JP6619015B2 - ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
特に、耐久性が要求される自動車用部品には、無機充填剤で強化されたポリアセタール樹脂組成物が用いられる。耐久性とは、例えば、一定応力下でのギアの寿命が長いことを意味し、ギア耐久特性ともいう。
特許文献1には、優れた機械的強度を達成する目的で、ポリアセタール樹脂と、ガラス系無機充填材とを含むポリアセタール樹脂組成物が開示されている。また、特許文献1には、ポリアセタール樹脂の分子中に50〜2000mmol/kgの水酸基を有する変性ポリアセタール樹脂を配合することが開示されている。
特許文献2には、優れた機械的特性を有し、低ホルムアルデヒド排出を達成する目的で、15mmol/kgを超える末端OH基を有する、少なくとも1種のポリオキシメチレンと、少なくとも1種のカップリング剤、少なくとも1種の強化繊維、任意に少なくとも1種のホルムアルデヒド補足剤を含む組成が開示されている。
高性能化として、具体的には、機械的強度、耐久性、摺動性の向上が挙げられる。
ポリアセタール樹脂の末端水酸基を増加しても、無機充填剤との親和性は向上するが、所望する耐久性は達成できなかった。
本発明が解決しようとする課題は、非常に優れた耐久性を有する樹脂組成物及びその成形体を提供することである。
[1]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス系充填材10質量部以上100質量部以下と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
前記(B)ガラス系充填材のサイジング剤として少なくとも1種の酸成分を含み、
該ポリアセタール樹脂組成物からなる(C)ポリアセタール樹脂成形体を下記工程(1)〜(4)にて処理し、
残った(D)残渣において、熱重量分析(TGA)を用いて下記条件(a)〜(e)にて算出した強熱減量が0.2wt%以上であり、
前記(C)ポリアセタール樹脂成形体を、80℃の熱水に1週間浸漬させたのちに、前記工程(1)〜(4)にて処理し、残った(D’)残渣の強熱減量が0.25wt%以上である、
ポリアセタール樹脂組成物。
(1)前記(C)ポリアセタール樹脂成形体を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)とクロロホルムとの1/1(体積比)混合溶媒に入れ、60℃で1時間加熱して溶解させる。
(2)溶液の上澄み溶液を除去し、得られた残渣を、HFIPとクロロホルムとの1/1(体積比)混合溶媒に入れ、再び60℃で30分加熱し、上澄み溶液を除去する。
(3)前記工程(2)を計3回実施し、溶媒を含んだ残渣を得る。
(4)前記溶媒を含んだ残渣を、真空乾燥により30℃にて5時間乾燥させることで(D)残渣を得る。
(a)昇温速度30℃/分にて50〜105℃に昇温する。
(b)105℃で30分保持する。
(c)昇温速度30℃/分にて105〜625℃に昇温する。
(d)625℃で30分保持する。
(e)前記(b)終了後の質量から前記(d)終了後の質量を差し引いた値を、測定に用いた(D)残渣の質量で除し、100倍した値(wt%)を強熱減量とする。
[2]
前記(D)残渣の強熱減量が0.3wt%以上である、[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[3]
前記酸成分がカルボン酸成分である、[1]又は[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[4]
前記酸成分がアクリル酸を含む成分である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5]
前記(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度が2mmol/kg以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[6]
前記(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度が2mmol/kg以上100mmol/kg以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[7]
前記(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度が2mmol/kg以上15mmol/kg以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[8]
前記(A)ポリアセタール樹脂がブロック成分を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[9]
前記ブロック成分が水素添加ポリブタジエン成分である、[8]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[10]
(E)重量平均分子量が50万以下のポリエチレンをさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[11]
前記(E)重量平均分子量が50万以下のポリエチレンの融点が115℃以下である、[10]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
[13]
成形直前のポリアセタール樹脂組成物を105℃、3時間で加熱した後の、該成形直前のポリアセタール樹脂組成物からの重量減少率が0.15%以下である、[12]に記載のポリアセタール樹脂成形体。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス系充填材10質量部以上100質量部以下と、を含むポリアセタール樹脂組成物である。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、該ポリアセタール樹脂組成物からなる(C)ポリアセタール樹脂成形体を下記工程(1)〜(4)にて処理し、
残った(D)残渣において、熱重量分析(TGA)を用いて下記条件(a)〜(e)にて算出した強熱減量が0.2wt%以上である、ポリアセタール樹脂組成物である。
(2)溶液の上澄み溶液を除去し、得られた残渣を、HFIPとクロロホルムとの1/1(体積比)混合溶媒に入れ、再び60℃で30分加熱し、上澄み溶液を除去する。
(3)前記工程(2)を計3回実施し、溶媒を含んだ残渣を得る。
(4)前記溶媒を含んだ残渣を、真空乾燥により30℃にて5時間乾燥させることで(D)残渣を得る。
(b)105℃で30分保持する。
(c)昇温速度30℃/分にて105〜625℃に昇温する。
(d)625℃で30分保持する。
(e)前記(b)終了後の質量から前記(d)終了後の質量を差し引いた値を、測定に用いた(D)残渣の質量で除し、100倍した値(%)を強熱減量とする。
(B)ガラス系充填材の含有量が10質量部以上であることにより、機械的強度や耐久性が向上する。
また、(B)ガラス系充填材の含有量が100質量部以下であることにより、成形時においてガラス系充填材同士の接触によるガラス系充填材の破壊を抑制することができる。このため、機械的強度や耐クリープ性が向上する。さらに、(B)ガラス系充填材の含有量が100質量部以下であることにより、安定した成形を行うことができ、成形体の外観不良を抑制することができ、高い金属摺動性を保持することができる。
(B)ガラス系充填材の含有量の上限値は、好ましくは90質量部であり、より好ましくは80質量部であり、さらに好ましくは75質量部であり、よりさらに好ましくは70質量部である。
