(二次電池用非水電解液)
本実施の形態に係る二次電池用非水電解液(以下、「非水電解液」という。)は、電解質を溶解させた有機溶媒(非水溶媒)に、少なくとも1種の後述の成分(A)を添加剤として含むものである。
初期の充電の際に非水電解液の分解という不可逆反応が、電極と非水電解液の界面で生じる。電極活物質、非水電解液中の非水溶媒や電解質および添加剤の種類、充放電条件に応じて形成される皮膜の性質、例えば熱安定性やイオン伝導性、モフォロジー、緻密さなどの性質は大きく変化すると考えられる。本実施の形態に於いても、非水電解液に成分(A)を添加することで、電極活物質の表面に皮膜が形成され、この皮膜の性質、すなわち、熱安定性や膜質等の効能に起因して、二次電池の高温環境下(例えば、40℃〜80℃)でのサイクル特性の改善が図られると考えられる。
<成分(A)>
前記成分(A)は、非水電解液中に少なくとも1種含まれており、具体的には、下記化学式(1)で表される化合物である。
前記化学式(1)において、前記Mn+は水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン及びオニウムイオンからなる群より選ばれる何れか1種を表す。
前記アルカリ金属イオンとしては特に限定されず、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記遷移金属イオンとしては特に限定されず、例えば、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、クロムイオン、銅イオン、銀イオン、モリブデンイオン、タングステンイオン、バナジウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン(NH4+)、第1級アンモニウムイオン、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオン、第4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられる。
前記第1級アンモニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記第2級アンモニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、エチルメチルアンモニウムイオン、メチルプロピルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、プロピルブチルアンモニウムイオン、ジイソプロピルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記第3級アンモニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、エチルジメチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、トリイソプロピルアンモニウムイオン、ジメチルイソプロピルアンモニウムイオン、ジエチルイソプロピルアンモニウムイオン、ジメチルプロピルアンモニウムイオン、ブチルジメチルアンモニウムイオン、1−メチルピロリジニウムイオン、1−エチルピロリジニウムイオン、1−プロピルピロリジニウムイオン、1−ブチルプロピルピロリジニウムイオン、1−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチルイミダゾリウムイオン、1−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチルイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、1−メチルピラゾリウムイオン、1−エチルピラゾリウムイオン、1−プロピルピラゾリウムイオン、1−ブチルピラゾリウムイオン、ピリジニウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記第4級アンモニウムイオンをなす第4級アンモニウムとしては特に限定されず、例えば、脂肪族4級アンモニウム類、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ピラゾリウム類、ピリダジニウム類等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
さらに、前記脂肪族4級アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、1−エチル−1−メチル−ピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチル−ピペリジニウム、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記イミダゾリウム類としては特に限定されず、例えば、1.3ジメチル−イミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記ピリジニウム類としては特に限定されず、例えば、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−n−プロピルピリジニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記ピラゾリウム類としては特に限定されず、例えば、1,2−ジメチルピラゾリウム、1−メチル−2−エチルピラゾリウム、1−プロピル−2−メチルピラゾリウム、1−メチル−2−ブチルピラゾリウム、1−メチルピラゾリウム、3−メチルピラゾリウム、4−メチルピラゾリウム、4−ヨードピラゾリウム、4−ブロモピラゾリウム、4−ヨードー3−メチルピラゾリウム、4−ブロモー3−メチルピラゾリウム、3−トリフルオロメチルピラゾリウムが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記ピリダジニウム類としては特に限定されず、例えば、1−メチルピリダジニウム、1−エチルピリダジニウム、1−プロピルピリダジニウム、1−ブチルピリダジニウム、3−メチルピリダジニウム、4−メチルピリダジニウム、3−メトキシピリダジニウム、3,6−ジクロロピリダジニウム、3,6−ジクロ−4−メチルピリダジニウム、3−クロロ−6−メチルピリダジニウム、3−クロロー6−メトキシピリダジニウムが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記第4級ホスホニウムイオンをなす第4級ホスホニウムとしては特に限定されず、例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記スルホニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、トリメチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリエチルスルホニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記Mn+の例示として列挙したもののうち、入手容易性の観点からは、リチウム、ナトリウムイオン、カリウム、マグネシウム、カルシウム、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルイミダゾリウムイオン、アルキルピロリジニウムイオン、アルキルピリジニウムイオンが好ましい。
前記Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子とは、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素のいずれかである。これらのハロゲン原子のうち、化学式(1)で表される化合物の加水分解および熱安定性の観点からは、フッ素が特に好ましい。
前記化学式(1)において、前記R1は、炭化水素基、又はハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基(以下、「ハロゲン原子等を有する炭化水素基」という。)を表す。前記炭化水素基の炭素数は1〜20であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、ハロゲン原子等を有する炭化水素基の炭素数は1〜20であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく1〜3の範囲が特に好ましい。
前記炭化水素基又はハロゲン原子等を有する炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−アミノ−2−ナフチル基等のナフチル基等が挙げられる。
尚、前記ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の原子を意味する。ハロゲン原子を有する炭化水素基とは、当該炭化水素基中の水素の一部又は全部がこれらのハロゲン原子の何れかで置換されていてもよいことを意味する。また、ヘテロ原子とは、酸素、窒素又は硫黄等の原子を意味する。ヘテロ原子を有する炭化水素基とは、当該炭化水素基中の水素及び炭素の一部又は全部がこれらのヘテロ原子の何れかで置換されていてもよいことを意味する。
前記ヘテロ原子を有する炭化水素基としては、具体的には、例えば、2−メトキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル基、2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル基等が挙げられる。
尚、前記化学式(1)に於いて、前記nは価数を表す。例えば、前記Mが1価のカチオンである場合はn=1であり、2価のカチオンである場合はn=2であり、3価のカチオンである場合はn=3である。
前記化学式(1)で表されるモノフルオロリン酸エステル塩の具体例としては、例えば、モノフルオロリン酸エチル、モノフルオロリン酸メチルリチウム、モノフルオロリン酸エチルリチウム、モノフルオロリン酸イソプロピルリチウム、モノフルオロリン酸ブチルリチウム、モノフルオロリン酸(2−エトキシエチル)リチウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリクロロエチル)リチウム、モノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロイソプロピル)リチウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)リチウム、モノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)リチウム、モノフルオロリン酸(2−メトキシエチル)リチウム、モノフルオロリン酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)リチウム、モノフルオロリン酸(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)リチウム、モノフルオロリン酸(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)リチウム、モノフルオロリン酸メチルナトリウム、モノフルオロリン酸エチルナトリウム、モノフルオロリン酸プロピルナトリウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリクロロエチル)リン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリクロロエチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロイソプロピル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2−メトキシエチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)ナトリウム、モノフルオロリン酸(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)ナトリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸メチル、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸メチル、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(2,2,2−トリクロロエチル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロイソプロピル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(2−メトキシエチル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノフルオロリン酸(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸メチル、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸エチル、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸プロピル、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(2,2,2−トリクロロエチル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロイソプロピル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(2−メトキシエチル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)、トリエチルメチルアンモニウムモノフルオロリン酸(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)等が挙げられる。但し、前記モノフルオロリン酸エステル塩は、これらの化合物群に限定されない。
尚、前記に例示したモノフルオロリン酸エステル塩のうち、入手しやすさの観点からは、モノフルオロリン酸エチルリチウムが好ましい。
