JP2007088294A - 熱転写シート及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents
熱転写シート及び積層セラミックコンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 剥離層が転写層との剥離性に優れることから、積層セラミックコンデンサの製造に用いた場合に、熱転写をすることによって所望の導電パターンを形成することができるとともに、デラミネーションの発生を防止することが可能な熱転写シート、及び、該熱転写シートを用いた生産性に優れる積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】 基材シート、剥離層、及び、バインダー樹脂と無機粉末とを含有する転写層がこの順に積層されている熱転写シート。
【選択図】 なし
【解決手段】 基材シート、剥離層、及び、バインダー樹脂と無機粉末とを含有する転写層がこの順に積層されている熱転写シート。
【選択図】 なし
Description
本発明は、剥離性に優れることから、積層セラミックコンデンサの製造に用いた場合に、所望の導電パターンを形成することができるとともに、デラミネーションの発生を防止することが可能な熱転写シート、及び、該熱転写シートを用いてなり、生産性に優れる積層セラミックコンデンサに関する。
積層型の電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサは、多数の誘電体層と、これら誘電体層の間に配置され一端が対向する側面に交互に露出する内部電極と、対向する側面にそれぞれ設けられた一対の外部電極とから構成されている。
現在、このような積層セラミックコンデンサにおいては、小型化、大容量化が進んでおり、これに伴って誘電体及び内部電極の薄膜化、多層化が要求されている。
現在、このような積層セラミックコンデンサにおいては、小型化、大容量化が進んでおり、これに伴って誘電体及び内部電極の薄膜化、多層化が要求されている。
従来の積層セラミックコンデンサの誘電体層及び内部電極は、一般に次のような工程を経て製造される。ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。このスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に流延成形する。これを加熱等により、溶剤等の揮発分を溜去させセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を製造し、この積層体中に含まれるバインダー樹脂成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行い、焼成して得られるセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
しかしながら、このようなスクリーン印刷法では、パターンを形成した版の位置を決める工程、導電ペーストを印刷する工程、版を離した後セラミックグリーンシートを移動する工程等の工程が必要であり、生産速度が上がらないという問題があった。
これに対して、特許文献1又は特許文献2では、グラビア印刷法による検討がなされている。この方法によれば、グラビアロールにて連続的に電極パターンを形成できるため、生産スピードを上げることができる。しかしながら、この方法では、導電ペーストの粘度が低く、印刷方向終端側に滲みが発生しやすいため、目的とするパターン形成をすることが困難であるという問題があった。
また、セラミックグリーンシートを積層する工程においては、セラミックグリーンシートの薄層化に伴い、支持体から剥離する際に、セラミックグリーンシートに亀裂や皺が発生し易く、層間の接着性が不充分となり、デラミネーションと呼ばれる層間剥離や導電パターン間でショートが起こるため、積層体を作製することが困難であるという問題があった。
特開平08−250370号公報
特開2003−133160号公報
本発明は、上記現状に鑑み、剥離性に優れることから、積層セラミックコンデンサの製造に用いた場合に、所望の導電パターンを形成することができるとともに、デラミネーションの発生を防止することが可能な熱転写シート、及び、該熱転写シートを用いた生産性に優れる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、基材シート、剥離層、及び、バインダー樹脂と無機粉末とを含有する転写層がこの順に積層されている熱転写シートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、積層セラミックコンデンサを製造する場合に、基材シートと、バインダー樹脂と無機粉末とを含有する転写層との間に、剥離層が積層されている熱転写シートを用いることで、熱転写を行う際に優れた剥離性を発揮して、所望の導電パターンを形成することができるとともに、デラミネーション等の不具合の発生を防止して、積層セラミックコンデンサの生産性を向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の熱転写シートは、基材シート、剥離層、及び、バインダー樹脂と無機粉末とを含有する転写層がこの順に積層されている。
これにより、例えば、本発明の熱転写シートを導電パターンの転写に用いる場合には、被転写体に所望の導電パターンを形成することができ、セラミックグリーンシートの転写に用いる場合には、デラミネーション等の発生を防止することができる。
これにより、例えば、本発明の熱転写シートを導電パターンの転写に用いる場合には、被転写体に所望の導電パターンを形成することができ、セラミックグリーンシートの転写に用いる場合には、デラミネーション等の発生を防止することができる。
上記基材シートとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
