JP2019104775A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた薄肉成形性と高い摺動性とを同時に満足する、樹脂組成物、成形体を提供する。【解決手段】(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス繊維10質量部以上55質量部以下と、(C)ポリエチレン樹脂0.1質量部以上5質量部以下とを含み、かつ(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が15g/10分以上100g/10分以下であり、前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイトに対する前記(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)の比が0.1以上2.0以下であることを特徴とする、樹脂組成物、及び、該樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的強度、耐薬品性、摺動性、耐摩耗性のバランスに優れ、かつ、容易に加工することができる。そのため、ポリアセタール樹脂は、代表的なエンジニアリングプラスチックスの一つとして、電気機器の機構部品、自動車部品、及びその他の部品などに、広範囲に亘って用いられている。
また、近年の自動車における燃費向上の流れなどを受け、ポリアセタール樹脂からなる部品に対しても、薄肉化による軽量化が求められ、電子機器に対しても、薄肉化が求められている。この点に関し、薄肉化が達成されたとしても、従来と同等以上の性能(剛性、摺動性、熱安定性など)が担保されていることが重要である。
例えば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂と、所定の範囲の繊維径及び繊維長であるガラス繊維とを含み、かつメルトフローレイトが所定の範囲にある樹脂成形体が、優れた薄肉成形性と高いクリープ性とを同時に満足できると開示されている。
また、特許文献2には、所定の範囲のコモノマー成分を有するポリアセタール樹脂と、少なくとも1種のカップリング剤とを含む成形体が、優れた機械的性質や高い熱変形温度を満足できると開示されている。
特開2016−89033号公報 国際公開第2014/097270号
しかしながら、薄肉成形体用に樹脂組成物の流動性を高めると、成形体の摺動性が不安定になりやすくなる。また、摺動剤として超高分子量ポリエチレンなどを用いると、高い摺動性は得られるものの、摺動初期に摺動効果が得られにくいという課題があった。
そこで、本発明は、優れた薄肉成形性と高い摺動性とを同時に満足する、樹脂組成物、及び樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するため鋭意検討した結果、メルトフローレイトが特定範囲であるポリエチレン樹脂を含み、かつポリアセタール樹脂のメトロフローレイトとポリエチレン樹脂のメルトフローレイトとの比率が特定の範囲である樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス繊維10質量部以上55質量部以下と、(C)ポリエチレン樹脂0.1質量部以上5質量部以下とを含み、
前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が10g/10分以上100g/10分以下であり、
前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイトに対する前記(A)ポリアセタール樹脂のメトロフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)の比が0.1以上2.0以下である、ことを特徴とする、樹脂組成物。
[2]メルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が8g/10分以上である、[1]記載の樹脂組成物。
[3]前記(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイトが10g/10分以上100g/10分以下である、[1]又は[2]の何れか一つに記載の樹脂組成物。
[4]前記(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度が、1.5mol%以下である、[1]〜[3]の何れか一つに記載の樹脂組成物。
[5]前記(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度が、0mol%以上1.0mol%以下である、[1]〜[4]の何れか一つに記載の樹脂組成物。
[6][1]〜[5]の何れか一つに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂成形体。
[7]厚みが1mm以下である、[6]記載の樹脂成形体。
[8]電気機器用部品又は電子機器用部品として用いられる、[7]に記載の樹脂成形体。
本発明によれば、優れた薄肉成形性と高い摺動性とを同時に満足する、樹脂組成物、及び樹脂成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物(以下「ポリアセタール樹脂組成物」ともいう。)は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス繊維10質量部以上55質量部以下と、(C)ポリエチレン樹脂0.1質量部以上5質量部以下とを含み、前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が10g/10分以上100g/10分以下であり、前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイトに対する前記(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)の比が0.1以上2.0以下である。また、本実施形態の樹脂成形体は、上述した成分に加え、摺動剤、安定剤、その他の成分などを含むことができる。