前記成分(A)の添加量は、非水電解液の全質量に対し0.05〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲内であることがさらに好ましい。前記添加量を0.05質量%以上にすることにより、二次電池の高温環境下でのサイクル特性を一層改善することができる。一方、前記添加量を5質量%以下にすることにより、非水電解液中の電解質の非水電解液溶媒に対する溶解性が低下するのを抑制することができる。
また、本実施の形態に於いて、成分(A)は、少なくとも1種類が非水電解液中に含まれていればよいが、含有させる成分(A)の種類の数は、好ましくは1〜5種類であり、より好ましくは1〜3種類であり、特に好ましくは1〜2種類である。成分(A)の種類を低減することにより、非水電解液の製造の際における工程の複雑化を抑制することができる。
<成分(A)の製造方法>
次に、成分(A)の製造方法について、成分(A)がモノフルオロリン酸エステル塩である場合(すなわち、前記化学式(1)中のXがフッ素原子である場合)を例にして、以下に説明する。
モノフルオロリン酸エステル塩の製造方法は、モノハロリン酸ジエステルをフッ素化処理して、モノフルオロリン酸ジエステルを生成する工程Aと、当該モノフルオロリン酸ジエステルとハロゲン化物を反応させ、モノフルオロリン酸エステル塩を生成する工程Bとを少なくとも含む。
前記工程Aで原料として使用するモノハロリン酸ジエステルは、下記化学式(7)で表されるものである。
前記化学式(7)において、前記R1は、前記化学式(1)中のR1と同様であり、すでに説明した通りである。さらに、前記化学式(7)における前記R6は、前記化学式(1)中のR1と同様である。従って、前記R6としては、前記R1の説明で列挙した官能基群から選ばれる。但し、R1とR6は同種でもよく、相互に異なっていてもよい。前記X13は、フッ素原子F以外のハロゲン原子を表す。
前記モノハロリン酸ジエステルのフッ素化処理によるフッ素化は、例えば、フッ素化剤としてフッ化カリウム等を有機溶媒中で接触させることにより行うことができる。これにより、下記化学反応式(8)で示されるような反応が起こり、モノフルオロリン酸ジエステルを生成することができる。
前記モノハロリン酸ジエステルとフッ素化剤が、非水溶媒下(有機溶媒中)で反応を開始する際の反応開始温度は、当該反応が進行する限りにおいて特に限定されず、反応種に応じて適宜設定すればよい。通常は、0℃〜200℃の範囲内であり、反応性の観点からは20〜150℃が好ましく、40℃〜120℃がより好ましい。反応開始温度を0℃以上にすることにより、反応速度が著しく減衰するのを防止することができる。また、反応開始温度を200℃以下にすることにより、過剰なエネルギーを使用することによるエネルギーロスを抑制することができる。反応開始温度の調整方法としては特に限定されず、前記温度範囲内となる様に冷却して制御する場合には、前記モノハロリン酸ジエステルとフッ素化剤が投入された反応容器を氷冷等することにより行うことができる。また、反応開始温度を前記温度範囲内となる様に加熱して制御する場合には、任意の温度に設定された油浴等することにより行うことができる。
前記モノハロリン酸ジエステルとフッ素化剤を非水溶媒下で反応させる際に用いられる溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒を用いることで当該フッ素化反応の阻害を防ぐことができる。プロトン性溶媒を用いた場合、モノハロリン酸ジエステルとプロトン性溶媒がハロゲン交換反応を引き起こしてしまう場合がある。また、このような求核フッ素化反応を行う場合、プロトン性溶媒中の水素元素とフッ素化剤のフッ素アニオンが水素結合による影響で著しくフッ素化能を低下させる。また、モノハロリン酸ジエステルを溶媒として用いることもできる。
前記非プロトン性溶媒としては特に限定されず、例えば、ニトリル類、エステル類、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。
前記ニトリル類としては特に限定されず、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。前記エステル類としては特に限定されず、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等が挙げられる。前記ケトン類としては特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。前記エーテル類としては特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコール等が挙げられる。前記ハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。さらにその他の非プロトン性溶媒としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの非プロトン性溶媒は一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記モノハロリン酸ジエステルとフッ素化剤との反応で用いられるフッ素化剤としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、オニウムフルオロライド等が挙げられる。
前記アルカリ金属フッ化物としては特に限定されず、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム等が挙げられる。また、前記アルカリ土類金属フッ化物としては特に限定されず、例えば、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム等が挙げられる。オニウムフルオロライドとしては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩、トリエチルアミン五フッ化水素酸塩、ビリジンフッ化水素酸塩、テトラブチルアンモニウムフルオライド等が挙げられる。これらのフッ素化剤は、一種単独で、又は二種類以上を併用することができる。
前記工程Bは、モノフルオロリン酸ジエステルと前記ハロゲン化物とを反応させることにより、モノフルオロリン酸エステル塩を生成する工程である。
前記ハロゲン化物は、化学式Mn+X14n(前記Mn+は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、希土類元素イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、ゲルマニウムイオン、スズイオン、鉛イオン及びオニウムイオンからなる群より選ばれる何れか1種を表す。前記X14は、F、Cl、Br又はIの何れかのハロゲン原子を表す。前記nは価数を表す。)で表される。
ここで、ハロゲン化物における前記Mn+は、すでに説明した通りであるので、詳細な説明は省略する。また、ハロゲン化物における前記nは、前記一般式(1)の場合と同様、価数を表す。
工程Bにおけるモノフルオロリン酸ジエステルとハロゲン化物との反応は、下記化学反応式(9)及び(10)で表される通りである。
すなわち、ハロゲン化物のハロゲンがモノフルオロリン酸エステルのR6に求核攻撃し、これにより、R1を含むモノフルオロリン酸エステルアニオンが脱離し、R6X14で表されるハロゲン化アルキルが生成する。さらに、脱離したモノフルオロリン酸エステルアニオンがハロゲン化物の対カチオンと塩を形成することにより、モノフルオロリン酸エステル塩が生成すると推測される。
ここで、前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルを反応させる際には、以下の化学式でそれぞれ表される、2つの脱離基が生じ得る。
(前記R
1は、炭素数が1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20の範囲であり、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基を表す。)
(前記R
6は、炭素数が1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20の範囲であり、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基を表す。)
そして、前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルを反応させ、モノフルオロリン酸エステル塩を製造する場合、R1とR6が異種のときには、化学式(11)で表されるモノフルオロリン酸エステルアニオンの脱離能が、化学式(12)で表されるモノフルオロリン酸エステルアニオンの脱離能よりも高いことを要する。これにより、R1を含む、本実施の形態のモノフルオロリン酸エステル塩を得ることができる。
脱離基であり、かつ、前記化学式(11)又は(12)で表されるモノフルオロリン酸エステルアニオンの脱離能は、例えば、それぞれのプロトン体のpKa値により、おおよそ推測される。具体的には、前記化学式(11)で表されるモノフルオロリン酸エステルアニオンのプロトン体、すなわちモノフルオロリン酸エステルのpKa値が、前記化学式(12)で表されるモノフルオロリン酸エステルアニオンのプロトン体よりも小さい方が好ましい。pKa値は、例えば、Bordwell pKa Table等から見積もることができる。あるいは、脱離基に電子求引基を含むようなものは脱離能が高いと推定することができる。
前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルを他の非水溶媒下で反応させ、モノフルオロリン酸エステル塩を製造する場合、当該所望の化合物が得られる限りハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルの使用量は、特に限定されない。通常は、ハロゲン化物1当量に対してモノフルオロリン酸ジエステルが、0.5当量〜5当量であり、好ましくは0.9当量〜4当量、より好ましくは0.95当量〜3.3当量である。モノフルオロリン酸ジエステルの使用量を0.5当量以上にすることにより、ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルとの反応性が悪化するのを防止し、未反応の水酸化物が残存するのを抑制することができる。その結果、モノフルオロリン酸エステル塩の純度の低下を抑制することができる。尚、当該モノフルオロリン酸ジエステルの使用量が5等量より大きいと、これを留去する際に必要以上の製造時間とエネルギーが必要となり、工業的に不利となる場合がある。
前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルが、他の非水溶媒下で反応を開始する際の反応開始温度は、当該反応が進行する限りにおいて特に限定されず、反応種に応じて適宜設定すればよい。通常は、0℃〜200℃の範囲内であり、反応性の観点からは20〜150℃が好ましく、40℃〜120℃がより好ましい。反応開始温度を0℃以上にすることにより、反応速度が著しく減衰するのを防止することができる。また、反応開始温度を200℃以下にすることにより、過剰なエネルギーを使用することによるエネルギーロスを抑制することができる。反応開始温度の調整方法としては特に限定されず、前記温度範囲内となる様に冷却して制御する場合には、前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルが投入された反応容器を氷冷等することにより行うことができる。また、反応開始温度を前記温度範囲内となる様に加熱して制御する場合には、任意の温度に設定された油浴等することにより行うことができる。
前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルを、他の非水溶媒下で反応させる際の反応時間は特に限定されず、反応種に応じて適宜設定すればよい。通常は、30分〜20時間の範囲内であり、工業的生産の観点からは30分〜15時間が好ましく、30分〜10時間がより好ましい。
前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルとの反応においては、反応溶媒として、前記他の非水溶媒のほかに当該モノフルオロリン酸ジエステルを用いることができる。この場合、前記ハロゲン化物とモノフルオロリン酸ジエステルが反応を開始する反応開始温度は、当該反応が進行する限りにおいて特に限定されず、反応種に応じて適宜設定すればよい。通常は、0℃〜200℃の範囲内であり、反応性の観点からは20℃〜150℃が好ましく、40℃〜120℃がより好ましい。また、反応時間も特に限定されず、反応種に応じて適宜設定すればよい。通常は、30分〜20時間の範囲内であり、工業的生産の観点からは30分〜15時間が好ましく、30分〜10時間がより好ましい。
前記他の非水溶媒(有機溶媒)としては、他の反応物や生成物と反応するような支障が生じない限り、特に限定されない。具体的には、例えば、アルコール類、ニトリル類、エステル類、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらは、一種単独で、又は二種類以上を使用することができる。
前記アルコール類としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−ヨードエタノール、2−ブロモエタノール、2−クロロエタノール、2−フルオロエタノール、1,2−ジヨードエタノール、1,2−ジブロモエタノール、1,2−ジクロロエタノール、1,2−ジフルオロエタノール、2,2−ジヨードエタノール、2,2−ジブロモエタノール、2,2−ジクロロエタノール、2,2−ジフルオロエタノール、2,2,2−トリブロモエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどが挙げられる。これらは、一種単独で、又は二種類以上を使用することができる。
前記ニトリル類としては特に限定されず、例えば、アセトニトリル、プロピオ二トリル等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記エステル類としては特に限定されず、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記ケトン類としては特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記エーテル類としては特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
