JP4952080B2 - 二次電池用非水系電解液及び非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Description
特に、ジフルオロリン酸塩は、従来、例えばP2O3F4に金属塩やNH3を反応させることにより製造できるとされていた(非特許文献2及び非特許文献3参照)。しかしながら、この方法は、原料のP2O3F4が入手困難で非常に高価であること、副生成物の分離精製が必要なこと等の理由から、非水系電解液の添加剤としてのジフルオロリン酸塩の製造方法としての工業的スケールでの適用には極めて不利であった。
この電解液の調製法についてさらに検討の結果、非水溶媒中に比誘電率10以上の溶媒が存在すると反応が遅延し、反応速度の観点から、比誘電率が10未満の非水溶媒を用いれば、効率的にジフロオロリン酸塩が生成すること、更に該反応液に比誘電率が10以上の非水溶媒を添加すれば優れた性能を有する非水系電解液となることを見出した。また、かくして調製された電解液を用いて、優れた性能を有する非水系電解液二次電池が製造できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
(1)比誘電率10未満の非水溶媒中でヘキサフルオロリン酸リチウムと炭酸塩とを反応させた後に、比誘電率10以上の非水溶媒を混合することを特徴とする方法により調製された二次電池用非水系電解液が提供される。
この発明の好ましい態様により、
(2)炭酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び、NR1R2R3R4(但し、R1〜R4は、互いに同一でも異なっていても良い、炭素数1〜12の有機基又は水素原子を表す。)の塩からなる群から選ばれるものであることを特徴とする上記(1)に記載の二次電池用非水系電解液、
(3)比誘電率10未満の非水溶媒が、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、環状エーテル類、及び鎖状エーテル類からなる群から選ばれる1以上の溶媒であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の二次電池用非水系電解液、
(4)比誘電率10以上の非水溶媒が、環状カーボネート類又は環状エステル類であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の二次電池用非水系電解液、
(5)鎖状カーボネート類が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれることを特徴とする上記(3)に記載の二次電池用非水系電解液、
(6)環状カーボネート類又は環状エステル類が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群から選ばれることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の二次電池用非水系電解液、
(7)比誘電率10未満の非水溶媒が、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒であり、比誘電率10以上の非水溶媒が、エチレンカーボネートであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の二次電池用非水系電解液、
(8)ヘキサフルオロリン酸リチウムと炭酸塩との反応生成物として、ジフルオロリン酸塩を含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の二次電池用非水系電解液、
(9)ジフルオロリン酸塩の濃度が1×10-3mol/kg以上、0.5mol/kg以下であることを特徴とする上記(8)に記載の二次電池用非水系電解液が提供される。
また、本発明の別の態様により、(10)非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、正極とを備えた非水系電解液二次電池において、該非水系電解液が上記(1)〜(9)のいずれかに記載の二次電池用非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池が提供される。
ここで、比誘電率とは物質の誘電率εと真空の誘電率ε0の比ε/ε0である。一般に温度に依存するが、本発明における比誘電率10以上の物質とは、20℃以上の液体の状態で比誘電率が10以上となる場合がある物質を指す。同様に、比誘電率10未満の物質は、20℃以上の液体の状態において比誘電率が10以上となることがない物質を指す。
LiPF6+2Li2CO3 → LiPO2F2+2CO2+4LiF
これらの炭酸塩は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
比誘電率10未満の非水溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
比誘電率10以上の非水溶媒、例えば、通常エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類等は、反応終了後に添加することにより、反応溶液を優れた二次電池用非水系電解液とすることができる。これらの溶媒も、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
反応生成液を非水系電解液用途に供する場合、非水溶媒としては、最終的に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類との混合溶媒となるように添加するのが好ましい。
反応溶媒として、比誘電率10未満の非水溶媒を用いる場合、反応温度は、通常30℃以上、85℃以下、好ましくは40℃以上、70℃以下が適当である。また、反応時間は、通常30分以上、10時間以下、好ましくは1時間以上、8時間以下が適当である。この様に、本発明においては、比誘電率10未満の非水溶媒を用いることにより、ヘキサフルオロリン酸リチウムと炭酸塩との反応を特に効率的に行うことができる。
この反応生成液中の各成分の含有濃度は、好ましくは次の通りである。
後述の例10、11、例12(参考例)、例13(参考例)における二酸化炭素測定量はこうして求めた値である。
本発明の二次電池用非水系電解液は、非水溶媒中に、電解質リチウム塩として少なくともヘキサフルオロリン酸塩を含み、更にジフルオロリン酸塩を含有し、該ジフルオロリン酸塩源として、上述の方法で得られた反応生成液を用いたものである。
本発明の二次電池用非水系電解液の非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル類、スルフォラン、ジエチルスルホン等の含硫黄有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を含有していても良い。
