JP6613551B2 - 積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト、及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト、及び積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト、及び積層セラミックコンデンサに関する。
電子部品の一つとして従来から積層セラミックコンデンサが用いられている。
積層セラミックコンデンサは一般に、誘電体層と、内部電極の層とが交互に積層された構造を有している。積層セラミックコンデンサは、例えば以下の工程を含む製造方法により生産されている。
チタン酸バリウム等の誘電体粉末と、有機バインダとを含有するグリーンシート(誘電体グリーンシート)を製造する工程。
グリーンシート表面に内部電極用ペーストを所望の内部電極のパターンに応じて塗布、乾燥する工程。
内部電極とグリーンシートとが交互になるように積層した後、熱圧着し、該熱圧着体を目的の大きさに切断する工程。
有機バインダを除去するため、加熱して有機バインダを除去する工程。
焼成して内部電極、及び誘電体を焼結させる工程。
得られた積層セラミックコンデンサ素体に外部デバイスを接合するための外部電極を取り付ける工程。
そして、積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する際に用いる内部電極用ペーストに関して、例えば特許文献1には、Pd、Ag、Ni、Cuから選ばれる金属粉末または/および合金粉末からなる導電性粉末と、該誘電体シートを構成する材料と共通成分を含む共材と、有機バインダとを含み、該有機バインダが、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル系ポリマーから選ばれる樹脂と、有機溶剤と、ステアリル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、オレイル基から選ばれる親油基およびポリエチレングリコール部位を有するカルボキシエステル構造の有機添加剤とから構成された導電性ペースト組成物が開示されている。
特開2004−200449号公報
しかしながら、従来用いられた内部電極用ペーストを用いた場合、内部電極と、グリーンシートを焼成して得られる誘電体層と、の密着性が十分ではない場合があった。このため、例えば積層セラミックコンデンサの製造中、または積層セラミックコンデンサの製造後に、内部電極と誘電体層との間で剥離を生じる場合があった。
そこで、本発明の一側面では誘電体層との密着性に優れた内部電極を形成することができる積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストであって、
ニッケル粉末と、
ポリビニルブチラールと、
エチルセルロースと、
ターピネオールである有機溶剤と、を含有しており、
前記ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、
前記ポリビニルブチラールの含有量が1.0質量部以上であり、
前記エチルセルロースの含有量が5.0質量部以下であって、
前記積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト中の、前記ポリビニルブチラールの含有量、及び前記エチルセルロースの含有量の合計が2.5質量%以上であり、
基材上に塗布後、120℃で乾燥した後の膜密度が4.80g/ml以上である積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを提供する。


本発明の一態様によれば、誘電体層との密着性に優れた内部電極を形成することができる積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを提供することができる。
本発明の実施形態における積層セラミックコンデンサの断面模式図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト]
本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの一構成例について説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストは、ニッケル粉末と、ポリビニルブチラールと、エチルセルロースとを含有することができる。
そして、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、ポリビニルブチラールの含有量が1.0質量部以上であり、エチルセルロースの含有量が6.0質量部未満であることが好ましい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト(以下、単に「内部電極用ペースト」とも記載する)に含まれる各成分について以下に説明する。
(ニッケル粉末)
本実施形態の内部電極用ペーストにはニッケル粉末を添加することができる。ニッケル粉末を添加することにより、該内部電極用ペーストを用いて形成する内部電極に導電性を付与することができる。