前記ハロゲン化炭化水素としは特に限定されず、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
また、前記他の非水溶媒(有機溶媒)のその他の例として、ニトロメタン、ニトロエタン、ジメチルホルムアミド等も挙げられる。
前記他の非水溶媒(有機溶媒)の使用量は、前記モノフルオロリン酸ジエステルに対し、質量基準で1倍量以上が好ましく、1倍量〜200倍量がより好ましく、1倍量〜100倍量がさらに好ましく、1倍量〜50倍量が特に好ましい。有機溶媒の使用量を1倍量以上にすることにより、リン酸トリエステルと水酸化物との反応性が悪化するのを防止し、リン酸ジエステル塩の収率やその純度の低下を抑制することができる。尚、有機溶媒の使用量の上限については特に限定されないが、モノフルオロリン酸ジエステルに対し過剰に有機溶媒を用いると、これを留去する際に必要以上のエネルギーが必要となり、工業的に不利となる場合がある。従って、有機溶媒の使用量の上限については、反応種に応じて適宜設定するのが好ましい。
反応溶媒として有機溶媒を用いる場合、ハロゲン化物及びモノフルオロリン酸ジエステルの添加順序は、特に限定されない。また、反応溶媒としてモノフルオロリン酸ジエステルを用いる場合、ハロゲン化物及びモノフルオロリン酸ジエステルの添加順序は、特に限定されない。
本実施の形態の方法で得られたモノフルオロリン酸エステル塩は、溶解度を利用したカチオン交換、又はイオン交換樹脂等を用いたカチオン交換を行うことにより、所望の別種のカチオンを有するモノフルオロリン酸エステル塩を製造することもできる。
また、本実施の形態の方法で得られたモノフルオロリン酸エステル塩を、硫酸又は塩酸等のアレニウス酸と反応させることで、モノフルオロリン酸エステルを製造することもできる。また、イオン交換樹脂を用いてプロトン交換を行うことでも、モノフルオロリン酸エステルを得ることができる。さらに、これらの方法で得られたモノフルオロリン酸エステルを、ハロゲン化物又は水酸化物と反応させることで、モノフルオロリン酸エステル塩を製造することもできる。
尚、本実施の形態においては、モノフルオロリン酸エステル塩を生成する工程の直後に、当該モノフルオロリン酸エステル塩を精製する工程を行ってもよい。また、別種のカチオンを有するモノフルオロリン酸エステル塩を製造する工程の直後においても、モノフルオロリン酸エステル塩に対しカチオン交換を行うことにより、精製を行うことができる。さらに、前記モノフルオロリン酸エステルを前記ハロゲン化物と反応させてモノフルオロリン酸エステル塩を生成した直後においても、精製を行うことができる。精製方法としては特に限定されず、例えば、蒸留、乾燥等の操作による方法や、活性炭又はイオン交換樹脂等の吸着剤等を使用する方法を採用することができる。これらの精製を行うことにより、モノフルオロリン酸エステル塩の純度を高めることができる。
<成分(B)>
本実施の形態の非水電解液においては、少なくとも1種の後述の成分(B)を、さらに添加剤として含有してもよい。これにより、さらに一層高温環境下でのサイクル特性を改善することができる。
また、前記成分(A)を含む非水電解液に以下に示す成分(B)を含むことができる。
前記成分(B)は、下記成分(b1)又は成分(b2)の何れかを含む。
成分(b1):1種のホウ素錯体塩。
成分(b2):ホウ酸エステル、酸無水物、不飽和結合を有する環状カーボネート、ハロゲン原子を有する環状カーボネート、環状スルホン酸エステル、アセトアセチル基を有するアミン類及びリン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
[ホウ素錯体塩]
前記成分(b1)のホウ素錯体塩は、具体的には、下記化学式(2)で表されるものである。
前記化学式(2)において、Mn+については、すでに説明した通りであり、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン及びオニウムイオンからなる群より選ばれる何れかを表す。従って、これらの詳細な説明は省略する。
前記化学式(2)において、前記X1〜X4はそれぞれ独立しており、任意に選択される1又は2つの組合せが、−OOC−Y−COO−、−O−Y−O−又は−OOC−Y−O−の環状構造を形成したものを表す。その場合の前記Yは、炭素数が0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜10の炭化水素基、又は炭素数が0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5の範囲であって、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造を有する炭化水素基を表す。前記X1〜X4が前記−OOC−Y−COO−、−O−Y−O−又は−OOC−Y−O−の環状構造の何れか1つを2組有する場合、それぞれのYは異なっていてもよい。ここで、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を意味する。
前記Yとしては特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等の直鎖アルキレン基、ヨードメチレン基、ジヨードメチレン基、ブロモメチレン基、ジブロモメチレン基、フルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、ヨードエチレン基、1,1−ジヨードエチレン基、1,2−ジヨードエチレン基、トリヨードエチレン基、テトラヨードエチレン基、クロロエチレン基、1,1−ジクロロエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリクロロエチレン基、テトラクロロエチレン基、フルオロエチレン基、1,1−ジフルオロエチレン基、1,2−ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基、テトラフルオロエチレン基等の含ハロゲン直鎖アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、アントラシレン基、ナフタシレン基、ペンタシレン基のような環状炭化水素基及びその一部または全部をハロゲンに置き換えたもの等が挙げられる。
さらに、前記Yの炭素数が0の場合、−OOC−Y−COO−は−OOC−COO−であり、オキサレート基を表す。また、前記Yが1,2−フェニレン基である場合、−O−Y−O−はベンゼンジオラート基を表し、−O−Y−COO−はサリチラート基を表す。
また、前記X1〜X4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5のアルキル基、炭素数0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5のアルコキシ基、炭素数が0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造の少なくとも何れか1つを有するアルキル基、又は炭素数が0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造の少なくとも何れか1つを有するアルコキシ基であってもよい。ここで、前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。また、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を意味する。
前記X1〜X4は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ヨードメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ジヨードメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリヨードメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等の鎖状アルコキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキソキシ基等の環状アルコキシ基、2−ヨードエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,2−ジヨードエトキシ基、1,2−ジブロモエトキシ基、1,2−ジクロロトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、2,2−ジヨードエトキシ基、2,2−ジブロモエトキシ基、2,2−ジクロロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリブロモエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキソキシ基、2−ブロモシクロヘキソキシ基、2−クロロシクロヘキソキシ基、2−フルオロシクロヘキソキシ基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペノキシ基、イソプロペノキシ基、2−ブテノキシ基、3−ブテノキシ基等の鎖状アルケニルアルコキシ基、2−シクロペンテノキシ基、2−シクロヘキセノキシ基、3−シクロヘキセノキシ基等の環状アルケニルアルコキシ基、2−プロピノキシ基、1−ブチノキシ基、2−ブチノキシ基、3−ブチノキシ基、1−ペンチノキシ基、2−ペンチノキシ基、3−ペンチノキシ基、4−ペンチノキシ基等の鎖状アルキニルアルコキシ基、フェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基等のフェノキシ基、2−ヨードフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−ヨードフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、3−クロロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−ヨードフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、3,5−ジヨードフェノキシ基、3,5−ジブロフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基、3,5−ジフルオロフェノキシ基等の含ハロゲンフェノキシ基等が挙げられる。
前記X1〜X4は、相互に独立しており、同種でもよく異種であってもよい。また前記に例示した官能基群は単なる例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
前記化学式(2)で表されるホウ素錯体塩の具体例としては、例えば、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムビスマロナトボレート、リチウムビスサリチラートボレート、リチウムビス[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムオキサラトマロナトボレート、リチウムオキサラトサリチラートボレート、リチウムオキサラト[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジヨードオキサラトボレート、リチウムジブロモオキサラトボレート、リチウムジクロロオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムヨードクロロオキサラトボレート、リチウムヨードブロモオキサラトボレート、リチウムヨードフルオロオキサラトボレート、リチウムブロモクロロオキサラトボレート、リチウムブロモフルオロオキサラトボレート、リチウムクロロフルオロオキサラトボレート、リチウムジヨードマロナトボレート、リチウムジブロモマロナトボレート、リチウムジクロロマロナトボレート、リチウムジフルオロマロナトボレート、リチウムヨードクロロマロナトボレート、リチウムヨードブロモマロナトボレート、リチウムヨードフルオロマロナトボレート、リチウムブロモクロロマロナトボレート、リチウムブロモフルオロマロナトボレート、リチウムクロロフルオロマロナトボレート、リチウムジヨードサリチラートボレート、リチウムジブロモサリチラートボレート、リチウムジクロロサリチラートボレート、リチウムジフルオロサリチラートボレート、リチウムヨードクロロサリチラートボレート、リチウムヨードブロモサリチラートボレート、リチウムヨードフルオロサリチラートボレート、リチウムブロモクロロサリチラートボレート、リチウムブロモフルオロサリチラートボレート、リチウムクロロフルオロサリチラートボレート、リチウムジヨード[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジブロモ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードブロモ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムブロモクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムブロモフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムクロロフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムテトラヨードボレート、リチウムテトラブロモボレート、リチウムテトラクロロボレート、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムヨードトリブロモボレート、リチウムヨードトリクロロボレート、リチウムヨードトリフルオロボレート、リチウムジヨードジブロモボレート、リチウムジヨードジクロロボレート、リチウムジヨードジフルオロボレート、リチウムトリヨードブロモボレート、リチウムトリヨードクロロボレート、リチウムトリヨードフルオロボレート、リチウムブロモトリクロロボレート、リチウムブロモトリフルオロボレート、リチウムジブロモジクロロボレート、リチウムジブロモジフルオロボレート、リチウムトリブロモクロロボレート、リチウムトリブロモフルオロボレート、リチウムクロロトリフルオロボレート、リチウムジクロロジフルオロボレート、リチウムクロロトリフルオロボレート、リチウムヨードブロモクロロフルオロボレート、リチウムテトラメチルボレート、リチウムテトラエチルボレート、リチウムテトラフェニルボレート、リチウムテトラメトキシボレート、リチウムテトラエトキシボレート、リチウムテトラフェノキシボレート、リチウムエチルジメチルフェニルボレート、リチウムブチルエチルメチルフェニルボレート、リチウムエトキシジメトキシフェノキシボレート、リチウムジメチルオキサラトボレート、リチウムジメチルマロナトボレート、リチウムジメチルサリチラートボレート、リチウムジメチル[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムエチルメチルオキサラトボレート、リチウムフェニルメチルオキサラトボレート、リチウムヨードメチルオキサラトボレート、リチウムブロモメチルオキサラトボレート、リチウムクロロメチルオキサラトボレート、リチウムフルオロメチルオキサラトボレート、リチウムヨードエチルオキサラトボレート、リチウムブロモエチルオキサラトボレート、リチウムクロロエチルオキサラトボレート、リチウムフルオロエチルオキサラトボレート、リチウムエトキシメトキシオキサラトボレート、リチウムヨードメトキシオキサラトボレート、リチウムブロモメトキシオキサラトボレート、リチウムクロロメトキシオキサラトボレート、リチウムフルオロメトキシオキサラトボレート等が挙げられる。