原料成分を混合及び溶融混練する方法としては、特に限定されず、当業者が周知の方法を利用できる。具体的には、(A)成分及び(B)成分を、予めスーパーミキサー、タンブラー、V字型ブレンダー等で混合し、二軸押出機で一括溶融混練する方法、(A)成分を二軸押出機メインスロート部に供給し溶融混練しつつ、押出機の途中から(B)成分を添加する方法等が挙げられる。これらはいずれも利用できるが、本実施形態の成形体の機械的物性を高めるためには、(A)成分を二軸押出機メインスロート部に供給し溶融混練しつつ、押出機の途中から(B)成分を添加する方法が好ましい。最適な条件は、押出機の大きさによって変動するため、当業者の調整可能な範囲で適宜調整することが好ましい。より好ましくは、押出機のスクリューデザインに関しても、当業者に調整可能な範囲で種々調整する。
(b)105℃で30分保持する。
(c)昇温速度30℃/分にて105〜625℃に昇温する。
(d)625℃で30分保持する。
なお、(D)残渣の強熱減量は、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)ガラス系充填材の混練押出後のペレットを用いても同等の結果が得られるため、ペレットまたは成形体のいずれかを選ぶことができる。
一例として、後述の実施例1の場合を用いて具体的に説明する。(D)残渣として31.00mgを用い、上述の(a)〜(d)を実施した。その際の重量としては、(b)の後においては30.94mg、(d)の後においては30.84mgであった。このことから、強熱減量(wt%)は、以下の式より、0.32wt%であると求めることができる。
(D)残渣の強熱減量は、ガラス系充填材への樹脂の密着性を表す値である。これは、耐久性、特に高トルク下での耐久性と相関しやすいため、(D)残渣の強熱減量を0.2wt%以上とすることで、ポリアセタール樹脂組成物の高トルク下での耐久性が得られる。
さらに、(A)ポリアセタール樹脂と(B)ガラス系充填材とを混練させる押出工程において、より長い時間(A)ポリアセタール樹脂と(B)ガラス系充填材とを、混練させる方法が有効である。より押出機の上流部より(B)ガラス系充填材を投入する方法もまた有効である。通常、押出における、(B)ガラス系充填材の投入は、(B)ガラス系充填材を破損させないために、より下流部から投入するのが一般的であるが、(D)残渣の強熱減量を高めるためには、上流部から投入することが好ましい。
これらの方法は単独、または、2種以上を組み合わせて行うことができる。単独の方法で(D)残渣の強熱減量を0.2wt%以上とすることは難しいことから、2種以上の方法を組み合わせることが好ましい。
(D’)残渣は、(C)ポリアセタール樹脂成形体を、蒸留水に浸漬させ、80℃で1週間保持後に、HFIPとクロロホルムとの1/1(体積比)混合溶媒を用いて溶解させた際の、未溶融分を言う。具体的には、(C)ポリアセタール樹脂成形体400mgを、50mLの蒸留水に浸漬させ、80℃で1週間加熱する。この水を除去し、真空乾燥により30℃、5時間乾燥させる。その後、HFIP25mLとクロロホルム25mLの混合溶媒に入れ、60℃で1時間加熱する。この上澄み溶液95%以上を除去し、得られた残渣を、HFIP5mLとクロロホルム5mLの混合溶媒に入れ、再び60℃で30分加熱し、上澄み溶液95%以上を除去する(洗浄工程)。該洗浄工程を計3回実施し、溶媒を含んだ残渣を得る。これを、真空乾燥により30℃、5時間乾燥させることで(D’)残渣を得る。
(D’)残渣の強熱減量は、ガラス系充填材への樹脂の密着の質を表す値である。これは、耐久性、特に低トルク、低荷重下での耐久性と相関しやすいため、(D’)残渣の強熱減量を0.2wt%以上とすることで、ポリアセタール樹脂組成物の低トルク、低荷重下での耐久性が得られる。
これらは単独、または、2種以上を組み合わせて行うことができる。単独の方法で、(D’)残渣の強熱減量を0.2wt%以上とすることは難しいことから、2種以上の方法を組み合わせることが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において使用することができる(A)ポリアセタール樹脂(以下、(A)成分と記載することがある。)について、以下、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(A)ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマー、架橋構造を有するポリアセタールコポリマー、ブロック成分を有するホモポリマーベースのブロックコポリマー、及びブロック成分を有するコポリマーベースのブロックコポリマーが挙げられる。
(A)ポリアセタール樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)ポリアセタール樹脂として、例えば、分子量の異なる組み合わせや、コモノマー量の異なるポリアセタールコポリマーの組み合わせ等も適宜使用可能である。
本実施形態においては、(A)ポリアセタール樹脂として、ブロックコポリマーを含むことが好ましい。
ポリアセタールコポリマーとして、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルとを、共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー、並びに、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーを用いることもできる。
ポリアセタールコポリマーは、ポリアセタールの繰り返し構造単位とは異なる異種のブロックを有するブロックコポリマーであってもよい。
R3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種を示す。
mは1〜6の整数を示し、1〜4の整数が好ましい。
nは1〜10000の整数を示し、10〜2500の整数が好ましい。
上記式(1)で表されるブロック成分は、アルコールのアルキレンオキシド付加物から水素原子を脱離した残基であり、上記式(2)で表されるブロック成分は、カルボン酸のアルキレンオキシド付加物から水素原子を脱離した残基である。
式(1)又は(2)で表されるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーは、例えば、特開昭57−31918号公報に記載の方法で調製できる。
pは2〜6の整数を示し、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。
q及びrはそれぞれ正の数を示し、qとrとの合計を100モル%とする場合に、qは2〜100モル%、rは0〜98モル%であり、−(CH(CH2CH3)CH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。
ブロックコポリマー中における式(1)、(2)又は(3)で表されるブロック成分の挿入量は特に限定されないが、ブロックコポリマーを100質量%としたとき、例えば、0.001質量%以上30質量%以下である。
成形体の曲げ弾性率を低下させない観点から、該ブロック成分の挿入量は30質量%以下とすることが好ましく、成形体の引張強度の観点から該ブロック成分の挿入量は0.001質量%以上であることが好ましい。
該ブロック成分の挿入量の下限値は、より好ましくは0.01質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%であり、よりさらに好ましくは1質量%である。
該ブロック成分の挿入量の上限値は、より好ましくは15質量%であり、さらに好ましくは10質量%であり、よりさらに好ましくは8質量%である。
該ブロック成分の分子量の下限値は特に限定されないが、100以上であることが、安定した摺動性を維持し続ける観点から好ましい。
