を硝酸鉛として溶解させる。さらに硫酸バリウムを溶解させ、次いで濾過により、黒鉛、カーボンブラック、補強材を分離する。
濾過によって得られた固形分(黒鉛、カーボンブラック、補強材)を水中に分散させる。補強材が通らない篩い、例えば径が1.4mmの篩いを用い、分散液を2回篩いにかけ、水洗をおこない補強材を除去することで、カーボンブラックおよび黒鉛を分離する。
負極活物質用ペーストには、カーボンブラックおよび黒鉛はリグニンなどの有機防縮剤とともに添加され、化成後の負極活物質中においても、有機防縮剤の界面活性効果によって、カーボンブラックおよび黒鉛はその凝集体が崩れた状態で存在する。しかしながら、上記一連の分離操作において有機防縮剤は水中に溶出して失われていることから、カーボンブラックおよび黒鉛を水中に分散させた後、有機防縮剤を加えて撹拌し、カーボンブラックおよび黒鉛の凝集体を再び崩した状態で以下の分離操作を行う。
有機防縮剤は鉛蓄電池に添加されるものであればよく、実施例ではリグニンスルホン酸塩である日本製紙株式会社製バニレックスNを用いた。また、実施例では、水100mLに対して15gの有機防縮剤を添加して撹拌操作を実施した。
上記操作の後、カーボンブラックと黒鉛を含む懸濁液を、黒鉛が実質的に通過せず、カーボンブラックが通過する篩いを通過させることで両者を分離する。実施例において、篩いは20μmのものを用いた。なお、これより粒子径の小さい黒鉛を用いた場合でも、3μm以上の粒子径の黒鉛であれば篩いの目詰まりにより黒鉛は実質的に篩いを通過しない。この操作で黒鉛は篩い上に残り、篩いを通過した液にカーボンブラックが含まれる。
上記一連の操作で分離した黒鉛、カーボンブラックを水洗乾燥した後にそれぞれの重量を秤量する。なお、カーボンファイバは黒鉛と同様にして分離できる。
黒鉛の平均粒子径(体積平均径)は光散乱法により測定し、粒径3μm未満の部分が存在すれば、カーボンブラック等の不純物として無視する。また黒鉛の抵抗率は、水洗乾燥した黒鉛粉体に2.5MPaの圧力を加え4端子法により測定する。
負極活物質中の硫酸バリウムの吸油量は以下のようにして測定する。満充電状態の鉛蓄電池2を解体し、負極板4を水洗及び乾燥して硫酸分を除去し、負極活物質14を採取する。負極活物質を粉砕し、300g/L濃度の過酸化水素水を、負極活物質100g当たり20mL加え、さらに60mass%の濃硝酸をその3倍容のイオン交換水で希釈した(1+3)硝酸を加え、撹拌下で5時間加熱し、鉛を硝酸鉛として溶解させる。次いで濾過により、黒鉛、カーボンブラック、硫酸バリウム、補強材を分離する。
濾過によって得られた固形分を水中に分散させる。補強材が通らない篩い、例えば径が1.4mmの篩いを用い、分散液を2回篩いにかけ、水洗をおこない補強材を除去する。次いで補強材を除去した分散液に対し3000rpmで5分の遠心分離を施す。上澄みおよび沈殿の上層部はカーボンブラックと黒鉛を含有するので除去し、沈殿の下層部から硫酸バリウムを抽出する。抽出した硫酸バリウムを水洗乾燥し、JIS K-5101-13-2:2004に準拠して吸油量を測定する。
電解液中のアルミニウムイオンとリチウムイオンは、電解液を抽出しICP発光分光分析法により定量する。
セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量は以下のようにして定量する。まず、鉛蓄電池2を解体して取り出したセパレータを水洗・乾燥して乾燥重量を測定する。次にセパレータを完全燃焼し、燃焼後の残渣中のSi含有量をICP発光分光分析法により定量する。セパレータの乾燥重量と燃焼後の残渣中のSi含有量とから、セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量を計算する。
満充電状態の鉛蓄電池2に対し、浸透短絡促進試験とPSOC寿命試験とを行った。PSOC寿命試験の内容を図2と、表1とに示す。1CAは例えば5時間率容量が30Ahの電池の場合は30Aで、40℃気は40℃の気槽中で試験したことを示す。表1の試験パターンで、端子電圧が1.2V/セルに到達するまでのサイクル数を、PSOC寿命とする。また、浸透短絡促進試験の内容を表2に示す。この試験は浸透短絡の発生を促進するような条件下で行う試験であり、実際の鉛蓄電池の使用条件下よりも浸透短絡の発生率が顕著に高くなる。表2に示す浸透短絡促進試験パターンを5サイクル行い、5サイクル後に鉛蓄電池を解体して、短絡が発生した鉛蓄電池の割合(浸透短絡の発生率)を調べた。なお、25℃水は25℃の水槽中で試験したことを示す。表1及び表2において、CC放電は定電流放電、CV充電は定電圧充電、CC充電は定電流充電を意味する。