ニッケル粉末の粒径は特に制限されるものではなく、内部電極用ペースト中での分散性や、グリーンシート等に塗布する際の操作性、焼成して内部電極としたときの導電性等を考慮して任意に選択することができる。
特に、高積層、高容量化の積層セラミックコンデンサにも対応できるよう、平均粒径は0.05μm以上1.0μm以下とすることが好ましい。なお、ここでの平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真より求められる値であり、粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。本明細書において他の部分でも平均粒径は同じ意味を有している。
ニッケル粉末の平均粒径を1.0μm以下とすることにより、内部電極の厚さを特に薄くすることができるため、積層セラミックコンデンサの薄層化を容易に図ることができるようになる。また、ニッケル粉末の平均粒径を0.05μm以上とすることにより、ニッケル粉末の表面活性が必要以上に高くなることを抑制し、内部電極用ペーストの粘度が高くなることを抑制できる。また、内部電極用ペーストとして長期保存した場合に変質等が生じることを抑制することができる。
内部電極用ペースト中のニッケル粉末の含有率は特に限定されるものではなく、内部電極用ペーストに要求される粘度や、内部電極としたときに要求される導電性等に応じて任意に選択することができる。特に、内部電極用ペースト全量に対して30質量%以上70質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
これは、内部電極用ペースト中のニッケル粉末の含有量が30質量%以上の場合、内部電極ペースト焼成時の電極膜形成能力を十分に確保することができ、所望のコンデンサ容量をより確実に得ることができるためである。また、内部電極用ペースト中のニッケル粉末の含有量を70質量%以下とすることにより、内部電極の電極膜を薄層化し易くなるためである。
(有機樹脂)
本実施形態の内部電極用ペーストは、有機樹脂を含むことができ、該有機樹脂はエチルセルロース(EC)と、ポリビニルブチラール(PVB)との混合系であることが好ましい。
エチルセルロース(EC)は、溶剤への溶解性・印刷性・燃焼分解性などが良いことから、内部電極用ペーストのバインダーとして好適に用いることができる。また、有機樹脂として、グリーンシートに用いられるポリビニルブチラール(PVB)を併せて用いることで、グリーンシートと、内部電極用ペーストの乾燥膜との密着強度を上げることができる。
本発明の発明者らの検討によると、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、ポリビニルブチラール(PVB)の含有量を1.0質量部以上、かつエチルセルロース(EC)の含有量を6.0質量部未満とすることが好ましい。特に、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、ポリビニルブチラール(PVB)の含有量を2.0質量部以上、かつエチルセルロース(EC)の含有量を5.0質量部以下とすることがより好ましい。
これはポリビニルブチラール(PVB)の含有量を1.0質量部以上、かつエチルセルロース(EC)の含有量を6.0質量部未満とすることにより、グリーンシートと内部電極用ペースト乾燥膜との密着強度を特に高めることができ、好ましいためである。そして、グリーンシートと内部電極用ペースト乾燥膜との密着強度を高めることにより、グリーンシートを焼成して得られる誘電体層と、内部電極用ペースト乾燥膜を焼成して得られる内部電極との密着性も高めることができる。
ポリビニルブチラール(PVB)の含有量の上限値は特に限定されるものではない。ただし、含有量が増加するに伴い内部電極用ペースト乾燥膜の乾燥膜密度が低下する場合があるため、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、5.0質量部以下が好ましい。特に、4.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下がさらに好ましい。
また、エチルセルロース(EC)の含有量の下限値は特に限定されるものではなく、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、0質量部より多ければ良いが、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。
有機樹脂中に含まれるポリビニルブチラール(PVB)の含有量と、エチルセルロース(EC)の含有量との比率は特に限定されるものではなく、任意に設定することができる。特に、ポリビニルブチラールの含有量と、エチルセルロースの含有量とが、質量比で、以下の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
0.2≦(ポリビニルブチラールの含有量)/(エチルセルロースの含有量)・・・式(1)