(1) エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の組み合わせ
(2) エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の組み合わせ
及び、
(3) エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の組み合わせ
等が挙げられる。
第1工程: 黒鉛質粒子あるいは黒鉛質粒子と非晶質粒子の混合粉体と炭素前駆体、更に必要に応じて溶媒とを種々の市販の混合機や混練機等を用いて混合し、混合物を得る。
第2工程: 必要に応じ前記混合物を攪拌しながら加熱し、溶媒を除去した中間物質を得る。
第3工程: 前記混合物又は中間物質を、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で700℃以上2800℃以下に加熱し、黒鉛非晶質複合物質を得る。
第4工程: 前記複合物質を必要に応じて粉砕、解砕、分級処理など粉体加工する。
また、第3工程の加熱処理条件としては、熱履歴温度条件が重要である。その温度下限は炭素前駆体の種類、その熱履歴によっても若干異なるが通常700℃以上、好ましくは900℃以上である。一方、上限温度は基本的に黒鉛粒子核の結晶構造を上回る構造秩序を有しない温度まで上げることができる。従って熱処理の上限温度としては、通常2800℃以下、好ましくは2000℃以下、更に好ましくは1500℃ 以下が好ましい範囲である。このような熱処理条件において、昇温速度、冷却速度、熱処理時間などは目的に応じて任意に設定することができる。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、一基でも複数基でも良い。
またこれらの炭素質材料にリチウムを吸蔵及び放出可能な他の負極材を混合して用いることもできる。炭素質材料以外のリチウムを吸蔵及び放出可能な他の負極材としては、酸化錫、酸化珪素等の金属酸化物材料、更にはリチウム金属並びに種々のリチウム合金、及びSi、Snのようにリチウムと合金形成可能な金属材料を例示することができる。これらの負極材料は2種類以上混合して用いても良い。
電極活物質層の厚さは、正極の場合、通常3μm以上1000μm以下、好ましくは5μm以上200μm以下、負極の場合、通常1μm以上400μm以下、好ましくは3μm以上200μm以下が適当である。集電体上両面に活物質層を設ける場合などは、片面の厚さをこの範囲とする。
。
例1
乾燥アルゴン雰囲気下で精製したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の体積比3:3:4の混合溶媒に、1mol/Lの濃度で、充分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させた。さらにこの混合溶液1kgに対し、炭酸リチウムを、0.1molの割合で混合し、50℃において72時間反応させた。その後、この反応生成液を濾過し、濾液をイオンクロマトグラフ法により測定した。検出されたPO2F2アニオンの量は0.051mol/kgであった。
例1において、炭酸リチウムの代わりに炭酸カリウムを使用したこと以外は例1と同様の作業を行った。検出されたPO2F2アニオンの量は0.052mol/kgであった。
例1において、炭酸リチウムの代わりに炭酸カルシウムを使用したこと以外は例1と同様の作業を行った。検出されたPO2F2アニオンの量は0.047mol/kgであった。
例1において、炭酸リチウムを使用しなかったこと以外は例1と同様の作業を行った。PO2F2アニオンは検出されなかった。
乾燥アルゴン雰囲気下で精製したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の体積比3:3:4の混合溶媒に、1mol/Lの濃度で、充分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させた。さらにこの混合溶液に対し、10-3Mとなる量に相当する炭酸リチウムを添加した。この作業は25℃の環境下で行った。約10分経過後に、液を濾過し、濾液をイオンクロマトグラフ法により測定したが、PO2F2アニオンは検出されなかった。
例6
下記の方法で非水系電解液二次電池を作製し、その評価を行って、結果を表1に示した。
正極活物質としてのニッケル酸リチウム(LiNiO2)90重量%と、導電材としてのアセチレンブラック5重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した後、20μmのアルミ箔の両面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ80μmに圧延したものを幅52mm、長さ830mmに切り出し、正極とした。ただし、表裏とも長さ方向に50mmの無塗工部を設けてあり、活物質層の長さは780mmである。
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、晶子サイズ(Lc)が100nm以上(264nm)、灰分が0.04重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が17μm、BET法比表面積が8.9m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において1580〜1620cm−1の範囲のピークPA(ピーク強度IA)及び1350〜1370cm−1の範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB/IAが0.15、1580〜1620cm−1の範囲のピークの半値幅が22.2cm−1である人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98重量部に、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1重量%)100重量部、及び、スチレン・ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン・ブタジエンゴムの濃度50重量%)2重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化したものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上の両面に均一に塗布し、乾燥後、さらにプレス機で85μmに圧延したものを幅56mm、長さ850mmに切り出し、負極とした。ただし、表裏とも長さ方向に30mmの無塗工部を設けてある。
例1で得られた反応濾液を非水系電解液として使用した。この反応濾液のフッ化物塩の濃度は0.02mol/kg、炭酸リチウムは検出されず、ジフルオロリン酸塩の濃度は0.051mol/kgである。