また、前記化学式(2)で表されるホウ素錯体塩の具体例としては、例えば、ナトリウムビスオキサラトボレート、ナトリウムビスマロナトボレート、ナトリウムビスサリチラートボレート、ナトリウムビス[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムオキサラトマロナトボレート、ナトリウムオキサラトサリチラートボレート、ナトリウムオキサラト[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジヨードオキサラトボレート、ナトリウムジブロモオキサラトボレート、ナトリウムジクロロオキサラトボレート、ナトリウムジフルオロオキサラトボレート、ナトリウムヨードクロロオキサラトボレート、ナトリウムヨードブロモオキサラトボレート、ナトリウムヨードフルオロオキサラトボレート、ナトリウムブロモクロロオキサラトボレート、ナトリウムブロモフルオロオキサラトボレート、ナトリウムクロロフルオロオキサラトボレート、ナトリウムジヨードマロナトボレート、ナトリウムジブロモマロナトボレート、ナトリウムジクロロマロナトボレート、ナトリウムジフルオロマロナトボレート、ナトリウムヨードクロロマロナトボレート、ナトリウムヨードブロモマロナトボレート、ナトリウムヨードフルオロマロナトボレート、ナトリウムブロモクロロマロナトボレート、ナトリウムブロモフルオロマロナトボレート、ナトリウムクロロフルオロマロナトボレート、ナトリウムジヨードサリチラートボレート、ナトリウムジブロモサリチラートボレート、ナトリウムジクロロサリチラートボレート、ナトリウムジフルオロサリチラートボレート、ナトリウムヨードクロロサリチラートボレート、ナトリウムヨードブロモサリチラートボレート、ナトリウムヨードフルオロサリチラートボレート、ナトリウムブロモクロロサリチラートボレート、ナトリウムブロモフルオロサリチラートボレート、ナトリウムクロロフルオロサリチラートボレート、ナトリウムジヨード[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジブロモ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムヨードクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムヨードブロモ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムブロモクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムブロモフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムクロロフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムテトラヨードボレート、ナトリウムテトラブロモボレート、ナトリウムテトラクロロボレート、ナトリウムテトラフルオロボレート、ナトリウムヨードトリブロモボレート、ナトリウムヨードトリクロロボレート、ナトリウムヨードトリフルオロボレート、ナトリウムジヨードジブロモボレート、ナトリウムジヨードジクロロボレート、ナトリウムジヨードジフルオロボレート、ナトリウムトリヨードブロモボレート、ナトリウムトリヨードクロロボレート、ナトリウムトリヨードフルオロボレート、ナトリウムブロモトリクロロボレート、ナトリウムブロモトリフルオロボレート、ナトリウムジブロモジクロロボレート、ナトリウムジブロモジフルオロボレート、ナトリウムトリブロモクロロボレート、ナトリウムトリブロモフルオロボレート、ナトリウムクロロトリフルオロボレート、ナトリウムジクロロジフルオロボレート、ナトリウムクロロトリフルオロボレート、ナトリウムヨードブロモクロロフルオロボレート、ナトリウムテトラメチルボレート、ナトリウムテトラエチルボレート、ナトリウムテトラフェニルボレート、ナトリウムテトラメトキシボレート、ナトリウムテトラエトキシボレート、ナトリウムテトラフェノキシボレート、ナトリウムエチルジメチルフェニルボレート、ナトリウムブチルエチルメチルフェニルボレート、ナトリウムエトキシジメトキシフェノキシボレート、ナトリウムジメチルオキサラトボレート、ナトリウムジメチルマロナトボレート、ナトリウムジメチルサリチラートボレート、ナトリウムジメチル[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムエチルメチルオキサラトボレート、ナトリウムフェニルメチルオキサラトボレート、ナトリウムヨードメチルオキサラトボレート、ナトリウムブロモメチルオキサラトボレート、ナトリウムクロロメチルオキサラトボレート、ナトリウムフルオロメチルオキサラトボレート、ナトリウムヨードエチルオキサラトボレート、ナトリウムブロモエチルオキサラトボレート、ナトリウムクロロエチルオキサラトボレート、ナトリウムフルオロエチルオキサラトボレート、ナトリウムエトキシメトキシオキサラトボレート、ナトリウムヨードメトキシオキサラトボレート、ナトリウムブロモメトキシオキサラトボレート、ナトリウムクロロメトキシオキサラトボレート、ナトリウムフルオロメトキシオキサラトボレート
さらに、前記化学式(2)で表されるホウ素錯体塩の具体例としては、例えば、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムビスマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムビスサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムビス[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムオキサラトマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムオキサラトサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムオキサラト[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨード[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロ[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラヨードボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードトリブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードトリクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードジブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードジクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードジフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリヨードブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリヨードクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリヨードフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモトリクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモジクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモジフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリブロモクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリブロモフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロジフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモクロロフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラメチルボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラエチルボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラメトキシボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラエトキシボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフェノキシボレート、トリエチルメチルエチルアンモニウムジメチルフェニルボレート、トリエチルメチルアンモニウムブチルエチルメチルフェニルボレート、トリエチルメチルアンモニウムエトキシジメトキシフェノキシボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチルマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチルサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチル[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムエチルメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフェニルメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフルオロメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフルオロエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムエトキシメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフルオロメトキシオキサラトボレート等が挙げられる。
尚、前記に示した化学式(2)で表されるホウ素錯体塩の具体例は単なる例示であり、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
尚、前記ホウ素錯体塩は、入手しやすさの観点からは、リチウムビスオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレート、リチウムビスサリチラートボレート又はリチウムビス[1,2’−ベンジオラート(2)−O,O’]ボレートが好ましい。
尚、前記化学式(2)における前記nは、前記化学式(1)の場合と同様、価数を表す。
[ホウ酸エステル]
前記成分(b2)におけるホウ酸エステルとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。具体的には、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリへプチル、ホウ酸トリフェニル、2ホウ酸トリス(2,2,2−ヨードエチル)、ホウ酸トリス(2,2,2−トリブロモエチル)、ホウ酸トリス(2,2,2−トリクロロエチル)ホウ酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホウ酸トリス(4−ヨードフェニル)、ホウ酸トリス(4−ブロモフェニル)、ホウ酸トリス(4−クロロフェニル)、ホウ酸トリス(4−フルオロフェニル)、ホウ酸ジエチルメチル、ホウ酸エチルジメチル等が挙げられる。
[酸無水物]