上述のように有機樹脂としてポリビニルブチラールを添加することにより、内部電極用ペースト乾燥膜と、グリーンシートとの密着性を高めることができる。そして、本発明の発明者らの検討によると、有機樹脂中のポリビニルブチラールの質量比での比率を0.2以上とすることによりグリーンシートと内部電極用ペースト乾燥膜の密着強度をより高めることができる。そして、誘電体層と、内部電極との密着性も高めることができる。
特に(ポリビニルブチラールの含有量)/(エチルセルロースの含有量)は質量比で0.6以上であることがより好ましい。
なお、(ポリビニルブチラールの含有量)/(エチルセルロースの含有量)の上限値は特に限定されるものではないが、溶剤への溶解性・印刷性・燃焼分解性を高める観点から、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましい。
また、上述のように積層セラミックコンデンサを製造する際に、グリーンシート上に所望の電極パターンとなるように、内部電極用ペーストを印刷等により塗布するが、この際にシートアタックと呼ばれる現象が生じる場合があることが知られている。
後述のように内部電極用ペーストは、有機溶剤を含有することができる。そして、シートアタックは、グリーンシートに内部電極用ペーストが接したとき、グリーンシートに使用されている有機バインダー(例えばポリビニルブチラール等)を内部電極用ペースト中の有機溶剤が溶解する現象である。シートアタックは焼成時に誘電体層と内部電極とが剥離するデラミネーションの原因ともなるため、シートアタックの発生を抑制することが求められる。
本発明の発明者らは、内部電極用ペーストに含まれる有機樹脂であるポリビニルブチラール(PVB)、及びエチルセルロース(EC)の合計を質量比で一定割合以上とすることにより、シートアタックの発生を抑制できることを見出した。本発明の発明者らの検討によると、積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト中の、ポリビニルブチラールの含有量、及びエチルセルロースの含有量の合計を2.5質量%以上とすることにより特にシートアタックの発生を抑制できるため好ましい。特に、3質量%以上とすることによりさらにシートアタックの発生を抑制できるためより好ましい。
これは、内部電極用ペースト中の有機樹脂であるポリビニルブチラール(PVB)、及びエチルセルロース(EC)の含有量を一定比率以上とすることにより、内部電極用ペースト中の有機溶剤がグリーンシート側に浸透することを抑制できるためだと考えられる。
内部電極用ペーストに含まれる有機樹脂であるポリビニルブチラール(PVB)、及びエチルセルロース(EC)の含有量の上限値は特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。例えば、内部電極用ペーストの脱バインダー性等を考慮して、積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト中の、ポリビニルブチラールの含有量、及びエチルセルロースの含有量の合計は5質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の内部電極用ペーストに用いるポリビニルブチラール(PVB)や、エチルセルロース(EC)の物性、例えば重合度等については特に限定されるものではない。グリーンシート上に印刷、塗布する際の取扱い性の観点から、用いる印刷方法や塗布方法に適した粘度となるように、その材料を選択することが好ましい。
本実施形態の内部電極用ペーストが好適に含有することができるニッケル粉末、及び有機樹脂について説明してきたが、本実施形態の内部電極用ペーストは必要に応じてさらに任意の成分を含有することもできる。本実施形態の内部電極用ペーストがニッケル粉末、及び有機樹脂以外に例えば以下の成分を含有することができる。
(有機溶剤)
本実施形態の内部電極用ペーストはさらに有機溶剤を含有することができる。有機溶剤の材料は特に限定されるものではなく、例えば有機樹脂であるエチルセルロース、及びポリビニルブチラールを溶解し、有機ビヒクルとすることができる材料を好適に用いることができる。特に、内部電極用ペーストをグリーンシート上に印刷、塗布した場合に、シートアタックの発生を抑制できるように、乾燥性に優れた有機溶剤であることが好ましい。
このため、本実施形態の内部電極用ペーストに有機溶剤を用いる場合、該有機溶剤としては、ポリビニルブチラールやエチルセルロースとの相溶性があり、かつ乾燥性に優れた溶剤を用いることが好ましい。
係る特性を有する有機溶剤を選択することにより、容易に有機ビヒクルを調製でき、さらに、グリーンシート上に内部電極用ペーストを印刷、塗布した際に、特性に問題ない範囲のシートアタックしか起こさずに印刷することを可能になり好ましい。
このような有機溶剤としては例えば、ターピオネール(α、β、γ及びこれらの混合物)、オクタノール、デカノール、トリデカノール、フタル酸ジブチル、酢酸ブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、石油系炭化水素等が挙げられる。有機溶剤としては特にターピオネール(α、β、γ及びこれらの混合物)を好適に用いることができる。