上記基材シートの厚さとしては、基材シートとして成膜可能な厚さであり、可撓性とともに基材として充分な剛性及び強度を有する厚さであれば特に限定されないが、好ましい下限が5μm、好ましい上限が100μmである。
上記基材シートの厚さとしては、基材シートとして成膜可能な厚さであり、可撓性とともに基材として充分な剛性及び強度を有する厚さであれば特に限定されないが、好ましい下限が5μm、好ましい上限が100μmである。
上記剥離層は、熱転写を行う際に優れた剥離性を発揮し、転写層を被転写体に移行させるものである。
上記剥離層としては、熱転写時に被転写体に移行するもの、基材シート側に残るもの、又は、凝集破壊するもの等を適宜選択することができるが、基材シート側に残るものであることが好ましい。上記剥離層が基材シート側に残ることによって、積層体を焼成した後のデラミネーションの発生を防止し、電気特性の安定化させることができる。
上記剥離層としては、熱転写時に被転写体に移行するもの、基材シート側に残るもの、又は、凝集破壊するもの等を適宜選択することができるが、基材シート側に残るものであることが好ましい。上記剥離層が基材シート側に残ることによって、積層体を焼成した後のデラミネーションの発生を防止し、電気特性の安定化させることができる。
上記剥離層としては、例えば、シリコーン変性アクリル系樹脂、シリコーンワックス等の各種ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等を含有するものを用いることができる。なかでも、熱転写時に剥離層が基材シート側に残るものとなるため、シリコーン変性アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。上記シリコーン変性アクリル系樹脂のうち、市販されているものとしては、セルトップ226(ダイセル化学工業社製)を好適に用いることができる。
上記剥離層の厚さの好ましい上限は0.3μmである。0.3μmを超えると、転写の際、転写層と共に剥離層の一部が転写され、転写された導電層等の表面に凹凸ができるため、積層体を焼成したときにデラミネーションが発生することがある。
上記転写層は、バインダー樹脂及び無機粉末を含有する。
上記バインダー樹脂としては特に限定されず、例えば、エチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を用いることができる。
上記バインダー樹脂としては特に限定されず、例えば、エチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を用いることができる。
上記無機粉末としては特に限定されず、例えば、導電粉末、セラミック粉末等が挙げられる。
上記無機粉末として、導電粉末を用いる場合、本発明の熱転写シートは導電層転写シートとして使用することができる。このような導電層転写シートは、熱転写によって所望の導電パターンを形成することができ、積層セラミックコンデンサの製造に好適に用いられる。
上記無機粉末として、導電粉末を用いる場合、本発明の熱転写シートは導電層転写シートとして使用することができる。このような導電層転写シートは、熱転写によって所望の導電パターンを形成することができ、積層セラミックコンデンサの製造に好適に用いられる。
上記導電粉末としては、充分な導電性を示すものであれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅、又は、これらの合金等からなる微粒子等が挙げられる。これらの導電粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記導電粉末を用いる場合の上記バインダー樹脂の含有量としては特に限定されないが、上記導電粉末100重量部に対して好ましい下限は3重量部、好ましい上限は25重量部である。3重量部未満であると、導電層の成膜性能が低下することがあり、25重量部を超えると、脱脂、焼成後にカーボン成分が残留しやすくなる。より好ましい下限は5重量部、より好ましい上限は15重量部である。
上記無機粉末として、セラミック粉末を用いる場合、本発明の熱転写シートは誘電層転写シートとして使用することができる。このような誘電層転写シートは、導電パターンを形成しなかった部分に誘電層を転写し、導電パターンを形成した部分と形成しなかった部分との段差を吸収することができ、積層セラミックコンデンサの製造に好適に用いられる。
また、上記無機粉末として、セラミック粉末を用い、転写層をセラミックグリーンシートとした場合、本発明の熱転写シートをセラミックグリーンシートの転写に使用することができる。これにより、セラミックグリーンシートを薄膜化した場合も、セラミックグリーンシートに亀裂、皺等が発生することなく、積層セラミックコンデンサの製造に好適に用いることができる。
上記セラミック粉末としては特に限定されず、複合酸化物又は酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等、又は、これらを混合した粉末を用いることができる。具体的には、例えば、チタン酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化マンガン等の粉末が挙げられる。これらのセラミック粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記セラミック粉末を用いる場合の上記バインダー樹脂の含有量としては特に限定されないが、上記セラミック粉末100重量部に対して好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。1重量部未満であると、誘電層又はセラミックグリーンシートの成膜性能が低下することがあり、50重量部を超えると、脱脂、焼成後にカーボン成分が残留しやすくなる。より好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記転写層は、更に、分散剤を含有してもよい。
上記分散剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪酸、脂肪族アミン、アルカノールアミド、リン酸エステル等が好適に用いられる。