ABA型ブロックコポリマーとは、式(3)で表されるブロック成分を有するブロックコポリマーであり、具体的には、ポリアセタールセグメントA(以下、Aと記す。)と、両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメントB(以下、Bと記す。)を、A−B−Aの順で構成させたブロックコポリマーのことを意味する。
式(1)、式(2)又は式(3)で表されるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーは、例えば、国際公開第2001/09213号に開示されたポリアセタールブロックコポリマーが挙げられ、該公報に記載の方法により調製できる。
ブロックコポリマーとしてABA型ブロックコポリマーを用いることで、(B)ガラス系充填材の表面との接着性が向上する傾向にある。その結果、成形体の引張破壊応力及び曲げ弾性率を増大させることが可能となる傾向にある。
該ブロックコポリマーの比率の下限値は、より好ましくは10質量%であり、さらに好ましくは20質量%であり、よりさらに好ましくは、25質量%である。
該ブロックコポリマーの比率の上限値は、より好ましくは90質量%であり、さらに好ましくは80質量%であり、よりさらに好ましくは75質量%である。
本実施形態の樹脂組成物における、当該ブロックコポリマーの比率は、1H−NMRや13C−NMR等により測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において使用することができる(B)ガラス系充填材(以下、(B)成分と記載することがある。)としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、及びガラスフレーク等が挙げられる。
ガラス繊維としては、例えば、チョップドストランドガラス繊維、ミルドガラス繊維、ガラス繊維ロービング等が挙げられる。中でも、チョップドストランドガラス繊維が、取扱い性及び成形体の機械的強度の観点から好ましい。
(B)ガラス系充填材は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チョップドストランドガラス繊維の場合、平均繊維径は、例えば、7μm以上15μm以下である。
該平均繊維径が上記範囲内にあることで、成形体の表面が平滑となり、摺動性の低下を抑制することができる。また、成形体の耐クリープ性を高めることができるとともに、成形時の金型表面の削れ等を防止することができる。
該平均繊維径の下限値は、好ましくは8μmであり、より好ましくは9μmである。
該平均繊維径の上限値は、好ましくは14μmであり、より好ましくは12μmである。
ガラス繊維は、繊維径の異なるガラス繊維を2種以上ブレンドして用いてもよい。
サイジング剤としては、具体的には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及び酸成分等が挙げられる。中でも、少なくとも1種の酸成分を有するサイジング剤を含むことが好ましい。
酸成分としては、例えば、カルボン酸含有不飽和ビニル単量体の単独重合体;カルボン酸含有不飽和ビニル単量体及び該カルボン酸含有不飽和ビニル単量体以外の不飽和ビニル単量体を構成単位として含む共重合体;並びに、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体及び該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体以外の不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体等のカルボン酸成分が挙げられる。中でも、カルボン酸含有不飽和ビニル単量体及び該カルボン酸含有不飽和ビニル単量体以外の不飽和ビニル単量体を構成単位として含む共重合体を用いることがより好ましい。
サイジング剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸含有不飽和ビニル単量体として、アクリル酸を用いることで、機械的強度、耐久性をより向上させることができる。
カルボン酸含有不飽和ビニル単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体として、具体的には、マレイン酸又はイタコン酸の無水物等が挙げられる。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体は、1種を単独でも用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記酸成分は、アクリル酸を含む成分であることが好ましい。
なお、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)ガラス系充填材の混練押出後のペレットを用いても同様に、酸成分を検出することができる。
カップリング剤は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
カップリング剤としては、具体的には、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機アルミネート化合物等が挙げられる。
カップリング剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルメトキシシランが好ましい。ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランが、経済性と樹脂組成物の熱安定性の観点より好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(E)重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂(以下、(E)ポリエチレン樹脂又は(E)成分と記載することがある。)をさらに含むことが好ましい。
(E)ポリエチレン樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重量平均分子量が50万以下であることにより、(A)ポリアセタール樹脂と(B)ガラス系充填材とを、混練させる工程において、不要なシェア発熱を抑え、密着の質を高めやすくなる。これにより、低荷重下での耐久性向上や、金属摺動後の摩耗を低く抑えることが可能となる。
(E)ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万以上40万以下であり、より好ましくは1.5万以上30万以下であり、さらに好ましくは2万以上20万以下であり、よりさらに好ましくは3万以上15万以下である。
次に、未溶融残渣分をトリクロロベンゼン(以下、TCBと略す。)に140℃で溶解させ、ろ過することでガラス系充填材をろ別する。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)で測定する。用いるカラムとしては、昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続する。移動相としてTCBを用い、試料濃度は20〜30mg(ポリエチレン樹脂)/20ml(TCB)とする。カラム温度を140℃、流量は1.0ml/分とし、示差屈折計を検出器として用い、測定を行う。
重量平均分子量の算出は、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略す。)を標準物質として用いて算出する。この際のPMMA標準物質は数平均分子量として、2,000程度から1,000,000程度の範囲で、少なくとも4サンプルを用いる。
該含有量を0.5質量部以上とすることにより、(E)ポリエチレン樹脂の配合による効果を得られやすい。