有機溶剤の添加量は特に限定されるものではなく、任意に選択することができるが、例えばシートアタックの発生を特に抑制する観点から、有機樹脂の含有量と、有機溶剤の含有量とが、質量比で以下の式(2)の関係を満たすことが好ましい。なお、有機樹脂の含有量とは、ポリビニルブチラールの含有量と、エチルセルロースの含有量との合計を意味している。
(有機溶剤の含有量)/(有機樹脂の含有量)≦15 ・・・式(2)
特に、(有機溶剤の含有量)/(有機樹脂の含有量)は14以下であることがより好ましい。これは既述のように、内部電極用ペーストに含まれる有機樹脂は有機溶剤がグリーンシート側に浸透することを抑制する機能も有しているため、有機溶剤と、有機樹脂との質量比が例えば上述の範囲を充足することによりシートアタックの発生を特に抑制できるため好ましい。
(有機溶剤の含有量)/(有機樹脂の含有量)の下限値は特に限定されるものではなく、例えば有機ビヒクルを形成できるように0より大きいことが好ましい。
(誘電体粉末)
本実施形態の内部電極用ペーストでは、焼成時に内部電極の焼結収縮をグリーンシートの焼結収縮挙動に合わせる目的で無機添加剤として誘電体粉末を配合することもできる。通常、誘電体粉末は共材とも言われ、例えば、市販のBaTiO、BaTiZr1−x(例えばxは0.8)等や、グリーンシートを構成しているセラミックと同様の組成物等、その他無機酸化物等を適量配合することができる。
本実施形態の内部電極用ペーストに誘電体粉末を添加する場合、その平均粒径は特に限定されるものではなく任意に選択することができる。特に、高積層、高容量の積層セラミックコンデンサ内部電極を形成するために用いる場合、誘電体粉末の平均粒径は、例えば0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましい。
なお、平均粒径は既述のように、走査型電子顕微鏡(SEM)写真より求めることができ、粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
誘電体粉末の平均粒径を上記範囲とすることにより、内部電極の抵抗値を十分に低くすることができ、また、均一な内部電極の電極膜をより確実に形成できるため、積層セラミックコンデンサを所望の静電容量とすることができるためである。
また、内部電極用ペーストに誘電体粉末を添加する場合に、誘電体粉末の含有量は特に制限されるわけではないが、内部電極用ペースト中の誘電体粉末の含有量が1質量%以上30質量%以下となるように添加することが好ましい。これは、含有量を1質量%以上とすることにより、内部電極用ペーストとグリーンシートとの同時焼成時の焼結収縮差を十分に抑制できるため、焼結体にクラックが生じることを特に抑制できるためである。また、含有量を30質量%以下とすることにより、形成する内部電極の導電性をより確実に確保することができ、積層セラミックコンデンサを所望の静電容量とすることができるためである。
(添加剤)
また、本実施形態の内部電極用ペーストはさらに任意の添加剤を添加することもできる。
添加剤としては特に限定されるものではなく、内部電極用ペーストに要求される粘度や、内部電極用ペーストに含まれるニッケル粉末の状態等に応じて任意に選択することができる。
添加剤として例えば、内部電極用ペーストに含まれる粉体の凝集防止のために分散剤を用いることができる。分散剤としては特に限定されるものではないが、例えばカチオン系分散剤、アニオン系分散剤等を好適に用いることができる。
また、上述のように誘電体粉末を添加した場合に、ニッケル粉末と、誘電体粉末との分離を抑止するために、添加剤として、分離抑制剤を用いることもできる。分離抑制剤としては、例えばポリカルボン酸ポリマーや、ポリカルボン酸の塩を含む組成材料を用いることができる。
分離抑制剤は、例えばカルボン酸同士の水素結合により、ペースト中で粉末粒子の分散をある程度抑えることで、初期に均一攪拌されたニッケル粉末と誘電体粉末の距離を一定に保持することができる。
また、カルボン酸同士の水素結合により、定常状態(静止した状態)でのペーストの粘度を上昇させることができるので、これによりニッケル粉末と誘電体粉末の比重の違いによる分離を抑えることができる。
分離抑制剤を添加した場合、ペースト全体としての分散性が悪くなり、ニッケル粉末や誘電体粉末の凝集物が発生する恐れがある。そこで、ニッケル粉末や誘電体粉末の分散性を改善する目的で、上述のような分散剤を併せて添加することが好ましい。
添加剤の各成分の添加量は特に限定されるものではなく、各添加剤の添加の目的等に応じて任意の量を添加することができる。
ここまで、本実施形態の内部電極用ペーストに含まれる成分について説明したが、本実施形態の内部電極用ペーストは内部電極とした際に十分な導電性と、膜の強度を確保するため、内部電極用ペーストを基材上に塗布し、乾燥した際の密度が大きいことが好ましい。具体的には例えば基材上に本実施形態の内部電極用ペーストを塗布し、120℃で乾燥した後の膜密度(乾燥膜密度)が4.75g/ml以上であることが好ましく、4.80g/ml以上であることがより好ましい。