上記脂肪酸としては特に限定されず、例えば、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、ヤシ脂肪酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好適である。
上記分散剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪酸、脂肪族アミン、アルカノールアミド、リン酸エステル等が好適に用いられる。
上記脂肪酸としては特に限定されず、例えば、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、ヤシ脂肪酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好適である。
上記脂肪族アミンとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アルキル(ヤシ)アミン、アルキル(硬化牛脂)アミン、アルキル(牛脂)アミン、アルキル(大豆)アミン等が挙げられる。
上記アルカノールアミドとしては特に限定されず、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
上記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
上記アルカノールアミドとしては特に限定されず、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
上記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
上記転写層は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の熱転写シートを製造する方法としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる基材シート上に、シリコーン樹脂、触媒、有機溶剤等を含有する剥離層用樹脂組成物を塗工、乾燥することにより剥離層を形成し、更に形成した剥離層上に、ポリビニルブチラール樹脂、有機溶剤、無機粉末等を混合して得られた転写層用ペーストを塗工、乾燥することにより転写層を形成して製造することができる。
上記剥離層用樹脂組成物を塗工する方法としては特に限定されず、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、ワイヤーバーコート等の従来公知の方法が挙げられる。
上記転写層用ペーストを作製する際に原材料を混合する方法としては特に限定されず、例えば、ブレンダーミル、3本ロール、ビーズミル等の各種混合機を用いる方法が挙げられる。
上記転写層用ペーストの塗工する方法としては特に限定されず、例えば、ドクターブレード、エクストルージョンコーター、ワイヤーバーコーター等、又は、スクリーン印刷機、グラビア印刷機等を用いる方法が挙げられる。
上記転写層用ペーストを作製する際に原材料を混合する方法としては特に限定されず、例えば、ブレンダーミル、3本ロール、ビーズミル等の各種混合機を用いる方法が挙げられる。
上記転写層用ペーストの塗工する方法としては特に限定されず、例えば、ドクターブレード、エクストルージョンコーター、ワイヤーバーコーター等、又は、スクリーン印刷機、グラビア印刷機等を用いる方法が挙げられる。
本発明の熱転写シートを用いて積層セラミックコンデンサを製造することができる。
上記積層セラミックコンデンサを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、導電層転写シートの基材シート側からサーマルヘッドをあて、導電パターンをセラミックグリーンシートに転写し導電層を形成し、誘電層転写シートを用いて導電層と同様の方法によって、導電層を形成しなかった部分に誘電層を転写、形成する方法を用いることができる。更に、この導電層及び誘電層上にセラミックグリーンシートを転写して積層していく方法を用いることができる。
これらのようにして得られる本発明の積層セラミックコンデンサは、生産効率が高く、導電層を転写した部分と転写しなかった部分との段差が生じることがないため、デラミネーションの発生を防止することができる。
熱転写シートを用いた積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミックグリーンシート上に導電層を転写する工程、及び、前記導電層が形成されていない部分に誘電層を転写する工程を有する積層セラミックコンデンサの製造方法もまた、本発明の一つである。
更に、導電層及び誘電層上にセラミックグリーンシートを転写する工程を有する積層セラミックコンデンサの製造方法を用いてもよい。
また、これらのような積層セラミックコンデンサの製造方法によって製造された積層セラミックコンデンサもまた、本発明の一つである。
上記積層セラミックコンデンサを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、導電層転写シートの基材シート側からサーマルヘッドをあて、導電パターンをセラミックグリーンシートに転写し導電層を形成し、誘電層転写シートを用いて導電層と同様の方法によって、導電層を形成しなかった部分に誘電層を転写、形成する方法を用いることができる。更に、この導電層及び誘電層上にセラミックグリーンシートを転写して積層していく方法を用いることができる。
これらのようにして得られる本発明の積層セラミックコンデンサは、生産効率が高く、導電層を転写した部分と転写しなかった部分との段差が生じることがないため、デラミネーションの発生を防止することができる。
熱転写シートを用いた積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミックグリーンシート上に導電層を転写する工程、及び、前記導電層が形成されていない部分に誘電層を転写する工程を有する積層セラミックコンデンサの製造方法もまた、本発明の一つである。