該含有量を8質量部以下とすることで、(E)ポリエチレン樹脂由来の機械的強度の低下を抑制できる。
次に、ポリアセタール樹脂組成物又は成形体に含まれるポリアセタール樹脂を塩酸分解し、残渣から先に求めた(B)ガラス系充填材の配合比を引いたものが(E)ポリエチレン樹脂の含有量である。なお、状況に応じ、IR等で他の成分の有無を確認し、追加除去操作をしてもよい。
中でも、押出時の温度制御と、物性のバランスの観点から、低密度ポリエチレンが好ましい。
Tmが115℃以下であることにより、成形時に、(E)ポリエチレン樹脂は成形体表面に偏在しやすく、(E)ポリエチレン樹脂由来の物性低下を抑制できる。
(E)ポリエチレン樹脂のTmは、ポリアセタール樹脂組成物の試料、又は成形体から切り出した試料4〜6mgを用い、示差走査熱量測定(DSC)で、10℃/分の昇温をした際に得られる吸熱のピーク値を用いる。ポリアセタール樹脂組成物の試料、及び、成形体から切り出した試料は、プレス等で薄片化することが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(F)ホルムアルデヒド捕捉剤を含むことが好ましい。(F)ホルムアルデヒド捕捉剤としては、具体的には、メラミン、ポリアミド系樹脂等のホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩、ヒドラジド化合物等が挙げられる。
また、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体としては、例えば、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体としては、例えば、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体等が挙げられる。
さらに、ホルムアルデヒド反応性窒素を有する重合体又は化合物としては、例えば、アミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、尿素、尿素誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物も挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジンが挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロールメラミン、N,N'−ジメチロールメラミン、N,N',N"−トリメチロールメラミンが挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
前記尿素誘導体としては、例えば、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物が挙げられる。
前記N−置換尿素の具体例としては、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アリール置換尿素が挙げられる。
前記尿素縮合体の具体例としては、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体が挙げられる。
前記ヒダントイン化合物の具体例としては、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントインが挙げられる。
前記ウレイド化合物の具体例としては、アラントインが挙げられる。
前記イミド化合物の具体例としては、スクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドが挙げられる。
これらのホルムアルデヒド反応性窒素を有する重合体又は化合物は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ヒドラジド化合物としては、例えば、ヒドラジン;ヒドラジン水和物;コハク酸モノヒドラジド、グルタル酸モノヒドラジド、アジピン酸モノヒドラジド、ピメリン酸モノヒドラジド、スペリン酸モノヒドラジド、アゼライン酸モノヒドラジド、セバシン酸モノヒドラジド等のカルボン酸モノヒドラジド;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド等の飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等の芳香族カルボン酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド;トリマー酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ベンゼントリカルボン酸トリヒドラジド、ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド等のトリヒドラジド;ピロメリット酸テトラヒドラジド、ナフトエ酸テトラヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド等のテトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラート)と反応させることにより得られるポリヒドラジド等のポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれらから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジン及び/又は上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;上記ポリイソシアネート化合物とポリエーテルポリオール類又はポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に、上記のいずれかのジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;上記多官能セミカルバジドと上記水系多官能セミカルバジドとの混合物;ビスアセチルジヒドラゾン等が挙げられる。
飽和脂肪族カルボン酸ヒドラジドとしては、例えば、コハク酸モノヒドラジド、グルタル酸モノヒドラジド、アジピン酸モノヒドラジド、ピメリン酸モノヒドラジド、スペリン酸モノヒドラジド、アゼライン酸モノヒドラジド、セバシン酸モノヒドラジド等のカルボン酸モノヒドラジド;コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド等のカルボン酸ジヒドラジドが挙げられる。
0.01質量部未満であると、ホルムアルデヒドの放出量が増加する傾向にあり、5質量部よりも多いと、自動車用部品の製造において、金型でのモールドデポジットの生成やしやすくなる傾向にある。
上記ポリアセタール樹脂100質量部に対して、上記ヒドラジド化合物は、0.03〜0.2質量部であることが好ましく、0.04〜0.2質量部であることがより好ましく、0.05〜0.1質量部であることがさらに好ましい。