本実施形態の樹脂組成物は、メルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)(以下、単にMFRともいう。)が、8g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは10g/10分以上である。樹脂組成物のMFRをこの範囲とすることで、薄肉成形性を高めることができる。樹脂組成物のMFRの上限値は、特に限定されないが、成形時の熱安定性の観点から30g/10分以下とすることが好ましい。
なお、MFRは流動性の大きさの指標の一つであり、樹脂組成物のMFRは、例えば、樹脂組成物又はこれを含む樹脂成形体を細かく切り出し、ペレット状のサンプルとしたものを、上述の規格及び条件に準拠して測定することにより、確認することができる。
<(A)ポリアセタール樹脂>
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(A)ポリアセタール樹脂(本明細書において、(A)成分、(A)と記載する場合がある。)について、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(A)ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマーが挙げられる。
具体的に、ポリアセタールホモポリマーとしては、ホルムアルデヒドの単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られるポリアセタールホモポリマーが挙げられる。
具体的に、ポリアセタールコポリマーとしては、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、コモノマーとしての環状エーテル又は環状ホルマールとを、共重合させて得られるポリアセタールコポリマーが挙げられる。ここで、環状エーテル又は環状ホルマールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等が挙げられる。
また、ポリアセタールコポリマーとしては、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、コモノマーとしての単官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる、分岐を有するポリアセタールコポリマー、並びに、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、コモノマーとしての多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる、架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも挙げられる。
更に、(A)ポリアセタール樹脂は、ポリアセタールの繰り返し構造単位(すなわち、オキシメチレン単位)とは異なる異種のブロック成分をコモノマー成分として有するブロックコポリマーを含んでもよい。このブロックコポリマーは、ブロック成分を有するホモポリマーベースのブロックコポリマーであってもよく、ブロック成分を有するコポリマーベースのブロックコポリマーであってもよい。
(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)は、10g/10分以上100g/10分以下であることが好ましい。より好ましくは、15g/10分以上90g/10分以下、更に好ましくは20g/10分以上80g/10分以下である。(A)ポリアセタール樹脂のMFRがこのような範囲にあることで、高い薄肉成形と高い摺動性を両立しやすい。
(A)ポリアセタール樹脂のMFRは、上述の規格及び条件に準拠して測定することができる。
(A)ポリアセタール樹脂が樹脂組成物又は樹脂成形体に含まれている場合は、樹脂組成物又は樹脂成形体から(A)ポリアセタール樹脂を単離して、上述の規格及び条件に準拠して測定することにより、確認することができる。例えば、樹脂組成物又は樹脂成形体の一部を切り出し、HFIPに浸漬して可溶成分を溶解させた後、溶液から溶媒としてのHFIPを蒸発除去して、(A)ポリアセタール樹脂を単離することができる。
なお、可溶成分に安定剤や滑剤などが含まれる場合は、必要に応じて分離して測定する。
(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度は、上限値が1.5mol%以下が好ましく、より好ましくは1.2mol%以下、更に好ましくは1.0mol%以下であり、下限値は0.0005mol%以上が好ましく、より好ましくは0.001mol%以上であり、更に好ましくは0.002mol%以上である。(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度がこのような範囲にあることで、薄肉成形を行っても所望の機械物性を維持しやすい。
ここで、(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度とは、(A)ポリアセタール樹脂を構成する全ユニットにおける、オキシメチレンユニット以外の全コモノマーユニットの含有率を意味する。(A)ポリアセタール樹脂を構成するコモノマーユニットは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、(A)ポリアセタール樹脂がポリアセタールホモポリマーである場合、コモノマー濃度は0mol%である。
本実施形態の樹脂組成物を構成する(A)ポリアセタール樹脂としては、(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度が1.5mol%以下の範囲で、上述した、ポリアセタールコポリマー、分岐を有するポリアセタールコポリマー、架橋構造を有するポリアセタールコポリマー、ブロック成分を有するホモポリマーベースのブロックコポリマー及び、ブロック成分を有するコポリマーベースのブロックコポリマーのいずれも用いることができ、これらを併用することもできる。