正極と負極は、多孔製ポリエチレンシートのセパレータをはさんで捲回し、電極群とし電池缶に封入した。その後、電極群を装填した電池缶に上記電解液を5mL注入して、電極に充分浸透させ、かしめ成形を行って18650型円筒電池を作製した。
実際の充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で5サイクル初期充放電を行った。この時の5サイクル目0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)放電容量を初期容量とした。
その後、リチウム二次電池の実使用上限温度と目される60℃の高温環境下にてサイクル試験を行った。充電上限電圧4.1Vまで2Cの定電流定電圧法で充電した後、放電終止電圧3.0Vまで2Cの定電流で放電する充放電サイクルを1サイクルとし、このサイクルを500サイクルまで繰り返した。
サイクル試験終了後の電池に対し、25℃環境下で3サイクルの充放電を行い、その3サイクル目の0.2C放電容量を耐久後容量とした。
例6において、非水系電解液として例1で得られた反応濾液を使用する代わりに、例4(参考例)の液(ヘキサフルオロリン酸リチウム濃度1mol/L)を使用したこと以外は例6と同様にして二次電池を作製し、同様に評価を行って結果を表1に示した。
例6において、非水系電解液として例1で得られた反応濾液を使用する代わりに、乾燥アルゴン雰囲気下で精製したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の体積比3:3:4の混合溶媒に、1mol/Lの濃度で、充分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させ、更に非特許文献2に記載の方法に従って作成されたジフルオロリン酸リチウムを0.05mol/kgとなる濃度で添加した溶液を使用したこと以外は例6と同様にして二次電池を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
例6において、非水系電解液として例1で得られた反応濾液を使用する代わりに、例5(参考例)の液を使用したこと以外は例6と同様にして二次電池を作製し、同様に評価を行って結果を表1に示した。
下記の方法で非水系電解液二次電池を作製し、その評価を行って、結果を表2に示した。
[正極の作製]
正極活物質としてのニッケル酸リチウム(LiNiO2)90重量%と、導電材としてのアセチレンブラック5重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した後、20μmのアルミ箔の片面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ80μmに圧延したものをポンチで直径12.5mmに打ち抜き、正極とした。
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が100nm以上(264nm)、灰分が0.04重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が17μm、BET法比表面積が8.9m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において1580〜1620cm−1の範囲のピークPA(ピーク強度IA)及び1350〜1370cm−1の範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB/IAが0.15、1580〜1620cm−1の範囲のピークの半値幅が22.2cm−1である人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98重量部に、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1重量%)100重量部、及び、スチレン・ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン・ブタジエンゴムの濃度50重量%)2重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化したものを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上の片面に均一に塗布し、乾燥後、さらにプレス機で85μmに圧延したものをポンチで直径12.5mmに打ち抜き、負極とした。
例1で得られた反応濾液を非水系電解液として使用した。この反応濾液について前述の方法で二酸化炭素量を測定したところ、5897ppmが検出された。
正極と負極は、電池缶内で直径14mmの多孔製ポリエチレンシートのセパレータをはさんで積層し、上記電解液を滴下した後、かしめ成形を行って2032型コイン電池を作製した。
実際の充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で3サイクル初期充放電を行った。この時の3サイクル目0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)放電容量を正極活物質あたりに換算し、初期容量とした。
その後、60℃の高温環境下にて保存試験を行った。事前に25℃の環境下で充電上限電圧4.1Vまで定電流定電圧法で充電したコイン電池を、60℃にて7日間保存した。
保存試験終了後の電池に対し、25℃環境下で3サイクルの充放電を行い、その3サイクル目の0.2C放電容量を正極活物質あたりに換算し、保存後容量とした。また、初期容量に対する保存後容量の割合を回復率とした。この結果を表2に示す。
例10において、非水系電解液を0.5気圧の環境下で1分間脱気して使用した以外は例10と同様にしてコイン電池を作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。この電解液における二酸化炭素測定量は1165ppmであった。
例10において、非水系電解液として例1で得られた反応濾液を使用する代わりに、例8(参考例)で用いたと同様の電解液を使用したこと以外は例10と同様にしてコイン電池を作成し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。この電解液における二酸化炭素測定量は125ppmであった。
例10において、非水系電解液として例1で得られた反応濾液を使用する代わりに、乾燥アルゴン雰囲気下で精製したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の体積比3:3:4の混合溶媒に、1mol/Lの濃度で、充分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させたものを用いたこと以外は例10と同様にしてコイン電池を作成し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。この電解液における二酸化炭素測定量は129ppmであった。
例10と同様な手順で2032型コインセルを作製した。