なお、得られるポリアセタール樹脂組成物中には、カルボン酸ジヒドラジドからの反応生成物が含まれてもよい。そのような反応生成物としては、たとえば、カルボン酸ジヒドラジドとホルムアルデヒドとの反応生成物が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(G)耐候剤を含むことが好ましい。(G)耐候剤としては、具体的には、ヒンダードアミン系安定剤や紫外線吸収剤等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、ヒンダードアミン系安定剤0.01〜5質量部および/または紫外線吸収剤0.01〜5質量部、をさらに含むことが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部のヒンダードアミン系安定剤を含有することが好ましい。ヒンダードアミン系安定剤としては、特に限定されないが、例えば、立体障害性基を有するピペリジン誘導体が挙げられる。立体障害性基を有するピペリジン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、エステル基含有ピペリジン誘導体、エーテル基含有ピペリジン誘導体及びアミド基含有ピペリジン誘導体が挙げられる。本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、特定量のヒンダードアミン系安定剤を含むことにより、特に、流動性、成形体の耐衝撃性などの機械的特性、及び耐候性(光安定性)に優れたものとなる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部の紫外線吸収剤を含有することが好ましい。上記特定量の紫外線吸収剤を含有することにより、そのポリアセタール樹脂組成物から得られる成形品(例えば、自動車部品)は、耐候性(光安定性)が向上する。紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒドロキシフェニル−1,3,5−トリアジン系化合物が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ポリアセタール樹脂組成物に使用されている各種安定剤を含んでもよい。
安定剤としては特に限定されないが、具体的には、酸化防止剤、ギ酸の捕捉剤等が挙げられる。
安定剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、成形体の熱安定性向上の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものが適宜使用可能である。
酸化防止剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下が好ましい。
より具体的には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、脂肪酸カルシウム塩(ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム等)等が挙げられる。これらの脂肪酸は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。
ギ酸の捕捉剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、ホルムアルデヒド、ギ酸の捕捉剤であるホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体が0.1質量部以上3質量部以下、アルカリ土類金属の脂肪酸塩が0.1質量部以上1質量部以下の範囲であると好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂の成形体は、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂組成物に使用されている公知の、ガラス系充填材以外の充填材(タルク、ウォラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム等)、導電性付与剤(カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等)、着色剤(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、有機染料等)、摺動付与剤(各種エステル系化合物、有機酸の金属塩等)、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材等の各種安定剤も含有することができる。
その他の成分の添加量は、ガラス繊維以外の充填材、導電性付与剤、着色剤については、ポリアセタール樹脂を100質量%とした場合に、好ましくは30質量%以下であり、摺動付与剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材については、ポリアセタール樹脂100質量%に対して、好ましくは5質量%以下である。
その他の成分は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の成形体は、公知の方法による製造することができる。具体的には、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等により、以下のように原料成分を混合及び溶融混練し、成形することにより製造することができる。中でも、減圧装置・サイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が好ましく使用できる。
(E)成分を配合する場合には、押出機の途中から添加することもできるが、メインスロート部から供給することが好ましい。
このような製法を取ることで、樹脂温度上昇を抑え、密着の質を向上する効果が得られる。
重量減少率を0.15%以下にする方法として、成形直前にポリアセタール樹脂組成物ペレットを100℃、2時間の乾燥を行ってから用いる方法や、押出時にストランドの温度を100℃以上になるように、ストランドバス温度、ストランドバスの浸漬長を管理し、その後、製品タンク内に除湿エアを供給し、さらには吸湿防止のポリエチレン内袋付の紙袋を使用することで、前記のポリアセタール樹脂組成物ペレットを準備することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、機械的強度及び耐久性が要求される成形体の原料として使用することができる。
本実施形態の成形体は自動車用部品として好適に使用でき、特に他の部材と接触するギアやプーリーとしての役割を担う部品に好適に使用できる。
これら以外にも、ポリアセタール樹脂の用途として公知の用途に適用できる。具体的には、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け、戸車、ガイド等に代表される機構部品;アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、自動車部品として、ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、ウインドウレギュレータワイヤードラム、スピーカーグリル、ガラスホルダー等に代表されるドア廻り部品;シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品、スイッチ類、クリップ類等の部品ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、プリンター、及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品;デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ等の映像機器用部品;CD、DVD、Blu−ray(登録商標) Disc、その他光デイスクのドライブ;ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器、携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品;電気機器用部品;電子機器用部品等に適用できる。また、その他用品として筆記具のペン先、芯を出し入れする機構部品;洗面台、排水口、排水栓開閉機構部品;衣料用のコードストッパー、アジャスター、ボタン;散水用のノズル、散水ホース接続ジョイント;階段手すり部、及び床材の支持具である建築用品;玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機(開閉部ロック機構、商品排出機構部品)、家具、楽器、住宅設備機器部品等が挙げられる。