また、(A)ポリアセタール樹脂としては、例えば、分子量の異なる組み合わせや、コモノマー濃度の異なるポリアセタールコポリマーの組み合わせ等も、適宜使用可能である。
<(B)ガラス繊維>
本実施形態の樹脂組成物に使用される(B)ガラス繊維(本明細書において、(B)成分、(B)と記載する場合がある。)としては、特に限定されないが、チョップドストランドガラス繊維、ミルドガラス繊維、ガラス繊維ロービング等が挙げられる。これらの中でも、取扱い性及び成形体の機械的強度の観点から、チョップドストランドガラス繊維が好ましい。
これら(B)ガラス繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)ガラス繊維の繊維径及び繊維長等は、特に限定されず、何れの形態のガラス繊維を用いても良いが、繊維径が細い方が、成形体の剛性が向上するため好ましい。
例えば、(B)ガラス繊維の平均繊維径は、7μm以上15μm以下の範囲内が好ましい。(B)ガラス繊維の平均繊維径は、8μm以上がより好ましく、9μm以上がさらに好ましく、また、14μm以下がより好ましく、12μm以下がさらに好ましい。このような範囲にあることで、より高い剛性を得ることができる。
なお、ここでいう繊維径は、樹脂成形体を充分に高い温度(例えば、400℃以上)で焼却して樹脂成分を除去したのち、得られた灰分を走査型電子顕微鏡で観察し、直径を測定することにより、容易に測定できる。そして、誤差をなくすため、少なくとも100本以上のガラス繊維の直径を測定し、その平均値を算出して、平均繊維径を求めることができる。
(B)ガラス繊維としては、繊維径の異なるガラス繊維を2種以上ブレンドして用いてもよい。
(B)ガラス繊維は、被膜形成剤(収束剤と称される場合もある)にて処理され、表面が変性されたものであることが好ましい。被膜形成剤として、具体的には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、少なくとも1種の酸成分を有する共重合体樹脂等が挙げられる。
(B)ガラス繊維の表面を前記被膜形成剤によって変性することにより、(A)ポリアセタール樹脂との界面の接着強度を高めることができ、高い剛性及び高い引張破壊応力が得られる。
これら被膜形成剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)ガラス繊維は、カップリング剤によって表面変性されていてもよい。カップリング剤として、具体的には、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機アルミネート化合物等が挙げられるが、これらに限定されることはなく、公知のものはすべて使用できる。
これらカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機シラン化合物として、具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシランが好ましい。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシランγ−アミノプロピルトリエトキシシランが、経済性と樹脂組成物の熱安定性の観点より好ましい。
有機チタネート化合物として、具体的には、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムラクチート、オクチレンブリコールチタネート、イソプロピル(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート等が挙げられる。
有機アルミネート化合物として、具体的には、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
上記カップリング剤で表面変性されている(B)ガラス繊維を用いることで、樹脂成形体の耐クリープ性がより高まる傾向にあるとともに、樹脂成形体の熱安定性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(B)ガラス繊維を、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、10質量部以上55質量部以下の割合で含む。(B)ガラス繊維の含有量がこの範囲にあることで、薄肉成形した際の高い剛性と、薄肉成形可能な流動性とを両立することができる。一方、(B)ガラス繊維が10質量部未満であると薄肉成形した際に剛性が不足しやすく、(B)ガラス繊維が55質量部を超えると流動性を損ない薄肉成形ができなくなりやすい。(B)ガラス繊維の含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、好ましくは11質量部以上、より好ましくは12質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
<(C)ポリエチレン樹脂>
本実施形態の樹脂組成物に使用される(C)ポリエチレン樹脂(本明細書において、(C)成分、(C)と記載する場合がある。)としては、具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。また、5質量%以下のプロピレン、ブテン、オクテン等のコモノマーを含有するエチレン系共重合体等も挙げられる。これらの中でも、金属との摺動における摩擦係数の観点から、低密度ポリエチレンが好ましい。
これらの(C)ポリエチレン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態で用いることのできる(C)ポリエチレン樹脂としては、融点(以下、Tmと略す)が115℃以下であるものを少なくとも1種含むことが好ましく、より好ましくはTmが110℃以下であるものを少なくとも1種含むことが好ましい。(C)ポリエチレン樹脂の少なくとも1種のTmがこの範囲にあることで、金属との摺動において、初期から摩擦係数が低く非常に安定したものとなる。