ただし、電解液としては、乾燥アルゴン雰囲気下で精製したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)の体積比2:4:4の混合溶媒に、1mol/Lの濃度で、充分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させ、更にこの混合溶液1kgに対して0.05molとなる量に相当する炭酸リチウムを混合し、50℃にて30時間反応させたものを濾過して用いた。この電解液について、イオンクロマトグラフ法により測定したPO2F2アニオンの測定量は0.025mol/kgであった。
この電池の低温放電容量を以下の方法で求め、結果を表3に示した。
実際の充放電サイクルを経ていない新たな電池に対して、25℃で3サイクル(3.0−4.1V)初期充放電を行った。その後、−30℃の低温環境下にて放電試験を行った。事前に25℃の環境下で充電上限電圧4.1Vまで定電流定電圧法で充電したコイン電池を低温環境下で0.2Cの速度で放電し、その時の放電容量を正極活物質あたりに換算し、低温放電容量とした。
例14において、電解液調製の際、非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比2:4:4の混合溶媒を使用したこと以外は例14と同様に電池を作製し、同様に低温放電容量を測定し、結果を表3に示した。なお、この電解液について、イオンクロマトグラフ法により測定したPO2F2アニオンの測定量は0.025mol/kgであった。
例14において、炭酸リチウムを混合させずに電解液を調製したこと以外は例14と同様に電池を作製し、同様に低温放電容量を測定し、結果を表3に示した。なお、この電解液は、PO2F2アニオンは測定されなかった。
例15において、炭酸リチウムを混合させずに電解液を調製したこと以外は例15と同様に電池を作製し、同様に低温放電容量を測定し、結果を表3に示した。なお、この電解液は、PO2F2アニオンは測定されなかった。
例14において、電解液調製の際、非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)の体積比2:8の混合溶媒を使用したこと以外は例14と同様に電池を作製し、同様に低温放電容量を測定し、結果を表3に示した。なお、この電解液について、イオンクロマトグラフ法により測定したPO2F2アニオンの測定量は0.025mol/kgであった。
例18(参考例)において、炭酸リチウムを混合させずに電解液を調製したこと以外は例18(参考例)と同様に電池を作成し、同様に低温放電容量を測定し、結果を表3に示した。なお、この電解液は、PO2F2アニオンは測定されなかった。
表3には、上記例14と例16との対比、例15と例17(参考例)との対比、及び例18(参考例)と例19(参考例)との対比において、ジフルオロリン酸塩による低温放電容量の向上率を算出した結果を併記した。
例20
混合した際に体積比にして3:3:4となる乾燥したエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)をそれぞれ用意し、これらの溶媒と混合したときに1mol/Lの濃度の溶液となるようなヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)と、それらの混合溶液1kgに対して0.05molに相当する量の炭酸リチウムを用意した。
まず、DMCとEMCを混合し、そこにLiPF6と炭酸リチウムを加えて密閉した。これを攪拌しつつ60℃で5時間反応させた後、ECを混合した。
こうして得た非水系電解液をイオンクロマトグラフ法により測定したところ、検出されたPO2F2アニオンの量は0.024mol/kgであった。
例20において、ECを混合するタイミングをDMC、EMC混合と同時に変更したこと以外は実施例9と同様の操作を行った。検出されたPO2F2アニオンの量は0.004mol/kgであった。
例21において、反応時間を24時間としたこと以外は例21と同様の操作を行った。検出されたPO2F2アニオンの量は0.015mol/kgであった。
Claims (10)
- 比誘電率10未満の非水溶媒中でヘキサフルオロリン酸リチウムと炭酸塩とを反応させた後に、比誘電率10以上の非水溶媒を混合することを特徴とする方法により調製された二次電池用非水系電解液。
- 炭酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び、NR1R2R3R4(但し、R1〜R4は、互いに同一でも異なっていても良い、炭素数1〜12の有機基又は水素原子を表す。)の塩からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用非水系電解液。
- 比誘電率10未満の非水溶媒が、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、環状エーテル類、及び鎖状エーテル類からなる群から選ばれる1以上の溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池用非水系電解液。
- 比誘電率10以上の非水溶媒が、環状カーボネート類又は環状エステル類であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
- 鎖状カーボネート類が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれることを特徴とする請求項3に記載の二次電池用非水系電解液。
- 環状カーボネート類又は環状エステル類が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
- 比誘電率10未満の非水溶媒が、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒であり、比誘電率10以上の非水溶媒が、エチレンカーボネートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
- ヘキサフルオロリン酸リチウムと炭酸塩との反応生成物として、ジフルオロリン酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
- ジフルオロリン酸塩の濃度が1×10-3mol/kg以上、0.5mol/kg以下であることを特徴とする請求項8に記載の二次電池用非水系電解液。
- 非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、正極とを備えた非水系電解液二次電池において、該非水系電解液が請求項1〜9のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
Priority Applications (1)
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