PSOC寿命試験と浸透短絡促進試験の結果を表3に示し、主な結果を図3〜図13に抽出する。PSOC寿命のデータは、試料1Cを1とする相対値で示す。なお表3で用いた黒鉛は以下の通りである。
黒鉛1:鱗片状黒鉛で平均粒子径は100μm、抵抗率は0.001Ω・cm、
黒鉛2:膨張化黒鉛で平均粒子径は30μm、抵抗率は0.01Ω・cm、
黒鉛3:膨張化黒鉛で平均粒子径は30μm、抵抗率は0.012Ω・cm、
黒鉛4:鱗片状黒鉛で平均粒子径は5μm、抵抗率は0.001Ω・cm、
黒鉛5:鱗片状黒鉛で平均粒子径は30μm、抵抗率は0.001Ω・cm、
黒鉛6:鱗片状黒鉛で平均粒子径は300μm、抵抗率は0.001Ω・cm。
※ ペーストが硬く、作製不可
1C、3C、4C、10C、15C、19C :比較例
表3及び図3から、負極活物質に黒鉛を含有させるとPSOC寿命が向上し、黒鉛を0.5mass%以上含有させるとPSOC寿命が大きく向上し、黒鉛を1.5mass%以上含有させるとPSOC寿命が顕著に向上することがわかる。一方で、負極活物質に2.5mass%以上の黒鉛を含有させると浸透短絡が発生しやすくなり、負極活物質中の黒鉛の含有量を2.5mass%未満とすることによって、浸透短絡が抑制されることがわかる。負極活物質中の黒鉛の含有量を2.0mass%以下とすると、浸透短絡の抑制効果が特に大きい。負極活物質中の黒鉛が浸透短絡に関係していることはこれまで知られていないため、このような効果は予想できるものではない。
そこで、発明者は負極活物質に黒鉛を含有させてPSOC寿命を向上させつつ、浸透短絡の発生を抑制することを検討した。その結果、負極活物質に黒鉛と硫酸バリウムとを含有し、かつ極間比S/Wを0.01mm/g以上とすることで、耐浸透短絡性能に優れ、かつ負極活物質に黒鉛等を含有させない鉛蓄電池よりもPSOC寿命性能に優れた鉛蓄電池が得られることを見出した(表3の試料5-8など)。一般に平均極板間隔Sが小さいと正負極板の距離が近いため浸透短絡が発生しやすく浸透短絡抑制効果が低いと考えられるが、Sが小さくても負極板当たりの負極活物質量Wが小さければ浸透短絡抑制効果は大きい(表3の試料24)。一方、試料24よりもSが大きい場合でも、Wが大きければ浸透短絡抑制効果は小さい(表3の試料19C)。従って、浸透短絡抑制効果はS又はWのみによって決まるものではなく、SとWの両方が浸透短絡に関係しており、浸透短絡を抑制するためには、極間比S/Wを0.01mm/g以上とすることこそが重要である。
負極活物質に黒鉛を含有すること、負極活物質に硫酸バリウム含有すること、極間比S/Wを0.01mm/g以上とすること、のいずれか1つでも満たさなければ、PSOC寿命性能及び耐浸透短絡性能に優れた鉛蓄電池を得ることはできない。例えば、負極活物質に硫酸バリウムを含有し、かつ極間比S/Wを0.01mm/g以上としても、負極活物質に黒鉛を含有しないと、PSOC寿命性能が低い(表3の試料3C)。また、負極活物質に黒鉛を含有し、かつ極間比S/Wを0.01mm/g以上としても、負極活物質に硫酸バリウムを含有しないと、浸透短絡を十分には抑制できない(表3の試料10C)。同様に、負極活物質に黒鉛と硫酸バリウムを含有しても、極間比S/Wが0.01mm/g未満では、浸透短絡を十分には抑制できない(表3の試料15C、19C)。従って、負極活物質に黒鉛を含有することと、負極活物質に硫酸バリウムを含有することと、極間比S/Wを0.01mm/g以上とすることの3つの構成を組み合わせてはじめてPSOC寿命性能及び耐浸透短絡性能に優れた鉛蓄電池を得ることができるといえる。負極活物質中の硫酸バリウムが浸透短絡の発生に関係していることはこれまで知られていないため、浸透短絡を抑制するために負極活物質に硫酸バリウムを含有させることに当業者が想到することは容易ではない。また、極間比S/Wが浸透短絡の発生に関係していることもこれまで知られていないため、浸透短絡を抑制するために当業者が極間比S/Wを0.01mm/g以上とすることに想到することも容易ではない。さらに、負極活物質に黒鉛を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることはこれまで知られていない。従って、負極活物質に黒鉛を含有することにより発生しやすくなる浸透短絡を抑制するために、負極活物質に硫酸バリウムを含有することと、極間比S/Wを0.01mm/g以上とすることとを組み合わせることに当業者が想到することは非常に困難である。