なお、乾燥膜密度を測定する際に用いる基材や、内部電極用ペーストを塗布する形状は特に限定されるものではない。例えば基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の各種樹脂を用いることができる。また、内部電極用ペーストは、例えば幅50mm、長さ100mm、厚さ250μmとなるように基材上に塗布したものを上述のように120℃で乾燥させ、測定に供することができる。乾燥時間は特に限定されるものではなく、任意に選択することができるが、乾燥した際に重量変化が起きなくなる程度まで乾燥することが好ましく、例えば上述のサイズに内部電極用ペーストを塗布した場合、40分間乾燥させることができる。
ここまで説明した本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストによれば、製造過程において、グリーンシートと、内部電極用ペーストの乾燥膜との密着強度を高めることができる。さらに、グリーンシートを焼成した誘電体層と、内部電極用ペーストを焼成した内部電極との密着性も高めることが可能になる。すなわち、積層セラミックコンデンサとした際に、誘電体層との密着性に優れた内部電極を形成することができる。
このため、積層セラミックコンデンサの製造途中や、製造後、例えば使用時等において積層体の層間で剥離が生じることを抑制することができ、積層セラミックコンデンサの歩留まりを向上させ、耐久性を高めることが可能になる。
[積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの製造方法]
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの製造方法の一構成例について説明する。なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの製造方法により、上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを好適に製造することができる。このため、積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストで既に説明した事項と重複する部分については、説明を一部省略する。
本実施形態の内部電極用ペーストの製造方法は特に限定されるものではなく、任意の手順により調製することができる。
例えば上述のように内部電極用ペーストが有機溶剤を含有する場合、内部電極用ペーストの製造方法は以下の工程を有することができる。
有機樹脂を有機溶剤に溶解して有機ビヒクルを調製する有機ビヒクル調製工程。
有機ビヒクル調製工程で調製した有機ビヒクルに、ニッケル粉末を添加、分散する分散工程。
なお、内部電極用ペーストが誘電体粉末や、添加剤等を含有する場合には、分散工程において、誘電体粉末や添加剤等も有機ビヒクルに添加し、有機ビヒクル中にこれらの成分も分散させることが好ましい。
各工程について説明する。
(有機ビヒクル調製工程)
有機ビヒクル調製工程において有機ビヒクルを調製する手順は特に限定されるものではない。例えば、有機溶剤に、ポリビニルブチラール(PVB)と、エチルセルロース(EC)とを同時に添加して、両樹脂を含む有機ビヒクルを調製することができる。
また、ポリビニルブチラール(PVB)の有機ビヒクルと、エチルセルロース(EC)の有機ビヒクルとをそれぞれ別に調製することもできる。すなわち、有機ビヒクル調製工程は、ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程と、エチルセルロース有機ビヒクル調製工程と、を有することもできる。この場合、ポリビニルブチラール(PVB)の有機ビヒクルと、エチルセルロース(EC)の有機ビヒクルとに用いる有機溶剤は同じ材料であることが好ましい。
なお、各有機樹脂について調製した有機ビヒクルは分散工程においてニッケル粉末等とあわせて混合しても良く、予め各有機樹脂について調製した有機ビヒクルを混合した後で分散工程に供してもよい。
有機ビヒクル調製工程が、ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程と、エチルセルロース有機ビヒクル調製工程とを有する場合を例に説明する。
ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程では例えば、まず有機樹脂であるポリビニルブチラールを用意することができる。
そして、有機溶剤を例えば50℃〜60℃に加温した恒温槽の中で、ポリビニルブチラールを有機溶剤に徐々に加え、引き続きポリビニルブチラールが溶解するまで攪拌しながら加熱することによりポリビニルブチラール有機ビヒクルを調製できる。
エチルセルロース有機ビヒクル調製工程についても、有機樹脂としてエチルセルロースを用いる点以外は、ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程と同様にして実施できる。
(分散工程)
分散工程では、有機ビヒクル調製工程で調製した有機ビヒクル、及びニッケル粉末を、ミキサーに投入して攪拌することができる。また、撹拌後に例えば、スリーロールミルによってニッケル粉末等を有機ビヒクル中により均一に分散混合させることが好ましい。