なお、Tmは、樹脂組成物又はこれを含む樹脂成形体から切り出した試料4〜6mgを用い(プレス等で薄片化することが好ましい)、示差走査熱量測定(以下DSCと略す)で10℃/分にて昇温した際に得られる吸熱のピーク値を用いる。
(C)ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、50万以下であることが好ましい。(C)ポリエチレン樹脂の重量平均分子量が50万以下であると、摺動初期から良好な低摩擦係数が得られる。また、(A)ポリアセタール樹脂との溶融混練時における目ヤニや、溶融混練後のペレタイズ化の際の切粉の発生を抑制することができ、品質を向上することも出来る。(C)ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万以上40万以下、より好ましくは1.5万以上30万以下、更に好ましくは2万以上20万以下、最も好ましくは3万以上15万以下である。
これらの重量平均分子量の(C)ポリエチレン樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これら(C)ポリエチレン樹脂のうち、重量平均分子量が1万以上10万以下のものと20万以上50万以下のものとを併用することで、良好な低摩擦係数の期間がより長く保持されるため、耐久性材料として好適な樹脂組成物が得られるため、好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(C)ポリエチレン樹脂を、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下含む。(C)ポリエチレン樹脂の含有量がこの範囲にあることで、高い機械物性を保持しつつ、良好な摺動性を発現できる。(C)ポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.5質量部以下である。
本実施形態の樹脂組成物において、(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)(以下、単にMFRと略す)は、10g/10分以上100g/10分以下である。(C)ポリエチレン樹脂のMFRがこの範囲にあることにより、摺動初期から良好な摺動性を発揮することができる。(C)ポリエチレン樹脂のMFRは、好ましくは15g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上、更に好ましくは25g/10分以上であり、好ましくは90g/10分以下、より好ましくは85g/10分以下、更に好ましくは80g/10分以下である。
本実施形態の樹脂組成物において、前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイトに対する(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)(以下、単にMFRと略す)の比が0.1以上2.0以下である。(C)ポリエチレン樹脂のMFRに対する(A)ポリアセタール樹脂のMFRの比率((A)成分のMFR/(C)成分のMFR)が、この範囲にあることで、摺動初期から良好な摺動性が得られ、かつ良好な摺動性を長期に亘り、安定して保持することができる。前記比率は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.4以下である。
(C)ポリエチレン樹脂のMFRは、上述の規格及び条件に準拠して測定することができる。
(C)ポリエチレン樹脂が樹脂組成物又は樹脂成形体に含まれている場合は、樹脂組成物又は樹脂成形体から(C)ポリエチレン樹脂を単離して、上述の規格及び条件に準拠して測定することにより、確認することができる。例えば、樹脂組成物又はこれを含む樹脂成形体の一部を切り出し、ヘキサフルオロイソプロパノール(以下、HFIPと略す)に浸漬して可溶成分を溶解させた後、不溶残留分から溶媒であるHFIP及び(B)ガラス繊維を除去することで、(C)ポリエチレン樹脂を単離することができる。
なお、不溶残留分に安定剤や滑剤などが含まれる場合は、必要に応じて分離して測定する。
<摺動剤>
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ポリアセタール樹脂組成物に使用されている摺動剤を含んでいてもよい。摺動剤としては、超高分子量ポリエチレン;5質量%超のプロピレン、ブテン、オクテン等のコモノマーを含有するエチレン系共重合体;モノエステルやジエステルなどのエステル系化合物;シリコン系化合物;PTFE等のフッ素系化合物;高級アルコール;などが挙げられる。これら摺動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物における摺動剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下の範囲であることが好ましい。
<安定剤成分>
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ポリアセタール樹脂組成物に使用されている安定剤を含んでいてもよい。安定剤としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、酸化防止剤、ホルムアルデヒド、ギ酸の捕捉剤等が挙げられる。これら安定剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤としては、樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものが適宜使用可能である。
酸化防止剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下が好ましい。
ホルムアルデヒド、ギ酸の捕捉剤として、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体として、具体的には、メラミン、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩等として、具体的には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、等が挙げられる。