極間比S/Wの影響を図4、図5に示す。負極板一枚当りの負極活物質量Wを一定にして、極間(平均極板間隔)Sを変化させた場合の結果を図4に示す。また、極間Sを一定にして、負極板一枚当たりの負極活物質量Wを変化させた場合の結果を図5に示す。極間Sを変化させた場合も負極板一枚当たりの負極活物質量Wを変化させた場合も、結果は同様であった。Sを変化させることでS/Wを変化させても、Wを変化させることでS/Wを変化させても同様の結果になることからも、S又はWではなくS/Wが技術的意義を有するとわかる。また、図4及び図5から、負極活物質に黒鉛と硫酸バリウムを含有する場合に、極間比S/Wが0.01mm/g未満と0.01mm/gとでは浸透短絡の抑制効果が全く異なることがわかる。従って、極間比S/Wを0.01mm/g以上とすることには臨界的意義があるといえる。
図4及び図5から、極間比S/Wを0.02mm/g以下とするとPSOC寿命性能が向上することがわかる。極間比S/Wを0.16mm/g以下とするとPSOC寿命性能が大きく向上する。
図6から、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を0.6mass%以上とすると浸透短絡の抑制効果が大きいことがわかる。負極活物質中の硫酸バリウムが浸透短絡に関係していることはこれまで知られていないため、このような効果は予想できるものではない。また、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とすると浸透短絡の抑制効果が特に大きく、硫酸バリウムの含有量が1.2mass%未満と1.2mass%以上とでは浸透短絡の抑制効果が全く異なる。従って、硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とすることには臨界的意義があるといえる。
図6から、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を3.5mass%以下とするとPSOC寿命性能が向上し、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を3.0mass%以下とするとPSOC寿命性能が大きく向上することがわかる。
表3から、負極活物質に黒鉛を含有する場合、負極活物質に硫酸バリウムを含有し、極間比S/Wを0.01mm/g以上としても、浸透短絡を完全には抑制できない場合があることがわかる(表3の試料5など)。そこで、発明者はさらに浸透短絡を抑制することを検討した。
図7から、負極活物質中の黒鉛の抵抗率を0.01Ω・cm以下とすることによって、浸透短絡がさらに抑制されることがわかる。負極活物質中の黒鉛が浸透短絡に関係していることはこれまで知られていないため、負極活物質中の黒鉛の抵抗率を変化させることによって浸透短絡抑制効果が大きくなることは予想できるものではない。
図8から、黒鉛の平均粒子径を30μm以上とすることによって、PSOC寿命が向上し、黒鉛の平均粒子径を100μm以上とすることによりPSOC寿命がさらに向上することがわかる。
図9は負極活物質中のカーボンブラックの影響を示す。負極活物質にカーボンブラックを含有させると、浸透短絡の発生がさらに抑制されることがわかる。負極活物質中のカーボンブラックが浸透短絡に関係していることはこれまで知られていない。従って、負極活物質にカーボンブラックを含有させることにより、浸透短絡抑制効果が大きくなることは予想できるものではない。また、表3の試料1と試料3の比較から、負極活物質に黒鉛を含有しない場合には、負極活物質にカーボンブラックを含有させても浸透短絡抑制効果は得られないことがわかる。従って、カーボンブラックによる浸透短絡抑制の効果は、負極活物質に黒鉛を含有する場合にのみ得られるといえる。
カーボンブラックによる浸透短絡抑制の効果は、負極活物質のカーボンブラック含有量が0.05mass%以上のときに顕著に認められる(図9)。また、負極活物質中のカーボンブラック含有量を0.1mass%以上とすると、負極電極材料中のカーボンブラック含有量が0.1mass%未満の場合と比較してPSOC寿命の向上効果が大きくなる(図9)。一方、負極活物質に1.0mass%を超えるカーボンブラックを含有させると、活物質ペーストが硬すぎて負極集電体への充填が困難になった。
図10は負極活物質中の硫酸バリウムの吸油量の影響を示す。図10から、負極活物質中の硫酸バリウムの吸油量を12mL/100g以上とすると、浸透短絡がさらに抑制されることがわかる。負極活物質中の硫酸バリウムが浸透短絡に関係することはこれまで知られていないため、負極活物質中の硫酸バリウムの吸油量を変化させることによって浸透短絡抑制効果が大きくなることは予想できるものではない。負極活物質中の硫酸バリウムの吸油量を12.5mL/100g以上とすると、浸透短絡の抑制効果が特に大きくなる。