なお、有機ビヒクル、及びニッケル粉末をミキサーに投入した際に、上述のように、必要に応じて例えば誘電体粉末や、各種添加剤等もあわせて投入することもできる。
以上の各工程を実施することにより、本実施形態の内部電極用ペーストを製造することができる。
[積層セラミックコンデンサ]
次に、上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを用いて形成した内部電極を含む積層セラミックコンデンサの一構成例について説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサの断面模式図を図1に示す。図1は積層セラミックコンデンサ10の中心を通り、誘電体層11と、内部電極12との積層方向と平行な面での断面模式図を示したものである。図1に示すように、本実施形態の積層セラミックコンデンサ10は、グリーンシートを焼成して得られた誘電体層11と、上述の内部電極用ペーストを焼成して得られた内部電極12とが交互に積層した構造を有することができる。また、積層セラミックコンデンサ10の外面には内部電極12と接続された外部電極13を有することができる。
図1に示した積層セラミックコンデンサの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の各種積層セラミックコンデンサの製造方法により製造することができる。具体的には例えば、以下の工程を有することができる。
チタン酸バリウム等の誘電体粉末と、有機バインダとを含有するグリーンシート(誘電体グリーンシート)を製造するグリーンシート製造工程。
グリーンシート表面に内部電極用ペーストを所望の内部電極のパターンに応じて塗布、乾燥する内部電極形成工程。
内部電極とグリーンシートとが交互になるように積層した後、熱圧着し、該熱圧着体を目的の大きさに切断する積層工程。
有機バインダを除去するため、加熱して有機バインダを除去する脱バインダ工程。
焼成して内部電極、及び誘電体を焼結させる焼結工程。
得られた積層セラミックコンデンサ素体に外部デバイスを接合するための外部電極を取り付ける外部電極形成工程。
グリーンシート製造工程で用いる有機バインダについては特に限定されるものではないが、例えば本実施形態の内部電極用ペーストとの密着性を特に高める観点からポリビニルブチラールを含有していることが好ましい。
また、グリーンシート製造工程で用いるグリーンシート用の出発原料としては上述の誘電体粉末や、有機バインダに加えて、有機溶剤や、各種分散剤、可塑剤、帯電除剤等を添加したものを用いることができる。なお、グリーンシート用の出発原料として有機溶剤を用いる場合、予め有機バインダを有機溶剤に溶解し、有機ビヒクルを調製することが好ましい。そして、該有機ビヒクルに誘電体粉末や、各種添加剤等を混合して得られたペーストをグリーンシート製造工程に供することが好ましい。
そして、内部電極形成工程で用いる内部電極用ペーストは上述の内部電極用ペーストを用いることが好ましい。
脱バインダ工程や、焼結工程における加熱温度、雰囲気等は特に限定されるものではなく、用いた材料等に応じて、任意に選択することができる。
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、内部電極を上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを用いて製造しているため、製造過程において、グリーンシートと、係る内部電極用ペーストの乾燥膜との密着強度を高めることができる。さらに、グリーンシートを焼成した誘電体層と、内部電極用ペーストを焼成した内部電極との密着性も高めることが可能になる。
このため、積層セラミックコンデンサの製造途中や、製造後、例えば使用時等において積層体の層間で剥離が生じることを抑制することができ、積層セラミックコンデンサの歩留まりを向上させ、耐久性を高めることが可能になる。
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ここでまず以下の実験例における試料の評価方法について説明する。
(乾燥膜密度)
以下の各実験例で調製した内部電極用ペーストをPETフィルム上にのせ、幅50mm、ゲージの隙間250μmのアプリケータで長さ約100mmに延ばした。続いてこれを120℃、40分間乾燥した。この乾燥体を1インチ角に4枚切断し、PETフィルムをはがした上で各4枚の乾燥膜の厚み、重量を測定して乾燥膜密度を算出した。
そして、算出した乾燥膜密度に基づいて乾燥膜密度判定を実施した。乾燥膜密度が5.0g/ml以上の試料については◎、4.8g/ml以上5.0g/ml未満の試料については〇、4.75g/ml以上4.8g/ml未満の試料については△、4.75g/ml未満の試料については×と判定した。
(密着性)
まず、微細化したチタン酸バリウム粉末90重量%とポリビニルブチラール4重量%、エチルアルコール6重量%からなるビヒクルを混練して、セラミックスラリーを調製した。そして、セラミックスラリーをドクターブレード法によってキャリアシートであるPETフィルム上に厚さ5μmのシート状に塗布し、グリーンシートを作製した。