実施例及び比較例で用いたポリアセタール樹脂組成物及び成形体の製造条件と評価項目は以下のとおりである。
(製法1)
スクリュー径Dに対するスクリュー長さLの比(L/D)=48(バレル数12)であり、第6バレルと第8バレルにサイドフィーダーを有し、第11バレルに真空ベントを備えた同方向回転二軸押出機(東芝機械(株)製TEM−48SS押出機)を用いた。第1バレルを水冷し、第2〜5バレルを210℃、第6〜12バレルを180℃に設定した。
押出に用いたスクリューは以下のデザインとした。第1〜4バレルの位置にフライトスクリュー(以下、FSと略す。)を配し、第5バレルの位置に送り能力を有するニーディングディスク(以下、RKDと略す。)2枚、送り能力のないニーディングディスク(以下、NKDと略す。)2枚、及び逆方向への送り能力を有するニーディングディスク(以下、LKDと略す。)1枚をこの順に配した。第6〜第8バレルの位置にFSを配し、第9バレルの位置にRKDとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配した。
ガラス系充填材を第6バレルのサイドフィーダーより供給し、スクリュー回転数150rpmとし、総押出量を70kg/hとして押出を行った。
ガラス系充填材を第8バレルのサイドフィーダーより供給とした他は、製法1と同じ条件で押出を行った。
第9バレルの位置に順ネジ切欠きスクリュー36/36/TとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配した他は、製法1と同じ条件で押出を行った。
第6バレルを210℃に設定した他は、製法3と同じ条件で押出を行った。
用いたポリアセタール樹脂の20%を第8バレルのサイドフィーダーより供給した他は、製法4と同じ条件で押出を行った。
用いたポリアセタール樹脂の35%を第8バレルのサイドフィーダーより供給した他は、製法4と同じ条件で押出を行った。
用いたポリアセタール樹脂の50%を第8バレルのサイドフィーダーより供給した他は、製法4と同じ条件で押出を行った。
第9バレルの位置に順ネジ切欠きスクリュー36/36/TとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配した他は、製法4と同じ条件で押出を行った。
第9バレルの位置に順ネジ切欠きスクリュー36/36/TとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配し、用いたポリアセタール樹脂の20%を第8バレルのサイドフィーダーより供給した他は、製法4と同じ条件で行った。
第11バレルの真空ベントの真空度を−0.08MPaとした他は、製法9と同じ条件で行った。
製法10で作成したペレットを、成形直前に100℃で2時間乾燥させてから用いた。
スクリュー径Dに対するスクリュー長さLの比(L/D)=52(バレル数13)であり、第6バレルと第9バレルにサイドフィーダーを有し、第11バレルに真空ベントを備えた同方向回転二軸押出機(コペリオン(株)製ZSK45MC18押出機)を用いた。第1バレルを水冷し、第2〜6バレルを210℃、第7〜13バレルを180℃に設定した。
押出に用いたスクリューは以下のデザインとした。第1〜4バレルの位置にフライトスクリュー(以下、FSと略す。)を配し、第5バレルの位置に送り能力を有するニーディングディスク(以下、RKDと略す。)2枚、送り能力のないニーディングディスク(以下、NKDと略す。)2枚、及び逆方向への送り能力を有するニーディングディスク(以下、LKDと略す。)1枚をこの順に配した。第6〜第9バレルの位置にFSを配し、第10バレルの位置にSMEとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配した。用いたポリアセタール樹脂の20%を第8バレルのサイドフィーダーより供給した。また、第11バレルの真空ベントの真空度を−0.08MPaとした。更に、総押出量を70kg/hのまま、スクリュー回転数を100rpmに下げることで、より長時間押出機内で滞留させ、かつ不要な発熱をおさえた押出を行った。
射出成形機(EC−75NII、東芝機械(株)製)を用いて、シリンダー温度設定を205℃に設定し、射出時間35秒、冷却時間15秒の射出条件で成形することにより、ISO294−2に準拠した小型引張試験片形状の成形体を得た。金型温度は90℃とした。ISO294−2に準拠した小型引張試験片形状の成形体を下記(3)、(5)及び(9)の各測定において用いた。
また、JIS K7139−5Aに準拠した小型引張試験片形状の成形体を得た。金型温度は90℃とした。JIS K7139−5Aに準拠した小型引張試験片形状の成形体を下記(6)クリープ破断時間の測定に用いた。
さらに、射出成形機(FANUC Roboshot(登録商標)i50B型、ファナック(株)製)を用いて、シリンダー温度設定を200℃に設定し、射出圧力及び保圧は100MPa、金型温度80℃の条件で成形し、樹脂製歯車(直径φ50mm、モジュール=1.0、歯数=50、歯幅8mm、幅1.5mmのリム部を有する平歯車)を射出成形により製造し、下記(4)の測定において用いた。
上記(2)で得られた成形体を用い、ISO527−1に準拠して、引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張破壊応力を測定した。
歯車耐久試験機(高トルクギア耐久試験機NS−1、(有)中川製作所製)を用いて、樹脂製歯車の耐久性を測定した。
金属歯車(直径φ50mm、モジュール=1.0、歯数=50、歯幅20mm)を相手歯車とし、一定の作動トルクを付加し、樹脂製歯車が破壊するまでの時間(時間:hour)を測定した。
高荷重ギア耐久性は、作動トルクを19.1N・mで行った。回転数は1000rpmとした。試験は23℃、湿度50%の恒温室にて行った。樹脂製歯車が破壊するまでの時間が長いほど、ギア耐久性が良好と判断した。
一方、低荷重ギア耐久性は、作動トルクを5.0N・mで行い、他の条件は高荷重ギア耐久性と同様に行った。
上記(2)で得られた成形体を用いて、ボールオンディスク型往復動摩擦摩耗試験機(AFT−15MS型、東洋精密(株)製)により対SUS304ボール耐摩耗深さ及び対SUS304ボール動摩擦係数を測定した。23℃、湿度50%の環境下で、荷重19.6N、線速度30mm/秒、往復距離20mm、往復回数5,000回の条件で、摺動試験を行った。ボール材料は、SUS304ボール(直径5mmの球)を用いた。摺動試験後のサンプルの摩耗量(摩耗深さ)を、共焦点顕微鏡(OPTELICS(登録商標)H1200、レーザーテック(株)社製)を用いて測定した。対SUS304ボール摩耗深さはn=5で測定した数値の平均値とした。数値が低い方が耐摩耗性に優れる。
(1)押出時に、トップの原料として、さらに着色剤としてカーボンブラック0.5wt%を配合させて混練させた。カーボンブラックの有無のそれぞれについてサンプルを(3)の引張試験を行い、カーボンブラック無サンプルの引張破壊応力/カーボンブラック有サンプルの引張破壊応力×100を着色後の物性保持率(%)とした。
(1)押出後のペレット400mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)25mLとクロロホルム25mLの混合溶媒に入れ、60℃で1時間加熱した。この上澄み溶液を95%以上除去した。得られた残渣を、HFIP5mLとクロロホルム5mLの混合溶媒に入れ、再び60℃で30分加熱し、上澄み溶液を95%以上除去した(洗浄工程)。該洗浄工程を計3回実施し、溶媒を含んだ残渣を得た。これを、真空乾燥により、30℃、5時間乾燥させることで(D)残渣を得た。