ホルムアルデヒド、ギ酸の捕捉剤の添加量は、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体については、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩等については、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上1質量部以下の範囲であることが好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂組成物に使用されている公知の、ガラス系充填剤(ガラスビーズ、ガラスバルーン等)、ガラス系充填剤以外の充填材(タルク、ウォラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム等)、導電性付与剤(カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等)、着色剤(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、有機染料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材等の各種添加剤を含有することができる。これら添加剤の量は、ガラス系充填剤、ガラス系充填剤以外の充填剤、及び導電性付与剤については、樹脂組成物100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材については、樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物は、公知の方法による製造することができる。具体的には、一軸又は多軸の混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等により、以下のように原料成分の混合及び溶融混練を行い、成形することにより製造することができる。特に、減圧装置・サイドフィーダー設備を装備した二軸押出機が好ましく使用できる。
原料成分の混合及び溶融混練の方法としては、特に限定されず、当業者が周知の方法を利用できる。具体的には、(A)成分及び(B)成分を、予めスーパーミキサー、タンブラー、V字型ブレンダー等で混合し、次いで、二軸押出機により一括で溶融混練する方法、(A)成分を二軸押出機のメインスロート部に供給して溶融混練しつつ、押出機の途中でサイドフィーダーから(B)成分を添加する方法、等が挙げられる。これらはいずれも利用できるが、本実施形態の樹脂組成物から作製される樹脂成形体の機械的物性をより高めるためには、(A)成分を二軸押出機のメインスロート部に供給して溶融混練しつつ、押出機の途中から(B)成分を添加する方法が好ましい。
なお、最適な条件は、押出機の大きさによって変動するため、当業者が適宜調整することができる。押出機のスクリューデザインに関しても、当業者が種々調整することができる。
また、原料成分の混合及び溶融混練においては、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラールを好適に挙げることができる。これら連鎖移動剤としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分は、押出機の途中でサイドフィーダーから添加することもできるが、メインスロート部から供給することが好ましい。
上述のようにして得られた本実施形態の樹脂組成物は、高い流動性及び高い剛性が要求される樹脂成形体の原料として好適に使用することができる。
[樹脂成形体]
本実施形態における樹脂成形体は、上述する樹脂組成物を含む。また、本実施形態の樹脂成形体は、上述する樹脂組成物から作製することができる。
なお、本実施形態における樹脂成形体とは、各種方法により成形された成形体を全て包含する。具体的に、成形体としては、射出成形された成形体、押出成形やインフレーション成形された成形体(シート、フィルム、ストランド、ペレット等)、ブロー成形された成形体等が挙げられる。
本実施形態における樹脂成形体を得るための成形方法については、特に限定されず、公知の成形方法を利用できる。具体的には、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによって成形することができる。このようにして得られる樹脂成形体は、優れた薄肉成形性と高い摺動性とを同時に満足することができる。
なお、本実施形態の樹脂成形体は、優れた薄肉成形性及び高い摺動性が要求される用途に使用することができる。また、本実施形態の樹脂成形体は、優れた薄肉成形性と高い摺動性とを同時に満足できることから、厚みを2mm以下とすることができ、また、厚みを1.5mm以下、更には1.0mm以下とすることができる。
<樹脂成形体の用途>
本実施形態の樹脂成形体は、自動車用部品として好適に使用することができ、特に、他の部材と接触するギアやプーリーとしての役割を担う部品として、好適に使用することができる。
また、本実施形態の樹脂成形体は、上述した部品以外にも、ポリアセタール樹脂の用途として公知の用途に適用できる。具体的には、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け、ガイド等に代表される機構部品;アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、自動車部品として、ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、ウインドウレギュレータワイヤードラム、スピーカーグリル、ガラスホルダー、キャリアプレート等に代表されるドア廻り部品;シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品、スイッチ類、クリップ類等の部品ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、プリンター、及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品;デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ等の映像機器用部品;CD、DVD、Blu−ray(登録商標) Disc、その他光デイスクのドライブ;ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器、携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品;電気機器用部品;電子機器用部品等に適用することができる。