次に、各実験例で調製した内部電極用ペーストを上記グリーンシートにスクリーン印刷し、グリーンシート上にWET厚さ2μmの内部電極パターンを形成した。そして、グリーンシート上に内部電極パターンを形成したシートを85℃で10分間乾燥させた。
その後、同様にして作製したグリーンシート上に内部電極パターンを形成したシートを積層し、温度80℃、圧力1000kgf/cm、5分間で最終熱圧着し内部電極が20層の積層体を作製した。その積層体を3mm×5mm角に切断し、大気炉にて温度1350℃、2時間焼成して焼成体とした。その後、前記焼成体の表面を研磨し断面を光学顕微鏡にて観察してデラミネーション(層間剥離現象)の発生数を求めた。デラミネーション発生数の評価はサンプル数50個の中でデラミネーションの発生したサンプル数を用いて行った。デラミネーションが発生したサンプル数が5個未満の場合には◎、5個以上10個未満の場合には〇、10個以上25個未満の場合には△、25個以上50個以下の場合には×と評価した。
(シートアタック)
まず、微細化したチタン酸バリウム粉末90重量%とポリビニルブチラール4重量%、エチルアルコール6重量%からなるビヒクルを混練して、セラミックスラリーを調製した。そして、セラミックスラリーをドクターブレード法によってキャリアシートであるPETフィルム上に厚さ8μmのシート状に塗布し、グリーンシートを作製した。
次に、各実験例で調製した内部電極用ペーストを上記グリーンシートにスクリーン印刷し、グリーンシート上に内部電極パターンを形成し、シートアタック評価用のサンプルを作製した。
そして、得られたシートアタック評価用のサンプルを、グリーンシートのPETフィルムと接する面から顕微鏡により観察し、変形度合いと色合いにより、グリーンシートの溶解度合いを確認し、シートアタックの程度を評価した。
顕微鏡により観察した際に、グリーンシートに変形や色合いの変化が見られず、シートアタックが発生していないと評価できた場合には〇と評価した。グリーンシートのうち、面積で10%未満の範囲において変形や色合いの変化がみられるものの、その程度は大きくなく、積層セラミックコンデンサとした場合に特性に影響を与えない程度である場合には△と評価した。グリーンシートのうち、面積で10%以上の範囲に渡って変形や色あいの変化が見られており、積層セラミックコンデンサとした場合に特性に影響を与える恐れが高い場合には×と評価した。
以下に各実験例の試料の作製条件及び評価結果について説明する。
[実験例1−1〜実験例1−5]
実験例1−1〜実験例1−5については以下の手順により内部電極用ペーストを作製し、その評価を行った。なお、実験例1−1〜実験例1−5については表1に示すように添加した成分量が異なる点以外は同様にして内部電極用ペーストを作製している。
実験例1−1が比較例、実験例1−2〜実験例1−5が実施例となる。
(有機ビヒクル調製工程)
有機ビヒクル調製工程では、ポリビニルブチラールを含有する有機ビヒクルを調製するポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程と、エチルセルロースを含有する有機ビヒクルを調製するエチルセルロース有機ビヒクル調製工程とを実施した。
ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程ではまず、有機溶剤であるターピネオール(α、β、γ混合体)について、表1に示した添加量の半分を60℃まで加熱した。そして、加熱したターピネオールをインペラー(羽根車)で攪拌しながら、表1の添加量となるようにポリビニルブチラールを徐々に加えてポリビニルブチラールを含有する有機ビヒクルを調製した。
また、エチルセルロース有機ビヒクル調製工程でも同様に、有機溶剤であるターピネオール(α、β、γ混合体)について、表1に示した添加量の半分を60℃まで加熱した。そして、加熱したターピオネールをインペラー(羽根車)で攪拌しながら、表1の添加量となるようにエチルセルロースを徐々に加えてエチルセルロースを含有する有機ビヒクルを調製した。
なお、実験例1−1では、ポリビニルブチラールは添加していないため、エチルセルロースを含有する有機ビヒクルを調製するエチルセルロース有機ビヒクル調製工程のみを実施し、この際、表1に示した有機溶剤を全量使用した。
(分散工程)
次に分散工程を実施した。
分散工程ではまず、有機ビヒクル調製工程で調製した有機ビヒクルと、ニッケル粉末と、誘電体粉末であるBaTiO(チタン酸バリウム)とをミキサーに投入して攪拌した。そして得られたスラリーについて、さらにスリーロールミルを用いて完全分散させた。
なお、上述のように、有機ビヒクルとして、実験例1−1はエチルセルロースを含有する有機ビヒクルを、実験例1−2〜実験例1−5は、ポリビニルブチラールを含有する有機ビヒクル、及びエチルセルロースを含有する有機ビヒクルを用いた。
以下、具体的に条件を説明する。
ニッケル粉末としては、乾式法で作成された市販のニッケル粉末を用いた。なお、予めFE−SEMにより平均粒径を求めたところ0.4μmであった。
また、BaTiO粉末についても市販のBaTiO粉末を用い、予めSEMにより平均粒径を求めたところ0.1μmであった。
各実験例において表1に示した組成になるように原料を秤量し、ミキサーに入れて混合を行った。