(D)残渣の強熱減量は、熱重量分析(TGA)にて算出した。装置としては、パーキンエルマー社製のPris1 TGAを用い、条件としては、(D)残渣30〜50mgを用い、以下の(a)〜(d)の温度プロファイルでの加熱を実施した。
(a)昇温速度30℃/分にて50〜105℃に昇温した。
(b)105℃で30分保持した。
(c)昇温速度30℃/分にて105〜625℃に昇温した。
(d)625℃で30分保持した。
強熱減量は、(b)の質量から、(d)の質量を差し引いたものを、測定に用いた(D)残渣の質量で除したものを100倍したものである。
(1)押出後のペレット400mgを、50mLの蒸留水に浸漬させ、80℃で1週間加熱した。この水を除去し、真空乾燥により30℃、5時間乾燥させた。その後、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)25mLとクロロホルム25mLの混合溶媒に入れ、60℃で1時間加熱した。この上澄み溶液を95%以上除去した。得られた残渣を、HFIP5mLとクロロホルム5mLの混合溶媒に入れ、再び60℃で30分加熱し、上澄み溶液を95%以上除去した(洗浄工程)。該洗浄工程を計3回実施し、溶媒を含んだ残渣を得た。これを、真空乾燥により、30℃、5時間乾燥させることで(D’)残渣を得た。
(D’)残渣の強熱減量は、熱重量分析(TGA)にて算出した。装置としては、パーキンエルマー社製のPris1 TGAを用い、条件としては、(D’)残渣30〜50mgを用い、以下の温度プロファイルでの加熱を実施した。
(a)昇温速度30℃/分にて50〜105℃に昇温した。
(b)105℃で30分保持した。
(c)昇温速度30℃/分にて105〜625℃に昇温した。
(d)625℃で30分保持した。
強熱減量は、(b)の質量から、(d)の質量を差し引いたものを、測定に用いた(D’)残渣の質量で除したものを100倍したものである。
上記(2)で得られた成形体を用い、蒸留水に浸漬させ、80℃で1週間加熱した。その後、ISO527−1に準拠して、引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張破壊応力を測定し、(3)で測定した引張破壊応力を基準とした強度保持率を求めた。
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8(L:重合機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合機の内径(m)。以下、同じ。))を80℃に調整した。前記重合機に、トリオキサンを4kg/時間、コモノマーとして1,3−ジオキソランを128.3g/時間(トリオキサン1molに対して、3.9mol%)、連鎖移動剤としてメチラールを得られるポリアセタール樹脂の数平均分子量が60,000になるような量で添加した。
さらに、前記重合機に、重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10−5molで連続的に添加し重合を行った。
重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行った。
重合触媒の失活を行ったポリアセタールコポリマーを、遠心分離機でろ過し、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後、120℃で乾燥した。ここで、水酸化コリン蟻酸塩の添加量は、窒素量に換算して20質量ppmとした。なお、水酸化コリン蟻酸塩の添加量の調整は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行った。
乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給した。押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で、ポリアセタールコポリマーの不安定末端部分の分解除去を行った。
不安定末端部分が分解されたポリアセタールコポリマーに、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.3質量部を添加し、ベント付き押出機で真空度20Torrの条件下で脱揮しながら、押出機ダイス部よりストランドとして押出し、ペレタイズした。
このようにしてポリアセタール樹脂(A1)を得た。また、ポリアセタール樹脂(A1)のJIS K7210(190℃,2.16kg条件)に基づくMFRは10g/10分であり、末端OH基の濃度は、1.6mmol/kgであった。
(A1)の方法において、連鎖移動剤としてエチレングリコールを用い、かかるエチレングリコールをトリオキサン1モルに対し1×10−3モルとした。このようにしてポリアセタール樹脂(A2)を得た。また、ポリアセタール樹脂(A2)のJIS K7210(190℃,2.16kg条件)に基づくMFRは10g/10分であり、末端OH基の濃度は、4.5mmol/kgであった。
(A1)の方法において、連鎖移動剤としてエチレングリコールを用い、かかるエチレングリコールをトリオキサン1モルに対し、3×10−3モルとした。このようにしてポリアセタール樹脂(A3)を得た。また、ポリアセタール樹脂(A3)のJIS K7210(190℃,2.16kg条件)に基づくMFRは35g/10分であり、末端OH基の濃度は、14.5mmol/kgであった。
(A1)の方法で、連鎖移動剤としてエチレングリコールを用い、かかるエチレングリコールをトリオキサン1モルに対し、1.0×10-2モルとした。このようにしてポリアセタール樹脂(A4)を得た。また、ポリアセタール樹脂(A4)のJIS K7210(190℃,2.16kg条件)に基づくMFRは70g/10分であり、末端OH基の濃度は、60.0mmol/kgであった。
ポリアセタールブロックコポリマーは、次のようにして調製した。
熱媒を通すことのできるジャケット付きの2軸パドル型連続重合機を80℃に調整した。トリオキサンを40モル/時間、環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを2モル/時間、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し5×10−5モルとなる量、連鎖移動剤として下記式(5)で表される両末端ヒドロキシル基水素添加ポリブタジエン(数平均分子量Mn=2,330)をトリオキサン1モルに対し1×10−3モルになる量で、上記重合機に連続的に供給し重合を行った。
得られた粗ポリアセタールブロックコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物(日本国特許第3087912号公報に記載)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した。第4級アンモニウム化合物の添加量は、窒素量に換算して20質量ppmとした。これをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールブロックコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加した。押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で、ポリアセタールブロックコポリマーの不安定末端部分の分解除去を行った。
不安定末端部分の分解されたポリアセタールブロックコポリマーに、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.3質量部を添加し、ベント付き押出機で真空度20Torrの条件下で脱揮しながら、押出機ダイス部よりストランドとして押出し、ペレタイズした。