更に、導電層及び誘電層上にセラミックグリーンシートを転写する工程を有する積層セラミックコンデンサの製造方法を用いてもよい。
また、これらのような積層セラミックコンデンサの製造方法によって製造された積層セラミックコンデンサもまた、本発明の一つである。
本発明によれば、剥離層が転写層との剥離性に優れることから、積層セラミックコンデンサの製造に用いた場合に、熱転写によって所望の導電パターンを形成することが可能な熱転写シートを提供することができる。また、この熱転写シートを用いることによって、デラミネーションの発生がなく、生産に要する時間が短い積層セラミックコンデンサを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
(剥離シートの作製)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成の剥離層を形成し、乾燥して剥離シートを得た。乾燥後の剥離層の厚さは0.2μmであった。
シリコーン変性アクリル系樹脂(セルトップ226、ダイセル化学工業社製) 16重量部
アルミニウム触媒(セルトップCAT−A、ダイセル化学工業製) 3重量部
メチルエチルケトン 8重量部
トルエン 8重量部
(剥離シートの作製)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成の剥離層を形成し、乾燥して剥離シートを得た。乾燥後の剥離層の厚さは0.2μmであった。
シリコーン変性アクリル系樹脂(セルトップ226、ダイセル化学工業社製) 16重量部
アルミニウム触媒(セルトップCAT−A、ダイセル化学工業製) 3重量部
メチルエチルケトン 8重量部
トルエン 8重量部
(導電層転写シートの作製)
導電粉末としてのニッケル微粒子(2020SS、三井金属社製)100重量部に対して、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、積水化学工業社製)7重量部とα−テルピネオール60重量部とを加え、三本ロールで混練して導電ペーストを得た。混練は光学顕微鏡にて凝集物(未解砕物)が認められなくなるまでロールを通すことにより行った。得られた導電ペーストをテルピネオール80重量部添加することで希釈した後、剥離シートに塗布し、導電層転写シートを作製した。乾燥後の導電層の厚さは1μmであった。
導電粉末としてのニッケル微粒子(2020SS、三井金属社製)100重量部に対して、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、積水化学工業社製)7重量部とα−テルピネオール60重量部とを加え、三本ロールで混練して導電ペーストを得た。混練は光学顕微鏡にて凝集物(未解砕物)が認められなくなるまでロールを通すことにより行った。得られた導電ペーストをテルピネオール80重量部添加することで希釈した後、剥離シートに塗布し、導電層転写シートを作製した。乾燥後の導電層の厚さは1μmであった。
(セラミックグリーンシートの作製)
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、重合度800、積水化学工業社製)6重量部を、トルエン70重量部とエタノール70重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解し、更に、可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。こうして得られた樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BT−01、平均粒径0.1μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
得られたセラミックスラリー組成物を、剥離シート上に、乾燥後の厚さが約1μmになるように塗布し、常温で1時間風乾し、更に熱風乾燥機、80℃で3時間、続いて120℃で2時間乾燥させて、セラミックグリーンシートを作製した。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、重合度800、積水化学工業社製)6重量部を、トルエン70重量部とエタノール70重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解し、更に、可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。こうして得られた樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BT−01、平均粒径0.1μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
得られたセラミックスラリー組成物を、剥離シート上に、乾燥後の厚さが約1μmになるように塗布し、常温で1時間風乾し、更に熱風乾燥機、80℃で3時間、続いて120℃で2時間乾燥させて、セラミックグリーンシートを作製した。
(誘電層転写シートの作製)
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、重合度800、積水化学工業社製)を4重量部とした以外は、セラミックグリーンシートの作製と同様に誘電ペーストを得た。
得られた誘電ペーストを、剥離シート上に、乾燥後の厚さが約1μmになるように塗布し、誘電層転写シートを作製した。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BM−S」、重合度800、積水化学工業社製)を4重量部とした以外は、セラミックグリーンシートの作製と同様に誘電ペーストを得た。
得られた誘電ペーストを、剥離シート上に、乾燥後の厚さが約1μmになるように塗布し、誘電層転写シートを作製した。
(積層体の作製)