そして、得られたスラリーについてスリーロールミルを用いて処理を行い、有機ビヒクル中にニッケル粉末及びBaTiO粉末を完全に分散させ、内部電極用ペーストとした。
得られた内部電極用ペーストについて、上述の方法により評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006613551
表1に示した結果によると、実験例1−1の密着性が×となっており、積層セラミックコンデンサとした場合にデラミネーション(層間剥離現象)が多くの試料で確認された。これに対して、実験例1−2〜実験例1−5ではいずれも密着性の評価が△以上となっており、デラミネーションの発生が抑制できていることを確認できた。すなわち、これらの試料においては、内部電極と誘電体層の密着性が高くなっていることを確認できた。
実験例1−1〜実験例1−5を比較すると、ニッケル粉末の含有量が100質量部の場合に、ポリビニルブチラールの含有量を1.0質量部以上、かつエチルセルロースの含有量を6.0質量部未満とすることにより密着性が向上していることを確認できた。特にポリビニルブチラールの含有量が2.0質量部以上である実験例1−3〜実験例1−5については密着性の評価が〇、または◎となっており、特に密着性が向上していることを確認できた。
また、いずれの実験例においても乾燥膜密度は4.79g/ml以上となっていることが確認できた。特に実験例1−1〜実験例1−4は乾燥膜密度が4.80g/ml以上であり、乾燥膜密度が高くなっていることを確認できた。
そして、いずれの実験例においてもシートアタックの評価は△であり、若干のシートアタックの発生は確認されたものの、誘電体層の特性に影響を与えない程度であることを確認できた。
[実験例2−1〜実験例2−9]
内部電極用ペーストを作製する際、各成分の含有量が表2になるようにした点以外は、上述の実験例1−1〜実験例1−5の場合と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。
なお、実験例2−1〜実験例2−9はいずれも実施例となる。また、実験例2−4は実験例1−3と同じ試料になる。
評価結果を表2に示す。
Figure 0006613551
表2に示した結果によると、いずれの実験例においても密着性は△、〇、◎いずれかの評価となっており、デラミネーションの発生を抑制できていることを確認できた。すなわち、これらの試料においては、内部電極と誘電体層の密着性が高くなっていることを確認できた。
実験例2−1〜実験例2〜9を比較すると、内部電極用ペースト内の樹脂含有率が高くなるにつれてシートアタックの評価が高くなることが確認できた。特に2.8質量%以上となっている実験例2−3〜実験例2−9では評価が△または〇となり、3.0質量%以上である実験例2−6〜実験例2−9では評価が〇になることが確認できた。すなわち樹脂含有率が高くなることによりシートアタックを抑制できることを確認できた。
ただし、ポリビニルブチラールの含有量が増加するに伴い、乾燥膜密度が低下することが確認され、ポリビニルブチラールを5質量部含む実験例2−9では乾燥膜密度が4.74g/mlまで低下することが確認された。
10 積層セラミックコンデンサ

Claims (4)

  1. 積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストであって、
    ニッケル粉末と、
    ポリビニルブチラールと、
    エチルセルロースと、
    ターピネオールである有機溶剤と、を含有しており、
    前記ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、
    前記ポリビニルブチラールの含有量が1.0質量部以上であり、
    前記エチルセルロースの含有量が5.0質量部以下であって、
    前記積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト中の、前記ポリビニルブチラールの含有量、及び前記エチルセルロースの含有量の合計が2.5質量%以上であり、
    基材上に塗布後、120℃で乾燥した後の膜密度が4.80g/ml以上である積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト。
  2. 前記ポリビニルブチラールの含有量と、前記エチルセルロースの含有量とが、質量比で、
    0.2≦(ポリビニルブチラールの含有量)/(エチルセルロースの含有量)
    の関係を満たす請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト。
  3. 前記ポリビニルブチラールの含有量と前記エチルセルロースの含有量との合計である有機樹脂の含有量と、前記有機溶剤の含有量とが、質量比で、
    (有機溶剤の含有量)/(有機樹脂の含有量)≦15
    の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを用いて形成した内部電極を含む積層セラミックコンデンサ。
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