前記成分(b2)における酸無水物としては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。具体的には、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、へプタン酸無水物、オクタン酸無水物、ノナン酸無水物、デカン酸無水物、エイコサン酸無水物、ドコサン酸無水物、安息香酸無水物、4−メトキシ安息香酸無水物、ジフェニル酢酸無水物、クロトン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、エライジン酸無水物、イソ酪酸無水物、イソ吉草酸無水物、ラウリン酸無水物、リノール酸無水物、ミリスチン酸無水物、アンゲリカ酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、4−トリフルオロメチル安息香酸無水物などの直鎖カルボン酸無水物、フタル酸無水物、3−アセトアミドフタル酸無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸無水物、4,4’−ビフタル酸無水物、3−ヨードフタル酸無水物、3−ブロモフタル酸無水物、3−クロロフタル酸無水物、3−フルオロフタル酸無水物、4−ヨードフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4,5−ジヨードフタル酸無水物、4,5−ジブロモフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、4,5−ジフルオロフタル酸無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸無水物、3−ニトロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシヘキサヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、テトラヨードフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、コハク酸無水物、(R)−(+)−2−アセトキシコハク酸無水物、(S)−(−)−2−アセトキシコハク酸無水物、2−ブテン−1−イルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、2,3−ジメチルコハク酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、オクタデセニコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、n−オクチルコハク酸無水物、ヘキサデシルコハク酸無水物、マレイン酸無水物、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイン酸無水物、2−(−2−カルボキシエチル)−3−メチル−マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、4−ペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−ブロモ−1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、(±)−trans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,5−ジブロモ−3,4−チオフェンジカルボン酸無水物、5,6−ジヒドロ−1,4−ジチイン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,2’−ビフェニルジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、3,4−チオフェンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、5−ノルボネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、3,3−ペンタメチレングルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、2−フタルイミドグルタル酸無水物、3,3−テトラメチレングルタル酸無水物、N−メチルイサト酸無水物、4−ヨードイサト酸無水物、4−ブロモイサト酸無水物、4−クロロイサト酸無水物、4−フルオロイサト酸無水物、5−ヨードイサト酸無水物、5−ブロモイサト酸無水物、5−クロロイサト酸無水物、5−フルオロイサト酸無水物、イタコン酸無水物、カロン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジグリコール酸無水物、1,2−ナフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘット酸無水物、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン二酸無水物などの環状カルボンサン無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物などの直鎖スルホン酸無水物、2−スルホ安息香酸無水物、テトラヨード−O−スルホ安息香酸無水物、テトラブロモ−O−スルホ安息香酸無水物、テトラクロロ−O−スルホ安息香酸無水物、テトラフルオロ−O−スルホ安息香酸無水物などの環状スルホン酸無水物、ジフェニルホスフィン酸などの鎖状ホスフィン酸無水物、1−プロパンホスホン酸無水物などの環状ホスホン酸無水物、3.4−ジヨードフェニルボロン酸無水物、3,4−ジブロモフェニルボロン酸無水物、3,4−ジクロロフェニルボロン酸無水物、3,4−ジフルオロフェニルボロン酸無水物、4−ヨードフェニルボロン酸無水物、4−ブロモフェニルボロン酸無水物、4−クロロフェニルボロン酸無水物、4−フルオロフェニルボロン酸無水物、(m−ターフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリヨードフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリブロモフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリクロロフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリフルオロフェニルボロン酸無水物等が挙げられる。これらの酸無水物のうち、本実施の形態においては、環状構造を有しているものが好ましく、更に分子内に不飽和結合を有しているものが好ましい。尚、酸無水物は、入手しやすさの観点と、環状構造及び分子内に不飽和結合を有しているとの観点からは、無水マレイン酸が特に好ましい。
[不飽和結合を有する環状カーボネート]
前記成分(b2)における不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。前記不飽和結合の数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、具体的には、例えば、ビニレンカーボネート、ヨードビニレンカーボネート、ブロモビニレンカーボネート、クロロビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、1,2−ジヨードビニレンカーボネート、1,2−ジブロモビニレンカーボネート、1,2−ジクロロビニレンカーボネート、1,2−ジフルオロビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ヨードメチルビニレンカーボネート、ブロモメチルビニレンカーボネート、クロロメチルビニレンカーボネート、フルオロメチルビニレンカーボネート、ジクロロメチルビニレンカーボネート、ジブロモメチルビニレンカーボネート、ジクロロメチルビニレンカーボネート、ジフルオロメチルビニレンカーボネート、トリヨードメチルビニレンカーボネート、トリブロモメチルビニレンカーボネート、トリクロロメチルビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、ブチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。尚、前記不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、入手しやすさの観点から、ビニレンカーボネートが好ましい。
[ハロゲン原子を有する環状カーボネート]
前記成分(b2)におけるハロゲン原子を有する環状カーボネートとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。ここで、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。ハロゲン原子を有する環状カーボネートとしては、具体的には、例えば、ヨードエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジヨードエチレンカーボネート、1,2−ジブロモエチレンカーボネート、1,2−ジクロロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。尚、前記不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、入手しやすさの観点から、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが好ましい。
[環状スルホン酸エステル]
前記成分(b2)における環状スルホン酸エステルとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。環状スルホン酸エステルとしては、具体的には、例えば、1,3−プロパンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、エチレンサルファイト等が挙げられる。尚、前記環状スルホン酸エステルとしては、入手しやすさの観点から、1,3−プロパンスルトン、エチレンサルファイトが好ましい。
[アセトアセチル基を有するアミン類]
前記成分(b2)におけるアセトアセチル基を有するアミン類は、具体的には、下記化学式(3)で表されるものである。
前記R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の炭化水素基、又は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合を有する炭化水素基を表す。ここで、前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。また、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を意味する。
前記R2及びR3としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−アミノ−2−ナフチル基等のナフチル基等が挙げられる。
前記R2及びR3は、相互に独立しており、同種でもよく異種であってもよい。また、前記に示した官能基群の具体例は、単なる例示であり、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
前記化学式(3)で表される化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアセトアミド、N,N−ジブチルアセトアセトアミド、N,N−エチルメチルアセトアセトアミド、N,N−メチルプルピルアセトアセトアミド、N,N−ブチルメチルアセトアセトアミド等が挙げられる。但し、これらの化合物の具体例は単なる例示に過ぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
[化学式(4)で表されるリン化合物]
前記成分(b2)におけるリン化合物としては、下記化学式(4)で表されるものが挙げられる。
前記化学式(4)において、前記Mn+については、すでに説明した通りであり、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。また、前記nは、前記化学式(1)の場合と同様、価数を表す。従って、これらの詳細な説明は省略する。
前記A1及びA2は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
前記化学式(4)に於いて、前記X5及びX6は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、又はハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか一つを有するアルキル基(以下、「ハロゲン原子等を有するアルキル基」という。)を表す。アルキル基、及びハロゲン原子等を有するアルキル基の炭素数は1〜20の範囲であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、前記不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく、1〜3の範囲が特に好ましい。
前記アルキル基又はハロゲン原子等を有するアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロー2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−アミノ−2−ナフチル基等のナフチル基等が挙げられる。
尚、前記ハロゲン原子及びヘテロ原子は、前記化学式(1)で述べたのと同様である。また、前記ハロゲン原子等を有するアルキル基において、前記ハロゲン原子及びヘテロ原子は、当該アルキル基中の水素の一部又は全部がこれらのハロゲン原子及び/又はヘテロ原子の何れかで置換されていてもよい。
また、前記X5及びX6は、前記アルキル基、又はハロゲン原子等を有するアルキル基の何れかが、相互に結合して環状構造を形成するものであってもよい。この場合、前記X5及びX6におけるアルキル基又はハロゲン原子等を有するアルキル基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等の直鎖アルキレン基、ヨードメチレン基、ジヨードメチレン基、ブロモメチレン基、ジブロモメチレン基、フルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、ヨードエチレン基、1,1−ジヨードエチレン基、1,2−ジヨードエチレン基、トリヨードエチレン基、テトラヨードエチレン基、クロロエチレン基、1,1−ジクロロエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリクロロエチレン基、テトラクロロエチレン基、フルオロエチレン基、1,1−ジフルオロエチレン基、1,2−ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基、テトラフルオロエチレン基等の含ハロゲン直鎖アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、アントラシレン基、ナフタシレン基、ペンタシレン基のような環状炭化水素基及びその一部又は全部をハロゲン原子等に置き換えたものとなる。
前記X5及びX6は、前記に例示した官能基群に於いて、同種でもよく相互に異なっていてもよい。また前記に例示した官能基群は単なる例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
前記化学式(4)で表されるリン化合物の具体例としては、例えば、リチウムジヨードホスフェート、リチウムジブロモホスフェート、リチウムジクロロホスフェート、リチウムジフルオロホスフェート、ナトリウムジヨードホスフェート、ナトリウムジブロモホスフェート、ナトリウムジクロロホスフェート、ナトリウムジフルオロホスフェート、カリウムジヨードホスフェート、カリウムジブロモホスフェート、カリウムジクロロホスフェート、カリウムジフルオロホスフェート等が挙げられる。