作製した導電層転写シートの剥離シート側からサーマルヘッドにて加熱することによって、作製したセラミックグリーンシートの片面に導電パターンを転写した。このとき、転写された導電パターンを目視にて観察したところ、シャープなラインが形成されていた。
導電パターンを転写しなかった部分については、誘電層転写シートを用いて同様の方法で誘電層を転写することで、段差を無くした。セラミックグリーンシートへの導電パターン及び誘電層を転写する速度は、約10m/分であった。
得られた導電層及び誘電層を形成したセラミックグリーンシートを5cm角の大きさに切断し、更に導電層及び誘電層を有するセラミックグリーンシートを熱転写により100枚積重ね、温度70℃、圧力150kg/cm2、10分間の熱圧着条件で圧着して、セラミックグリーンシート積層体を得た。得られたセラミックグリーンシート積層体を窒素雰囲気で、昇温速度3℃/分で450℃まで昇温し、5時間保持後、更に昇温速度5℃/分で1350℃まで昇温し、10時間保持してセラミック焼結体を得た。
作製した導電層転写シートの剥離シート側からサーマルヘッドにて加熱することによって、作製したセラミックグリーンシートの片面に導電パターンを転写した。このとき、転写された導電パターンを目視にて観察したところ、シャープなラインが形成されていた。
導電パターンを転写しなかった部分については、誘電層転写シートを用いて同様の方法で誘電層を転写することで、段差を無くした。セラミックグリーンシートへの導電パターン及び誘電層を転写する速度は、約10m/分であった。
得られた導電層及び誘電層を形成したセラミックグリーンシートを5cm角の大きさに切断し、更に導電層及び誘電層を有するセラミックグリーンシートを熱転写により100枚積重ね、温度70℃、圧力150kg/cm2、10分間の熱圧着条件で圧着して、セラミックグリーンシート積層体を得た。得られたセラミックグリーンシート積層体を窒素雰囲気で、昇温速度3℃/分で450℃まで昇温し、5時間保持後、更に昇温速度5℃/分で1350℃まで昇温し、10時間保持してセラミック焼結体を得た。
(比較例)
実施例で得られた導電ペーストをセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷により導電パターンを印刷した。このとき、転写された導電パターンを目視にて観察したところ、一部で25μm程度の滲みが見られた。
導電パターンを印刷しなかった部分については、実施例で得られた誘電ペーストを40℃で加熱し、撹拌して余剰のエタノール及びトルエンを揮発させて調整し、同様にスクリーン印刷することで、段差を無くした。セラミックグリーンシートへの導電パターンを印刷する速度は、約4m/分であった。
得られた導電層及び誘電層を形成したセラミックグリーンシートを実施例と同様の方法で積層、焼結し、セラミック焼結体を得た。
実施例で得られた導電ペーストをセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷により導電パターンを印刷した。このとき、転写された導電パターンを目視にて観察したところ、一部で25μm程度の滲みが見られた。
導電パターンを印刷しなかった部分については、実施例で得られた誘電ペーストを40℃で加熱し、撹拌して余剰のエタノール及びトルエンを揮発させて調整し、同様にスクリーン印刷することで、段差を無くした。セラミックグリーンシートへの導電パターンを印刷する速度は、約4m/分であった。
得られた導電層及び誘電層を形成したセラミックグリーンシートを実施例と同様の方法で積層、焼結し、セラミック焼結体を得た。
(評価)
(デラミネーション評価)
実施例及び比較例で作製したセラミック焼結体について、常温まで冷却した後、半分に割り、ちょうど50層付近のシートの状態を電子顕微鏡で観察し、セラミック層と導電層とのデラミネーションの有無を観察した。
実施例で作製したセラミック焼結体については、デラミネーションは認められなかった。比較例で作製したセラミック焼結体については、10%以上の割合でデラミネーションが認められた。
(デラミネーション評価)
実施例及び比較例で作製したセラミック焼結体について、常温まで冷却した後、半分に割り、ちょうど50層付近のシートの状態を電子顕微鏡で観察し、セラミック層と導電層とのデラミネーションの有無を観察した。
実施例で作製したセラミック焼結体については、デラミネーションは認められなかった。比較例で作製したセラミック焼結体については、10%以上の割合でデラミネーションが認められた。
本発明によれば、剥離性に優れることから、積層セラミックコンデンサの製造に用いた場合に、所望の導電パターンを形成することができるとともに、デラミネーションの発生を防止することが可能な熱転写シート、及び、該熱転写シートを用いた生産性に優れる積層セラミックコンデンサを提供することができる。
Claims (6)
- 基材シート、剥離層、及び、バインダー樹脂と無機粉末とを含有する転写層がこの順に積層されていることを特徴とする熱転写シート。
- 無機粉末は、導電粉末であることを特徴とする請求項1記載の熱転写シート。
- 無機粉末は、セラミック粉末であることを特徴とする請求項1記載の熱転写シート。
- 請求項1記載の熱転写シートを用いた積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミックグリーンシート上に導電層を転写する工程、及び、前記導電層が形成されていない部分に誘電層を転写する工程を有することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 更に、導電層及び誘電層上にセラミックグリーンシートを転写する工程を有することを特徴とする請求項4記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 請求項4又は5記載の積層セラミックコンデンサの製造方法により製造されることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
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