また、適用可能なその他の用品として、筆記具のペン先、芯を出し入れする機構部品;洗面台、排水口、排水栓開閉機構部品;衣料用のコードストッパー、アジャスター、ボタン;散水用のノズル、散水ホース接続ジョイント;階段手すり部、及び床材の支持具である建築用品;玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機(開閉部ロック機構、商品排出機構部品)、家具、楽器、住宅設備機器部品、パーソナルコンピュータのキートップ及びキーステム等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、これらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例で用いた(A)ポリアセタール樹脂、(B)ガラス繊維、(C)ポリエステル樹脂を、以下の通りに調製又は準備した。
(A)ポリアセタール樹脂
熱媒を通すことができるジャッケット付きの二軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8(L:重合機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合機の内径(m)。以下、同じ。))を80℃に調整した。この重合機に、トリオキサンと、コモノマーとしての1,3−ジオキソランと、連鎖移動剤としてメチラールとを添加した。その際、表1及び表2に示される、コモノマー濃度(全体のユニットに対する、エトキシユニットのmol%)、MFRとなるように量を調整した。
なお、実施例13は、コモノマーとしての1,3−ジオキソランを添加しなかった。
さらに、前記重合機に、重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートを、トリオキサン1molに対して1.5×10-5molで連続的に添加し、重合を行った。
重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し、重合触媒の失活を行った。そして、重合触媒の失活を行ったポリアセタールコポリマーを、遠心分離機でろ過し、乾燥させた。乾燥後のポリアセタールコポリマーを、ベント付きの2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中で溶融状態となっているポリアセタールコポリマーに、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して0.5質量部の水を添加し、押出機の条件を温度200℃、滞留時間7分として、ポリアセタールコポリマーの不安定末端部分(−(OCH2)n−OH)の分解除去を行った。
不安定末端部分が分解されたポリアセタールコポリマーに、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.3質量部を添加し、ベント付き押出機で真空度20Torrの条件下で脱揮しながら、押出機ダイス部よりストランドとして押出し、ペレタイズした。
このようにして、(A)ポリアセタール樹脂を得た。
(B)ガラス繊維
(B)ガラス繊維として、日本電気硝子製「T−651H」を用いた。
(C)ポリエチレン樹脂
(C)ポリエチレン樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)を各MFRとなるように調整し用いた。
また、各実施例及び比較例では、以下の手順に従い、表1及び表2に示す配合組成で樹脂組成物及び樹脂成形体を製造した。
(a)押出
スクリュー径Dに対するスクリュー長さLの比(L/D)=48(バレル数12)であり、第6バレルと第8バレルにサイドフィーダーを有し、第11バレルに真空ベントを備えた同方向回転二軸押出機(東芝機械(株)製TEM−48SS押出機)を用いた。第1バレルを水冷し、第2〜5バレルを220℃、第6〜12バレルを180℃に設定した。
押出に用いたスクリューは以下のデザインとした。第1〜4バレルの位置にフライトスクリュー(以下、FSと略す)を配し、第5バレルの位置に送り能力を有するニーディングディスク(以下、RKDと略す)2枚、送り能力のないニーディングディスク(以下、NKDと略す)2枚、及び逆方向への送り能力を有するニーディングディスク(以下、LKDと略す)1枚をこの順に配した。第6〜第8バレルの位置にFSを配し、第9バレルの位置にRKDとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配した。
(A)ポリアセタール樹脂及び(C)ポリエチレン樹脂を上記二軸押出機のメインスロート部から投入し、(B)ガラス繊維を第6バレルのサイドフィーダーより供給し、スクリュー回転数150rpmとし、総押出量を70kg/hとして押出(溶融混練)を行い、樹脂組成物を調製した。
(b)成形
次いで、調製した樹脂組成物を、射出成形機(EC−75NII、東芝機械(株)製)を用いて、シリンダー温度設定を205℃に設定し、射出時間35秒、冷却時間15秒の射出条件で成形することにより、ISO294−2に準拠した小型引張試験片形状の樹脂成形体を得た。この際の金型温度は90℃とした。
また、同様に、小型引張試験片形状で厚みを1mm厚とした薄物樹脂成形体を得た。
そして、実施例及び比較例の樹脂成形体に関し、以下の手順に従って各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
(1)樹脂組成物のメルトフローレイト