[化学式(5)で表されるリン化合物]
次に、下記化学式(5)で表されるリン化合物について説明する。但し、前記化学式(4)で表されるリン化合物において説明したものと同一のものについては、その説明を省略する。
前記化学式(5)に於いて、前記Mn+及び価数nは、前記化学式(4)で述べたのと同様である。
前記化学式(5)に於いて、前記X7〜X12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか一つを有するアルキル基(以下、「ハロゲン原子等を有するアルキル基」という。)、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか一つを有するアルコキシ基(以下、「ハロゲン原子等を有するアルコキシ基」という。)、又はハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか一つを有するアルキルチオ基(以下、「ハロゲン原子等を有するアルキルチオ基」という。)を表す。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子等を有するアルキル基、ハロゲン原子等を有するアルコキシ基及びハロゲン原子等を有するアルキルチオ基の炭素数は1〜20の範囲であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく、1〜3の範囲が特に好ましい。
前記ハロゲン原子及びヘテロ原子は、前記化学式(1)で述べたのと同様である。また、前記ハロゲン原子等を有するアルキル基、ハロゲン原子等を有するアルコキシ基及びハロゲン原子等を有するアルキルチオ基において、前記ハロゲン原子及びヘテロ原子は、これらの官能基中の水素の一部又は全部がこれらのハロゲン原子及び/又はヘテロ原子の何れかで置換されていてもよい。
前記X7〜X12は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ヨードメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ジヨードメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリヨードメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等の鎖状アルコキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキソキシ基等の環状アルコキシ基、2−ヨードエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,2−ジヨードエトキシ基、1,2−ジブロモエトキシ基、1,2−ジクロロトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、2,2−ジヨードエトキシ基、2,2−ジブロモエトキシ基、2,2−ジクロロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリブロモエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキソキシ基、2−ブロモシクロヘキソキシ基、2−クロロシクロヘキソキシ基、2−フルオロシクロヘキソキシ基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペノキシ基、イソプロペノキシ基、2−ブテノキシ基、3−ブテノキシ基等の鎖状アルケニルアルコキシ基、2−シクロペンテノキシ基、2−シクロヘキセノキシ基、3−シクロヘキセノキシ基等の環状アルケニルアルコキシ基、2−プロピノキシ基、1−ブチノキシ基、2−ブチノキシ基、3−ブチノキシ基、1−ペンチノキシ基、2−ペンチノキシ基、3−ペンチノキシ基、4−ペンチノキシ基等の鎖状アルキニルアルコキシ基、フェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基等のフェノキシ基、2−ヨードフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−ヨードフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、3−クロロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−ヨードフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、3,5−ジヨードフェノキシ基、3,5−ジブロフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基、3,5−ジフルオロフェノキシ基等の含ハロゲンフェノキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イオプロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基等が挙げられる。
また、前記X7〜X12は、任意に選択される少なくとも1つの組合せが、−OOC−Z−COO−、−OOC−Z−O−又は−O−Z−O−の環状構造の何れかを形成していてもよい。前記X7〜X12が2以上の環状構造を形成する場合、当該環状構造は相互に同一でもよく、異なっていてもよい。また、前記Zは、炭素数が0〜20の炭化水素基、又は炭素数が0〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基を表す。また、不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく、1〜3の範囲が特に好ましい。
前記Zとしては特に限定されず、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等の直鎖アルキレン基、ヨードメチレン基、ジヨードメチレン基、ブロモメチレン基、ジブロモメチレン基、フルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、ヨードエチレン基、1,1−ジヨードエチレン基、1,2−ジヨードエチレン基、トリヨードエチレン基、テトラヨードエチレン基、クロロエチレン基、1,1−ジクロロエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリクロロエチレン基、テトラクロロエチレン基、フルオロエチレン基、1,1−ジフルオロエチレン基、1,2−ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基、テトラフルオロエチレン基等の含ハロゲン直鎖アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、アントラシレン基、ナフタシレン基、ペンタシレン基のような環状炭化水素基及びその一部又は全部をハロゲンに置き換えたもの等が挙げられる。
例えばZの炭素数が0の場合、−OOC−Z−COO−は−OOC−COO−であり、オキサレート基を表す。また、前記Zが1,2−フェニレン基である場合、−O−Z−O−はベンゼンジオラート基を表し、−O−Z−COO−はサリチラート基を表す。
尚、前記化学式(5)で表されるリン化合物の具体例としては、例えば、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート、ナトリウムジフルオロビスオキサレートホスフェート、リチウムテトラフルオロオキサレートホスフェート、ナトリウムテトラフルオロオキサレートホスフェート等が挙げられる。
[化学式(6)で表されるリン化合物]
次に、下記化学式(6)で表されるリン化合物について説明する。但し、前記化学式(4)で表されるリン化合物において説明したものと同一のものについては、その説明を省略する。
前記化学式(6)に於いて、前記Mn+及び価数nは、前記化学式(4)で述べたのと同様である。
前記化学式(6)に於いて、前記R4及びR5は、それぞれ独立して、炭化水素基、又はハロゲン原子、ヘテロ原子又は不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基(以下、「ハロゲン原子等を有する炭化水素基」という。)を表す。前記炭化水素基の炭素数は1〜20であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、ハロゲン原子等を有する炭化水素基の炭素数は1〜20であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく、1〜3の範囲が特に好ましい。
前記炭化水素基又はハロゲン原子等を有する炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロー2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−アミノ−2−ナフチル基等のナフチル基等が挙げられる。
尚、前記ハロゲン原子及びヘテロ原子は、前記化学式(1)で述べたのと同様である。前記ハロゲン原子等を有する炭化水素基において、前記ハロゲン原子及びヘテロ原子は、前記炭化水素基中の水素の一部又は全部がこれらのハロゲン原子及び/又はヘテロ原子の何れかで置換されていてもよい。
前記R4及びR5は、前記に例示した官能基群に於いて、同種でもよく相互に異なっていてもよい。また前記に例示した官能基群は単なる例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
更に、前記R4及びR5は、前記炭化水素基、又は前記ハロゲン原子等を有する炭化水素基の何れかであって、相互に結合して環状構造を形成していてもよい。この場合、前記炭化水素基又はハロゲン原子等を有する炭化水素基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等の直鎖アルキレン基、ヨードメチレン基、ジヨードメチレン基、ブロモメチレン基、ジブロモメチレン基、フルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、ヨードエチレン基、1,1−ジヨードエチレン基、1,2−ジヨードエチレン基、トリヨードエチレン基、テトラヨードエチレン基、クロロエチレン基、1,1−ジクロロエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリクロロエチレン基、テトラクロロエチレン基、フルオロエチレン基、1,1−ジフルオロエチレン基、1,2−ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基、テトラフルオロエチレン基等の含ハロゲン直鎖アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、アントラシレン基、ナフタシレン基、ペンタシレン基のような環状炭化水素基及びその一部又は全部をハロゲン原子等に置き換えたもの等が挙げられる。
前記化学式(6)で表されるリン化合物の具体例としては、例えば、ジエチルリン酸リチウム、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウム等が挙げられる。
前記成分(B)の添加量は、非水電解液の全質量に対し0.05質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5質量%〜2質量%の範囲あることが特に好ましい。前記添加量を0.05質量%以上にすることにより、添加剤としての効果、即ち、電極表面に安定した皮膜を形成することができる。一方、前記添加量を5質量%以下にすることにより、非水電解液中の電解質の非水電解液溶媒に対する溶解性が低下するのを抑制することができる。
また、本実施の形態に於いて、前記成分(B)は、少なくとも1種類が非水電解液中に含まれていればよいが、含有させる成分(B)の種類の数は、好ましくは1〜5種類であり、より好ましくは1〜3種類であり、特に好ましくは1〜2種類である。成分(B)の種類を低減することにより、非水電解液の製造の際における工程の複雑化を抑制することができる。尚、前記成分(B)は従来公知の方法により製造可能である。
<電解質>
前記電解質としては、従来公知のものを採用することができる。例えば、リチウムイオン電池用の場合はリチウム塩が用いられ、ナトリウムイオン電池用の場合はナトリウム塩が用いられる。従って、二次電池の種類に応じて電解質の種類は適宜選択すればよい。
また、前記電解質としては、フッ素を含有するアニオンを含有するものが好ましい。その様なフッ素含有のアニオンの具体例としては、例えばBF4 −、PF6 −、BF3CF3 −、BF3C2F5 −、CF3SO3 −、C2F5SO3 −、C3F7SO3 −、C4F9SO3 −、N(SO2F)2 −、N(CF3SO2)2 −、N(C2F5SO2)2 −、N(CF3SO2)(CF3CO)−、N(CF3SO2)(C2F5SO2)−、C(CF3SO2)3 −等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。フッ素含有アニオンのうち、非水電解液の安全性・安定性、電気伝導率やサイクル特性の向上の観点からは、BF4 −、PF6 −、N(CF3SO2)2 −が好ましく、BF4 −、PF6 −が特に好ましい。
前記電解質の前記有機溶媒に対する濃度は特に限定されず、通常は0.1〜2M、好ましくは0.15〜1.8M、より好ましくは0.2〜1.5M、特に好ましくは0.3〜1.2Mである。濃度を0.1M以上にすることにより、非水電解液の電気伝導率が不十分となるのを防止することができる。その一方、濃度を2M以下にすることにより、非水電解液の粘度上昇により電気伝導率が低下するのを抑制し、二次電池性能が低下するのを防止することができる。
<有機溶媒>
前記非水電解液に用いられる前記有機溶媒(非水溶媒)としては特に限定されず、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物等が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、リチウム二次電池用有機溶媒として一般的に使用される点からは、炭酸エステルが好ましい。