ポリエチレンをはじめとするポリオレフィン等の合成樹脂からなるセパレータは多孔性を付与するためシリカ(SiO2)を含んでおり、他の合成樹脂セパレータでも同様である。図11はセパレータ中のシリカ(SiO2)含有量の影響を示す。図11から、セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量を60mass%以上とすることにより、浸透短絡をさらに抑制できることがわかる。セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量が浸透短絡に関係することはこれまで知られていないため、セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量を変化させることによって浸透短絡抑制効果が大きくなることは予想できるものではない。セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量を70mass%以上とすると、浸透短絡の抑制効果が特に大きくなる。また、セパレータ中のシリカ(SiO2)含有量が80mass%を超えるとPSOC寿命が低下する(図11)。
図12は電解液中のアルミニウムイオンの影響を示す。電解液中のアルミニウムイオンにより、浸透短絡をさらに抑制できることがわかる。アルミニウムイオンによる浸透短絡抑制の効果は、その含有量が0.06mol/L以上のときに顕著に認められる。表3の試料1と試料4の比較から、負極活物質に黒鉛を含有しない場合には、電解液にアルミニウムイオンを含有させても浸透短絡抑制効果は得られないことがわかる。従って、アルミニウムイオンによる浸透短絡抑制の効果は、負極活物質に黒鉛を含有する場合にのみ得られるといえる。
電解液中のアルミニウムイオン濃度を0.02mol/L以上とするとPSOC寿命性能が大きく向上し、電解液中のアルミニウムイオン濃度を0.03mol/L以上とするとPSOC寿命性能が顕著に向上する(図12)。また、電解液中のアルミニウムイオン濃度を0.15mol/L以下とするとPSOC寿命性能が大きく向上し、電解液中のアルミニウムイオン濃度を0.12mol/L以下とするとPSOC寿命性能が顕著に向上する(図12)。
図13はリチウムイオンの影響を示す。電解液中のリチウムイオンにより、浸透短絡をさらに抑制できることがわかる。リチウムイオンによる浸透短絡抑制の効果は、その含有量が0.01mol/L以上のときに顕著に認められる。表3の試料1と試料4の比較から、負極活物質に黒鉛を含有しない場合には、電解液にリチウムイオンを含有させても浸透短絡抑制効果は得られないことがわかる。従って、リチウムイオンによる浸透短絡抑制の効果は、負極活物質に黒鉛を含有する場合にのみ得られるといえる。
電解液中のリチウムイオン濃度を0.01mol/L以上とするとPSOC寿命性能が大きく向上し、電解液中のリチウムイオン濃度を0.02mol/L以上とするとPSOC寿命性能が顕著に向上する(図13)。また、電解液中のリチウムイオン濃度を0.22mol/L以下とするとPSOC寿命性能が大きく向上し、電解液中のリチウムイオン濃度を0.18mol/L以下とするとPSOC寿命性能が顕著に向上する(図13)。
実施例ではPSOC寿命に優れ、浸透短絡が少ない鉛蓄電池が得られるので、セパレータをガラスマット等として、制御弁式の鉛蓄電池としても良い。
2 鉛蓄電池
4 負極板
6 正極板
8 セパレータ
10 電解液
12 負極格子
14 負極活物質
16 正極格子
18 正極活物質
20 ベース
22 リブ

S' 極板間隔

Claims (5)

  1. 負極板と正極板と電解液とセパレータとを有する鉛蓄電池において、
    前記負極板の負極電極材料は、黒鉛あるいはカーボンファイバと、硫酸バリウムとを含有し、
    かつ、前記負極板と前記正極板との平均極板間隔Sと前記負極板1枚当たりの負極電極材料の質量Wとの比S/Wが0.01mm/g以上であり、平均極板間隔Sは0.4mm以上1.0mm以下で、
    前記負極電極材料は、1.2mass%以上の硫酸バリウムを含有することを特徴とする、鉛蓄電池。
  2. 前記負極電極材料は、カーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項1の鉛蓄電池。
  3. 前記負極電極材料は、2.5mass%未満の黒鉛あるいは2.5mass%未満のカーボンファイバを含有することを特徴とする、請求項1または2の鉛蓄電池。
  4. 前記電解液はアルミニウムイオンを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの鉛蓄電池。
  5. 前記セパレータはポリエチレンからなる袋状のセパレータであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの鉛蓄電池。
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