得られた樹脂成形体を細かく切り出し、ペレット状のサンプルにした。このペレット状のサンプルについて、ISO1133に準拠して、メルトフローレイト(g/10分)を測定した。なお、このとき、温度は190℃とし、荷重は2.16kgとした。
(2)(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト
ペレット状サンプルを、ISO1133に準拠して、メルトフローレイト(g/10分)を測定した。なお、このとき、温度は190℃とし、荷重は2.16kgとした。
(3)(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト
ペレット状サンプルを、ISO1133に準拠して、メルトフローレイト(g/10分)を測定した。なお、このとき、温度は190℃とし、荷重は2.16kgとした。
(4)スパイラルフロー長さ(SFD)(0.5mm厚)
射出成形機(ファナック(株)製 ROBOSHOT α−50iA)を用いて、シリンダー温度設定を200℃、金型温度80℃とし、0.5mm厚のSFD金型を用いて射出圧力80MPaの各組成のSFDを評価した。
SFDの値が長いほど、流動性に優れる。SFDが3cm以上で薄物樹脂成形が可能と判断し、薄物成形精度の評価を「△」とした。SFDが4cm以上で薄物樹脂成形にとって良好と判断し、薄物成形精度の評価を「○」とした。SFDが5cm以上で薄物樹脂成形にとって優良と判断し、薄物成形精度の評価を「◎」とした。SFDが3cm未満では薄物樹脂成形が不可能と判断し、薄物成形精度の評価を「×」とした。
(5)曲げ弾性率
前記ISO294−2に準拠して成形された小型引張試験片形状の樹脂成形体を用い、ISO178に準拠した曲げ試験を行い、曲げ弾性率を測定した。なお、押込み速度は2mm/分で行った。
曲げ弾性率は高いほど剛性に優れ、薄物樹脂成形体でも剛性を得やすい。曲げ弾性率が4500MPa以上あることで良好な剛性と判断した。
(6)摺動性
[摺動試験]
ボールオンディスク型往復動摩擦摩耗試験機(AFT−15MS型、東洋精密(株)製)を用いた。23℃、湿度50%の環境下で、荷重19.6N、線速度30mm/秒、往復距離20mm、往復回数5,000回の条件で、前記1mm厚の薄物樹脂成形体を用いて摺動試験を行った。ボールは、SUS304ボール(直径5mmの球)を用いた。
(6−1)摺動性(初期)
前記摺動試験の摺動開始100回目の摩擦係数によって評価した。
摩擦係数は低いほど優れ、摩擦係数が0.25以下であれば良好な摺動性と判断した。
(6−2)摺動性(低温型温)
前記1mm厚の薄物樹脂成形体を成形する際の金型温度を60℃とした以外は同様にして前記摺動試験を行い、5,000回時の摩擦係数によって評価した。
摩擦係数は低いほど優れ、摩擦係数が0.30以下であれば良好な摺動性と判断した。
(6−3)摺動性(安定性)
前記摺動試験における100回目〜5,000回目までの摩擦係数の最大値から最小値を引いた変動幅によって評価した。
変動幅は低いほど安定性に優れ、0.05以下で良好な摺動性と判断した。
(6−4)摺動性(高荷重)
荷重を49.0Nとした以外は同様にして前記試験を行い、5000回時の摩擦係数によって評価した。
摩擦係数は低いほど摺動性に優れ、摩擦係数0.25以下で良好な摺動性と判断した。
Figure 2019104775
Figure 2019104775
表1及び表2より、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス繊維10質量部以上55質量部以下と、(C)ポリエチレン樹脂0.1質量部以上5質量部以下とを含み、(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が10g/10分以上100g/10分以下であり、該(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイトに対する(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)の比が0.1以上2.0以下である実施例に係る樹脂組成物を含む樹脂成形体は、優れた薄肉成形性と、優れた摺動性とを同時に満足することが分かる。
本発明の樹脂組成物、樹脂成形体は、ポリアセタール樹脂が好適に使用される種々の分野、特に流動性と剛性が要求される構部品の分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス繊維10質量部以上55質量部以下と、(C)ポリエチレン樹脂0.1質量部以上5質量部以下とを含み、
    前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が10g/10分以上100g/10分以下であり、
    前記(C)ポリエチレン樹脂のメルトフローレイトに対する前記(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)の比が0.1以上2.0以下である、
    ことを特徴とする、樹脂組成物。
  2. メルトフローレイト(ISO1133準拠、温度190℃、荷重2.16kg)が8g/10分以上である、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレイトが10g/10分以上100g/10分以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度が、1.5mol%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリアセタール樹脂のコモノマー濃度が、0mol%以上1.0mol%以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂成形体。
  7. 厚みが1mm以下である、請求項6に記載の樹脂成形体。
  8. 電気機器用部品又は電子機器用部品として用いられる、請求項7に記載の樹脂成形体。
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