前記環状炭酸エステルとしては特に限定されず、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、リチウム二次電池の充電効率を向上させる点からは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネートが好ましい。前記鎖状炭酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、リチウム二次電池の充電効率を向上させる点からは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。前記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル等が挙げられる。前記環状エーテルとしては特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。前記鎖状エーテルとしては特に限定されず、例えば、ジメトキシエタン等が挙げられる。前記ラクトン化合物としては特に限定されず、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記鎖状エステルとしては特に限定されず、例えば、メチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルホルメート等が挙げられる。前記ニトリル化合物としては特に限定されず、例えば、アセトニトリル等が挙げられる。前記アミド化合物としては特に限定されず、例えば、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。前記スルホン化合物としては特に限定されず、例えば、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。また、前記有機溶媒分子中に含まれる炭化水素基の水素を少なくとも一部フッ素で置換したものも好適に用いることができる。これらの有機溶媒は一種単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
また、前記有機溶媒としては、入手の容易さや性能の観点から、炭酸エステルを用いるのが好ましい。
<非水電解液の製造>
本実施の形態の非水電解液は、例えば、前記の有機溶媒(非水溶媒)に前記電解質の塩を加えた後に、少なくとも1種の前記成分(A)を添加する。さらに、成分(B)を添加してもよい。この際、前記有機溶媒や電解質の塩、成分(A)及び成分(B)としては、製造効率を低下させない範囲内で予め精製等して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。尚、前記成分(A)、又は成分(B)の化合物を複数種用いる場合、それらの添加の順序は適宜必要に応じて設定することができる。
<その他>
本実施の形態に係る非水電解液には、従来公知のその他の添加剤が添加されていてもよい。この場合、その他の添加剤の添加量は、適宜必要に応じて設定することができる。
(二次電池)
次に、本発明の二次電池として、リチウムイオン二次電池を例にして以下に説明する。図1は、前記非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池の概略を示す断面模式図である。
本実施の形態に係るリチウムイオン二次電池は、図1に示すように、正極缶4と負極缶5とで形成される内部空間に、正極缶4側から正極1、セパレータ3、負極2、スペーサー7の順に積層された積層体が収納された構造を有している。負極缶5とスペーサー7との間にスプリング8を介在させることによって、正極1と負極2を適度に圧着固定している。本実施の形態の成分(A)の化合物、もしくは成分(A)と成分(B)の化合物群を含有する非水電解液は、正極1、セパレータ3及び負極2の間に含浸されている。正極缶4及び負極缶5の間にガスケット6を介在させた状態で、正極缶4及び負極缶5を挟持させることによって両者を結合し、前記積層体を密閉状態にしている。
前記正極1における正極活物質層の材料としては特に限定されず、例えば、リチウムイオンが拡散可能な構造を持つ遷移金属化合物、又はその遷移金属化合物とリチウムの酸化物が挙げられる。具体的には、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2MnO3+LiMeO2(Me=Mn、Co、Ni)固溶体、LiFePO4、LiCoPO4、LiMnPO4、Li2FePO4F、LiNixCoyMnzO2(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)、LiNixCoyAlzO2(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)、LiFeF3、TiO2、V2O5、MoO3等の酸化物、TiS2、FeS等の硫化物、又はポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
正極1は、前記に列挙した正極活物質を、公知の導電助剤や結着剤と共に加圧成型することにより、又は正極活物質を公知の導電助剤や結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものをアルミニウム箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
前記負極2における負極活物質層の材料としては、リチウムを吸蔵、放出することが可能な材料であれば特に限定されず、例えば、金属複合酸化物、リチウム金属、リチウム合金、ケイ素、ケイ素系合金、スズ系合金、金属酸化物、ポリアセチレン等の導電性重合体、Li−Co−Ni系材料、炭素材料等が挙げられる。
前記金属複合酸化物としては特に限定されず、例えば、LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1 1−xMe2 yOz(Me1=Mn、Fe、Pb、Geであり、Me2=Al、B、P、Si、周期律表の1〜3族の元素、ハロゲンであり、0<x≦1、1≦y≦3、1≦z≦8)等が挙げられる。
前記金属酸化物としては特に限定されず、例えばSnO、SnO2、SiOx(0<x<2)、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5等が挙げられる。
前記炭素材料としては特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、ホウ素化黒鉛、フッ化黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維黒鉛化物、カーボンナノチューブ、ハードカーボン、フラーレン等が挙げられる。
負極2は、前記電極材料の箔状のものや粉末状のものを使用できる。粉末状の場合は、公知の導電助剤及び結着剤と共に加圧成型することにより、又は公知の導電助剤及び結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものを銅箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
本実施の形態に係るリチウムイオン二次電池には、正極1と負極2の短絡を防止するために、両者の間に通常、セパレータ3が介在される。セパレータ3の材質や形状は特に制限されないが、上述の非水電解液が通過しやすく、絶縁体で、化学的に安定な材質であるものが好ましい。例えば、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン(登録商標)、ニトロセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子が用いられる。電気化学的な安定性・化学的安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましい。
本実施の形態のリチウムイオン二次電池の最適な使用電圧は、正極1と負極2の組み合わせによって異なり、通常は、2.4〜4.6Vの範囲内で使用可能である。
本実施の形態のリチウムイオン二次電池の形状については特に制限はないが、図1に示すコイン型セルの他に、例えば、円筒型、角型、ラミネート型等が挙げられる。
本実施の形態に係る二次電池であると、高温環境下においても優れたサイクル特性を示すことができ、本実施の形態の非水電解液は、例えばリチウムイオン二次電池に好適に用いることができる。但し、図1に示すリチウムイオン二次電池は、本発明の二次電池の一態様を例示的に示したものであり、本発明の二次電池はこれに限定されるものではない。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(モノフルオロリン酸エチルリチウム)
<モノフルオロリン酸ジエチルの合成>
撹拌子を入れた300mLのナスフラスコにフッ化カリウム33.7gとアセトニトリル150gを入れ、さらにクロロリン酸ジエチル〈東京化成工業(株)製〉50.3gを加えた。続いて、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、窒素気流下、100℃で7時間加熱還流を行った。前記溶液を室温まで放冷後、吸引ろ過により過剰のフッ化カリウムおよび析出した塩化カリウムを除去した。エバポレーターにより得られたろ液中の溶媒を留去し、目的物である淡黄色透明液体のモノフルオロリン酸ジエチル42gを得た。
<モノフルオロリン酸エチルリチウムの合成>
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコに塩化リチウム1.1gと、前記のモノフルオロリン酸ジエチル20.0gを加えた。窒素気流下、120℃で1.5時間加熱還流を行った。反応溶液を室温まで放冷後、反応溶液中の析出物を吸引ろ過によりろ別し、白色固体を得た。窒素気流下、130℃で乾燥を行い、目的物であるモノフルオロリン酸エチルリチウム3.0gを得た。
得られた白色固体を、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、型番:IC−850〉にてアニオン分析を行ったところ、新規のピークが一本検出された。これにより、新規アニオンが生成していることを確認した。また、イオンクロマトグラフィー〈ダイオネクス社製、型番:ICS−1500〉にてカチオン分析を行ったところ、リチウムイオンのピークが検出された。さらに、得られた白色固体をLC/MS(Waters社製)にて負イオン分析を行ったところ、m/z=126.9にマスピークが見られた。これは、モノフルオロリン酸エチルアニオンの分子量とほぼ一致し、得られた白色固体がモノフルオロリン酸エチルであることを確認した。
(モノフルオロリン酸メチルリチウム)
<モノフルオロリン酸ジメチルの合成>
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコにフッ化カリウム3.9gとアセトニトリル20gを投入し、さらにクロロリン酸ジメチル6.5gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、80℃〜100℃で2時間加熱還流を行った。さらに、前記溶液を室温まで放冷後、溶液の減圧濾過を行うことにより、白色固体とろ液とに分離した。これにより、微黄色透明の液体であるモノフルオロリン酸ジメチルのアセトニトリル溶液を得た。
<モノフルオロリン酸メチルリチウムの合成>
撹拌子を入れた50mLのナスフラスコに塩化リチウム無水1.0gを投入し、さらに前記フルオロリン酸ジメチルのアセトニトリル溶液を投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、110℃〜120℃で4時間加熱還流を行った。前記溶液を室温まで放冷後、減圧下、40℃で当該溶液中の溶媒を留去することにより、白色固体2.1gを得た。
得られた白色固体を、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、型番:IC−850〉にてアニオン分析を行ったところ、新規のピークが一本検出された。これにより、新規アニオンが生成していることを確認した。さらに、得られた白色固体をLC/MS(Waters社製)にて負イオン分析を行ったところ、m/z=112.9にマスピークが見られた。これは、モノフルオロリン酸メチルアニオンの分子量とほぼ一致しており、得られた白色固体が、モノフルオロリン酸メチルリチウムであることを確認した。
(モノフルオロリン酸イソプロピルリチウム)
<フルオロリン酸ジイソプロピルの合成>
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコにフッ化カリウム5.2gとアセトニトリル20gを投入し、さらにクロロリン酸ジイソプロピル12.0gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、窒素気流下、80℃〜100℃で2時間加熱還流を行った。前記溶液を室温まで放冷後、減圧濾過により過剰のフッ化カリウム及び析出した塩化カリウムを除去した。エバポレーターにより得られたろ液中の溶媒を40℃で留去し、目的物である微黄色透明液体のフルオロリン酸ジイソプロピル10.0gを得た。
<モノフルオロリン酸イソプロピルリチウムの合成>
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコに臭化リチウム無水1.2gとアセトニトリル20gを投入し、さらに前記フルオロリン酸ジイソプロピル5.0gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、110℃〜120℃で5時間加熱還流を行った。前記溶液を室温まで放冷後、溶液中の析出物を減圧濾過により濾別した。その後、析出物を窒素気流下、130℃で乾燥し、白色固体1.6gを得た。
得られた白色固体を、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、型番:IC−850〉にてアニオン分析を行ったところ、新規のピークが一本検出された。これにより、新規アニオンが生成していることを確認した。さらに、得られた白色固体をLC/MS(Waters社製)にて負イオン分析を行ったところ、m/z=140.9にマスピークが見られた。これは、モノフルオロリン酸イソプロピルアニオンの分子量とほぼ一致しており、得られた白色固体がモノフルオロリン酸イソプロピルリチウムであることを確認した。
(モノフルオロリン酸ブチルリチウム)
<フルオロリン酸ジブチルの合成>