このようにして得られたポリアセタールブロックコポリマーを、(A5)ポリアセタールブロックコポリマーとした。このブロックコポリマーは、ABA型ブロックコポリマーであり、JIS K7210(190℃,2.16kg条件)に基づくMFRは15g/10分であり、末端OH基の濃度は、4.3mmol/kgであった。
(B1)日本国特許第4060831号公報の製造例1記載の被膜形成剤(アクリル酸とアクリル酸メチルの共重合体を含有する)等で処理したガラス繊維。
(B2)日本国特許第4060831号公報の製造例1記載の方法を用い、被膜形成剤としてポリマレイン酸単独で処理したガラス繊維。
(B3)日本国特開2009−7179号公報の試料No.1記載の被膜形成剤(酸を含有しない)で処理したガラス繊維。
(B4)日本国特許第4060831号公報の製造例1記載の被膜形成剤(アクリル酸とアクリル酸メチルの共重合体を用いず、さらにエポキシドをポリマーバインダーとして用いる)等で処理したガラス繊維。
(E1)旭化成(株)製 サンテック(登録商標)LD L1850A
重量平均分子量13.2万、Tm=107℃、密度918kg/m3
(E2)旭化成(株)製、サンテック(登録商標)HD J240
重量平均分子量7.3万、Tm=127℃、密度966kg/m3
(E3)旭化成(株)製 サンファイン(登録商標) BM840
重量平均分子量32.4万、Tm=126℃、密度931kg/m3
(E4)旭化成(株)製 サンファイン(登録商標) UH901
分子量(粘度法) 330万、Tm=136℃、密度940kg/m3
なお、(E4)は分子量が高く、トリクロロベンゼンに溶けない成分が含まれており、GPCによる分子量測定ができなかっため、JIS K7367−3に準拠した粘度法により分子量を測定した。
各成分がそれぞれ表1〜表3に記載の割合となるよう押出を行って樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、上記条件にて成形を行って成形体を製造した。各物性を評価した結果を表1〜表3に示す。
実施例1〜6と比較例1とを対比すると、(D)残渣の強熱減量が0.20wt%以上であることで、引張破壊応力だけでなく、高負荷でのギア耐久性や対金属(SUS)摺動性にも優れることがわかった。
実施例1、9と比較例5、6とを対比すると、(D)残渣の強熱減量は、(B)ガラス系充填材のサイジング剤として、酸成分であるポリアクリル酸やポリマレイン酸を含有することで増加し、特にポリアクリル酸を含む場合に最も効果が得られ、(D)残渣の強熱減量増加による高性能化が見られた。
実施例1と比較例7とを対比すると、(B)ガラス系充填材のサイジング剤の処理工程が、(D)残渣の強熱減量に影響を及ぼすことがわかり、(D)残渣の強熱減量が高いほど高性能化が見られた。
実施例1、2、7、8を対比すると、(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度がほぼ同程度の濃度であっても、ポリアセタール樹脂中に特定のブロック成分を入れることで、(D)残渣の強熱減量は増加し、高性能化が見られた。
実施例1、2と比較例2、3とを対比すると、(B)ガラス系充填材は多いほど、対金属摺動は低下するものの、引張破壊応力は向上した。一方、ギア耐久性においては(B)ガラス系充填材は適度な量で、最も向上効果が得られた。
実施例14〜32に示されるように、製法2〜12により押出した場合にも、引張破壊応力が高く、高負荷及び低負荷でのギア耐久性に優れることがわかった。
以上のとおり、(A)、(B)、(E)成分、及び各種製法の組み合わせにより、(D)残渣の強熱減量を高めることにより、性能向上が見られることがわかった。
Claims (13)
- (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス系充填材10質量部以上100質量部以下と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
前記(B)ガラス系充填材のサイジング剤として少なくとも1種の酸成分を含み、
該ポリアセタール樹脂組成物からなる(C)ポリアセタール樹脂成形体を下記工程(1)〜(4)にて処理し、
残った(D)残渣において、熱重量分析(TGA)を用いて下記条件(a)〜(e)にて算出した強熱減量が0.2wt%以上であり、
前記(C)ポリアセタール樹脂成形体を、80℃の熱水に1週間浸漬させたのちに、前記工程(1)〜(4)にて処理し、残った(D’)残渣の強熱減量が0.25wt%以上である、
ポリアセタール樹脂組成物。
(1)前記(C)ポリアセタール樹脂成形体を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)とクロロホルムとの1/1(体積比)混合溶媒に入れ、60℃で1時間加熱して溶解させる。
(2)溶液の上澄み溶液を除去し、得られた残渣を、HFIPとクロロホルムとの1/1(体積比)混合溶媒に入れ、再び60℃で30分加熱し、上澄み溶液を除去する。
(3)前記工程(2)を計3回実施し、溶媒を含んだ残渣を得る。
(4)前記溶媒を含んだ残渣を、真空乾燥により30℃にて5時間乾燥させることで(D)残渣を得る。
(a)昇温速度30℃/分にて50〜105℃に昇温する。
(b)105℃で30分保持する。
(c)昇温速度30℃/分にて105〜625℃に昇温する。
(d)625℃で30分保持する。
(e)前記(b)終了後の質量から前記(d)終了後の質量を差し引いた値を、測定に用いた(D)残渣の質量で除し、100倍した値(wt%)を強熱減量とする。 - 前記(D)残渣の強熱減量が0.3wt%以上である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記酸成分がカルボン酸成分である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記酸成分がアクリル酸を含む成分である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度が2mmol/kg以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度が2mmol/kg以上100mmol/kg以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアセタール樹脂の末端OH基濃度が2mmol/kg以上15mmol/kg以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアセタール樹脂がブロック成分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記ブロック成分が水素添加ポリブタジエン成分である、請求項8に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (E)重量平均分子量が50万以下のポリエチレンをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(E)重量平均分子量が50万以下のポリエチレンの融点が115℃以下である、請求項10に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
- 成形直前のポリアセタール樹脂組成物を105℃、3時間で加熱した後の、該成形直前のポリアセタール樹脂組成物からの重量減少率が0.15%以下である、請求項12に記載のポリアセタール樹脂成形体。
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