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコにフッ化カリウム4.4gとアセトニトリル20gを投入し、さらにクロロリン酸ジブチル11.5gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、80℃〜100℃で2時間加熱還流を行った。前記溶液を室温まで放冷後、減圧濾過を行うことにより白色固体とろ液とを分離した。続いて、減圧下、40℃で濾液中の溶媒を留去することにより、微黄色透明の液体であるフルオロリン酸ジブチル6.8gを得た。
<モノフルオロリン酸ブチルリチウムの合成>
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコに臭化リチウム無水1.0gとアセトニトリル20gを投入し、さらに前記フルオロリン酸ジブチル5.0gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、110℃〜120℃で3時間加熱還流を行った。前記溶液を室温まで放冷後、溶液中の析出物を減圧濾過により濾別した。その後、析出物を窒素気流下、130℃で乾燥し、白色固体1.6gを得た。
得られた白色固体を、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、型番:IC−850〉にてアニオン分析を行ったところ、新規のピークが一本検出された。これにより、新規アニオンが生成していることを確認した。さらに、得られた白色固体をLC/MS(Waters社製)にて負イオン分析を行ったところ、m/z=155.0にマスピークが見られた。これは、モノフルオロリン酸ブチルアニオンの分子量とほぼ一致し、得られた白色固体がモノフルオロリン酸ブチルリチウムであることを確認した。
(モノフルオロリン酸(2−エトキシエチル)リチウム)
<フルオロリン酸ビス(2−エトキシエチル)の合成>
撹拌子を入れた50mLのナスフラスコにフッ化カリウム1.5gとアセトニトリル16gを投入し、さらに前記クロロリン酸ビス(2−エトキシエチル)4.6gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、50℃〜60℃で2時間加熱した。さらに、溶液にシリカゲルを投入して撹拌を行い、減圧下、40℃で当該溶液中の溶媒を留去し、目的物を含む白色固体混合物を得た。
続いて、ガラスフィルタ付のカラム管にシリカゲルを少量積み、得られた白色固体混合物を投入し、酢酸エチルで抽出(フラッシュカラム)を行った。減圧下、40℃で溶液中の溶媒を留去することにより、無色透明の液体であるフルオロリン酸ビス(2−エトキシエチル)1.5gを得た。
<モノフルオロリン酸(2−エトキシエチル)リチウムの合成>
撹拌子を入れた50mLのナスフラスコに臭化リチウム無水0.2gとアセトニトリル10gを投入し、続いて前記フルオロリン酸ビス(2−エトキシエチル)1.0gを投入した。その後、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、50℃〜60℃で4.5時間加熱した。前記溶液を室温まで放冷後、溶液中の析出物を減圧濾過により濾別した。その後、析出物を窒素気流下、130℃で乾燥し、白色固体0.4gを得た。
得られた白色固体を、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、型番:IC−850〉にてアニオン分析を行ったところ、新規のピークが一本検出された。これにより、新規アニオンが生成していることを確認した。さらに、得られた白色固体をLC/MS(Waters社製)にて負イオン分析を行ったところ、m/z=170.9にマスピークが見られた。これは、モノフルオロリン酸(2−エトキシエチル)アニオンの分子量とほぼ一致し、得られた白色固体がモノフルオロリン酸(エトキシエチル)リチウムであることを確認した。
<モノフルオロリン酸エチルの合成>
<モノフルオロリン酸エチルの合成>
撹拌子を入れた50mLのナスフラスコに前記エチルフルオロリン酸リチウム13.7gとジエチルエーテル50gを投入した。続いて、ナスフラスコ中の溶液を撹拌しながら、硫酸4.0gを少しずつ投入した。その後、常温で1時間撹拌を行った。さらに、減圧濾過を行い、白色沈殿物とろ液を分離した。続いて、減圧下でろ液中の溶媒を留去することにより、無色透明の液体であるモノフルオロリン酸エチル9.6gを得た。
得られた無色透明の液体を、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、型番:IC−850〉にてアニオン分析を行ったところ、前記エチルフルオロリン酸リチウムと同様の検出時間でピークが一本検出され、また、硫酸イオンは検出されなかった。これにより、得られた無色透明の液体がモノフルオロリン酸エチルであることを確認した。
(実施例1)
<非水電解液の作製>
露点が−70℃以下のアルゴン雰囲気ドライボックス内で、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(体積比率でEC:DMC=1:1、キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)に対し、LiPF6の濃度が1.0モル/リットルとなる様に調製した。
次に、前記モノフルオロリン酸エチルリチウムを、非水電解液の全質量に対し、添加濃度が0.5質量%となる様に、前記混合溶媒に添加した。これにより、本実施例に係る非水電解液を調製した。
(実施例2)
本実施例においては、添加剤として、さらに、非水電解液の全質量に対し添加濃度が0.5質量%となるように、リチウムビスオキサレートボレートを前記混合溶媒に加えた。それ以外は、前記実施例1と同様にして、本実施例に係る非水電解液を調製した。
(実施例3)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、ビニレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例4)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、フルオロエチレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例5)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、ホウ酸トリメチルを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例6)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、ビス(2,2,2、−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例7)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、N,N−ジメチルアセトアセトアミドを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例8)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、マレイン酸無水物を添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例9)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートに代えて、1,3−プロパンスルトンを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例10)
本実施例においては、添加剤として、さらに、非水電解液の全質量に対し添加濃度が0.5質量%となるように、マレイン酸無水物を添加した。それ以外は、実施例2と同様にして、本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例11)
本実施例においては、実施例2のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸メチルリチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例12)
本実施例においては、実施例2のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸イソプロピルリチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例13)
本実施例においては、実施例2のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸ブチルリチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例14)
本実施例においては、実施例2のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸(2−エトキシエチル)リチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例15)
本実施例においては、実施例3のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸メチルリチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例3と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例16)
本実施例においては、実施例3のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸イソプロピルリチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例3と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例17)
本実施例においては、実施例3のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸ブチルリチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例3と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例18)
本実施例においては、実施例3のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸(2−エトキシエチル)リチウムを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例3と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例19)
本実施例においては、実施例1のモノフルオロリン酸エチルリチウムに代えて、モノフルオロリン酸エチルを添加濃度が0.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例20)
本実施例においては、実施例1のモノフルオロリン酸エチルリチウムの添加濃度を0.05質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例21)
本実施例においては、実施例1のモノフルオロリン酸エチルリチウムの添加濃度を2.5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例22)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートの添加濃度を0.05質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(実施例23)
本実施例においては、実施例2のリチウムビスオキサラトボレートの添加濃度を5質量%となる様に添加した。それ以外は、実施例2と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
(比較例1)
露点が−70℃以下のアルゴン雰囲気ドライボックス内で、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(体積比率でEC:DMC=1:1、キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)に対し、LiPF6の濃度が1.0モル/リットルとなる様に調製した。これにより、本比較例に係る非水電解液を調製した。
(比較例2)
本比較例においては、実施例2のモノフルオロリン酸エチルリチウムを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
(サイクル特性の評価)
<コインセルの作製>
図1に示すようなコイン型のリチウム二次電池を作製し、各実施例及び比較例の非水電解液の電気化学特性を評価した。
即ち、正極に、直径9mmφに切り出したLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(パイオトレック(株)製)を用い、セパレータにポリエチレン製セパレータを用い、負極に、直径10mmφに切り出した天然黒鉛シート(パイオトレック株式会社製)を用いた。さらに、正極、セパレータ及び負極の順に積層して積層体とし、各実施例又は比較例で調製した非水電解液を含浸させた後、当該積層体を密閉して、コインセルをそれぞれ作製した。コインセルの組み立ては、全て露点−70℃以下のアルゴングローブボックス内で行った。
<慣らし充放電>
作製したコインセルは、25℃の恒温槽内で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0V、0.2C(定格容量を1時間で充電もしくは放電する電流値を1Cとする)の定電流定電圧法にて5サイクルの慣らし充放電をした。
<高温サイクル特性の評価>
慣らし充放電の終了したコインセルを、60℃の恒温槽内で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0V、0.2Cの定電流定電圧法にて50サイクル充放電した。50サイクル後の放電容量を比較評価した。下記表1及び表2に、比較例1を100としたときの、実施例1〜23及び比較例2の放電容量の比率を示す。
前記表1及び表2から明らかなように、実施例1〜23の非水電解液を用いたコインセルでは、比較例1及び2に比べ、60℃の高温環境下においても容量維持率が高く、サイクル特性に優れていることが確認された。